開口部を有する金属膜とその形成方法、開口部を有する金属膜を備える光伝送モジュール及びそれを備える熱補助磁気記録ヘッド
【課題】開口部を有する光伝送用の金属膜とその形成方法、該開口部を有する金属膜を備える光伝送モジュール及びそれを備える熱補助磁気記録ヘッドを提供する。
【解決手段】開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜及びその形成方法を提供する。また、金属膜を出力端に備える光伝送モジュール及びこのような光伝送モジュールを光学的加熱手段として含む熱補助磁気記録ヘッドを提供する。
【解決手段】開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜及びその形成方法を提供する。また、金属膜を出力端に備える光伝送モジュール及びこのような光伝送モジュールを光学的加熱手段として含む熱補助磁気記録ヘッドを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録ヘッドに係り、さらに詳細には、近接場の強度を増大させうるC型ナノ開口部(C―shaped nano―aperture)を有する金属膜とその形成方法、前記金属膜を備える光伝送モジュールとそれを備える熱補助磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ヘッドに関する技術及び磁気記録方法の発展につれて磁気記録媒体に対する記録密度も上昇しつつある。しかし、記録密度が高くなることによって、磁気記録媒体の最小単位情報が記録される領域、すなわち、ビットサイズが縮小されながら、ビットサイズは、超常磁性効果の影響を受けるようになる。これにより、磁気記録媒体でビットサイズの熱的不安定性が増大して、さらに高い記録密度を実現することが困難である。
【0003】
データの熱的安定性を高めるためには、一般的に保磁力の大きい材料が磁気記録媒体として使われる。保磁力の大きい材料を記録媒体として使用する場合、データを記録するためにさらに大きい磁場が必要となる。しかし、磁気記録ヘッドで発生する磁場の強度は一定レベルで飽和されるので、保磁力の大きい材料を使用すれば、記録が不可能になるおそれがある。
【0004】
このような問題は、データが記録される領域を先に加熱した後、加熱された領域にデータを記録する熱補助磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:以下、HAMRという)方式を利用することによってある程度解消できる。
HAMR方式でデータ記録領域を加熱するための手段として光伝送モジュールが使われる。前記光伝送モジュールは、レーザーダイオードのような光源から発生した光を伝送する光導波路を備える。前記導波路の光放出面部分には、伝送された光のエネルギー分布を変えて強化された近接場を発生させるナノ開口部が備えられる。
【0005】
HAMR方式でデータが記録される領域は、キュリー温度近くまで加熱されるので、HAMR方式が適用される磁気記録ヘッドに備えられた光伝送モジュールは、記録密度を高めるために、スポットサイズが小さく、加熱するのに十分な強度を有する光を放出する必要がある。
【0006】
これまで多様なHAMR方式用の光伝送モジュールが紹介されたが、大部分の光伝送モジュールは、正方形開口部や円形開口部またはC型開口部を含む。
正方形や円形開口部を含む光伝送モジュールの場合、開口部のサイズが入射光波長の1%未満である時、光出力は、(波長)−4に比例して減少する。
【0007】
C型開口部を含む光伝送モジュールの場合、自己ヘッドのメインポールを開口部の突出部(リッジ)として利用する場合がある。この場合、磁場と光との間の距離を最小化できるが、熱によって前記メインポールの磁気的特性が減少しうる。
さらに、ナノ開口部の形状及びサイズが最大の近接場強化のために依然として最適化されていない。特に、導波路の出射面とナノ開口部の入口とのカップリング効率、及びナノ開口部の出口での光スポットプロファイルが個別的に考慮されて最適化されていない。したがって、光スポットのサイズを減らし、近接場強化効果を極大化するためには、従来のナノ開口部の構造的単純さを脱皮する試みが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前記従来の問題点を改善するためのものであって、光導波路から出力される光の出力損失を減らし、スポットサイズを減らすことができる開口部を有する金属膜を提供するところにある。
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記開口部を有する金属膜の形成方法を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記金属膜を備える光伝送モジュールを提供するところにある。
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記光伝送モジュールを備えて記録密度を高めることができるHAMRヘッドを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するために、本発明は、開口部を有する光伝送用の金属膜において、前記開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜を提供する。
前記開口部は、前記金属膜の突出部(ridge)によって断面C型に形成されうる。
前記突出部の断面サイズは、前記突出部の始点と終点とで異なりうる。
【0011】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有しうる。
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で前記開口部の長軸方向の幅は、後述の数式3によって決定されうる。
【0012】
前記開口部の入口(z=0)と出口(z=t)との間の任意の位置(z)で前記突出部の幅(s)は、後述の数式1によって決定されうる。
前記他の技術的課題を達成するために、本発明は、基板上に突出部を有する第1金属膜を形成するが、前記突出部の幅が位置によって異なって形成する段階と、前記第1金属膜上に前記突出部を覆う感光膜パターンを形成する段階と、前記感光膜パターンを覆うように前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する段階とを含むが、前記感光膜パターンは、位置によって幅を異なって形成し、側面は曲面となるように形成することを特徴とする開口部を有する金属膜の形成方法を提供する。
【0013】
前記突出部を有する第1金属膜を形成する段階は、前記基板上に均一な厚さの金属膜を形成する段階と、前記金属膜上に前記突出部を定義するマスクを形成する段階と、前記マスクの周りの前記金属膜の一部厚さを除去する段階と、前記マスクを除去する段階とを含む。
【0014】
前記突出部の始点と終点との間での前記感光膜パターンの幅は、後述の数式3を満たし、前記突出部上に形成される厚さ(d)は、Mとなるように形成しうる。
このとき、Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。Mは、後述の数式2によって決定されうる。
【0015】
前記突出部を定義する前記マスクの幅は、数式1によって決定されうる。
前記金属膜の形成方法の場合に、前記数式1のtは、前記突出部のZ軸方向の厚さである。zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記時点(z=0)と終点(z=t)間の位置値である。
【0016】
前記金属膜の形成方法は、前記第2金属膜を形成する段階後、前記突出部の幅の狭い終断面(終点)が露出されるように、前記第2金属膜、前記感光膜パターン、前記第1金属膜、及び前記基板の端部を研磨する段階をさらに含みうる。
前記金属膜の形成方法は、前記第2金属膜を形成する段階後、前記感光膜パターンを除去する段階をさらに含みうる。
【0017】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、光導波路、及び前記導波路の出力端に付着された前記開口部を有する金属膜を備えることを特徴とする光伝送モジュールを提供する。
前記開口部は、テーパ型でありうる。
【0018】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つは、前記開口部の出口の幅または高さより大きくありうる。
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
【0019】
前記開口部の入口及び出口の面積は、同一でありうる。
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部の断面は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
【0020】
前記開口部の断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長されて互いに離隔された二つの第2部分とからなり、前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さ(前記開口部の深さ)をtとすれば、前記開口部の入口(z=0)と出口(z=t)との間の位置(z)で、前記aは数式3によって、sは数式1によって決定され、bは2M、dはMでありうる。
【0021】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、磁気記録媒体にデータを記録するためのメインポールとリターンポールとを含む磁気記録部を備え、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための光学的加熱手段を備えるHAMRヘッドにおいて、前記光学的加熱手段は、入口及び出口のサイズが異なり、側面が曲面である開口部を有することを特徴とするHAMRヘッドを提供する。
【0022】
前記光学的加熱手段は、光源から照射された光を伝送する光導波路、及び前記導波路の出力端に付着されて前記開口部が形成された金属膜を備えうる。
前記光源と前記光導波路との間にプリズムカプラーまたはグレーティングカップラーがさらに備えられうる。
【0023】
前記開口部のあらゆる特徴は、前記光伝送モジュールで説明した通りである。
前記開口部は、前記導波路の出力端自体に形成されたものでありうる。
前記金属膜、前記光伝送モジュール及び前記HAMRヘッドで、前記開口部の入口の周りに溝部がさらに備えられうる。このとき、前記溝部は、リング型でありうる。前記リング型溝部の外半径は、前記開口部に入射される入射光の波長の0.5〜1.5倍でありうる。
【0024】
このような本発明を利用すれば、前記開口部の構造的特徴によって前記開口部の光出射面での光強度及び光出力が全て増大する。このような効果は、前記開口部の周りに溝部を形成することによってさらに増大する。
【0025】
したがって、本発明のこのような開口部を採用した光伝送モジュールを備えるHAMRヘッドは、光強度が高く、スポットサイズが小さいながら対称である光を放出できるので、データ記録密度を高めることができる。
また、本発明のHAMRヘッドは、メインポールを開口部を有する金属膜の突出部として利用しないので、熱によってメインポールの磁気的特性が減少することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の金属膜で光の通過する開口部の光入射面と光放出面との形状が異なる。本発明の開口部の幅は、前記光入射面から前記光放出面に行くほど狭くなるか、広くなりうる。
また、前記開口部の構造的特徴によって、前記開口部の光出射面での光強度及び光出力が全て増大する。このような効果は、前記開口部の周りに溝部を形成することによってさらに増大する。
【0027】
したがって、本発明の開口部を採用した光伝送モジュールを備えるHAMRヘッドは、光強度が高く、スポットサイズが小さいながら、対称である光を放出できるので、データ記録密度を高めることができる。
また、本発明のHAMRヘッドは、メインポールを開口部を有する金属膜の突出部として利用しないので、熱によってメインポールの磁気的特性が減少することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態による開口部を有する金属膜とその形成方法、開口部を有する金属膜を備える光伝送モジュール、及びそれを備える熱補助磁気記録ヘッドを添付された図面を参照して詳細に説明する。この過程で図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示した。
まず、本発明の実施形態によるC型ナノ開口部(以下、開口部、と言う)を備えた金属膜について説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態による開口部Aを備えた金属膜C1の立体図である。
図1を参照すれば、開口部Aの入口及び出口のサイズは異なる。そして、開口部Aの側面は曲面である。開口部Aは、四角形のコンタクトホールの底に突出部Rが形成されたものと同じ形状である。金属膜C1は、Z軸を中心として逆時計回り方向に90°回転した状態で使われうる。このとき、開口部Aは、金属膜C1の突出部RによってC型でありうる。金属膜C1の回転角によって、開口部Aは、C型以外の他の形態に表現できるが、本説明では便宜上、開口部AをC型であると記述する。
【0030】
開口部AのY軸方向の幅(a)は、入口で広く、出口で狭い。開口部AのY軸方向の幅(a)は、入口で4M、出口で3Mでありうる。そして、開口部AのX軸方向の幅は、突出部Rが存在する領域でMであり、突出部R以外の部分で2Mである。開口部AのX軸方向の幅は、開口部Aの入口から出口まで同一である。開口部Aの幅を示す値でMは、開口部Aに入射される光の波長によって決定される定数であるが、例えば入射光の波長が780nmである時、Mは90nm程度となる。Mについては後述する。突出部RのY軸方向の幅も開口部Aの入口で広く、出口で狭い。しかし、突出部RのX軸方向の幅(開口部Aが回転なしに図1に示された状態のままで使われる場合には高さ)は、開口部Aの入口から出口まで同一である。
【0031】
結果として、開口部Aと突出部Rとは、全体的な形状が入口から出口側に行くほど幅の狭くなる形態である。
このような開口部Aを備えた金属膜C1において、示したように、開口部Aの突出部RがZ軸方向に形成されているとすれば、開口部Aの深さによる、すなわちZ軸方向による突出部Rの幅(s)は、次の数式1によって決定される。
【数1】
【0032】
数式1で、Mは、開口部Aに入射される入射光の周波数と開口部Aの共振周波数とが同一になる共振条件を満たすための、突出部Rが存在する領域での開口部AのX軸方向の幅(d)である。すなわち、Mは、突出部Rの成長方向(X軸方向)への終点(現在の図面では上面)とこの部分と対向する金属膜C1との間の最短距離である。Mは、開口部Aに入射される入射光によって異なりうる。
【0033】
数式1のMは、次の数式2によって決定される。
【数2】
【0034】
ここで、a、b、d及びsは、それぞれ3M、2M、M及びMであり、λcは、入射光の遮断波長である。このとき、bは、突出部R以外の部分で開口部AのX軸方向の幅であり、dは、突出部Rが存在する領域で開口部AのX軸方向の幅である。
数式2で遮断波長は、開口部Aに入射される入射光の波長であるので、Mは、入射光の波長によって異なるということが分かる。例えば、前記のように入射光の波長が780nmである時、Mは90nm程度である。
【0035】
また、数式1でtは、開口部Aを有する金属膜C1のZ軸方向の厚さであって、光放出量を最大とする開口部Aの最適厚さである。すなわち、金属膜C1のZ軸方向厚さを増加させながら電場強度及び光出力量の変化を測定することによって、前記tが決定される。金属膜C1の材質が金(Au)であり、入射光の波長が780nmである時、開口部Aの最適厚さ(t)は、280nm程度となる。
【0036】
一方、開口部Aの入口(z=0)と出口(z=t)との間の位置(z)で開口部AのY軸方向の幅(a)は、次の数式3によって決定される。前記開口部AのY軸方向の幅(a)は、開口部Aの長軸方向の幅(a)という。
【数3】
【0037】
数式3で、a0は3.96231であり、a1は−0.00137であり、a2は−0.0002である。
入射光が決定されれば、開口部Aのb(=2M)とd(=M)は、数式2によって決定される固定値であるので、開口部Aの所定の深さで、すなわち、所定のz値で数式1及び3から突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とが決定されれば、前記所定のz値で開口部Aの断面形状が決定される。このように決定された開口部Aの断面に入射する入射光の周波数(遮断周波数)と開口部Aの共振周波数とは同一になる。
【0038】
図1において、突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とは、それぞれ数式1と3とを満たす。したがって、開口部Aをその入口と出口との間の位置でZ軸に垂直な方向に切った場合、開口部A断面の形状は、開口部Aに入射する入射光の周波数と開口部Aの共振周波数とが同一になる共振条件を満たす。
【0039】
このように、開口部AをZ軸に垂直な方向に切ったとき、その断面形状が前記共振条件を満たせば、開口部Aは、共振領域を有すると定義する。
図1に示す開口部Aの入口面積と出口面積とは、前記共振条件を満たす同時に面積も同一である。しかし、数式1と3の関数形態を考慮すれば、開口部Aの入口と出口との間でZ軸に垂直な方向に切った開口部Aの断面面積は、開口部Aの入口面積及び出口面積と異なるということが分かる。
【0040】
図2は、図1に示す開口部Aの入口面、中央面及び出口面を示す。
図2において、一番左側は、開口部Aの正面から見た形状、すなわち開口部Aの正面図であり、一番右側は、開口部Aの背面から見た形状、すなわち開口部Aの背面図であり、中央は、開口部Aの入口と出口との間の中央で切った開口部Aの断面を示す。
【0041】
図2を参照すれば、開口部Aの入口で突出部Rの幅が3Mであり、開口部Aの出口で突出部Rの幅はMであり、開口部Aの入口と出口との間で突出部Rの幅は、数式1によって決定される値(s)である。そして、開口部Aの突出部Rが存在する領域での高さはMであり、突出部R以外の部分で開口部Aの高さは2Mである。また、開口部Aの入口のY軸方向幅は4Mであり、出口のY軸方向幅は3Mであり、入口と出口との間でY軸方向幅は、数式3によって決定される値(a)である。
【0042】
図3は、図1をX軸に垂直であり、Y軸及びZ軸に平行な方向に開口部Aを過ぎるように金属膜C1を切開した結果を示す。図3を通じて突出部Rの上面及び開口部Aの平面形態がさらに明確に理解される。
図3を参照すれば、突出部Rの上面の開口部Aの入口に位置した両端と突出部R上面の開口部Aの出口に位置した両端とを連結する線は、直線である。言い換えれば、突出部Rの側面と上面との境界線は直線である。これは、数式1から当然の結果である。
【0043】
具体的に説明すれば、数式1でsは、開口部C1の入口と出口との間にある任意値に対して、すなわち、Z軸上の任意値に対して一次関数であるので、数式1のsと定義される線は、直線となる。突出部Rの幅は、下面から上面に行くほど、すなわちX軸方向に変化がないので、数式1によって決定される突出部Rの幅(s)は、突出部Rの上面の幅と同じになる。したがって、図3に示す突出部Rの上面の開口部Aの入口に位置した両端と開口部Aの出口に位置した両端とを連結する線は、数式1のsによって決定される直線となる。
【0044】
図3で開口部Aの左右境界線(以下、境界線)、すなわち開口部Aの幅(a)の変化を示す線は曲線であるが、このような結果は、数式3から予想された結果である。
数式3でaは、z値に対して2次関数であり、開口部Aの幅(a)は、X軸方向に変化がないので、数式3で表現される線、すなわち決定される開口部A幅(a)の変化を示す前記境界線は、曲線となる。
【0045】
このように、突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とを決定する数式1と3は、z値に対する比例関係が互いに異なるため、開口部Aの入口と出口との間の任意の位置でZ軸に垂直な方向に金属膜C1を切ったときに露出される開口部Aの断面の面積は、開口部Aの入口面積と異なり、出口面積とも異なる。
【0046】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態による開口部の特徴は、第1実施形態による金属膜C1で開口部Aの周りに溝部を備えるのにある。以下では、前記第1実施形態による金属膜C1を第1金属膜C1という。
【0047】
図4は、本発明の第2実施形態による開口部を有する金属膜(以下、第2金属膜)の一例を示す。
図4を参照すれば、第2金属膜C2は、第1金属膜C1の開口部A及びリング型溝部Gを有する。リング型溝部Gは、開口部Aの周りに形成されている。リング型溝部Gの外半径は、第2金属膜C2に入射される光の波長の0.5〜1.5倍でありうる。例えば、前記入射光の波長が780nmである時、リング型溝部Gの外半径は、780nmでありうる。このとき、リング型溝部Gの内半径及び深さは、それぞれ540nm及び50nm程度でありうる。リング型溝部Gの外半径、内半径及び深さは、第2金属膜C2に入射される光の種類及び第2金属膜C2のサイズによって異なりうる。
【0048】
このような第2金属膜C2では、リング型溝部Gの存在によって表面プラズモン効果が現れるので、開口部Aの近接場強化効果はさらに増大する。
これを確認するために、本発明者は、第2金属膜C2に対してFDTD(Finite Difference Time Domain)シミュレーションを行った。前記シミュレーションで第2金属膜C2の材質は金(Au)であり、Z軸方向の厚さは280nmとし、第2金属膜C2の開口部A及びリング型溝部Gに入射される光の波長は780nmとした。
【0049】
前記シミュレーション結果、第2金属膜C2の開口部Aを通過した光の強度(電場の強度)は22.5149(V2/m2)、光出力量(Power Throughput:PT)は3.7697、スポットのX軸及びY軸方向の半値全幅(full width of half maximun)は、それぞれ140nm及び145nmであった。
このようなシミュレーション結果は、前記第2金属膜C2の開口部Aを通過した光の電場の強度及びPTが従来のC型開口部より3倍程度増加したことを示す。
【0050】
一方、本発明の開口部Aは、前記のように光入射面の幅が光出射面の幅よりも広く、高さは同じ場合が望ましいが、前記場合と異なってもよい。例えば、本発明の開口部Aの光入射面の高さが光出射面より高くてもよい。また、前記光入射面の幅と高さとがいずれも出射面のそれらより大きくてもよい。
【0051】
次に、本発明の実施形態による開口部を備える金属膜の形成方法を図5Aないし図5Eを参照して説明する。
図5Aを参照すれば、基板SUB上に均一な厚さの第1金属膜M1を形成する。第1金属膜M1は、金(Au)膜でありうる。第1金属膜M1上にマスクPRを形成する。マスクPRは、感光膜でありうる。マスクPRの幾何学的形態及び寸法は、図4に示す突出部Rと同一でありうる。
【0052】
図5Bを参照すれば、マスクPRの周りの第1金属膜M1を所定の厚さになるまでエッチングしてマスクPRを除去する。このようにして、第1金属膜M1に突出部50が形成される。突出部50は、マスクPRの形状がそのまま転写されたものであるので、突出部50の幾何学的形態と寸法は、図1の突出部Rと同一になる。
【0053】
次に、図5Cを参照すれば、第1金属膜M1上に突出部50を覆う感光膜パターンPを形成する。
具体的に説明すれば、突出部50の周りの第1金属膜M1上に突出部50を覆う感光膜(図示せず)を形成する。次いで、前記感光膜上に感光膜パターンPを限定するマスク(図示せず)を形成する。したがって、前記マスクの形状と寸法は、感光膜パターンPと同一であることが望ましい。前記マスクを形成した後、露光及び現像工程を経て前記マスクの周りの感光膜を除去する。そして、前記マスクも除去する。このようにして、感光膜パターンPが形成される。このとき、感光膜パターンPは、最終的に図1に示す開口部を定義するので、感光膜パターンPは、その幅(a)が数式3に従うように形成する。感光膜パターンPは、露光工程によって前記マスク形状が転写された結果であるので、前記マスクは、その幅が数式3を満たすように形成されたものを使用する。
【0054】
示してはいないが、突出部50の幅が広い終断面(始点:1)から延長される感光膜パターン部分は、導波路の一部となりうる。
一方、前記露光及び現像工程によって前記マスクの周りの感光膜を除去する時、突出部50の幅の狭い終断面(終点:2)を露出させてもよい。すなわち、感光膜パターンを突出部50の両側面と上面及び幅の広い終断面1のみを覆うように形成させてもよい。この時にも、幅の広い終断面1から延長される感光膜パターン部分は、導波路の一部となりうる。
図5Dを参照すれば、感光膜パターンPを覆うように、第1金属膜M1上に第2金属膜M2を形成する。第2金属膜M2は、Au膜でありうる。
【0055】
図5Eを参照すれば、第2金属膜M2を形成した後、突出部50の幅の狭い終断面(終点:2)が露出されるように、第2金属膜M2、感光膜パターンP、第1金属膜M1、及び基板SUBの端部を研磨する。前記研磨は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)でありうる。この結果、入口と出口とを結ぶ側面が曲面である開口部Aを有する金属膜が形成される。開口部Aは、感光膜パターンP自体でありうる。あるいは、その後に感光膜パターンPを除去して開口部Aを空き空間となるようにしてもよい。
前記のような本発明の開口部Aを形成する時、前述の通り、開口部Aの入口と連結される導波路の一部を共に形成してもよい。前記導波路の一部は、金属膜と感光膜の積層膜とから形成された部分である。
【0056】
次に、本発明の実施形態による光伝送モジュール(以下、本発明の光伝送モジュール)について説明する。
図6を参照すれば、本発明の光伝送モジュールは、光導波路200と、開口部250が形成された金属膜300とを備える。金属膜300は、光導波路200の光出力端に付着されている。光導波路200の光入力端に光源、例えばレーザーダイオードが付着されうる。光導波路200の光出力端と対向する後面は、傾斜面SLである。これにより、光導波路200の光入力端を介して入射された光は、光導波路200を進んで傾斜面SLで反射された後、光出力端と金属膜300の開口部250とを介して出力される。開口部250は、透明な絶縁膜、例えば感光膜から充填されうる。そして、光導波路200と金属膜300とのカップリング方式及びカップリング面の位置は、異なりうる。また、開口部250を有する金属膜300は、図7に示すように開口部250の周りに溝部Gを備えうる。
【0057】
次に、本発明の実施形態によるHAMRヘッドを説明する。
図8を参照すれば、本発明の実施形態によるHAMRヘッドHD1は、磁気記録媒体に磁場を印加するメインポールMPと、メインポールMPと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールRPとを含む磁気記録部MRAを備える。メインポールMPとリターンポールRPの記録媒体(図示せず)と近接した部分は、狭い間隔を維持し、トラック幅と同一またはそれより狭い幅を有している。HAMRヘッドHD1は、また前記記録媒体のデータ記録領域を加熱するための手段として、前記データ記録領域に光を照射する光伝送モジュールLDMを備える。光伝送モジュールLDMは、データ記録に先立ってデータが記録される領域を加熱できるように、メインポールMPの直前に位置する。光伝送モジュールLDMは、図6及び図7に示す光伝送モジュールと同一でありうる。
【0058】
光伝送モジュールLDMの光導波路WGを介して放出された光は、開口部が形成された金属膜NAを経て前記記録媒体の前記データ記録領域に照射される。金属膜NAは、図1及び図4に示す金属膜のうちいずれか一つである。このとき、金属膜NAは、開口部の幅の狭い部分が前記記録媒体を向かうように、光導波路WGの出力端に付着される。金属膜NAの開口部を介して放出される光の強度と光放出量は、従来よりも全て増加する。
【0059】
HAMRヘッドHD1は、傾斜面SLの第1面20に装着されている。第1面20は、傾斜面SLの記録媒体と対向する底面10に垂直である。このとき、HAMRヘッドHD1は、メインポールMP、リターンポールRP、及び金属膜NAのいずれもが前記記録媒体を向かうように装着される。
【0060】
磁気記録部MRAは、記録磁場を発生させるコイルC、コイルCによって形成された磁場を利用して前記記録媒体にデータを記録するメインポールMP、及びリターンポールRP、光伝送モジュールLDMの上側のメインポールMPに付着されたサブヨークSYを備える。
一方、光導波路WGに光を供給する光源(図示せず)と光導波路WGとは、直接接合を通じて結合(butt coupling)されうる。また、前記光源と光導波路WGとは、プリズムカプラーやグレーティングカップラーを媒介として結合されうる。
【0061】
図9は、本発明の他の実施形態によるHAMRヘッドを示す。本発明の他の実施形態によるHAMRヘッドは、前記本発明の実施形態によるHAMRヘッドで改良されたものであり、図8及び図9で同じ図面符号は、同じ構成要素を示す。
図8に示すHAMRヘッドHD1が記録用ヘッドであれば、図9に示すHAMRヘッドHD2は、記録及び再生用ヘッドである。
【0062】
図9を参照すれば、HAMRヘッドHD2で傾斜面SLの第1面20から順次に第1及び第2絶縁膜D1、D2が備えられている。第1及び第2絶縁膜D1、D2は、その下端が傾斜面SLの下面と一致するように備えられている。第1及び第2絶縁膜D1、D2の間に再生電極REが存在する。再生電極REは、下端が第1及び第2下端に一致するように備えられうる。再生電極REを通じて前記記録媒体に記録された情報を読み取る。
【0063】
以上の説明で、多くの事項が具体的に記載されているが、これらは、発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。例えば、本発明が属する技術分野で当業者ならば、HAMRヘッドHD1、HD2で構成要素の位置を変えることができ、構成要素の種類をより多様化することが可能である。
【0064】
また、本発明のC型ナノ開口部を有する光伝送モジュールは、HAMRヘッドだけでなく、単分子検出(single molecule detection)、分光(spectroscopy)、及びナノ粒子操作(nano particle manipulation)のための装置に応用されうる。
【0065】
さらに、本発明の技術思想は、量子ドット、ナノパターン、及びナノワイヤーを使用する保存装置に応用されうる。
また、前述した本発明の金属膜で開口部の側面は、曲面でなく平面であってもよい。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって決定されず、特許請求範囲に記載された技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、磁気記録関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態による開口部を有する金属膜を示す立体図である。
【図2】図1に示す金属膜の正面図と背面図、及び開口部の入口と出口との間でZ軸に垂直に切った断面図である。
【図3】図1に示す金属膜の突出部及び開口部をZ軸と平行で、X軸に垂直に切った平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による開口部を有する金属膜を示す立体図である。
【図5A】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5B】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5C】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5D】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5E】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図6】図1に示す金属膜を備える光伝送モジュールの立体図である。
【図7】図4に示す金属膜を備える光伝送モジュールの立体図である。
【図8】本発明の実施形態による記録専用HAMRヘッドの立体図である。
【図9】本発明の実施形態による記録及び再生用HAMRヘッドの立体図である。
【符号の説明】
【0068】
10 記録媒体と対向する底面
20 傾斜面の第1面
200 光導波路
300 金属膜
a 開口部の幅
A 開口部
C コイル
C1、C2 金属膜
D1、D2 第1及び第2絶縁膜
HD1、HD2 HAMRヘッド
LDM 光伝送モジュール
MP メインポール
MRA 磁気記録部
NA 金属膜
R 突出部(リッジ)
RE 再生電極
RP リターンポール
s 突出部(リッジ)の幅
SL 傾斜面
SY サブヨーク
WG 光導波路
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録ヘッドに係り、さらに詳細には、近接場の強度を増大させうるC型ナノ開口部(C―shaped nano―aperture)を有する金属膜とその形成方法、前記金属膜を備える光伝送モジュールとそれを備える熱補助磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ヘッドに関する技術及び磁気記録方法の発展につれて磁気記録媒体に対する記録密度も上昇しつつある。しかし、記録密度が高くなることによって、磁気記録媒体の最小単位情報が記録される領域、すなわち、ビットサイズが縮小されながら、ビットサイズは、超常磁性効果の影響を受けるようになる。これにより、磁気記録媒体でビットサイズの熱的不安定性が増大して、さらに高い記録密度を実現することが困難である。
【0003】
データの熱的安定性を高めるためには、一般的に保磁力の大きい材料が磁気記録媒体として使われる。保磁力の大きい材料を記録媒体として使用する場合、データを記録するためにさらに大きい磁場が必要となる。しかし、磁気記録ヘッドで発生する磁場の強度は一定レベルで飽和されるので、保磁力の大きい材料を使用すれば、記録が不可能になるおそれがある。
【0004】
このような問題は、データが記録される領域を先に加熱した後、加熱された領域にデータを記録する熱補助磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:以下、HAMRという)方式を利用することによってある程度解消できる。
HAMR方式でデータ記録領域を加熱するための手段として光伝送モジュールが使われる。前記光伝送モジュールは、レーザーダイオードのような光源から発生した光を伝送する光導波路を備える。前記導波路の光放出面部分には、伝送された光のエネルギー分布を変えて強化された近接場を発生させるナノ開口部が備えられる。
【0005】
HAMR方式でデータが記録される領域は、キュリー温度近くまで加熱されるので、HAMR方式が適用される磁気記録ヘッドに備えられた光伝送モジュールは、記録密度を高めるために、スポットサイズが小さく、加熱するのに十分な強度を有する光を放出する必要がある。
【0006】
これまで多様なHAMR方式用の光伝送モジュールが紹介されたが、大部分の光伝送モジュールは、正方形開口部や円形開口部またはC型開口部を含む。
正方形や円形開口部を含む光伝送モジュールの場合、開口部のサイズが入射光波長の1%未満である時、光出力は、(波長)−4に比例して減少する。
【0007】
C型開口部を含む光伝送モジュールの場合、自己ヘッドのメインポールを開口部の突出部(リッジ)として利用する場合がある。この場合、磁場と光との間の距離を最小化できるが、熱によって前記メインポールの磁気的特性が減少しうる。
さらに、ナノ開口部の形状及びサイズが最大の近接場強化のために依然として最適化されていない。特に、導波路の出射面とナノ開口部の入口とのカップリング効率、及びナノ開口部の出口での光スポットプロファイルが個別的に考慮されて最適化されていない。したがって、光スポットのサイズを減らし、近接場強化効果を極大化するためには、従来のナノ開口部の構造的単純さを脱皮する試みが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前記従来の問題点を改善するためのものであって、光導波路から出力される光の出力損失を減らし、スポットサイズを減らすことができる開口部を有する金属膜を提供するところにある。
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記開口部を有する金属膜の形成方法を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記金属膜を備える光伝送モジュールを提供するところにある。
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記光伝送モジュールを備えて記録密度を高めることができるHAMRヘッドを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するために、本発明は、開口部を有する光伝送用の金属膜において、前記開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜を提供する。
前記開口部は、前記金属膜の突出部(ridge)によって断面C型に形成されうる。
前記突出部の断面サイズは、前記突出部の始点と終点とで異なりうる。
【0011】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有しうる。
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で前記開口部の長軸方向の幅は、後述の数式3によって決定されうる。
【0012】
前記開口部の入口(z=0)と出口(z=t)との間の任意の位置(z)で前記突出部の幅(s)は、後述の数式1によって決定されうる。
前記他の技術的課題を達成するために、本発明は、基板上に突出部を有する第1金属膜を形成するが、前記突出部の幅が位置によって異なって形成する段階と、前記第1金属膜上に前記突出部を覆う感光膜パターンを形成する段階と、前記感光膜パターンを覆うように前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する段階とを含むが、前記感光膜パターンは、位置によって幅を異なって形成し、側面は曲面となるように形成することを特徴とする開口部を有する金属膜の形成方法を提供する。
【0013】
前記突出部を有する第1金属膜を形成する段階は、前記基板上に均一な厚さの金属膜を形成する段階と、前記金属膜上に前記突出部を定義するマスクを形成する段階と、前記マスクの周りの前記金属膜の一部厚さを除去する段階と、前記マスクを除去する段階とを含む。
【0014】
前記突出部の始点と終点との間での前記感光膜パターンの幅は、後述の数式3を満たし、前記突出部上に形成される厚さ(d)は、Mとなるように形成しうる。
このとき、Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。Mは、後述の数式2によって決定されうる。
【0015】
前記突出部を定義する前記マスクの幅は、数式1によって決定されうる。
前記金属膜の形成方法の場合に、前記数式1のtは、前記突出部のZ軸方向の厚さである。zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記時点(z=0)と終点(z=t)間の位置値である。
【0016】
前記金属膜の形成方法は、前記第2金属膜を形成する段階後、前記突出部の幅の狭い終断面(終点)が露出されるように、前記第2金属膜、前記感光膜パターン、前記第1金属膜、及び前記基板の端部を研磨する段階をさらに含みうる。
前記金属膜の形成方法は、前記第2金属膜を形成する段階後、前記感光膜パターンを除去する段階をさらに含みうる。
【0017】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、光導波路、及び前記導波路の出力端に付着された前記開口部を有する金属膜を備えることを特徴とする光伝送モジュールを提供する。
前記開口部は、テーパ型でありうる。
【0018】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つは、前記開口部の出口の幅または高さより大きくありうる。
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
【0019】
前記開口部の入口及び出口の面積は、同一でありうる。
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部の断面は、入射光と共振を起こす形状を有しうる。
【0020】
前記開口部の断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長されて互いに離隔された二つの第2部分とからなり、前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さ(前記開口部の深さ)をtとすれば、前記開口部の入口(z=0)と出口(z=t)との間の位置(z)で、前記aは数式3によって、sは数式1によって決定され、bは2M、dはMでありうる。
【0021】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、磁気記録媒体にデータを記録するためのメインポールとリターンポールとを含む磁気記録部を備え、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための光学的加熱手段を備えるHAMRヘッドにおいて、前記光学的加熱手段は、入口及び出口のサイズが異なり、側面が曲面である開口部を有することを特徴とするHAMRヘッドを提供する。
【0022】
前記光学的加熱手段は、光源から照射された光を伝送する光導波路、及び前記導波路の出力端に付着されて前記開口部が形成された金属膜を備えうる。
前記光源と前記光導波路との間にプリズムカプラーまたはグレーティングカップラーがさらに備えられうる。
【0023】
前記開口部のあらゆる特徴は、前記光伝送モジュールで説明した通りである。
前記開口部は、前記導波路の出力端自体に形成されたものでありうる。
前記金属膜、前記光伝送モジュール及び前記HAMRヘッドで、前記開口部の入口の周りに溝部がさらに備えられうる。このとき、前記溝部は、リング型でありうる。前記リング型溝部の外半径は、前記開口部に入射される入射光の波長の0.5〜1.5倍でありうる。
【0024】
このような本発明を利用すれば、前記開口部の構造的特徴によって前記開口部の光出射面での光強度及び光出力が全て増大する。このような効果は、前記開口部の周りに溝部を形成することによってさらに増大する。
【0025】
したがって、本発明のこのような開口部を採用した光伝送モジュールを備えるHAMRヘッドは、光強度が高く、スポットサイズが小さいながら対称である光を放出できるので、データ記録密度を高めることができる。
また、本発明のHAMRヘッドは、メインポールを開口部を有する金属膜の突出部として利用しないので、熱によってメインポールの磁気的特性が減少することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の金属膜で光の通過する開口部の光入射面と光放出面との形状が異なる。本発明の開口部の幅は、前記光入射面から前記光放出面に行くほど狭くなるか、広くなりうる。
また、前記開口部の構造的特徴によって、前記開口部の光出射面での光強度及び光出力が全て増大する。このような効果は、前記開口部の周りに溝部を形成することによってさらに増大する。
【0027】
したがって、本発明の開口部を採用した光伝送モジュールを備えるHAMRヘッドは、光強度が高く、スポットサイズが小さいながら、対称である光を放出できるので、データ記録密度を高めることができる。
また、本発明のHAMRヘッドは、メインポールを開口部を有する金属膜の突出部として利用しないので、熱によってメインポールの磁気的特性が減少することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態による開口部を有する金属膜とその形成方法、開口部を有する金属膜を備える光伝送モジュール、及びそれを備える熱補助磁気記録ヘッドを添付された図面を参照して詳細に説明する。この過程で図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示した。
まず、本発明の実施形態によるC型ナノ開口部(以下、開口部、と言う)を備えた金属膜について説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態による開口部Aを備えた金属膜C1の立体図である。
図1を参照すれば、開口部Aの入口及び出口のサイズは異なる。そして、開口部Aの側面は曲面である。開口部Aは、四角形のコンタクトホールの底に突出部Rが形成されたものと同じ形状である。金属膜C1は、Z軸を中心として逆時計回り方向に90°回転した状態で使われうる。このとき、開口部Aは、金属膜C1の突出部RによってC型でありうる。金属膜C1の回転角によって、開口部Aは、C型以外の他の形態に表現できるが、本説明では便宜上、開口部AをC型であると記述する。
【0030】
開口部AのY軸方向の幅(a)は、入口で広く、出口で狭い。開口部AのY軸方向の幅(a)は、入口で4M、出口で3Mでありうる。そして、開口部AのX軸方向の幅は、突出部Rが存在する領域でMであり、突出部R以外の部分で2Mである。開口部AのX軸方向の幅は、開口部Aの入口から出口まで同一である。開口部Aの幅を示す値でMは、開口部Aに入射される光の波長によって決定される定数であるが、例えば入射光の波長が780nmである時、Mは90nm程度となる。Mについては後述する。突出部RのY軸方向の幅も開口部Aの入口で広く、出口で狭い。しかし、突出部RのX軸方向の幅(開口部Aが回転なしに図1に示された状態のままで使われる場合には高さ)は、開口部Aの入口から出口まで同一である。
【0031】
結果として、開口部Aと突出部Rとは、全体的な形状が入口から出口側に行くほど幅の狭くなる形態である。
このような開口部Aを備えた金属膜C1において、示したように、開口部Aの突出部RがZ軸方向に形成されているとすれば、開口部Aの深さによる、すなわちZ軸方向による突出部Rの幅(s)は、次の数式1によって決定される。
【数1】
【0032】
数式1で、Mは、開口部Aに入射される入射光の周波数と開口部Aの共振周波数とが同一になる共振条件を満たすための、突出部Rが存在する領域での開口部AのX軸方向の幅(d)である。すなわち、Mは、突出部Rの成長方向(X軸方向)への終点(現在の図面では上面)とこの部分と対向する金属膜C1との間の最短距離である。Mは、開口部Aに入射される入射光によって異なりうる。
【0033】
数式1のMは、次の数式2によって決定される。
【数2】
【0034】
ここで、a、b、d及びsは、それぞれ3M、2M、M及びMであり、λcは、入射光の遮断波長である。このとき、bは、突出部R以外の部分で開口部AのX軸方向の幅であり、dは、突出部Rが存在する領域で開口部AのX軸方向の幅である。
数式2で遮断波長は、開口部Aに入射される入射光の波長であるので、Mは、入射光の波長によって異なるということが分かる。例えば、前記のように入射光の波長が780nmである時、Mは90nm程度である。
【0035】
また、数式1でtは、開口部Aを有する金属膜C1のZ軸方向の厚さであって、光放出量を最大とする開口部Aの最適厚さである。すなわち、金属膜C1のZ軸方向厚さを増加させながら電場強度及び光出力量の変化を測定することによって、前記tが決定される。金属膜C1の材質が金(Au)であり、入射光の波長が780nmである時、開口部Aの最適厚さ(t)は、280nm程度となる。
【0036】
一方、開口部Aの入口(z=0)と出口(z=t)との間の位置(z)で開口部AのY軸方向の幅(a)は、次の数式3によって決定される。前記開口部AのY軸方向の幅(a)は、開口部Aの長軸方向の幅(a)という。
【数3】
【0037】
数式3で、a0は3.96231であり、a1は−0.00137であり、a2は−0.0002である。
入射光が決定されれば、開口部Aのb(=2M)とd(=M)は、数式2によって決定される固定値であるので、開口部Aの所定の深さで、すなわち、所定のz値で数式1及び3から突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とが決定されれば、前記所定のz値で開口部Aの断面形状が決定される。このように決定された開口部Aの断面に入射する入射光の周波数(遮断周波数)と開口部Aの共振周波数とは同一になる。
【0038】
図1において、突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とは、それぞれ数式1と3とを満たす。したがって、開口部Aをその入口と出口との間の位置でZ軸に垂直な方向に切った場合、開口部A断面の形状は、開口部Aに入射する入射光の周波数と開口部Aの共振周波数とが同一になる共振条件を満たす。
【0039】
このように、開口部AをZ軸に垂直な方向に切ったとき、その断面形状が前記共振条件を満たせば、開口部Aは、共振領域を有すると定義する。
図1に示す開口部Aの入口面積と出口面積とは、前記共振条件を満たす同時に面積も同一である。しかし、数式1と3の関数形態を考慮すれば、開口部Aの入口と出口との間でZ軸に垂直な方向に切った開口部Aの断面面積は、開口部Aの入口面積及び出口面積と異なるということが分かる。
【0040】
図2は、図1に示す開口部Aの入口面、中央面及び出口面を示す。
図2において、一番左側は、開口部Aの正面から見た形状、すなわち開口部Aの正面図であり、一番右側は、開口部Aの背面から見た形状、すなわち開口部Aの背面図であり、中央は、開口部Aの入口と出口との間の中央で切った開口部Aの断面を示す。
【0041】
図2を参照すれば、開口部Aの入口で突出部Rの幅が3Mであり、開口部Aの出口で突出部Rの幅はMであり、開口部Aの入口と出口との間で突出部Rの幅は、数式1によって決定される値(s)である。そして、開口部Aの突出部Rが存在する領域での高さはMであり、突出部R以外の部分で開口部Aの高さは2Mである。また、開口部Aの入口のY軸方向幅は4Mであり、出口のY軸方向幅は3Mであり、入口と出口との間でY軸方向幅は、数式3によって決定される値(a)である。
【0042】
図3は、図1をX軸に垂直であり、Y軸及びZ軸に平行な方向に開口部Aを過ぎるように金属膜C1を切開した結果を示す。図3を通じて突出部Rの上面及び開口部Aの平面形態がさらに明確に理解される。
図3を参照すれば、突出部Rの上面の開口部Aの入口に位置した両端と突出部R上面の開口部Aの出口に位置した両端とを連結する線は、直線である。言い換えれば、突出部Rの側面と上面との境界線は直線である。これは、数式1から当然の結果である。
【0043】
具体的に説明すれば、数式1でsは、開口部C1の入口と出口との間にある任意値に対して、すなわち、Z軸上の任意値に対して一次関数であるので、数式1のsと定義される線は、直線となる。突出部Rの幅は、下面から上面に行くほど、すなわちX軸方向に変化がないので、数式1によって決定される突出部Rの幅(s)は、突出部Rの上面の幅と同じになる。したがって、図3に示す突出部Rの上面の開口部Aの入口に位置した両端と開口部Aの出口に位置した両端とを連結する線は、数式1のsによって決定される直線となる。
【0044】
図3で開口部Aの左右境界線(以下、境界線)、すなわち開口部Aの幅(a)の変化を示す線は曲線であるが、このような結果は、数式3から予想された結果である。
数式3でaは、z値に対して2次関数であり、開口部Aの幅(a)は、X軸方向に変化がないので、数式3で表現される線、すなわち決定される開口部A幅(a)の変化を示す前記境界線は、曲線となる。
【0045】
このように、突出部Rの幅(s)と開口部Aの幅(a)とを決定する数式1と3は、z値に対する比例関係が互いに異なるため、開口部Aの入口と出口との間の任意の位置でZ軸に垂直な方向に金属膜C1を切ったときに露出される開口部Aの断面の面積は、開口部Aの入口面積と異なり、出口面積とも異なる。
【0046】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態による開口部の特徴は、第1実施形態による金属膜C1で開口部Aの周りに溝部を備えるのにある。以下では、前記第1実施形態による金属膜C1を第1金属膜C1という。
【0047】
図4は、本発明の第2実施形態による開口部を有する金属膜(以下、第2金属膜)の一例を示す。
図4を参照すれば、第2金属膜C2は、第1金属膜C1の開口部A及びリング型溝部Gを有する。リング型溝部Gは、開口部Aの周りに形成されている。リング型溝部Gの外半径は、第2金属膜C2に入射される光の波長の0.5〜1.5倍でありうる。例えば、前記入射光の波長が780nmである時、リング型溝部Gの外半径は、780nmでありうる。このとき、リング型溝部Gの内半径及び深さは、それぞれ540nm及び50nm程度でありうる。リング型溝部Gの外半径、内半径及び深さは、第2金属膜C2に入射される光の種類及び第2金属膜C2のサイズによって異なりうる。
【0048】
このような第2金属膜C2では、リング型溝部Gの存在によって表面プラズモン効果が現れるので、開口部Aの近接場強化効果はさらに増大する。
これを確認するために、本発明者は、第2金属膜C2に対してFDTD(Finite Difference Time Domain)シミュレーションを行った。前記シミュレーションで第2金属膜C2の材質は金(Au)であり、Z軸方向の厚さは280nmとし、第2金属膜C2の開口部A及びリング型溝部Gに入射される光の波長は780nmとした。
【0049】
前記シミュレーション結果、第2金属膜C2の開口部Aを通過した光の強度(電場の強度)は22.5149(V2/m2)、光出力量(Power Throughput:PT)は3.7697、スポットのX軸及びY軸方向の半値全幅(full width of half maximun)は、それぞれ140nm及び145nmであった。
このようなシミュレーション結果は、前記第2金属膜C2の開口部Aを通過した光の電場の強度及びPTが従来のC型開口部より3倍程度増加したことを示す。
【0050】
一方、本発明の開口部Aは、前記のように光入射面の幅が光出射面の幅よりも広く、高さは同じ場合が望ましいが、前記場合と異なってもよい。例えば、本発明の開口部Aの光入射面の高さが光出射面より高くてもよい。また、前記光入射面の幅と高さとがいずれも出射面のそれらより大きくてもよい。
【0051】
次に、本発明の実施形態による開口部を備える金属膜の形成方法を図5Aないし図5Eを参照して説明する。
図5Aを参照すれば、基板SUB上に均一な厚さの第1金属膜M1を形成する。第1金属膜M1は、金(Au)膜でありうる。第1金属膜M1上にマスクPRを形成する。マスクPRは、感光膜でありうる。マスクPRの幾何学的形態及び寸法は、図4に示す突出部Rと同一でありうる。
【0052】
図5Bを参照すれば、マスクPRの周りの第1金属膜M1を所定の厚さになるまでエッチングしてマスクPRを除去する。このようにして、第1金属膜M1に突出部50が形成される。突出部50は、マスクPRの形状がそのまま転写されたものであるので、突出部50の幾何学的形態と寸法は、図1の突出部Rと同一になる。
【0053】
次に、図5Cを参照すれば、第1金属膜M1上に突出部50を覆う感光膜パターンPを形成する。
具体的に説明すれば、突出部50の周りの第1金属膜M1上に突出部50を覆う感光膜(図示せず)を形成する。次いで、前記感光膜上に感光膜パターンPを限定するマスク(図示せず)を形成する。したがって、前記マスクの形状と寸法は、感光膜パターンPと同一であることが望ましい。前記マスクを形成した後、露光及び現像工程を経て前記マスクの周りの感光膜を除去する。そして、前記マスクも除去する。このようにして、感光膜パターンPが形成される。このとき、感光膜パターンPは、最終的に図1に示す開口部を定義するので、感光膜パターンPは、その幅(a)が数式3に従うように形成する。感光膜パターンPは、露光工程によって前記マスク形状が転写された結果であるので、前記マスクは、その幅が数式3を満たすように形成されたものを使用する。
【0054】
示してはいないが、突出部50の幅が広い終断面(始点:1)から延長される感光膜パターン部分は、導波路の一部となりうる。
一方、前記露光及び現像工程によって前記マスクの周りの感光膜を除去する時、突出部50の幅の狭い終断面(終点:2)を露出させてもよい。すなわち、感光膜パターンを突出部50の両側面と上面及び幅の広い終断面1のみを覆うように形成させてもよい。この時にも、幅の広い終断面1から延長される感光膜パターン部分は、導波路の一部となりうる。
図5Dを参照すれば、感光膜パターンPを覆うように、第1金属膜M1上に第2金属膜M2を形成する。第2金属膜M2は、Au膜でありうる。
【0055】
図5Eを参照すれば、第2金属膜M2を形成した後、突出部50の幅の狭い終断面(終点:2)が露出されるように、第2金属膜M2、感光膜パターンP、第1金属膜M1、及び基板SUBの端部を研磨する。前記研磨は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)でありうる。この結果、入口と出口とを結ぶ側面が曲面である開口部Aを有する金属膜が形成される。開口部Aは、感光膜パターンP自体でありうる。あるいは、その後に感光膜パターンPを除去して開口部Aを空き空間となるようにしてもよい。
前記のような本発明の開口部Aを形成する時、前述の通り、開口部Aの入口と連結される導波路の一部を共に形成してもよい。前記導波路の一部は、金属膜と感光膜の積層膜とから形成された部分である。
【0056】
次に、本発明の実施形態による光伝送モジュール(以下、本発明の光伝送モジュール)について説明する。
図6を参照すれば、本発明の光伝送モジュールは、光導波路200と、開口部250が形成された金属膜300とを備える。金属膜300は、光導波路200の光出力端に付着されている。光導波路200の光入力端に光源、例えばレーザーダイオードが付着されうる。光導波路200の光出力端と対向する後面は、傾斜面SLである。これにより、光導波路200の光入力端を介して入射された光は、光導波路200を進んで傾斜面SLで反射された後、光出力端と金属膜300の開口部250とを介して出力される。開口部250は、透明な絶縁膜、例えば感光膜から充填されうる。そして、光導波路200と金属膜300とのカップリング方式及びカップリング面の位置は、異なりうる。また、開口部250を有する金属膜300は、図7に示すように開口部250の周りに溝部Gを備えうる。
【0057】
次に、本発明の実施形態によるHAMRヘッドを説明する。
図8を参照すれば、本発明の実施形態によるHAMRヘッドHD1は、磁気記録媒体に磁場を印加するメインポールMPと、メインポールMPと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールRPとを含む磁気記録部MRAを備える。メインポールMPとリターンポールRPの記録媒体(図示せず)と近接した部分は、狭い間隔を維持し、トラック幅と同一またはそれより狭い幅を有している。HAMRヘッドHD1は、また前記記録媒体のデータ記録領域を加熱するための手段として、前記データ記録領域に光を照射する光伝送モジュールLDMを備える。光伝送モジュールLDMは、データ記録に先立ってデータが記録される領域を加熱できるように、メインポールMPの直前に位置する。光伝送モジュールLDMは、図6及び図7に示す光伝送モジュールと同一でありうる。
【0058】
光伝送モジュールLDMの光導波路WGを介して放出された光は、開口部が形成された金属膜NAを経て前記記録媒体の前記データ記録領域に照射される。金属膜NAは、図1及び図4に示す金属膜のうちいずれか一つである。このとき、金属膜NAは、開口部の幅の狭い部分が前記記録媒体を向かうように、光導波路WGの出力端に付着される。金属膜NAの開口部を介して放出される光の強度と光放出量は、従来よりも全て増加する。
【0059】
HAMRヘッドHD1は、傾斜面SLの第1面20に装着されている。第1面20は、傾斜面SLの記録媒体と対向する底面10に垂直である。このとき、HAMRヘッドHD1は、メインポールMP、リターンポールRP、及び金属膜NAのいずれもが前記記録媒体を向かうように装着される。
【0060】
磁気記録部MRAは、記録磁場を発生させるコイルC、コイルCによって形成された磁場を利用して前記記録媒体にデータを記録するメインポールMP、及びリターンポールRP、光伝送モジュールLDMの上側のメインポールMPに付着されたサブヨークSYを備える。
一方、光導波路WGに光を供給する光源(図示せず)と光導波路WGとは、直接接合を通じて結合(butt coupling)されうる。また、前記光源と光導波路WGとは、プリズムカプラーやグレーティングカップラーを媒介として結合されうる。
【0061】
図9は、本発明の他の実施形態によるHAMRヘッドを示す。本発明の他の実施形態によるHAMRヘッドは、前記本発明の実施形態によるHAMRヘッドで改良されたものであり、図8及び図9で同じ図面符号は、同じ構成要素を示す。
図8に示すHAMRヘッドHD1が記録用ヘッドであれば、図9に示すHAMRヘッドHD2は、記録及び再生用ヘッドである。
【0062】
図9を参照すれば、HAMRヘッドHD2で傾斜面SLの第1面20から順次に第1及び第2絶縁膜D1、D2が備えられている。第1及び第2絶縁膜D1、D2は、その下端が傾斜面SLの下面と一致するように備えられている。第1及び第2絶縁膜D1、D2の間に再生電極REが存在する。再生電極REは、下端が第1及び第2下端に一致するように備えられうる。再生電極REを通じて前記記録媒体に記録された情報を読み取る。
【0063】
以上の説明で、多くの事項が具体的に記載されているが、これらは、発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。例えば、本発明が属する技術分野で当業者ならば、HAMRヘッドHD1、HD2で構成要素の位置を変えることができ、構成要素の種類をより多様化することが可能である。
【0064】
また、本発明のC型ナノ開口部を有する光伝送モジュールは、HAMRヘッドだけでなく、単分子検出(single molecule detection)、分光(spectroscopy)、及びナノ粒子操作(nano particle manipulation)のための装置に応用されうる。
【0065】
さらに、本発明の技術思想は、量子ドット、ナノパターン、及びナノワイヤーを使用する保存装置に応用されうる。
また、前述した本発明の金属膜で開口部の側面は、曲面でなく平面であってもよい。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって決定されず、特許請求範囲に記載された技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、磁気記録関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態による開口部を有する金属膜を示す立体図である。
【図2】図1に示す金属膜の正面図と背面図、及び開口部の入口と出口との間でZ軸に垂直に切った断面図である。
【図3】図1に示す金属膜の突出部及び開口部をZ軸と平行で、X軸に垂直に切った平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による開口部を有する金属膜を示す立体図である。
【図5A】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5B】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5C】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5D】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図5E】本発明の実施形態による開口部を有する金属膜の形成方法を段階別に示す立体図である。
【図6】図1に示す金属膜を備える光伝送モジュールの立体図である。
【図7】図4に示す金属膜を備える光伝送モジュールの立体図である。
【図8】本発明の実施形態による記録専用HAMRヘッドの立体図である。
【図9】本発明の実施形態による記録及び再生用HAMRヘッドの立体図である。
【符号の説明】
【0068】
10 記録媒体と対向する底面
20 傾斜面の第1面
200 光導波路
300 金属膜
a 開口部の幅
A 開口部
C コイル
C1、C2 金属膜
D1、D2 第1及び第2絶縁膜
HD1、HD2 HAMRヘッド
LDM 光伝送モジュール
MP メインポール
MRA 磁気記録部
NA 金属膜
R 突出部(リッジ)
RE 再生電極
RP リターンポール
s 突出部(リッジ)の幅
SL 傾斜面
SY サブヨーク
WG 光導波路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する光伝送用の金属膜において、
前記開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜。
【請求項2】
前記開口部は、前記金属膜の突出部によって断面C型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項3】
前記突出部の断面サイズは、前記突出部の始点と終点とで異なることを特徴とする請求項2に記載の金属膜。
【請求項4】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項5】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項2に記載の金属膜。
【請求項6】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で前記開口部の長軸方向の幅aは次の式で決定されることを特徴とする請求項5に記載の金属膜:
a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
zは、前記入口から前記任意の位置までの距離であり、
Mは、前記突出部の終点と該終点と対向する前記金属膜との間の最短距離であり、前記開口部に入射される入射光によって決定される定数である。
【請求項7】
前記開口部の入口であるz=0と、出口であるz=tとの間の任意の位置zで、前記突出部の幅sは、次の式で決定されることを特徴とする請求項5に記載の金属膜:
s=−(2M/t)z+3M
ここで、Mは、前記突出部の終点と該終点と対向する前記金属膜との間の最短距離であり、前記開口部に入射される入射光によって決定される定数である。
【請求項8】
前記開口部の入口の周りに溝部がさらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項9】
光導波路と、
前記導波路の出力端に付着された請求項1に記載の開口部を有する金属膜と、を備えることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項10】
前記開口部は、テーパ型であることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項11】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つは、前記開口部の出口の幅または高さよりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項12】
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
前記開口部の入口及び出口の面積は、同一であることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部断面は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項16】
前記開口部断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長され、互いに離隔された二つの第2部分とからなり、
前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さに相当する前記開口部の深さをtとすれば、
前記開口部の入口であるz=0と出口であるz=tとの間の位置zで前記a、b、d及びsは、次の式1ないし式4によって決定されることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
<式2>b=2M
<式3>d=M
<式4>s=−(2M/t)z+3M
前記式1ないし式4で、Mは定数である。
【請求項17】
前記Mは、前記a及びsが3M及びMである時、次の式によって決定されることを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュール:
【数1】
ここで、λcは、入射光の遮断波長である。
【請求項18】
前記開口部の入口の周りに溝部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項19】
前記溝部は、リング型であることを特徴とする請求項18に記載の光伝送モジュール。
【請求項20】
前記リング型溝部の外半径は、入射光の波長の0.5〜1.5倍であることを特徴とする請求項19に記載の光伝送モジュール。
【請求項21】
基板上に突出部を有する第1金属膜を形成する際に、前記突出部の幅が位置によって異なって形成する段階と、
前記第1金属膜上に前記突出部を覆う感光膜パターンを形成する段階と、
前記感光膜パターンを覆うように、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する段階と、を含むが、
前記感光膜パターンは、位置によって幅を異ならせて形成し、側面は、曲面となるように形成することを特徴とする金属膜の形成方法。
【請求項22】
前記突出部を有する第1金属膜を形成する段階は、
前記基板上に均一な厚さの金属膜を形成する段階と、
前記金属膜上に前記突出部を定義するマスクを形成する段階と、
前記マスクの周りの前記金属膜の一部厚さを除去する段階と、
前記マスクを除去する段階と、を含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項23】
前記感光膜パターンは、前記突出部の始点と終点との間の幅が次の式1を満たし、前記突出部上に形成される厚さは、次の式2を満たすように形成することを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、aは幅、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記始点であるz=0と、tを前記金属膜のZ軸による厚さとしたときに、終点であるz=t間の位置値であり、
<式2>d=M
ここで、Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の成長方向への終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。
【請求項24】
前記マスクは幅sが次の式を満足することを特徴とする請求項22に記載の金属膜の形成方法:
s=−(2M/t)z+3M
ここで、tは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記突出部のZ軸による厚さであり、zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記始点であるz=0と終点であるz=t間の位置値であり、
Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。
【請求項25】
前記Mは、次の式によって決定されることを特徴とする請求項23に記載の金属膜の形成方法。
【数2】
ここで、a及びsは、それぞれ3M及びMであり、b及びdは、それぞれ2M及びMであり、λcは、前記感光膜パターンに入射される光の遮断波長である。
【請求項26】
前記第2金属膜を形成する段階後、前記突出部の幅の狭い終断面である終点が露出されるように、前記第2金属膜、前記感光膜パターン、前記第1金属膜及び前記基板の端部を研磨する段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項27】
前記第2金属膜を形成する段階後、前記感光膜パターンを除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項28】
磁気記録媒体にデータを記録するためのメインポールとリターンポールとを含む磁気記録部を備え、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための光学的加熱手段とを備える熱補助磁気記録ヘッドにおいて、
前記光学的加熱手段は、請求項1に記載の開口部を有する金属膜を備えることを特徴とする熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項29】
前記光学的加熱手段は、
光源から照射された光を伝送する光導波路、及び前記導波路の出力端に付着される前記金属膜を備える光伝送モジュールであることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気録ヘッド。
【請求項30】
前記光源と前記光導波路との間にプリズムカップラーまたはグレーティングカップラーがさらに備えられていることを特徴とする請求項29に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項31】
前記開口部は、入口から出口へ行くほど細くなるテーパ型であることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項32】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つが、前記開口部の出口の幅または高さよりも大きいことを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項33】
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項34】
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項35】
前記開口部の入口と出口とは、同じ面積を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項36】
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部の断面は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項37】
前記開口部の断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長され、互いに離隔された二つの第2部分とからなり、
前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さに相当する前記開口部の深さをtとすれば、
前記開口部の入口であるz=0と出口であるz=tとの間で前記a、b、d及びsは、次の式1ないし式4によって決定されることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
<式2>b=2M
<式3>d=M
<式4>s=−(2M/t)z+3M
ここで、Mは、入射光によって決定される定数である。
【請求項38】
前記Mは、前記a及びsがそれぞれ3M及びMである時、入射光の波長に基づいて下の式によって決定されることを特徴とする請求項37に記載の熱補助磁気記録ヘッド:
【数3】
ここで、λcは、入射光の遮断波長である。
【請求項39】
前記金属膜は、前記光学的加熱手段の光出力端それ自体であることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項40】
前記金属膜に前記開口部の入口を取り囲む溝部がさらに形成されたことを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項41】
前記溝部は、リング型であることを特徴とする請求項40に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項42】
前記リング型溝部の外半径は、前記開口部に入射される入射光の波長の0.5〜1.5倍であることを特徴とする請求項41に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項1】
開口部を有する光伝送用の金属膜において、
前記開口部の入口及び出口のサイズが異なり、前記開口部の側面は、曲面であることを特徴とする金属膜。
【請求項2】
前記開口部は、前記金属膜の突出部によって断面C型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項3】
前記突出部の断面サイズは、前記突出部の始点と終点とで異なることを特徴とする請求項2に記載の金属膜。
【請求項4】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項5】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で切った前記開口部の断面は、前記開口部に入射する入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項2に記載の金属膜。
【請求項6】
前記開口部の入口と出口との間の任意の位置で前記開口部の長軸方向の幅aは次の式で決定されることを特徴とする請求項5に記載の金属膜:
a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
zは、前記入口から前記任意の位置までの距離であり、
Mは、前記突出部の終点と該終点と対向する前記金属膜との間の最短距離であり、前記開口部に入射される入射光によって決定される定数である。
【請求項7】
前記開口部の入口であるz=0と、出口であるz=tとの間の任意の位置zで、前記突出部の幅sは、次の式で決定されることを特徴とする請求項5に記載の金属膜:
s=−(2M/t)z+3M
ここで、Mは、前記突出部の終点と該終点と対向する前記金属膜との間の最短距離であり、前記開口部に入射される入射光によって決定される定数である。
【請求項8】
前記開口部の入口の周りに溝部がさらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の金属膜。
【請求項9】
光導波路と、
前記導波路の出力端に付着された請求項1に記載の開口部を有する金属膜と、を備えることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項10】
前記開口部は、テーパ型であることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項11】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つは、前記開口部の出口の幅または高さよりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項12】
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
前記開口部の入口及び出口の面積は、同一であることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部断面は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項16】
前記開口部断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長され、互いに離隔された二つの第2部分とからなり、
前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さに相当する前記開口部の深さをtとすれば、
前記開口部の入口であるz=0と出口であるz=tとの間の位置zで前記a、b、d及びsは、次の式1ないし式4によって決定されることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
<式2>b=2M
<式3>d=M
<式4>s=−(2M/t)z+3M
前記式1ないし式4で、Mは定数である。
【請求項17】
前記Mは、前記a及びsが3M及びMである時、次の式によって決定されることを特徴とする請求項16に記載の光伝送モジュール:
【数1】
ここで、λcは、入射光の遮断波長である。
【請求項18】
前記開口部の入口の周りに溝部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の光伝送モジュール。
【請求項19】
前記溝部は、リング型であることを特徴とする請求項18に記載の光伝送モジュール。
【請求項20】
前記リング型溝部の外半径は、入射光の波長の0.5〜1.5倍であることを特徴とする請求項19に記載の光伝送モジュール。
【請求項21】
基板上に突出部を有する第1金属膜を形成する際に、前記突出部の幅が位置によって異なって形成する段階と、
前記第1金属膜上に前記突出部を覆う感光膜パターンを形成する段階と、
前記感光膜パターンを覆うように、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する段階と、を含むが、
前記感光膜パターンは、位置によって幅を異ならせて形成し、側面は、曲面となるように形成することを特徴とする金属膜の形成方法。
【請求項22】
前記突出部を有する第1金属膜を形成する段階は、
前記基板上に均一な厚さの金属膜を形成する段階と、
前記金属膜上に前記突出部を定義するマスクを形成する段階と、
前記マスクの周りの前記金属膜の一部厚さを除去する段階と、
前記マスクを除去する段階と、を含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項23】
前記感光膜パターンは、前記突出部の始点と終点との間の幅が次の式1を満たし、前記突出部上に形成される厚さは、次の式2を満たすように形成することを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、aは幅、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記始点であるz=0と、tを前記金属膜のZ軸による厚さとしたときに、終点であるz=t間の位置値であり、
<式2>d=M
ここで、Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の成長方向への終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。
【請求項24】
前記マスクは幅sが次の式を満足することを特徴とする請求項22に記載の金属膜の形成方法:
s=−(2M/t)z+3M
ここで、tは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記突出部のZ軸による厚さであり、zは、前記突出部の始点と終点とがZ軸上にある時、前記始点であるz=0と終点であるz=t間の位置値であり、
Mは、前記感光膜パターンに入射される光によって決定される定数であって、前記突出部の終点と該終点と対向する前記第2金属膜との間の最短距離である。
【請求項25】
前記Mは、次の式によって決定されることを特徴とする請求項23に記載の金属膜の形成方法。
【数2】
ここで、a及びsは、それぞれ3M及びMであり、b及びdは、それぞれ2M及びMであり、λcは、前記感光膜パターンに入射される光の遮断波長である。
【請求項26】
前記第2金属膜を形成する段階後、前記突出部の幅の狭い終断面である終点が露出されるように、前記第2金属膜、前記感光膜パターン、前記第1金属膜及び前記基板の端部を研磨する段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項27】
前記第2金属膜を形成する段階後、前記感光膜パターンを除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の金属膜の形成方法。
【請求項28】
磁気記録媒体にデータを記録するためのメインポールとリターンポールとを含む磁気記録部を備え、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための光学的加熱手段とを備える熱補助磁気記録ヘッドにおいて、
前記光学的加熱手段は、請求項1に記載の開口部を有する金属膜を備えることを特徴とする熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項29】
前記光学的加熱手段は、
光源から照射された光を伝送する光導波路、及び前記導波路の出力端に付着される前記金属膜を備える光伝送モジュールであることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気録ヘッド。
【請求項30】
前記光源と前記光導波路との間にプリズムカップラーまたはグレーティングカップラーがさらに備えられていることを特徴とする請求項29に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項31】
前記開口部は、入口から出口へ行くほど細くなるテーパ型であることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項32】
前記開口部の入口の幅及び高さのうち少なくともいずれか一つが、前記開口部の出口の幅または高さよりも大きいことを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項33】
前記開口部の入口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項34】
前記開口部の出口は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項35】
前記開口部の入口と出口とは、同じ面積を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項36】
前記開口部の入口と出口との間の前記開口部の断面は、入射光と共振を起こす形状を有することを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項37】
前記開口部の断面は、長方形の第1部分と、前記第1部分の長軸に沿う両側部から前記第1部分と垂直ないずれか一方向に延長され、互いに離隔された二つの第2部分とからなり、
前記第1部分の長軸長をa、前記第1部分の短軸長をd、前記第2部分の延長された長さをb/2、前記第2部分間の離隔距離をs、前記金属膜の厚さに相当する前記開口部の深さをtとすれば、
前記開口部の入口であるz=0と出口であるz=tとの間で前記a、b、d及びsは、次の式1ないし式4によって決定されることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド:
<式1>a=(a0+a1z+a2z2)M
ここで、a0=3.96231、a1=−0.00137、a2=−0.0002であり、
<式2>b=2M
<式3>d=M
<式4>s=−(2M/t)z+3M
ここで、Mは、入射光によって決定される定数である。
【請求項38】
前記Mは、前記a及びsがそれぞれ3M及びMである時、入射光の波長に基づいて下の式によって決定されることを特徴とする請求項37に記載の熱補助磁気記録ヘッド:
【数3】
ここで、λcは、入射光の遮断波長である。
【請求項39】
前記金属膜は、前記光学的加熱手段の光出力端それ自体であることを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項40】
前記金属膜に前記開口部の入口を取り囲む溝部がさらに形成されたことを特徴とする請求項28に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項41】
前記溝部は、リング型であることを特徴とする請求項40に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項42】
前記リング型溝部の外半径は、前記開口部に入射される入射光の波長の0.5〜1.5倍であることを特徴とする請求項41に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−59737(P2008−59737A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178821(P2007−178821)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
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