説明

開閉装置用ロック部構造

【課題】 ロック解除ストロークを自在に設定し得るようにする。
【解決手段】 開閉装置本体部10に対し、回転軸11を中心に回動して開閉可能な蓋部3を取付け、開閉装置本体部10と蓋部3との間に蓋部3を閉状態に保持可能なロック部12を設け、ロック部12が、押圧によってストライカ13の把持・解放を交互に繰返可能なラッチ装置14を備え、ラッチ装置14が開閉装置本体部10に取付けられると共に、ストライカ13が蓋部3から延設されて回転軸11を中心に回動可能な操作アーム15に取付けられた開閉装置用ロック部構造であって、操作アーム15とストライカ13との間に、蓋部3のロック解除ストロークを調整可能なロック解除ストローク調整機構21を設けるようにしてい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉装置用ロック部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内にグローブボックスやドリンクホルダや灰皿などの各種の物入装置が設けられている。このような物入装置には、蓋部を開閉可能に備えた開閉装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような開閉装置は、通常、以下のような構成を備えている。即ち、開閉装置本体部に対し、回転軸を中心に回動して開閉可能な蓋部が取付けられている。そして、開閉装置本体部と蓋部との間には、蓋部を閉状態に保持可能なロック部が設けられている。このロック部は、押圧によってストライカの把持・解放を交互に繰返可能なラッチ装置を備えている。このラッチ装置は、開閉装置本体部に取付けられる。また、ストライカは、蓋部から延設されると共に上記した回転軸を中心として回動可能な操作アームの先端部に取付けられる。
【0004】
そして、蓋部を僅かに押し下げることにより、操作アーム、ストライカを介してラッチ装置が押圧される。この時、ラッチ装置がストライカを把持すると、蓋部にロックがかかる。そして、次に、蓋部を僅かに押し下げると、ラッチ装置がストライカに対する把持を解放し、蓋部のロックが解除される。
【特許文献1】特開2003−118467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記開閉装置用ロック部構造では、以下のような問題があった。即ち、ラッチ装置は既製品であるため、ラッチ装置の押圧代は予め決められている。一方、蓋部の押込代(蓋部のロック解除ストローク)は、ラッチ装置の押圧代と操作アームの長さとで割出される操作アームの回動角度などによって決まってしまうこととなる。しかし、開閉装置には、設計上必要なロック解除ストロークがあり、ロック解除ストロークが操作アームの回動角度によって決められてしまうことが、設計上の大きな制約となっている。また、開閉装置には、グローブボックスのような大型のものからドリンクホルダや灰皿などのような小型のものまで各種のものが存在しているが、これらに対して使用されるラッチ装置はほぼ同じようなものであるため、ロック解除ストロークの設定にそれぞれ困難を生じている。更に、同一製品であっても、製造上の誤差などから、蓋部のロック解除ストロークにバラ付きが生じることがあり、バラ付きのないロック解除ストロークを得ることが課題とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、開閉装置本体部に対し、回転軸を中心に回動して開閉可能な蓋部を取付け、開閉装置本体部と蓋部との間に蓋部を閉状態に保持可能なロック部を設け、該ロック部が、押圧によってストライカの把持・解放を交互に繰返可能なラッチ装置を備え、該ラッチ装置が開閉装置本体部に取付けられると共に、前記ストライカが蓋部から延設されて前記回転軸を中心に回動可能な操作アームに取付けられた開閉装置用ロック部構造において、前記操作アームとストライカとの間に、蓋部のロック解除ストロークを調整可能なロック解除ストローク調整機構を設けた開閉装置用ロック部構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、操作アームに、蓋部のロック解除ストローク調整機構を設けることにより、操作アームの回動角度によらずに蓋部のロック解除ストロークを自在に設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ロック解除ストロークを自在に設定し得るようにするという目的を、操作アームに、蓋部のロック解除ストロークを調整可能なロック解除ストローク調整機構を設ける、という手段で実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0010】
図1〜図11は、この発明の実施例を示すものである。
【0011】
まず、構成を説明すると、図1〜図3に示すように、自動車などの車両には、車室内にグローブボックスやドリンクホルダや灰皿などの各種の物入装置1が設けられている。このような物入装置1には、物入装置本体2に対して蓋部3を開閉可能に備えることにより開閉装置4とされたものが存在する。なお、この実施例では、ドリンクホルダの例となっているが、これに限るものではない。また、このドリンクホルダなどの物入装置本体2は、手前側の物品収納部5と奥側の蓋部収納部6とに部品分割されている。また、蓋部3は、インナ部材7とアウタ部材8とで構成されている(図3参照)。
【0012】
上記したような開閉装置4は、通常、以下のような構成を備えている。即ち、開閉装置本体部10(この場合には物入装置本体2となる)の開口部に対し、回転軸11を中心に回動して開閉可能な蓋部3が取付けられている。そして、開閉装置本体部10と蓋部3との間には、蓋部3を閉状態に保持可能なロック部12が設けられている。このロック部12は、図4に示すように、押圧によってストライカ13の把持・解放を交互に繰返可能なラッチ装置14を備えている。このラッチ装置14は、開閉装置本体部10に取付けられる。また、ストライカ13は、蓋部3から延設されて回転軸11を中心に回動可能な操作アーム15の先端部に取付けられる。この操作アーム15は、蓋部3と一体に成形してもよいが、この場合には、蓋部3のインナ部材7とアウタ部材8との間に挟持固定された金属製アーム部材16の一端側に設けられている。この金属製アーム部材16の他端側にはダンパ用アーム17が設けられている。
【0013】
以上のような基本的構成に対し、この実施例のものでは、図5に示すように、上記操作アーム15とストライカ13との間に、蓋部3のロック解除ストロークを調整可能なロック解除ストローク調整機構21を設ける。
【0014】
このロック解除ストローク調整機構21は、上記ストライカ13を備えると共に上記回転軸11を中心として回動可能なストライカアーム22と、上記操作アーム15とストライカアーム22とを、ストローク調整分だけ相対的に回動可能な解除ストローク調整部23と、上記操作アーム15とストライカアーム22との間に介装されてストライカアーム22を復帰方向へ付勢する復帰用弾性部材24とを備えている。
【0015】
ここで、上記ストライカアーム22は、図6に示すように、操作アーム15に添設および摺接可能な形状とされており、その一端部(この場合は上端部)に回転軸11に軸支可能な軸穴部26を有し、他端部(この場合は下端部)に回転軸11による回転方向に対する接線方向へ延びるストライカ13を有している。そして、このストライカアーム22は、(この場合には、ほぼ上下方向に延びる)両側縁部に、操作アーム15の対応する両側縁部と所要の間隙を有して対峙し操作アーム15に対する相対的な回動範囲をおおまかに規制するフランジ状ストッパ部27,28を備えている。
【0016】
また、上記解除ストローク調整部23は、操作アーム15とストライカアーム22とのどちらか一方に設けられたスライド用長穴部31と、他方に設けられたスライド体32とを備えている。このスライド用長穴部31は、ほぼ上記回転軸11を中心とする円弧状を呈している。なお、スライド用長穴部31は、上記円弧形状に近似した斜面などとしても良い。上記スライド体32は、スライド用長穴部31に沿ってスライド可能に嵌合されている。この場合、スライド用長穴部31は操作アーム15に形成され、スライド体32はストライカアーム22から突設されている。スライド体32とストライカアーム22とは一体成形されている。
【0017】
更に、復帰用弾性部材24は、ストライカアーム22のフランジ状ストッパ部28と操作アーム15の対応する側縁部との間に介装されている。この場合、復帰用弾性部材24は、樹脂バネで構成されている。ストライカアーム22には、図7に示すように、復帰用弾性部材24を取付けるための取付座33が凹設形成されている。この復帰用弾性部材24は、ロック解除時の蓋部3の操作力を一部調整する機能をも備えている。
【0018】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0019】
図2の状態から図8、図9に示すように、蓋部3を僅かに押し下げることにより、操作アーム15、ストライカ13を介してラッチ装置14が押圧される。この時、ラッチ装置14がストライカ13を把持すると、蓋部3にロックがかかる。そして、次に、蓋部3を僅かに押し下げると、ラッチ装置14がストライカ13に対する把持を解放し、蓋部3のロックが解除される。
【0020】
この実施例によれば、操作アーム15に、蓋部3のロック解除ストローク調整機構21を設けることにより、操作アーム15の回動角度によらずに蓋部3のロック解除ストロークを自在に設定することが可能となる。
【0021】
より具体的には、蓋部3を手で押し下げると、操作アーム15が回動され、これにより復帰用弾性部材24の弾性力に抗して解除ストローク調整部23が機能し、図4の状態から図10の状態となるよう、操作アーム15に対してストライカアーム22を相対的に回動させることにより、ロック解除ストロークが調整される。この時、解除ストローク調整部23は、図5の状態から図11の状態となるよう、スライド用長穴部31に対して、スライド体32がスライドすることにより、操作アーム15に対するストライカアーム22の相対的な回動を許容する。
【0022】
反対に、蓋部3から手を離すと、復帰用弾性部材24が機能して、ストライカアーム22が元の状態に復帰される。
【0023】
以上により、操作アーム15の回動角度によらずにロック解除ストロークを設定することができるようになるため、設計上の制約をなくすことができる。また、グローブボックスのような大型のものからドリンクホルダや灰皿などような小型のものまで、各種の開閉装置4に対して、容易にロック解除ストロークの設定を行うことが可能となる。更に、同一製品における製造上の誤差による蓋部3のロック解除ストロークのバラ付きを防止することが可能となる。
【0024】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらの可能な組合せが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例にかかる開閉装置の斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の分解斜視図である。
【図4】図1の蓋部および操作アームの斜視図である。
【図5】図1のロック解除ストローク調整機構の拡大斜視図である。
【図6】図1のストライカアーム部分の斜視図である。
【図7】図6の復帰用弾性部材の拡大斜視図である。
【図8】ロック解除ストローク調整中の作動状態を示す図2と同様の側面図である。
【図9】図8に続く作動図である。
【図10】図9の状態における図4と同様の拡大斜視図である。
【図11】図9の状態における図5と同様の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
3 蓋部
10 開閉装置本体部
11 回転軸
12 ロック部
13 ストライカ
14 ラッチ装置
15 操作アーム
21 ロック解除ストローク調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉装置本体部に対し、回転軸を中心に回動して開閉可能な蓋部を取付け、開閉装置本体部と蓋部との間に蓋部を閉状態に保持可能なロック部を設け、
該ロック部が、押圧によってストライカの把持・解放を交互に繰返可能なラッチ装置を備え、
該ラッチ装置が開閉装置本体部に取付けられると共に、前記ストライカが蓋部から延設されて前記回転軸を中心に回動可能な操作アームに取付けられた開閉装置用ロック部構造において、
前記操作アームとストライカとの間に、蓋部のロック解除ストロークを調整可能なロック解除ストローク調整機構を設けたことを特徴とする開閉装置用ロック部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−270478(P2007−270478A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96318(P2006−96318)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】