説明

開閉装置

【課題】支持軸22及びねじりコイルばね30の設計及び配置を、相互に制約されることなく、自由に行えるようにすること。
【解決手段】自動原稿搬送装置2は、装置本体4と、装置本体4に閉位置と開位置との間を支持軸22まわりに回動自在に支持された開閉体20と、閉位置に位置付けられた開閉体20を開方向に付勢するねじりコイルばね30とを備えている。ねじりコイルばね30は、支持軸22に対し別の位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に回動自在に支持された開閉体と、開閉体を開方向に付勢するねじりコイルばねとを備えた開閉装置、例えば、静電複写機などの画像形成装置、あるいは画像形成装置などに備えられた自動原稿搬送装置、などの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置本体が上構造体と下構造体とにより構成され、上構造体は、下構造体に対して支持軸を中心として開閉自在に設けられ、支持軸には、ねじりコイルばねが巻き付けて設けられ、ねじりコイルばねによって上構造体を開方向へ付勢するよう構成された画像形成装置は、特許文献1に開示されている。この装置によれば、下構造体に対し開かれている上構造体を閉じる際、ねじりコイルばねのばね力により衝撃が緩衝される。
【0003】
しかしながら、上記装置においては、ねじりコイルばねが支持軸に巻き付けて設けられているので、支持軸がねじりコイルばねの案内棒となり、ねじりコイルばねにおけるコイル径や線径などの形状が、支持軸における外径などの形状によって制約される。逆に、ねじりコイルばねに必要な荷重を確保するためには、支持軸の形状をねじりコイルばねの形状に合せる必要がある。すなわち、支持軸及びねじりコイルばねを設計するに際し、相互に制約が生ずることになり、設計の自由度が損なわれる。また、支持軸の位置がねじりコイルばねを支持し得る位置に限定されるので、レイアウト上、設計の自由度が損なわれる。更にはまた、上構造体の開閉時に、ねじりコイルばねを介して支持軸に負荷がかかるので、支持軸の強度をアップさせる必要がある。
【特許文献1】特開平05−323686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、支持軸及びねじりコイルばねの設計及び配置を、相互に制約されることなく、自由に行うことを可能にすると共に、支持軸に対する負荷を軽減することができる、新規な開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
装置本体と、装置本体に閉位置と開位置との間を支持軸まわりに回動自在に支持された開閉体と、閉位置に位置付けられた開閉体を開方向に付勢するねじりコイルばねとを備えた開閉装置において、
ねじりコイルばねは、支持軸に対し別の位置に配設されている、
ことを特徴とする開閉装置、が提供される。
ねじりコイルばねは、その軸心が、支持軸の軸心と一致しない位置に配置されている、ことが好ましい。
ねじりコイルばねは、コイル部と、コイル部の一端からコイル部の接線方向に延び出した一端部と、コイル部の他端からコイル部の接線方向に延び出した他端部とからなり、ねじりコイルばねのコイル部は、開閉体又は装置本体に配設された保持部材に相対回動可能に保持され、ねじりコイルばねの一端部は保持部材に設けられた係止長穴に沿って相対移動可能に嵌合・係止されて保持部材の外方に延び出しかつ、他端部は保持部材の一端外方から延び出して、装置本体又は開閉体に配設された係止手段に相対移動可能に保持され、開閉体が閉位置に位置付けられた状態で、ねじりコイルばねの一端部が保持部材の係止長穴の一端に圧接されて開閉体は開方向に付勢され、開閉体が閉位置から開方向に向けて回動させられて開閉体の重心が支持軸を開方向に越える前後の角度領域において、ねじりコイルばねの一端部が保持部材の係止長穴の一端から離れ、以降、開閉体が開位置に至るまでねじりコイルばねによる開方向への付勢は解除される、ことが好ましい。
支持軸は、開閉体の両側部をそれぞれ回動自在に支持するよう配設され、ねじりコイルばねは、保持部材と共に、開閉体の両側間に相互に間隔をおいて複数個配設されている、ことが好ましい。
開閉体が閉位置に位置付けられた状態で、ねじりコイルばねの各々の全体は、支持軸の軸線の半径方向外方における下方に位置付けられかつ、装置本体の、ねじりコイルばねの各々における他端部に対応した下側位置には平坦面が配設され、平坦面の、ねじりコイルばねの各々のコイル部よりも装置本体における内側位置には、平坦面から直立しかつ、ねじりコイルばねの各々における他端部に直交する方向に延在するリブが配設され、係止手段は、平坦面とリブの各々との間に形成された係止穴又は係止切欠きからなり、ねじりコイルばねの各々の他端部は、係止穴又は係止切欠きに対し、装置本体の外側から内側に向って挿入・係止され、
開閉体が閉位置から開位置まで回動させられると、ねじりコイルばねの他端部は、係止穴又は係止切欠きに係止された状態で、係止穴又は係止切欠きに対し装置本体の外側から内側に向って相対移動させられる、ことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に従って構成された開閉装置の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
図1には、本発明による開閉装置である自動原稿搬送装置2の実施形態が図示されている。自動原稿搬送装置2は、図示しない複写機の上面に配設される。自動原稿搬送装置2それ自体の基本的構成は周知の構成を利用することでよいので、以下、その構成について簡単に説明する。
【0008】
図1及び図3を参照して、自動原稿搬送装置2は、装置本体4を備え、装置本体4には、図示しないピックアップローラと、ピックアップローラの下流側に配置された図示しない給紙ローラ対(分離ローラ対)と、給紙ローラ対の下流側に配置されたレジストローラ対6と、レジストローラ対6の下流側に配置された搬送ローラ8、10及び12とを備えている。レジストローラ対6は、従動ローラ6aと、被駆動ローラ6bとから構成されている。図示しない複写機の上面と協働して形成される画像読取位置Pの上方には、大径のローラ14が配設されている。搬送ローラ8、10及び12は、それぞれ、大径のローラ14の外周面に圧接されている。図示しないピックアップローラ、図示しない給紙ローラ対、レジストローラ対6、搬送ローラ8、搬送ローラ10及び搬送ローラ12は、自動原稿搬送装置2の原稿搬送路15に沿って上流から下流に向かってその順序で配置されている。原稿搬送路15の上流端の延長上には原稿給紙テーブル16が配設され、原稿搬送路15の下流端の延長上には原稿排出トレイ18が配設されている。原稿排出トレイ18は原稿給紙テーブル16の鉛直下方に配置されている。原稿搬送路15は、搬送ローラ8から画像読取位置Pに至る間において反転するよう湾曲されている。
【0009】
原稿給紙テーブル16にセットされた図示しない原稿は、上記各ローラにより原稿搬送路15に沿って搬送されて、原稿排出トレイ18に排出されるが、画像読取位置Pを通過する間に原稿の画像が読み取られ、図示しない複写機によりコピーが遂行される。このような動作は周知のとおりに行われ、また、本発明の特徴をなすものではないので、更なる説明は省略する。
【0010】
図2、図3及び図5を参照して、自動原稿搬送装置2には、開閉体20が支持軸22を回動中心として閉位置(図3に示されている位置)と、開位置(図4に示されている位置)との間を回動自在に(開閉自在に)支持されている。開閉体20は、全体が適宜の合成樹脂から一体に形成することができる本体21を有し、本体21には、レジストローラ対6の従動ローラ6a(実施形態においては3個)が、開閉体20の幅方向(図2及び図3において、紙面に垂直な方向)の中央領域に共通の軸を介して回転自在に配設されている。本体21にはまた、実施形態において5個の搬送ローラ8が、上記幅方向に間隔をおいて、それぞれ、回転自在に支持されている。開閉体20が閉位置に位置付けられると、本体21の内側面の一部及び内側に設けられた複数のリブの先端面と、大径のローラ14の外周面における一部領域とが協働して、原稿搬送路15の上部領域が形成される。また、レジストローラ対6の従動ローラ6aが被駆動ローラ6bに、搬送ローラ8が大径のローラ14に、それぞれ圧接させられる。図4に示されているように、開閉体20が開位置に位置付けられると、レジストローラ対6の従動ローラ6aが被駆動ローラ6bから上方に離隔させられ、搬送ローラ8が大径のローラ14から上方に離隔させられ、原稿搬送路15の上部領域が上方に開放される。その結果、原稿搬送路15に発生したジャムの処理が容易となる。
【0011】
図3及び図5を参照して、支持軸22は、開閉体20の両側部をそれぞれ回動自在に支持するよう配設されている。更に具体的には、本体21の下端部における両側部には、それぞれ側外方に開口する軸受穴を有する軸受部24が一体に配設されている。軸受部24の各々の軸受穴が、図示しない形態で装置本体4側に離脱自在に固定された、一対の支持軸22に回動可能に支持されることにより、開閉体20は装置本体4に閉位置と開位置との間を支持軸22の各々まわりに回動自在に支持される。なお、支持軸22の各々が実質的に共通の軸線上に位置付けられていることはいうまでもない。
【0012】
開閉体20の本体21には、閉位置に位置付けられた開閉体20を支持軸22まわりに開方向(図3において反時計方向)に付勢するねじりコイルばね30が配設されている。ねじりコイルばね30は、複数個、実施形態においては2個、支持軸24の各々に対し別の位置に配設されている。すなわち、ねじりコイルばね30は、保持部材40と共に、本体21の両側間の領域内に(軸受部24の各々間の領域内に)相互に間隔をおいて配設されている。ねじりコイルばね30の各々は、相互に共通部品から形成され、保持部材40の各々もまた、相互に共通部品から形成されている。
【0013】
図6及び図7を参照して、ねじりコイルばね30は、コイル部32と、コイル部32の一端からコイル部32の接線方向に直線状に延び出した一端部34と、コイル部32の他端からコイル部32の接線方向に延び出した他端部36とからなる。他端部36は、コイル部32の接線方向に直線状に延び出す基端領域と、基端領域の先端から基端領域に対し若干の角度だけ折り曲げられて、直線状に延びる先端領域とからなる。
【0014】
実質的に矩形状をなす板金を折り曲げることにより形成されている保持部材40は、底壁41と、底壁41の両側から相互に対向するよう直立した一対の側壁42及び43と、片方の側壁42の上端から、他方の側壁43に対し反対方向の斜め上方に延びる取付フランジ44とを備えている。片方の側壁42の、底壁41からの高さは、他方の側壁43よりも高く形成されている。底壁41と一対の側壁42及び43とにより、チャンネル部が形成されている。保持部材40の長手方向(図7において左右方向)のほぼ中央部には、係止長穴45が形成されている。全体として実質的に矩形状をなす係止長穴45は、該長手方向に一定の間隔をもって、取付フランジ44と片方の側壁42とに跨って延在するよう形成されている。実施形態において、係止長穴45の一端は、取付フランジ44における、片方の側壁42の上端に近い位置に存在し、他端は、片方の側壁42の高さ方向における中央よりも若干底壁41に寄った位置に存在する。取付フランジ44には、2個の取付穴46及び47が形成されている。
【0015】
保持部材40の側壁42及び43間の間隔及び片方の側壁42の、底壁41からの高さは、それぞれ、ねじりコイルばね30のコイル部32の直径(コイル径)よりも大きく形成され、保持部材40の他方の側壁43の、底壁41からの高さは、ねじりコイルばね30のコイル部32の半径とほぼ同じに設定されている。保持部材40の長さ(図7において左右方向の長さ)は、ねじりコイルばね30のコイル部32の軸方向長さよりも大きく形成されている。係止長穴45の、該長手方向の間隔は、ねじりコイルばね30の一端部34の直径(線径)よりもわずかに大きく形成されている。
【0016】
ねじりコイルばね30のコイル部32は、保持部材40の、底壁41と一対の側壁42及び43とにより形成されたチャンネル部内において、コイル部32の軸線まわりに相対回動可能に位置付けられ、ねじりコイルばね30の一端部34は、保持部材40に設けられた係止長穴45に沿って相対移動可能に嵌合・係止される。ねじりコイルばね30の一端部34は、係止長穴45を貫通して保持部材40における片方の側壁42の外方に延び出している。ねじりコイルばね30の他端部36は、保持部材40の一端(図7において右端)から、ほぼ、底壁41の外方に延び出している。このようにして、ねじりコイルばね30のコイル部32、すなわちねじりコイルばね30は、保持部材40に相対回動可能に保持される。ねじりコイルばね30の、保持部材40における長手方向への移動は、ねじりコイルばね30の一端部34が、保持部材40の係止長穴45に嵌合・係止されていることにより制限される。
【0017】
ねじりコイルばね30が保持された保持部材40は、取付フランジ44の取付穴46及び47を介して図示しないボルトにより、本体21の両側間の領域内に(軸受部24の各々間の領域内に)相互に間隔をおいて取り付けられる。ねじりコイルばね30の各々におけるコイル部32の軸線は、ほぼ、共通の軸線上に位置付けられる。
【0018】
図3に示されているように、開閉体20が閉位置に位置付けられた状態において、ねじりコイルばね30の各々の全体は、支持軸22の軸線の半径方向外方における下方に位置付けられる。他方、装置本体4の、ねじりコイルばね30の各々における他端部36に対応した下側位置には、それぞれ、平坦面50(実施形態においては水平面)が配設されている。平坦面50の各々の、対応するねじりコイルばね30のコイル部32よりも装置本体4における内側位置(図3において右側の位置)には、図6に示されているように、平坦面50から直立しかつ、ねじりコイルばね30における他端部36に直交する方向に延在するリブ52が配設されている。平坦面50とリブ52との間には、係止手段を構成する係止穴54が形成されている。係止穴54の内径は、ねじりコイルばね30の他端部36の線径よりもわずかに大きく形成されている。
【0019】
ねじりコイルばね30の各々の他端部36における上記先端領域は、対応する係止穴54に対し、装置本体4の外側(図3において左側)から内側(図3において右側)に向って挿入・係止される。ねじりコイルばね30の各々の他端部36における上記先端領域は、対応する係止穴54に対し、図3において左右方向に相対移動可能である。なお、係止穴54に代えて、ねじりコイルばね30の各々の他端部36における上記先端領域が、その延在方向に相対移動可能でありかつ、半径方向外方に抜けないよう嵌合・係止される図示しない係止切欠きを、リブ52に形成する他の実施形態もある。
【0020】
上記したように、開閉体20が閉位置に位置付けられた状態において、ねじりコイルばね30の各々の一端部34は、対応する保持部材40の係止長穴45の一端(図3において上端)に圧接される。ねじりコイルばね30の各々は、一端部34と他端部36との間でねじられるので、開閉体20は支持軸22の各々まわりに開方向(図3において反時計方向)に回動させられるよう付勢される。ねじりコイルばね30の各々における一端部34と、他端部36の上記先端領域とは、コイル部32の軸線方向に見て、上下方向に間隔をおいてほぼ平行に延在する。ねじりコイルばね30の各々における他端部36の上記先端領域は、装置本体4の平坦面50に圧接させられる。
【0021】
図3及び図4を参照して、開閉体20と装置本体4との間には、開閉体20を装置本体4に対し閉位置(図3に示されている位置)に解除自在にロックする、図示しないロック手段が配設されている。ロック手段によるロックを解除して、開閉体20を、閉位置から開位置(図4に示されている位置)に向けて、図3において反時計方向に支持軸22の各々まわりに回動させ、開閉体20の重心が支持軸22を開方向に越えると、開閉体20の自重による回転モーメントが開閉体20を支持軸22まわりに開方向に回動させるよう作用する。開閉体20の重心が支持軸22を開方向に越える前後の角度領域において(実施形態においては、開閉体20の重心が支持軸22を開方向に越えた直後において)、ねじりコイルばね30の一端部34が保持部材40の係止長穴45の一端から他端方向に離れるので、開閉体20を装置本体4に対し支持軸22の各々まわりに開方向に付勢するねじりコイルばね30のばね力は、解除される。それ以降、開閉体20は開位置まで、ねじりコイルばね30のばね力の開方向への付勢を受けることなく、開位置まで回動させられる。開閉体20は、開閉体20と装置本体4との間に配設された図示しないストップ手段により、所定の開位置(図4参照)に位置付けられる。
【0022】
開閉体20が、閉位置から開位置まで回動させられる間、ねじりコイルばね30及び保持部材40の各々は、支持軸22の各々まわりを回動させられるが、ねじりコイルばね30のコイル部32と保持部材40の上記チャンネル部との間の相対移動は、それらの間の隙間により吸収される。ねじりコイルばね30の一端部34と係止長穴45との間の相対移動は、係止長穴45の長手方向との間の隙間により吸収される。また、ねじりコイルばね30の他端部36と装置本体4の係止穴54との間の相対移動は、他端部36が、係止穴54内を平坦面50に沿って、図3において右方に相対移動させられることにより吸収される。開閉体20が開位置に位置付けられた状態で、ねじりコイルばね30の他端部36の先端領域は平坦面50に沿って延在し、上方に突出していないので、ユーザがジャム処理を行うに際し、他端部36の先端(切断面)に手が触れることが回避される。
【0023】
このように、本発明によれば、開閉体20の自重による回転モーメントが開閉体20を支持軸22の各々まわりに閉方向に回動させるよう作用する間は、ねじりコイルばね30のばね力が開方向に作用するので、開閉体20が重い場合であっても、開閉体20を開く力が軽減される。また、開閉体20の自重による回転モーメントが開閉体20を支持軸22の各々まわりに開方向に回動させるよう作用するのとほぼ同時に、コイルばね30のばね力による開方向への付勢が解除されるので、開閉体20が開位置まで回動される際の衝撃が緩和される。更にはまた、開閉体20には、ねじりコイルばね30のばね力が開方向に作用しない回動位置が存在するので、組立が容易となる。
【0024】
逆に、開閉体20を開位置から閉位置に向けて回動させ、開閉体20の重心が支持軸22を閉方向に越えると、開閉体20の自重による回転モーメントが開閉体20を支持軸22の各々まわりに閉方向に回動させるよう作用する。開閉体20の重心が支持軸22を閉方向に越える直前に、ねじりコイルばね30の一端部34が保持部材40の係止長穴45の一端に当接させられるので、開閉体20を装置本体4に対し開方向に付勢するねじりコイルばね30のばね力が作用し始める。それ以降、開閉体20は閉位置まで、ねじりコイルばね30のばね力の開方向への付勢に抗して、閉位置まで回動させられる。開閉体20が閉位置まで回動させられると、図示しない上記ロック手段により装置本体4に対し閉位置にロックされる。開閉体20が、開位置から閉位置まで回動させられる間、ねじりコイルばね30の他端部36と装置本体4の係止穴54との間の相対移動は、他端部36の先端領域が、係止穴54内を平坦面50に沿って、図4において左方に相対移動させられることにより吸収される。
【0025】
このように、本発明によれば、開閉体20の自重による回転モーメントが開閉体20を支持軸22まわりに開方向に回動させるよう作用するのとほぼ同時に(実施形態においては直前に)、開閉体20を装置本体4に対し開方向に付勢するねじりコイルばね30のばね力が作用し始めるので、開閉体20が閉位置まで回動される際の衝撃が緩和される。
【0026】
本発明においては、ねじりコイルばね30は、支持軸22に対し別の位置に配設されているので、支持軸22及びねじりコイルばね30の各々の設計及び配置を、相互に制約されることなく、自由に行うことを可能にする。具体的には、開閉体20が閉位置まで回動される際の衝撃を緩和するために、ねじりコイルばね30を配設する際、支持軸22の形状に制約されることなく、開閉体20の重量などに応じて自由に設計することが可能になる。
【0027】
本発明においてはまた、ねじりコイルばね30は、その軸心が、支持軸22の軸心と一致しない位置に配置されているので、相互に制約されることなく、自由な設計が可能になる。
【0028】
本発明においてはまた、支持軸22は、開閉体20の両側部をそれぞれ回動自在に支持するよう配設され、ねじりコイルばね30は、保持部材40と共に、開閉体20の両側間の領域に相互に間隔をおいて複数個配設されている。このように、ねじりコイルばね30を複数個設けることにより、ねじりコイルばね30の大きさに制限があるとき、必要な荷重を容易に確保できる。また、開閉体20にねじりコイルばね30の荷重が作用する一端部34を、開閉体20に対しバランス良く作用するような位置に配置することが可能になる(開閉体20の両側を、それぞれ支持軸22で支持する構成の場合、ねじりコイルばね30の荷重の作用位置が偏ると、開閉体20がねじれるおそれがある)。
【0029】
なお、上記実施形態において、ねじりコイルばね30の各々及び保持部材40の各々は開閉体20側に配設されているが、装置本体4側に配設する他の実施形態もある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による開閉装置である自動原稿搬送装置の実施形態を示す正面図であって、開閉体を閉じた状態を示す正面図である。
【図2】図1に示す自動原稿搬送装置において、開閉体を開いた状態を示す正面図である。
【図3】図1に示す自動原稿搬送装置の要部断面図である。
【図4】図2に示す自動原稿搬送装置の要部断面図である。
【図5】図2に示す開閉体の斜視図である。
【図6】ねじりコイルばね及び保持部材の装着状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示すねじりコイルばね及び保持部材を、図6において紙面の裏側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
2: 自動原稿搬送装置
4:装置本体
20:開閉体
22:支持軸
30:ねじりコイルばね
32:コイル部
34:一端部
36:他端部
40:保持部材
45:係止長穴
50:平坦面
52:リブ
54:係止穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置本体に閉位置と開位置との間を支持軸まわりに回動自在に支持された開閉体と、閉位置に位置付けられた開閉体を開方向に付勢するねじりコイルばねとを備えた開閉装置において、
ねじりコイルばねは、支持軸に対し別の位置に配設されている、
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
ねじりコイルばねは、その軸心が、支持軸の軸心と一致しない位置に配置されている、請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
ねじりコイルばねは、コイル部と、コイル部の一端からコイル部の接線方向に延び出した一端部と、コイル部の他端からコイル部の接線方向に延び出した他端部とからなり、ねじりコイルばねのコイル部は、開閉体又は装置本体に配設された保持部材に相対回動可能に保持され、ねじりコイルばねの一端部は保持部材に設けられた係止長穴に沿って相対移動可能に嵌合・係止されて保持部材の外方に延び出しかつ、他端部は保持部材の一端外方から延び出して、装置本体又は開閉体に配設された係止手段に相対移動可能に保持され、開閉体が閉位置に位置付けられた状態で、ねじりコイルばねの一端部が保持部材の係止長穴の一端に圧接されて開閉体は開方向に付勢され、開閉体が閉位置から開方向に向けて回動させられて開閉体の重心が支持軸を開方向に越える前後の角度領域において、ねじりコイルばねの一端部が保持部材の係止長穴の一端から離れ、以降、開閉体が開位置に至るまでねじりコイルばねによる開方向への付勢は解除される、請求項1又は請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
支持軸は、開閉体の両側部をそれぞれ回動自在に支持するよう配設され、ねじりコイルばねは、保持部材と共に、開閉体の両側間に相互に間隔をおいて複数個配設されている、請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
開閉体が閉位置に位置付けられた状態で、ねじりコイルばねの各々の全体は、支持軸の軸線の半径方向外方における下方に位置付けられかつ、装置本体の、ねじりコイルばねの各々における他端部に対応した下側位置には平坦面が配設され、平坦面の、ねじりコイルばねの各々のコイル部よりも装置本体における内側位置には、平坦面から直立しかつ、ねじりコイルばねの各々における他端部に直交する方向に延在するリブが配設され、係止手段は、平坦面とリブの各々との間に形成された係止穴又は係止切欠きからなり、ねじりコイルばねの各々の他端部は、係止穴又は係止切欠きに対し、装置本体の外側から内側に向って挿入・係止され、
開閉体が閉位置から開位置まで回動させられると、ねじりコイルばねの他端部は、係止穴又は係止切欠きに係止された状態で、係止穴又は係止切欠きに対し装置本体の外側から内側に向って相対移動させられる、請求項4記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−128190(P2006−128190A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310935(P2004−310935)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】