説明

開閉部材駆動装置

【課題】車体の開口を開閉する開閉部材を電動機構によって駆動するに際して、開閉部材を駆動するための機構が占めるスペースを小さくするようにした開閉部材駆動装置を提供する。
【解決手段】車体16に取り付けられるベース部材20と後部ドア14に取り付けられる回動部材22とからなるヒンジ34によって後部ドア14を車体16に回動可能に取り付け、電動機構によって回動部材22を回動することによって後部ドア14を駆動する。そして、電動機構をヒンジ34に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の開口を開閉する開閉部材、例えば後部ドアを電動モータと減速機とからなる電動機構によって駆動するようにした開閉部材駆動装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の開閉部材駆動装置にあっては、電動モータの回転出力を減速機および回動機構(アーム22など)を介して開閉部材に作用させ、開閉部材をヒンジ回りに駆動するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−177428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の開閉部材駆動装置では、ヒンジとは別の部材である回動機構を車体と開閉部材との間に介在させ、その回動機構に電動機構を設けているため、装置全体として大型となり、車室スペースが減少してしまうと共に荷物の出し入れの障害となってしまうといった問題があった。
【0006】
また、ダンパー機構からなる保持器の内部に電動機構を収容し、保持器を電動機構によって伸縮させることで開閉部材を駆動するようにした技術も知られている。しかしながら、保持器自体がヒンジとは別の部材であって車体と開閉部材の間に介在するため、同様な問題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、車体の開口を開閉する開閉部材を電動機構によって駆動するに際して、開閉部材を駆動するための機構が占めるスペースを小さくするようにした開閉部材駆動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の開閉部材駆動装置は、車体に取り付けられるベース部材と前記ベース部材に回動可能に支持されると共に前記車体の開口を開閉する開閉部材に取り付けられる回動部材とを有し、前記開閉部材を前記車体に回動可能に取り付けるヒンジと、前記ヒンジに設けられると共に前記回動部材を回動する電動機構と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の開閉部材駆動装置では、車体に取り付けられるベース部材と開閉部材に取り付けられる回動部材とからなるヒンジによって開閉部材が車体に回動可能に取り付けられる。電動機構によって回動部材が回動されることによって開閉部材が駆動される。ここで、電動機構はヒンジに設けられている。このように、車体に開閉部材を取り付けるためのヒンジに電動機構を設けると共に、電動機構によってヒンジの回動部材を回動させることで開閉部材を駆動可能としたので、開閉部材を駆動するための機構が占めるスペースを小さくすることができる。
【0010】
請求項2に記載の開閉部材駆動装置は、請求項1に記載の開閉部材駆動装置において、さらに、前記ヒンジに設けられると共に前記開閉部材を開方向に動作させるように前記回動部材を付勢する付勢機構、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の開閉部材駆動装置では、回動部材を付勢する付勢機構によって開閉部材を開方向に動作される。ここで、付勢機構はヒンジに設けられている。このように、付勢機構によって開閉部材を開方向に付勢するので、電動機構を作用させずに手動によって開閉部材を開方向に操作する場合でも、開閉部材を容易に操作することができる。また、付勢機構はヒンジに設けられるため、開閉部材を駆動するための機構が占めるスペースを小さくすることができる。
【0012】
請求項3に記載の開閉部材駆動装置は、請求項2に記載の開閉部材駆動装置において、前記電動機構は、電動モータを有し、前記付勢機構は、圧縮体と回転軸と前記圧縮体の復元力を前記回転軸の回転力に変換する変換部とを有し、前記付勢機構の回転軸と前記電動モータの回転軸を接続することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の開閉部材駆動装置では、電動機構は電動モータを有し、付勢機構は圧縮体の復元力を回転軸の回転力に変換する変換部を有しており、付勢機構の回転軸と電動モータの回転軸を接続している。このように、付勢機構の回転軸と電動モータの回転軸を接続することにより、開閉部材を開方向に動作させるとき、付勢機構による回転出力を電動機構に付加することで、電動モータの負荷を低減することができる。
【0014】
請求項4に記載の開閉部材駆動装置は、請求項3に記載の開閉部材駆動装置において、前記付勢機構の回転軸と前記電動モータの回転軸を同軸上で一体回転可能に接続したことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の開閉部材駆動装置では、付勢機構の回転軸と電動モータの回転軸を同軸上で一体回転可能に接続している。このように、付勢機構の回転軸と電動モータの回転軸を同軸上で一体回転可能に接続することにより、ヒンジにおいて付勢機構と電動機構を直列に配置することができ、装置全体として小型化を図ることができる。
【0016】
請求項5に記載の開閉部材駆動装置は、請求項3または請求項4に記載の開閉部材駆動装置において、前記電動機構は、前記電動モータの回転軸の一方に接続され前記電動モータの回転軸の回転を減速する減速機を有すると共に、前記付勢機構の回転軸は、前記電動モータの回転軸の他方に接続されることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の開閉部材駆動装置では、電動モータの回転軸の一方には減速機が接続され、電動モータの回転軸の他方には付勢機構が接続されている。従って、付勢機構による回転出力は減速機によって増幅されることとなる。このように、付勢機構の回転出力が増幅されるため、付勢機構を小型化できる。そのため、付勢機構をヒンジに設け易くなる。
【0018】
請求項6に記載の開閉部材駆動装置は、請求項5に記載の開閉部材駆動装置において、前記減速機は入出力軸が同軸上に配置される同軸型減速機であると共に、前記入出力軸と前記電動モータの回転軸を同軸上に配置したことを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の開閉部材駆動装置では、減速機は入出力軸が同軸上に配置される同軸型とされ、減速機の入出力軸と電動モータの回転軸を同軸上に配置している。従って、ヒンジにおいて減速機と電動モータを直列に配置することができ、装置全体として小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置を含む車両の後方部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図である。(a)は、ドアが全開している場合の開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図を示している。(b)は、ドアが全閉している場合の開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図を示している。
【図3】図2のF3−F3線における断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置の構成を従来のものと比較して模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る開閉部材駆動装置の実施形態について、添付の図面に基づいて説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置を含む車両の後方部を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図である。図2において(a)は、ドアが全開している場合の開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図を示しており、(b)はドアが全閉している場合の開閉部材駆動装置の側面図および縦断面図を示している。図3は、図2のF3−F3線における断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る開閉部材駆動装置10は、車両の後方に設けられる開口12を開閉する開閉部材の一例としての後部ドア14に設けられている。開閉部材駆動装置10は長手方向を水平とされて車体16の開口12の上方側の縁部18に設けられ、自身を中心軸として後部ドア14を持ち上げ、持ち下げるように回動させるものである。
【0024】
図1、図2に示すように、開閉部材駆動装置10は、略円筒状を呈するベース部材20と、ベース部材20に回動可能に支持される回動部材22を備えている。ベース部材20の外周面には、外周面から突出された車体側取付ブラケット24が4個設けられている。4個の車体側取付ブラケット24にはそれぞれネジ孔26が貫通形成されており、ベース部材20はネジ締結によって縁部18に取り付けられている。
【0025】
回動部材22は、ベース部材20の円筒中心軸に沿う軸部28と、軸部28の端部に取り付けられるドア側取付ブラケット30とからなる。軸部28はベース部材20に回転自在に接続されている。ドア側取付ブラケット30には2個のネジ孔32が貫通形成されており、ドア側取付ブラケット30はネジ締結によって後部ドア14の車室側の面に取り付けられている。
【0026】
このように、ベース部材20と回動部材22とは、車体16に後部ドア14を開閉自在に繋ぐヒンジ34を構成している。尚、図1では該ヒンジ34によって車体16の幅方向の片側において車体16と後部ドア14を繋ぐように示したが、他側にも該ヒンジ34に従動して動作され、後部ドア14を車体16に開閉自在に繋ぐ従動ヒンジ(図示省略)が設けられている。
【0027】
回動部材22はベース部材20に対して0°〜90°の角度範囲で回動可能とされており、後部ドア14は0°(全閉位置)〜90°(全開位置)の角度範囲において開閉動作される。後部ドア14は全閉位置において車体16の開口12の下方側の縁部36に設けられるロック部材38に係合され、全閉位置で固定される。
【0028】
図2に示すように、ベース部材20の内部には電動機構40と付勢機構42が収容されている。電動機構40は、電動モータ44と減速機46から構成される。電動モータ44は、そのハウジングがベース部材20の円筒内周面に取り付けられて固定されている。電動モータ44は車両に搭載される電源(バッテリ)に接続されおり、電源からの電力の供給を受けてその回転軸48を回転駆動する。
【0029】
減速機46は、そのハウジングがベース部材20の円筒内周面に取り付けられて固定されている。減速機46としては、入力軸50と出力軸52が同軸上に配置される同軸型減速機、例えば2KH遊星減速機やKHV遊星減速機やハーモニックドライブやポール減速機を用いる。電動モータ44の回転軸48と減速機46の入力軸50は同軸上に配置されており、継手軸54によって一体回転可能に接続されている。尚、電動モータ44と減速機46を一体に構成したものを用いてもよい(例えば、本出願人によって発案された特開2007−177428号公報に開示されるワイパモータ)。
【0030】
減速機46の出力軸52は回動部材22の軸部28に接続される。尚、図示の如く、減速機の出力軸52をそのまま回動部材22の軸部28としてもよい。この実施形態の減速機46は遊星ギア機構から構成され、減速比を例えば1:50のように大きく設定することができ、電動モータ44の回転出力(トルク)は後部ドア14を持ち上げ可能な程度まで増幅可能とされている。
【0031】
また、電動モータ44の回転軸48の付近には回転検出センサ56が設けられている。該センサ56によって電動モータ44の回転軸48の回転角度を検出することにより、後部ドア14の開閉位置を検出可能となっている。尚、回転検出センサ56としては、例えばホール素子を用いた非接触型のポテンショメータを採用している。
【0032】
付勢機構42は、圧縮体の一例としての圧縮コイルばね58と回転軸60とを備えている。回転軸60は、その長手方向における両端付近において2個の軸受62、64によって回転可能に支持されている。また、回転軸60の一端はスラストボール66により支持されている。回転軸60の外周面には螺旋溝68が2重に彫られており、回転軸60はリードスクリューを構成している。
【0033】
圧縮コイルばね58は、回転軸60を内部に収容するように回転軸60に挿通されている。圧縮コイルばね58の一端(図中において右側)は固定式ばね受け70に突き当てられている。固定式ばね受け70は円盤状を呈しており、中央部には回転軸60を挿通するための挿通孔72が貫通形成されている。固定式ばね受け70は、軸受64に隣接した位置においてベース部材20の円筒内部で固定されている。
【0034】
圧縮コイルばねの他端部(図中において左側)は移動式ばね受け74に突き当てられている。移動式ばね受け74は円盤状を呈しており、中央部には回転軸60を挿通するための挿通孔76(図3参照)が貫通形成されている。
【0035】
移動式ばね受け74の外周面には、厚み方向において貫通する貫通溝78が互いに対向するように2本形成されている。一方、ベース部材20の円筒内周面には、長手方向に沿ってレール80が互いに対向するように2本形成されている。2本のレール80は軸受62と固定式ばね受け70の間において形成されている。移動式ばね受け74の貫通溝78がレール80に挿通されており、移動式ばね受け74はレール80に沿ってベース部材20の円筒内部において長手方向に移動可能とされている。
【0036】
図3に示すように、移動式ばね受け74の挿通孔76を形成している内周面には中心方向に向けて突出する突起82が互いに対向するように2個形成されている。この2個の突起82のうちの一方は回転軸60の2重の螺旋溝68のうちの一方に係合されており、他方の突起82は他方の螺旋溝68に係合されている。移動式ばね受け74がレール80に沿ってベース部材20の円筒内部を移動すると、2個の突起82が2重の螺旋溝68に係合しつつ直線移動するため、回転軸60が回転することとなる。
【0037】
具体的には、図2(a)において、回転軸60が矢印B方向(ドア閉方向)に回転すると、移動式ばね受け74は圧縮コイルばね58を圧縮しつつ矢印A方向に移動することとなる。また、図2(b)において、回転軸60が矢印D方向(ドア開方向)に回転すると移動式ばね受け74が圧縮コイルばね58の復元力によって矢印C方向に移動させられると共に、復元力によって回転軸60の矢印D方向への回転出力が増幅される。尚、図2(a)の全開状態における圧縮コイルばね58は、圧縮状態とされている。
【0038】
このように、付勢機構42では圧縮コイルばね58の復元力を回転軸60の回転力に変換している。移動式ばね受け74と回転軸60の螺旋溝68が復元力を回転力に変換する変換部を構成している。尚、移動式ばね受け74の内周面に突起82を設けて螺旋溝68に係合させるようにしたが、摺動性を向上させるため、移動式ばね受け74の内周面に溝を設け、その溝と螺旋溝68との間にベアリングボールを収容する構成としてもよい。
【0039】
図2に示すように、付勢機構42の回転軸60と電動モータ44の回転軸48は同軸上に配置されており、継手軸84によって一体回転可能に接続されている。また、付勢機構42の回転軸60は、電動モータ44の回転軸48の減速機46と接続される一端側とは逆側の他端側において接続されている。付勢機構42の回転軸60の回転出力は、電動モータ44および減速機46を通じて回動部材22に伝達される。即ち、付勢機構42は、後部ドア14を開方向に動作させるように回動部材22を付勢している。
【0040】
(作用)
後部ドア14が全閉している状態において、開スイッチ(図示省略)が押されると、後部ドア14はロック部材38との係合が解かれると共に、電動モータ44は回転軸48を正回転(開方向回転)させるように駆動される。電動モータ44の回転軸48の回転出力は減速機46を通じて増幅され、回動部材22に伝達される。また、付勢機構42の回転軸60の回転出力も減速機46を通じて増幅され、回動部材22に伝達される。それにより、回動部材22は開方向に回動され、後部ドア14は上方に持ち上げられるように開方向に動作される。後部ドア14が全開位置まで動作されたことが回転検出センサ56によって検知されると、電動モータ44の駆動が停止される。電動モータ44の駆動が停止されても、後部ドア14には付勢機構42の付勢力および電動機構40の回転抵抗力が作用するため、後部ドア14は自重で下がることなく、全開状態が保持される。
【0041】
図4(a)に示すように、従来の開閉部材駆動装置100では、出力に対してクラッチ102、減速機104、電動モータ106からなる電動機構108と、保持器(ダンパ機構)110とを並列に接続しており、電動機構108を作用させない場合はクラッチ102を切り、保持器110のみによって後部ドア14の全開状態を保持する構成である。このため、保持器110としては大型のものを採用する必要があった。これに対し、図4(b)に示すように、本発明の開閉部材駆動装置10では、出力に対して減速機46と電動モータ44と付勢機構(保持器)42を直列に接続しているので、後部ドア14の全開状態での保持は減速機46と電動モータ44と付勢機構42、特に減速機46と付勢機構42の組み合わせで行われる。このため、付勢機構42として小型のものを採用することができる。
【0042】
後部ドア14が全開している状態において、閉スイッチ(図示省略)が押されると、電動モータ44は回転軸48を逆回転(閉方向回転)させるように駆動される。電動モータ44の回転出力は減速機46を通じて増幅され、回動部材22に伝達される。それにより、回動部材22は閉方向に回動され、後部ドア14は閉方向に動作される。尚、回動部材22を閉方向に回動させるには、付勢機構42の圧縮コイルばね58を圧縮させる必要があるが、後部ドアの自重エネルギ分によって賄われる(圧縮コイルばね58にはその分のばねエネルギが蓄えられる)。後部ドア14が全閉位置まで動作されたことが回転検出センサ56によって検知されると、電動モータ44の駆動が停止される。全閉位置においては、後部ドア14はロック部材38と係合され、全閉状態が維持される。
【0043】
後部ドア14を手動操作により開ける場合は、後部ドア14の車外側の面に設けられる操作部86(図1参照)を操作してロック部材38との係合を解き、後部ドア14を持ち上げる。付勢機構42の圧縮コイルばね58の復元力が減速機46を通じて増幅されて回動部材22に作用するため、操作者は後部ドア14を比較的軽い力で持ち上げ、開けることができる。後部ドア14を手動操作により閉じる場合は、付勢機構42の付勢力および電動機構40の回転抵抗力に対抗する力を後部ドア14に加える。
【0044】
以上のように、本発明の実施形態に係る開閉部材駆動装置10にあっては、車体16に取り付けられるベース部材20と後部ドア14に取り付けられる回動部材22とからなるヒンジ34によって後部ドア14を車体16に回動可能に取り付け、電動機構40によって回動部材22を回動することによって後部ドア14を開閉するように構成した。そして、電動機構40をヒンジ34に設けるようにした。
【0045】
このように、車体16に後部ドア14を取り付けるためのヒンジ34に電動機構40を設け、電動機構40によってヒンジ34の回動部材22を回動させることで後部ドア14を開閉可能としたので、即ちヒンジ34に設けられる電動機構40によってヒンジ34を直接駆動するように構成したので、後部ドア14を駆動するための機構が占めるスペースを小さくすることができる。また、ヒンジ34以外の部材が車体16と後部ドア14との間に介在することがない。そのため、車室スペースが減少するのを抑制することができ、また荷物の出し入れの障害が生じるのを抑制することができる。
【0046】
また、回動部材22を付勢する付勢機構42によって後部ドア14を開方向に動作させるように構成した。そして、付勢機構42をヒンジ34に設けるようにした。
【0047】
このように、付勢機構42によって後部ドア14が開方向に付勢されるので、電動機構40を作用させずに手動で後部ドア14を開ける場合でも、後部ドア14を容易に開けることができる。また、付勢機構42をヒンジ34に設けたので、後部ドア14を駆動するための機構が占めるスペースを小さくすることができる。また、ヒンジ34以外の部材が車体16と後部ドア14との間に介在することがない。そのため、車室スペースが減少するのを抑制することができ、また荷物の出し入れの障害が生じるのを抑制することができる。
【0048】
また、付勢機構42において圧縮コイルばね58の復元力をその回転軸60の回転力に変換し、付勢機構42の回転軸60と電動モータ44の回転軸48とを接続するように構成した。これにより、後部ドア14を開けるとき、付勢機構42による回転出力が電動機構40に付加されるため、電動モータ44の負荷を低減することができる。
【0049】
また、付勢機構42の回転軸60と電動モータ44の回転軸48を同軸上で一体回転可能に接続するように構成した。これにより、ヒンジ34において付勢機構42と電動機構40を直列に配置することでヒンジ34を細長く構成することができ、開閉部材駆動装置10を全体として小型化できる。
【0050】
また、電動モータ44の回転軸48の一方に減速機46を接続し、電動モータ44の回転軸48の他方に付勢機構42を接続するように構成した。即ち、付勢機構42による回転出力を減速機46によって増幅するように構成した。それにより、付勢機構42における回転出力の基礎となる圧縮コイルばね58として小型のものを採用することができる。そのため、付勢機構42自体を小型化でき、付勢機構42をヒンジ34に設け易くなる。
【0051】
また、減速機46として入力軸50と出力軸52が同軸上に配置される同軸型のものを採用し、減速機46の入力軸50と出力軸52と電動モータ44の回転軸48を同軸上に配置するように構成した。これにより、ヒンジ34において減速機46と電動モータ44を直列に配置することでヒンジ34を細長く構成することができ、開閉部材駆動装置10を全体として小型化できる。
【0052】
尚、本実施形態の開閉部材駆動装置10は、車体16に対してドアを上下方向に回動させる後部ドア14に採用するように構成したが、水平方向に回動させるタイプのドアにも採用することができる。また、後部ドア14に限られず、車体側面に取り付けられるサイドドアやボンネットに対しても採用することができる。
【0053】
また、本実施形態の開閉部材駆動装置10では、ベース部材20を車体16側に取り付け、回動部材22を後部ドア14に取り付けるようにしたが、回動部材22を車体16側に取り付け、ベース部材20を後部ドア14に取り付けるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態の開閉部材駆動装置10では、付勢機構42の構成要素として圧縮コイルばね58を採用したが、圧縮ガスが充填されて構成されるガススプリングを採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10・・・開閉部材駆動装置、14・・・後部ドア(開閉部材の一例)、16・・・車体、20・・・ベース部材、22・・・回動部材、24・・・車体側取付ブラケット、30・・・ドア側取付ブラケット、34・・・ヒンジ、40・・・電動機構、42・・・付勢機構、44・・・電動モータ、46・・・減速機、48・・・回転軸、50・・・入力軸、52・・・出力軸、58・・・圧縮コイルばね(圧縮体の一例)、60・・・回転軸、68・・・螺旋溝、74・・・移動式ばね受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられるベース部材と前記ベース部材に回動可能に支持されると共に前記車体の開口を開閉する開閉部材に取り付けられる回動部材とを有し、前記開閉部材を前記車体に回動可能に取り付けるヒンジと、
前記ヒンジに設けられると共に前記回動部材を回動する電動機構と、
を備える開閉部材駆動装置。
【請求項2】
さらに、
前記ヒンジに設けられると共に前記開閉部材を開方向に動作させるように前記回動部材を付勢する付勢機構、
を備える請求項1に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項3】
前記電動機構は、電動モータを有し、
前記付勢機構は、圧縮体と回転軸と前記圧縮体の復元力を前記回転軸の回転力に変換する変換部とを有し、
前記付勢機構の回転軸と前記電動モータの回転軸を接続した請求項2に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項4】
前記付勢機構の回転軸と前記電動モータの回転軸を同軸上で一体回転可能に接続した請求項3に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項5】
前記電動機構は、前記電動モータの回転軸の一方に接続され前記電動モータの回転軸の回転を減速する減速機を有すると共に、
前記付勢機構の回転軸は、前記電動モータの回転軸の他方に接続される請求項3または請求項4に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項6】
前記減速機は入出力軸が同軸上に配置される同軸型減速機であると共に、前記入出力軸と前記電動モータの回転軸を同軸上に配置した請求項5に記載の開閉部材駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−132205(P2012−132205A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285145(P2010−285145)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】