説明

間隔検知方法及び画像形成装置

【課題】 光源装置と像担持体との間隔を正確に検知する。
【解決手段】 第1光ビームB1と異なる角度で第2光ビームB2を照射し、その第1光ビームB1及び第2光ビームB2によって感光体ドラム12上に形成された検知パターンL1、L2の間隔を検知し、検知した検知パターンL1、L2の間隔からLPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を検知する。すなわち、第1光ビームB1と第2光ビームB2とを異なる角度で照射することで、LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔が長く又は短くなると、それに伴って感光体ドラム12上に形成された検知パターンL1、L2の間隔も長く又は短くなることを利用するものである。これを利用することにより、検知パターンL1、L2の間隔から、LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を正確に検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子からなる発光素子アレイと、複数の結像素子からなる結像素子アレイと、を備えた光源装置が用いられる画像形成装置において、像担持体と光源装置との間隔を検知する方法及び構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、主走査方向に直列に配置され、画像信号により点滅制御される発光素子アレイ(例えば、LEDアレイ)と、発光素子アレイの光像を結像するための結像素子アレイ(例えば、セルフォックレンズアレイ)と、を備えた光源装置(例えば、LEDプリントヘッド)により、像担持体上を露光して画像形成を行う画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ)が広く用いられている。
【0003】
セルフォックレンズアレイを用いたLEDプリントヘッドにおいて、高画質な画像を実現するためには、LEDプリントヘッド及び像担持体を取り付ける際に、取り付けによる位置ずれを抑え、適切な焦点距離を得ることが重要であることから、装置本体を基準としてLEDプリントヘッド及び像担持体を高精度に取り付けていた。
【0004】
また、像担持体が偏心している為に、像担持体とLEDプリントヘッドとの間隔が像担持体の回転位置によって異なってしまい、安定したスポットサイズが得られない問題を解決する手段として、特許文献1には、当て付け部材をLEDプリントヘッドに設けて、像担持体の表面に当て付け部材を当接させることにより、LEDプリントヘッドが像担持体の偏心に連動して、常にLEDアレイと像担持体の間隔を一定にする構成が開示されている。
【特許文献1】特開平5−19602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年高解像度に伴ないスポットサイズが小径化に進むにつれて、セルフォックレンズアレイの焦点深度は40〜50μm程度(開口角20 °において)と非常に狭くなっているため、装置本体を基準に高精度に光源装置及び像担持体を取り付けるだけでは、画質に影響する取り付け誤差がでてしまう。
【0006】
また、像担持体の表面に当接させる当て付け部材をLEDプリントヘッドに設ける構成では、像担持体の振動がLEDプリントヘッドに伝わって、副走査方向の濃度ムラ(Banding)が発生してしまう。
【0007】
従って、Bandingを防止するためには、当て付け部材を設けないで、LEDプリントヘッドと像担持体の間隔を精度良く保つ構成が必要となる。そのためには、LEDプリントヘッドと像担持体との間隔が適切であるか検知し、その検知結果に基づき、LEDプリントヘッドと像担持体との間隔を調整する必要があると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、光源装置と像担持体との間隔を正確に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、第1光ビームを出射する複数配列された発光素子と、前記発光素子から出射された第1光ビームを像担持体表面上に結像する複数の結像素子と、を備えた光源装置において、前記第1光ビームと異なる照射角度で第2光ビームを像担持体表面上に照射し、前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知し、検知した静電潜像の間隔から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を検知することを特徴とする。
【0010】
上記構成では、第1光ビームと異なる角度で第2光ビームを照射し、その第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知し、検知した静電潜像の間隔から光源装置と像担持体の表面との間隔を検知する。
【0011】
すなわち、上記構成は、第1光ビームと第2光ビームとを異なる角度で照射することで、光源装置と像担持体の表面との間隔が長く又は短くなると、それに伴って第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔も長く又は短くなることを利用するものである。
【0012】
これを利用することにより、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔から、光源装置と像担持体の表面との間隔を正確に検知できる。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明では、請求項1の構成において、前記第2光ビームの主走査方向から見た照射角度を、前記第1光ビームと同一に設定し、前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の主走査方向の間隔を検知し、検知した静電潜像の主走査方向の間隔から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を検知することを特徴とする。
【0014】
すなわち、上記構成は、第1光ビームと異なる角度で照射される第2光ビームの主査方向から見た照射角度を、第1光ビームと同一に設定することで、光源装置と像担持体の表面との間隔が長く又は短くなるのに伴って、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の主走査方向の間隔が長く又は短くなることを利用するものである。従って、静電潜像の主走査方向の間隔を検知することによって、光源装置と像担持体の表面との間隔を正確に検知できる。
【0015】
第1光ビームと第2光ビームとは、照射角度が異なっていれば、どの照射方向であっても、基本的には同様の効果が得られるが、静電潜像の副走査方向の間隔で検知する場合は、像担持体のR面の影響を受けて、検知結果に誤差が出やすい。従って、上記構成のように、静電潜像の主走査方向の間隔で検知することにより、高精度に光源装置と像担持体の表面との間隔を検知できる。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2の構成において、前記静電潜像を現像することによって形成されるトナー像の間隔を検知することにより、前記静電潜像の間隔を検知することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像を現像し、その現像により形成されたトナー像の間隔を検知することで、間接的に静電潜像の間隔を検知し、その静電潜像の間隔から光源装置と像担持体の表面との間隔を検知することができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明では、第1光ビームを出射する複数配列された発光素子と、前記発光素子から出射された第1光ビームを像担持体表面上に結像する複数の結像素子と、を備えた光源装置と、前記光源装置に設けられ、前記第1光ビームと異なる照射角度で第2光ビームを像担持体表面上に照射する光照射手段と、前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知する検知手段と、前記検知手段で検知された静電潜像の間隔から前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を演算する演算手段と、を具備したことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、光源装置に設けられた光照射手段によって、光源装置の発光素子から照射される第1光ビームと異なる照射角度で第2光ビームを、像担持体表面上に照射する。
【0020】
そして、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を、検知手段によって検知し、その静電潜像の間隔から光源装置と像担持体の表面との間隔を、演算手段によって演算する。
【0021】
すなわち、上記構成は、第1光ビームと第2光ビームとを異なる角度で照射することで、光源装置と像担持体の表面との間隔が長く又は短くなると、それに伴って第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔も長く又は短くなることを利用するものである。
【0022】
これを利用することにより、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔から、光源装置と像担持体の表面との間隔を正確に検知できる。
【0023】
本発明の請求項5に係る発明では、請求項4の構成において、前記検知手段は、前記静電潜像が現像されることによって形成されたトナー像の間隔を検知することにより、前記静電潜像の間隔を検知することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像を現像することにより形成されたトナー像の間隔を検知することで、間接的に静電潜像の間隔を検知し、その静電潜像の間隔から光源装置と像担持体の表面との間隔を検知することができる。
【0025】
本発明の請求項6に係る発明では、請求項4又は請求項5の構成において、前記光照射手段は、前記光源装置に取り外し可能に設けられていることを特徴とする。
【0026】
画像形成装置を低コストで製造するためには、できる限り部品点数を減らすことが必要不可欠になってくる。第1光ビームに対して照射角度が異なる第2ビームを形成する光照射手段は、光源装置と像担持体の表面の間隔を検知し、その結果に基づき光源装置と像担持体の表面の間隔を調整した後は、その間隔が維持されていれば、不必要である。従って、光照射手段を取り外し可能に光源装置に設けて、組み立て時に使用し、市場に出荷する時に、取り外すことによって低コスト化が可能である。
【0027】
本発明の請求項7に係る発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項の構成において、前記光照射手段には、第1ビームを出射する発光素子と平行に発光素子が配列されていることを特徴とする。
【0028】
第1ビームを出射する発光素子と平行に発光素子が、光照射手段に配列されている。すなわち、この発光素子は、第1ビームを出射する発光素子と同様の方向(例えば、主走査方向)に配列されていることになる。このように、同じ様に配列している発光素子を使用することにより、低コストで画像形成装置を製造することができる。
【0029】
本発明の請求項8に係る発明では、請求項4〜請求項7のいずれか1項の構成において、前記演算手段で演算した結果を表示する表示手段を具備したことを特徴とする。
【0030】
上記構成では、演算手段で演算した結果を表示する表示手段が設けられている。このため、表示された結果をユーザ等がみて、その結果に基づいて光源装置と像担持体の表面の間隔を調整することができる。光源装置と像担持体の表面の間隔が最適な間隔に調整されれば、スポットサイズが小径であっても、位置ズレせず、高画質な画像が実現できる。
【0031】
本発明の請求項9に係る発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項の構成において、前記演算手段で演算した結果から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を調整する間隔調整手段を具備したことを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、間隔調整手段によって、演算手段で演算した結果から、光源装置と像担持体の表面との間隔を調整することができるので、光源装置と像担持体の表面との間隔の調整が容易となる。
【0033】
本発明の請求項10に係る発明では、請求項9の構成において、前記調整手段は、光源装置を画像形成装置の本体フレームに支持するスクリュウ部と、スクリュウ部を回転させるモータで構成され、前記演算された演算値と予め規定された規定値との差から前記モータの回転量を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
【0034】
上記構成では、制御手段によって、演算された演算値と予め規定された規定値との差から、調整手段を構成するモータの回転量を制御している。このため、画像形成装置において温度変化や設置移動が生じて、光源装置と像担持体の表面との間隔が変化しても、自動的に制御され、常に光源装置と像担持体の表面との間隔を最適に保つことができる。
【0035】
本発明の請求項11に係る発明では、請求項10の構成において、前記制御手段は、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、前記モータの回転量を制御することを特徴とする。
【0036】
上記構成では、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、モータの回転量を制御するので、像担持体が偏心して、その回転位置によって光源装置と像担持体の表面の間隔が変動しても、常に光源装置と像担持体の表面との間隔を最適に保つことができる。
【0037】
本発明の請求項12に係る発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項の構成において、前記演算手段で演算した検知結果から、前記光照射手段の発光素子の光量を調整する光量調整手段を具備したことを特徴とする。
【0038】
光源装置と像担持体の表面との間隔が、適正値からずれてしまうと、スポットサイズが大きくなり、例えば、1画素の線を照射すると、潜像電位が現像閾値レベルまで達成できずに現像できなくなってしまう場合がある。上記構成では、光量調整手段によって、光照射手段の発光素子の光量を調整することができるので、光源装置と像担持体の表面との間隔が、適正値に対してずれているずれ量に応じて、各画素の光量を上げることで1画素の線を現像することが可能となる。
【0039】
本発明の請求項13に係る発明では、請求項12の構成において、前記光量調整手段は、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、前記発光素子の光量が決定されることを特徴とする。
【0040】
上記構成では、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、光照射手段の発光素子の光量が決定されるので、像担持体が偏心して、その回転位置によって光源装置と像担持体の表面の間隔が変動しても、常に光照射手段の発光素子の光量を最適に保つことができる。
【0041】
本発明の請求項14に係る発明では、請求項4〜13のいずれか1項に記載の構成において、前記検知手段には、複数の光源装置の各々で複数の像担持体の各々に形成されたパターンから色ずれを検知するセンサーが使用されることを特徴とする。
【0042】
第1光ビーム及び第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知する検知手段に、複数の光源装置の各々で複数の像担持体の各々に形成されたパターンから色ずれを検知するセンサーが使用されるので、部品の共有化ができ、画像形成装置の低コスト化が図れる。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、上記構成としたので、光源装置と像担持体との間隔を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の一の実施形態について、図1〜図13に基づき説明する。
【0045】
図1には、本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成が示されている。
【0046】
図1に示すように、画像形成装置10は装置筐体30を備え、装置筐体30には矢印B方向に定速回転する感光体ドラム12が設けられている。この感光体ドラム12の回転方向(矢印B方向)が副走査方向に対応する。この感光体ドラム12の周囲には、感光体ドラム12の回転方向に沿って、帯電器14、光源装置としてのLEDプリントヘッド(以下、LPHという)16、現像器18、転写ローラ20、クリーナ(図示省略)、イレーズランプ(図示省略)が順に配設されている。
【0047】
感光体ドラム12は、帯電器14によって、その表面が一様に帯電された後、LPH16から照射される光ビームB1によって、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。
【0048】
形成された静電潜像に、現像器18からトナーが供給され、感光体ドラム12上にトナー像が形成される。感光体ドラム12上のトナー像は、転写ローラ20によって、用紙トレイ22から1枚ずつ取出され用紙搬送ベルト24により搬送されてきた用紙26に転写される。転写後に感光体ドラム12に残留しているトナーはクリーナ(図示省略)によって除去され、イレーズランプ(図示省略)によって除電された後、再び帯電器14によって帯電されて、同様の処理を繰り返す。
【0049】
一方、トナー像が転写された用紙26は、加圧ローラ28Aと加熱ローラ28Bからなる定着器28に搬送されて定着処理が施される。これにより、トナー像が定着されて、用紙26上に所望の画像が形成される。画像が形成された用紙26は装置筐体30の外へ排出される。以上のように一連の画像形成が行われる。
【0050】
なお、感光体ドラム12と駆動ローラ27との間の用紙搬送ベルト24上部には、センサー29が配置されている。このセンサー29によって、用紙搬送ベルト24上に転写された後述するトナー像のライン(検知パターン)が読み取られ、その検知パターンの間隔が検知される。この検知後、用紙搬送ベルト24上に転写された検知パターンは、クリーナ15によって清掃される。また、装置筐体30には、モニター(表示手段)57が設けられている。
【0051】
次に、LPH16の構成について、図2、3に基づき説明する。
【0052】
図2には、主走査方向からみたLPH16の構成図が示されている。
【0053】
図2に示すように、LPH16は、LEDアレイ32と、このLEDアレイ32を支持するプリント基板40と、LEDアレイ32から出射された第1光ビームB1を感光体ドラム12の表面上に結像させるセルフォックレンズアレイ34とを備えている。
【0054】
プリント基板40は、LEDアレイ32の取り付け面を感光体ドラム12に対向させて、ハウジング36内に配設されている。
【0055】
また、プリント基板40は、図3に示すように、1ライン分の画像データを格納するシフトレジスタ42、ラッチ回路44、ドライバ46を備えている。
【0056】
このドライバ46に接続されるLEDアレイ32のLED48は、解像度に応じた画素(ドット)数分設けられており、例えば、 A3サイズ(420mm 297mm)の用紙にまで対応し、主走査方向について600dpiで印刷する場合には、約7020個設けられる。このLED48は、感光体ドラム12の回転方向(副走査方向)と直交する方向 (主走査方向)に沿って1列に配置されている。
【0057】
また、プリント基板40は、制御装置50と接続されており、制御装置50は、転送クロックに同期して1ライン分の画像データ(前述の例では7020ドット分の画素データ)をシフトレジスタ42に出力し、1ライン分の画像データをシフトレジスタ42に出力し終わると、SET信号をラッチ回路44に出力する。これにより、シフトレジスタ42に格納された1ライン分の画像データがラッチ回路44にラッチされる。
【0058】
そして、制御装置50がSTROB信号をドライバ46に出力すると、ドライバ46は対応する画素データに応じた電流値の電流をLED48に供給する。この時、各々のドライバ46は、LED48から発光される光量を補正するための補正データに基づいて、出力電流を調整する。各々のLED48は、ドライバから出力された電流の電流値に応じて発光し、感光体ドラム12上が露光され、1ライン分の画像データに対応する静電潜像が感光体ドラム12上に形成される。
【0059】
次に、LPH61の設けられ、第1光ビームB1と異なる角度で第2光ビームを感光体ドラム12に照射する光照射装置(光照射手段)について説明する。
【0060】
図4には、感光体ドラム12の回転軸と直交する方向(副走査方向)から、感光体ドラム12及びLPH16を見た断面図が示され、図5には、その一端部(図4の一点鎖線の部分)の構成の拡大図が示されている。
【0061】
図5に示すように、LPH16の一端部には、LDとコリメータとを備える光照射装置(光照射手段)61が配置されている。この光照射装置61のLDから第2光ビームB2が出射され、第2光ビームB2はコリメータを透過して感光体ドラム12に達し、静電潜像が感光体ドラム12の表面上に形成される。
【0062】
また、光照射装置61は、第1光ビームB1に対してθ度内側に傾いて配置され、光照射装置61の出射面側が、感光体ドラム12の中央部を向いている。このため、光照射装置61のLDから出射される第2光ビームB2は、第1光ビームB1に対してθ°内側に傾いた照射角度で照射される。なお、第2光ビームB2の主走査方向から見た照射角度は、第1光ビームB1と同一に設定されている。
【0063】
LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を検知する場合は、LEDアレイ32から照射される第1光ビームB1によって、副走査方向に沿った検知パターンL1を形成し、光照射装置61から照射される第2光ビームB2によって、副走査方向に沿った検知パターンL2を形成する。
【0064】
そして、この検知パターンL1、L2を現像器18によって現像し、現像した検知パターンL1、L2を用紙搬送ベルト24に転写し、図6に示すように、センサー(検知手段)29によって、検知パターンL1、L2の主走査方向の間隔を検知する。
【0065】
なお、この検知パターンL1、L2は、用紙搬送ベルト24ではなく、用紙26に転写して、その間隔を検知しても構わない。
【0066】
また、図7に示すように、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト56に1次転写し、その1次転写されたトナー像を用紙26に2次転写する画像形成装置13では、現像された検知パターンL1、L2を中間転写ベルト56に転写し、中間転写ベルト56に転写された段階で、検知パターンL1、L2の間隔をセンサー(検知手段)71で検知しても構わない。
【0067】
また、図7に示すように、各色ごとの感光体ドラム12で画像形成する画像形成装置13では、各色間の色ずれを検知する為の色ずれセンサーを、検知パターンL1、L2を検知する為のセンサー71として使用することができる。こうすることで、部品の共有化ができ、低コストが実現できる。
【0068】
さらに、感光体ドラム12上の潜像状態の検知パターンL1、L2を検知することも可能である。
【0069】
この検知パターンL1と検知パターンL2の間隔は、図5に示すように、LPH61と感光体ドラム12の表面との間隔の狙い値(理想値)の場合にAとすると、LPH61と感光体ドラム12の表面との間隔が狙い値よりも短い場合、検知パターンL1、L2の間隔はAよりも長くなり、逆に、LPH61と感光体ドラム12の表面の間隔が狙い値よりも長い場合、検知パターンL1、L2の間隔はAよりも短くなる(この関係を図8に示す)。
【0070】
これを利用することにより、検知パターンL1、L2の間隔から、LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を正確に検知することができる。
【0071】
また、検知パターンL1、L2の主走査方向の間隔により検知するので、静電潜像の副走査方向の間隔で検知する場合のように、感光体ドラム12のR面の影響を受けることが無く、検知結果に誤差がでない。
【0072】
LPH16の一端部側について説明したが、他端部にも同様に光照射装置を設け、LPH16の両端部の間隔を検知し、後述のようにLPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を調整すれば、主走査方向に対して一様にLPH16と感光体ドラム12との間隔を狙い値にすることが可能である。
【0073】
また、光照射装置61は、固定でも着脱可能な構成でも同様の効果を得ることができるが、低コストな画像形成装置を提供するためには、できる限り部品点数を減らすことが必要不可欠であることから、光照射装置61をLPHに16に取り外し可能に設けることが好ましい。
【0074】
このようにすれば、LPH16と感光体ドラム12との間隔を狙い値に調整した後、その間隔が維持されていれば、光照射装置61は不必要である為、組み立て時に使用して、LPH16と感光体ドラム12との間隔を調整し、市場に出荷する時に、取り外すことによって低コスト化が可能となる。
【0075】
市場でLPH16を交換が必要な画像形成装置の場合、光照射装置61を画像形成装置の組み立て終了後に取り外す構成では、LPH16と感光体ドラム12の間隔を狙い値に調整する場合に、再び光照射装置61を取り付ける必要があり面倒である。
【0076】
そこで、図9に示すように、LEDアレイ32に隣接して、同様に主走査方向にLEDアレイ58を配列し、LEDアレイ(LED)58から発光された第2光ビームB2を、反射ミラー60、凹面鏡62に反射させ、第1光ビームB1に対してθ°傾けて感光体ドラム12に照射させる。このように、LEDアレイ32と同様に配列されたLEDアレイ58を用いることにより、低コスト化が可能となる。
【0077】
次に、検知パターンL1、L2間を検知した結果を表示する表示手段、検知パターンL1、L2間を検知した結果から、LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を調整する間隔調整手段について説明する。
【0078】
前述のように、モニター(表示手段)57が装置筐体13に設けられており(図1参照)、センサー29によって、検知パターンL1、L2の間隔を検知した結果が作業者に一目で分かるように、モニター57に表示する。また、検知パターンL1、L2の間隔を検知した結果からLPH16の必要調整量を演算して求めた値を表示するようにすれば、LPH16と感光体ドラム12の表面の間隔を調整の際、作業効率が良くなる。
【0079】
また、図5、図9に示すように、LPH16に一端部に設けられた突起50と、本体フレーム52との間には、スペーサ54が設けられている。このスペーサ54の厚みを変えて、LPH16と感光体ドラム12の表面の間隔を調整することが可能となる。すなわち、作業者は、モニター57で必要調整量を確認し、LPH16と感光体ドラム12の表面の間隔が狙い値になるのに必要な厚みのスペーサ54に変えて、調整を行う。
【0080】
LPH16と感光体ドラム12の表面の間隔を調整する間隔調整手段としては、Stepingmotorを使用することが可能である。図10に示すように、LPH16の端部には、本体フレーム52に対して突き当て部材66を設けたStepingmotor64が組み込まれている。
【0081】
このStepingmotor64では、突き当て部66を回転させて、伸び縮みをさせることにより、LPH16と感光体ドラム12の表面の間隔を調整することが可能となる。
【0082】
次に、Stepingmotor64の回転量を調整する制御部について、図11に基づき説明する。
【0083】
図11に示すように、画像データ及び検知データが、制御部(制御手段)80と感光体ドラム12の駆動回路82とに入力されると、画像データが入力された感光体ドラム12は回転駆動し、画像データ及び検知データがされた制御部80は、検知パターン作成信号を光照射装置61のLDの駆動回路84に、画像パターン作成信号をLPH16のLED48の駆動回路86に入力する。
【0084】
これにより、LDが駆動して、第2光ビームB2を感光体ドラム12に照射し、感光体ドラム12上に検知パターンL2が形成される。また、LED48が駆動し、第1光ビームB1を感光体ドラム12に照射し、感光体ドラム12上に検知パターンL1が形成される。
【0085】
この検知パターンL1、L2をセンサ29によって検知し、検知パターンL1、L2の間隔の検知データを制御部80に入力する。検知データが入力された制御部80は、比較回路(演算手段)で検知データと予め設定された規定値Aと比較し、その比較結果をもとに、算出回路(演算手段)でLPH16の必要調整量を算出し、その算出値を記憶回路に記憶する。そして、制御部80は、算出回路で算出された必要調整量に基づく高さ調整制御信号を、Stepingmotor64の駆動回路に入力する。これにより、Stepingmotor64は、突き当て部材66を回転させ、LPH16と感光体ドラム12の表面との間隔を調整する。
【0086】
このように、LPH16と感光体ドラム12の間隔を制御することにより、例えば、温度変化や設置移動が生じて、LPH16と感光体ドラム12の間隔に変動がおきても、頻繁にLPH16と感光体ドラム12の間隔を検知し、その結果をフィードバックしてLPH16と感光体ドラム12の間隔を自動調整することができ、常にLPH16と感光体ドラム12の間隔を最適に保つことが可能である。
【0087】
次に、感光体12の偏心によりLPH16と感光体ドラム12の間隔ずれを補正する構成について説明する。
【0088】
図12に示すように、LPH16の両端部に、光照射装置61をそれぞれ配置し、感光体ドラム12の両端部で形成される検知パターンL1、L2の間隔K、Mを検知する。
【0089】
また、感光体ドラム12の回転軸にロータリエンコーダ(回転検知器)を取り付け、ロータリエンコーダからの感光体ドラム12の回転位置(回転角度)信号を基に、図13に示すように、LPH16と像担持体の間隔を検知するパターンを形成し、そのデータを記憶する。LPH16と像担持体の間隔をが狙い値になるように、その結果をフィードバックし、基準信号を基にStepingmotor64の回転量を制御することで、LPH16と感光体ドラム12の間隔を常に一定にでき、安定した小径のビームを得ることが可能である。
【0090】
以上のようにStepingmotor64等を設けて、LPH16と感光体ドラム12との間隔を調整する構成では、部品点数が増えるため、装置が大型化する。
【0091】
そこで、LPH16と感光体ドラム12との間隔を調整する構成に代えて、LPH16と感光体ドラム12との間隔に応じて、LED48の光量を調整する構成が考えられる。
【0092】
この場合も、LPH16と感光体ドラム12との間隔を調整する場合と同様に、センサ29で検知した検知パターンL1、L2の間隔の検知データを制御部80に入力する。検知データが入力された制御部80は、比較回路(演算手段)で検知データと予め設定された規定値Aと比較し、その比較結果をもとに、算出回路(演算手段)でLED48の必要光量を算出し、その算出値を記憶回路に記憶する。そして、制御部80は、算出回路で算出された必要光量に基づく光量の補正データを、プリント基板40のドライバ46に入力する。ドライバ46はLED48への出力電流を調整し、LED48の光量が調整される(図3参照)。
【0093】
LPH16と感光体ドラム12の間隔が狙い値に対してずれてしまうと、スポットサイズが大きくなり、例えば、1画素の線を照射すると、潜像電位が現像閾値レベルまで達成できずに現像できなくなってしまう。上記のように、LPH16と感光体ドラム12の間隔が狙い値に対してずれている量に応じて各画素の光量を上げることで、1画素の線を現像することが可能である。また、部品点数を増やすことなく、画質劣化を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るLPHの内部構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係るプリント基板上の概略回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る感光体ドラムの回転軸と直交する方向から、感光体ドラム及びLPHを見た断面図である。
【図5】図5は、図4の一端部の構成の拡大図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る検知パターン検知するセンサーを示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る感光体とLPHの間隔と検知パターンの間隔を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係るLPHの内部構成を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係るLPHの内部構成を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係る制御図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るLPHを示す平面図である。
【図13】図13は、感光体とLPHの間隔と検知パターンの間隔を示すグラフである。
【符号の説明】
【0095】
10 画像形成装置
13 画像形成装置
16 LPH(光源装置)
29 センサー(検知手段)
46 ドライバ(光量調整手段)
54 スペーサ(間隔調整手段)
57 モニター(表示手段)
61 光照射装置(光照射手段)
64 Stepingmotor(間隔調整手段)
71 センサー(検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ビームを出射する複数配列された発光素子と、
前記発光素子から出射された第1光ビームを像担持体表面上に結像する複数の結像素子と、を備えた光源装置において、
前記第1光ビームと異なる照射角度で第2光ビームを像担持体表面上に照射し、
前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知し、
検知した静電潜像の間隔から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を検知することを特徴とする間隔検知方法。
【請求項2】
前記第2光ビームの主走査方向から見た照射角度を、前記第1光ビームと同一に設定し、
前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の主走査方向の間隔を検知し、
検知した静電潜像の主走査方向の間隔から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を検知することを特徴とする請求項1に記載の間隔検知方法。
【請求項3】
前記静電潜像を現像することによって形成されるトナー像の間隔を検知することにより、前記静電潜像の間隔を検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の間隔検知方法。
【請求項4】
第1光ビームを出射する複数配列された発光素子と、前記発光素子から出射された第1光ビームを像担持体表面上に結像する複数の結像素子と、を備えた光源装置と、
前記光源装置に設けられ、前記第1光ビームと異なる照射角度で第2光ビームを像担持体表面上に照射する光照射手段と、
前記第1光ビーム及び前記第2光ビームによって像担持体表面上に形成された静電潜像の間隔を検知する検知手段と、
前記検知手段で検知された静電潜像の間隔から前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を演算する演算手段と、
を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記静電潜像が現像されることによって形成されたトナー像の間隔を検知することにより、前記静電潜像の間隔を検知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光照射手段は、前記光源装置に取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光照射手段には、第1ビームを出射する発光素子と平行に発光素子が配列されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記演算手段で演算した結果を表示する表示手段を具備したことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記演算手段で演算した結果から、前記光源装置と前記像担持体の表面との間隔を調整する間隔調整手段を具備したことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記調整手段は、光源装置を画像形成装置の本体フレームに支持するスクリュウ部と、スクリュウ部を回転させるモータで構成され、
前記演算された演算値と予め規定された規定値との差から前記モータの回転量を制御する制御手段を具備したことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、前記モータの回転量を制御することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記演算手段で演算した検知結果から、前記光照射手段の発光素子の光量を調整する光量調整手段を具備したことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光量調整手段は、像担持体の一回転における光源装置との間隔変動パターンに基づき、前記発光素子の光量が決定されることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記検知手段には、複数の光源装置の各々で複数の像担持体の各々に形成されたパターンから色ずれを検知するセンサーが使用されることを特徴とする請求項4〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−181870(P2006−181870A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378019(P2004−378019)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】