防振装置
【課題】 1つの金属材料だけを用いることにより、設計加工を容易とした防振装置を提供すること。
【解決手段】 防振装置は、構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ1と、2つのフランジ1を結合する梁状の首4とを含む。フランジ1は、えぐることによって膜3が形成される。したがって、1つの材料で防振装置を構成することができる。また、垂直方向の振動を吸収することができると共に、垂直方向のばね係数と水平方向のばね係数とを独立して設計することが可能となる。
【解決手段】 防振装置は、構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ1と、2つのフランジ1を結合する梁状の首4とを含む。フランジ1は、えぐることによって膜3が形成される。したがって、1つの材料で防振装置を構成することができる。また、垂直方向の振動を吸収することができると共に、垂直方向のばね係数と水平方向のばね係数とを独立して設計することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直方向および水平方向の振動を遮断し、構造物の振動を防止する技術に関し、特に、1つの材料だけを使った簡単な構造を有する防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振装置においては、垂直方向および水平方向の両方の振動を遮断するために、複数の加工品を組み合わせて構成されている。これに関連する技術として、特開2000−337439号公報、特開平9−14346号公報、特開2002−227898号公報、特開平9−189341号公報、特開2004−169533号公報、特開2003−313883号公報、特開平9−144810号公報、特開平6−346628号公報および特開2000−161430号公報に開示された発明がある。
【0003】
特開2000−337439号公報に開示された全方向振動絶縁懸垂システムは、相互に離間された第1末端と第2末端とを有する第1弾性構造から成る第1振動絶縁装置と、圧縮荷重を受けるように成された第2弾性構造を有し第1振動絶縁装置に軸方向直列に連結された第2振動絶縁装置とを備える。第1弾性構造は、第2末端に対する第1末端の移動に対応する横方向剛さと、物体を支持する軸方向剛さと、軸方向荷重に対応する弾性不安定点とを有し、第2弾性構造は、物体を支持する一端と、軸方向剛さと、圧縮荷重に対応する弾性不安定点でゼロの軸方向剛さとを有する。
【0004】
また、特開平9−14346号公報に開示された発明は、地震等の震動による異方向の変位を吸収させるための免震装置であって、平行する上板と下板との間に、側面視「く」字状に屈曲した屈曲連結板、または垂直板からなる震動吸収用連結板が形成されている鋼板等からなる震動吸収体を、ゴム板等の弾性体を介して上下方向に複数個、震動吸収体の震動吸収用連結板の向きを水平方向にずらして連結した構成よりなる。
【0005】
また、特開2002−227898号公報に開示された免振ダンパーは、ダンパー本体に鋼管を用い、その軸方向両端部の基部を残して基部間の中間部をスパイラル状に切り落とし、基部間の中間部に、基部に連続するスパイラル部を形成するものである。
【0006】
また、特開平9−189341号公報に開示された三次元振動吸収装置においては、相対する二枚の固定板の間に、半楕円状に湾曲して形成された8本の弾性体の両端を接続・固定する。弾性体の中間部は、放射状でかつ等ピッチに配設する。固定板は、取付の際、設置面に固定し、固定板には支持する機器を取付る。
【0007】
また、特開2004−169533号公報に開示された免震支承装置においては、構築物等の基礎と、この基礎上に支持される構築物とにそれぞれ結合固定される免震支承装置のベースプレートとアッパープレートとの間に、複数の半円形弓状の免震用バネ部材を介し、バネ部材の両端を上下両プレートに固定させることにより免震支承装置として一体となり、地震による水平荷重或いは上下方向からの荷重による変位を吸収して地震による揺れを免震をする構成となる。
【0008】
また、特開2003−313883号公報に開示された発明は、建物の揺れを低減する免震装置であって、建物側に装備する凹面を有する受け穴部と、弾性特性を有する支持棒体とからなり、支持棒体と受け穴部との係合により建物を支持することを特徴とするものである。
【0009】
また、特開平9−144810号公報に開示された構造物用3次元免震装置は、水平方向の振動を鉛直方向に積層された積層ゴム体の免震作用で緩和するゴム支承機構と、鉛直方向の振動を鉛直方向に積層された皿バネ積層体の免震作用で緩和する皿バネ支承機構とを備え、皿バネ支承機構に皿バネ積層体に水平方向の振動力が作用しないようにする案内伝達機構と、鉛直方向の静荷重のα%(0≦α<100)を支持する荷重支持部材とを設けたものである。
【0010】
また、特開平6−346628号公報に開示された3次元免震装置は、一対の対向するフランジと、フランジ間に設置されるバネ材とからなり、一方のフランジの対向するフランジ側に突起が突設され、他方のフランジに突起を鉛直方向に相対移動自在に包囲する筒状の係合部が突設された鉛直免震装置と、積層ゴムからなる2個の水平免震装置とから構成され、水平免震装置が鉛直免震装置の軸方向両側に配置され、鉛直免震装置を上下から挟み込み、各フランジに接合される。
【0011】
また、特開2000−161430号公報に開示された3次元免震装置は、第1部材、第2部材、第1摩擦力発生手段、スプリング手段および第2摩擦力発生手段を備える。スプリング手段は第1部材の円柱部の上端面と第2部材の円板部の下面との間に配設される。第1摩擦力発生手段は、上部構造体に取着された第1摺接部材と、円板部の上面に取着された第2摺接部材とで構成される。第2摩擦力発生手段は、第1部材の円柱部の外周面に取着された第3摺接部材と、第2部材の円筒部の内周面に取着された第4摺接部材とで構成される。
【特許文献1】特開2000−337439号公報
【特許文献2】特開平9−14346号公報
【特許文献3】特開2002−227898号公報
【特許文献4】特開平9−189341号公報
【特許文献5】特開2004−169533号公報
【特許文献6】特開2003−313883号公報
【特許文献7】特開平9−144810号公報
【特許文献8】特開平6−346628号公報
【特許文献9】特開2000−161430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1においては、1つの構造物の支持を行うのに10以上のパーツのそれぞれの強度設計が必要であり、さらにそれらをすべて組み合わせたばね定数の動的設計が必要であり、設計および加工に時間と費用とがかかるといった問題点があった。また、コイルバネを利用しているため、高周波数帯域のサージングの問題が避けられないといった問題点もあった。
【0013】
また、特許文献2において、垂直方向は屈曲板と弾性体とで、水平方向は弾性体で振動のエネルギーを吸収する構造となっており、水平方向については弾性体の力を借りているので、弾性体の耐久性に発明品自体の耐久性が依存するといった問題点があった。また、ばね定数は弾性体の寸法に依存するが、垂直方向と水平方向とが連成するため独立のばね定数設計ができないといった問題点もあった。また、複数のパーツから形成されるため、設計および加工に時間と費用とがかかるといった問題点もあった。
【0014】
また、特許文献3においては、金属をスパイラル状に加工することが必要であり、加工に多大な費用がかかると共に、ばね定数の設計は多大な数の実験による経験則が必要になるといった問題点があった。
【0015】
また、特許文献4および特許文献5においては、複数リングの弾性によってばね定数を決定しているため加工が複数必要であり、垂直方向および水平方向のばね定数が連成するので設計が困難になるといった問題点があった。
【0016】
また、特許文献6においては、多数の皿バネを垂直方向に積層し、その皿ばねの剛性で支持棒を支え、支持する構造体との滑りを調整する方法で横方向のばね定数を決定している。したがって、滑りに対するたわみ量で決定される水平方向のばね定数の設計は経験的に求めるしかなく設計が困難となるといった問題点があった。
【0017】
また、特許文献7および8においては、金属のばねと防振ゴムとを使用しているため、設計および加工に時間と費用とがかかり、ゴムの耐久性に発明品自体の耐久性が依存するといった問題点があった。
【0018】
また、特許文献9においては、ばねおよび摩擦力発生手段といった異種のばね機構を組み合わせているため、設計および加工が困難であり、また、摩擦によるばね定数は非線形となって防振設計が非常に困難であるといった問題点があった。
【0019】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、1つの金属材料だけを用いることにより、設計加工を容易とした防振装置を提供することである。
【0020】
第2の目的は、耐久性があり、垂直方向と水平方向とのばね定数を独立して簡単に設計できる防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、構造物の振動を防止する防振装置であって、構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、2つのフランジ部を結合する梁状の首とを含み、2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成される。
【0022】
好ましくは、梁状の首は、付け根にRがつけられた形状を有する。
【0023】
好ましくは、膜は、カーブ形状を有する。
【0024】
好ましくは、梁状の首は、フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられる。
【0025】
好ましくは、防振装置は、2つのフランジ部と梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有する。
【0026】
好ましくは、防振装置は、制振性のある材料によって構成される。
【0027】
好ましくは、防振装置はさらに、構造物と設置場所との間に設けられる減衰材を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、防振装置が構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、2つのフランジ部を結合する梁状の首とで構成されるので、1つの材料で防振装置を構成することが可能となる。
【0029】
また、2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成されるので、垂直方向の振動を吸収することができると共に、垂直方向のばね係数と水平方向のばね係数とを独立して設計することが可能となる。
【0030】
また、梁状の首が付け根にRがつけられた形状を有するので、垂直方向のばね係数を変更できると共に、梁状の首の付け根部分の応力の大きさを調整することが可能となる。
【0031】
また、膜がカーブ形状を有するので、垂直方向の力によって膜に発生する応力を低減することが可能となる。
【0032】
また、梁状の首は、フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられるので、梁状の首の付け根に集中していた応力を分散することが可能となる。
【0033】
また、防振装置が2つのフランジ部と梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有するので、1つ1つのばね構造が堅い場合であっても、柔らかいばねを構成することが可能となる。
【0034】
また、防振装置が制振性のある材料によって構成されるので、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【0035】
また、防振装置がさらに構造物と設置場所との間に設けられる減衰材を含むので、制振性のない材料でばねを構成した場合でも、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、2つのフランジ1と、2つのフランジ1の中央部を結合する梁状の首4とを含む。一方のフランジ1の周囲部分には構造物と結合するためのボルト締結部2が設けられ、ボルトによって構造物と防振装置とが剛に結合される。
【0037】
また、他方のフランジ1の周囲部分には構造物を設置する地面と結合するためのボルト締結部2が設けられ、ボルトによって防振装置と地面とが剛に結合される。2つのフランジ1、またはどちらか一方のフランジ1はボルト締結部2から中央寄りにえぐられており、膜3が形成されている。
【0038】
2つのフランジ1の中央部が梁状の首4で結合されている。この形状は、たとえばフランジ1の直径を有する棒を削りだして形成することもできるし、フランジ1と首4とを別々に作成して溶接することにより形成することもできる。
【0039】
このような構成にすることによって、構造物と地面との振動がそれぞれ上下のフランジ1のボルト締結部2の振動と同一となり、フランジ1に振動に応じた垂直方向または水平方向の力が発生する。
【0040】
垂直方向の力はフランジ1の膜3に対して働くので、膜3の厚さと膜3の半径とで決定されるバネ力が生じる。また、水平方向の力によって、首4に対して曲げの力が働くので、首4の断面2次モーメントと首4の長さとで決定されるばね力が生じる。この両方のばねと構造物の重量とで決定される共振周波数以上で地面から構造物または構造物から地面へ伝達される振動を遮断することができる。
【0041】
フランジ1をえぐることで形成される膜3を上下のフランジ1のいずれか一方に形成した場合は、形成された側の膜3のばね定数が垂直方向のばね定数となる。また、上下ともに膜3を形成した場合は、上部の膜3によるばね定数をk1、下部の膜3によるばね定数をk2とすると、(k1×k2)/(k1+k2)で表されるように2つのばねを直列結合したものがばね定数となる。
【0042】
膜3の半径をa、首3の半径をb、縦弾性係数をE、膜の厚さをh、aとbとの比率で計算される材料力学の定数をαとすると、この防振装置の膜3による垂直方向のばね定数kzは次式で表わすことができる。
【0043】
【数1】
【0044】
また、首4の断面2次モーメントをI、首4の長さをlとすると、この防振装置の首4による水平方向のばね定数kxyは次式で表わすことができる。
【0045】
【数2】
【0046】
このように、独立した寸法設計で垂直方向と水平方向とのばね定数を容易に設計することができる。
【0047】
図2は、本発明の第1の実施の形態における防振装置を用いて構造物を支持したところの一例を示す図である。防振装置6の一方のフランジ1がボルト締結部2を介して構造物5に結合され、防振装置6の他方のフランジ1がボルト締結部2を介して地面に結合される。構造物5の重量をMとすると、防振装置6のばね定数Kによって1自由度の共振が生じる。共振周波数f0は次式で表わすことができる。
【0048】
【数3】
【0049】
図3は、本発明の第1の実施の形態における防振装置6を用いて防振した場合の構造物5の振動加速度応答を示す図である。図3において、太線は地面7の加速度、細線は構造物5の加速度応答を示している。共振周波数f0は110Hzであり、それ以上の周波数で構造物5の加速度応答は減少し、200Hz以上で防振できているのが分かる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態における防振装置によれば、2つのフランジ1と、2つのフランジ1の中央部を結合する梁状の首4とによって構成され、少なくともフランジ1の一方の中央部分をえぐることによって膜3を形成するようにしたので、単一の金属材料で構成することができ、安価に防振装置を製造することが可能となった。
【0051】
また、フランジ1の膜3によるばね作用によって垂直方向の振動を吸収し、首4によるばね作用によって水平方向の振動を吸収するので、垂直方向と水平方向とで独立して容易にばね定数を設計することが可能となった。
【0052】
また、設置空間の大きさを問わずに防振装置を形成することが可能となった。
【0053】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第1の実施の形態において説明した防振装置の構成に加えて、首4の付け根にR(8)をつけたものである。このRによって、ばね定数kzの大きさを変更できると共に、首4の付け根部分の応力の大きさを調整することが可能となる。
【0054】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、上下のフランジ1をえぐって膜3を形成する際、膜3にカーブ9をつけたものである。このカーブ9によって、垂直方向に力がかかったとき膜3に発生する応力を低減でき、第1の実施の形態における防振装置と同じ特性を持ちながら、強度の高いばねを設計することが可能となる。
【0055】
図9は、本発明の第1の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図9(b)に示すように、首4の付け根部分に応力が集中しており、この部分で破断する確率が非常に高くなっている。なお、図9(a)は、第1の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0056】
図10は、本発明の第3の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図10(b)に示すように、第1の実施の形態において首4の付け根に集中していた応力が、第3の実施の形態においては膜3につけたカーブ9の部分にも見られる。このように、第1の実施の形態に比べて応力が分散しており、第1の実施の形態に比べて破断の確率が低くなっているのが分かる。なお、図10(a)は、第3の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0057】
(第4の実施の形態)
図6は、本発明の第4の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第3の実施の形態において説明した防振装置の構成に加えて、上下のフランジ1をえぐって膜3を形成する際、首4の部分もえぐったものである。この首4の抉り10によって、首4と膜3との間に発生する応力を低減することができる。
【0058】
図11は、本発明の第4の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図11(b)に示すように、第1の実施の形態において首4の付け根に集中していた応力が、第4の実施の形態においては膜3につけたカーブ9の部分にも見られ、さらに膜3に発生する応力レベルが第3の実施の形態よりも小さくなっているのが分かる。したがって、第3の実施の形態に比べて破断の確率が低くなっている。なお、図11(a)は、第4の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0059】
(第5の実施の形態)
図7は、本発明の第5の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第1〜第4の実施の形態において説明したばねを複数直列に結合したものである。このような構成にすることにより、1つのばねが堅い場合でも複数結合することによって柔らかいばねを形成することができる。1つ1つのばねが堅いので、本実施の形態における防振装置は強度的に有利な構成となる。
【0060】
(第6の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態において説明した防振装置の材料は何であっても構わない。たとえば、M2052などの制振合金のような制振性のある材料を防振装置に用いた場合、共振周波数における振幅の増大を小さくすることができる。
【0061】
図8は、制振性のある材料を防振装置に用いることができない場合において、構造物を支持する方法の一例を示す図である。図8に示すように、たとえばノンブレンなどの減衰材11を、構造物5と地面7との間に、防振装置6と並列に配置する。このように構成することによって、制振性のない材料を用いて防振装置を構成した場合でも、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【0062】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における防振装置を用いて構造物を支持したところの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における防振装置6を用いて防振した場合の構造物5の振動加速度応答を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図8】制振性のある材料を防振装置に用いることができない場合において、構造物を支持する方法の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 フランジ、2 ボルト締結部、3 膜、4 首、5 構造物、6 防振装置、7 地面、8 R、9 膜のカーブ、10 首の抉り、11 減衰材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直方向および水平方向の振動を遮断し、構造物の振動を防止する技術に関し、特に、1つの材料だけを使った簡単な構造を有する防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振装置においては、垂直方向および水平方向の両方の振動を遮断するために、複数の加工品を組み合わせて構成されている。これに関連する技術として、特開2000−337439号公報、特開平9−14346号公報、特開2002−227898号公報、特開平9−189341号公報、特開2004−169533号公報、特開2003−313883号公報、特開平9−144810号公報、特開平6−346628号公報および特開2000−161430号公報に開示された発明がある。
【0003】
特開2000−337439号公報に開示された全方向振動絶縁懸垂システムは、相互に離間された第1末端と第2末端とを有する第1弾性構造から成る第1振動絶縁装置と、圧縮荷重を受けるように成された第2弾性構造を有し第1振動絶縁装置に軸方向直列に連結された第2振動絶縁装置とを備える。第1弾性構造は、第2末端に対する第1末端の移動に対応する横方向剛さと、物体を支持する軸方向剛さと、軸方向荷重に対応する弾性不安定点とを有し、第2弾性構造は、物体を支持する一端と、軸方向剛さと、圧縮荷重に対応する弾性不安定点でゼロの軸方向剛さとを有する。
【0004】
また、特開平9−14346号公報に開示された発明は、地震等の震動による異方向の変位を吸収させるための免震装置であって、平行する上板と下板との間に、側面視「く」字状に屈曲した屈曲連結板、または垂直板からなる震動吸収用連結板が形成されている鋼板等からなる震動吸収体を、ゴム板等の弾性体を介して上下方向に複数個、震動吸収体の震動吸収用連結板の向きを水平方向にずらして連結した構成よりなる。
【0005】
また、特開2002−227898号公報に開示された免振ダンパーは、ダンパー本体に鋼管を用い、その軸方向両端部の基部を残して基部間の中間部をスパイラル状に切り落とし、基部間の中間部に、基部に連続するスパイラル部を形成するものである。
【0006】
また、特開平9−189341号公報に開示された三次元振動吸収装置においては、相対する二枚の固定板の間に、半楕円状に湾曲して形成された8本の弾性体の両端を接続・固定する。弾性体の中間部は、放射状でかつ等ピッチに配設する。固定板は、取付の際、設置面に固定し、固定板には支持する機器を取付る。
【0007】
また、特開2004−169533号公報に開示された免震支承装置においては、構築物等の基礎と、この基礎上に支持される構築物とにそれぞれ結合固定される免震支承装置のベースプレートとアッパープレートとの間に、複数の半円形弓状の免震用バネ部材を介し、バネ部材の両端を上下両プレートに固定させることにより免震支承装置として一体となり、地震による水平荷重或いは上下方向からの荷重による変位を吸収して地震による揺れを免震をする構成となる。
【0008】
また、特開2003−313883号公報に開示された発明は、建物の揺れを低減する免震装置であって、建物側に装備する凹面を有する受け穴部と、弾性特性を有する支持棒体とからなり、支持棒体と受け穴部との係合により建物を支持することを特徴とするものである。
【0009】
また、特開平9−144810号公報に開示された構造物用3次元免震装置は、水平方向の振動を鉛直方向に積層された積層ゴム体の免震作用で緩和するゴム支承機構と、鉛直方向の振動を鉛直方向に積層された皿バネ積層体の免震作用で緩和する皿バネ支承機構とを備え、皿バネ支承機構に皿バネ積層体に水平方向の振動力が作用しないようにする案内伝達機構と、鉛直方向の静荷重のα%(0≦α<100)を支持する荷重支持部材とを設けたものである。
【0010】
また、特開平6−346628号公報に開示された3次元免震装置は、一対の対向するフランジと、フランジ間に設置されるバネ材とからなり、一方のフランジの対向するフランジ側に突起が突設され、他方のフランジに突起を鉛直方向に相対移動自在に包囲する筒状の係合部が突設された鉛直免震装置と、積層ゴムからなる2個の水平免震装置とから構成され、水平免震装置が鉛直免震装置の軸方向両側に配置され、鉛直免震装置を上下から挟み込み、各フランジに接合される。
【0011】
また、特開2000−161430号公報に開示された3次元免震装置は、第1部材、第2部材、第1摩擦力発生手段、スプリング手段および第2摩擦力発生手段を備える。スプリング手段は第1部材の円柱部の上端面と第2部材の円板部の下面との間に配設される。第1摩擦力発生手段は、上部構造体に取着された第1摺接部材と、円板部の上面に取着された第2摺接部材とで構成される。第2摩擦力発生手段は、第1部材の円柱部の外周面に取着された第3摺接部材と、第2部材の円筒部の内周面に取着された第4摺接部材とで構成される。
【特許文献1】特開2000−337439号公報
【特許文献2】特開平9−14346号公報
【特許文献3】特開2002−227898号公報
【特許文献4】特開平9−189341号公報
【特許文献5】特開2004−169533号公報
【特許文献6】特開2003−313883号公報
【特許文献7】特開平9−144810号公報
【特許文献8】特開平6−346628号公報
【特許文献9】特開2000−161430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1においては、1つの構造物の支持を行うのに10以上のパーツのそれぞれの強度設計が必要であり、さらにそれらをすべて組み合わせたばね定数の動的設計が必要であり、設計および加工に時間と費用とがかかるといった問題点があった。また、コイルバネを利用しているため、高周波数帯域のサージングの問題が避けられないといった問題点もあった。
【0013】
また、特許文献2において、垂直方向は屈曲板と弾性体とで、水平方向は弾性体で振動のエネルギーを吸収する構造となっており、水平方向については弾性体の力を借りているので、弾性体の耐久性に発明品自体の耐久性が依存するといった問題点があった。また、ばね定数は弾性体の寸法に依存するが、垂直方向と水平方向とが連成するため独立のばね定数設計ができないといった問題点もあった。また、複数のパーツから形成されるため、設計および加工に時間と費用とがかかるといった問題点もあった。
【0014】
また、特許文献3においては、金属をスパイラル状に加工することが必要であり、加工に多大な費用がかかると共に、ばね定数の設計は多大な数の実験による経験則が必要になるといった問題点があった。
【0015】
また、特許文献4および特許文献5においては、複数リングの弾性によってばね定数を決定しているため加工が複数必要であり、垂直方向および水平方向のばね定数が連成するので設計が困難になるといった問題点があった。
【0016】
また、特許文献6においては、多数の皿バネを垂直方向に積層し、その皿ばねの剛性で支持棒を支え、支持する構造体との滑りを調整する方法で横方向のばね定数を決定している。したがって、滑りに対するたわみ量で決定される水平方向のばね定数の設計は経験的に求めるしかなく設計が困難となるといった問題点があった。
【0017】
また、特許文献7および8においては、金属のばねと防振ゴムとを使用しているため、設計および加工に時間と費用とがかかり、ゴムの耐久性に発明品自体の耐久性が依存するといった問題点があった。
【0018】
また、特許文献9においては、ばねおよび摩擦力発生手段といった異種のばね機構を組み合わせているため、設計および加工が困難であり、また、摩擦によるばね定数は非線形となって防振設計が非常に困難であるといった問題点があった。
【0019】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、1つの金属材料だけを用いることにより、設計加工を容易とした防振装置を提供することである。
【0020】
第2の目的は、耐久性があり、垂直方向と水平方向とのばね定数を独立して簡単に設計できる防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、構造物の振動を防止する防振装置であって、構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、2つのフランジ部を結合する梁状の首とを含み、2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成される。
【0022】
好ましくは、梁状の首は、付け根にRがつけられた形状を有する。
【0023】
好ましくは、膜は、カーブ形状を有する。
【0024】
好ましくは、梁状の首は、フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられる。
【0025】
好ましくは、防振装置は、2つのフランジ部と梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有する。
【0026】
好ましくは、防振装置は、制振性のある材料によって構成される。
【0027】
好ましくは、防振装置はさらに、構造物と設置場所との間に設けられる減衰材を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、防振装置が構造物および構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、2つのフランジ部を結合する梁状の首とで構成されるので、1つの材料で防振装置を構成することが可能となる。
【0029】
また、2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成されるので、垂直方向の振動を吸収することができると共に、垂直方向のばね係数と水平方向のばね係数とを独立して設計することが可能となる。
【0030】
また、梁状の首が付け根にRがつけられた形状を有するので、垂直方向のばね係数を変更できると共に、梁状の首の付け根部分の応力の大きさを調整することが可能となる。
【0031】
また、膜がカーブ形状を有するので、垂直方向の力によって膜に発生する応力を低減することが可能となる。
【0032】
また、梁状の首は、フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられるので、梁状の首の付け根に集中していた応力を分散することが可能となる。
【0033】
また、防振装置が2つのフランジ部と梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有するので、1つ1つのばね構造が堅い場合であっても、柔らかいばねを構成することが可能となる。
【0034】
また、防振装置が制振性のある材料によって構成されるので、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【0035】
また、防振装置がさらに構造物と設置場所との間に設けられる減衰材を含むので、制振性のない材料でばねを構成した場合でも、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、2つのフランジ1と、2つのフランジ1の中央部を結合する梁状の首4とを含む。一方のフランジ1の周囲部分には構造物と結合するためのボルト締結部2が設けられ、ボルトによって構造物と防振装置とが剛に結合される。
【0037】
また、他方のフランジ1の周囲部分には構造物を設置する地面と結合するためのボルト締結部2が設けられ、ボルトによって防振装置と地面とが剛に結合される。2つのフランジ1、またはどちらか一方のフランジ1はボルト締結部2から中央寄りにえぐられており、膜3が形成されている。
【0038】
2つのフランジ1の中央部が梁状の首4で結合されている。この形状は、たとえばフランジ1の直径を有する棒を削りだして形成することもできるし、フランジ1と首4とを別々に作成して溶接することにより形成することもできる。
【0039】
このような構成にすることによって、構造物と地面との振動がそれぞれ上下のフランジ1のボルト締結部2の振動と同一となり、フランジ1に振動に応じた垂直方向または水平方向の力が発生する。
【0040】
垂直方向の力はフランジ1の膜3に対して働くので、膜3の厚さと膜3の半径とで決定されるバネ力が生じる。また、水平方向の力によって、首4に対して曲げの力が働くので、首4の断面2次モーメントと首4の長さとで決定されるばね力が生じる。この両方のばねと構造物の重量とで決定される共振周波数以上で地面から構造物または構造物から地面へ伝達される振動を遮断することができる。
【0041】
フランジ1をえぐることで形成される膜3を上下のフランジ1のいずれか一方に形成した場合は、形成された側の膜3のばね定数が垂直方向のばね定数となる。また、上下ともに膜3を形成した場合は、上部の膜3によるばね定数をk1、下部の膜3によるばね定数をk2とすると、(k1×k2)/(k1+k2)で表されるように2つのばねを直列結合したものがばね定数となる。
【0042】
膜3の半径をa、首3の半径をb、縦弾性係数をE、膜の厚さをh、aとbとの比率で計算される材料力学の定数をαとすると、この防振装置の膜3による垂直方向のばね定数kzは次式で表わすことができる。
【0043】
【数1】
【0044】
また、首4の断面2次モーメントをI、首4の長さをlとすると、この防振装置の首4による水平方向のばね定数kxyは次式で表わすことができる。
【0045】
【数2】
【0046】
このように、独立した寸法設計で垂直方向と水平方向とのばね定数を容易に設計することができる。
【0047】
図2は、本発明の第1の実施の形態における防振装置を用いて構造物を支持したところの一例を示す図である。防振装置6の一方のフランジ1がボルト締結部2を介して構造物5に結合され、防振装置6の他方のフランジ1がボルト締結部2を介して地面に結合される。構造物5の重量をMとすると、防振装置6のばね定数Kによって1自由度の共振が生じる。共振周波数f0は次式で表わすことができる。
【0048】
【数3】
【0049】
図3は、本発明の第1の実施の形態における防振装置6を用いて防振した場合の構造物5の振動加速度応答を示す図である。図3において、太線は地面7の加速度、細線は構造物5の加速度応答を示している。共振周波数f0は110Hzであり、それ以上の周波数で構造物5の加速度応答は減少し、200Hz以上で防振できているのが分かる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態における防振装置によれば、2つのフランジ1と、2つのフランジ1の中央部を結合する梁状の首4とによって構成され、少なくともフランジ1の一方の中央部分をえぐることによって膜3を形成するようにしたので、単一の金属材料で構成することができ、安価に防振装置を製造することが可能となった。
【0051】
また、フランジ1の膜3によるばね作用によって垂直方向の振動を吸収し、首4によるばね作用によって水平方向の振動を吸収するので、垂直方向と水平方向とで独立して容易にばね定数を設計することが可能となった。
【0052】
また、設置空間の大きさを問わずに防振装置を形成することが可能となった。
【0053】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第1の実施の形態において説明した防振装置の構成に加えて、首4の付け根にR(8)をつけたものである。このRによって、ばね定数kzの大きさを変更できると共に、首4の付け根部分の応力の大きさを調整することが可能となる。
【0054】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、上下のフランジ1をえぐって膜3を形成する際、膜3にカーブ9をつけたものである。このカーブ9によって、垂直方向に力がかかったとき膜3に発生する応力を低減でき、第1の実施の形態における防振装置と同じ特性を持ちながら、強度の高いばねを設計することが可能となる。
【0055】
図9は、本発明の第1の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図9(b)に示すように、首4の付け根部分に応力が集中しており、この部分で破断する確率が非常に高くなっている。なお、図9(a)は、第1の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0056】
図10は、本発明の第3の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図10(b)に示すように、第1の実施の形態において首4の付け根に集中していた応力が、第3の実施の形態においては膜3につけたカーブ9の部分にも見られる。このように、第1の実施の形態に比べて応力が分散しており、第1の実施の形態に比べて破断の確率が低くなっているのが分かる。なお、図10(a)は、第3の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0057】
(第4の実施の形態)
図6は、本発明の第4の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第3の実施の形態において説明した防振装置の構成に加えて、上下のフランジ1をえぐって膜3を形成する際、首4の部分もえぐったものである。この首4の抉り10によって、首4と膜3との間に発生する応力を低減することができる。
【0058】
図11は、本発明の第4の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。図11(b)に示すように、第1の実施の形態において首4の付け根に集中していた応力が、第4の実施の形態においては膜3につけたカーブ9の部分にも見られ、さらに膜3に発生する応力レベルが第3の実施の形態よりも小さくなっているのが分かる。したがって、第3の実施の形態に比べて破断の確率が低くなっている。なお、図11(a)は、第4の実施の形態における防振装置の応力計算モデルを示している。
【0059】
(第5の実施の形態)
図7は、本発明の第5の実施の形態における防振装置の断面図である。この防振装置は、第1〜第4の実施の形態において説明したばねを複数直列に結合したものである。このような構成にすることにより、1つのばねが堅い場合でも複数結合することによって柔らかいばねを形成することができる。1つ1つのばねが堅いので、本実施の形態における防振装置は強度的に有利な構成となる。
【0060】
(第6の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態において説明した防振装置の材料は何であっても構わない。たとえば、M2052などの制振合金のような制振性のある材料を防振装置に用いた場合、共振周波数における振幅の増大を小さくすることができる。
【0061】
図8は、制振性のある材料を防振装置に用いることができない場合において、構造物を支持する方法の一例を示す図である。図8に示すように、たとえばノンブレンなどの減衰材11を、構造物5と地面7との間に、防振装置6と並列に配置する。このように構成することによって、制振性のない材料を用いて防振装置を構成した場合でも、共振周波数における振幅の増大を小さくすることが可能となる。
【0062】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における防振装置を用いて構造物を支持したところの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における防振装置6を用いて防振した場合の構造物5の振動加速度応答を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における防振装置の断面図である。
【図8】制振性のある材料を防振装置に用いることができない場合において、構造物を支持する方法の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態における防振装置に垂直方向の力を加えた場合の応力計算結果を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 フランジ、2 ボルト締結部、3 膜、4 首、5 構造物、6 防振装置、7 地面、8 R、9 膜のカーブ、10 首の抉り、11 減衰材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の振動を防止する防振装置であって、
前記構造物および前記構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、
前記2つのフランジ部を結合する梁状の首とを含み、
前記2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成される、防振装置。
【請求項2】
前記梁状の首は、付け根にRがつけられた形状を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記膜は、カーブ形状を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項4】
前記梁状の首は、前記フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられる、請求項1記載の防振装置。
【請求項5】
前記防振装置は、前記2つのフランジ部と前記梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項6】
前記防振装置は、制振性のある材料によって構成される、請求項1〜5のいずれかに記載の防振装置。
【請求項7】
前記防振装置はさらに、前記構造物と前記設置場所との間に設けられる減衰材を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の防振装置。
【請求項1】
構造物の振動を防止する防振装置であって、
前記構造物および前記構造物の設置場所のそれぞれに締結される2つのフランジ部と、
前記2つのフランジ部を結合する梁状の首とを含み、
前記2つのフランジ部の少なくとも一方は、えぐることによって膜が形成される、防振装置。
【請求項2】
前記梁状の首は、付け根にRがつけられた形状を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記膜は、カーブ形状を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項4】
前記梁状の首は、前記フランジ部の膜が形成される面と同じ面がえぐられる、請求項1記載の防振装置。
【請求項5】
前記防振装置は、前記2つのフランジ部と前記梁状の首とを含むばね構造を複数直列に連結した構造を有する、請求項1記載の防振装置。
【請求項6】
前記防振装置は、制振性のある材料によって構成される、請求項1〜5のいずれかに記載の防振装置。
【請求項7】
前記防振装置はさらに、前記構造物と前記設置場所との間に設けられる減衰材を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の防振装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−258260(P2006−258260A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79968(P2005−79968)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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