説明

防振装置

【課題】縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する軸線方向の位置ずれを抑制し、制振性能を向上させる。
【解決手段】弾性体13は、内筒部材11の軸線Oを径方向に挟む両側に各別に配置された一対の脚部15を有し、各脚部は、先端部17がブラケット部材12の内周面に圧接する一対の脚片18と、これら一対の脚片同士を周方向に連結し、かつブラケット部材の内周面に圧接する連結壁20と、を備え、一対の脚片同士の周方向の隙間は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなり、ブラケット部材の内周面には、一対の脚片の各先端部に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部21と、脚部の連結壁の外周面に配設された被係合部22が係合する係合部23と、が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒部材、および他方に連結される筒状のブラケット部材と、これらの内筒部材とブラケット部材とを弾性的に連結する弾性体と、を備える防振装置が知られている。
そして従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、弾性体が、内筒部材の軸線を径方向に挟む両側に各別に配置された一対の脚部を有し、各脚部が、内筒部材側から径方向の外側に向けて突出しその先端部がブラケット部材の内周面に圧接し、かつ周方向に間隔をあけて配設された一対の脚片と、これら一対の脚片同士を周方向に連結する連結壁と、を備える防振装置が知られている。
さらに、この文献1記載の防振装置では、一対の脚片同士の周方向の隙間が、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなり、また、ブラケット部材に、一対の脚部の各先端部に前記軸線方向の両側から各別に当接若しくは近接する一対のストッパ壁部が配設されている。
以上の構成において、各脚部に、周方向の隙間が径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなる一対の脚片を備えさせることにより、径方向のうち脚部が内筒部材側から突出する方向のばね定数(以下、縦ばね定数という)が低減され制振性能が向上される。
その一方で、一対の脚片が変形し易くなることによって、一対の脚片同士の周方向の隙間が変動し易くなったり、内筒部材および弾性体がブラケット部材に対して前記軸線方向に位置ずれし易くなるおそれがある。
そこで前者については、前記連結壁により、一対の脚片同士の周方向の隙間の変動が抑えられ、前記縦ばね定数を安定させることが可能になり、後者については、脚部の先端部をストッパ壁部に当接させることにより、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する前記軸線方向の位置ずれを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振装置では、ブラケット部材にストッパ壁部が配設されているので、重量やコストが増大するおそれがあり、また制振性能を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する軸線方向の位置ずれを抑制することができ、制振性能を向上させることができる防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒部材、および他方に連結される筒状のブラケット部材と、これらの内筒部材とブラケット部材とを弾性的に連結する弾性体と、を備える防振装置であって、前記弾性体は、前記内筒部材の軸線を径方向に挟む両側に各別に配置された一対の脚部を有し、各脚部は、前記内筒部材側から径方向の外側に向けて突出しその先端部が前記ブラケット部材の内周面に圧接し、かつ周方向に間隔をあけて配設された一対の脚片と、これら一対の脚片同士を周方向に連結し、かつ前記ブラケット部材の内周面に圧接する連結壁と、を備え、前記一対の脚片同士の周方向の隙間は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなり、前記ブラケット部材の内周面には、前記一対の脚片の各先端部に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部と、前記脚部の連結壁の外周面に配設された被係合部が係合する係合部と、が配設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、一対の脚片同士の周方向の隙間が、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなっているので、径方向のうち脚部が内筒部材側から突出する方向のばね定数(以下、縦ばね定数という)が抑えられ、良好な制振性能を具備させることができる。
また、ブラケット部材の内周面に、脚部の連結壁の外周面に配設された被係合部が係合する係合部が配設されているので、ブラケット部材に、例えば一対の脚部に前記軸線方向の両側から各別に当接若しくは近接する一対のストッパ壁部等を配設しなくても、連結壁の被係合部をブラケット部材の係合部に係合させることにより、内筒部材および弾性体が、ブラケット部材に対して前記軸線方向に位置ずれするのを抑制することができる。
以上より、縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する前記軸線方向の位置ずれを抑制することができる。
また、ブラケット部材の内周面に、一対の脚片の各先端部に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部が配設されているので、内筒部材および弾性体を、ブラケット部材に対して前記軸線方向のみならず周方向にも位置ずれし難くすることが可能になり、ブラケット部材に対する内筒部材および弾性体の位置を安定させることで、制振性能をより一層確実に向上させることができる。
さらに被係合部が、一対の脚片同士を周方向に連結する連結壁に配設されているので、連結壁を径方向の内側に向けて押圧して弾性変形させ、被係合部を径方向の内側に変位させた状態で、弾性体を内筒部材とともにブラケット部材内に前記軸線方向に圧入することが可能になる。したがって、この圧入に際し、被係合部がブラケット部材に引っ掛かる、または係合部が連結壁に引っ掛かるのを抑制することが可能になり、弾性体をブラケット部材内に容易に圧入することができる。
【0008】
ここで、前記被係合部は、前記連結壁に径方向の外側に向けて突設され、前記係合部は、前記ブラケット部材の内周面に凹設されてもよい。
【0009】
この場合、前述の圧入に際し、突状の被係合部がブラケット部材に引っ掛かって切れるのを抑えることができる。
【0010】
また、本発明のエンジンユニットは、エンジンと、該エンジンの慣性主軸方向に間隔をあけて配設され該エンジンの荷重を支持する一対のエンジンマウントと、前記エンジンと車体との間に配設されて前記エンジンのロール方向の振動を制振する防振装置と、を備えるエンジンユニットであって、前記防振装置が本発明の防振装置とされ、該防振装置は、前記軸線方向から見た平面視で、該軸線と前記エンジンの重心とを結ぶ直線上に、前記一対の脚部が位置するように配設されていることを特徴とする。
【0011】
この場合、防振装置が、前記平面視で、前記軸線とエンジンの重心とを結ぶ直線上に、一対の脚部が位置するように配設されているので、前述の作用効果が有効に奏功されるとともに、内筒部材および弾性体が、ブラケット部材に対して前記軸線方向に位置ずれするのを抑制すること、並びに耐久性を確保することを両立させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る防振装置によれば、縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する軸線方向の位置ずれを抑制することができ、制振性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した防振装置の平面図である。
【図2】図1に示す防振装置のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1および図2に示す防振装置を装着したエンジンユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る防振装置の一実施形態を、図1、図2および図3を参照しながら説明する。
本実施形態の防振装置1は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒部材11、および他方に連結されるブラケット部材12と、これらの内筒部材11とブラケット部材12とを弾性的に連結する弾性体13と、を備えている。
なお、防振装置1は、例えば自動車用のサスペンションブッシュやエンジンマウント、あるいは工場に設置される産業機械のマウント等として用いられる。
【0015】
内筒部材11は円筒状に形成されるとともに、ブラケット部材12は平面視四角形状の筒状に形成されている。内筒部材11は、その中心軸線がブラケット部材12の中心軸線と平行にされた状態で、このブラケット部材12の内側に配設されている。以下、内筒部材11の中心軸線を軸線Oといい、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
内筒部材11およびブラケット部材12はそれぞれ、例えばステンレス鋼等の金属材料若しくは合成樹脂材料等で形成されている。これら内筒部材11およびブラケット部材12それぞれの前記軸線O方向の中央部同士は互いに一致している。内筒部材11は、ブラケット部材12よりも前記軸線O方向の長さが長くなっていて、内筒部材11の軸線O方向の両端部は、ブラケット部材12から軸線O方向の外側に突出している。
【0016】
弾性体13は、内周面が全域にわたって内筒部材11の外周面に接着された環状本体部14と、環状本体部14(内筒部材11側)から径方向の外側に向けて突出しかつ前記軸線Oを径方向に挟む両側に各別に配置された一対の脚部15と、環状本体部14において一対の脚部15同士の間に位置する部分から径方向の外側に向けて各別に突出する一対のストッパゴム部16と、を備えている。
なお、脚部15およびストッパゴム部16それぞれの、環状本体部14の外周面上における周方向の大きさは互いに同等になっている。
ストッパゴム部16の外周面とブラケット部材12の内周面との間に径方向の隙間が設けられている。ストッパゴム部16の周方向の中央部には、径方向の内側に向けて窪む溝16aが前記軸線O方向の全長にわたって形成されている。
【0017】
各脚部15は、環状本体部14から径方向の外側に向けて突出しその先端部17がブラケット部材12の内周面に圧接し、かつ周方向に間隔をあけて配設された一対の脚片18と、これら一対の脚片18同士を周方向に連結し、かつブラケット部材12の内周面に圧接する連結壁20と、を備えている。
4つの脚片18は、弾性体13の平面視で軸線Oを基準に点対称となる位置に各別に配置されている。一対の脚片18同士の周方向の隙間は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなっている。脚片18およびブラケット部材12それぞれの前記軸線O方向の大きさは互いに同等になっている。また、脚片18およびブラケット部材12それぞれの前記軸線O方向の中央部同士は互いに一致している。
連結壁20は、脚片18よりも前記軸線O方向の大きさが小さくなっている。連結壁20および脚片18それぞれの前記軸線O方向の中央部同士は互いに一致している。連結壁20は、径方向の外側から見た平面視で周方向に長い長方形状をなす帯状に形成されている。
【0018】
連結壁20の径方向の大きさは、例えば約2mm〜約5mm、好ましくは約3.5mmとなっている。約2mmより薄くなると、強度が低く耐久性が悪化するおそれがあり、また約5mmより厚くなると、弾性体13を内筒部材11とともにブラケット部材12内に前記軸線O方向に圧入するときに、連結壁20が変形し難く被係合部22がブラケット部材12に引っ掛かり易くなる等のおそれがある。
連結壁20の周方向の大きさは、例えば約15mm〜約40mm、好ましくは約26mmとなっている。約15mmより短くなると、前述の圧入時に連結壁20が変形し難く被係合部22がブラケット部材12に引っ掛かり易くなる等のおそれがあり、約40mmより長くなると、脚部15のばね定数が低くなりすぎる等設計の自由度が阻害されるおそれがある。
なおこのように、連結壁20の径方向の大きさを約2mm〜約5mmとし、かつ連結壁20の周方向の大きさを約15mm〜約40mmとすることによって、弾性体13を内筒部材11とともにブラケット部材12内に前記軸線O方向に容易に圧入することができるとともに、ブラケット部材12および内筒部材11の相対変位に連結壁20を確実に追従させることが可能になり、内筒部材11および弾性体13が、ブラケット部材12に対して前記軸線O方向に位置ずれするのを抑制することができる。
【0019】
ブラケット部材12の内周面には、一対の脚片18の各先端部17に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部21と、脚部15の連結壁20の外周面に配設された被係合部22が係合する係合部23と、が配設されている。
ここで、ブラケット部材12を前記軸線O方向から見た平面視形状は、一対の脚部15が環状本体部14から径方向の外側に向けて突出する方向に長い長方形状に形成されていて、この長方形状がなす各角部が、短手方向の内側に向けて絞られることによって前記支持突部21が形成されている。
【0020】
脚部15の連結壁20の被係合部22は、該連結壁20に径方向の外側に向けて突設され、ブラケット部材12の係合部23は、該ブラケット部材12の内周面に凹設されている。被係合部22は、連結壁20における周方向および前記軸線O方向の双方向の中央部に配設され、円柱状に形成されている。係合部23は、ブラケット部材12を径方向に貫く貫通孔となっている。なお、係合部23は、ブラケット部材12のうち、短手方向に延びる部分における周方向および前記軸線O方向の双方向の中央部に形成されている。
【0021】
そして、以上のように構成された防振装置1は、図3に示されるように、エンジン2と、エンジン2の慣性主軸C方向に間隔をあけて配設されエンジン2の荷重を支持する一対のエンジンマウントMと、を備えるエンジンユニット3に搭載されて用いられる。
防振装置1は、エンジン2と車体4との間に配設されてエンジン2のロール方向の振動を制振する。この防振装置1は、図3に示されるような前記軸線O方向から見た平面視で、該軸線Oとエンジン2の重心Gとを結ぶ直線L上に、一対の脚部15が位置するように配設される。図示の例では、防振装置1は、前記軸線O方向から見た平面視で、一対の脚片18が前記直線Lに対して線対称をなすように配設されている。
防振装置1の前記軸線Oおよび慣性主軸Cは、鉛直方向に交差する方向に延在している。図示の例では、防振装置1の前記軸線Oは、水平方向のうち車両左右方向に沿って延在している。
また、防振装置1は、前記軸線Oが、エンジン2の重心Gより鉛直方向の下方でかつ車両の後方に位置するように配設されている。図示の例では、ブラケット部材12が、受け台5を介して車体4に取り付けられ、内筒部材11がブラケット6を介してエンジン2に取り付けられている。
【0022】
以上説明したように、本実施形態による防振装置1によれば、一対の脚片18同士の周方向の隙間が、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなっているので、径方向のうち脚部15が環状本体部14から突出する方向のばね定数(以下、縦ばね定数という)が抑えられ、良好な制振性能を具備させることができる。
また、ブラケット部材12の内周面に、脚部15の連結壁20の外周面に配設された被係合部22が係合する係合部23が配設されているので、ブラケット部材12に、例えば一対の脚部15に前記軸線O方向の両側から各別に当接若しくは近接する一対のストッパ壁部等を配設しなくても、連結壁20の被係合部22をブラケット部材12の係合部23に係合させることにより、内筒部材11および弾性体13が、ブラケット部材12に対して前記軸線O方向に位置ずれするのを抑制することができる。
以上より、縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材11および弾性体13のブラケット部材12に対する前記軸線O方向の位置ずれを抑制することができる。
【0023】
また、ブラケット部材12の内周面に、一対の脚片18の各先端部17に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部21が配設されているので、内筒部材11および弾性体13を、ブラケット部材12に対して前記軸線O方向のみならず周方向にも位置ずれし難くすることが可能になり、ブラケット部材12に対する内筒部材11および弾性体13の位置を安定させることで、制振性能をより一層確実に向上させることができる。
【0024】
さらに被係合部22が、一対の脚片18同士を周方向に連結する連結壁20に配設されているので、連結壁20を径方向の内側に向けて押圧して弾性変形させ、被係合部22を径方向の内側に変位させた状態で、弾性体13を内筒部材11とともにブラケット部材12内に前記軸線O方向に圧入することが可能になる。
したがって、この圧入に際し、突状の被係合部22がブラケット部材12に引っ掛かって切れるのを抑えることが可能になり、弾性体13をブラケット部材12内に容易に圧入することができる。
【0025】
また、支持突部21が、平面視長方形状の筒状に形成されたブラケット部材12の各角部を短手方向の内側に向けて絞ることによって形成されていて、ブラケット部材12と別部材ではないので、重量やコストを増大させずに、内筒部材11および弾性体13のブラケット部材12に対する周方向の位置ずれを抑えることができる。
そして、以上の防振装置1が装着されたエンジンユニット3によれば、防振装置1が、前記平面視で、前記軸線Oとエンジン2の重心Gとを結ぶ直線L上に、一対の脚部15が位置するように配設されているので、前述の作用効果が有効に奏功されるとともに、内筒部材11および弾性体13が、ブラケット部材12に対して前記軸線O方向に位置ずれするのを抑制すること、並びに耐久性を確保することを両立させることができる。
【0026】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0027】
例えば前記実施形態では、係合部23として貫通孔を示したが、径方向に非貫通の凹部であってもよく、また、被係合部22を連結壁20の外周面に突設し、係合部23をブラケット部材12の内周面に凹設したが、被係合部22を連結壁20の外周面に凹設し、係合部23をブラケット部材12の内周面に径方向の内側に向けて突設してもよい。
また、支持突部21は、前記実施形態に限らず、例えば部材を溶接して形成する等適宜変更してもよい。
【0028】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
縦ばね定数を低減しても、重量やコストの増大を抑えつつ、内筒部材および弾性体のブラケット部材に対する軸線方向の位置ずれを抑制することができ、制振性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 防振装置
2 エンジン(振動発生部)
3 エンジンユニット
4 車体(振動受部)
11 内筒部材
12 ブラケット部材
13 弾性体
15 脚部
17 先端部
18 脚片
20 連結壁
21 支持突部
22 被係合部
23 係合部
C 慣性主軸
G 重心
L 直線
M エンジンマウント
O 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒部材、および他方に連結される筒状のブラケット部材と、
これらの内筒部材とブラケット部材とを弾性的に連結する弾性体と、
を備える防振装置であって、
前記弾性体は、前記内筒部材の軸線を径方向に挟む両側に各別に配置された一対の脚部を有し、
各脚部は、
前記内筒部材側から径方向の外側に向けて突出しその先端部が前記ブラケット部材の内周面に圧接し、かつ周方向に間隔をあけて配設された一対の脚片と、
これら一対の脚片同士を周方向に連結し、かつ前記ブラケット部材の内周面に圧接する連結壁と、
を備え、
前記一対の脚片同士の周方向の隙間は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくなり、
前記ブラケット部材の内周面には、
前記一対の脚片の各先端部に、互いに対向する周方向の内側と反対の外側から圧接する支持突部と、
前記脚部の連結壁の外周面に配設された被係合部が係合する係合部と、
が配設されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
請求項1記載の防振装置であって、
前記被係合部は、前記連結壁に径方向の外側に向けて突設され、
前記係合部は、前記ブラケット部材の内周面に凹設されていることを特徴とする防振装置。
【請求項3】
エンジンと、
該エンジンの慣性主軸方向に間隔をあけて配設され該エンジンの荷重を支持する一対のエンジンマウントと、
前記エンジンと車体との間に配設されて前記エンジンのロール方向の振動を制振する防振装置と、
を備えるエンジンユニットであって、
前記防振装置が請求項1記載の防振装置とされ、
該防振装置は、前記軸線方向から見た平面視で、該軸線と前記エンジンの重心とを結ぶ直線上に、前記一対の脚部が位置するように配設されていることを特徴とする防振装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−197877(P2012−197877A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62733(P2011−62733)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】