説明

防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法

【課題】 本発明の課題は、防水材として、耐水性、貯蔵安定性、調色性、物性に優れ、ハロゲン系難燃剤を用いることなく環境に配慮した高度な難燃性をも発揮する防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、エチレン性不飽和単量体に溶解したビニルエステル樹脂(A)、及び有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)を含有することを特徴とする防水用トップコート材用組成物、及びそれを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐水性、貯蔵安定性、調色性、物性に優れ、ハロゲン系難燃剤を用いることなく環境に配慮した高度な難燃性をも発揮する防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根の防水工法は、過去においては、アスファルト防水にコンクリート保護工法が主流であったため、飛び火性能について問題は生じなかった。しかし近年では、耐火性に優れたメンブレン防水工法が開発されていることや、建物の軽量化や工期の短縮を目的として露出工法が多用されている。
【0003】
2002年の建築基準法の改正により、新たに屋根に要求される性能として飛び火に対する安全性が加えられた。旧法では、屋根は不燃材料で造るか葺くことが要求されていたものに代わるものである。
【0004】
法改正により露出防水工法による屋根は、建設省告示1365号に例示される屋根仕様とするか、技術的基準に基づく屋根の飛び火試験を実施し大臣認定を取得することが必要となった。このような法規制のもと露出防水工法における難燃性防水トップコート用樹脂の開発が重要課題となった。
【0005】
そこで、下地に不燃性・難燃性平板を用いて、その上にFRP防水層を形成して、最上層に難燃化不飽和ポリエステルに水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ジブロムテトラヒドロ無水フタル酸系樹脂等を用いることが提案されているが、充分な防水性が得られないものであった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−331632
【特許文献2】特開2004−115795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、防水材として、耐水性、貯蔵安定性、調色性、物性に優れ、ハロゲン系難燃剤を用いることなく環境に配慮した高度な難燃性をも発揮する防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、各種難燃剤と防水材とについて鋭意研究した結果、特定の難燃剤と特定の樹脂とを用いれば解決することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、エチレン性不飽和単量体に溶解したビニルエステル樹脂(A)、及び有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)を含有することを特徴とする防水用トップコート材用組成物、及びそれを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、防水材として、耐水性、貯蔵安定性、調色性、物性に優れ、ハロゲン系難燃剤を用いることなく環境に配慮した高度な難燃性をも発揮する防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において使用するエチレン性不飽和単量体に溶解したビニルエステル樹脂(A)とは、分子内部に活性水素基を有しかつ分子末端に(メタ)アクリレート基を有するポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)、及び/または分子内部に活性水素基を有しかつ分子末端に(メタ)アクリレート基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)である。
【0012】
尚、溶解に使用されるエチレン性不飽和単量体としては、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラプロムフタレート等のアリルモノマー類;アクリルニトリル、グリシジルメタクリレート、n−メチロールアクリルアミド−ブチルエーテル、n−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド等の他のモノマーも併用することができる。しかし、臭気や環境汚染を考慮すると、後述するエチレン性不飽和単量体が25mmHgの減圧時に沸点100℃以上で、且つ常温で液状である(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。
【0013】
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)とは、好ましくは飽和または不飽和ポリエステルのカルボキシル基と不飽和グリシジル化合物のエポキシ基とを付加反応せしめた飽和又は不飽和ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂と指称されるものの単独もしくは混合物からなり、好ましくは分子量500以上で、二重結合力価が250以上を有してなるものであり、重合性不飽和単量体モノマーに溶解して使用するもので、混合溶液をいう。重合性不飽和単量体を併用する場合、該ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)の固形分含有量は30〜60重量%が好適である。尚、該ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の構成成分であるポリエステルは、グリコール成分、必要によりトリオール成分と二塩基酸、必要により三塩基酸成分とのエステル反応により得られるものである。その際、必要により、モノエポキシ化合物やポリエポキシ化合物を併用してもよい。
【0014】
前記飽和ポリエステルの原料となるグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等に代表されるアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等に代表されるポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等に代表される2価フェノールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加反応生成物などがある。トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどがある。テトラオール単位としてはペンタエリスリトール、ジグリセロール、1,2,3,4−ブタンテトラオールなどがある。
【0015】
前記二塩基酸(無水物)としては、o−フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロルフタル酸、テトラブロモフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,1,2−ドデカン酸、イタコン酸、ハイミッタ酸、ヘット酸などがあり、3塩基酸単位としては、トリメリット酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2,3,6−ヘキサヒドロフタル酸などがあり、4塩基酸単位としてはピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などがある。
【0016】
前記モノエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド、フェニルダリシジルエーテルなどが挙げられる。また、ポリエポキシ化合物としては、いわゆるジエポキシ化合物を好適に使用することができ、例えば日刊工業新聞社発行プラスチック材料講座1「エポキシ樹脂」(昭和11年5月10日発行、縞本邦之編著)第19頁〜第48頁に記載されたエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0017】
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)の製法としては、例えばグリコール、必要により3価アルコールと(メタ)アクリル酸及び二塩基酸、必要により3価以上の多塩基酸とのエステル化反応による方法が一般的であるが、(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物と二塩基酸、必要により3価以上の多塩基酸とのエステル化による製造方法でもよい。
【0018】
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)の構成成分となる不飽和ポリエステルとは、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物と芳香族飽和二塩基酸またはその酸無水物と、グリコール類の重縮合によって製造され、場合によって酸成分として脂肪族あるいは脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造されるものが挙げられる。
【0019】
前記のα,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等である。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して使用される。
【0020】
前記グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA,エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、単独或いは併用して使用されるが、そのほかにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の付加物も同様に使用できる。また、グリコール類と酸成分の一部として水酸基又はカルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレート等の重縮合物も使用できる。
【0021】
前記不飽和グリジジル化合物としては、アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和一塩基酸のグリシジルエステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等があり、グリシジルアクリレートが好ましい。
【0022】
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)の数平均分子量は、好ましくは1000〜3000、特に好ましくは1500〜2800である。その分子量が1000〜3000であれば、得られる硬化物の粘着性がなくなり、強度物性も高く、また硬化時間が短く生産性に優れる。
【0023】
本発明において使用し得る分子内に活性水素基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)とは、好ましくはポリエポキシ化合物のエポキシ基を不飽和一塩基酸のカルボキシル基と当量比で1対2となるよう反応せしめて得られる不飽和エポキシ化合物と称されるものの単独もしくは混合物からなるものが好適である。
【0024】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)とは、好ましくはビスフェノールタイプのエポキシ樹脂単独又はビスフェノールタイプのエポキシ樹脂とノボラックタイプのエポキシ樹脂とを混合した樹脂が選択され、その平均エポキシ当量が好ましくは150から450の範囲にあるエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒の存在下で反応して得られる不飽和エポキシ化合物である。
【0025】
前記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂として代表的なものを挙げれば、エピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくは、メタルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などである。また、上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂として代表的なものには、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などがある。
【0026】
前記不飽和一塩基酸として代表的なものには、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブテンマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどがある。なお、これらの不飽和−塩基酸は単独でも、2種以上混合しても用いられる。かかる不飽和一塩基酸としては(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0027】
前記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度においてエステル化触媒を用いて行われる。
【0028】
前記エステル化触媒としては、たとえばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン若しくはジアザビシクロオクタンなどの如き三級アミン、;あるいはジエチルアミン塩酸塩などの如き公知の触媒がそのまま使用できる。
【0029】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)の数平均分子量は、好ましくは900〜2500、特に好ましくは1300〜2200である。かかる分子量が900〜2500であると、得られる硬化物の粘着性がなく、強度物性も高く、また硬化時間が短く生産性も高い。
【0030】
本発明の組成物には、塗膜の柔軟性を付与するためウレタン(メタ)アクリレート樹脂、及び/又は空気硬化性(空乾性)を付与する目的で空乾性付与型重合体を添加することができる。
【0031】
かかる空乾性付与型重合体とは、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂等に空乾性成分を導入することにより得られるものである。不飽和ポリエステルやビニルエステル樹脂等に必須成分として空乾性成分を導入する方法としては、次のものが挙げられる。
(1)グリコール成分として-0-CH2-CH=CH2 で示されるアリルエーテル基を含有する化合物を併用することにより分子内に導入する。
(2)酸成分に環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体を含有する化合物を併用することにより分子内に導入する。
(3)ジシクロペンタジエンを含有する化合物を併用することにより分子内に導入する。
(4)乾性油やエポキシ反応性希釈剤を併用して反応せしめることにより導入する。
【0032】
前記アリルエーテル基含有化合物としては、公知のものがいずれも使用できるが、その代表的なものとしては、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどの多価アルコール類のアリルエーテル化合物、アリルグリシジルエーテルなどの如きオキシラン環を有するアリルエーテル化合物などが挙げられる。
【0033】
前記空乾性付与型重合体としての不飽和ポリエステルやビニルエステル樹脂のグリコール成分として他に併用するものとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブチンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA,水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、単独あるいは併用される。その他のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。また、グリコール類と酸成分の一部としてポリエチレンテレフタレート等の重縮合物も使用できる。
【0034】
前記環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体からなる化合物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、α−テルヒネン−無水マレイン酸付加物、ロジン、エステルガム等がある。
【0035】
また、これらと単独あるいは混合して使用するα、β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アセライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独あるいは併用される。さらにグリコールと酸より合成される不飽和アルキッド樹脂の末端カルボキシル基とグリシジル基を有する反応性モノマーを反応させて得られる樹脂も使用できる。グリシジル基を有する反応性モノマーの代表的なものとしてグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等がある。
【0036】
さらに、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボン酸とその無水物(β−PMAAと略記する。)も使用でき、これらはトランス−ピペリレンとマレイン酸無水物との付加物あるいはこの付加物の中の酸無水基が開環したものである。ジシクロペンタンジエンを含有する化合物の代表的なものとしては、ヒドロキシ化ジシクロペンタンジエン等が挙げられる。
【0037】
乾性油としては、アマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油など、あるいはこれらの脂肪油とグリセリンなどの多価アルコールとの反応物等がある。
【0038】
また、エポキシ反応性希釈剤としては、モノエポキシ化合物、ポリエポキシ化合物等がある。前者としてはアリルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタアクリル酸エステル、カージュラE等があり、後者としてはユノックス206、エピコート812、DGE、BDO等がある。
【0039】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂とは、ポリイソシアネートと水酸基を含有する(メタ)アクリレートと環状脂肪族不飽和二塩基酸および多価アルコールを原料とするポリエステルポリオールとを反応させて得られる化合物である。この化合物は、末端に(メタ)アクリロイル基などの官能基を有するオリゴマーである。
【0040】
またポリイソシアネートとしては、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。また各種イソシアネート化合物をイソシアヌレート化せしめて得られるイソシアヌレート化合物も挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
【0041】
水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
【0042】
ポリエステルポリオールの原料である環状脂肪族不飽和二塩基酸および多価アルコールは、前記で掲げたものを使用することができる。
【0043】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート樹脂の数平均分子量は、300〜10000であり、このうち硬化物の物性の点で、500〜5000のものが好ましい。
【0044】
本発明での(A)成分には、主成分である、分子内に活性水素基を有し、かつ末端に(メタ)アクリレート基を有するポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)及び/又は分子内に活性水素基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)の他に、硬化収縮を低減する目的で低収縮化剤を添加することができる。かかる低収縮化剤としては、熱可塑性樹脂が望ましく、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエスル類、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの単量体の単独重合体又は共重合体類、前記ビニル単量体の少なくとも1種と、ラウリルメタクリレート、イソビニルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシルアルキルアクリレート又はメタクリレート、アクリニトリル、メタクリルロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、セチルステアリルメタクリレートよりなる単量体の少なくとも1種の共重合体などのほかセルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、飽和ポリエステル等を挙げることができる。
【0045】
分子内に活性水素基を有し、かつ末端に(メタ)アクリレート基を有するポリエステル(メタ)アクリレート樹脂(a−1)及び/又は分子内に活性水素基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)等のビニルエステル樹脂(A)を製造する際には、ゲル化を防止する目的や、生成樹脂の保存安定性あるいは硬化性の調整の目的で重合禁止剤を使用することが推奨される。ここで、使用される上記重合禁止剤として代表的なものを挙げれば、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール若しくはモノ−t−ブチルハイドロキノンなどのハイドロキノン類;ハイドロキノンモノメチルエーテル若しくはジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール類:p−ベンゾキノン、ナフトキノン若しくはp−トルキノンなどのキノン類;ナフテン酸銅の如き銅塩などがある。
【0046】
本発明のビニルエステル樹脂(A)成分には、硬化剤、硬化促進剤、増粘剤、ワックス、顔料、充填剤、安定剤、各種添加剤等を添加してもよいが、特に硬化剤や硬化促進剤を含有することは乾燥性の面で好ましい。
【0047】
かかる硬化剤には、有機過酸化物が挙げられるが、公知の光硬化剤、紫外線硬化剤等のラジカル重合開始剤も用いてもよい。具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の公知のものが単独もしくは2種以上で使用され、混練条件、養生温度等で適宜選択される。その添加量は通常使用されている量であり、好ましくは(A)成分のポリエステル(メタ)アクリレート(a−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(a−2)100重量部に対して0.01〜4重量部である。
【0048】
前記硬化促進剤とは、硬化剤の有機過酸化物をレドックス反応によって分解し、活性ラジカルの発生を容易にする作用のある物質であり、例えばコバルト系、バナジウム系、マンガン系等の金属石鹸類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩、メルカプタン類等が挙げられる。
【0049】
前記顔料とは、例えば、酸化チタン、マイカ、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ末もしくは炭酸カルシウムの如き無機白色顔料;カーボン・ブラック、アルミ粉末もしくは弁柄の如き無機着色顔料;またはアゾ系もしくはフタロシアニン系の如き有機着色顔料などであり、さらには、これらの各顔料を、樹脂中に分散せしめて得られる、いわゆる分散顔料の使用が可能であり、目的に応じて適宜選択される。
【0050】
本発明で(A)成分を溶解するエチレン性不飽和単量体とは、上記(A)成分と架橋反応可能な不飽和モノマーあるいは不飽和オリゴマー等が挙げられ、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー類;(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。これらの1種若しくは2種以上を用いることができる。
【0051】
(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸アクリル酸2−ハイドロキシエチル、アクリル酸2−ハイドロキシプロピル、アクリル酸β−エトキシエチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、シクロヘキシルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドルフリフラルアクリレート、イソ・ボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸2−ハイドロキシエチル、メタアクリル酸2−ハイドロキシプロピル、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシプロピルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ポリカプロラクトンアクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、アクリロイルオキシサクシネート、アクリルニトリル、グリシジルメタクリレート、n−メチロールアクリルアミド−ブチルエーテル、n−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、などが挙げられる。
【0052】
また、樹脂硬化物の表面乾燥性を向上させるジシクロペンタンジエン、シリシクロデカン、トリアジンの各誘導体、例えばジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等も挙げられる。
【0053】
本発明に於けるエチレン性不飽和単量体としては、塗装材との接着性に優れ、乾燥時間が短く、施工性に優れる組成物をもたらすことができ、しかも施工時に悪臭の揮散がない25mmHgの減圧時に沸点100℃以上、好ましくは120℃以上のものが好適である。特に沸点120℃以上の(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体を使用すると、上記(A)成分との共重合性がよく、硬化時間が短くなり、しかも悪臭の揮散がないというメリットがある。かかる(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、とりわけフェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチルメタクリレートが入手の簡便さからもっとも好適である。
【0054】
前記(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体には、多官能不飽和モノマーとして、一分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物も使用できる。かかるモノマーとしては、硬化物表面の耐摩耗性、耐擦傷性、耐摺動性、耐薬品性等を向上される目的で好ましく使用され、好ましくは、多官能の(メタ)アクリル酸エステルモノマーであり、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのようなアルカンジオールジ−(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート、ジシクロペンテニルメタアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等が挙げられる。むろん架橋反応時の共重合性は少し劣るが、これ以外のビニルモノマーを併用してもよい。例えば、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、αメチルスチレン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラプロムフタレート等のアリルモノマー類;アクリルニトリル、グリシジルメタクリレート、n−メチロールアクリルアミド−ブチルエーテル、n−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド等の硬質モノマー類が挙げられ単独で、又は2種以上の併用で用いられる。
【0055】
本発明の(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和単量体の使用量は(A)成分との合計に於いて30〜70重量%が好適である。
【0056】
前記有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)とは、リン含有量20〜30重量%の常温白色固体物であり、粉末状のもので、好ましくは微粉末状のものである。その嵩密度は、好ましくは300〜600kg/mのものである。その平均粒径は、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは1〜8μmである。平均粒径の測定は、レーザー回折法の湿式法により測定、具体的には、アセトン溶剤中で超音波処理をしたあと、粒度分布をレーザー回折により測定し、平均粒子径(D50)をもとめる。前記(B)の具体例としては、市販品のエクソリット OP−930[クラリアントジャパン(株)製]、エクソリット OP−1230[クラリアントジャパン(株)製]が好ましく挙げられる。
【0057】
本発明の構造体は、土木・建築分野の構造体で、その基盤に樹脂硬化物からなる防水層が形成されたものである。構造体とは、天井、床、壁面、躯体等の構造物にかかるもので、その基体上にプライマー層を介して形成された樹脂硬化物からなる防水層に、前記防水用トップコート材組成物を塗布施工されたものである。かかる基盤としては、土木建築構造物の天井、床、壁面、躯体等材質は、セメントコンクリート、モルタル、PC板、ALC板、アスファルト舗装体、木、金属等が好適である。
【0058】
本発明の防水用トップコート材組成物の施工方法は、用途によって異なるもの基盤上に塗布量として好ましくは50〜300g/m程度を刷毛、スプレー等の公知の塗布手段で施工することで行なわれる。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明を実施例と比較例で詳細に説明するが、文中「部」、「%」は特に断わりのない限り重量基準である。
【0060】
合成例−1〔エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の調製〕
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られたエポキシ当量が470なる「エピクロン1050」〔大日本インキ化学工業(株)製のエポキシ樹脂〕の4600g(エポキシ基10個相当分)、メタクリル酸の860g(カルボキシル基10個相当分)、ハイドロキノンの1.36gおよびトリエチルアミンの10.8gを温度計、撹拌機および冷却器を具備した三ツ口フラスコに仕込み120℃まで昇温させ、同温度で10時間反応を続けた後、60℃まで冷却してから反応性モノマーとしてフェノキシエチルメタクリレート(PhOEMA)を50wt%投入し、液状エポキシメタアクリレート樹脂[以下、EPMAと言う]を得た。
【0061】
合成例−2〔ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の調製〕
ジエチレングリコール3モル、トリエチレングリコール7モル、オルソフタル酸10モル、トルハイドロキノン50ppmを200〜20℃で加熱縮合し、酸価27になった時点で140℃まで冷却した。次にグリシジルメタクリレートを所定量仕込み140℃で3時間反応させた後、60℃まで冷却してから反応性モノマーとしてフェノキシエチルメタクリレート(PhOEMA)を50wt%投入し、ポリエステルメタアクリレート樹脂[以下、PMAと言う]を得た。
【0062】
実施例1−4
合成例1−2で得られた樹脂、EPMA若しくはPMAを用い、顔料及び難燃剤を表−1のとおり配合した。
【0063】
【表1】

【0064】
注)表中の略号の説明
トナー :東罐マテリアル・テクノロジー(株)製トナー(グレー色)
OP−930 :エクソリット OP−930[クラリアントジャパン(株)製]
有機ホスフィン酸エステルアルミニウム塩、白色粉末(粒径:約5μm)
OP−1230 :エクソリット OP−1230[クラリアントジャパン(株)製]
有機ホスフィン酸エステルアルミニウム塩、白色粉末(粒径:5〜40μm)
【0065】
<評価方法及び評価基準>
燃焼試験:表1で得た樹脂組成物に硬化促進剤、8%オクチル酸コバルト1.0%、空乾性助剤、パラフィンワックス(125°F)0.1%、硬化剤、55%メチルエチルケトンパーオキサイド1.5%を配合し、3×10×100(mm)の樹脂硬化物を作製した。その樹脂硬化物を45度の角度で保持し、下端に火を点け(15秒間)、火を離してから燃焼を観察し、鎮火、若しくは燃え落ちるまでの時間を測定する。
評価基準としては、「○(着火せず、若しくは鎮火)」、「△(5'00"以上で燃え落ちる)」、「×(5'00"未満で燃え落ちる)」とした。
【0066】
物性変化:表1で得た樹脂組成物に硬化促進剤、8%オクチル酸コバルト1.0%、空乾性助剤、パラフィンワックス(125°F)0.1%、硬化剤、55%メチルエチルケトンパーオキサイド1.5%を配合し、3×10×100(mm)の樹脂硬化物を作製した。その樹脂硬化物を試料として、JIS K6911.5.17に準じて曲げ試験を実施した。
評価基準としては、「○(EPMAは比較例1、PMAは比較例2と比較して、曲げ強度が同じ)」、「×(EPMAは比較例1、PMAは比較例2と比較して、曲げ強度が高い。若しくは曲げ強度が低い)」とした。
【0067】
色目変化:表1で得た樹脂組成物の色の違いを目視で観察した。
評価基準としては、「○(EPMAは比較例1、PMAは比較例2と比較して、色が同じ)」、「×(EPMAは比較例1、PMAは比較例2と比較して、色が異なる)」とした。
【0068】
50℃貯蔵安定性確認方法:5号押蓋缶に表1で得た樹脂組成物を150g入れ、50℃の恒温槽で保存し、樹脂中にゲル物が発生するまでの日数を目視確認した。
評価基準としては、「○(10日以上、ゲル物無し)」、「×(10日以内でゲル物発生)」とした。
【0069】
80℃耐水試験: 表1で得た樹脂組成物に硬化促進剤、8%オクチル酸コバルト1.0%、空乾性助剤、パラフィンワックス(125°F)0.1%、硬化剤、55%メチルエチルケトンパーオキサイド1.5%を配合し、3×10×100(mm)の樹脂硬化物を作製した。その樹脂硬化物を試料として、80℃温水に浸漬し、外観変化を確認。評価基準として、「○(亀裂、フクレ無し)」、「×(亀裂若しくはフクレ有り)」とした。
【0070】
比較例1−5
合成例で得られた樹脂、EPMA若しくはPMAを用い、顔料及び難燃剤を表−2のとおり配合した。
【0071】
【表2】

【0072】
注)表中の略号の説明
トナー :東罐マテリアル・テクノロジー(株)製トナー(グレー色)
EG−11 :フラン EG−11[大和化学(株)製]
含リン・チッソ系非ハロゲン、灰白色粉末
TMCPP :トリス(クロロプロピル)ホスフェート[大八化学(株)製]、無色透明液体
FCP−770 :ポリリン酸アンモニウム[鈴裕化学(株)製]、白色粉体
【0073】
表1と同じ<評価方法及び評価基準>で比較例1−5を評価した。
比較例1,2は、難燃剤を含まないので、難燃性に劣るものであった。
【0074】
比較例3は、含リン・チッソ系非ハロゲン難燃剤を用いたもので、比較例1のものに比べ着色があり、耐水性試験でフクレを生じた。
【0075】
比較例4は、トリス(クロロプロピル)ホスフェート難燃剤を用いたもので、曲げ強度が比較例1に比べ高くなり、耐水性試験で亀裂を生じた。
【0076】
比較例5は、ポリリン酸アンモニウム難燃剤を用いたもので、難燃性に劣り、耐水性試験でフクレを生じた。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の耐水性、貯蔵安定性、調色性、物性に優れ、ハロゲン系難燃剤を用いることなく環境に配慮した高度な難燃性をも発揮する防水用トップコート材組成物、それを用いた土木建築構造体及びそれを用いた施工方法により、既設の防水層を含めて建設省告示1365号に例示される屋根仕様の難燃性防水層を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性性不飽和単量体に溶解したビニルエステル樹脂(A)、及び有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)を含有することを特徴とする防水用トップコート材用組成物。
【請求項2】
前記ビニルエステル樹脂(A)が、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂である請求項1記載の防水用トップコート材組成物。
【請求項3】
前記有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)が、重合性不飽和単量体に溶解した不飽和ポリエステル、及び/又はビニルエステル樹脂(A)100重量部に対して、5.0〜30重量部含有する請求項1または2に記載の防水用トップコート材組成物。
【請求項4】
有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)の平均粒径が、50μm以下である請求項1〜3いずれか1項に記載の防水用トップコート材組成物。
【請求項5】
有機ホスフィン酸エステルのアルミニウム塩(B)の平均粒径が、10μm以下である請求項1〜4いずれか1項に記載の防水用トップコート材組成物。
【請求項6】
基体上に、プライマー層、樹脂硬化物からなる防水層、前記請求項1記載の防水用トップコート材組成物によって形成された防水材層が積層していることを特徴とする土木建築構造体。
【請求項7】
前記請求項1記載の防水用トップコート材組成物を防水層上に塗布することを特徴とする土木建築構造体の施工方法。

【公開番号】特開2009−62451(P2009−62451A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231405(P2007−231405)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】