説明

防犯システム

【課題】 電柱を使用して地域の防犯に寄与する。
【解決手段】 電柱Pに配設したタッチパネル11がタッチされ、異常事態の発生が検知されると、電柱Pから中央制御装置Cに検知情報が送信される。これを受けて、中央制御装置Cの処理装置23は、送信元の電柱Pのカメラ12に開始信号を送信し、受信した撮影画像から対象物を検出し、検出した対象物と地図情報とから、対象物の移動方向に設置されている電柱Pを特定し、特定した電柱Pのカメラ12に開始信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電柱を使用した防犯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路上での犯罪を抑止することを目的として、例えば、街路灯や、電柱の上側に取り付けられた防犯灯などの街灯が市街地には設置されている。街灯を設置することで、ある程度の防犯効果を得ることが可能であるが、街灯の設置や維持には多額の費用を要すことから、街灯の設置数は十分ではなく、設置されている街灯も輝度が低いものが多い。そのため、街灯だけでは十分な防犯効果を得ることができない。
【0003】
そこで、道路に設置された電柱などに、警告ブザーや警告赤色ランプなどを設置することで、スイッチを押すと音や光を発して周囲に犯罪の発生を知らせる防犯システムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、電柱広告物にカメラ付照明を取り付けることで、周囲を撮影し、インターネットなどを介して映像情報ファイルを閲覧することができるカメラ付電柱広告灯に関する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3877646号公報
【特許文献2】特開2008−281971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の防犯システムは、スイッチなどが悪戯の対象になりやすいという問題があった。さらに、犯罪が発生した場所の警告ブザーや警告赤色ランプなどが作動しても、その場所から被害者が逃げたり、加害者が逃走したりして移動してしまう場合には、効果が少ないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のカメラ付電柱広告灯は、常時、カメラで撮影するため消費電力量が大きく維持費用がかかるという問題があった。さらに、カメラで撮影した映像情報ファイルはインターネットなどを介して閲覧可能であるので、通行人や付近の住民の肖像権やプライバシなどを侵害するおそれがあった。
【0008】
そこで、この発明は、前記の課題を解決し、地域の防犯に寄与することが可能で、実用的な防犯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、電柱に配設され、音や接触などにより異常事態の発生を検知する異常事態検知手段と、電柱に配設され、周囲を撮影する撮影手段と、電柱の設置位置などの地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、異常事態検知手段から異常事態が発生した旨の検知情報を受信すると、検知情報の送信元の電柱の撮影手段に開始信号を送信し、開始信号を受信した撮影手段で撮影した画像から人や車両などの対象物やその移動方向などの対象物情報を検出し、検出した対象物情報と地図情報記憶手段の地図情報とから、対象物の移動方向に設置されている電柱を特定し、特定した電柱の撮影手段に開始信号を送信する処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、異常事態検知手段から検知情報を受け取ると、処理手段により、検知情報の発生場所に該当する電柱の撮影手段に開始信号を送信し、開始信号を受信した撮影手段で撮影した画像から人や車両などの対象物や移動方向など対象物情報を検出し、検出した対象物情報と地図情報記憶手段の地図情報から、検出した対象物の移動方向に設置されている電柱を特定し、特定した電柱の撮影手段に開始信号を送信する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防犯システムにおいて、電柱に配設され、音や光などで異常事態の発生を周囲に知らせる警報手段を備え、処理手段は、所定の時間内に、所定の回数、異常事態検知手段から検知情報を受信し、検知情報を送信した電柱から、検知情報の受信直後に受信したすべての画像に同一の対象物が検出された場合、所定の電柱の警報手段に開始信号を送信し、異常事態が発生した旨や前記撮影手段で撮影した画像などの異常事態情報を遠隔の監視センタに送信する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の防犯システムにおいて、電柱に配設され、撮影手段により周囲を撮影中であることや、撮影手段で撮影した画像などを送信中であることなどを知らせる通知手段を備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の防犯システムにおいて、電柱に配設され、接近を検知する接近検知手段と、電柱に配設され、電柱に配設された照明の輝度を調節する輝度調節手段を備え、前記処理手段は、接近検知手段による検知結果と地図情報記憶手段で記憶した地図情報とに基づいて特定の電柱を選出し、選出した電柱の輝度調節手段に開始信号を送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、撮影手段で撮影した画像から検出した対象物の移動方向に設置されている電柱を特定し、特定した電柱の撮影手段に開始信号を送信するので、異常事態の発生場所から対象物である例えば、被害者が逃げたり、加害者が逃走したりして移動してしまう場合であっても、追跡して撮影することができる。すなわち、異常事態の発生場所から被害者が逃げたり、加害者が逃走したりして移動してしまう場合であっても、防犯効果を維持することが可能である。また、異常事態検知手段から検知情報を受け取ると、検知情報の発生場所に該当する電柱の撮影手段に開始信号を送信し、撮影手段が周囲を撮影するので、異常事態検知手段が悪戯の対象となることを防ぐことが可能となる。また、異常事態検知手段から検知情報を受け取った場合に限って、処理手段は一連の処理を行うので、常時カメラで撮影を行う場合と比較して、消費電力を抑えることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、例えば、被害者が連続して一つの電柱の異常事態検知手段に接触するなどした場合や、被害者が走って逃げながら複数の電柱の異常事態検知手段に接触するなどした場合には、処理手段は所定の処理を行う。このため、例えば、被害者の安全などを確保することができる。また、犯罪が発生していた場合には、撮影手段で撮影した画像などを通信網で接続された監視センタに送信するので、加害者と推定される人などを含んだ情報を提供することで、犯人の特定に貢献することが可能になる。また、撮影した画像などを監視センタに送信するのは、同一人物が所定の回数以上、異常事態検知手に接触するなどした場合に限られるので、不要な警報や撮影した画像の送信を防止することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、撮影手段により周囲を撮影中であることや、撮影手段で撮影した画像などを送信中であることなどを知らせるので、通行人や付近の住民の肖像権やプライバシにも配慮することが可能となる。また、撮影中であることなどを知らせることで、犯罪が継続されることを抑止することが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、異常事態の発生の有無によらず、人や車両などの接近情報を検知すると、輝度調節手段で照明の輝度を調節するので、防犯効果を得ることができる。また、人や車両などの接近情報を検知した場合に限って、輝度調節手段は輝度を調節するので、常時照明の輝度を上げる場合と比較して、防犯の効果を維持しつつ、消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態に係る防犯システムの概略図である。
【図2】図1の防犯システムの電柱に配設された設備の概略ブロック図である。
【図3】図1の防犯システムの電柱を示す正面図である。
【図4】図1の防犯システムによる処理を示すシーケンス図である。
【図5】図1の防犯システムによる電柱の特定処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の防犯システムが作動した状態を示す周辺地図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態に係る防犯システム1の概略構成ブロック図である。この防犯システム1は、複数の電柱P〜Pに配設されたカメラ(撮影手段)12で、移動する対象物を追跡して撮影できるものであり、主として、複数の電柱P〜Pが通信網NWを介して中央制御装置Cと通信可能に接続されて構成され、さらに、防犯システム1は通信網NWを介して外部の監視センタTと通信可能に接続されている。
【0021】
電柱Pには、それぞれ、図2、3に示すように、タッチパネル(異常事態検知手段)11と、カメラ(撮影手段)12と、ブザー(警報手段)13と、近接センサ(接近検知手段)15と、輝度調節装置16と、中央制御装置Cと通信を行うための通信装置17、およびこれらを制御などする制御装置18とが配設されている。
【0022】
タッチパネル11は、接触により犯罪などの異常事態の発生を検知する装置であり、犯罪などの異常事態の発生が検知されると、異常事態を検知した旨の検知情報が通信装置17によって中央制御装置Cに送信されるようになっている。検知情報には、異常事態の発生地点、すなわち、電柱Pの識別情報である電柱番号や検知時刻などが含まれる。また、タッチパネル11は、図3に示すように電柱Pに設置された電柱広告物Sの下側に配設され、通行人に防犯システム1が設置されていることや、その作動方法などを表示して知らせるようになっている。具体的には、例えば、通常時は「危険を感じたらタッチして!」と表示され、一度周辺でタッチパネル11により異常事態の発生が検知された後は「再度タッチしたら警報ブザー鳴動」などと表示されるようになっている。さらに、タッチパネル11には通知部(通知手段)14が設けられ、例えば、カメラ12で撮影中の場合には「カメラで撮影しています」などと表示し、撮影した画像を送信中の場合には「撮影した映像を送信しました」などのように表示されるようになっている。
【0023】
カメラ12は、周囲を撮影する装置であり、通常は待機状態で、中央制御装置Cから開始信号を受信すると撮影を行い、撮影した画像は直ちに通信装置17によって中央制御装置Cへ送信され、その後待機状態に戻るように設定されている。また、カメラ12での撮影を開始して所定の時間が経過すると、カメラ12および通知部14は待機状態に戻るようにタイマが設定されている。
【0024】
ブザー13は、警報音を発し異常事態の発生を周囲に知らせる装置であり、中央制御装置Cから制御信号を受信すると作動するようになっている。また、ブザー13が作動して所定の時間が経過すると、ブザー13の警報音が停止するようにタイマが設定されている。
【0025】
近接センサ15は、電柱Pへの人や車両などの接近やその接近方向を検知する装置であり、接近を検知すると接近情報が通信装置17によって中央制御装置Cへ送信されるようになっている。
【0026】
輝度調節装置16は、近接センサ15で接近を検知した場合、または、後述する中央制御装置Cの処理装置23から輝度調節信号を受信した場合に、電柱Pの照明の輝度を調節する(輝度を上げる)ものである。ここで、電柱Pの照明には、街灯や電柱広告物Sの照明などを含む。この実施の形態では、電柱広告物Sが発光素子を用いた発光パネルで構成されており、発光素子の輝度を調節することで発光パネル、すなわち、電柱広告物Sの輝度が調節できるようになっている。この輝度調節装置16は、人や車両などの接近の距離に応じて輝度を段階的に調節できるようにしてもよい。また、輝度を調節して所定の時間が経過すると、輝度を元に戻すようにタイマが設定されている。
【0027】
中央制御装置Cには、主として、地図情報データベース21と、各電柱Pや監視センタTと通信を行うための通信装置22と、処理装置23、およびこれらを制御などする制御装置24とを備えている。
【0028】
地図情報データベース21には、電柱Pの電柱番号やその設置位置(緯度、経度)、電柱Pが設置されている道路の経路などの情報が記憶されている。
【0029】
処理装置23が行う処理には、図4に示すように、電柱Pのタッチパネル11で検知した検知情報を受信した際に送信元の電柱Pのカメラ12に開始信号を送信する(ステップS13)処理がある。また、カメラ12で撮影された画像を受信した際に、電柱を特定する電柱の特定処理(ステップS16)がある。この電柱の特定処理は、図5に示すように、まず、受信した画像について画像処理を行い、人や車両などの対象物やその移動方向、移動速度などの対象物情報を検出する(ステップS161)。そして、検出した対象物を含む画像の受信が初回であるか否かを判定する(ステップS162)。判定の結果、初回の画像受信である場合(「YES」の場合)は、後述するステップS164へ進み、2回目以降の画像受信である場合(「NO」の場合)は、受信した画像が検知情報の送信元からのものであり、かつ、所定の時間内に、所定の回数、検出されたか否かを判定する(ステップS163)。例えば、同一人物が、5分以内に、2回、タッチパネル11を作動させたのか否かを判定する。
【0030】
ステップS163の判定で「YES」の場合には、ブザーを作動させる場合に該当し、後述するステップS166へ進み、「NO」の場合には、カメラ12で撮影を行う場合に該当し、ステップS164へ進む。ステップS164では、ステップS161で検出した対象物情報と地図情報データベース21の情報とから、対象物の移動方向に設置されている電柱P、・・・、Pi+aを特定する。この際、対象物が複数認識され、対象物の移動方向が同一の場合には、一方向の電柱P、・・・、Pi+aを特定し、対象物の移動方向が異なる場合には、複数方向の電柱P、・・・、Pi+aを特定する。また、特定する範囲は、対象物の移動速度に応じて、例えば、対象物の移動速度が略4km/hの徒歩程度の速度であれば、検知情報の送信元の電柱Pから5本隣りまでと設定される。ここで、特定する電柱の範囲を広く設定することで、対象物が高速で移動する場合や、急加速するような場合であっても、カメラ12で対象物を確実に撮影することができる。そして、ステップS164で特定した電柱P、・・・、Pi+aに対して、撮影するように開始信号を送信する(ステップS165)。
【0031】
ステップS166は、ステップS164と同様に対象物の移動方向の電柱Pや、検知情報の送信元の電柱Pの周辺、および最も近い交番の周辺に設置されている電柱P、・・・、Pj+bを特定する。そして、ステップS166で特定した電柱P、・・・、Pj+bに対して、撮影開始の信号および警報音を鳴らす制御信号を送信し(ステップS167)、さらに、異常事態が発生した旨や電柱Pから受信した画像などの異常事態情報を監視センタTに送信する(ステップS168)。
【0032】
さらに、処理装置23には、電柱Pの近接センサ15で検知した接近情報を受信した際に、受信した接近情報と地図情報データベース21とから、接近物の接近方向に設置されている電柱P、・・・、Pk+cを特定し、特定した電柱P、・・・、Pk+cの輝度調節装置16に対して、輝度調節信号を送信する処理がある。ここで、電柱Pを特定する範囲は、例えば、接近情報の送信元の電柱Pから5本隣りまで、などと設定されている。
【0033】
次に、このような構成の防犯システム1の作用・動作について、図4に基づいて説明する。
【0034】
例えば、ひったくりなどの犯罪に遭遇する危険を感じた通行人が電柱Pのタッチパネル11に接触すると、電柱Pのタッチパネル11が異常事態の発生を検知し(ステップS11)、異常事態が発生した旨の検知情報を中央制御装置Cに送信する(ステップS12)。
【0035】
次に、中央制御装置Cの処理装置23は、受信した検知情報から送信元の電柱Pのカメラ12に開始信号を送信(ステップS13)する。開始信号を受信した電柱Pでは、カメラ12を作動し、撮影した画像を処理装置23に送信し(ステップS14)、通知部14に「カメラで撮影しています」と表示する(ステップS15)。また、処理装置23は、上記のように、初回の画像受信である場合の処理を行い、すべての対象物の移動方向に設置されている電柱P、・・・、Pi+aを特定し、撮影の開始信号を送信する(ステップS165)。
【0036】
開始信号を受信した電柱P、・・・、Pi+aでは、カメラ12を作動し、撮影した画像を処理装置23に送信(ステップS14−1)し、通知部14に「監視カメラで撮影中です」と表示する(ステップS15−1)。これにより、例えば、図6において太実線で囲んで示したように、送信元の電柱Pと移動方向の電柱Pのカメラ12が作動状態となる。
【0037】
このようにして、カメラ12による撮影(ステップS14〜S15)と、処理装置23による電柱の特定処理(ステップS16)を繰り返すことで、対象物が移動する場合であってもカメラ12による撮影が継続される。
【0038】
また、対象物を見失い、タイマによってカメラ12による撮影が終了すると、画像を受信しなくなるため処理装置23での処理(ステップS16)が終了する。
【0039】
次に、同一人物が、再び、電柱Pのタッチパネル11に接触した場合は、電柱Pのタッチパネル11が検知情報を検知し(ステップS21)、電柱Pは検知情報を処理装置23に送信する(ステップS22)。
【0040】
処理装置23は、受信した検知情報から異常事態の発生地点の電柱Pのカメラ12に対して、撮影するように開始信号を送信する(ステップS23)。開始信号を受信した電柱Pでは、カメラ12を作動し、撮影した画像を処理装置23に送信し(ステップS24)、通知部14に「監視カメラで撮影中です」との旨を表示する(ステップS25)。
【0041】
そして、処理装置23は、同一人物が所定の時間内に、所定の回数、タッチパネル11に接触した場合、上記のように、異常事態の発生地点の電柱P、および、ステップS166で特定した電柱P、・・・、Pj+bに対して、警報音を鳴らす制御信号などを送信する(ステップS168)。この開始信号を受信した電柱P、・・・、Pj+bは、ブザー13で音を発し(ステップS27)、通知部14に「監視カメラで撮影した映像を送信中です」と表示する(ステップS28)。このようにして、図6では破線で囲んで示した電柱Pとその周辺の電柱Pにおいて、ブザー音が発せられた状態となる。さらに、処理装置23は、上記のような異常事態情報を監視センタTに送信する。そして、所定の時間の経過後に、今回の処理で作動させたカメラ12、ブザー13などは、順次待機状態に戻る。
【0042】
次に、電柱Pに人が接近してきた場合について説明する。電柱Pの近接センサ15が人などの接近を検知した場合、電柱Pは接近情報を処理装置23に送信する。これを受けて処理装置23は、接近情報の送信元の電柱Pと、特定した移動方向の電柱P、・・・、Pk+cの輝度調節装置16に対して輝度調節信号を送信し、輝度調節信号を受信した電柱Px、、・・・、Pk+cは、照明(電柱広告物S)の輝度を上げて明るくする。
【0043】
このようにすることで、人や車両などの接近にあわせて、接近方向の電柱P、・・・、Pk+cに設置された照明が順次、明るくなる。そして、タイマよって、所定の時間の経過後に、照明は元の状態に戻る。
【0044】
以上のように、この実施の形態に係る発明によれば、カメラ12で撮影した画像から検出した対象物の移動方向に設置されている電柱Pを特定し、特定した電柱Pのカメラ12に開始信号を送信するので、異常事態の発生場所から対象物である、例えば、被害者が逃げたり、加害者が逃走したりして移動してしまう場合、あるいは高速で移動してしまう場合でも、追跡して撮影することができる。具体的には、例えば、加害者が高速で移動する通り魔のような犯罪であっても、防犯効果を維持することが可能である。また、タッチパネル11から検知情報を受信すると、送信元の電柱Pのカメラ12に開始信号を送信し、カメラ12が周囲を撮影するので、悪戯でタッチパネル11に接触されることを防ぐことが可能となる。また、タッチパネル11から検知情報を受信した場合に限って、処理装置23は一連の処理を行うので、カメラ12で常時撮影を行う場合と比較して、消費電力を抑えることができる。
【0045】
さらに、同一人物が所定の時間内に、所定の回数、タッチパネル11に接触した場合には、ブザー13を作動して音を発生し、カメラ12で撮影した画像などを通信網NWで接続された監視センタTに送信するので、対象物である、例えば、被害者の安全などを確保するとともに、犯罪発生場所の周辺で撮影された画像を公に提供することで、加害者の特定や、逃走経路の特定なども可能となる。また、撮影した画像などを監視センタTに送信するのは、同一人物が所定の時間内に、所定の回数、タッチパネル11に接触した場合に限られるので、不要な警報や撮影した画像の送信を防止することが可能となる。
【0046】
さらに、カメラ12で周囲を撮影中であることや、撮影した画像を送信中であることなどを、通知部14に表示して知らせるので、通行人や付近の住民の肖像権やプライバシにも配慮することが可能となる。また、撮影中であることなどを知らせることで、犯罪が継続されることを抑止することが可能になる。
【0047】
さらに、異常事態の発生の有無によらず、人や車両などの接近情報を検知すると、輝度調節装置16で照明の輝度を調節するので、通行の安全を確保し、防犯効果を得ることができる。また、近接センサ15で人や車両などの接近情報を検知した場合に限って、輝度調節装置16は輝度を調節するので、常時照明の輝度を上げる場合と比較して、防犯の効果を維持し、かつ、消費電力を抑えることができる。
【0048】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、被害者および加害者と思われる人を画像から検出し、被害者は安全な方向(人通りの多い方向や、避難場所と指定されている建物のある方向)へ、加害者は交番や警察署などの建物のある方向へ誘導するように照明の輝度を調節するようにしてもよい。また、異常事態検知手段11は、タッチパネルとして説明したが、ボタンなど接触により検知するものや、人の声や防犯ブザーの音などを検知するものであれば、いずれの装置であってもよい。また、通知部14は、タッチパネル11の一部として説明したが、別体としてもよい。また、近接センサ15は、赤外線センサ、熱線センサ、マイクロ波ドップラ式センサなど、人などの接近を検知できるものであれば、いずれのセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 防犯システム
11 タッチパネル(異常事態検知手段)
12 カメラ(撮影手段)
13 ブザー(警報手段)
14 通知部(通知手段)
15 近接センサ(接近検知手段)
16 輝度調節装置
17 通信装置
18 制御装置
21 地図情報データベース(地図情報記憶手段)
22 通信装置
23 処理装置
24 制御装置
P 電柱
C 中央制御装置
NW 通信網
T 監視センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に配設され、音や接触などにより異常事態の発生を検知する異常事態検知手段と、
電柱に配設され、周囲を撮影する撮影手段と、
電柱の設置位置などの地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記異常事態検知手段から異常事態が発生した旨の検知情報を受信すると、前記検知情報の送信元の電柱の撮影手段に開始信号を送信し、前記開始信号を受信した撮影手段で撮影した画像から人や車両などの対象物やその移動方向などの対象物情報を検出し、検出した対象物情報と前記地図情報記憶手段の地図情報とから、前記対象物の移動方向に設置されている電柱を特定し、特定した電柱の撮影手段に開始信号を送信する処理手段と、
を備えることを特徴とする電柱を使用した防犯システム。
【請求項2】
電柱に配設され、音や光などで異常事態の発生を周囲に知らせる警報手段を備え、
前記処理手段は、所定の時間内に、所定の回数、前記異常事態検知手段から前記検知情報を受信し、前記検知情報を送信した電柱から、前記検知情報の受信直後に受信したすべての画像に同一の対象物が検出された場合、所定の電柱の前記警報手段に開始信号を送信し、異常事態が発生した旨や前記撮影手段で撮影した画像などの異常事態情報を遠隔の監視センタに送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の防犯システム。
【請求項3】
電柱に配設され、前記撮影手段により周囲を撮影中であることや、前記撮影手段で撮影した画像などを送信中であることなどを知らせる通知手段を備える、ことを特徴とする請求項1または2記載の防犯システム。
【請求項4】
電柱に配設され、接近を検知する接近検知手段と、
電柱に配設され、電柱に配設された照明の輝度を調節する輝度調節手段を備え、
前記処理手段は、前記接近検知手段による検知結果と前記地図情報記憶手段で記憶した地図情報とに基づいて特定の電柱を選出し、選出した電柱の前記輝度調節手段に制御信号を送信する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防犯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−141787(P2011−141787A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2622(P2010−2622)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】