説明

防音アセンブリ、防音密閉空間のためのその使用、その製造方法

【課題】費用がかからない防音アセンブリ、防音密閉空間のためのその使用、その製造方法を提供する。
【解決手段】良好な通気抵抗を有する第1組の層36と、重い粘弾性マスを有する層28及びスプリング型層26を含むマス−スプリング機能を有する第2組の層24の形状の積層からなる防音アセンブリに関し、第1組の層は、高い多孔度、高い屈曲度、良好な通気抵抗の連続気泡を有するフォームの層36を含み、その層36は、高い屈曲度のために、中間周波数及び高周波数で優れた吸音性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室のような実質的に密閉された空間を防音にすることを主に目的とする防音アセンブリと、高い屈曲度(tortuosity)を有するプラスチック材料フォームのかかる防音への適用と、かかる防音アセンブリの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、エンジン、タイヤの道路への接触などのような雑音源の近くで、自動車の車室のような実質的に密閉された空間内で生じる音響上の問題に関する。
【0003】
先行技術の記載の前に、本発明を理解するために有用な幾つかの用語を定義することが適切である。
【0004】
一般的に低周波数帯域において、音波は、単一又は二重のシート(サンドイッチ)の形状の材料によるか、特に粘弾性フォームを使用する、マス(mass)−スプリングシステムの多孔度と弾性の効果によって「減衰」を受ける。
【0005】
防音システムは、防音にされた空間内に中間周波数や高周波数の音波が、主に雑音源へのすなわち防音にされた空間の外側への波の反射によって入ることを妨げる時に、確実に「遮音」できる。
【0006】
防音システムは、音波のエネルギーが吸収材料内で消失する時、(中間周波数や高周波数帯域での)「吸音」によっても機能する。
【0007】
本発明は、基本的に中間周波数及び高周波数帯域での防音に関する。一般的に、高周波数で良好な防音を得ることは、簡単な手段によって比較的簡単であるが、中間周波数帯域(とりわけ400〜1000Hz)では、人間の耳が、この周波数帯域で非常に敏感なので、防音の問題は、一層深刻である。
【0008】
当然に、前述の様々な現象、すなわち減衰、遮音、吸収は、孤立して存在することはほとんどなく、多くの場合、それらは様々な程度で存在する。それ故に、雑音源を含まない密閉空間内の雑音は、全ての音源、特に自動車のエンジンからの影響及び存在する防音材料の様々な作用によるフィルタリングの効果の結果である。従って、密閉空間の防音は、多数の効果の結果であり、かつ得られた防音と、この防音を得るために実施される種々の手段の間で良好な妥協を得ることが望ましい。例えば、密閉空間内のある種の波が、遮音によってすでに事実上排除されたならば、それを確実に吸収するようにすることは必要でない。
【背景技術】
【0009】
添付図面の図1から3を参照して、過去に実施された主な解決策をこれから考察する。
【0010】
図1は、特に自動車のエンジン室から車室を分離するエプロンの領域で遮音するために、従来の方法で使用されるマス−スプリングシステムの例を示す。参照符号10は、支持パネルを指し示す。粘弾性を有するフォームのような、スプリング効果を有する材料の層12は、「重いマス」型の材料の層14、すなわちマス−スプリングシステムのマスに相当する層を支承する。かかるマス−スプリングシステムは、それが提供する良好な遮音を有することが知られている。参照符号16は、検討中の場合において機能的効果を有さない装飾層を単に指し示す。
【0011】
特許文献1は、重いマス部分が2つの層を有する、かかるマス−スプリングシステムを記載する。
【0012】
図1に示すシステムによって引き起こされる問題は、その低い吸収のために、重いマスを形成する層14が、相当な重量を有さねばならないことである。それ故に、約3〜7kg/m2の単位面積当たりのマスを有する層が、現在使用されている。更に、かかるシステムは、中間周波数帯域において大して効果的でない。
【0013】
消費、公害等を削減する理由で、自動車を軽量にする試みがなされるので、例えば特許文献2で、図2に示すようなシステムが提案された。この「二重透過性」システムにおいて、多孔質減結合層18は、好ましくは空気の部分的介在によって、支持パネル10と接触し、かつその上に、補強用の任意の微孔質層20と、もう1つの多孔質層22を、任意に装飾層16と共に設置した。一例において、層の「最も重いもの」が、圧縮フェノールフェルトであり、かつ他のものが可撓性非圧縮フェルトである。このシステムの効果は、その二重透過性、すなわち多孔質層の間の透過性の差に起因する。その利点は、それが軽量なことであるが、欠点は、それが事実上遮音を提供しないことである。従って、例えば自動車のエプロンに、遮音が必要な時に、それは適切でない。
【0014】
複雑な防音システムは、特許文献3からも同様に知られており、特許文献3は、2群の層からなり、そのうち、マス−スプリング型の第2群24は、スプリング26を形成する多孔質層に結合された重いマス型の層28を備えている。この第2群は、従来のマス−スプリングシステムを構成するが、重い層28のマス及びスプリング26を形成する層の厚さは、例えば、図1に示した従来のシステムと比較して、3分の1〜2分の1に削減される。例えば、重いマス型の層は、6.5kg/m2の単位面積当たりのマスを有する代わりに、4kg/m2のみの単位面積当たりのマスを有する。この削減は、第1群の層30の存在により可能である。
【0015】
第1群は、音響スプリング型の多孔質層32と、高い通気抵抗を有し、かつ防音に効果的な装飾層としても任意に使用できる外層34とからなる。この外層34は、他の層32よりも約3〜20倍高い通気抵抗を有するフェルトから作られている。
【0016】
従って、このシステムは、図1、2を参照して記載した2つのシステムの一種の組み合わせで構成されるが、重いマス型の層28が軽いために第1のシステムと比較して重量が明瞭に削減され、かつマス−スプリングシステムの存在により第2のシステムと比較して効果が明瞭に高められた。
【0017】
図3に示すシステムは、特に中間周波数でのその吸収効果によって、層30の群が、層24の群のシステムによって提供される低い遮音効果を補償するので、優れた防音性を示す。
【0018】
図3のシステムの有効性は、その比較的高いコストによって相殺される。実際に、その製造は、別個の装置で行われる2つの連続するステップからなる方法を必要とし、それには費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】英国特許出願公開第2163388号明細書
【特許文献2】国際公開第98/18657号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/069596号パンフレット
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】D.Lafarge、Y.Aureganらの著、文献「多孔質媒体中の吸音(Absorption acoustique dans les milieux poreux)」、Communication au Congres ONERA、2003年1月16日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、本発明によれば、図3による層30の群によって得られる、特に中間周波数での吸収効果、すなわち非常に異なる通気抵抗を有する2つの重ね合わせ層の効果が、特殊な特性を有するフォームの単一層によって得られることが発見された。これらの特殊な特性は、高い多孔度と、とりわけ高い屈曲度であり、かつこれらの特性は、フォームの単一層によって得られる。
【0022】
従って、本発明は、密閉空間の防音へのかかる材料の適用に関し、かつ、図3を参照して記載されたものに似た方法で機能し、マス−スプリングシステムが高い屈曲度のフォームの層と協働する、防音アセンブリへのこの材料の適用に関する。
【0023】
「屈曲度」は、多孔質材料の特徴付けに現在使用されるパラメータである。多孔質材料の吸音現象を定義するために使用される様々なパラメータの記載に関して、D.Lafarge、Y.Aureganらの著、文献「多孔質媒体中の吸音(Absorption acoustique dans les milieux poreux)」、Communication au Congres ONERA、2003年1月16日を参照できる。この文献は、粘性摩擦の効果、慣性質量効果、固体の熱交換、損失を特に記載し、かつダーシー透過性(Darcy permeability)、屈曲度、粘性特性長のような様々なパラメータに言及している。
【0024】
屈曲度は、周波数の平方根の逆の関数として使用される、音波長の屈折率の二乗の変動を示す曲線の勾配を決定することによって測定できることが知られている。実際には、屈曲度は、多孔質材料内の循環経路の形状と関係がある。平行面を有するシートを通り、これらの面と垂直な方向で直線的に貫通する細孔は、1に等しい屈曲度を有する。現在使用される連続気泡フォームは、1〜1.35の屈曲度を有する。
【0025】
本発明によれば、図3を参照して記載されたシステムの2つの層32、34の役を演じる単層に対して、1.4を超える屈曲度を有するフォームの単層が使用される。屈曲度は、3と同じ高さであっても良く、好ましくは約2である。この材料にこれらの高い吸音性を与えるのは、(少なくとも0.9に等しく、好ましくは0.95の)高い多孔度と、(1.4を超える)高い屈曲度の組み合わせである。
【0026】
より正確には、本発明は、実質的に密閉された空間を防音にするために1.4を超える屈曲度を有するプラスチック材料の連続気泡フォームの使用に関する。
【0027】
本出願において、このフォームは好適には、粘弾性の重いマスとして機能する層と、スプリングを形成する層からなるマス−スプリング型の層の群と結合した1つの層を形成する。
【0028】
本発明は、良好な通気抵抗を有する第1群の層と、マス−スプリング機能を有する第2群の層を含む型の重ね合わせ層からなり、第2群が、粘弾性の重いマスとして機能する層とスプリング型の層を含む防音アセンブリにも関する。本発明によれば、第1群の層は、高い多孔度、高い屈曲度、良好な通気抵抗を有する連続気泡フォームの層からなり、この層は、その高い屈曲度のために、中間周波数と高周波数で優れた吸音性を有する。
【0029】
好ましくは、第1群の層は、高い屈曲度を有するフォームの層のみからなる。
【0030】
好適な実施態様において、高い屈曲度を有するフォームの層は弾性を有する。
【0031】
高い屈曲度を有する層は、0.9より高く、好ましくは、0.95より高い多孔度を有する。
【0032】
高い屈曲度を有する層は、好ましくは、10000〜90000N.s/m4、かつ好ましくは約30000N.s/m4の空気流への抵抗を有する。
【0033】
高い屈曲度を有する層のフォームは、好ましくは、ポリウレタンやメラミン樹脂から選択されるプラスチック材料から形成される。
【0034】
粘弾性の重いマスの層は、好ましくは、重いマスとスプリングとを有する従来の遮音システムの重いマス層のマスよりも少なくとも3分の1だけ低いマスを有する。
【0035】
第2群の層のスプリング型の層は、多くとも1.4に等しい屈曲度を好ましくは有し、かつ高い屈曲度を有する層は、1.4〜3、好ましくは約2の屈曲度を有する。
【0036】
雑音源が、200〜400Hzの低周波数帯域においてより大きな防音を必要とする場合、200〜400Hzの低周波数帯域において構造減衰を与え、かつ高い屈曲度を有する層が約0.1から0.2の損失係数を有する一方、約0.2から0.45の損失係数を有するという利点を有する(例えば部分的に閉鎖した気泡を有する)粘弾性フォームを、スプリング型の層に使用することが可能である。この粘弾性層の遮音勾配の減少、すなわち伝達による損失は、高い屈曲度を有する層の良好な遮音勾配によって補償される。
【0037】
防音アセンブリが、20mmよりも大きな厚さを有するならば、好適である。
【0038】
防音アセンブリは、高い屈曲度を有する層が設置される側面に装飾層を有することもできる。
【0039】
本発明は、重ね合わせ層からなる防音アセンブリの製造方法であって、そのアセンブリは、良好な通気抵抗を有し、かつ中間周波数と高周波数で優れた吸音性を有する第1群の層と、マス−スプリング機能を有する第2群の層とを含み、第2群が、粘弾性の重いマスとして機能する層とスプリング型の層とを含む方法にも関する。方法は、2つの群の各々の少なくとも1つの層からなる初期アセンブリの形成と、得られたアセンブリの加熱と、初期アセンブリの層以外の少なくとも1つの他の層の加熱と、初期アセンブリ及び他の層の積み重ねと、プレス成形金型内へのスタックの配設と、スタックのプレス成形による層の結合とからなる。
【0040】
少なくとも1つの他の層の加熱は、好ましくは、スプリング型の層の加熱からなる。スプリング型の層の加熱は、好ましくは、フェルトの加熱からなる。
【0041】
第1群の層は、好ましくは、単一層からなり、初期アセンブリの形成は、高い多孔度及び高い屈曲度を有する連続気泡フォームの層の、第1群の層としての選択を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】公知の防音システムの構造を示す。
【図2】公知の防音システムの構造を示す。
【図3】公知の防音システムの構造を示す。
【図4】支持パネル上に配置された本発明による防音アセンブリの略断面図を示す。
【図5】方法の段階を示す断面を示す。
【図6】方法の段階を示す断面を示す。
【図7】方法の段階を示す断面を示す。
【図8】方法の段階を示す断面を示す。
【図9】一連の操作が行われることを可能にする装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して与えられる、以下の実施態様の記載を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【0044】
図4において、参照符号10は、他の図面のように、本発明による防音アセンブリを支持することを意図するパネル、例えば自動車の車室からエンジン室を分離するエプロンを指し示す。これは、図3のシステムのように、まず、スプリングを形成する第1層26と、重いマスを形成する第2層28からなる第2群24の層を含む。スプリングを形成する第1層26は、例えば良好な吸収と機械的減結合性を有する熱可塑性材料から作られる、可撓性連続気泡フォームである。不透過性である層28の材料は、熱可塑性材料、例えばポリエチレンのようなポリオレフィンによって結合された、ビチューメン廃棄物、チョーク、硫酸バリウムのような高密度材料を含む。結合剤の他の例は、酢酸ビニル/エチレン共重合体、又はエチレン−プロピレン−ジエン単量体三元共重合体である。このアセンブリは、図3に示したものと類似している。この第2群の層は層36を支承する。層36は、それ自体で第1群の層を形成し、かつ0.9よりも高い多孔度を有し、かつ2に近い屈曲度を有する可撓性ポリウレタンフォームのような高い屈曲度のフォームから形成される。
【0045】
本発明により使用される、高い多孔度と高い屈曲度を有するフォームは、好ましくはポリウレタン又はメラミン樹脂のフォームである。それは、事実上剛性であっても良いが、好ましくは可撓性である。実施例において、高い屈曲度を有するかかるフォームは、現在使用される値よりも明らかに高いイソシアネート/ポリオール比によるポリウレタンの製造によって生成される。これらの値は、各イソシアネート−ポリオール対によって決まる。得られたフォームは、複雑な形を有し、かつ結合を有する不規則に分布した細孔を有する。その多孔度は高く、すなわち0.9より高く、かつ好ましくは0.95より高く、この多孔度は、フォームの重量と対応する非多孔質材料の重量の比によって単に決定される。空気流へのその抵抗は高く、10000〜90000N.s/m4、かつ通常は約30000N.s/m4である。かかるフォームの例は、100部のポリエ−テルポリオールと、65部のジフェニルメタンジイソシアネートによって得られる。
【0046】
自動車のエプロンをシミュレートする装置内で行われた試験をこれから検討する。アセンブリは、全てが事実上等しい音響性能レベルを与える形を有する図1、3、4のシステムによって生成された。これらの性能レベルは、400Hzで38dB、500Hzで50dB、かつ800〜約1250Hzの帯域で約57dBの雑音削減に相当し、かつ削減は、高い周波数で更に大幅であった。
【0047】
これらの性能レベルを得るために、(装飾層16のない)図1に示すようなシステムは、1.2kg/m2の単位面積当たりのマスを有する、20mmの厚さを有するポリウレタンフォーム層12を備えていた。重いマス層14は、6.5kg/m2の単位面積当たりのマスを有する。従って1m2の防音要素の重量は、7.7kgであった。
【0048】
図3の例において、図1のシステムと同じ品質のスプリング効果を有するフォームの層26は、15mmの厚さと、0.9kg/m2の単位面積当たりのマスを有した。重いマス型の層28は、4kg/m2に減少された単位面積当たりのマスを有する。それ故に、層のマス削減は、スプリング機能を有するフォームの層の厚さ削減を伴う。第3層32は、層26と同一の熱可塑性フォームから形成されたが、7mmに等しい小さな厚さであり、かつ0.49kg/m2に等しい単位面積当たりのマスである。外層34は、5mmの厚さを有するフェルトによって形成された。このように形成されたアセンブリの単位面積当たりのマスは、5.5kg/m2であった。
【0049】
図4の構造を有する例において、層26、28は、先行する例と同じであり、かつ層36は、2に近い屈曲度、0.6kg/m2の単位面積当たりのマス、10mmの厚さを有するポリウレタンフォームから形成された。生成されたアセンブリの単位面積当たりのマスも、5.5kg/m2であった。
【0050】
3つの実施形態において、層12、26、32のフォームは、1つであり、かつ60kg/m2の単位体積当たりのマスを有する同じポリウレタンフォーム層であった。
【0051】
それ故に、中間周波数及び高周波数での同一レベルの音響性能に関して、図1を参照して記載された公知のシステムは、7.7kg/m2の重量を有し、かつ一方で図3に、かつ他方で図4に示したシステムは、5.5kg/m2の重量を有した。すなわち図1のシステムと比較して、28%の重量削減である。
【0052】
図3の公知8のシステムは、4つの層の必要な配設のために、2つのステップでの比較的複雑な製造方法を必要とする。実際には、2つの連続したステップが、別個の装置で行われ、その結果それにより得られるアセンブリのコストは、高い。
【0053】
本発明を参照して記載されたシステムにより、(パネル10を除いて)図4に示すアセンブリは、フォームが用意され、かつ一緒にするだけで良い時に、単一の操作で製造でき、又は高い屈曲度を有するフォームが同時に用意できる時に、2つの別個の操作よりもコストが低い2つの連結された操作で単一の装置内で製造できる。
【0054】
本発明による方法の実施形態における図4に示した防音アセンブリの製造方法の一つについてこれから記載する。
【0055】
図5から8は、方法の種々の段階を示す断面を示し、かつ図9は、一連の操作が行われることを可能にする装置の平面図を示す。
【0056】
重いマスの層28は、初期アセンブリ42を形成するために、高い屈曲度を有するフォームの層36上に置かれる。層28は、フォーム層36と反対側に可溶材料を有する。このようにして得られたアセンブリ42は、赤外炉44内で赤外加熱を受ける。
【0057】
更に、層26を構成するスプリングを形成するフェルトが、熱空気循環炉46内で加熱を受け、次に炉44から来る初期アセンブリと予熱サンドイッチアセンブリ48を形成するために、搬送される。そのアセンブリは、加熱されたスプリング26を形成した層を上に載せた、炉44内で加熱された2つの層28、36からなる。予熱サンドイッチアセンブリ48は、オペレータ52によって制御されるプレス50の金型38、40に搬送される。
【0058】
図8に示すように、プレス50は、好適には真空伝達チャネルを有する下部金型38と、上部金型40を含む。
【0059】
プレス50で使用される金型38、40が、それに組み込まれた切断装置を含む場合、所望の形の部品が直接的に得られる。そうでない場合に、プレス50から来た部品が、切断装置54に搬送される。
【0060】
方法のこの例は、設置された第1層が、高い屈曲度を有する層36である場合について記載されたが、本方法は、第1層が単なるフェルトからなる時にも非常に好適である。
【0061】
記載された方法の利点は、単一の金型からなる単一の装置を使用することによって所望の部品が得られることを可能にする点である。この配設は、製造コストの注目に値する削減を可能にする。
【0062】
それ故に、記載された方法は、以上に言及した重量削減を利用することを可能にする。また、平坦又は成形部分を生成することを可能にする。それを行うために使用される装置は、前述の文献、国際公開第03/069596号パンフレットを参照して以上に記載された4つの層を有する防音アセンブリに方法を適用する場合にも使用でき、かつ切断システムは、装置に統合されても良いが、統合されなくても良い。
【0063】
簡素化された製造方法と、低い材料消費(重量削減)とにより、本発明による防音アセンブリは、図3に示したアセンブリよりも遙かに低いコストで製造でき、かつ図1に示したアセンブリのコストよりも少々低くさえあるか、又は少なくとも匹敵する。
【0064】
図3、4の2つの実施形態のアセンブリは、唯一の相違が、事実上同じ厚さを有する、図4の単一層(36)による図3の2つの層(32、34)の置き換えである構造を持つ、同一の結果を与えることにも注目されるべきである。従って、図4のシステムが、図3のそれと比較して「グレードダウンした」システムであると考慮されるべきでなく、それどころか、等しい音響的結果に対して、製造を簡素化し、かつコストを著しく削減するので、改良となっている。
【0065】
最後に、本発明により生成された防音アセンブリの製造が、ステアリングコラム、ブレーキ、加速ペダル等のようなアセンブリを通過せねばならない要素の通過に適した孔を形成するためにも非常に適していることが注目されるであろう。
【0066】
従って、高い屈曲度を有するこのフォームを使用することにより、図3を参照して記載された公知のシステムによって与えられる特性と同じ程度に良好である特性を、但しこのシステムよりも遙かに低いコストで得ることが可能である。
【0067】
図1に示した公知のシステムと比較して、重量削減は非常に大幅であり、かつ従って、これらのシステムが使用される車両の燃料消費や公害の削減に対応する。
【0068】
図2のシステムでは十分な遮音が得られないので、図2のシステムと比較すると、本発明は、遙かに良好な音響特性を与える。
【0069】
自動車のエプロンを参照したが、本発明は、遙かに広い用途を有する。自動車において、床、ルーフ、車室のいかなる内面にも、特に適しているが、一般的に、外部雑音源の近傍に設置された実質的に密閉されたいかなる空間にも適している。
【0070】
なお、この明細書に開示した技術の態様を列挙すれば次のようである。
【0071】
(付記1)
良好な通気抵抗を有する第1群の層(36)と、
粘弾性の重いマスとして機能する層(28)とスプリング型の層(26)を含む、マス−スプリング機能を有する第2群(24)の層と
を含む型の重ね合わせ層からなる防音アセンブリであって、
第1群の層が、高い多孔度、高い屈曲度、良好な通気抵抗を有する連続気泡フォームの層(36)からなり、この層(36)が、その高い屈曲度のために、中間周波数及び高周波数で優れた吸音性を有することを特徴とするアセンブリ。
(付記2)
第1群の層が、高い屈曲度を有するフォームの層(36)のみからなることを特徴とする付記1に記載のアセンブリ。
(付記3)
高い屈曲度を有するフォームの層(36)が、弾性を有することを特徴とする付記1又は2に記載のアセンブリ。
(付記4)
高い屈曲度を有する層(36)が、0.9より高い多孔度を有することを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記5)
高い屈曲度を有する層(36)が、10000〜90000N.s/m4の空気流への抵抗を有することを特徴とする付記1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記6)
高い屈曲度を有する層(36)のフォームが、ポリウレタン及びメラミン樹脂から選択されるプラスチック材料から形成されることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記7)
粘弾性の重いマスの層(28)が、重いマスとスプリングとを有する従来の遮音システムの重いマス層(14)のマスよりも少なくとも3分の1だけ低いマスを有することを特徴とする付記1から6のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記8)
第2群の層のスプリング型の層(26)が、多くとも1.4に等しい屈曲度を有し、かつ高い屈曲度を有する層(36)が、1.4〜3の屈曲度を有することを特徴とする付記1から7のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記9)
20mmよりも大きな厚さを有することを特徴とする付記1から8のいずれかに記載のアセンブリ。
(付記10)
実質的に密閉した空間の防音への、1.4より高い屈曲度を有する連続気泡プラスチック材料のフォームの適用。
(付記11)
良好な通気抵抗を有し、かつ中間周波数と高周波数で優れた吸音性を有する第1群の層(36)と、
粘弾性の重いマスとして機能する層(28)とスプリング型の層(26)とを含む、マス−スプリング機能を有する第2群(24)の層と
を含む、重ね合わせ層からなる防音アセンブリの製造方法であって、
2つの群の各々の少なくとも1つの層(28、36)からなる初期アセンブリの形成と、得られたアセンブリの加熱と、
初期アセンブリの層以外の少なくとも1つの他の層(26)の加熱と、
初期アセンブリ及び他の層の積み重ねと、
プレス成形金型(38、40)内へのスタックの配設と、
スタックのプレス成形による層の結合と
を有することを特徴とする方法。
(付記12)
少なくとも1つの他の層の加熱が、スプリング型の層(26)の加熱からなることを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記13)
スプリング型の層(26)の加熱が、フェルトの加熱からなることを特徴とする付記12に記載の方法。
(付記14)
第1群の層が単一層からなり、かつ初期アセンブリの形成が、高い多孔度及び高い屈曲度を有する連続気泡フォームの層(36)の、第1群の層としての選択を含むことを特徴とする付記11から13のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0072】
24 第2群の層、26 スプリング型の層、28 粘弾性の重いマスとして機能する層、36 第1群の層、38 プレス成形金型、40 プレス成形金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
良好な通気抵抗を有する第1群の層(36)と、
粘弾性の重いマスとして機能する層(28)とスプリング型の層(26)を含む、マス−スプリング機能を有する第2群(24)の層とを含む型の重ね合わせ層からなる防音アセンブリであって、
第1群の層が、高い多孔度、高い屈曲度、良好な通気抵抗を有する連続気泡フォームの層(36)からなり、この層(36)が、その高い屈曲度のために、中間周波数及び高周波数で優れた吸音性を有し、
第1群の層が、高い屈曲度を有するフォームの層(36)のみからなり、
前記高い屈曲度を有する層(36)が、0.9より高い多孔度と、1.4より高い屈曲度とを有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
高い屈曲度を有する層(36)が、10000〜90000N.s/m4の空気流への抵抗を有することを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
高い屈曲度を有する層(36)のフォームが、ポリウレタン及びメラミン樹脂から選択されるプラスチック材料から形成されることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項4】
第2群の層のスプリング型の層(26)が、多くとも1.4に等しい屈曲度を有し、かつ高い屈曲度を有する層(36)が、1.4〜3の屈曲度を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
良好な通気抵抗を有し、かつ中間周波数と高周波数で優れた吸音性を有する第1群の層(36)と、
粘弾性の重いマスとして機能する層(28)とスプリング型の層(26)とを含む、マス−スプリング機能を有する第2群(24)の層と
を含む、重ね合わせ層からなる防音アセンブリの製造方法であって、
2つの群の各々の少なくとも1つの層(28、36)からなる初期アセンブリの形成と、得られたアセンブリの加熱と、
初期アセンブリの層以外の少なくとも1つの他の層(26)の加熱と、
初期アセンブリ及び他の層の積み重ねと、
プレス成形金型(38、40)内へのスタックの配設と、
スタックのプレス成形による層の結合と
を有し、
第1群の層が単一層からなり、かつ初期アセンブリの形成が、高い多孔度及び高い屈曲度を有する連続気泡フォームの層(36)の、第1群の層としての選択を含み、
前記第1群の層(36)が、0.9より高い多孔度と、1.4より高い屈曲度とを有することを特徴とする方法。
【請求項6】
良好な通気抵抗を有する第1群の層(36)と、
粘弾性の重いマスとして機能する層(28)とスプリング型の層(26)を含む、マス−スプリング機能を有する第2群(24)の層とを含む型の重ね合わせ層からなる防音アセンブリであって、
第1群の層が、高い多孔度、高い屈曲度、良好な通気抵抗を有する連続気泡フォームの層(36)からなり、この層(36)が、その高い屈曲度のために、中間周波数及び高周波数で優れた吸音性を有し、
前記高い屈曲度を有する層(36)が、0.9より高い多孔度と、1.4より高い屈曲度とを有し、
前記防音アセンブリは、前記高い屈曲度を有する層が設置される側面に装飾層を有することを特徴とする、アセンブリ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−196966(P2012−196966A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97090(P2012−97090)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2008−519969(P2008−519969)の分割
【原出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(504307250)
【Fターム(参考)】