説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 異常発生時に住戸前の廊下に人が居る場合はそれを集合玄関機等で認識でき、更に住戸玄関機を利用して廊下に居る人物と集合玄関機との間で通話を可能とする。
【解決手段】 住戸玄関機2に人感センサ22を設け、集合玄関機1に人感センサ22から感知情報を入手するための操作部11と、入手した感知情報を表示する表示部13と、表示された人感センサ22の感知情報を基に、住戸玄関機2前にいる人物と通話するための住戸玄関選択部を操作部11に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に火災発生やガス漏れ発生等の異常発生を検知するセンサを備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災センサやガスセンサ、更に地震センサ等が接続された集合住宅インターホンシステムが普及している。従来のこのような集合住宅インターホンシステムは、火災発生等をセンサが検知すると、居室親機が異常の発生を警報音により居住者に報知するよう構成されていた。
また、このような異常発生通報機能を備えた集合住宅インターホンシステムの中には、異常発生時に居住者に対して避難誘導を行うよう構成されたものがある。例えば、特許文献1では、異常発生時に避難方向を示す避難方向表示部をバルコニーに設置し、破るべき住戸間の隔壁を指示し、居住者の速やかな避難を可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−272967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記避難方向表示部は、住戸内に設置されるため、玄関先に飛び出して避難に戸惑っている住人や、訪問者に対しては有効なものではなかった。また、このような人に対しては一斉放送による誘導が考えられるが、不特定多数の人に対して同一の内容の放送となるため、各人に最適な避難、誘導の指示が難しい。更に、あわてて飛び出した人が何処にまた何人いるか確認する手段がなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、異常発生時に住戸前の廊下に人物が居る場合はそれを集合玄関機等で認識でき、更に住戸玄関機を利用して廊下に居る人物と集合玄関機との間で通話を可能とし、廊下にいる人物に対して最適な避難、誘導の指示ができる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、居住者を呼び出すために集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機と、居住者を呼び出すために住戸毎の玄関先に設置された住戸玄関機と、集合玄関機及び住戸玄関機からの呼び出しに応答するために各住戸内に設置された居室親機と、集合玄関機と居室親機の間の呼び出し/通話を制御する制御機と、集合住宅内で火災、地震等の異常発生を検知する異常検知手段とを備えた集合住宅インターホンシステムにおいて、住戸玄関機は、玄関先に居る人物を検知する人感センサを備えると共に、集合玄関機は、人感センサから感知情報を入手するための人感センサ情報入手手段と、入手した人物感知情報を表示する人物感知情報表示部とを有し、更に集合玄関機は、異常検知手段が異常発生を検知したら、人感センサ情報入手手段を能動状態とし、当該人感センサ情報入手手段の操作を受けて人感センサから人物感知情報を入手し、人物感知情報を人物感知情報表示部に表示させる人感センサ情報表示制御手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で住戸玄関機の人感センサが人物を感知したら、集合玄関機の人物感知情報表示部に人物感知情報が表示される。そのため、異常発生時に住戸を飛び出し、廊下で避難できないでいる居住者や訪問者の存在を集合玄関機で把握することが可能となり、消防署員等による救助活動に役立てることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、人物感知情報表示部に表示された人物感知情報が人感センサが設けられている住戸の住戸番号であり、集合玄関機は、住戸番号の住戸玄関機との間で通話路を形成するための住戸玄関選択部を備え、制御機は、住戸玄関選択部の操作を受けて集合玄関機と、選択された住戸玄関機との間の通話路を形成することを特徴とする。
この構成によれば、住戸番号が表示されるので、異常発生時に人がいる場所を容易に把握できる。また、集合玄関機と住戸玄関機の間で通話路を形成することができるので、住戸前に飛び出した居住者や訪問者と集合玄関機を使用して通話でき、適切な避難誘導の指示が可能となる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、住戸玄関機は、来訪者の映像を撮像するための子機カメラを備える一方、集合玄関機は子機カメラの撮像映像を表示する映像表示部を備え、住戸玄関選択部で選択された住戸玄関機は、子機カメラを起動して撮像映像を集合玄関機へ送出し、集合玄関機は、選択した住戸玄関機から伝送された映像を映像表示部に表示することを特徴とする。
この構成によれば、異常発生時の通話操作により、住戸玄関機の子機カメラ撮像映像が集合玄関機に表示される。よって、集合玄関機に住戸玄関前にいる通話相手の映像が表示されるので、人物の状態を確認できるし周囲の状況も把握することが可能となり、その人に最適な避難誘導の指示ができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載の構成において、制御機に接続されて集合玄関機及び居室親機と通話を行うための管理室親機を有し、管理室親機は、人感センサ情報入手手段と、人物感知情報表示部と、人感センサ情報表示制御手段と、住戸玄関選択部とを有し、制御機は、異常検知手段の検知信号、及び人感センサの人物感知情報を管理室親機にも通知し、住戸玄関選択部の操作を受けて管理室親機と選択された住戸玄関機との間の通話路を形成することを特徴とする。
この構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で住戸玄関機の人感センサが人物を感知したら、管理室親機の人物感知情報表示部にも表示される。そのため、異常発生時に住戸を飛び出して廊下にいる居住者や訪問者の存在を管理室親機でも把握することが可能となり、避難誘導をスムーズに実施するのに活用できる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、住戸玄関機は、来訪者の映像を撮像するための子機カメラを備える一方、管理室親機は子機カメラの撮像映像を表示する映像表示部を備え、管理室親機の住戸玄関選択部で選択され住戸玄関機は、子機カメラを起動して撮像映像を管理室親機へ送出し、管理室親機は、選択した住戸玄関機から伝送された映像を映像表示部に表示することを特徴とする。
この構成によれば、異常発生時の通話操作により、住戸玄関機の子機カメラ撮像映像が管理室親機に表示される。よって、管理室親機に住戸玄関前にいる通話相手の映像が表示されるので、管理室から通話している人物の状態を確認できるし、周囲の状況も把握することが可能となり、その人に最適な避難誘導の指示ができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3又は5に記載の構成において、制御機にはフロア毎の廊下を撮像する共用部カメラが接続され、住戸玄関選択部で住戸玄関機が選択されたら、制御機は住戸玄関機に関連付けられている共用カメラの撮像映像を住戸玄関選択部を操作した集合玄関機或いは管理室親機へ伝送することを特徴とする。
この構成によれば、子機カメラと共用部カメラの双方の撮像映像を集合玄関機或いは管理室親機で見ることができる。よって、住戸玄関機の子機カメラの撮像範囲に人物が入らなくても、別角度のカメラから通話相手の居る共用部を撮像して映像表示部に表示させることができるので、人物を把握できるし共用部全体の状況も把握することが可能となる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項3,5,6の何れかに記載の構成において、人感センサ情報表示制御手段は、人感センサ情報入手手段が能動状態となったら、映像表示部に、廊下にいる人物を検知して表示し、その人物と通話が可能になる等その後の操作手順を表示することを特徴とする。
この構成によれば、異常が発生したら集合玄関機或いは管理室親機に、人感センサ情報入手手段を操作できる異常発生モードでの操作手順が表示されるので、駆けつけた消防団員や管理人はどのような操作をすれば良いか把握でき、緊急時であってもスムーズに対処することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で住戸玄関機の人感センサが人物を感知したら、集合玄関機の人物感知情報表示部に表示される。そのため、異常発生時に住戸を飛び出し、廊下で避難できないでいる居住者や訪問者の存在を集合玄関機で把握することが可能となり、消防署員等による救助活動に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】異常発生モードでの集合玄関機の表示画面を示し、(a)は人感センサが感知動作した住戸番号を表示した状態、(b)は通話路が形成された状態、(c)は通話が終了した状態を夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの構成を示すブロック図であり、1は居住者を呼び出すために集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機、2は居住者を呼び出すために住戸毎の玄関先に設置された住戸玄関機、3は集合玄関機1及び住戸玄関機2からの呼び出しに応答するために各住戸内に設置された居室親機、4は集合玄関機1と居室親機3の間の呼び出し/通話を制御する制御機、5は管理室に設置されて集合玄関機1や居室親機3と通話が可能な管理室親機、6は集合住宅内で火災、ガス漏れ、地震等の異常発生を検知する感知器、7は住戸前の廊下等フロア毎の共用部を撮像する共用部カメラである。
【0016】
集合玄関機1、管理室親機5は伝送線L1,L2を介して制御機4に接続され、居室親機3は親機幹線L3を介して制御機4に接続され、住戸玄関機は伝送線L4を介して居室親機3に接続されている。また、感知器6、共用部カメラ7は、伝送線L5,L6を介して制御機4に接続されている。
【0017】
集合玄関機1は、テンキーやタッチパネル等から成り、呼出先の住戸番号を選択して呼出操作するための操作部11、マイク及びスピーカを備えた通話部12、映像及び後述する住戸番号を表示する表示部13、異常発生等を報知するための発報部14、集合玄関機1全体を制御する集合玄関機制御部15、制御機4と通信するための集合玄関機インターフェース(集合玄関機IF)16等を備えている。尚、操作部11のタッチパネルは表示部13に設けられている。
【0018】
住戸玄関機2は、居住者を呼び出すための呼出ボタン21、来訪者等玄関先の人物を検知する人感センサ22、来訪者を撮像するための子機カメラ23、マイク及びスピーカを備えた通話部24、居室親機3と通信するための住戸玄関機インターフェース(住戸玄関機IF)25等を備えている。
【0019】
居室親機3は、タッチパネル等から成り各種操作が可能な操作部31、子機カメラ23が撮像した来訪者映像等を表示する表示部34、マイク及びスピーカを備えた通話部35、居室親機3全体を制御する居室親機制御部36、制御機4や住戸玄関機2と通信するための居室親機インターフェース(居室親機IF)37等を備えている。
【0020】
制御機4は、居室親機3等のID情報や居室親機3の住戸情報を記憶するID記憶部41、制御機4全体を制御する制御機制御部42、各機器と通信するための制御機インターフェース(制御機IF)43等を備え、制御機制御部42の内部には、主に通話制御を行う通話制御部42a、主に映像制御を行う映像制御部42bを備えている。
【0021】
管理室親機5は、テンキーやタッチパネル等から成り、呼出先を選択して呼出操作するための操作部51、マイク及びスピーカを備えた通話部52、映像及び後述する住戸番号を表示する表示部53、異常発生等を報知するための発報部54、管理室親機5全体を制御する管理室親機制御部55、制御機4と通信するための管理室親機インターフェース(管理室親機IF)56等を備えている。
【0022】
次に上記構成の集合住宅用インターホンシステムの動作を説明する。但し、インターホンの基本動作である来訪者が集合玄関機1或いは住戸玄関機2から居住者を呼び出して来訪者と居住者の間で通話が実施される動作は、従来と同様であるため説明を省略し、ここでは集合住宅で火災、地震等の異常事態が発生した場合の動作を説明する。
【0023】
火災等の異常発生を受けて感知器6が異常を感知したら、感知信号が制御機4へ出力される。ただし、地震を検知するものは地震センサであり、火災を検知するものは火災センサや煙センサであり、ここでは総称して感知器6としている。
感知信号が伝送された制御機4は、制御機制御部42が集合玄関機1及び管理室親機5へ感知信号を送信する。このとき、感知信号が例えば火災センサからの信号である場合は、火災発生を通知するIDが付加された感知信号が生成されて集合玄関機1及び管理室親機5へ送信される。
【0024】
集合玄関機1は、この感知信号を受信すると集合玄関機制御部15が火災発生と認識して、発報部14から警報音を報音させる。同時に、操作部11に異常発生モード移行ボタン(図示せず)を表示して、このボタンが操作されたら通常の居室親機3を呼び出す操作に加えて、住戸玄関機2との間で通話路形成が可能となる。
尚、異常発生モード移行ボタンの表示に合わせて、集合玄関機制御部15は、表示部13に異常発生モードに移行した場合の操作手順を表示する。具体的には、異常発生モードに移行操作すると、住戸前に人がいる場合はその情報が表示され、更に所定の通話操作を行うとその人物と通話が可能となり、更に映像も表示される等の操作手順、動作内容等が表示される。
【0025】
一方、管理室親機5も感知信号を受信すると、管理室親機制御部55が火災発生と認識して、発報部54から警報音を報音させる。同時に、操作部51に集合玄関機1と同様に異常発生モード移行ボタンが表示され、このボタンが操作されたら、通常の居室親機3を呼び出す操作に加えて、住戸玄関機2との間で通話路形成が可能となる。
【0026】
以下、異常発生モード状態での動作を説明する。このモード状態では集合玄関機1も管理室親機5も同様であるため、集合玄関機1を中心に説明する。
異常発生モード移行ボタンの操作により、操作された集合玄関機1の警報音の鳴動は停止し、集合玄関機制御部15は異常発生モードへ移行する。この移行により集合玄関機1から制御機4に人物感知許可信号が出力される。
【0027】
この人物感知許可信号を受信した制御機4は、制御機制御部42が各居室親機3へ人物感知許可信号を送信する。この人物感知許可信号が伝送された個々の居室親機3は、居室親機制御部36の制御で居室親機3に接続されている住戸玄関機2の人感センサ22を起動させて感知信号を入手する。
【0028】
起動操作を受けて人物の存在を感知した人感センサ22は、居室親機3へ人物感知信号を送信し、この人物感知信号を受信した居室親機制御部36は、住戸番号等の住戸ID情報を付加した人物感知信号を制御機4へ送信する。
人物感知信号を受信した制御機4は、集合玄関機1へ人物感知信号を送信する。この人物感知信号を受信した集合玄関機1は、集合玄関機制御部15の制御により、受信したID情報を基に表示部13に人物を感知した住戸玄関機2が設置されている住戸番号を表示する。
【0029】
図2(a)はこの時の表示部13の表示を示し、403号室、501号室、505号室の前に人がいることを表示している。これらの表示は何れも通話路形成のための通話ボタン11aであり、タッチ操作することでタッチされた住戸の住戸玄関機2と通話路が形成される。また、関連する共用部カメラ7の撮像映像を表示するための表示ボタン11bも表示される。尚、図2(a)は「505号室」の表示部がタッチ操作された状態を示している。
人物を感知した人感センサ22が複数ある場合は、この図2(a)に示すように複数の住戸番号が表示される。また、発報部14が通知音を鳴動し、人感センサ22が人物を感知したことを通知する。
【0030】
この表示部13に表示された住戸番号を見た消防署員等により、表示されている住戸番号がタッチ操作、例えば「505号室」の表示部がタッチされると、集合玄関機制御部15は通知音を停止し、通話要求信号を制御機4に出力する。この場合、異常発生モード状態であるため、通話要求信号は選択した505号室の住戸玄関機2との間で通話路形成を要求する信号となる。
【0031】
通話要求信号を受信した制御機4は、制御機制御部42が通話要求信号に含まれる住戸番号情報から呼出先居室親機IDをID記憶部41から読み取り、該当する居室親機3に通話要求信号を出力する。通話要求信号を受信した居室親機3は、住戸玄関機2の通話部24を通話可能な状態とし、さらに子機カメラ23を撮像可能な状態とし、制御機4に対して通話応答信号を出力する。
【0032】
通話応答信号を受信した制御機4は、通話制御部42aの制御により通話路を形成し、さらに映像制御部42bにて映像路を形成する。そして、通話制御部42aは通話要求信号受信時と同様の経路で集合玄関機1に通話応答信号を出力する。
【0033】
通話応答信号を受信した集合玄関機1は、集合玄関機制御部15が通話部12を通話可能な状態とし、表示部13を出画可能な状態にする。その結果、505号室の住戸玄関機2との間で通話路が形成されて通話が可能となると共に、子機カメラ23の撮像映像が表示部13に表示される。図2(b)はこの表示状態を示し、映像表示エリアEに子機カメラ23の映像が表示される。
【0034】
こうして、住戸玄関機2の前にいる人物と通話が可能となり、合わせて映像により人物を確認できる。そして、図2(b)において「5階共用部」の表示は、選択された住戸玄関機2に関連するフロアの共用部カメラ映像に切り換えるための切換操作ボタン11cの表示であり、この表示部をタッチ操作すると、表示されている映像が5階の共用部カメラ7の映像に切り換わり、5階の廊下全体を撮像している映像が表示される。尚、集合玄関機制御部15は、通話ボタン11aの操作を受けて、関連する共用部カメラ7を選択し、切換ボタン11c表示部に表示する。
【0035】
その後、通話が終了したら映像の表示も終了し、表示部13に引き続き人物感知信号を受けた他の住戸番号が表示され、何れかの住戸番号が選択されると、その番号の住戸玄関機と通話路が形成され、同様に映像を見ながら通話を実施できる。
図2(c)は、こうして505号室前の人物との通話が終了し、通話路が遮断された状態を示し、505号室の表示は消え、他の住戸番号が表示された状態を示している。
【0036】
管理室親機5の操作によっても同様であり、操作部51の所定の操作で異常発生モードへ移行し、表示部53に人感センサ22が人物を検出した住戸番号が表示され、選択操作した住戸番号の住戸玄関機2との間で通話路が形成され、子機カメラ23等が撮像した映像を見ながら撮像されている人物と通話ができる。
【0037】
このように、異常検知手段である感知器6が異常を感知したら集合玄関機1でそれを報知し、人感センサ情報入手手段としての異常発生モード移行ボタンが操作されたら、住戸玄関機2の人感センサ22が感知した人物感知情報が集合玄関機1の表示部13に表示される。そのため、異常発生時に住戸前の廊下に飛び出し、避難できないでいる居住者や訪問者の存在を集合玄関機1で把握することが可能となり、消防署員等による救助活動に役立てることができる。
また、異常発生時に集合玄関機1と住戸玄関機2の間で通話路を形成することができるので、住戸前に飛び出した居住者や訪問者と集合玄関機1を使用して通話でき、適切な避難誘導の指示が可能となる。
更に、集合玄関機1に住戸玄関前にいる通話相手の映像が表示されるので、人物の状態を確認できるし、周囲の状況も把握することが可能となり、その人に最適な避難誘導の指示ができる。
また、住戸玄関機2の子機カメラ23の撮像範囲に人物が入らなくても、別角度のカメラである共用部カメラにより通話相手の居る場所を撮像して表示部に表示するので、人物を把握できるし共用部全体の状況も把握することができる。
【0038】
更に、感知器6が異常を検知したら、集合玄関機1に加えて管理室親機5でもそれを報知し、管理室親機5からでも集合玄関機1と同様に、住戸前の廊下に飛び出した居住者や訪問者の存在を把握することができるので、避難誘導をスムーズに実施するのに活用できる。また、管理室親機5でも住戸玄関前にいる通話相手の映像が表示されるし、周囲の状況も把握することが可能となり、その人に最適な避難誘導の指示ができる。
また、異常発生モードに移行したら、操作手順が表示部13,53に表示されるので、住戸前に居る人の誘導等、駆けつけた消防団員や管理人はどのような操作をすれば良いか把握でき、緊急時であってもスムーズに対処することが可能となる。
【0039】
尚、上記実施形態では、集合玄関機1に加えて管理室親機5にも同様の機能、即ち異常発生モード機能を備えているが、少なくとも集合玄関機1にこの機能を設けるだけでもよく、異常発生時に消防署員等による通話操作を良好に実施できる。また、共用部カメラ7の撮像映像と子機カメラ23の撮像映像を切り換えて表示部13,53に表示するよう構成しているが、子機カメラ23の映像と共用部カメラ7の撮像映像を同時にマルチ画面表示させても良い。
更に、図1では感知器6を一括して制御機4に接続した場合を示しているが、各居室親機3に接続しても良いし、カメラ撮像映像を表示する表示部13,53を操作部11,51と兼用しているが、操作部11,51と表示部13,53を独立させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1・・集合玄関機、2・・住戸玄関機、3・・居室親機、4・・制御機、5・・管理室親機、6・・感知器(異常検知手段)、7・・共用部カメラ、11・・操作部(人感センサ情報入手手段、住戸玄関選択部)、12・・通話部、13・・表示部(人物感知情報表示部、映像表示部)、14・・発報部、15・・集合玄関機制御部(人感センサ情報表示制御手段)、22・・人感センサ、23・・子機カメラ、24・・通話部、36・・居室親機制御部、41・・ID記憶部、42・・制御機制御部、42a・・通話制御部、42b・・映像制御部、51・・操作部(人感センサ情報入手手段)、52・・通話部、53・・表示部(人物感知情報表示部、映像表示部)、54・・発報部、55・・管理室親機制御部(人感センサ情報表示制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出すために集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機と、居住者を呼び出すために住戸毎の玄関先に設置された住戸玄関機と、前記集合玄関機及び前記住戸玄関機からの呼び出しに応答するために各住戸内に設置された居室親機と、前記集合玄関機と前記居室親機の間の呼び出し/通話を制御する制御機と、集合住宅内で火災、地震等の異常発生を検知する異常検知手段とを備えた集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記住戸玄関機は、玄関先に居る人物を検知する人感センサを備えると共に、前記集合玄関機は、前記人感センサから感知情報を入手するための人感センサ情報入手手段と、入手した人物感知情報を表示する人物感知情報表示部とを有し、
更に前記集合玄関機は、前記異常検知手段が異常発生を検知したら、前記人感センサ情報入手手段を能動状態とし、当該人感センサ情報入手手段の操作を受けて前記人感センサから人物感知情報を入手し、人物感知情報を前記人物感知情報表示部に表示させる人感センサ情報表示制御手段を有することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記人物感知情報表示部に表示された人物感知情報が前記人感センサが設けられている住戸の住戸番号であり、
前記集合玄関機は、前記住戸番号の住戸玄関機との間で通話路を形成するための住戸玄関選択部を備え、
前記制御機は、前記住戸玄関選択部の操作を受けて前記集合玄関機と、選択された前記住戸玄関機との間の通話路を形成することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記住戸玄関機は、来訪者の映像を撮像するための子機カメラを備える一方、前記集合玄関機は前記子機カメラの撮像映像を表示する映像表示部を備え、
前記住戸玄関選択部で選択された住戸玄関機は、前記子機カメラを起動して撮像映像を前記集合玄関機へ送出し、
前記集合玄関機は、選択した住戸玄関機から伝送された映像を前記映像表示部に表示することを特徴とする請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記制御機に接続されて前記集合玄関機及び前記居室親機と通話を行うための管理室親機を有し、
前記管理室親機は、前記人感センサ情報入手手段と、前記人物感知情報表示部と、前記人感センサ情報表示制御手段と、前記住戸玄関選択部とを有し、
前記制御機は、前記異常検知手段の検知信号、及び前記人感センサの人物感知情報を前記管理室親機にも通知し、前記住戸玄関選択部の操作を受けて前記管理室親機と選択された前記住戸玄関機との間の通話路を形成することを特徴とする請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記住戸玄関機は、来訪者の映像を撮像するための子機カメラを備える一方、前記管理室親機は前記子機カメラの撮像映像を表示する映像表示部を備え、
前記管理室親機の住戸玄関選択部で選択された住戸玄関機は、前記子機カメラを起動して撮像映像を前記管理室親機へ送出し、
前記管理室親機は、選択した住戸玄関機から伝送された映像を前記映像表示部に表示することを特徴とする請求項4記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記制御機にはフロア毎の廊下を撮像する共用部カメラが接続され、前記住戸玄関選択部で住戸玄関機が選択されたら、前記制御機は住戸玄関機に関連付けられている前記共用カメラの撮像映像を、前記住戸玄関選択部を操作した集合玄関機或いは管理室親機へ伝送することを特徴とする請求項3又は5記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
前記人感センサ情報表示制御手段は、前記人感センサ情報入手手段が能動状態となったら、前記映像表示部に、廊下にいる人物を検知して表示し、その人物と通話が可能になる等その後の操作手順を表示することを特徴とする請求項3,5,6の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−8692(P2011−8692A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153831(P2009−153831)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】