説明

集合住宅用映像監視システム

【課題】映像監視によるセキュリティ性能を確保しつつ住戸人のプライバシーを十分に保護する。
【解決手段】何れかの住戸機4で撮像装置6の監視映像の表示が要求されたときに、規制手段たる住戸機4の制御部40が記憶部Mに記憶した表示可否情報に基づいて当該住戸機4に対する監視映像出力の可否を判断し、映像の表示が許可されていない撮像装置6の監視映像を映像切換装置5が切換出力することを規制する。従って、自動車を所有していない住戸人の住戸機4では駐車場に設置された撮像装置6の監視映像が表示されず、あるいは、子供を持たない住戸人の住戸機4では子供の遊び場に設置された撮像装置6の監視映像が表示されないようにすることが可能となり、映像監視によるセキュリティ性能を確保しつつ住戸人のプライバシーを十分に保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の共用部に設置される複数の撮像装置で撮像した映像を映像切換装置により択一的に切り換えて出力し、映像切換装置から出力される映像を集合住宅の各住戸に設置された住戸機で表示するようにした集合住宅用映像監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マンションなどの集合住宅の共用玄関や駐車場あるいは子供の遊び場などの共用部に複数の撮像装置(監視カメラ)を設置し、監視カメラで撮像した映像を各住戸に設置された住戸機で表示可能とした集合住宅用映像監視システムが提供されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2004−357244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例では各住戸機で全ての監視カメラの映像を自由に表示することができ、例えば、自動車を所有していない住戸人の住戸機で駐車場に設置された監視カメラの映像を表示したり、子供を持たない住戸人の住戸機で子供の遊び場に設置された監視カメラの映像を表示することも可能であるため、住戸人のプライバシーが十分に保護されているとは言い難い状況にあった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、映像監視によるセキュリティ性能を確保しつつ住戸人のプライバシーを十分に保護することができる集合住宅用映像監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の共用部に設置される複数の撮像装置と、これら複数の撮像装置で撮像した映像を択一的に切り換えて出力する映像切換装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され映像切換装置とは伝送線路を介して接続されるとともに映像切換装置で切り換えて出力される映像を表示する複数台の住戸機と、各住戸機並びに映像切換装置と制御線で接続され該制御線を介して各住戸機から伝送される制御信号に基づき映像切換装置に対して出力映像の切換を指示する制御装置とを備え、各住戸機は、伝送線路を介して受信した映像を表示する表示手段と、前記制御線を介して制御装置に対して表示手段に映像を表示する撮像装置を選択するための前記制御信号を伝送する制御信号伝送手段とを具備し、制御装置は、制御線を介して住戸機及び映像切換装置との間で制御信号を授受する制御信号伝送手段を具備する集合住宅用映像監視システムであって、複数台の住戸機と各住戸機の表示手段で映像の表示が許可される撮像装置との対応関係を定めた情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された前記情報に基づき各住戸機に対して映像の表示が許可されていない撮像装置の映像を映像切換装置が切換出力することを規制する規制手段とを、前記住戸機及び制御装置の少なくとも何れか一方に具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記記憶手段及び規制手段を前記制御装置のみが具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、何れかの住戸機で撮像装置の映像表示が要求されたときに規制手段が記憶手段に記憶した情報に基づいて当該住戸機に対する映像出力の可否を判断し、映像の表示が許可されていない撮像装置の映像を映像切換装置が切換出力することを規制するので、例えば、自動車を所有していない住戸人の住戸機では駐車場に設置された撮像装置の映像が表示されず、あるいは、子供を持たない住戸人の住戸機では子供の遊び場に設置された撮像装置の映像が表示されないようにすることが可能となり、映像監視によるセキュリティ性能を確保しつつ住戸人のプライバシーを十分に保護することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、各住戸機で前記情報が勝手に書き換えられて規制が解除されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
本実施形態のシステム構成例を図1に示す。本実施形態では、集合住宅の共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)2と、各住戸にそれぞれ設置される複数台(図示は1台のみ)の住戸機4とを備え、ロビーインターホン2と住戸機4とがそれぞれ伝送線路を介して接続されている。伝送線路は、ロビーインターホン2に接続される幹線L1と、各住戸機4にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含み、さらに集合住宅の管理人室に設置された警報監視盤1が幹線L1に接続される。この伝送線路としては、3対以上のペア線をシース内に備える多対ツイストペアケーブルを用いており、図示は省略するがロビーインターホン2と住戸機4との間で音声信号を伝送する通話線Laと、ロビーインターホン2が具備するカメラ26で撮像された映像信号を伝送する映像線Lbと、ロビーインターホン2が有する選択手段(後述する)により選択された住戸機4を指定する制御信号を伝送する制御線Lcとにそれぞれペア線を用いている。つまり、図示例の伝送線路では3対のペア線を用いている。ここで、映像線Lbを介して伝送される映像信号はロビーインターホン2において周波数変調され、後述するように各住戸機4に設けた映像処理部43で周波数復調されてモニタ部45に表示される。
【0011】
図3に示すようにロビーインターホン2は、音声を入出力するマイクロホン24a及びスピーカ24bと、通話線Laを介して住戸機4から伝送される音声信号を信号処理してスピーカ24bに出力するとともにマイクロホン24aから入力する音声信号を信号処理して通話線Laに送出することでハンズフリー通話を実現する通話処理部25と、来訪者を撮像するカメラ26と、カメラ26が出力する映像信号を周波数変調して映像線Lbを介して伝送する映像処理部27と、住戸番号を指定するための番号キーや呼出釦を有する操作スイッチ部22と、操作スイッチ部22で指定された住戸番号等を表示する表示部23と、操作スイッチ部22の操作を報知するための報知音や後述する報知メッセージを生成してスピーカ24bへ出力する報知音生成部29と、CPUを主構成要素とし上記各部の動作を制御する制御部20と、制御部20と制御線Lcのインタフェースを行う伝送送受信部21と、マイクロホン24aから出力する音声信号を増幅する増幅器A1と、スピーカ24bへ出力する音声信号を増幅する増幅器A2とを備えている。つまり、来訪者が選択手段である操作スイッチ部22の番号キーを操作して訪問先の住戸番号を選択した後に呼出釦を操作すると住戸番号に対応する住戸機2を選択したことになる。ここで、ロビーインターホン2には通話線La及び制御線Lcを介して警報監視盤1が接続されており、ロビーインターホン2で選択された住戸番号が制御線Lcを介して警報監視盤1に伝送されると、警報監視盤1が当該住戸番号に対応する住戸機4に対して呼出元のロビーインターホン2に割り当てられている固有のアドレスを付加した制御信号(呼出コマンド)を制御線Lcを介して送出する。
【0012】
一方、住戸機4は、図2に示すように音声を入出力するマイクロホン41a及びスピーカ41bを備え、マイクロホン41aとスピーカ41bとはそれぞれ通話処理部42に接続されている。また、通話処理部42には受話側並びに送話側の各伝送経路と2線の通話線Laとを2線4線変換する2線4線変換部(図示せず)が接続されている。通話処理部42は、通話線Laを介して伝送されてくる音声信号(受話信号)とマイクロホン41aから出力される音声信号(送話信号)のレベルを比較することで通話状態(受話状態又は送話状態)を推定し、受話状態と推定したときには送話信号の伝送経路に損失を挿入し、送話状態と推定したときには受話信号の伝送経路に損失を挿入することで受話モードと送話モードを切り換える音声スイッチや、マイクロホン41aとスピーカ41bの音響結合によって生じる音響エコーを消去するためのエコーキャンセラなどを具備する。但し、このような音声スイッチやエコーキャンセラは従来周知であるから詳細な構成及び動作の図示並びに説明は省略する。したがって、ロビーインターホン2と住戸機4との間で通話線Laを通して音声信号を授受することができ、来訪者がロビーインターホン2を用いるとともに居住者が住戸機4を用いることによって、来訪者と居住者との間で音声通話が可能となる。
【0013】
また住戸機4には、住戸別線L2の通話線Laと映像線Lbをそれぞれ通話信号(受話信号及び送話信号)の伝送経路(以下、「通話路」と呼ぶ。)と映像信号の伝送経路に分離する幹線インタフェース(図示せず)が設けられている。映像信号の伝送経路は映像処理部43に接続され、通話路は通話処理部42と子器インタフェース部44とに択一的に切換接続される。子器インタフェース部44には子器接続線L3を介してドアホン子器3が接続される。ドアホン子器3は集合住宅の各住戸の玄関先に配置されるものであってマイクロホン及びスピーカを備え、子器インタフェース部44はドアホン子器3との通話のための音声双方向増幅回路や通話路を接続するための開閉路回路などを備える。したがって、通話路が子器インタフェース部44に接続されている状態ではドアホン子器3と住戸機4との間での通話が可能になっている。また、ドアホン子器3にはテレビカメラが設けられ、子器インタフェース部44では子器接続線L3を介して伝送される音声信号と映像信号を分離し、分離した映像信号を映像処理部43に出力してモニタ部45に表示することができるようになっている。さらにドアホン子器3には呼出釦が設けられ、呼出釦が操作されたときに子器接続線L3に呼出信号を送出する機能を有し、住戸機4では呼出信号を検出したときに報知音生成部46で生成された呼出音がスピーカ41bから送出されるようになっている。
【0014】
住戸機4において、モニタ部45には液晶表示器が用いられる。映像線Lbを通して住戸機4に入力される映像信号は、幹線インタフェースで平衡−不平衡変換され、さらに増幅器で増幅された後に映像処理部43において周波数復調される。また、子器接続線L3を通して住戸機4に入力される映像信号も、子器インタフェース部44で平衡−不平衡変換され、さらに増幅器で増幅された後に映像処理部43において周波数復調される。そして、映像処理部43から出力された映像信号は、モニタ部45に入力されることによってモニタ部45の画面に映像を表示する。つまり、ロビーインターホン2やドアホン子器3のカメラにおいて撮像された来訪者の映像が住戸機4のモニタ部45に表示されるから、住戸内の居住者が来訪者を確認することができるのである。また報知音生成部46は、ロビーインターホン2やドアホン子器3からの呼出等を報知するための報知音を生成し、生成した報知音をスピーカ41bに出力するとともに当該報知音をバックトーンとして住戸別線L2又は子器接続線L3にも出力する。
【0015】
住戸機4には、CPUを主構成要素とし内部回路を制御する制御部40が設けられ、制御部40には制御線Lcとのインタフェースとなる伝送送受信部47が接続される。伝送送受信部47は、制御部40から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号を制御部40に引き渡す機能を有する。また住戸機4には、呼出に応答する際に操作される応答釦48b等を含む操作スイッチ部48aと、操作スイッチ部48aの操作に応じた操作入力を制御部40に入力するスイッチ入力部48bとが設けられる。さらに住戸機4には、住戸内に設置される種々のセキュリティセンサ(火災感知器やガス漏れ感知器など)Sと制御部40とのインタフェースとなるセンサ入力部49が設けられている。つまり、住戸機4においては、セキュリティセンサSから火災やガス漏れ等の異常発生を知らせるセンサ信号がセンサ入力部49を通じて制御部40に入力されると、制御部40が報知音生成部46に対して異常発生を報知するための警報音や警報メッセージを生成させてスピーカ41bから送出させるとともに、伝送送受信部47から制御線Lcを介して警報監視盤1に異常発生を報知するための制御信号を送信させ、警報監視盤1においても異常発生の警報を行うように構成されている。尚、このように通話機能とセキュリティ機能を有した住戸機4は特に住宅情報盤と呼ばれる。
【0016】
ところで、住戸別線L2は幹線L1から分岐されているため、ロビーインターホン2から警報監視盤1を介して送出された制御信号は制御線Lcに接続されるすべての住戸機4に伝送される。ここに、住戸機4の制御部40には個別にアドレス(たとえば、住戸番号)が設定されており、ロビーインターホン2において住戸機4のアドレスを選択することによって、住戸機4のアドレスを指定する制御信号(呼出コマンド)が警報監視盤1から制御線Lcを介して全ての住戸機4に伝送することが可能になっている。住戸機4の制御部40は、制御信号に含まれるアドレスが自己のアドレスであれば映像処理部43やモニタ部45を起動してロビーインターホン2のカメラにおいて撮像された来訪者の映像を住戸機4のモニタ部45に表示させるとともに、報知音生成部46に生成させた報知音(呼出音)をスピーカ41bから送出させる。そして、呼出音に応じて居住者が住戸機4の操作スイッチ部48aに設けられている応答釦48b(図1参照)を押操作すれば、制御部40が通話線Laに接続された通話路を通話処理部42に接続してロビーインターホン2との間に通信路を確立することにより、ロビーインターホン2と選択された住戸機4との間でのみ通話可能にすることができるとともに、選択された住戸機4でのみカメラで撮像された来訪者をモニタ部45に表示することが可能になる。尚、ロビーインターホン2において選択された住戸機4がロビーインターホン2との間で通信路を確立している状態は、ロビーインターホン2または住戸機4において適宜の操作釦を用いた通話終了が検出されると終了する。
【0017】
また、ドアホン子器3の呼出釦が押操作されて子器接続線L3に呼出信号が送出されると、呼出信号を検出した住戸機4の制御部40が映像処理部43やモニタ部45を起動してドアホン子器3のカメラにおいて撮像された来訪者の映像を住戸機4のモニタ部45に表示させるとともに、報知音生成部46に生成させた報知音(呼出音)をスピーカ41bから送出させる。そして、呼出音に応じて居住者が住戸機4の応答釦48bを押操作すれば、制御部40が通話路を子器インタフェース部18に接続する状態に切り換えてドアホン子器3との間に通信路を確立することにより、ドアホン子器3と住戸機4との間で通話可能にすることができるとともカメラで撮像された来訪者をモニタ部45に表示することが可能になる。
【0018】
警報監視盤1は集合住宅の管理人室に設置されるものであって、図4に示すようにハンドセット(図示せず)を用いて通話するための通話部14と、住戸機4の住戸番号を入力するための番号キー等を有する操作部12と、住戸機4における異常発生を報知するための警報音や警報メッセージを生成してスピーカ(図示せず)から送出する警報音生成部15と、操作部12で指定された住戸番号等を表示する表示部13と、CPUを主構成要素とし上記各部の動作を制御する制御部10と、制御部10と制御線Lcのインタフェースを行う伝送送受信部11と、書換可能な不揮発性メモリからなる記憶部16とを備え、通話線Laを介して各住戸機4との間で通話並びに一斉放送を行う機能や、制御線Lcを介して住戸機4から伝送される異常発生を報知するための制御信号を受信して警報を発する機能等を有している。例えば、管理人が操作部12を操作して住戸番号を入力した後に通話部14のハンドセットをオフフックすると、入力された住戸番号に対応する住戸機4に対して制御部10が制御信号(呼出コマンド)を生成し、伝送送受信部11から制御線Lcに送出させ、上述したロビーインターホン2と住戸機4との通話時と同様に、選択された住戸機4と警報監視盤1との間でのみ通話線Laを介した通話が可能となる。尚、一斉放送とは、警報監視盤1から複数台(全て若しくは一部)の住戸機4に対して音声信号を伝送することであって、各住戸への緊急性を有しない連絡や避難誘導などの緊急連絡を目的に行われる。例えば、警報監視盤1から全ての住戸機4に対して一斉放送を行う場合、警報監視盤1から一斉放送の開始を指示する制御信号(一斉放送開始コマンド)が制御線Lcを介して各住戸機4に送信され、この制御信号を受信した各住戸機4では、一斉放送開始コマンドを応じて制御部40が通話線Laに接続された通話路を通話処理部42に接続することで警報監視盤1との間に通信路が確立され、警報監視盤1から送出される一斉放送の音声信号が通話線Laを介して各住戸機4に伝送され、スピーカ41bから一斉放送の音声が送出される。
【0019】
また警報監視盤1には制御線Lcを介して映像切換装置5が接続されている。この映像切換装置5は、集合住宅の共用部(例えば、駐車場、敷地内の子供の遊び場、共用玄関、ゴミ捨て場など)に設置された複数台の撮像装置6とそれぞれ信号線Lsで接続され、住戸機4からの要求に応じて、何れかの撮像装置6から信号線Lsを介して入力する映像信号を幹線L1の映像線Lbに択一的に出力する。撮像装置6は、CCDのような個体撮像素子、レンズなどの光学系、映像信号の処理回路などを有する従来周知の監視カメラからなり、信号線Lsを介して周波数変調した映像信号を出力する。尚、撮像装置6から出力される映像信号を「監視映像信号」、監視映像信号を表示デバイスに表示したときの映像を「監視映像」と呼ぶことにする。
【0020】
一方、映像切換装置5は、図5に示すようにCPUを主構成要素とする制御部50と、制御部50と制御線Lcのインタフェースを行う伝送送受信部51と、制御部50によって個別に開閉される常開型の複数のスイッチSWからなる切換部52とを備えている。複数のスイッチSWは一方の端子が映像線Lbと接続され、他方の端子が互いに異なる信号線Lsと接続されており、制御部50によって個別に開閉される。すなわち、通常は全てのスイッチSWがオフされているが、何れかの住戸機4から警報監視盤1を通じて監視映像の伝送要求(制御信号)が映像切換装置5に届けられたときに制御部50が当該伝送要求に応じて何れか一つのスイッチSWのみをオンして当該スイッチSWに信号線Lsを介して接続されている撮像装置6の監視映像信号を映像線Lbに送出させ、伝送要求を行った住戸機4のモニタ部45で監視映像を表示することができるのである。従って、本実施形態においては警報監視盤1が制御装置に相当する。
【0021】
ここで各住戸機4の記憶部Mには、各撮像装置6に割り当てられた固有のID番号(以下、「カメラ番号」と呼ぶ。)と、撮像装置6で撮像される監視映像の表示の可否との対応関係を定めた情報(以下、「表示可否情報」と呼ぶ。)が記憶されている。例えば、共用玄関とゴミ捨て場に設置されている撮像装置6で撮像された監視映像については全ての住戸機4で表示が許可されるが、駐車場や子供の遊び場に設置されている撮像装置6で撮像された監視映像については、それぞれ自動車を保有する住戸人の住戸機4や子供を持つ住戸人の住戸機4でのみ表示が許可され、自動車を保有しない住戸人の住戸機4では駐車場に設置された撮像装置6の監視映像の表示が禁止されるとともに、子供を持たない住戸人の住戸機4では子供の遊び場に設置された撮像装置6の監視映像の表示が禁止されるのであって、表示可否情報には、全てのカメラ番号に対して監視映像の表示の許可/禁止が定められている。
【0022】
次に、撮像装置6で撮像された監視映像を住戸機4のモニタ部45に表示する際の動作を、図6のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0023】
まず、住戸人が操作スイッチ部48aを操作して監視映像を表示させようとする撮像装置6のカメラ番号を入力した後に監視映像の表示を開始するための操作釦を操作すると、入力されたカメラ番号がスイッチ入力部48bを通して制御部40に取り込まれる(ステップ10)。制御部40では、記憶部Mに記憶している表示可否情報を参照し、取り込んだカメラ番号に対する監視映像の表示の可否を判断する(ステップ11)。当該カメラ番号に対する監視映像の表示が許可されていれば、制御部40は当該カメラ番号の撮像装置6で撮像された監視映像の伝送要求コマンドと自己のアドレス(住戸番号)を含む制御信号を伝送送受信部47から制御線Lcを介して警報監視盤1に伝送する(ステップ12)。また、当該カメラ番号に対する監視映像の表示が禁止されていれば、制御部40は当該カメラ番号の撮像装置6で撮像された監視映像の表示が許可されていない旨の表示をモニタ部45の画面に表示させて待機状態に戻る(ステップ13)。すなわち、本実施形態では住戸機4の制御部40が規制手段に相当する。
【0024】
警報監視盤1では、伝送送受信部11で受信した制御信号が制御部10に取り込まれ、記憶部16に記憶されているカメラ番号とスイッチSWの対応関係に基づいて、制御部10が伝送要求コマンドに含まれるカメラ番号と対応するスイッチSWをオンするためのスイッチ制御コマンドを作成し、そのスイッチ制御コマンドを含む制御信号を伝送送受信部11から制御線Lcを介して映像切換装置5に伝送する(ステップ20)。
【0025】
映像切換装置5では、伝送送受信部51で受信した制御信号が制御部50に取り込まれ、スイッチ制御コマンドに応じてカメラ番号と対応するスイッチSWを制御部50がオンする(ステップ30)。その結果、オンされたスイッチSWに信号線Lsを介して接続されている撮像装置6の監視映像信号が映像切換装置5から映像線Lbに出力されるので、伝送要求コマンドを送信した住戸機4においては、映像線Lbを介して伝送される監視映像信号が映像処理部43で復調されてモニタ部45の画面に監視映像が表示される(ステップ14)。尚、住戸機4における監視映像の表示は、表示開始から所定の時間が経過したときに警報監視盤1の制御部10がスイッチ制御コマンドを伝送して映像切換装置5のスイッチSWをオフすることで強制的に終了するか、あるいは住戸機4で監視映像の表示を終了する操作が行われたときに伝送停止コマンドを警報監視盤1に伝送し、警報監視盤1の制御部10がスイッチ制御コマンドを伝送して映像切換装置5のスイッチSWをオフすることで終了すればよい。
【0026】
このように何れかの住戸機4で撮像装置6の監視映像の表示が要求されたときに、規制手段たる住戸機4の制御部40が記憶部Mに記憶した表示可否情報に基づいて当該住戸機4に対する監視映像出力の可否を判断し、映像の表示が許可されていない撮像装置6の監視映像を映像切換装置5が切換出力することを規制するので、例えば、自動車を所有していない住戸人の住戸機4では駐車場に設置された撮像装置6の監視映像が表示されず、あるいは、子供を持たない住戸人の住戸機4では子供の遊び場に設置された撮像装置6の監視映像が表示されないようにすることが可能となり、映像監視によるセキュリティ性能を確保しつつ住戸人のプライバシーを十分に保護することができる。
【0027】
ところで、住戸機4の住戸番号と、各撮像装置6で撮像される監視映像の表示の可否との対応関係を定めた表示可否情報を警報監視盤1の記憶部16に記憶しておき、住戸機4から伝送要求コマンドの制御信号を受け取ったときに制御信号に含まれる住戸番号とカメラ番号に基づいて警報監視盤1の制御部10が監視映像の表示の可否を判断するようにしても構わない。このように表示可否情報を各住戸機4ではなく警報監視盤1で一元的に管理すれば、各住戸機4で表示可否情報が勝手に書き換えられて規制が解除されることを防ぐことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】同上における住戸機のブロック図である。
【図3】同上におけるロビーインターホン(共用部装置)のブロック図である。
【図4】同上における警報監視盤(制御装置)のブロック図である。
【図5】同上における映像切換装置のブロック図である。
【図6】同上の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 警報監視盤
10 制御部
4 住戸機
40 制御部
M 記憶部
5 映像切換装置
6 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の共用部に設置される複数の撮像装置と、これら複数の撮像装置で撮像した映像を択一的に切り換えて出力する映像切換装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され映像切換装置とは伝送線路を介して接続されるとともに映像切換装置で切り換えて出力される映像を表示する複数台の住戸機と、各住戸機並びに映像切換装置と制御線で接続され該制御線を介して各住戸機から伝送される制御信号に基づき映像切換装置に対して出力映像の切換を指示する制御装置とを備え、各住戸機は、伝送線路を介して受信した映像を表示する表示手段と、前記制御線を介して制御装置に対して表示手段に映像を表示する撮像装置を選択するための前記制御信号を伝送する制御信号伝送手段とを具備し、制御装置は、制御線を介して住戸機及び映像切換装置との間で制御信号を授受する制御信号伝送手段を具備する集合住宅用映像監視システムであって、複数台の住戸機と各住戸機の表示手段で映像の表示が許可される撮像装置との対応関係を定めた情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された前記情報に基づき各住戸機に対して映像の表示が許可されていない撮像装置の映像を映像切換装置が切換出力することを規制する規制手段とを、前記住戸機及び制御装置の少なくとも何れか一方に具備することを特徴とする集合住宅用映像監視システム。
【請求項2】
前記記憶手段及び規制手段を前記制御装置のみが具備することを特徴とする請求項1記載の集合住宅用映像監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−222888(P2006−222888A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36572(P2005−36572)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】