集積されたマイクロ光学システム
【課題】磁気光学ヘッドのスライダブロックを小さくする。
【解決手段】集積されたマイクロ光学システムは、少なくとも2つのウエハの夫々の面上に設けられた少なくとも2つの光学エレメント71、73、75を備えた、少なくとも2つのウエハを含む。適用される場に対応して変化する特性を有するアクティブエレメント63は、ウエハの底面上に集積されても良い。結果の光学システムは、高い開口数を有する。好ましくは、光学エレメントの1つは、高い屈折率を有する材料から形成される屈折エレメントである。
【解決手段】集積されたマイクロ光学システムは、少なくとも2つのウエハの夫々の面上に設けられた少なくとも2つの光学エレメント71、73、75を備えた、少なくとも2つのウエハを含む。適用される場に対応して変化する特性を有するアクティブエレメント63は、ウエハの底面上に集積されても良い。結果の光学システムは、高い開口数を有する。好ましくは、光学エレメントの1つは、高い屈折率を有する材料から形成される屈折エレメントである。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、1998年3月26日に出願された米国仮出願60/079,378に関し、合衆国法典第35巻第119条に基づく優先権を主張する。その全体の内容は参考としてここに添付される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アクティブエレメントを備えたウエハ平面上の集積オプティックス(optics)に関し、特に、磁気光学ヘッドに適した集積オプティックスに関する。
【背景技術】
【0003】
磁気光学ヘッドは、現在、高密度磁気光学媒体を読むために使用される。特に、磁気コイルは、磁場を媒体に適用するために用いられ、続いて、光が媒体に与えられ書き込まれる。光はまた、磁場と光の使用から媒体の変化した特性に対応して、媒体から読むのに使用される。
【0004】
そのような構成の例が、図1に示される。図1において、光ファイバ8が光をヘッドに伝える。ヘッドは、その側面に載置された対物レンズ12を有するスライダブロック10を含む。鏡9がまたスライダブロック10の側面に載置され、光ファイバ8からの光を対物レンズ12上に向ける。レンズ12と整列した磁気コイル14が、また、スライダブロック10の側面に載置される。ヘッドは、ヘッドと媒体18との間の空気ベアリングサンドイッチ16の上に置かれる。スライダブロック10は、媒体18を横切ってヘッドが滑るのを許容し、媒体18からの読み出し、又は媒体への書き込みを行う。
【0005】
スライダブロック10の高さは、一般には500から1500ミクロンの間に制限され、可能な限り小さいことが好ましい。それ故に、スライダブロックの上に載置することができるレンズの数は制限される。加えて、スライドブロック上で1より多いレンズのアライメントは困難である。更に、要求される小さなスポットのために、ヘッドのオプティックス又は総合的な光学システムは、高い開口数、好ましくは0.6より高い開口数を必要とする。1の対物レンズでこれを達成することは、それと関連する大きなたわみのために困難である。
【発明の概要】
【0006】
それ故に、本発明の目的は、アクティブエレメントを有するスライダブロックを提供することにある。アクティブエレメントとは、即ち、適用された場に対応して変化する特性を有するエレメントで、スライダブロックの上に集積され、関連技術の制限や短所による1又はそれ以上の問題を実質的に回避する。そのようなエレメントは、磁気コイル、光源、検知器等を含む。
【0007】
本発明の更なる目的は、複数の光学エレメントと、その上に集積されたアクティブエレメントを有するスライダブロックとを集積することにある。本発明の更なる目的は、ウエハ表面上に物を作製し、複数のウエハを互いに接合し、底部ウエハの底面上にアクティブエレメントを提供することにある。
【0008】
上述の及び他の長所の少なくとも1つは、互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学システムを提供することにより実現することができる。これらの各ウエハは表面と底面を有し、接着されたウエハは複数のダイと、該ダイの底面上に集積され、適用された場に対応して変化する特性を有するアクティブエレメントを生じるように切断され、光学エレメントはダイの1より多くの表面の上に形成される。
【0009】
アクティブエレメントは、そこに電流が流された場合に、その磁気特性が変化する薄膜コンダクタでもかまわない。アクティブエレメントは、接着されたウエハが切られる前に、底部ウエハの上に、アクティブエレメントのアレイとして集積されても良い。ダイは2つのウエハから形成されても良く、アクティブエレメントは、上部ウエハの表面上と底面上、及び底部ウエハの表面上に形成されても良い。ダイは、高い開口数の光学システムを含んでも良い。
【0010】
1より多くのウエハからなる底部ウエハは、他のウエハより高い屈折率を有しても良い。ダイの底部ウエハ上には光学エレメントがなくても良い。ダイの底面は、更に、その上に食刻された集積されたマイクロ光学システムの滑りを助長する特徴を含んでも良い。ダイの底部ウエハは、高い開口数の材料中に形成された屈折エレメントを有しても良い。開口として提供された金属部分は、ダイの少なくとも1の面上に集積されても良い。
【0011】
底部ウエハの底面上の材料の層は、アクティブエレメントがその上に集積される前に堆積される。光学エレメントは底部ウエハの底面上に形成されても良く、層は、底部ウエハの屈折率と異なった屈折率を有しても良い。層は、所望の厚みと測定された厚みの間の違いに一致するように堆積されても良い。
【0012】
モニタ光学システムは、光学エレメントを含むウエハの各面上に形成されても良い。ウエハの間の間隔は、ウエハの測定厚みと、ウエハの所望の厚みとの違いに一致するように変化してもよい。
【0013】
ダイの上面は、エッチング(食刻)され、光学エレメント上に光を向けるために反射被覆剤により被覆されても良い。更に、基板は、MEMSミラーをその中に持つダイの上に載置されても良い。挿入ポイントが、光ファイバをその中に受けるために、ダイの上に形成されても良い。挿入ポイントはダイの側面上であり、システムが、更に、ファイバから出た光の方向を変える反射体を含んでも良い。
【0014】
ダイの中の屈折エレメントが球面レンズであり、ダイが、更に、球面レンズにより表される収差を補正する補正レンズを含んでも良い。補正エレメントは、球面レンズのすぐ近くに隣接した面上にあっても良い。補正エレメントは、回折エレメントでも良い。屈折エレメントは、非球面レンズでも良い。ダイは少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成されても良い。
【0015】
上述の又は他の長所の少なくとも1つは、互いに接着された、より多くのウエハから形成されたダイを含む、集積されたマイクロ光学装置を提供することにより実現することができる。かかる各ウエハは表面と底面を有し、接着されたウエハは複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが、各ダイの夫々の面上に形成され、少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、この結果、各ダイの光学システムが高い開口数を有する。
【0016】
屈折エレメントが球面レンズであり、ダイが更に、球面レンズにより生じる収差を補正する補正エレメントを含んでも良い。補正エレメントは、球面レンズの近くに隣接する面上にあっても良い。補正レンズは、回折エレメントでも良い。屈折エレメントは、非球面レンズでも良い。
【0017】
ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料の中に形成されることが好ましい。屈折エレメントが、底部ウエハ上にあり、底部ウエハの屈折率より高い屈折率を有する材料からなっても良い。
【0018】
本発明の更なる適用範囲は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、一方で本発明の好ましい具体例を示す、詳細な記載や特別な例は、実例として記載されていることを理解すべきである。なぜならば、本発明の意図や範囲内での多くの変形や改良が、この詳細な記載から当業者に明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、詳細な記載と、本発明を限定するものではなく具体例のみを示した付随する以下の図面から、より完全に理解されるであろう。
【0020】
【図1】高密度のフライングヘッド磁気光学読み出し/書き込みデバイスの構成を示す。
【図2A】スライダブロックの形成に使用されるオプティックス用の1の構成を示す。
【図2B】図2Aに示された光学システムの広がり関数を示す。
【図3A】本発明のスライダブロックに使用するためのオプティックスの第2の具体例を示す。
【図3B】図3Aに示す光学システムの広がり関数を示す。
【図4A】本発明のスライダブロックに使用するためのオプティックスの第3の具体例を示す。
【図4B】図4Aに示す光学システムの広がり関数を示す。
【図5】本発明のスライダブロックの具体例の側面図である。
【図6】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図7】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図8A】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図8B】図8Aの具体例の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2Aから図4Bに示された全ての光学システムは、満足な結果を提供する。換言すれば、良好な光学的特性を備えた高い開口数を提供する。これらの光学システムのキーエレメントは、複数の有用な面上への光学出力の分配である。この分配は、複数の表面上で均等であることが好ましい。必要とされる高い開口数のための十分な分配は、1より多くの表面上で実現される。必要とされる高い開口数のために、光学出力のこの分配は、屈折表面から収差を低減し、夫々の面から必要とされる屈折角を低減することにより、屈折表面の屈折率を増加させる。
【0022】
更に、高い開口数を有する1つの屈折面は、ウエハ上に組み込むのは困難であろう。そのような屈折面として作用するのに必要とされる増加した湾曲は、一般的なウエハの非常に薄い部分となり、壊れる心配が生じ、又は厚いウエハが必要となり、これはサイズが大きな制約となる多くの応用では好ましくない。更に、高いNAを有する1の屈折面の形成において要求される正確な形状の制御には、十分な課題が存在している。最後に、光出力が分配させる面は形成が容易であり、良い再現性を有し、良い品質の波面を維持する。
【0023】
本発明では、1より多くの表面が、ウエハを互いに接着することにより、磁気コイルのようなアクティブエレメントと集積されても良い。各ウエハ面は、直接又は成形、食刻を通してフォトリソグラフィ的にその上に集積された光学を有することができる。各ウエハは、同じ光学エレメントのアレイを含む。2より多くの面が必要な場合、ウエハが互いに接着される。ウエハが独立した装置に切断された場合、結果の生産物はダイと呼ばれる。図2A、3A及び4Aの側面図は、接着剤25で互いに接着された2又は3のチップからなるそのようなダイを示す。
【0024】
例えば図2Aに示すように、回折面20の次に屈折面22がきて、更に回折面24がきて、最後に回折面26がくる。図3Aに示された例では、屈折面30の次に回折面32がきて、更に屈折面34がきて、最後に回折面36がくる。図4Aに示された光学システムでは、屈折面40の次に回折面42がきて、更に屈折面44がきて、更に回折面46がきて、更に屈折面48がきて、最後に回折面50がくる。これらの設計の夫々の対応する性能が、図2B、3B及び4Bの広がり関数(spread function)の強度に関係して示されている。
【0025】
図2A、3A及び4Aに示すような球面の屈折エレメントを用いた場合、付随の球面収差を補正するために、それらの球面屈折エレメントに続いて、近接した回折エレメントが設けられることが便利である。非球面回折は、そのような収差を発生しないので、屈折と回折との交互配置は、ここでは必然的に好ましいものではなくなる。
【0026】
光学エレメントが多くの技術を用いて形成され、必要とされる高い開口数が達成される場合、屈折レンズは、基板に移されるよりも、フォトレジスト中に残されるのが好ましい。底部基板、即ち媒体に最も近い基板は、溶融されたシリカの屈折率n=1.36、に比較して高い屈折率を有することが好ましい。この屈折率は、基板の屈折率より、少なくとも0.3大きいことが好ましい。1の例では、候補となる材料SF56Aは、1.785の屈折率を有する。もし底部基板が媒体に非常に接近し、例えば0.5ミクロンより接近した場合、高い屈折率の基板を使用することにより、より小さなスポットサイズが実現できる。開口数N.A.は、以下のように定義される。
【0027】
N.A.= n・sinθ
【0028】
ここで、nは映像空間(image space)の屈折率、θはレンズにより受けられる光の最大錐の半分の角度(half-angle)である。このように、もし底部基板が媒体に非常に接近した場合、底部基板の屈折率がより高くなるほど、同じ性能を容認する半分の角度はより小さくなる。この角度の減少は、システムの効率を向上させる。
【0029】
図5に示すように、本発明にかかるスライダブロック61は複数のチップからなるダイを含み、そのチップの各面は、その上に光学構造を形成するのに有用である。ダイはウエハから形成され、ウエハは、一方又は双方の表面上に形成された、それぞれの光学エレメントのアレイを有する。個々の光学エレメントは、回折、屈折のいずれか、又はそのハイブリッドでも良い。接着剤25は、その接着を促進するために、双方の基板上の有利な位置に配置される。最終的に集積されたダイを形成する光学エレメントを囲むことにより、接着材料又は接着剤25は、それらの臨界的な接続で、ウエハ間にシールを形成する。切断中に、シールは、切断スラリがエレメントの間に入り、結果としてそれを汚染するのを防止する。エレメントは互いに接着されたままなので、それらの間に留まる切断スラリを除去することは殆ど不可能である。回折エレメントが接着された場合に、切断スラリは、更なる問題を生じる。回折エレメントの構成が、スラリを留めやすいからである。
【0030】
有利なことには、接着されたウエハはその上のどこかに、更に好ましくはその外部端部に、基準マークを含み、ウエハのアライメントを確実にし、その上の全ての個々のエレメントが一斉に整列できる。代わりに、基準マークは、アライメントと、ウエハ上の機械的なアライメント特徴の形成に使用されても良い。基準マークとアライメント特徴の一方又は双方が、ウエハの整列に使用されても良い。基準マーク及び/又はアライメント特徴は、底部基板上に、アクティブエレメントや他の付随した構造、例えば、それらのための磁気コイルやコンタクトパッド、を記録し配置するために有用である。それらのアクティブエレメントは、ウエハを切断する前又は後に集積することができる。
【0031】
本発明にかかるスライダブロック61の底面67上では、薄膜コンダクタ及び/又は磁気コイルを含む磁気ヘッド63が、薄膜技術を用いて集積されている。かかる薄膜技術は、例えば、Shukovskyらの米国特許5,314,596、「磁気記録媒体とともに使用される磁気フィルム記録ヘッドの製造プロセス」に記載されている。磁気コイルに必要とされるコンタクトパッドは、この底面上に形成されるのが好ましい。
【0032】
磁気コイル63が底面67上に集積され、光線が磁気コイルの中央を通過するため、この底面上に光学構造を提供するのは、一般的には実用的ではない。このことは、光学システムの設計において変形するのに有用な5つの面50−58を残す。更に、追加のウエハが提供されることにより、合計7つの面を提供できる。図2A及び2Bに示す例では、面50は、面20又は40にそれぞれ対応し、面52は、面22又は32にそれぞれ対応し、面54は、面24又は34にそれぞれ対応し、面56は、面26又は36にそれぞれ対応する。
【0033】
それらのウエハ平面のそれぞれは、例えば、125ミクロンのオーダーのように、非常に薄く形成することができ、4つまでのウエハが、最も抑えられた状態でさえ使用することができる。もし、サイズ及び熱の制限が許せば、光をそこに配るために、ファイバを使用するよりも、むしろスライダブロックの上に光源を集積することができる。薄くすることに加えて、ウエハスケールアセンブリの使用により、複数の物体の正確なアライメントが可能となり、これにより、使用できる、光学出力を含む面の数を増加させることができる。このウエハスケールアセンブリは、また、パッシブアライメント技術の使用を可能とする。スライダブロック61の注文寸法は、面67の上の、一般的には1500ミクロンの磁気コイル用のパッドのサイズにより決定される。これは、残りの面上の多くのオプティックス(光学系)より、及びスライダブロック61の安定性に必要とされるサイズより、ずっと大きくなる。底面67は、また、スライダブロック61が滑るのを助長する、その上の食刻の特徴を含んでもよい。
【0034】
光学面の多くの配置が、スライダブロック61中に組み込まれてもよい。ウエハの接着、処理及びパッシブアライメントが、出願中の、共通の譲り受け人の米国特許出願08/727,837、タイトル「ディスクドライブ用の集積された光学ヘッド及びその形成方法」、及び米国特許出願08/943,274、タイトル「多重光学ヘッドのウエハ面の集積」に記載されている。これらは、その全文を参考文献としてここに添付する。
【0035】
加えて、図6に示すように、光学エレメントを、底部ウエハの底面67上に形成することもできる。この底面67上に光学エレメントを形成した場合、ウエハ自身の屈折率と異なる屈折率を有する透明な層65が、底面67とコイル63との間に提供される。この層65とウエハとの間の屈折率の相違は、底面67上に形成された光学エレメントの光学的効果が認識できるように、少なくとも約0.3でなければならない。また、図6に示すように、もし、1又は2の光学エレメントから十分な製造が得られる場合には、1のウエハが用いられても良い。
【0036】
更に、図6に示すように、金属部分69は、システムの開口となるように形成されても良い。それらの開口は、いずれのウエハ表面に集積されても良い。開口は、開口ストップとして、一般的にはその底面の前の光学システム中のどこかに形成されてもよい。開口として提供するそのような金属部分69が、底面67の上に提供された場合、金属部分69が、金属コイル63の操作を妨害しないことを確実にするために有利である。
【0037】
非常に正確な応用のために、高い開口数を備えたシステムが使用された場合に発生する問題は、システムの焦点深度が非常の浅いことである。それゆえに、光学システムから媒体までの距離は、媒体の適正な位置で光線の焦点が合うのを確実にするように、非常に正確に制御されなければならない。上述の高い開口数のためには、焦点深度は約1ミクロン又はそれ以下である。ウエハの厚みは、ウエハの厚みと直径に依存して、約1から5ミクロンに制御することができる。ウエハがより薄く、小さくなるほど、制御性はより良くなる。複数のウエハが使用された場合、出力は全てのエレメントを通って分配されるため、システムは、特別なウエハのための設計膜厚からのばらつきに対して、より敏感ではなくなる。
【0038】
複数のウエハを用いる場合、各ウエハの実際の厚みが測定でき、偏差量を調整するために、ウエハの間の間隔が調整される。ファイバ又は光源配置の位置は、ウエハアセンブリ内での厚みのばらつきを修正するように調整できる。代わりに、回折エレメントの設計が、スライダブロックの厚みの測定に従って変えられ、所望の厚みからのばらつきを補正しても良い。代わりに、厚みが正確に実現されていると仮定すると、全体のシステムは、所望の位置より深い位置で光が集光するように設計されても良い。次に、層65が堆積されて、所望の位置もスポットを配るための、必要な残し厚みを提供してもよい。層65の堆積は、ウエハの形成よりも、より正確に制御され、システム自身の膜厚のばらつき量を変える。即ち、層65は、均一な厚みを有するものではない。もし、光学エレメントが底面67上に形成されない場合、層67の屈折率は、ウエハの屈折率と異なる必要はない。
【0039】
図7は、スライダブロックの他の具体例の側面図である。図7に示すように、ファイバ8が上部ウエハ内に挿入され、鏡9が上部ウエハ内に、好ましくは45°の角度で集積されている。鏡9により反射された光は、回折エレメント71に向かい、屈折エレメント73、回折エレメント75、屈折エレメント77そしてコイル63を通って配られる。そのような形状に対しては、上面50には、もはや光学エレメントを提供できない。
【0040】
加えて、光を細くスキャン制御するために、鏡9は、上部チップの上の基板上に載置されたマイクロ・エレクトロ・メカニカルシステム(MEMS)に置きかえられても良い。MEMSの傾角は、反射対が載置された表面に電圧を加えることにより制御することができ、所望のスキャンに従って変化させることができる。欠ける位置は、このましくは45度までで、その形状は、鏡9を提供するのと同じである。
【0041】
スライダブロックからの光出力のスポットを検知する、更なる特徴が、図8A及び8Bに示される。図8Aに示すように、例えば、回折エレメント87、89を含み、磁気コイル63を通して光を配るために使用される光学システムに加え、検知光学エレメント81、83が提供される。検知光学エレメント81、83は光学システムのエレメント87、89と、それぞれ同じ設計である。換言すれば、検知光学エレメントは、光学システムと同じ距離で焦点を結ぶように設計される。有利なことには、検知光学エレメント81、83は、テスト光の形成、アライメントが容易となるように、光学システムより広い。図8A及び8Bに示された形状では、検知光学エレメント81、83はエレメント87、89のサイズのおおよそ2倍である。検知システムはまた、好ましくは金属から形成される開口85を含む。なお、図8Bには、磁気コイル63が示されていない。
【0042】
テスト中に、光が検知光学システムに向い、所望の位置の開口に光が配られるのを確実にする。光学システムが十分に正確かどうか、即ち、予め定めた量の光を通過させるために、開口において光が十分に集光されているかどうかを、開口を通過する光の明るさが表示する。もし、光が十分に集光されなければ、開口は光を多くブロックしすぎる。
【0043】
このように、図8A及び8Bに示す検知システムを使用することにより、スライダブロックの光学システムは、残りのデバイスに挿入する前に、テストすることができる。たとえ、アクティブデバイス63が集積された後においてでもある。磁気コイル63用のコンタクトパッド、及びコイル自身により強いられる必要な寸法は、結果として、そのような検知システムを包含するために、ウエハ上に十分な場所を入手できることとなる。それで、スライダブロックの大きさは、検知システムの組み込みによっては影響されない。
【0044】
本発明はこのように記載されたが、多くの方法で変形できることは明らかである。そのような変形は、本発明の意図や範囲からはずれるものとはみなさない。当業者にとって明らかなそのような変形の全ては、クレームの範囲に含まれるものと考える。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、1998年3月26日に出願された米国仮出願60/079,378に関し、合衆国法典第35巻第119条に基づく優先権を主張する。その全体の内容は参考としてここに添付される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アクティブエレメントを備えたウエハ平面上の集積オプティックス(optics)に関し、特に、磁気光学ヘッドに適した集積オプティックスに関する。
【背景技術】
【0003】
磁気光学ヘッドは、現在、高密度磁気光学媒体を読むために使用される。特に、磁気コイルは、磁場を媒体に適用するために用いられ、続いて、光が媒体に与えられ書き込まれる。光はまた、磁場と光の使用から媒体の変化した特性に対応して、媒体から読むのに使用される。
【0004】
そのような構成の例が、図1に示される。図1において、光ファイバ8が光をヘッドに伝える。ヘッドは、その側面に載置された対物レンズ12を有するスライダブロック10を含む。鏡9がまたスライダブロック10の側面に載置され、光ファイバ8からの光を対物レンズ12上に向ける。レンズ12と整列した磁気コイル14が、また、スライダブロック10の側面に載置される。ヘッドは、ヘッドと媒体18との間の空気ベアリングサンドイッチ16の上に置かれる。スライダブロック10は、媒体18を横切ってヘッドが滑るのを許容し、媒体18からの読み出し、又は媒体への書き込みを行う。
【0005】
スライダブロック10の高さは、一般には500から1500ミクロンの間に制限され、可能な限り小さいことが好ましい。それ故に、スライダブロックの上に載置することができるレンズの数は制限される。加えて、スライドブロック上で1より多いレンズのアライメントは困難である。更に、要求される小さなスポットのために、ヘッドのオプティックス又は総合的な光学システムは、高い開口数、好ましくは0.6より高い開口数を必要とする。1の対物レンズでこれを達成することは、それと関連する大きなたわみのために困難である。
【発明の概要】
【0006】
それ故に、本発明の目的は、アクティブエレメントを有するスライダブロックを提供することにある。アクティブエレメントとは、即ち、適用された場に対応して変化する特性を有するエレメントで、スライダブロックの上に集積され、関連技術の制限や短所による1又はそれ以上の問題を実質的に回避する。そのようなエレメントは、磁気コイル、光源、検知器等を含む。
【0007】
本発明の更なる目的は、複数の光学エレメントと、その上に集積されたアクティブエレメントを有するスライダブロックとを集積することにある。本発明の更なる目的は、ウエハ表面上に物を作製し、複数のウエハを互いに接合し、底部ウエハの底面上にアクティブエレメントを提供することにある。
【0008】
上述の及び他の長所の少なくとも1つは、互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学システムを提供することにより実現することができる。これらの各ウエハは表面と底面を有し、接着されたウエハは複数のダイと、該ダイの底面上に集積され、適用された場に対応して変化する特性を有するアクティブエレメントを生じるように切断され、光学エレメントはダイの1より多くの表面の上に形成される。
【0009】
アクティブエレメントは、そこに電流が流された場合に、その磁気特性が変化する薄膜コンダクタでもかまわない。アクティブエレメントは、接着されたウエハが切られる前に、底部ウエハの上に、アクティブエレメントのアレイとして集積されても良い。ダイは2つのウエハから形成されても良く、アクティブエレメントは、上部ウエハの表面上と底面上、及び底部ウエハの表面上に形成されても良い。ダイは、高い開口数の光学システムを含んでも良い。
【0010】
1より多くのウエハからなる底部ウエハは、他のウエハより高い屈折率を有しても良い。ダイの底部ウエハ上には光学エレメントがなくても良い。ダイの底面は、更に、その上に食刻された集積されたマイクロ光学システムの滑りを助長する特徴を含んでも良い。ダイの底部ウエハは、高い開口数の材料中に形成された屈折エレメントを有しても良い。開口として提供された金属部分は、ダイの少なくとも1の面上に集積されても良い。
【0011】
底部ウエハの底面上の材料の層は、アクティブエレメントがその上に集積される前に堆積される。光学エレメントは底部ウエハの底面上に形成されても良く、層は、底部ウエハの屈折率と異なった屈折率を有しても良い。層は、所望の厚みと測定された厚みの間の違いに一致するように堆積されても良い。
【0012】
モニタ光学システムは、光学エレメントを含むウエハの各面上に形成されても良い。ウエハの間の間隔は、ウエハの測定厚みと、ウエハの所望の厚みとの違いに一致するように変化してもよい。
【0013】
ダイの上面は、エッチング(食刻)され、光学エレメント上に光を向けるために反射被覆剤により被覆されても良い。更に、基板は、MEMSミラーをその中に持つダイの上に載置されても良い。挿入ポイントが、光ファイバをその中に受けるために、ダイの上に形成されても良い。挿入ポイントはダイの側面上であり、システムが、更に、ファイバから出た光の方向を変える反射体を含んでも良い。
【0014】
ダイの中の屈折エレメントが球面レンズであり、ダイが、更に、球面レンズにより表される収差を補正する補正レンズを含んでも良い。補正エレメントは、球面レンズのすぐ近くに隣接した面上にあっても良い。補正エレメントは、回折エレメントでも良い。屈折エレメントは、非球面レンズでも良い。ダイは少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成されても良い。
【0015】
上述の又は他の長所の少なくとも1つは、互いに接着された、より多くのウエハから形成されたダイを含む、集積されたマイクロ光学装置を提供することにより実現することができる。かかる各ウエハは表面と底面を有し、接着されたウエハは複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが、各ダイの夫々の面上に形成され、少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、この結果、各ダイの光学システムが高い開口数を有する。
【0016】
屈折エレメントが球面レンズであり、ダイが更に、球面レンズにより生じる収差を補正する補正エレメントを含んでも良い。補正エレメントは、球面レンズの近くに隣接する面上にあっても良い。補正レンズは、回折エレメントでも良い。屈折エレメントは、非球面レンズでも良い。
【0017】
ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料の中に形成されることが好ましい。屈折エレメントが、底部ウエハ上にあり、底部ウエハの屈折率より高い屈折率を有する材料からなっても良い。
【0018】
本発明の更なる適用範囲は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、一方で本発明の好ましい具体例を示す、詳細な記載や特別な例は、実例として記載されていることを理解すべきである。なぜならば、本発明の意図や範囲内での多くの変形や改良が、この詳細な記載から当業者に明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、詳細な記載と、本発明を限定するものではなく具体例のみを示した付随する以下の図面から、より完全に理解されるであろう。
【0020】
【図1】高密度のフライングヘッド磁気光学読み出し/書き込みデバイスの構成を示す。
【図2A】スライダブロックの形成に使用されるオプティックス用の1の構成を示す。
【図2B】図2Aに示された光学システムの広がり関数を示す。
【図3A】本発明のスライダブロックに使用するためのオプティックスの第2の具体例を示す。
【図3B】図3Aに示す光学システムの広がり関数を示す。
【図4A】本発明のスライダブロックに使用するためのオプティックスの第3の具体例を示す。
【図4B】図4Aに示す光学システムの広がり関数を示す。
【図5】本発明のスライダブロックの具体例の側面図である。
【図6】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図7】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図8A】本発明のスライダブロックの他の具体例の側面図である。
【図8B】図8Aの具体例の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2Aから図4Bに示された全ての光学システムは、満足な結果を提供する。換言すれば、良好な光学的特性を備えた高い開口数を提供する。これらの光学システムのキーエレメントは、複数の有用な面上への光学出力の分配である。この分配は、複数の表面上で均等であることが好ましい。必要とされる高い開口数のための十分な分配は、1より多くの表面上で実現される。必要とされる高い開口数のために、光学出力のこの分配は、屈折表面から収差を低減し、夫々の面から必要とされる屈折角を低減することにより、屈折表面の屈折率を増加させる。
【0022】
更に、高い開口数を有する1つの屈折面は、ウエハ上に組み込むのは困難であろう。そのような屈折面として作用するのに必要とされる増加した湾曲は、一般的なウエハの非常に薄い部分となり、壊れる心配が生じ、又は厚いウエハが必要となり、これはサイズが大きな制約となる多くの応用では好ましくない。更に、高いNAを有する1の屈折面の形成において要求される正確な形状の制御には、十分な課題が存在している。最後に、光出力が分配させる面は形成が容易であり、良い再現性を有し、良い品質の波面を維持する。
【0023】
本発明では、1より多くの表面が、ウエハを互いに接着することにより、磁気コイルのようなアクティブエレメントと集積されても良い。各ウエハ面は、直接又は成形、食刻を通してフォトリソグラフィ的にその上に集積された光学を有することができる。各ウエハは、同じ光学エレメントのアレイを含む。2より多くの面が必要な場合、ウエハが互いに接着される。ウエハが独立した装置に切断された場合、結果の生産物はダイと呼ばれる。図2A、3A及び4Aの側面図は、接着剤25で互いに接着された2又は3のチップからなるそのようなダイを示す。
【0024】
例えば図2Aに示すように、回折面20の次に屈折面22がきて、更に回折面24がきて、最後に回折面26がくる。図3Aに示された例では、屈折面30の次に回折面32がきて、更に屈折面34がきて、最後に回折面36がくる。図4Aに示された光学システムでは、屈折面40の次に回折面42がきて、更に屈折面44がきて、更に回折面46がきて、更に屈折面48がきて、最後に回折面50がくる。これらの設計の夫々の対応する性能が、図2B、3B及び4Bの広がり関数(spread function)の強度に関係して示されている。
【0025】
図2A、3A及び4Aに示すような球面の屈折エレメントを用いた場合、付随の球面収差を補正するために、それらの球面屈折エレメントに続いて、近接した回折エレメントが設けられることが便利である。非球面回折は、そのような収差を発生しないので、屈折と回折との交互配置は、ここでは必然的に好ましいものではなくなる。
【0026】
光学エレメントが多くの技術を用いて形成され、必要とされる高い開口数が達成される場合、屈折レンズは、基板に移されるよりも、フォトレジスト中に残されるのが好ましい。底部基板、即ち媒体に最も近い基板は、溶融されたシリカの屈折率n=1.36、に比較して高い屈折率を有することが好ましい。この屈折率は、基板の屈折率より、少なくとも0.3大きいことが好ましい。1の例では、候補となる材料SF56Aは、1.785の屈折率を有する。もし底部基板が媒体に非常に接近し、例えば0.5ミクロンより接近した場合、高い屈折率の基板を使用することにより、より小さなスポットサイズが実現できる。開口数N.A.は、以下のように定義される。
【0027】
N.A.= n・sinθ
【0028】
ここで、nは映像空間(image space)の屈折率、θはレンズにより受けられる光の最大錐の半分の角度(half-angle)である。このように、もし底部基板が媒体に非常に接近した場合、底部基板の屈折率がより高くなるほど、同じ性能を容認する半分の角度はより小さくなる。この角度の減少は、システムの効率を向上させる。
【0029】
図5に示すように、本発明にかかるスライダブロック61は複数のチップからなるダイを含み、そのチップの各面は、その上に光学構造を形成するのに有用である。ダイはウエハから形成され、ウエハは、一方又は双方の表面上に形成された、それぞれの光学エレメントのアレイを有する。個々の光学エレメントは、回折、屈折のいずれか、又はそのハイブリッドでも良い。接着剤25は、その接着を促進するために、双方の基板上の有利な位置に配置される。最終的に集積されたダイを形成する光学エレメントを囲むことにより、接着材料又は接着剤25は、それらの臨界的な接続で、ウエハ間にシールを形成する。切断中に、シールは、切断スラリがエレメントの間に入り、結果としてそれを汚染するのを防止する。エレメントは互いに接着されたままなので、それらの間に留まる切断スラリを除去することは殆ど不可能である。回折エレメントが接着された場合に、切断スラリは、更なる問題を生じる。回折エレメントの構成が、スラリを留めやすいからである。
【0030】
有利なことには、接着されたウエハはその上のどこかに、更に好ましくはその外部端部に、基準マークを含み、ウエハのアライメントを確実にし、その上の全ての個々のエレメントが一斉に整列できる。代わりに、基準マークは、アライメントと、ウエハ上の機械的なアライメント特徴の形成に使用されても良い。基準マークとアライメント特徴の一方又は双方が、ウエハの整列に使用されても良い。基準マーク及び/又はアライメント特徴は、底部基板上に、アクティブエレメントや他の付随した構造、例えば、それらのための磁気コイルやコンタクトパッド、を記録し配置するために有用である。それらのアクティブエレメントは、ウエハを切断する前又は後に集積することができる。
【0031】
本発明にかかるスライダブロック61の底面67上では、薄膜コンダクタ及び/又は磁気コイルを含む磁気ヘッド63が、薄膜技術を用いて集積されている。かかる薄膜技術は、例えば、Shukovskyらの米国特許5,314,596、「磁気記録媒体とともに使用される磁気フィルム記録ヘッドの製造プロセス」に記載されている。磁気コイルに必要とされるコンタクトパッドは、この底面上に形成されるのが好ましい。
【0032】
磁気コイル63が底面67上に集積され、光線が磁気コイルの中央を通過するため、この底面上に光学構造を提供するのは、一般的には実用的ではない。このことは、光学システムの設計において変形するのに有用な5つの面50−58を残す。更に、追加のウエハが提供されることにより、合計7つの面を提供できる。図2A及び2Bに示す例では、面50は、面20又は40にそれぞれ対応し、面52は、面22又は32にそれぞれ対応し、面54は、面24又は34にそれぞれ対応し、面56は、面26又は36にそれぞれ対応する。
【0033】
それらのウエハ平面のそれぞれは、例えば、125ミクロンのオーダーのように、非常に薄く形成することができ、4つまでのウエハが、最も抑えられた状態でさえ使用することができる。もし、サイズ及び熱の制限が許せば、光をそこに配るために、ファイバを使用するよりも、むしろスライダブロックの上に光源を集積することができる。薄くすることに加えて、ウエハスケールアセンブリの使用により、複数の物体の正確なアライメントが可能となり、これにより、使用できる、光学出力を含む面の数を増加させることができる。このウエハスケールアセンブリは、また、パッシブアライメント技術の使用を可能とする。スライダブロック61の注文寸法は、面67の上の、一般的には1500ミクロンの磁気コイル用のパッドのサイズにより決定される。これは、残りの面上の多くのオプティックス(光学系)より、及びスライダブロック61の安定性に必要とされるサイズより、ずっと大きくなる。底面67は、また、スライダブロック61が滑るのを助長する、その上の食刻の特徴を含んでもよい。
【0034】
光学面の多くの配置が、スライダブロック61中に組み込まれてもよい。ウエハの接着、処理及びパッシブアライメントが、出願中の、共通の譲り受け人の米国特許出願08/727,837、タイトル「ディスクドライブ用の集積された光学ヘッド及びその形成方法」、及び米国特許出願08/943,274、タイトル「多重光学ヘッドのウエハ面の集積」に記載されている。これらは、その全文を参考文献としてここに添付する。
【0035】
加えて、図6に示すように、光学エレメントを、底部ウエハの底面67上に形成することもできる。この底面67上に光学エレメントを形成した場合、ウエハ自身の屈折率と異なる屈折率を有する透明な層65が、底面67とコイル63との間に提供される。この層65とウエハとの間の屈折率の相違は、底面67上に形成された光学エレメントの光学的効果が認識できるように、少なくとも約0.3でなければならない。また、図6に示すように、もし、1又は2の光学エレメントから十分な製造が得られる場合には、1のウエハが用いられても良い。
【0036】
更に、図6に示すように、金属部分69は、システムの開口となるように形成されても良い。それらの開口は、いずれのウエハ表面に集積されても良い。開口は、開口ストップとして、一般的にはその底面の前の光学システム中のどこかに形成されてもよい。開口として提供するそのような金属部分69が、底面67の上に提供された場合、金属部分69が、金属コイル63の操作を妨害しないことを確実にするために有利である。
【0037】
非常に正確な応用のために、高い開口数を備えたシステムが使用された場合に発生する問題は、システムの焦点深度が非常の浅いことである。それゆえに、光学システムから媒体までの距離は、媒体の適正な位置で光線の焦点が合うのを確実にするように、非常に正確に制御されなければならない。上述の高い開口数のためには、焦点深度は約1ミクロン又はそれ以下である。ウエハの厚みは、ウエハの厚みと直径に依存して、約1から5ミクロンに制御することができる。ウエハがより薄く、小さくなるほど、制御性はより良くなる。複数のウエハが使用された場合、出力は全てのエレメントを通って分配されるため、システムは、特別なウエハのための設計膜厚からのばらつきに対して、より敏感ではなくなる。
【0038】
複数のウエハを用いる場合、各ウエハの実際の厚みが測定でき、偏差量を調整するために、ウエハの間の間隔が調整される。ファイバ又は光源配置の位置は、ウエハアセンブリ内での厚みのばらつきを修正するように調整できる。代わりに、回折エレメントの設計が、スライダブロックの厚みの測定に従って変えられ、所望の厚みからのばらつきを補正しても良い。代わりに、厚みが正確に実現されていると仮定すると、全体のシステムは、所望の位置より深い位置で光が集光するように設計されても良い。次に、層65が堆積されて、所望の位置もスポットを配るための、必要な残し厚みを提供してもよい。層65の堆積は、ウエハの形成よりも、より正確に制御され、システム自身の膜厚のばらつき量を変える。即ち、層65は、均一な厚みを有するものではない。もし、光学エレメントが底面67上に形成されない場合、層67の屈折率は、ウエハの屈折率と異なる必要はない。
【0039】
図7は、スライダブロックの他の具体例の側面図である。図7に示すように、ファイバ8が上部ウエハ内に挿入され、鏡9が上部ウエハ内に、好ましくは45°の角度で集積されている。鏡9により反射された光は、回折エレメント71に向かい、屈折エレメント73、回折エレメント75、屈折エレメント77そしてコイル63を通って配られる。そのような形状に対しては、上面50には、もはや光学エレメントを提供できない。
【0040】
加えて、光を細くスキャン制御するために、鏡9は、上部チップの上の基板上に載置されたマイクロ・エレクトロ・メカニカルシステム(MEMS)に置きかえられても良い。MEMSの傾角は、反射対が載置された表面に電圧を加えることにより制御することができ、所望のスキャンに従って変化させることができる。欠ける位置は、このましくは45度までで、その形状は、鏡9を提供するのと同じである。
【0041】
スライダブロックからの光出力のスポットを検知する、更なる特徴が、図8A及び8Bに示される。図8Aに示すように、例えば、回折エレメント87、89を含み、磁気コイル63を通して光を配るために使用される光学システムに加え、検知光学エレメント81、83が提供される。検知光学エレメント81、83は光学システムのエレメント87、89と、それぞれ同じ設計である。換言すれば、検知光学エレメントは、光学システムと同じ距離で焦点を結ぶように設計される。有利なことには、検知光学エレメント81、83は、テスト光の形成、アライメントが容易となるように、光学システムより広い。図8A及び8Bに示された形状では、検知光学エレメント81、83はエレメント87、89のサイズのおおよそ2倍である。検知システムはまた、好ましくは金属から形成される開口85を含む。なお、図8Bには、磁気コイル63が示されていない。
【0042】
テスト中に、光が検知光学システムに向い、所望の位置の開口に光が配られるのを確実にする。光学システムが十分に正確かどうか、即ち、予め定めた量の光を通過させるために、開口において光が十分に集光されているかどうかを、開口を通過する光の明るさが表示する。もし、光が十分に集光されなければ、開口は光を多くブロックしすぎる。
【0043】
このように、図8A及び8Bに示す検知システムを使用することにより、スライダブロックの光学システムは、残りのデバイスに挿入する前に、テストすることができる。たとえ、アクティブデバイス63が集積された後においてでもある。磁気コイル63用のコンタクトパッド、及びコイル自身により強いられる必要な寸法は、結果として、そのような検知システムを包含するために、ウエハ上に十分な場所を入手できることとなる。それで、スライダブロックの大きさは、検知システムの組み込みによっては影響されない。
【0044】
本発明はこのように記載されたが、多くの方法で変形できることは明らかである。そのような変形は、本発明の意図や範囲からはずれるものとはみなさない。当業者にとって明らかなそのような変形の全ては、クレームの範囲に含まれるものと考える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積されたマイクロ光学システムであって、
互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイであって、各ウエハが上面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイとなるように切断された該ダイと、
適用された場に従って変化する特性を有するアクティブエレメントであって、該ダイの底面上に集積され、光学エレメントが該ダイの1より多くの面上に形成された該アクティブエレメントとを含むシステム。
【請求項2】
上記アクティブエレメントが、電流が流された場合に、その磁気特性が変化する薄膜コンダクタを含む請求項1のシステム。
【請求項3】
上記ダイが、2つのウエハから形成され、光学エレメントが、上部ウエハの上面と底面、及び底部ウエハの上面に形成された請求項1のシステム。
【請求項4】
上記ダイが、高い開口数の光学システムを含む請求項1のシステム。
【請求項5】
上記1より多くのウエハの底部ウエハが、他のウエハより高い屈折率を有する請求項1のシステム。
【請求項6】
上記ダイの底部ウエハには、光学エレメントがない請求項1のシステム。
【請求項7】
上記ダイの上記底面が、更に、その上に食刻された上記集積されたマイクロ光学システムの滑りを容易にするための特徴を含む請求項1のシステム。
【請求項8】
開口として与えられる金属部分が、該ダイの少なくとも1の面上に集積された請求項1のシステム。
【請求項9】
更に、その上にアクティブエレメントが集積される前に、上記底部ウエハの上記底面上に堆積された材料の層を含む請求項1のシステム。
【請求項10】
更に、上記底部ウエハの上記底面上に形成された光学エレメントを含み、上記層が、該底部ウエハの屈折率と異なる屈折率を有する請求項9のシステム。
【請求項11】
上記層が、所望の厚みと測定厚みとの違いに一致するように堆積された請求項9のシステム。
【請求項12】
更に、光学エレメントを含む上記ウエハの各面上に形成された検知光学システムを含む請求項1のシステム。
【請求項13】
更に、ウエハの測定厚みと、ウエハの所望の厚みとの間の違いに一致するようにウエハの間の間隔を変える手段を含む請求項1のシステム。
【請求項14】
上記アクティブエレメントが、接着されたウエハが切断される前に、アクティブエレメントのアレイとして、上記底部ウエハ上に集積された請求項1のシステム。
【請求項15】
上記ダイの上面が食刻され、光学エレメント上に光を向ける反射性の被覆剤に覆われた請求項1のシステム。
【請求項16】
更に、MEMSミラーをその上に有する上記ダイの上面の上に載置された更なる基板を含む請求項1のシステム。
【請求項17】
更に、その中に光ファイバを受け入れるために、上記ダイの上に挿入ポイントを含む請求項1のシステム。
【請求項18】
上記挿入ポイントが、上記ダイの側面上であり、上記システムが、更に、該ファイバによる光出力の方向を変える反射体を含む請求項17のシステム。
【請求項19】
上記ダイの底部ウエハが、高い開口数の材料中に形成された屈折エレメントを有する請求項1のシステム。
【請求項20】
上記屈折エレメントが球面レンズであり、上記ダイが、更に、該球面レンズにより生じる収差を補正する補正エレメントを含む請求項19のシステム。
【請求項21】
上記補正エレメントが、上記球面レンズの近くに隣接する面上にある請求項20のシステム。
【請求項22】
上記補正エレメントが、回折エレメントである請求項20のシステム。
【請求項23】
上記屈折エレメントが、非球面レンズである請求項19のシステム。
【請求項24】
上記ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、該ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成された請求項19のシステム。
【請求項25】
互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各ウエハが表面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが各ダイの夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として各ダイの光学システムが高い開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。
【請求項26】
上記屈折エレメントが、球面レンズであり、上記ダイが、更に、該球面レンズにより表される収差を補正するための補正エレメントを含む請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項27】
上記補正エレメントが、上記球面レンズの近くに隣接した面上にある請求項26の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項28】
上記補正エレメントが、回折エレメントである請求項26の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項29】
上記屈折エレメントが、非球面レンズである請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項30】
上記ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、上記ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成された請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項31】
上記屈折エレメントが、底部ウエハ上にあり、該底部ウエハの屈折率より高い屈折率を有する材料からなる請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項1】
集積されたマイクロ光学システムであって、
互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイであって、各ウエハが上面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイとなるように切断された該ダイと、
適用された場に従って変化する特性を有するアクティブエレメントであって、該ダイの底面上に集積され、光学エレメントが該ダイの1より多くの面上に形成された該アクティブエレメントとを含むシステム。
【請求項2】
上記アクティブエレメントが、電流が流された場合に、その磁気特性が変化する薄膜コンダクタを含む請求項1のシステム。
【請求項3】
上記ダイが、2つのウエハから形成され、光学エレメントが、上部ウエハの上面と底面、及び底部ウエハの上面に形成された請求項1のシステム。
【請求項4】
上記ダイが、高い開口数の光学システムを含む請求項1のシステム。
【請求項5】
上記1より多くのウエハの底部ウエハが、他のウエハより高い屈折率を有する請求項1のシステム。
【請求項6】
上記ダイの底部ウエハには、光学エレメントがない請求項1のシステム。
【請求項7】
上記ダイの上記底面が、更に、その上に食刻された上記集積されたマイクロ光学システムの滑りを容易にするための特徴を含む請求項1のシステム。
【請求項8】
開口として与えられる金属部分が、該ダイの少なくとも1の面上に集積された請求項1のシステム。
【請求項9】
更に、その上にアクティブエレメントが集積される前に、上記底部ウエハの上記底面上に堆積された材料の層を含む請求項1のシステム。
【請求項10】
更に、上記底部ウエハの上記底面上に形成された光学エレメントを含み、上記層が、該底部ウエハの屈折率と異なる屈折率を有する請求項9のシステム。
【請求項11】
上記層が、所望の厚みと測定厚みとの違いに一致するように堆積された請求項9のシステム。
【請求項12】
更に、光学エレメントを含む上記ウエハの各面上に形成された検知光学システムを含む請求項1のシステム。
【請求項13】
更に、ウエハの測定厚みと、ウエハの所望の厚みとの間の違いに一致するようにウエハの間の間隔を変える手段を含む請求項1のシステム。
【請求項14】
上記アクティブエレメントが、接着されたウエハが切断される前に、アクティブエレメントのアレイとして、上記底部ウエハ上に集積された請求項1のシステム。
【請求項15】
上記ダイの上面が食刻され、光学エレメント上に光を向ける反射性の被覆剤に覆われた請求項1のシステム。
【請求項16】
更に、MEMSミラーをその上に有する上記ダイの上面の上に載置された更なる基板を含む請求項1のシステム。
【請求項17】
更に、その中に光ファイバを受け入れるために、上記ダイの上に挿入ポイントを含む請求項1のシステム。
【請求項18】
上記挿入ポイントが、上記ダイの側面上であり、上記システムが、更に、該ファイバによる光出力の方向を変える反射体を含む請求項17のシステム。
【請求項19】
上記ダイの底部ウエハが、高い開口数の材料中に形成された屈折エレメントを有する請求項1のシステム。
【請求項20】
上記屈折エレメントが球面レンズであり、上記ダイが、更に、該球面レンズにより生じる収差を補正する補正エレメントを含む請求項19のシステム。
【請求項21】
上記補正エレメントが、上記球面レンズの近くに隣接する面上にある請求項20のシステム。
【請求項22】
上記補正エレメントが、回折エレメントである請求項20のシステム。
【請求項23】
上記屈折エレメントが、非球面レンズである請求項19のシステム。
【請求項24】
上記ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、該ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成された請求項19のシステム。
【請求項25】
互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各ウエハが表面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが各ダイの夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として各ダイの光学システムが高い開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。
【請求項26】
上記屈折エレメントが、球面レンズであり、上記ダイが、更に、該球面レンズにより表される収差を補正するための補正エレメントを含む請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項27】
上記補正エレメントが、上記球面レンズの近くに隣接した面上にある請求項26の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項28】
上記補正エレメントが、回折エレメントである請求項26の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項29】
上記屈折エレメントが、非球面レンズである請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項30】
上記ダイが、少なくとも1の追加の屈折エレメントを含み、上記ダイの全ての屈折エレメントが、高い開口数を有する材料中に形成された請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【請求項31】
上記屈折エレメントが、底部ウエハ上にあり、該底部ウエハの屈折率より高い屈折率を有する材料からなる請求項25の集積されたマイクロ光学装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2010−44855(P2010−44855A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235381(P2009−235381)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願2000−538348(P2000−538348)の分割
【原出願日】平成11年3月26日(1999.3.26)
【出願人】(399036475)ディジタル・オプティックス・コーポレイション (10)
【氏名又は名称原語表記】DIGITAL OPTICS CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願2000−538348(P2000−538348)の分割
【原出願日】平成11年3月26日(1999.3.26)
【出願人】(399036475)ディジタル・オプティックス・コーポレイション (10)
【氏名又は名称原語表記】DIGITAL OPTICS CORPORATION
【Fターム(参考)】
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