説明

集積型感光性液晶ディスプレイ

【課題】集積型感光性液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】液晶デバイスは、正面電極層、背面電極層、及び正面電極層と背面電極層との間に位置する液晶材料料を備える。ポラライザが、液晶材料料と正面電極層との間に位置し、背面電極層と正面電極層との間の電位を変化させて、入射光の偏光を変化させるべく液晶材料料部を修正する。複数の受光素子が背面電極層に位置し、プロセッサが、複数の受光素子のうち、少なくとも1つの周辺光の検出を阻止された受光素子の位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチセンシティブディスプレイに関する。
【0002】
(関連出願についてのクロス・リファレンス)
本出願は、第2005年11月14日に出願された米国仮出願番号60/736,708号の利益を要求するものである。
【背景技術】
【0003】
タッチセンシティブディスプレイ(「タッチスクリーン」)とは、一般的に、例えば陰極線管のようなディスプレイを覆うように取り付けるデバイスである。タッチスクリーンにより、ユーザは、所望のオプションのすぐ近傍の表面にタッチするか、又はあるデザインでは直接オプションにタッチすることによって、ディスプレイの表示面に表示されるオプションから選択することができる。タッチの位置を検出するためにこれらのデバイスにおいて採用されている一般的な技術は、機械式ボタン、赤外線交差ビーム、弾性表面波、キャパシタンスセンシング、及び抵抗センシング技術を含む。
【0004】
例えば、Kasdayの米国特許第4,484,179号明細書には、端部にフォトダイオードを取り付けたガラス・スクリーンの上に支持されるフレキシブルな透明メンブレンを備える光学式タッチスクリーンが開示されている。メンブレンがタッチによって曲がりスクリーンと接触すると、先行してメンブレン及びガラス・スクリーンを通過した光が、全反射によって、スクリーンの表面間に閉じ込められる。閉じ込められた光は、ガラス・スクリーンのエッジを進み、対応する出力信号を生成するフォトダイオードによって検出される。タッチ位置は、いくつかのフォトダイオードからの出力信号のタイミングでCRTラスタ・ビームの位置を調整することによって決定する。光学式タッチスクリーンは、ディスプレイの費用がかかり、さらに、ディスプレイをより複雑にする。
【0005】
一方、Denlingerによる米国特許第4,782,328号明細書は、例えば指又はポインタのような実際のタッチ・ソース(源)から、タッチスクリーンのコーナーに取り付けられた一対の光検出器への周辺光の反射に依存する。各光検出器によって受信した反射光の強度を測定することによって、コンピュータは、スクリーンに関してタッチ・ソースの位置を算出する。光検出器及び関連するコンピュータを含めれば、ディスプレイの費用が増加し、さらに、ディスプレイがより複雑となる。
【0006】
Mayによる米国特許第5,105,186号明細書には、スペーサによって分離された上方ガラスシート及び下方ガラスシートを含む液晶タッチスクリーンが開示されている。薄い液晶材料料層が、両ガラスシートにはさまれている。各ガラスの内表面は、金属酸化物の透明な、伝導性の層によって被膜されている。ディスプレイの表示面を含む上部偏光器が、上方ガラスシートの外面に添着されている。下部偏光器が、ガラスシートの外面に添着されている。下部偏光器に隣接するトランスフレクタが、液晶ディスプレイの背面を形成する。トランスフレクタは、その表層に衝突するいくつかの光を透過させ、若干の光を反射する。抵抗が検出された光の強さによって変化する、光依存性抵抗器の光検出アレーが、トランスフレクタの近傍にある。光の強さが減少するにつれて抵抗は増加し、これは例えば、表示面に影がかかった時に生じる。光検出アレーは、表示面の接触に起因するトランスフレクタを介して透過する光における変化を検出する。液晶スタックの正面に添着されるタッチセンシティブ構造と同様に、液晶スタックの後部に添着された感光性材料は、同様に、ディスプレイのコントラストを制限し、ディスプレイの費用を増加させ、ディスプレイの複雑度を高める潜在的な問題をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,484,179号明細書
【特許文献2】米国特許第4,782,328号明細書
【特許文献3】米国特許第5,105,186号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザとディスプレイの表示面との間に取り付けられた透明な表面を有するタッチスクリーンには、いくつかの欠点がある。たとえば、透明な表面、及び液晶材料料と透明な表面との間の他の層は、ディスプレイのコントラストを減少させ、グレアを生じる多重反射をもたらすおそれがある。さらに、付加的なタッチパネルをディスプレイに加えることは、ディスプレイの製造費用を増やし、さらに、ディスプレイの複雑度を高める。また、タッチスクリーンの合体は、ディスプレイ全体の製造歩留まりを減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、コントラスト比を顕著に減少させず、グレアを顕著に増加させず、ディスプレイの費用を顕著に増加させず、かつ、ディスプレイの複雑度を顕著に高めることのない、タッチスクリーンが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来のアクティブ・マトリックス液晶ディスプレイの断面図である。
【図2】薄膜トランジスタアレーの概略図である。
【図3】図2の薄膜トランジスタアレーのレイアウトである。
【図4】画素電極及びアモルファスシリコン薄膜トランジスタを構成するのに適切なステップの組である。
【図5】画素電極、カラーフィルタ及びブラックマトリクスである。
【図6】アクティブマトリクス素子、画素電極、フォトTFT、読み出しTFT及びブラックマトリクスの概略図である。
【図7】画素電極、フォトTFT、読み出しTFT及びブラックマトリクスである。
【図8】図6及び7の薄膜トランジスタアレーのレイアウトである。
【図9】周辺光が高い条件でディスプレイをタッチした結果による受光素子上の容量電荷のグラフである。
【図10】周辺光が低い条件でディスプレイをタッチした結果による受光素子上の容量電荷のグラフである。
【図11】アモルファスシリコンTFTアレーの光電流のグラフである。
【図12】ディスプレイをタッチし、ライトペンから光を与えた結果による受光素子上の容量電荷のグラフである。
【図13】画素電極の他のレイアウトである。
【図14】図13のレイアウトに設定されるタイミングを示す図である。
【図15】光ワンド(optical wand)を携帯デバイスと共に示す図である。
【図16】偶数/奇数フレームのアドレス指定である。
【図17】正面を照射したディスプレイである。
【図18】全反射を示す図である。
【図19】伝搬する光の少量の回折を示すである。
【図20】プラスチックペンの結果による、大きな回折を示す図である。
【図21】ポインティングデバイスの影及びポインティングデバイスの照射領域を有する影を示す図である。
【図22】修正したブラックマトリクス配置を示す図である。
【図23】光の反射構造を示す図である。
【図24】ペンを示す図である。
【図25】光ガイド及び指を示す図である。
【図26】多重センサ密度及び光学素子を有するディスプレイを示す図である。
【図27】メモリ保持材料を有するディスプレイを示す図である。
【図28】他のペンを示す図である。
【図29】他のペンを示す図である。
【図30】他のペンを示す図である。
【図31】他のペンを示す図である。
【図32】他の光ガイドを示す図である。
【図33】画像収集及び処理技術を示す図である。
【図34】内部偏光器及びカバープレートを有しないディスプレイを示す図である。
【図35】周辺光を抑制した受光素子を示す図である。
【図36】受光素子及び圧力センサをもつパネルである。
【図37】受光素子、レンズ及びフィルタを有するパネルを示すである。
【図38】ゲートフォトカーブを示す図である。
【図39】他の感光性構造(フォトセンシティブ構造)を示す図である。
【図40】他の感光性構造を示すである。
【図41】駆動スキーマを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、液晶ディスプレイ(LCD)50(括弧で示す)は、一般に、バックライト52及びライトバルブ54(括弧で示す)を備える。液晶は光を発しないため、大部分のLCDパネルは、蛍光管、キセノンフラットランプ、又は、パネルの側面若しくは背面に組み込んだ発光ダイオード(LEDs)のアレーによって背後から光を当てる。ディスプレイの表面にわたって光を散布させてより均一の強度を得るために、通常バックライト52の光は、ライトバルブ54に衝突する前にディフューザ56を通過させる。
【0012】
パネルの正面に表示される画像を観察するビューア58の目に対するバックライト52からの光の透過は、ライトバルブ54によって制御される。ライトバルブ54は、一般に一対のポラライザ60及び62を含み、それらは、ガラス又はプラスチック基板とポラライザとの間のセルギャップに含まれる液晶の層64によって分離される。第1のポラライザ62に衝突するバックライト52からの光は、複数の平面で震動する電磁波を含む。ポラライザの光軸の平面において震動する光の部分のみが、ポラライザを通過する。通常、ノーマリホワイト構造を有するLCDライトバルブにおいて、第1及び第2のポラライザ60,62の光軸は、一般にある角度に構成して、系において、第1のポラライザを通過する光が、第2のポラライザを通過する光を通常ブロックするようにする。しかしながら、液晶の層64内の半透明の結晶の方位は、光の振動面をポラライザの光軸に合わせて、光にライトバルブを通過させて明るい画像素子又は画素を作り出すか、又は、光軸の1つをそろえずに、光を減衰させてスクリーン又は画素の暗い領域を作り出すかのいずれの「ねじれ」にも、局所的に制御することができる。
【0013】
セルギャップの壁を形成する第1のガラス基板61及び第2のガラス基板63の表面は、壁のすぐ近傍の液晶64の分子を物理的に整列させるための微視的な溝を製造すべくバフする。分子間力は、近接する液晶分子をそれらの隣接体と整列させ、その結果、セルギャップ内に広がる分子の列における分子の方位が、列長にわたってねじれる。同様に、分子の列を通過する光の振動面は、第1のポラライザ62の光軸からセルギャップの対壁での液晶の方位によって決まる平面まで、「ねじれる」ようになる。近接する結晶を第2のポラライザの光軸に整列させるべくセルギャップの壁をバフした場合、バックライト52からの光は、ポラライザ60及び62の系を通過し、パネル(「ノーマリホワイト」LCD)の正面から観察した際にディスプレイに明るい領域を作り出すことができる。
【0014】
画素を暗くして画像を作るために、典型的に薄膜トランジスタによって制御される電圧を、セルギャップの壁に被着させた透明電極のアレー内の電極に印加する。電極に近接する液晶分子は、電圧が発生する界によって引きつけられ、界と配列するように回転する。液晶の分子が電界によって回転するにつれて、結晶の列の「ねじれがほどかれ」、さらに、セルの壁に隣接する結晶の光軸は、対応するポラライザの光軸を有する配列から次第に回転し、次第にライトバルブ54の局所的な透過が低減しかつ対応する画素のルミナンスが減衰する。言い換えれば、ノーマリホワイトねじれネマティック・デバイスにおいて、一般に2つの動作モードが存在し、1つは分子へ電圧が印加されず、もう1つは分子へ電圧が印加される。分子へ電圧を印加すること(例えば駆動モード)によって、分子は、それらの分極軸を回転させ、その結果、ビューアへの光の通過が阻止される。同様に、電圧を印加しない(例えば非駆動モード)場合は、分極軸は回転しないため、ビューアへの光の通過は阻止されない。
【0015】
逆にいえば、ライトバルブのポラライザ及びバフ仕上げは、電極に電圧を加えない場合に暗く、電極に電圧を加えた場合に明るい画素を有する「ノーマリブラック」LCDを製造するようにアレンジすることができる。カラーLCDディスプレイは、表示画素を形成する各々の複数の原色(典型的に、赤、緑及び青)のサブ画素に対する透過光の強度を変化させて作成する。
【0016】
上述の実施例は、ねじれネマティック・デバイスに関して説明した。しかしながら、この記載は単なる一例であり、MVA(multi−domain vertical alignment)、PVA(patterned vertical alignment)、IPS(in−plane switching)、及びSTN(super−twisted nematic type)方式のLCDを含み、しかしこれに制限されるものではない他のデバイスを、同様に用いることもできる。さらに、プラズマディスプレイ、有機ディスプレイ、アクティブマトリクス有機ELディスプレイ、ELディスプレイ、LCoS(liquid crystal on silicon)ディスプレイ、反射型液晶デバイスのような他のデバイスも、同様に用いることができる。この種のディスプレイでは、ディスプレイ部分又は光を選択された部分の表示を可能にするディスプレイ部分の発光部が、画素への選択的な光の供給を引き起こすため考慮しなければならない。
【0017】
アクティブマトリクスLCD(AMLCD)に関しては、第1のガラス基板61を個々の画素電極にパターン化する一方で、第2のガラス基板63の内表面を、連続電極で被膜する。連続電極は、例えばインジウム酸化スズのような透明電極を用いて構成することができる。第1のガラス基板61は、画素(又は画素のグループ)に対応する各画素電極(又は画素電極のグループ)に対する個々のスイッチとして作用する薄膜トランジスタ(TFTs)を含むことができる。TFTsは、画素電極間のギャップに沿って走る一組の多重化された電極によってアドレスされる。あるいは、画素電極は、TFTと異なる層にあってもよい。画素は、電圧(又は電流)を選択された線に印加することによってアドレスされ、それによりTFTがオンに切り換わり、電荷が、データ行から背面の画素電極上へ流れるようになる。正面電極と画素電極との間の電圧の組合せにより、画素全体の電圧がセットアップされ、さらにそれぞれの画素がオンされる。薄膜トランジスタは、一般に、アモルファスシリコンから構成されるが、一方で、例えば、MIM(metal−insulator−meta)ダイオード及びポリシリコン薄膜トランジスタのような他の方式のスイッチ素子も、同様に用いることができる。TFTアレー及び画素電極は、あるいは、液晶材料の上にあってもよい。また、必要に応じて、連続電極は、パターン化しても、又は選択的に選択される部分としてもよい。また、必要に応じて、受光素子は、液晶材料料の頂部あるいは上部に、同様に設置することができる。
【0018】
図2を参照すると、アクティブマトリクス層は、一組のデータライン及び一組の選択ラインを含むことができる。通常、ディスプレイ全域の画素の各列に対して1つのデータラインが含まれ、さらに、ディスプレイの下にある画素の各行に対して1つの選択ラインが含まれ、それにより、導電ラインのアレーが作り出される。どの画素を照らすべきかを示すデータを、それぞれの画素にロードするために、通常行ごとに、ラッチングトランジスタ(latching transistor)200のソース202上に電圧をかける一組の電圧を、それぞれのデータライン204に印加する。それぞれのラッチングトランジスタ200のゲート212に相互接続するそれぞれの選択ライン210の選択により、ソース202にかけられる電圧が、ラッチングトランジスタ200のドレイン214を通過することが可能となる。ラッチングトランジスタ200のドレイン214は、それぞれの画素電極に電気的に接続しており、それぞれのCstコンデンサ218によりそれぞれのコモンライン221に容量結合される。さらに、それぞれのキャパシタンスは、液晶材料料を取り囲む画素電極の間にあり、(画素電極とカラープレート上の共通電極との間に)キャパシタンスCIc 222として示す。コモンライン221は、電圧基準を提供する。言い換えれば、電圧データ(表示すべき画像の表現)は、ラッチングトランジスタ200の列に対するデータラインにロードされ、そのデータを保持コンデンサ、ゆえに画素電極にラッチする選択ライン210上に電圧をかける。あるいは、ディスプレイは、電流レベルに基づいて制御することもできる。
【0019】
図3を参照し、アクティブマトリクス層の概略図を示す。画素電極230は、通常、「一つの」有効画素にグループ化して、画素電極230の対応する一組が、それぞれのカラーフィルタ(例えば、赤、緑、青)と関連付けられるようにする。ラッチングトランジスタ200は、データライン及び選択ラインで、それぞれの画素電極230を相互接続する。画素電極230は、コンデンサCst 218によってコモンライン221に相互接続することができる。画素は、カラーフィルタの任意の望ましい形状、任意数のサブ画素、及び任意の組を含むことができる。
【0020】
図4を参照すると、アクティブマトリクス層は、アモルファスシリコン薄膜トランジスタ製造プロセスを使用して構成することができる。ゲート金属デポジション(図4A)、フォトリソグラフィ/エッチング(図4B)、ゲート絶縁膜及びアモルファスシリコンデポジション(図4C)、フォトリソグラフィ/エッチング(図4D)、ソース/ドレイン金属デポジション(図4E)、フォトリソグラフィ/エッチング(図4F)、ITOデポジション(図4G)及びフォトリソグラフィ/エッチング(図4H)のステップを含むことができる。必要に応じて、他の工程を同様に使用することもできる。
【0021】
本発明者は、液晶ディスプレイの正面上のポラライザとディスプレイの正面との間に追加の光学層を組み込むために、異電位構造のタッチパネル方式を検討した。これらの追加層は、たとえば、ガラス板、ワイヤグリッド、透明電極、プラスチック基板、スペーサ及び他の材料を含む。さらに、本発明者は、例えば、複屈折、非複屈折、狭帯域の波長、広範囲の波長等のような光学的性質が異なる追加層を検討した。異なる光学的性質を有し、更に、異なる種類の技術(例えば、メカニカルスイッチ、赤外線の交差ビーム、弾性表面波、キャパシタンスセンシング、及び抵抗膜)を適用した材料と共に、ディスプレイに追加するタッチスクリーン部分の異電位構造を広範囲に分析した後に、本発明者は、タッチスクリーンの最適化は単に異なる不所望の特性間のトレードオフにすぎないと確信した。したがって、最適化されたタッチスクリーンの設計は、結局のところ解決不可能な課題である。改良されたタッチスクリーンの設計とは対照的に、本発明者は、アクティブマトリクス液晶デバイスそれ自体の構造の修正により、ディスプレイの正面に位置するタッチスクリーン構造に付随する欠点の全くない、改良されたタッチスクリーンの可能性を提供できる、ということに気づいた。
【0022】
図5を参照すると、画素電極のラッチングトランジスタに特に注目すると、大量の周辺光がトランジスタに衝突しないように、ブラックマトリクス240がラッチングトランジスタにオーバーレイしている。カラーフィルタ242は、画素電極の上方に位置付けることができる。ラッチングトランジスタに衝突する周辺光は、トランジスタを介して、画素電極にかかる電荷を放電させる。画素電極にかかる電荷の放電は、ディスプレイが、しばしば実質上動作不能となる程度までに、ディスプレイの動作特性を減衰させる。アモルファス・シリコントランジスタが、その上に入射する光に反応するという認識のもと、本発明者は、アクティブマトリクス層内のそのようなトランジスタを、その上に入射する周辺光の存在又は非存在を検出する基準として用いることができることを発見した。
【0023】
図6を参照すると、修正されたアクティブマトリクス層は、感光性構造又は素子を含むことができる。好適な感光性構造は、読み出し薄膜トランジスタ(読み出しTFT)に相互接続する感光性薄膜トランジスタ(フォトTFT)を含む。コンデンサCst2は、トランジスタにコモンラインを相互接続することができる。図7を参照すると、ブラックマトリクスは、読み出しTFTにオーバーレイする関係にすることができる。好適には、ブラックマトリクスは、不透明材料、あるいは、アクティブマトリクス層の選択部分への光の透過を選択的に阻止するディスプレイ構造である。好適には、ブラックマトリクスは、読み出しTFTのアモルファスシリコン部の上を全面的に覆い、さらに、少なくとも部分的に、読み出しTFTのアモルファスシリコン部の上を覆う。好適には、ブラックマトリクスは、フォトTFTのアモルファスシリコン部を全く覆わず、さらに、少なくとも部分的に、フォトTFTのアモルファスシリコン部の上を覆わない。オーバーレイとは、層間が直接コンタクトすることを必ずしも意味するわけではなく、一般的な感覚で、材料が積み重ねられた構造を意味する。好適には、ブラックマトリクスは、例えばカラープレートのようなアクティブプレート以外の層に作成する。アクティブプレートは、一般に、薄膜トランジスタを支持するプレートのことを指す。カラープレート(又は他の非アクティブプレート)上のブラックマトリクスの位置は、アクティブマトリクスの製造の追加のプロセス又は修正を制限する結果となる。いくつかの実施形態において、ブラックマトリクスは、周辺光がフォトTFTのアモルファスシリコン部に衝突するのを阻止するよりもある程度多く、周辺光が読み出しTFTのアモルファスシリコン部に衝突するのを阻止する。ゲート金属又は他の光阻止材料は、感光性素子からバックライトを阻止する。
【0024】
概して、感光性の領域(トランジスタのチャネル)は通常、矩形形状であるが、他の形状を用いることもできる。ブラックマトリクスにおける開口部は、好適には、対応するチャネル領域よりも広い(又は長い)のが好適である。開口部は、受光素子に対する所望の開口数を収めるように選択するのが好適である。このように、チャネル領域及びブラックマトリクスに設ける開口部はオーバーラップしており、開口部は、第1の次元(例えば幅)においてチャネル領域よりも広く、さらに、第2の次元(例えば長さ)においてチャネル領域よりも短い。この配列は、光の適当な光学経路を受光素子に対して確保する一方で、層の正確な登録に対する要求を緩和する。説明したように、他の相対的なサイズを同様に用いることもできる。
【0025】
例えば、コモンラインは、負の電位(例えば−10ボルト)に設定することができる。先行する読み出しサイクルの期間に、選択ラインに電圧がかけられ、それにより、フォトTFTのドレインと読み出しTFTのドレインとが結合し、その結果、Cst2にかかる電位となる。フォトTFTのドレイン及び読み出しTFTのドレインと結合する電圧は、グランドに接続する演算増幅器の非反転入力によって、ほぼグランド(例えば、ゼロボルト)である。選択ラインにかかる電圧は、読み出しTFTが「オフ」になるように除去される。
【0026】
通常の動作状態の下では、ディスプレイの正面からの周辺光は、ブラックマトリクスの開口部を通過して、フォトTFTのアモルファスシリコンに衝突する。しかしながら、人が、ブラックマトリクスの開口部の上方の領域においてディスプレイの正面にさわるか、又は、ブラックマトリクスの開口部の上方の領域におけるディスプレイの正面を光が通過するのを阻止した場合、フォトTFTトランジスタは、「オフ」状態となる。フォトTFTが「オフ」の場合、コンデンサCst2にかかる電圧は、フォトTFTを介して十分に放電されない。したがって、Cst2にかかる電荷は、実質的に不変のままである。本質的には、Cst2にかかる電圧は、周辺光のフォトTFTへの衝突が阻止された場合、実質的に不変のままである。
【0027】
コンデンサCst2にかかる電圧を決定するために、選択ラインに電圧をかけ、それにより、読み出しTFTのゲートは、読み出しラインとCst2上にかけられた電圧とを相互接続する。読み出しTFTをアクティブにした結果、読み出しラインにかかる電圧が実質的に不変の場合、演算増幅器の出力は、実質的に不変(例えばゼロ)である。このような方法で、システムは、デバイスに対する光が阻止されたかどうかを判定することができ、その場合、システムは、フォトTFTを有するディスプレイの対応する部分において、画面がタッチされたと判定する。
【0028】
読み出しサイクルの期間に、選択ラインにかかる電圧は、フォトTFTのそれぞれのドレイン及び読み出しTFTのドレイン上の電圧を、それぞれの読み出しラインと結合させ、それにより、Cst2にかかる電位がリセットされる。フォトTFTのドレイン及び読み出しTFTのドレインと結合される電圧は、グランドに接続する演算増幅器の非反転入力によって、ほぼグランド(例えば、ゼロボルト)である。選択ラインにかかる電圧は、読み出しTFTが「オフ」になるように除去する。このように、電圧を読み出す動作は、同時に、次のサイクルのための電位のリセット動作となる。
【0029】
通常の動作状態の下では、ディスプレイの正面からの周辺光は、ブラックマトリクスの開口部を通過して、フォトTFTのアモルファスシリコンに衝突する。人が、ブラックマトリクスの開口部の上方の領域においてディスプレイの正面にタッチしないか、又は、ブラックマトリクスの開口部の上方の領域におけるディスプレイの正面を、光が通過するのを阻止した場合、フォトTFTトランジスタは、「オン」状態となる。フォトTFTが「オン」の場合、コンデンサCst2にかかる電圧はフォトTFTを介して十分に放電され、それは、コモンラインと結合される。本質的には、Cst2にかかる電圧は、コモン電圧に向かって減衰する。したがって、Cst2にかかる電荷は、周辺光の存在下では大幅に変化する。さらに、光が阻止される場合と光が阻止されない場合とでは、保持コンデンサにかかる電位のおいて相当な違いがある。
【0030】
同様に、コンデンサCst2にかかる電圧を決定するために、選択ラインに電圧をかけ、それにより、読み出しTFTのゲートは、読み出しラインとかけらた電圧とを相互接続する。読み出しTFTをアクティブにした結果、読み出しラインにかかる電圧が実質的に不変であるか、又は電流が注入された場合、演算増幅器の出力は、実質的に非ゼロである。演算増幅器の出力電圧は、コンデンサCst2上の電荷に比例するか、又は関連している。このような方法で、システムは、デバイスに対する光が阻止されていないかどうかを判定することができ、その場合、システムは、フォトTFTを有するディスプレイの対応する部分において、画面がタッチされなかったと判定する。
【0031】
図8を参照すると、アクティブマトリクス層のレイアウトは、フォトTFT、コンデンサCst2、読み出しTFTを、画素電極間の領域に含むことができる。受光素子は、アクティブマトリクス層内の、選択されたインターバルに含まれるのが好適である。このように、デバイスは、ディスプレイの正面に装着する追加のタッチパネル層を必要とすることなく、タッチパネル感度を包含することができる。加えて、追加のフォトTFT、読み出しTFT及びコンデンサは、特別な工程を必要とすることなく、アクティブマトリクス層の残りと共に製造することができる。さらに、製造工程の複雑度はわずかに増加するだけであるため、製造歩留まりは実質的に不変である。他の受光素子も同様に使用可能であることを理解されたい。さらに、他の光に敏感な(感光性の)電気構造も同様に使用可能であることを理解されたい。
【0032】
図11を参照すると、アモルファスシリコンTFT内の光電流のグラフを示す図である。ライン300は、ゲートがフォトTFTのソースに接続された、暗い周囲環境を示す。洩れ電流が、電圧の範囲にわたって低く、さらに比較的安定している点に留意されたい。ライン302は、フォトTFTのフローティングゲートで暗い周囲環境を示す。洩れ電流が、電圧の範囲にわたって一般に低く、さらに比較的不安定である点(顕著な傾き)に留意されたい。ライン304は、ゲートがフォトTFTのソースに接続された、低い周囲環境を示す。洩れ電流が、電圧の範囲にわたって、対応する暗い環境条件より3倍高く、さらに比較的安定している点に留意されたい。ライン306は、フォトTFTのフローティングゲートで低い周囲環境を示す。洩れ電流が、電圧の範囲にわたって、概して3桁高く、さらに比較的不安定である点(顕著な傾き)に留意されたい。ライン308は、ゲートがフォトTFTのソースに接続された高い周囲環境を示す。洩れ電流が、対応する暗い環境条件より4.5桁高く、電圧の範囲にわたって比較的安定している点に留意されたい。ライン310行、フォトTFTのフローティングゲートで高い周囲環境を示す。洩れ電流が、概して、4.5桁より高く、さらに、電圧の範囲にわたって比較的不安定である(顕著な傾き)点に留意されたい。暗状態、低い周囲状態及び高い周囲状態間の顕著な差異により、電圧範囲(ソース・ドレイン電圧)にわたる実質上平坦な応答とともに、システムは、特にソースに接続しているゲートで、自信に満ちた方法で、データを直ちに処理することができる。ゲートが、あるいは異なる電圧によってバイアスされてもよいことを理解されたい。一般に、この構造は、画像を表示するのに用いる電圧範囲の好ましくは中心の50%以上、より好ましくは中心の75%以上で、漏れ電流が1桁以内にあるようにするのが好適である。
【0033】
図9を参照すると、高い周辺光条件の下で、フォトTFTは、おそらくフォトTFTによるオフセット電圧のため、Cst2コンデンサを完全にコモン電圧に放電する傾向がある。このように、ディスプレイの全域で、全てのフォトTFTは、同一電圧レベルに放電される傾向がある。これらの、周辺光条件が低減された領域や、あるいは、ユーザにより周辺光がディスプレイに到達するのをブロックされた場所では、グラフにおいて下向きの山形で示すように、コンデンサCst2が完全に放電されない。グラフにおける下向きの山形は、タッチされたディスプレイの領域に関連する位置情報を提供する。
【0034】
図10を参照すると、より低い周辺光条件の下で、フォトTFTは、Cst2コンデンサを部分的にコモン電圧に放電する傾向がある。このように、ディスプレイの全域で、全てのフォトTFTは、ある中間の電圧レベルに放電される傾向がある。これらの、周辺光条件がさらに低減された領域や、あるいは、ユーザにより周辺光がディスプレイに到達するのをブロックされた場所では、グラフにおいて下向きの山形で示すように、コンデンサCst2が充分に放電されない。グラフにおける下向きの山形は、タッチされたディスプレイの領域に関連する位置情報を提供する。図9及び10に示すように、ユーザにより周辺光がディスプレイに到達するのをブロックされた領域は、極小値として判定することができる。他の実施形態において、回路トポロジに従い、ユーザにより周辺光がディスプレイに到達するのをブロックされた位置は、極大値、又は追加のコンポーネントによる幾つかの測定により判定することができる。
【0035】
例示した回路トポロジにおいて、コンデンサCst2の値は、それが高い周辺光条件又は低い周辺光条件に適するように選択することができる。低い周辺光条件に対して、デバイスが光の変化により敏感となるように、より小さいキャパシタンスを選択することができる。高い周辺光条件に対して、デバイスが光の変化により敏感とならないように、より大きいキャパシタンスを選択することができる。さらに、フォトトランジスタの寸法は、フォト洩れ電流を変更するように選択することができる。また、ディスプレイ内の受光素子の一組(例えば、フォトTFT及びキャパシタンス)を、低い周辺光条件に対して最適化することができる一方で、ディスプレイ内の受光素子の他の組(例えばフォトTFT及びキャパシタンス)を高い周辺光条件に対して最適化することができる。概して、低い環境条件に対する受光素子からのデータ及び高い環境条件に対する受光素子からのデータは、別に処理され、適切なデータの組が選択される。このように、同じディスプレイ装置を、高い周辺光条件及び低い周辺光条件のために用いることができる。さらに、多数の感度レベルを設けることができる。単一のアーキテクチャに、低い周辺光条件から高い周辺光条件までの広範囲にわたる感度を提供できることを理解されたい。さらに、任意の好適な代わりのアーキテクチャを、周辺光における減少及び増加を検出するのに用いることができる。
【0036】
通常の周辺光条件の下で、コンデンサ上の電荷が部分的にのみ放電されるようにキャパシタンスの値の選択をする、他の構造を含むこともできる。容量性電荷が部分的にのみ放電される構造により、本発明者は、ディスプレイの特定領域を更に放電させるためにディスプレイを指し示すのに、例えばライトワンド又はレーザー・ポインタのような光学ポインティングデバイスを用いることができると判定した。従って、光学ポインティングデバイスによって指し示されたままのディスプレイ領域は、極大(又はその反対)として検出される。さらに、これらの光が阻止されるディスプレイ領域は、極小(又はその反対)として現れる。これは、光の欠如(例えば、パネルのタッチ)だけでなく、光の入射が増加したディスプレイの領域も検出する能力を提供する。図12を参照すると、グラフは、加えた光による極大(上向きのピーク)及び光の欠如による極小(下向きのピーク)を示す。さらに、ディスプレイ内の受光素子の一組(例えば、フォトTFT及びキャパシタンス)を、光の欠如を検出するために周辺光条件に対して最適化することができる一方で、ディスプレイ内の受光素子の他の組(例えばフォトTFT及びキャパシタンス)を、それらに与えられた追加の光を検出するために、周辺光条件に対して最適化することができる。
【0037】
ディスプレイと関連付けたスイッチを、受光素子の複数の異なるセットの間の選択に設けることができる。たとえば、スイッチのうちの1つは、低、中、高の周辺光条件の間を選択することができる。たとえば、他のスイッチは、接触感知動作(光の欠如)と光学ポインティングデバイス(光の追加)との間で選択することができる。さらに、光学ポインティングデバイスは、自動的に光学検出モードを変更するために、例えば、有線又は無線接続を介して、ディスプレイと通信することができる。光センサ(アクティブ層の受光素子に対する外部のフォトセンサ)及び/又は1つ以上の受光素子を、受光素子の異なるセット間の選択のために周辺光条件を検出するのに、用いることができる。また、センサ及び/又は一つ以上の受光素子を、(1)光の欠如の検出、(2)光の追加の検出の選択、及び/又は、(3)電子機器の検知レベルの調整、を選択するのに用いることができる。
【0038】
ある実施形態において、受光素子の一部又は全てに対する対応するカラーフィルタ(例えば上述のような)を、省略又は透明な(又は実質的に透明な)材料と置換することができる。従って、いくつかの受光素子に到達する光は、カラーフィルタによってフィルタをかけられない。これにより、それらの受光素子は、それらが受信するフィルタされた光よりも、より大きなダイナミックレンジ、又はダイナミックレンジの異なる部分を、検出することができる。
【0039】
本願明細書の教示は、透過型アクティブマトリクス液晶素子、反射型アクティブマトリクス液晶素子、半透過型アクティブマトリクス液晶素子、などにも同様に適用できる点に注意されたい。さらに、受光素子を、パッシブな液晶ディスプレイ内にも同様に設けることができる。検出装置は、たとえば、フォトレジスタ及びフォトダイオードであってもよい。
【0040】
あるいは、受光素子を、背面の偏光素子とアクティブマトリクス層との間に設けることができる。この構成において、受光素子を、ポラライザ上又はポラライザに装着したフィルム上に製造するのが好適である。さらに、受光素子を、ポラライザと液晶材料料と間の細いガラス板に設けることができる。さらに、好適には、ブラックマトリクス又はそれ以外の光阻止材料を、光のフォトTFTへの衝突を阻止しないようにする一方で、周辺光の読み出しTFTへの衝突を阻止するように配置する。さらに、好適には、例えばゲート金属のような光妨害材料を、設けた場合に、バックライトからの光がフォトTFT及び/又は読み出しTFTに到達するのを阻止するように、フォトTFT及び/又は読み出しTFT及びバックライトの間に設ける。
【0041】
あるいは、受光素子を、正面の偏光素子と液晶材料料との間に設けることができる。この構成では、受光素子を、ポラライザ上又はポラライザに装着したフィルム上に製造するのが好適である。さらに、受光素子を、ポラライザと液晶材料料と間の細いガラス板に設けることができる。受光素子は、正面の電極層をパターン化して、適切な製作技術を含めることによって、正面の電極層の中に製造することができる。さらに、好適には、ブラックマトリクス又はそれ以外の光阻止材料を、光のフォトTFTへの衝突を阻止しないようにする一方で、周辺光の読み出しTFTへの衝突を阻止するように配置する。好適には、例えばゲート金属のような光妨害材を、設けた場合に、バックライトからの光がフォトTFT及び/又は読み出しTFTに到達するのを阻止するように、フォトTFT及び/又は読み出しTFT及びバックライトの間に設ける。
【0042】
あるいは、受光素子を、ディスプレイの正面とディスプレイの背面との間に設けることができ、通常、それらのうちの1つの層に製造するか、又は、ディスプレイ内の層のスタック内に設けられる別々の層に製造する。バックライトを有する液晶デバイスの場合、受光素子を、ディスプレイの正面とバックライト材料と間に設けるのが好適である。受光素子の位置は、ディスプレイの平面図から見た場合に、画素電極の間(又は少なくとも部分的に)とするのが好適である。これは、画素電極が不透明である反射型ディスプレイに特に有効である。さらに、反射型ディスプレイに対して、いかなる反射性の導電電極も、それらによって光の受光素子への到達を阻止しないように配置しなければならない。この構成では、受光素子は、1つ以上の層上、又は1つ以上の層に装着されたプレートの上に製造するのが好適である。さらに、好適には、ブラックマトリクス又はそれ以外の光阻止材料を、光のフォトTFTへの衝突を阻止しないようにする一方で、周辺光の読み出しTFTへの衝突を阻止するように配置する。好適には、例えばゲート金属のような光妨害材を、設けた場合に、バックライトからの光がフォトTFT及び/又は読み出しTFTに到達するのを阻止するように、フォトTFT及び/又は読み出しTFT及びバックライトの間に設ける。
【0043】
多くのアプリケーションにおいて、異なる光条件に対してバックライトの強度を修正することが望ましい。たとえば、暗い周辺光条件において、薄暗いバックライトを有することが有益である。対照的に、明るい周辺光条件において、明るいバックライトを有することが有益である。ディスプレイスタック内の集積された受光素子を、素子が、付加的な外部のフォトセンサの必要なくバックライトの強度を制御するために飽和していない限り、周辺光条件のメジャーとして用いることができる。1つの受光素子を用いることができ、又は、複数の受光素子を、例えば平均の算出のような付加的な処理と共に用いることができる。
【0044】
実施例において、読み出しラインは、一般に「タッチ」の位置を特定するのに十分なディスプレイの範囲内に、周期的に含めることができる。 たとえば、読み出しラインを、各々の30番目の列に周期的に加えることができる。大部分の画素電極が不変のサイズを持つため、有意な数の画素で読み出しラインを分離すると、ディスプレイは、その前の明るさをほぼ維持するようになる。しかしながら、かなりのテストの後、そのような周期的間隔が、画素電極のアクティブ領域のサイズの違いのため、目立つ不均一性グレースケールをもたらすことが分かった不均一性グレースケールの1つの潜在的な解決策は、サイズを削減して画素電極のグレイレベルを増やすか、さもなければサイズを削減せずにグレイレベルを低減するか、又はそれらの組合せのような、不均一を調和する方法においてフレームデータを修正することである。潜在的な解決策である一方で、これは、付加的なデータ処理を必要とし、システムの計算量を増やす。
【0045】
不均一性グレースケールのより望ましい解決策は、読み出しラインを第4の画素毎に含めるか、又はさもなければ、ディスプレイの画素電極パターン(赤画素、緑画素、青画素)を調和するように、ディスプレイを修正することである。あるいは、読み出しラインを、少なくとも12番目の画素毎(赤、青、緑配置の36本の画素電極)に含めるか、より好適には、少なくとも9番目の画素毎(赤、青、緑配置の27本の画素電極)、より好適には、少なくとも6番目の画素毎(赤、青、緑配置の18本の画素電極、又は赤、青、青緑配置の24本の画素電極)でさえ、さらに、最も好適には、少なくとも3番目の画素毎(赤、青、緑配置の3本の画素電極)に含める。読み出しラインは、読み出しライン間のスペースの少なくとも4倍のパターン(例えば、12番目の画素の4倍は48番目画素となり、9番目の画素の4倍は36番目の画素となる)に対して含めるのが好適である。より好適には、読み出しラインのパターンは、ディスプレイの大部分以上に含まれる。結果として、ディスプレイは、正確に「タッチ」の位置を決定するのに必要であるものよりもより多く、読み出しラインを含むことができる。ディスプレイの計算量を減らすために、選択した読み出しラインは、相互接続が存在しないか、又は、さもなければ、読み出しエレクトロニクスに動作上相互接続しない。さらに、ディスプレイの計算量をさらに減らし、かつ画素電極の寸法を増やすために、読み出しエレクトロニクスに動作上相互接続しない読み出しラインは、同様に、関連する受光素子をなくすこともできる。言い換えれば、グレースケール表示の均一性高めるために、付加的な非稼動の読み出しラインを、ディスプレイ内に含むことができる。代わりの実施形態では、非稼動の読み出しラインの一つ以上を、スペースに置換することができる。このように、画素電極マトリクス内にスペースを追加しても、グレースケール表示の均一性を高めることができる。
【0046】
本発明者は、潜在的な画素電極の選択を考慮し、「青」い光に対応する電極が、「緑」又は「赤」の電極による範囲までは、白伝送(white transmission)全体に貢献しないという認識に至った。したがって、本システムは、受光素子を、「緑」又は「赤」の電極とそれらの関連よりもある程度大きく、「青」い電極に関連づけるように設計することができる。このように、白伝送は実質的に不変のままで、受光素子に合わせるために、「青」い画素電極のサイズを減少させることができる。実験により、センサが第4の画素毎にある場合に、「緑」及び「赤」い電極は不変のままで「青」い電極のサイズをそれらの最初のサイズのほぼ85%に減少させると、たった約3パーセントの白伝送の減少につながることが示された。
【0047】
非稼動の読み出しラインのこのような付加的なセットが、均一性を高めたグレイレベルを提供する一方で、画素開口の縮小は、通常少なくとも5%、さらに解像度及び採用したレイアウト設計ルールに依存して、最高でも15%の、輝度の低下をもたらす。さらに、読み出しラインが、その隣接したデータラインにショートする傾向があるので、処理特性を正確に制御しない場合、製造歩留まりが低下する。たとえば、データライン及び読み出しラインは、それらの長さの大部分に沿うほぼ6−10ミクロン間隔とすることができる。
【0048】
図13を参照すると、本発明者は、潜在的な製造歩留まり及びディスプレイの輝度を増やすために、感光性回路の読み出しと画素に対するデータ書込みとを、同一バス上で、又は互いに電気的に相互接続する一組のライン上で組み合わせることができる、という認識に至った。同じバスの使用を容易にするために、スイッチ418は、新しいデータ420の選択された画素への提供と、選択された画素からのデータ414の読み出しとの間で、選択することができる。新しいデータ420を選択された画素にセットするスイッチ418で、フレームバッファ又はビデオ・データストリームからのデータを、選択ラインのうちの1本と関連する画素に提供することができる。多数の読み出し回路を用いられることができ、又は、一つ以上の多重化された読み出し回路を用いることもできる。たとえば、データライン400に与えられる新しいデータ420は、4.5ボルトにすることができ、選択ライン406に適当な電圧をかけることによって、画素電極420及びフォトTFT404にラッチされる。このように、データ電圧は、画素電極及び対応する感光性回路の両方にラッチされる。
【0049】
ディスプレイは、従来の方法で照射され、フォトTFT 404にかかる電圧は、前述したように、感光性回路に入射する光に従って修正することができる。例示したトポロジにおいて、フォトTFT 404は、通常、コモンライン408上の電圧を、フォトTFT 404上の予想された電圧よりも低い、例えば−10又は−15ボルトの電圧に設定することによって逆バイアスされる、N型トランジスタである。現在のフレームに対するデータは、後に用いるために、フレームバッファに格納することができる。例えば次のフレームのような他のフレームに対するデータを書き込む前に、読み出しTFT 410上のデータ(例えば電圧)が読み出される。スイッチ418は、電荷読み出し増幅器412に相互接続された読み出しライン414と、新しいデータ420との間で変遷する。選択ライン406は、フォトTFT 404の残余電圧を、読み出しTFT 410を介してデータライン400と結合するために、再び選択される。データライン400に対する被結合電圧(又は電流)は、電荷読み出し増幅器412への入力として供給され、先行するフレーム422からの対応するデータ、すなわち、フォトTFT404にかけられたもともとの電圧に対して比較される。読み出しライン414と先行フレーム422からのデータとの違いは、増幅器412への出力をもたらす。増幅器412の出力は、プロセッサに供給される。フォトTFT 404のドレインを大きくすると、通常、光の検出の結果、増幅器412のより大きな出力をもたらす。図14を参照し、共有データライン400上の書込み及び読み出しに対するタイミングの例を示す。
【0050】
低い周辺光条件及び薄暗い照明条件で、集積型光学式タッチパネルは、周囲領域からの信号と、タッチされた領域からの信号との間の差異が不十分な(又はない)ため、指のタッチに対して良好に作動するとは期待されない。前述したように、低くて暗い周辺光条件における有効な検出に対する不能を軽減するために、ライトペン又はレーザー・ポインタ(例えば光源)を用いることができる。光源は、有線又は無線通信リンク等によって、ディスプレイに操作可能に相互接続することができる。ディスプレイに操作可能に相互接続された光源で、受光素子又は図15に示すようなディスプレイからのフィードバックにより、光源の強度を少なくとも部分的に制御することができる。ディスプレイによって、閾値を上回る周辺光のような充分な周辺光が存在すると判定された場合、光源が「オフ」される。このように、ディスプレイに対して光源をタッチすることは、ディスプレイに対して指をタッチすることと同様の影響を及ぼし、すなわち、周辺光がディスプレイに衝突するのを妨げる。ディスプレイによって、閾値を上回らない周辺光のような不十分な周辺光が存在すると判定された場合、光源が「オン」される。このように、ディスプレイに対して、タッチするか又は光源からの光を向けることは、周辺光レベルと比較して受信光における局所的な増加につながる。これにより、ディスプレイが、暗い周辺光条件において、又はディスプレイからのフィードバックによって、動作可能となる。さらに、光源からの光の強度は、周辺光条件に依存して、段階的に、線形に、非線形に又は連続的に変化させることができる。あるいは、ディスプレイからのフィードバックを不要とするために、同様に、光源とディスプレイとの間の通信は不要とするために、光源はそれ自体の周辺光探知器を含むことができる。代わりに、ライトペンを、ディスプレイで十分な圧力で光を発するように駆動し、圧力が全くない、又は十分な圧力がない場合には光を発しないように動作を停止させるようにすることができる。
【0051】
外部の光源からの光の使用が有益である一方で、システム内のバックグラウンドノイズ及び可変の光条件のため、追加的な光の正確な位置の検出は、まだ困難である可能性がある。本発明者は、この状況を考慮して、奇数フレーム若しくは偶数フレーム、又は奇数フィールド若しくは偶数フィールド、又は3番目のフレーム毎に、又は選択フレーム中のような、異なるフレームの中に光を提供することによって、フレーム間により規定される差分信号が、「タッチ」位置を示すという認識に至った。本質的には、例えば、ディスプレイラインに同期した速度での回線走査、又はフレームのブリンキングのようなある方法によって、光をターンオン及びターンオフすることができる。奇数/偶数フレーム構成に対するタイミングの典型例を、図16に示す。さらに、ある種のディスプレイの照射は、行ごとのディスプレイの走査を含む。このような場合、差動信号を、それぞれの画素電極のためのゲートパルス(例えばスキャン)のタイミングに従って光パルスのタイミングを修正することによって、改善することができる。たとえば、トップダウン走査ディスプレイにおいて、光パルスは、光源がディスプレイの底部に対して、ディスプレイの上方向を目指す場合に、早めなければならない。必要に応じて、ディスプレイからのフィードバックに基づき同期させることができる。
【0052】
実施例において、光源は、ディスプレイライン走査に同期する速度で点滅することができる。たとえば、光源は、画像画素電極と同一のドライバ・ソースを用いることができる。他の実施例において、連続的な(又はそれ以外の)フレームの使用は、互いに減算することができ、信号と周囲状況との間に顕著な差異をもたらす。受光素子は、20年より長いダイナミックレンジを、より好適には、40年より長いダイナミックレンジを有するのが好適である。必要に応じて、ディスプレイのすべてのラインが使われるように、システムはスキャンの次の2つのフィールドから減算されるスキャンの2つの連続したフィールドを使用することができる。
【0053】
暗い又は低いレベルの環境条件において、ディスプレイの効果的動作ための他の技術は、ディスプレイと相互作用する際にディスプレイに近接する(接触又はほぼ接触する)、ペン又は光反射面を有するほかの装置を用いることである。パネルを介して透過するバックライトからの光は、その後、受光素子の中へ反射されて戻り、さらに、タッチ位置における読み出し信号が、周囲の領域よりも大きくなる。反射光が受光素子に到達するように、ディスプレイのタッチ目標領域は、少なくとも部分的に透明であるのが好適である。
【0054】
図17を参照すると、典型的に携帯型計算機に用いられる他の種類の反射型液晶ディスプレイは、液晶材料の正面に組み込んだ光ガイドを含み、それは通常、ガラスプレート又は透明なプラスチック材料である。通常、ライトガイドは、1.4〜1.6の、より典型的には1.45〜1.50の屈折率を有する透過材料から、さらに、時には1.46の屈折率を有する材料から構成される。ライトガイドは、アンチグレア及びアンチ反射の被膜をさらに含むことができる。ライトガイドは、しばしばライトガイドの側面に配置される光源によって、頻繁に照射される。光源は、例えば、冷陰極蛍光ランプ、白熱灯及び発光ダイオードのような、任意の好適なデバイスとすることができる。光収集を改善するために、ライトガイドから離れたところで発する光を反射し、ライトガイドに光を向け直すために、ランプの背面にリフレクタを含めることができる。ライトガイド内を伝播する光は、全反射によって、2つの表層間をはねる。全反射は、図18に示すように、表面の法線に対して測定した場合に、臨界角を超える角度に対して発生する。第1次近似により、臨界角は、nをライトガイドの屈折率として、Sin() = 1/nにより定義することができる。ライトガイドの表面が完全に滑らかでないので、いくらかの光の分散があり、それによって、図19に示すように、ディスプレイに若干の照射をもたらす。
【0055】
本発明者は、光の拡散を局所的に増加させることによって、臨界角及び全反射の乱れを修正することができる、という認識に至った。図20を参照すると、光を局所的に拡散させる好適な技術の1つは、ディスプレイの正面をタッチするためのプラスチックペンを用いることである。ペンがディスプレイに触れる場所に一致した内部の反射光は、大きく拡散して、ディスプレイ内の受光素子に向かう。プラスチックペン、又は指又は鉛筆の消しゴムを含む他の物体は、0.5以内の屈折率、より好適には、ライトガイドの屈折率である0.25以内の屈折率を有する。たとえば、ライトガイドの屈折率は、1.2〜1.9、より好適には、1.4〜1.6とすることができる。互いに十分に近い2つの屈折率により、内部反射の乱れ、及びそれによる、受光素子に向けられる光の量が増加する。さらに、プラスチックペンは、例えば黒いフェルトのような無反射材料であることと対照的に、光の十分な反射率(例えば白い先端、光る先端、反射する先端)を有するのが好適である。
【0056】
図21を参照すると、更なる検討の後に、本発明者は、ライトガイドと接触する白い消しゴムが、より大きな明るさを有するより小さな照射領域と共に、通常一貫した光学的性質を有する暗い領域となる一方で、ライトガイドから2、3ミリメートル離れた白い消しゴムが、通常一貫した光学特性を有する暗い領域となることに気づき、驚愕した。好適例において、より鮮明な画像を得られるように、受光素子を、液晶材料料(又は、ライトバルブ若しくはエレクトロルミネッセント材料)に関してディスプレイの正面に向けて配置する。いかなる適切なポインティングデバイスを用いることができることを理解されたい。照射された領域は、暗い領域の残りに関して、より明るい照度を有する。照射された領域は、例えば重心テクニックのような任意の適切な技術で検出することができる。
【0057】
場合によっては、ディスプレイ画面は、例えば白又は日焼けの色のような、相対的に明るい色のついた領域を有し、それがオペレーティング・ソフトウェアのための仮想ボタンとして使われる。この明るい色のついた領域内は、典型的に、相対的に暗い文字によるテキスト情報である。液晶ディスプレイテクノロジにおいて、明るい色のついた領域は、液晶材料料を通過する光を表す。したがって、一般にポインティング機器が反射材料を含む場合、ディスプレイを通過する光は、ディスプレイを介して背後に反射され得る。ディスプレイを介して背後に反射される光は、受光素子によって検出することができる。
【0058】
照らされた領域についての更なる検討の後、本発明者は、ユーザが「タッチパネル」ディスプレイを使用するとき、ポインティングデバイス(又は指)が、ディスプレイの上方の位置で「ホバリングする(うろうろする)」可能性がある、という認識に至った。通常、このホバリングの間、ユーザは、実際にディスプレイのどの部分も選択しておらず、むしろ、まだ、選択する場所を決定しかねている。このように、ユーザが単に「ホバリング」しているのか、あるいはユーザが実際にディスプレイに接触(例えば、「タッチ」)しているのかを判定する技術を提供するため、照射された領域は有益である。
【0059】
一つには、ホバリングに対する感度は、画素電極へのブラックマトリクスにおける開口部の配列により、主に、デバイスに近接する指又は他素子によって阻止されるコリメート光に敏感な受光素子に関連する可能性がある。図22に示すように、コリメート光に対する依存性を低減するために、受光素子の非コリメート光(又はその反対で、非垂直又は斜めの入射光)への感度を高めるように、ブラックマトリクスに、それぞれの画素電極に合わせられる中心材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、開口部を、非連続開口部とみなすことができ、さもなければ、特定の画素に対する別個の開口部は非連続である。
【0060】
「ホバリング」と「タッチ」との間の判定に対する他の潜在的な技術は、「影」領域を時間的にモデル化することである。実施例において、ユーザが、典型的にディスプレイにタッチする場合は、影の端部がある期間静止したままとなり、それを、少なくとも一部において、「タッチ」の基準として用いることができる。他の実施形態において、影は、ポインティングデバイスがディスプレイに近づくにつれて典型的に拡大し、さらにポインティングデバイスがディスプレイから遠ざかるにつれて縮小し、拡大と縮小との間の一般的な時間を、少なくとも部分的に、「タッチ」の基準として用いることができる。他の実施形態において、影は、ポインティングデバイスがディスプレイに近づくにつれて典型的に拡大し、さらにポインティングデバイスがディスプレイに接触しているときに同じ一般的なサイズを維持し、影が同一のサイズを維持する一般的な時間を、少なくとも部分的に、「タッチ」の基準として用いることができる。他の実施形態において、影は、ポインティングデバイスがディスプレイに近づくにつれて典型的に暗くなり、さらにポインティングデバイスがディスプレイに接触しているときは同じ影を維持し、影が同じ一般的な影を維持する一般的な時間を、少なくとも部分的に、「タッチ」の基準として用いることができる。
【0061】
指又は他のデバイスが、ディスプレイに近い(又は接触する)か、ディスプレイから十分に離れているかをさらに区別するため、光誘導構造を用いることができる。そのような光誘導構造を、図23に示す。好適には、光誘導構造は、ディスプレイの外周の一部に含まれ、ディスプレイの正面の領域にわたって周辺光を反射することができる。指又は他のデバイスがディスプレイから十分に離れている場合に、反射光は、その後、指又は他のデバイスに反射して、受光素子に衝突する光を増加させる。指又は他のデバイスを反射した光は、光の反射角により、指又は他のデバイスがディスプレイの近くにある場合に減衰する。ディスプレイに衝突する反射光の差異を、少なくとも部分的に、ディスプレイの接触又はディスプレイへの光の阻止を検出するのに用いることができる。
【0062】
携帯機器でこのような技術の実装を検討している間に、携帯機器のディスプレイ部分が、通常、ディスプレイの手書き文字認識部の部分のリフレッシュレートよりも少ないリフレッシュレートを有するという、発明者にとって思いもかけないことを発見した。ディスプレイの携帯部分は、例えばパームOSTMベースのデバイスのような、任意の認識技術を用いることができる。ディスプレイの手書き部分のリフレッシュレートが、典型的に大体100ヘルツである一方で、ディスプレイのリフレッシュレートは、典型的に、大体60ヘルツである。 したがって、受光素子は、ディスプレイの各部のリフレッシュレートと一致しているサンプリングレートでサンプルをとられなければならない。
【0063】
図20に関して記述する技術は、暗い周辺光条件、低い周辺光条件、規則的な周辺光条件、及び高い周辺光条件において非常に良好に動作する。規則的で高い周辺光条件の期間、ディスプレイは、周辺光条件への依存性が軽減される。さらに、このような照射によって、照射ポイントがより目立つようになり、従って抽出がより容易となる。残念なことに、昼間は、周辺光が非常に高く、ポインティングデバイスの検出をより難しくするおそれがある。さらに、周辺光の影が、検出技術を妨げるおそれもある。
【0064】
本発明者は、検出技術のロバスト性の改善を検討したが、システムにおける顕著な「ノイズ」により、十分にロバストな技術の創作は難しいという認識に至った。検出技術の改善への従来のアプローチに対して、本発明者は、波長の選択が限られたライトガイドへの光を提供し、さらに、ディスプレイ内の光の波長を選択的にフィルタすることによって、接触と非接触との間の差異を低減可能である、という認識に至った。初期事項として、単一色を与えるために、ライトガイドに提供される光源からの光を、修正又はフィルタする。あるいは、光源は、例えば600〜700ナノメートル、又は400〜500及び530−580、又は630の範囲の波長の光を提供することができる。典型的には、ライトガイドに与える光は、白色光又は周辺光の波長の範囲より短い波長(任意の有意な量において)の範囲を有する。したがって、制限色域(又は低減されたカラー・スペクトル)を有するライトガイドに与える照明によって、ディスプレイ上のポインティングデバイスをタッチすると、受光素子に局所的に向けられている制限色域をもたらす。ライトガイドへの接触(又はディスプレイ正面の接触)の結果ディスプレイに向けられる制限色域の光によって、カラーフィルタを、制限色域の範囲内に含まれない色の少なくとも一部をフィルタするために、ライトガイドと受光素子の間に含める。言い換えれば、カラーフィルタは、周辺光の透過を、光源からの光の透過よりも大きい程度か、又は、ライトガイド内に減衰させる。たとえば、ライトガイドが主に「赤」い光をその中に有する一方で、周辺光を、「白」い光とみなすことができる。周囲の白色光のための赤いカラーフィルタの典型的な透過を、約20%にすることができる、その一方で、同じカラーフィルタは赤色光の約85%を透過する。好適には、ライトガイド内のそれぞれの光の透過が25%を超える(25%未満の減衰)(又は40%、50%、60%、70%)一方で、カラーフィルタによる周辺光の透過は、75%未満(25%より大きい減衰)(又は60%、50%、40%、30%)であるため、このように、接触を正確に検出する能力を増加させるために、ライトガイド内の光の波長に関して、周辺光の選択された波長の充分な減衰を得られる。
【0065】
他の実施形態において、低い周辺光条件において駆動される場合に、ライトガイドに対する光源は、「白い」光へのスイッチ又は自動修整を含むことができる。このように、ディスプレイを、低い周辺光条件においてより効果的に観察することができる。
【0066】
他の実施形態において、本発明者は、ディスプレイに光を与える光源をある方法で調整すると、信号検出の改善が達成できることを見つけ出した。たとえば、関連する光源を有するポインティングデバイスは、ディスプレイのフレームレートに従って、光源を調整することができる。60ヘルツのフレームレートによって、ポインティングデバイスが、例えば30ヘルツ、20ヘルツ、10ヘルツ、その他のレートで光源を調整することができ、追加的な光を、受光素子が周期的に検出することができる。望ましくは、光源は、ディスプレイライン走査に同期するレートで調整(「点滅」)され、さらに、画像薄膜トランジスタとして粗野なドライバを用いる。結果としてのデータは、種々の異なる方法で処理することができる。
【0067】
実施例において、受光素子からの信号を、キャプチャしたときに用いることができる。信号対バックグラウンドの比率における改善の結果は、フレーム時間に対する光のパルス長に関係する。これは、周辺光(それは、遅れずに一定である)と比較して、ポインティングデバイスによって発生する光の間で、信号検出におけるいくらかの改善をもたらす。
【0068】
他の実施形態において、変調から生じる付加的な光の存在及び欠如を検出するために、多数のフレームを互いに比較する。(順次の又は非順次の)連続するフレームで、付加的な光のないもの、及び付加的な光を有するものの場合、受光素子からのデータを、互いに減算することができる。信号対バックグラウンド比率における改善は、付加的な光の間欠的な欠如に関連する。さらに、この処理技術は、特に、弱い周囲照明及び高い周辺光条件に適する。好適には、センサのダイナミックレンジは少なくとも40年であり、走査線の全てが含まれるように、付加的な光を有する2つの順次フレーム及び付加的な光のない2つの順次フレームを用いる。システムは、周辺光の検出の結果により、受光素子と関連する記憶コンデンサを放電した後、読み出し動作と共に記憶コンデンサの電圧をリセットする。最初のラインが時刻ゼロで始まって、フレーム時間がかかるので、ラストラインはほとんどフレーム時間の後に充電され、放電に他のフレーム時間がかかることになる。従って、システムは、好適には、付加的な照度を有する2つのフレーム及び付加的な照度のない2つのフレームを用いなければならない。
【0069】
受光素子を、「タッチ」及び「タッチ」の位置の判定に用いる一方で、「ホバリング」と「タッチ」との区別には、時々問題がある。ディスプレイの実際のタッチの判定を援助するために、圧力ベース機構を用いることができる。ある圧力ベース機構は、ディスプレイの一対の層の間、又は、ディスプレイとディスプレイ用のサポートとの間に、感圧テープを含むことができる。他の圧力ベース機構は、操作可能にディスプレイに接続された、電気又は磁気センサを含むことができる。いずれにせよ、圧力ベース機構は、ディスプレイ電子機器に、圧力の検出(例えば、タッチ)、又は、圧力の欠如(例えば、非タッチ)を示す信号を提供する。
【0070】
図24を参照すると、細長い発光デバイスの1つの構成は、周期的に又は連続的に赤外ビームを発する赤外発光ダイオードを含む。赤外ビームは、発光デバイスから送信され、ディスプレイから反射する。ライトペンが、ディスプレイから十分に間隔を置いて配置された場合、反射された赤外ビームは、ライトペンに衝突しない。ライトペンが、ディスプレイの十分近くの間隔にある場合、反射された赤外ビームはライトペンに衝突し、ライトペン内の赤外センサによって検出される。赤外光が好ましいが、一方で、ディスプレイの受光素子が通常無反応である、任意の適切な波長を用いることができる。赤外センサが反射された赤外光を検出する場合、画素を照らすために、可視発光ダイオードがオンされる。可視発光ダイオードは、好適に、ディスプレイの受光素子に影響を与える波長を提供する。所定の継続時間後、又は、赤外光が赤外センサによって検出されない間に、可視発光ダイオードはオフにされる。従って、ライトペン内の電池の電力が節約される。さらに、可視発光ダイオードからの可視光のエッジ又は形状を、ライトペンとディスプレイと間の間隔を決定するのに用いることができる。また、可視発光ダイオードからのビームは、赤外センサによって検出される信号に基づいて、変化させてもよい。
【0071】
図17に示すライトガイドを有するディスプレイを再考すると、本発明者は、図25に示すように、ユーザの指紋の高い部分と接触するライトガイドのそれらの部分が拡散して、受光素子の方へ光を散乱させる傾向があると認識した。ユーザの指紋の高い部分(すなわち谷)と接触しないライトガイドのそれらの部分は、拡散して、受光素子の方へ光を散乱させる傾向がない。ライトガイド及び液晶材料料の厚み、並びに受光素子の密度に従い、指紋における観察可能な詳細は変動する。指紋を検出する能力を向上するために、ディスプレイは、受光素子を多様な密度にするように設計することができる。たとえば、指紋が通常位置する領域で、例えばサブ画素毎に受光素子を含むように受光素子の密度を増加させることができる。このように、ディスプレイは、受光素子を多様な密度で含む。さらに、ディスプレイは、例えばバーコードのような別のアイテムの検出のために同様に用いることができる。
【0072】
場合によっては、塗られた画像の検出を引き起こす過剰な視差が存在する可能性がある。さらに、指の油及び汗は、ユーザの指紋の上下の位置との対比を減らす傾向がある。図26を参照すると、別個のセンサ構造物を、ディスプレイ内に含めることができる。センサ構造は、ライトガイドと受光素子との間に、レンズを含むことができる。レンズは、例えば、小さい焦点レンズ又はSELFOCレンズ(可変屈折率ファイバー・オプティックス)のような任意の適切なレンズ構成とすることができる。指紋検出領域におけるカラーフィルタは、必要に応じて省略することができる。場合によっては、カラーフィルタ及びレンズは、例えばアクティブプレートのエッジを可視領域を超えて延長させることで、ディスプレイの一部に関して省略することができる。好適には、その領域において、薄膜が受光素子を保護し、指は、解像度が維持されるように、受光素子に近接する。
【0073】
指紋内に存在し得る詳細を検出すべく、受光素子の能力を増やすために、指紋を検出すべき領域において、受光素子密度をより大きくすることが望ましい。このように、ディスプレイは、ディスプレイにわたって、2つ(又はそれ以上の)異なる密度で受光素子を含むことができる。あるいは、ライトガイド及びレンズを省略して、高密度の受光素子を、指紋検出のために含むことができる。他の部材も同様に、高密度な受光素子によって検出できることを理解されたい。
【0074】
受光素子は、指が存在せず、高いコントラスト像を検出するためのそれらの能力を困難にする場合に、非常に高い周辺光条件を観察する傾向がある。受光素子の有効感度を増加させるために、カラーフィルタを、受光素子にの上に横たえるように設けることができる。さらに、光源を、カラーフィルタに関して選択することができる。たとえば、青フィルタを、青い光源と共に用いることができる。さらに、照度を調整することができ、かつセンサと同期させることができる。この場合、光源は、受光素子による検出のトリガと共に比較的短いパルスで明るくすることができる。光をフレームレートに関してパルスする場合には、好適には、半分のフレームレートでパルスする。従って、光のパルスが、確実に異なるフレームの間で検出されるようになる。また、標遊する周辺光を低減し、コントラストを増加させるために、光阻止材料を、指が位置する領域の近くを囲むようにする。
【0075】
指紋の検出に対して、指からの汗及び油は、指紋の正確な検出能力に影響を及ぼすおそれがある。汗は、主にほぼ1.3の屈折率を有する水である。典型的なガラスは、 1.3とは十分に異なるほぼ1.5の屈折率を有し、従って、汗は、画像検出にそんなに消極的な影響を与えない。しかしながら、油は、1.5にかなり近いほぼ1.44〜1.47の屈折率を有し、したがって、油は画像検出にかなり影響を与える傾向がある。このコントラスト、したがって画像検出を改善するために、ガラスを、より高い屈折率を有しているガラス又はより高い屈折率(例えば1.55以上)を有する材料を塗布したガラスと交換することができる。
【0076】
署名の記録を試みることは、記録方式の応答時間が不十分であるか、又はソフトウェアが遅いサンプリングレートを有するため、多くのタッチセンシティブディスプレイにおいて問題を含む。しかしながら、ユーザは、通常即時のフィードバックを好む。図27を参照すると、ディスプレイは、記憶保持材料を含む署名部を含むことができる。記憶保持材料は、その上に与えられた圧力又は感光材料によって署名の書込みを検出することができる。たとえば、記憶保持材料は、その間に流体を有し、それが署名の書込み中に置換される一対のフレキシブル層であってもよい。署名を書き込んだ後に、ユーザは、ボタンを押すことができるか、又は、署名が完了したことを示すディスプレイの他の部分にさわることができる。
【0077】
あるいは、ディスプレイは、記憶保持材料の光学的性質の顕著な変化によって、署名を検出することができる。その後、ディスプレイは、署名の画像をキャプチャすることができる。たとえば、特にディスプレイが透過型の(「白」)モードである場合に、署名の画像は、記憶保持材料を通過する周辺光から、又は、メモリを維持する材料から反射した光から到達する。署名は、任意の方法(例えば、任意の適切な機構による電気抹消又は物理的な抹消)で消去することができる。このように、署名の書込みの時間的制限が軽減される。あるいは、ディスプレイは、いくつかのフレームの上のユーザの署名をキャプチャする署名モードを含むことができる。署名は、ディスプレイの所定域又は、ディスプレイのいかなる部分でキャプチャすることができる。システムは、署名が書かれるにつれて、一連のフレーム上の周辺光の減少を検出する。このように、署名の「経路」が決定され、その後、任意の好適な方法で用いられる。
【0078】
多くの場合、ユーザは、ディスプレイに対して筆記圧の触覚の反応を要求する。従って、ユーザは、書込み、描画、又は反応を示すためのペン及びディスプレイに対して、より良い快適性を享受する。図28を参照すると、ペンは、ディスプレイに与えられた圧力に基づいて伸縮する、ペンに関して可動な光学パス(例えば、光ファイバーハンドル)を含むことができる。発光ダイオードを、光学経路を介して導かれる光線を提供する。観察されるように、光学経路が広がった状態にあるときよりも光学経路が縮んだ状態にある場合に、光は、光学経路をより通過する。このように、受光素子は、透過光の強度を検出することができ、さらに、ユーザによってディスプレイにかけられている圧力を判定することができる。この能力は、特に、例えばアドビによるPhotoshopのような、圧力に敏感なアプリケーションにとって有効である。
【0079】
図29を参照し、他の筆記圧に関する実施形態を示す。円筒状管状先部は、ディスプレイ上にかかる圧力に基づいて伸縮するペンに関して可動である。円筒状管状先部内に、レンズが存在する。レンズは、発光ダイオードから発される光を集中し、ペンに関して静止したままであるか、及び/又は、円筒状管状先部に関して動くのが好適である。あるいは、発光ダイオードは、ペンの先端に接続することができる。観察されるように、円筒状管状先部が広がった状態にあるときよりも円筒状管状先部が縮んだ状態にある場合に、光は、ディスプレイ(受光素子)上に集中する。レンズは、逆の方法で動作するように修正することができる。ユーザによってディスプレイに対してかけられる圧力を判定するために、ビームの焦点を、任意の適切な方法において、受光素子(例えばサイズ及び/又は強度)によって検出することができる。
【0080】
図30を参照して、他の筆記圧に関する実施形態を示す。円筒状管状先部又はライトガイドは、ディスプレイにかかる圧力に基づいて伸縮するペンに関して可動である。円筒状管状先部がペンに関して移動するにつれて、可変抵抗素子の抵抗が変化する。可変抵抗素子は、可変抵抗における変化に基づいて強度を変える発光ダイオードに相互接続する。受光素子によって検出された光の強度、又は、受光素子によって検出された強度における変化は、ユーザがディスプレイに対してかける圧力の判定に用いることができる。
【0081】
図31を参照して、他の筆記圧に関する実施形態を示す。光学レンズは、発光ダイオードからのビームの焦点を合わせる。ペンがディスプレイにより近い場合と比較して、ペンがディスプレイからより遠いときに、より大きいスポットサイズ及び/又は強度が、受光素子によって検出される。受光素子によって検出された光の強度及び/又はスポットサイズ、又は強度及び/又はサイズにおける変化を、ディスプレイに対してユーザがかける圧力を決定するのに用いることができる。
【0082】
図32を参照して、ライトガイド型構造の修正型を示す。ポラライザを、ライトガイドの下面に含むことができる。さらに、他のポラライザを、液晶ディスプレイの正面及び背面に含むことができる。ライトガイドの下面上のポラライザは、好適には、液晶ディスプレイの正面上のポラライザの方位に合わせる(+/−5度、+/−2度)。ポラライザは、必要に応じて反射防止膜を含むことができる。それら間に適当な調整をして含まれる頂部の2つのポラライザにより、ペンからのより多くの光が、液晶ディスプレイを通過する傾向がある。
【0083】
図33を参照して、タッチの位置を決定するべくディスプレイからのデータを処理するための、典型的な画像処理技術を示す。ディスプレイは、最初に校正画像モジュールによって校正される。校正のために、画像は、黒い布によってカバーするか、又は周辺光の受信を防止したディスプレイによって取得する。ブラック基準画像を10として参照する。それから、通常の形式(例えば、顕著な影又は光スポットのない)の周辺光条件の下で取得した画像を、11として参照する。ディスプレイを調整するために、10と11との間の比較を実行する。
【0084】
動作中に、画像が、最初にキャプチャ画像モジュールによってキャプチャされる。たとえば、60×60のセンサ・マトリクスが、キャプチャされる。任意選択で、信号におけるノイズを減らすために、例えば4つのフレームのような一組の連続フレームを、平均化フレーム・モジュールによって平均化することができる。
【0085】
AGCモジュールは、値におけるオフセットを調整するために、AGC機能を実行することができる。1つの実施例は、以下の方程式で説明することができる:Ie={(Is−10)/(11−10)}。Ieは、等化後の信号である。「Is」は、キャプチャされた、又は平均後のセンサ信号である。10は、ブラック基準画像に対して読み出されるストアード・センサである。11は、明るい(例えば周辺光条件)基準像に対して読み出されるストアード・センサである。等化モジュールは、潜在的な非ゼロ値を暗い条件にて修正するのに、10を用いる。特に、この修正は、Is−10の差演算によって行う。キャプチャ信号対格納した明るい基準信号との比較(例えば、除算)の結果により、信号のレベルを調整する。さらに、等化の出力は、Is<11の場合に、0〜1の範囲を有する正規化信号である。その後、Ieを、平均化フレーム・モジュールの出力の利得をキャプチャされた画像値に合わせるのに用いることができる。AGCモジュールは、暗いレベルの非均一及びセンサ利得の非均一性を効果的に修正する。
【0086】
ディスプレイの特性における非均一性の補償と共に、すぐ近くの値を平均化するのに、スムージング・モジュールを用いることができる。好適なフィルタは、中心画素に対する8つの隣接画素の平均算出である。本質的に、システムは、直接使用可能な信号から、比較的鋭いエッジを提供される。しかしながら、正及び負の出力を検出する実施例における能力により、エッジ検出モジュールを使用するのが有益であることが分かった。好ましいエッジ検出技術は、例えば以下のような3x3マトリクスを使用する:{(−1 −1 −1) (−1 8 −1) (−1 −1 −1)}.エッジ検出モジュールの効果は、エッジ示す画像のそれらの領域を強調又は決定することである。他のエッジ検出技術(例えばゾーベル(Sobel)・エッジ検出技術、1回導関数技術(1st derivative)及びロバートの十字テクニック(Robert‘s cross))を、同様に用いることもできる。
【0087】
閾値モジュールを、所定の閾値を下回る値を全てゼロにリセットするか、又は、それらがエッジ又はタッチされた領域でないことを示すのに用いることができる。システムがマイナス値を設ける場合には、所定の閾値は絶対値未満でもよい。閾値の使用によって、ディスプレイを接触する指の先端と手自体からの影との間の区別を援助する。
【0088】
閾値モジュールの結果として、閾値化されない不十分な画素数が存在すると、システムは開始へ戻る。閾値モジュールの結果として、閾値化されない充分な画素数が存在すると、システムは、最大位置モジュールを用いて、閾値化されない最も大きな領域を決定する。このように、非閾値の支配的な領域を決定するために2、3の値のより小さい領域を取り除くことができる。最大位置モジュールから最大の領域の中心を決定するために、重心モジュールを用いることができる。x及びyのディスプレイ座標を提供するのに、xy座標モジュールを用いることができ、さらに、重心のxy座標にてディスプレイ上に十字を表示するために、十字プロットモジュールを用いることができる。クロスモジュールは、「タッチ」の存在及びその位置に関するデータを、システムへ提供し、制御を開始位置へと戻す。
【0089】
ディスプレイが周期的にひっかかれるか、又は、異物がディスプレイの正面に張り付くことがある。この場合、ディスプレイは、かき傷又は異物がタッチを表すという、誤った読出しを提供する傾向がある。かき傷及び異物の効影響を減らすために、一つ以上の明るい基準像11を、一定周期にわたって取得することができる。実体のない違いが画像の間に存在する場合、一つ以上の明るい基準像11の一組を平均化することができる。これは、1つ以上の画像を取得している間に、ディスプレイがタッチされた可能性を減らす。実質的に画像が異なる場合は、実体のない違いが存在するようにまで、画像を再び取得することができる。
【0090】
低い周辺光条件で動作する場合に、ディスプレイのタッチを検出することは困難である。通常の周辺光条件の下では、黒い基準画像(10)に関してディスプレイの出力を調整することが望ましい。しかしながら、低い周辺光条件の下では、明るい基準像(11)に関してディスプレイの出力を調整することが好ましいことが分かった。したがって、1つの実施例は、以下の方程式によって記載することができる:Ie={(Is−11)/(11−10)}。自動の、又はスイッチに応答する、夜間モード(低い周辺光条件)への切り替えを備えてもよい。
【0091】
液晶パネルの典型的な構造は、バックライトと液晶材料料との間の背面ポラライザを位置決めすることである。前部ポラライザは、典型的に、後部ポラライザに対して垂直な偏光を有し、液晶材料料とデバイスの正面との間に位置する。スクラッチング又はディスプレイをタッチするユーザからのダメージからポラライザを保護するために、ガラス又は透明のカバープレートを、前部ポラライザ及びその支持面の頂部に位置付ける。残念なことに、カバーガラスは、ディスプレイと、通常画素電極と共に位置する受光素子の正面との間の距離を大幅に増やし、適切にタッチ位置の位置決めにおける困難性を増加させる。また、周辺光はカバーガラスによって散乱される傾向があるために受光素子が疑似光を検出する結果となり、さらに、適切にタッチの位置の位置決めにおける困難性を増加させる。
【0092】
このような限界を克服するために、本発明者は、カバーガラスは取り除かなければならず、前部偏光素子の位置を再配置して、その表面がユーザによりのタッチされないようにしなければならない、という認識に至った。したがって、ディスプレイの正面と受光素子との間の距離を減らし、それによりカバーガラスから生じる散乱が排除される。したがって、受光素子の開口の範囲が改善される。
【0093】
図34に、カバーガラスを削除し、前部偏光素子を位置決めるための1つの適切な構造を示す。この構造は、バックライト600、薄膜トランジスタを有するガラス602、ポラライザ604、ポリイミド層606、液晶材料料608、ポリイミド層610、ポラライザ612及び前部電極を支持するガラス614を含む。観察されるように、この構造は、前部電極614を支持するガラスの内部にポラライザ612を位置付けている。同様の構造が、Bobrov、その他による論文、「5.2 Manufacturing of a Thin−Film LCD」に開示されている。非タッチパネル装置が一般的にカバーグラスを含まない一方で、タッチパネル装置がカバーグラスの要求を考慮するので、カバーグラスを含むことのないタッチセンシティブディスプレイの構造は、液晶ディスプレイの設計者の直観に反するだろう。
【0094】
他の構造は、デバイスの上面に組み込まれた硬い被膜層を含む。硬い被膜層は、通常厚さ200ナノメートル以下である。さらに、前部電極を支持するのに用いられるレンズ(又はそれ以外は)は、0.7mm〜1.3mm内で、望ましくは1.1mmとする。
【0095】
本発明者は、異なる受光素子(例えばトランジスタ)が、それらの光への感度及び反応を、ディスプレイの制御の期間にわたって、ディスプレイ内の位置から位置へ、さらにディスプレイからディスプレイへと、変化させる傾向があることを観察した。この予想外の出来事の考慮の後、本発明者は、この影響の源が、例えばガラス、液晶材料、ディスプレイの温度、回路、その他のような環境からトランジスタに課される電荷による暗電流であると推測した。暗電流は、トランジスタが光を検出することが実質上ない、(又はない)場合に存在する流れと定義することができる。光がトランジスタに当たらない場合トランジスタは電流が流れず、増加した光がトランジスタに達するにつれて電流が増加することが、以前認められた。
【0096】
暗電流に局所的な変化がある場合に、ディスプレイのトランジスタ又はディスプレイの異なる領域に位置するトランジスタにとって、暗電流とは何であるかについて究明するために、本発明者は、周辺光を実質上検出しない(又は全く検出しない)追加的なトランジスタをディスプレイ内に含むことができると確定した。選択されたトランジスタは、周辺光が選択されたトランジスタに達するのを防止するために、トランジスタをカバーする材料を含むことができる。図35を参照すると、光がトランジスタに達するのを防止するために、センサの上列を、黒いマスクの開口部より上に移動することができ。一般に、ディスプレイの従来の制御回路と関連した既存のセンサのどれでも、光がトランジスタに達するのを防止すべく、黒いマスクの下の場所へ移動することができる。これにより、新しい行(又はそれ以外)を作るための制御回路の修正が不可能である場合に、既存のセンサの行、又はそれ以外を用いることができる。また、センサ(又はそれ以外)の付加的な列は、露出したセンサ(又はそれ以外)の最終列の下に追加することができ、従来の制御回路に修正を必要とする。
【0097】
必要に応じて、トランジスタを、列において同様に整列配置することができる。光の検出が妨げられたトランジスタは、ディスプレイ全体の範囲内、又はディスプレイの異なる領域に存在する「暗電流」を検出するのに用いることができる。これらの光を阻止されたトランジスタから検出される暗電流に基づいて、ディスプレイは、ディスプレイ全体の範囲内又はディスプレイの異なる領域に存在する受光素子トランジスタを校正することができる。このように、受光トランジスタの出力を、他の光を阻止されたトランジスタに基づいて、少なくとも部分的に、例えば、感度及びその「オフ」値の再調整のために、校正することができる。
【0098】
受光素子がディスプレイにさわっているユーザに関して良好な情報を提供する傾向がある一方で、ユーザがスクリーンにさわったか、又はちょうどスクリーンの近くに指があるのかどうかについての判定を認めるのが難しい時がある。洞察の難しいこのような時間は、高いコリメート光がディスプレイに与えられる場合に起こる傾向がある。高いコリメート光の場合、指は、ディスプレイに触れている場合、及び単にディスプレイの近くにあるだけの場合に、光がディスプレイに達するのを遮断する傾向がある。非常に散乱された光源の場合、指は、単にディスプレイの近くにあるだけのとき(例えば、光が斜角で指の下に向かう場合)、十分な光がディスプレイに達するのを遮断する傾向がなく、ディスプレイに触れている場合(例えば、光が斜角で指の下に行くスペースがない場合)、光がディスプレイに達するのを遮断する傾向がある。したがって、タッチと高いコリメート光での「ホバリング」とを識別することは困難である。
【0099】
ユーザがディスプレイにさわったか、単にディスプレイの近くの「ホバリング(うろうろしているだけか)」どうかに関しての懸念を軽減するために、本発明者は、圧力(例えば振動)を感知するセンサをディスプレイ内に取り入れるべきであると確信した。振動センサの出力は、ユーザがディスプレイにさわったときにそれが判定されるように、プロセッサに結合し、ユーザがディスプレイにさわらなかったか場合を判定するか、又はユーザがさわったか、ディスプレイにさわらなかったかどうかに関して、追加的な証拠を提供する。図36を参照すると、例えば、シャーシの後方中心への相互接続など、センサに対する任意の適切な位置を用いることができる。例えば、マイクロマシン加速度計、例えばPZT又はPVDFのような圧電素子、静電容量センサ、電気抵抗センサ、誘導センサ、レーザー振動計及び発光ダイオード振動計のような、任意の適切なセンサを用いることができる。タッチが起こった時を選択する方法の一つに、所定の周波数範囲に関して衝撃エネルギーが最小限に達した時とすることである。タッチの位置を決定するために、センサを、受光素子と連動して用いることができる。
【0100】
観察されるように、ディスプレイは、ユーザの指の形状又は結合部分を押圧するか、又は、ユーザの手のような、ディスプレイに近接する何かの形状を識別するために用いることができる。ユーザの指又は手の形状は、概して多数の受光素子の上に延在し、さらに、その形状は、受光素子によって検出された阻止光のエッジによって既定される。受光素子によって検出される形状は、ユーザを識別するか又はタッチされた領域を識別するのに用いることができる。
【0101】
ディスプレイに達している光が、主に、十分に離間され、さらにディスプレイに対して垂直な方向において通常整列配置される点源からである場合には、受光素子によって検出される形状は比較的正確である傾向がある。さらに、一般に、光を妨げる光が形状のエッジのまわりで均一な方法で高く拡散される場合には、受光素子で検出される形状は比較的正確な傾向がある。しかしながら、大きく拡散された光及びディスプレイに対して垂直な方向において一般に整列配置されない点源の組合せは、検出された形状を変形させる。さらに、持ち上げた指でディスプレイを圧接する手のような、ユーザの指又は手がディスプレイに対して平坦でない場合、高い部分は、塗られてぼやけたエッジを検出する結果となる傾向がある。したがって、エッジは、正確に識別するのが困難である。
【0102】
そのような潜在的なイメージング問題の考慮の後、本発明者は、既存の受光素子がそれらの頭上のガラスの厚みとガラスの屈折率によって定義される視野角でディスプレイに埋め込まれることを観察した。この種の構成は、焦点深度のないセンサーシステムをもたらす。図37を参照すると、焦点深度を提供して光を効果的に集中させるために、一組のマイクロレンズを、センサの前に位置付けることができる。レンズは、建造物の中でセンサの位置に一致する焦点距離を有しなければならない。典型的な焦点距離は、約1mm〜1.5mmである。そのような構成により、センサは、センサに集中する、一般にディスプレイに対して垂直な光を得ることができる。
【0103】
そのようなレンズが光の適当な焦点を提供する一方で、センサに到達する光の指向性を改善するために、センサが、(ディスプレイへの法線に関して)大幅に曲げられた光を検出するのを妨げることが望ましいと確定した。改善された指向性は、検出されるもののエッジの鋭さを増加させ、ねじれを減少させる。指向性を改善するために、ディスプレイの上に、例えばルーブルフィルタ又は光ファイバ・フロントのようなある適切な材料を含めることができる。
【0104】
ルーブル(Louver)フィルタは、通常、交互の黒い薄い垂直層(不透明な)及びより厚い透明層(明白な)を有するフィルムから構成されるプライバシーフィルタとして用いられ、ヴェネチアンブラインドに類似した方法でふるまう。したがって、ルーブルフィルタは、単一方向の視角をかなり狭くする傾向がある。さらに、もう一方に対する直角の2枚の層のルーブルフィルタ層は、対向する方向の視角をかなり狭くする傾向がある。このように、非直角方向の点源を設けている光の望ましくない効果及び高い拡散光を、減らすことができる。
【0105】
光ファイバプレートは、角感度の減少において類似の効果を有する。光ファイバは、十分に小さい開口数のものを選択する。開口は、典型的に、ファイバのコアと被覆材との屈折率の違いによって定義される。
【0106】
必要に応じて、フィルタ又はフェースプレート(又は光学的に方向性の材料)を、レンズと組み合わせて用いることができる。これは、正確なイメージングを達成するためのそのような集束のための好適な光の選択と同時に、センサ上に光を効果的に集中させる。
【0107】
図6の感光性構造の保持コンデンサCst2は周期的に充電され、「スクリーンタッチ」の発生は、コンデンサの電圧がその後読み出されるときに、残っている電荷から推定される。感光性構造のフォトが光にさらされると、ドレイン及びソース間のフォト洩れ電流が、相対的に大きくなり、そして、コンデンサは、その電圧が読み出されるときに、実質的に放電される。一方、フォトTFTがスクリーンタッチによって影になる場合、フォト洩れ電流は相対的に小さく、そして、読み出されるときにコンデンサ上に残っている電荷は相対的に高い。しかしながら、周囲の光度が低いならば、電圧が、読み出されるときに触れられたスクリーンの間違った読出しを生じるのに十分となる恐れがある。さらに、特に多くの感光性構造を備えている大きな液晶ディスプレイに対して、TFTの漏れ電流における変化、及び液晶ディスプレイの個々のフォトTFT間、又は液晶ディスプレイ間の漏れ電流の違いは、有効な周辺光の強度の範囲をさらに制限するか、又は、製造プロセスの製造歩留まりに影響を与えうる。
【0108】
本発明者は、フォトTFTのフォト洩れ電流の規模に、閾電圧(Vt)の変更によって実質的に影響を与えることができると認識した。トランジスタの閾電圧は、温度及び電圧応力、ゲートに対する電圧の印加の継続時間によって異なり、フォトTFTの反応を漂わせる。さらに、閾電圧は、ドーピングレベルにおける差異により、トランジスタ間で変動する。図38を参照して、たとえばVt′502からVt″504への変化のような閾電圧における変化は、照射された両フォトTFTに対するゲート−ソース間電圧(Vgs)及びドレイン−ソース電流(Ids)に関連するカーブ(それぞれカーブ506′及び506″)及び、陰になるTFT(それぞれ、カーブ508′及び508″)をシフトする。TFT動作510の閾値下の領域において、洩れ電流(Ids)は、ゲート電圧(Vgs)に指数的に関連し、さらに、閾電圧における小さな差異は、トランジスタの洩れ電流において数桁の変化を生じさせることができる。例えば、図6の感光性構造のフォトTFTのゲート−ソース電圧、典型例として0ボルト(V.)のゲート−ソース電圧で動作するフォトTFTに対して、閾値電圧Vt′に対応する漏れ電流Ids′512は、閾値電圧Vt″を有するTFTに対応する漏れ電流Ids″512″よりも、数桁のオーダで大きい。フォトTFT洩れ電流が照度に非常に敏感である一方で、閾電圧における変化及びフォトTFT間の閾電圧の違いは、コンデンサCst2を、LCDディスプレイのフォトTFT間と複数のLCDディスプレイ間のフォトTFTに対して「スクリーンタッチ」がないことを示す電圧まで放電するのに要する時間において、変化を生じさせることができる。
【0109】
しかしながら、本発明者は、ゲート−ソース間電圧(Vgs)に対する洩れ電流(Ids)の指数的な関係が、閾電圧(Vt)と負の閾電圧(最低の洩れ電流に対応するVO 516)との間に延在する閾値下の領域510の部分において起こるということを見い出した。更に、ゲートが、負の閾電圧516よりも負の方へバイアスされた場合に、洩れ電流とゲート電圧との関係は、ゲートが、負の閾電圧と閾電圧との間の電圧にバイアスされた場合よりも変動が少ない。本発明者は、負のゲート−ソース間電圧を維持することは、好適に、負の閾値電圧に近い電圧により、感光性構造の電圧保持コンデンサCst2の放電レート上の閾値電圧における変動の影響が低減される、と推論した。その結果、製造行程の歩留まりを改善することができ、LCDタッチ・ディスプレイが信頼的に作動する周辺光の強度の範囲を延長することができた。さらに、フォトTFTのゲートバイアスをソース・バイアスから切り離すことによって、フォトTFTのゲート電圧を、異なる強度の周辺光への露光により生じる放電レートの変動を補償するように、調整することができる。
【0110】
図39を参照して、LCDのための感光性構造550の他の実施形態において、アクティブマトリクス層は、読み出し薄膜トランジスタ(読み出しTFT)554に相互接続された感光性薄膜トランジスタ(フォトTFT)552を含む。フォトTFT 552のゲートは、ゲートバイアスライン(Vbias2)556に導電的に接続されており、ソース端子は、例えば、LCDディスプレイの画素の他の行のための選択ラインとすることができる別個のソース・バイアス・ライン(Vbiasl)558に接続されている。ソース・バイアス・ライン558の電圧は、ゲートバイアスライン556の電圧より大きな正電位で、そして、好適には、ゲート−ソース間電圧(Vbias2−Vbiasl)がほぼ負の閾値電圧と等しくする電圧に維持する。液晶ディスプレイにおいて使用するTFTに対して、ゲート−ソース間電圧は、概して、負の1(−1)ボルトと負の10(−10)ボルトとの間で、通例、ほぼ負の5(−5)ボルトと負の7(−7)ボルトとの間とする。
【0111】
図7を参照すると、好適には不透明材を含むブラックマトリクスは、アクティブ層の部分を覆って、層の選択された部分への光の透過を阻止する。ブラックマトリクスは、少なくとも部分的に読み出しTFTのアモルファスシリコン部を覆うが、マトリクスがフォトTFT 552のアモルファスシリコン部を覆わないように、一つ以上の開口部又はウィンドウを含むのが好適である。いくつかの実施形態において、ブラックマトリクスは、周辺光によるフォトTFTのアモルファスシリコン部の周囲の照射を阻止するよりも大きい程度で、読み出しTFTのアモルファスシリコン部の照射を阻止する。金属ゲート又は他の光阻止材料は、TFTの受光素子上へのバックライトの発生率を阻止することができる。
【0112】
先行する読み出しサイクルの期間に、読出しライン上の電圧を、フォトTFT 552のドレインに導電的に接続する読出しTFT 554のドレインに結合する選択ライン、及びゲートバイアスライン(Vbias2)556に相互接続する保持コンデンサ(Cst2)560に電圧を印加する。読み出しTFTのドレインと結合される電圧は、典型的には読み出しライン上の電圧に実質的に等しい基準電圧に接続された非反転端子を有する演算増幅器562の逆入力にも結合される。選択ラインにかかる電圧が除去されるとき、読み出しTFTは「オフ」となり、読み出しラインにかかる電圧で充電された保持コンデンサ560を分離させる。
【0113】
ノーマル動作条件の下で、ディスプレイの正面からの周辺光は、ブラックマトリクスのウィンドウを通過して、フォトTFTのアモルファスシリコン部に衝突する。フォトTFT 552のアモルファスシリコン部への可視光の衝突により、フォト洩れ電流は、保持コンデンサ560が放電する導通路を提供するソース−ドレインの間で発達する。本質的には、コンデンサ(Cst2)全体にかかる電圧は、バイアス電圧(Vbias2)の方へ減少する。したがって、Cst2にかかる電荷は、液晶画面の正面に周辺光が入射する場合には、実質的に変化する。図5を参照すると、フォトTFTの洩れ電流が最小限のときに生成されるやや小さい信号を補償するために、光の透過を増やすように、好適には、可視スペクトルの青部分における光を増やすように、カラーフィルタ242を修正することができ、さらに、フォトTFTのサイズを、増加させることができる。バックライトの反射を減らすために、カバーにおいて用いられるガラスとは別の反射防止コーティング又は材料によって、カバーを被膜することができる。
【0114】
しかしながら、光が阻止された場合に対して、光がフォトTFTに衝突するのを阻止されない場合は、保持コンデンサ560全体の電位において、顕著な差異が存在する。人がディスプレイの正面にタッチし、フォトTFT552に対応するブラックマトリクスにおける開口部又はウィンドウを覆うと、あるいは、ディスプレイの正面からブラックマトリクスにおける開口部の上方の領域への光の通過を阻止すると、それぞれのフォトTFTのアモルファスシリコン部分は、周辺光からさえぎられるようになる。フォト洩れ電流は、フォトTFT全体に達しないか、又は、実質的に、フォトTFTが周辺光にさらされる際のフォト漏れ電流よりも少ない。その結果、コンデンサ560(Cst2)は、フォトTFTを介して十分に放電されない。したがって、周辺光がフォトTFTに衝突するのを妨げられる場合、保持コンデンサ560全体にかかる電荷は実質的に不変である。
【0115】
保持コンデンサ560全体の電圧を決定するために、電圧を選択ラインにかけ、読み出しTFT 554のゲートが、読み出しラインと保持コンデンサにかかる電圧とを相互接続させるようにする。読み出しTFTを起動させた結果、読み出しラインにかかる電圧が実質的に不変の場合、演算増幅器の出力は実質的に不変(例えばゼロ)である。このように、システムは、フォトセンシティブ構造への光が阻止されたか否かを判定することが可能であり、その場合には、システムは、十分に放電されていないフォトTFTの位置に対応するディスプレイの部分で、スクリーンがタッチされたと判定する。読み出しサイクルの期間で、選択ラインにかかる電圧により、フォトTFTのそれぞれのドレイン及び読み出しTFTのドレインの電圧が、それぞれの読出しラインに結合し、保持コンデンサ560(Cst2)全体の電位をリセットされる。
【0116】
図40を参照すると、フォトセンシティブ構造600のさらに別の実施例において、フォトTFT(Vbias2)558のゲートバイアスは、マイクロプロセッサ又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)のようなデジタルプロセッサ602によって制御される。プロセッサは、周辺光606の強さを感知する光検出器604に接続され、そして、周辺光が激しくない場合にフォトTFTの感度を増加させ、さらに、周辺光がより激しい場合に感度を下げ、フォトTFTの動作がより安定となるように調整する。図38を参照すると、閾値下の操作領域510において、ゲート−ソース間のバイアス(Vgs)を負の閾電圧から増加させると、フォトTFTのオペレーションを、ドレイン−ソース電流曲線のよりな部分の方へシフトさせ、フォトセンシティブ構造の感度を高め、「タッチされた」スクリーンの影と低い周辺光強度との間のより小さな差異の検出を可能とする。周辺光が比較的強く、周辺光及びタッチスクリーン影間の強度差が大きい場合は、ゲート−ソースのバイアスは、フォトセンシティブ構造の感度を負の閾値電圧に向かって低減させるが、TFTのオペレーションを、閾値電圧の変動に対して強くする。
【0117】
図41を参照すると、LCDディスプレイ画面上に影響を与える周辺光の強度の変動を調節するために、プロセッサは、徐々にフォトTFTのゲートバイアス(Vbias2)を増減させるプログラム命令650を含む。命令が初期化された場合、周辺光の閾値強度は初期化される650。閾値強度が単一の値を有することができる一方で、概して、閾値は、上下の強度許容値を有する「非調整」範囲における値に関連する。光センサ604が読み取られ654、光センサによって検出される光の強度は、光強度閾値の上限と比較される656。
【0118】
周辺光の強度が上限よりも大きい場合は、フォトTFTの閾値電圧における感度を低減するべくソース−ゲート電圧(Vgs)をより負にするために、フォトTFTのゲートバイアス(Vbias2)は、徐々に減少され658、そして、より負のゲート−ソースバイアスを有するフォトTFTのオペレーションに対応する、修正された光強度の非調整範囲を提供するために、周辺光強度の閾値は増加される660。インターバルの待機後662、センサが読み出され654、そして、比較が再び実行される。センサ604によって検出される周辺光の強度が上限よりも大きくない場合は、センサ信号は、閾値の非調整範囲の下限と比較される664。センサで検出される周辺光の強さが下限未満の場合、バイアス電圧(Vbias2)はフォトTFTの感度を増やすべく段々に低減され666、ゲートは、次の測定値のために低減される668。プロセッサは待機し670、その後、センサを読出し654、再び比較を実行する。センサ出力が、非調節範囲にあるとき、すなわち、センサの出力が、上限656よりも大きくなく、下限664よりも低くない場合は、本方法で待機し670、それから再び周辺光センサを読み込む。本方法は、周辺光における突然の変化によって生じるゲートバイアスにおける急激な変化による不安定性を避けるために、制御されたレートでフォトTFTのゲートバイアスを変化させる。
【0119】
フォトTFTのゲート及びソースの別々のバイアスを有するフォトセンシティブ構造により、負のゲート−ソース電圧を有するフォトTFT、並びに好適には、TFTのオペレーション及びTFT間の製造上の差異による閾値電圧の変動の影響を低減するための最小漏れ電流に対応する電圧のオペレーションが可能となる。別々のソース及びゲートバイアスを有するフォトTFTのオペレーションにより、ディスプレイに影響を与えている周辺光の強度に応答した、ゲート電圧の調整が可能となる。フォトTFTの感度は、周辺光の強度が低い場合に増加させることができ、フォトTFTの安定性は、周辺光が強い場合に増加させることができ、周辺光の強度とスクリーンタッチの影における光との間の差異の検出は容易である。
【0120】
本願における全ての引例は、参照によって本願に取り込むこととする。
【0121】
上述の明細書において用いた用語及び数式は、説明のための用語として用いたものであって、これに限定するものでなく、そのような用語及び数式の使用には、ここに示し記載した機能の均等物を排除する意図はなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって既定されそれによってのみ制限されることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶デバイスであって:
(a)正面電極層と;
(b)フォトトランジスタと、第2のトランジスタと、複数の選択電極及び複数のデータ電極を含む複数の電極とを含む背面電極層であって、データ電極と組合せた前記選択電極のうちの1つが、選択的に前記背面電極層の一部の電位を変化させる背面電極層と;
(c)前記正面電極層と前記背面電極層との間に位置する液晶材料料であって、それ自体に入射する光の偏光を変えるために、前記液晶材料料の部分を、前記背面電極層と前記正面電極層との間の電位を変化させることによって選択的に修正可能である液晶材料料と;(d)周辺光にさらされ:
(i)第1端子と;
(ii)ゲート端子と、さらに;
(iii)第3端子と
を含むフォトトランジスタと、
(e)周辺光の受光を実質的に阻止され:
(i)第1端子と;
(ii)ゲート端子と、さらに;
(iii)第3端子と
を含む第2のトランジスタと、
(f)前記フォトトランジスタの前記第1端子は、第1の電位に電気的にバイアスされた第1の導電性電極に電気的に相互接続され;
(g)前記フォトトランジスタの前記ゲート端子は、第2の電位に電気的にバイアスされた第2の導電性電極に電気的に相互接続され;
(h)前記フォトトランジスタの前記第3端子は、前記第2のトランジスタの前記第1端子に電気的に相互接続され、かつ前記第2のトランジスタの前記第1端子の電位を保持し、
(i)前記第2のトランジスタの前記ゲート端子は、前記選択電極のうちの1つに電気的に接続され、さらに;
(j)前記第2のトランジスタの前記第3端子に電気的に相互接続され、前記フォトトランジスタに入射する光の強度が、前記周辺光の強度よりも少ないかを判定する読み出しシステムと、
を備える液晶デバイス。
【請求項2】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの少なくとも1つが薄膜トランジスタである、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタが薄膜トランジスタである、
請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの半導体材料がアモルファスシリコンである、
請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1のトランジスタの前記第3端子が、前記第2の導電性電極に容量結合している、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の導電性電極が、前記第2のトランジスタの前記第3端子よりも低い電位を有する、
請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記フォトトランジスタの負の閾値電圧に近い大きさで、前記第1の電位が前記第2の電位を上回る、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記フォトトランジスタの前記負の閾値電圧が、前記フォトトランジスタに対する最小漏れ電流に対応する電圧を含む、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の電位が、前記第2の電位を少なくとも1ボルト上回る、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の電位が、前記第2の電位を、少なくとも1ボルトかつ10ボルト以下で上回る、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の電位が、前記第2の電位を、少なくとも4ボルトかつ8ボルト以下で上回る、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の電位及び前記第2の電位のうちの1つが、前記液晶デバイスに衝突する周辺光の強度に応じて可変である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記導電性電極が、前記選択電極のうちの1つである、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2の電位と前記第1の電位との差が、0ボルト未満である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
複数の波長を有する光が前記フォトトランジスタに透過するのを阻止するフィルタをさらに備え、前記フィルタが、可視光線ペクトラムの青い部分における波長を有する光の透過は阻止しない、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
液晶ディスプレイのフォトセンシティブ構造であって、前記フォトセンシティブ構造が:
(a)周辺光にさらされ、
(i)第1の電位にバイアスされる第1端子と;
(ii)第2の電位にバイアスされるゲート端子と、さらに;
(iii)第3端子と、
を含むフォトトランジスタと、
(b)周辺光の受光を実質的に阻止され:
(i)第1端子と;
(ii)ゲート端子と、さらに;
(iii)前記フォトトランジスタの前記第3端子に電気的に相互接続され、前記フォトトランジスタの前記ゲート端子に容量結合される第3端子と;
を含む第2のトランジスタと、
(c)前記液晶ディスプレイに衝突する周辺光の強度に応答する検出器と、さらに;
(d)前記検出器によって検出された前記周辺光の前記強度に関連する命令の実行に応じて、前記第2の電位を限界強度まで変化させるプロセッサと、
を含む液晶ディスプレイのフォトセンシティブ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−194558(P2012−194558A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93530(P2012−93530)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【分割の表示】特願2008−540205(P2008−540205)の分割
【原出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SELFOC
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】