説明

難燃性樹脂組成物とそれを用いた成形物品

【課題】優れた機械特性、難燃性、耐油性、耐摩耗性する難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン、不飽和カルボン酸変性エチレン酢酸ビニル共重合体、不飽和カルボン酸変性エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸変性スチレン系共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル(メタ)アクリル酸共重合体から選ばれる少なくとも1種22〜85質量%、ポリプロピレン10〜75質量%、エチレンαオレフィン共重合体0〜65質量%、エチレン酢酸ビニル共重合体および/またはエチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体0〜20質量%、スチレン系エラストマー0〜40質量%、ゴム用軟化剤0〜20質量%を含有する樹脂成分100質量部に対して、水酸化マグネシウム100〜300質量部を含有する難燃性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工時において架橋設備等の特殊な設備を必要としない、機械特性と耐摩耗性、耐油性、耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物およびそれをもちいた成形物品に関するものであり、また難燃性に優れた成形物品、例えば、シート、チューブ、配線材、光ファイバコードその他の成形物品に関するものである。
【0002】
より詳しくは、本発明は、加工後に架橋設備等の特殊な設備を必要とせずに耐熱性、耐摩耗性、耐外傷性、耐油性に優れた難燃性樹脂組成物および、耐熱性、耐摩耗性、耐外傷性、耐油性、圧接加工性に優れた電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコード等の成形物品である。特に、埋立、燃焼などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害ガスの発生がなく、かつ、使用後のリサイクル処理に適し、環境問題に対応した難燃性樹脂組成物およびその成形物品である。
【背景技術】
【0003】
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線・ケーブル・コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどには、難燃性、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性、耐摩耗性)など種々の特性が要求されている。
またシート材料には耐熱性や耐外傷性、またチューブについては耐熱性、耐外傷性、耐摩耗性、耐油性、難燃性が要求されている。
【0004】
現在、前記用途には、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を含有したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されている。
【0005】
しかし、前記ハロゲンを含有する材料を適切な処理をせずに廃棄し、埋め立てた場合には、被覆材料に含有されている可塑剤や重金属安定剤が溶出し、また燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から有害ガスが発生することがあり、近年、この問題が議論されている。
このため、環境に影響をおよぼすことが懸念されている有害な可塑剤や重金属の溶出や、ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン材料で成形を行った成形物品、配線材、ケーブル、シート、チューブの検討が行われている。
【0006】
ノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に含有することで難燃性を発現させており、例えばエチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体に、難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に含有した材料が配線材に使用されている。
【0007】
電気・電子機器の配線材に求められる難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性、耐摩耗性)などの規格は、UL、JISなどで規定されている。特に、難燃性に関しては、要求水準(その用途)などに応じてその試験方法が変わってくる。したがって実際は、少なくとも要求水準に応じた難燃性を有すればよい。例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires,Cables and Flexible Cords))に規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)(VW−1)や、JIS C 3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)に規定される水平試験や傾斜試験に合格する難燃性などがそれぞれ挙げられる。
【0008】
これまでノンハロゲン難燃材料に、VW−1や傾斜試験に合格するような高度の難燃性を付与する場合、樹脂成分100重量部に対して、難燃剤である金属水和物を150〜200重量部含有する必要があり(例えば特許文献1参照)、この結果として、被覆材料の引張特性や耐摩耗性などの機械特性、耐摩耗性が著しく低下するという問題があった。
【0009】
特に金属水和物を大量に加えると、耐摩耗性、耐外傷性の低下が顕著であり、これを防止するために、例えば架橋を施す方法やポリプロピレンをベース材料として使用する方法が提案されてきた。しかしこれらの方法では難燃性を向上させると、著しく耐摩耗性や強度、圧接特性が低下する等の問題があった。
さらに金属水和物を大量に加えると耐油性が著しく低下し、油のかかる部分では使用することができなかった。
【特許文献1】特開2001−135142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決し、難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物およびそれを用いた成形物品を提供することを目的とする。さらに本発明は、これらの特性を満足しながら、成形物品の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、特に難燃性や耐摩耗性、耐油性を併せ持った樹脂組成物、配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、シート、チューブ等の成形物品、圧接性に優れた配線材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
(1)(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)22質量%以上85質量%以下、(b)ポリプロピレン10質量%以上75質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(2)(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)25質量%以上85質量%以下、(b)ポリプロピレン10質量%以上75質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(3)(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)35質量%以上100質量%以下、(b)ポリプロピレン0質量%以上60質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム75質量部以上100質量部未満を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(4)前記(B)水酸化マグネシウムが、(B−1)無処理の水酸化マグネシウムおよび/または(B−2)シラン処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
(5)前記(A)樹脂成分中、(a)の含有量が45質量%以上80質量%以下であること特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(6)前記(A)樹脂成分中、(a)の不飽和カルボン酸成分の含有量が、1.3質量%以上6.0質量%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(7)前記(A)樹脂成分中、(a)の不飽和カルボン酸成分の含有量が、2.0質量%以上5.5質量%以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、および、
(8)(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレンを含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(9)(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレン及び不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体を含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体または、光ファイバ素線および/または光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品、および、
(11)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品
を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物である。前記効果は、水酸化マグネシウムとして、無処理の水酸化マグネシウムおよび/またはシラン処理された水酸化マグネシウムを使用したときに、特に効果がある。
【0013】
また、樹脂成分中の(a)の含有量が、45〜80質量%のときに、特に前記効果に優れている。
さらには、樹脂成分中における不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有量が1.3質量%〜6.0質量%の時に特に耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れており、2.0質量%〜5.5質量%の場合に特に顕著である。
【0014】
また、(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンを含有する場合に、機械特性、耐熱性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に効果が大きく、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン及び不飽和カルボン酸変性スチレン系共重合体を含有した場合に特に顕著である。
【0015】
また、本発明の成形物品は上記全ての特性を満足しながら、成形物品の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、特に難燃性や耐摩耗性、耐油性を併せ持った成形物品である。
【0016】
よって本発明の難燃性樹脂組成物は、配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、シート、チューブや、圧接性に優れた配線材等の成形物品に好適な難燃性樹脂組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物の各成分を詳細に説明する。
(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン
本発明における不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィンとは、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸が、ポリオレフィンにグラフトした樹脂のことである。
【0018】
本発明における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などを挙げることができる。
【0019】
本発明におけるポリオレフィンとしては、ポリエチレン(直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のαオレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体)、エチレンとαオレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0020】
ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
【0021】
不飽和カルボン酸等により変性されたポリオレフィンとしては、具体的には例えば、ポリボンドP−1002、P−1009等(商品名、クロンプトン(株)製)、アドテックスL−6100M、L−6101等(商品名、日本ポリエチレン(株)製)、アドマーXE070、NE070等(商品名、三井化学(株)製)などが挙げられる。
【0022】
(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体
本発明における不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がエチレン−酢酸ビニル共重合体にグラフトした樹脂のことである。
【0023】
不飽和カルボン酸としては、(a−1)で使用されたものと同様のものを使用することが可能である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンに、酢酸ビニルを共重合させたものである。
【0024】
エチレン−酢酸ビニル共重合体の変性は、(a−1)と同様、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体と不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸等による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
【0025】
不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、たとえば、アドマーVF600,VF500(いずれも商品名、三井化学(株)製)をあげることができる。
【0026】
(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明において、不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体にグラフトした樹脂のことである。
【0027】
不飽和カルボン酸としては、(a−1)で使用されたものと同様のものを使用することが可能である。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0028】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の変性は、(a−1)と同様、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
【0029】
不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、たとえば、モディパーA−5200、A−8200(いずれも商品名、日本油脂(株)製)をあげることができる。
【0030】
(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体
本発明において、不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体とは、スチレン系共重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がスチレン系共重合体にグラフトした樹脂のことである。
【0031】
不飽和カルボン酸としては、(a−1)で使用されたものと同様のものを使用することが可能である。
スチレン系共重合体とは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体およびその水素添加物である。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどが挙げられる。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
【0032】
スチレン系共重合体の変性は、(a−1)と同様、例えば、スチレン系共重合体と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5〜15質量%である。
【0033】
不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体としては、たとえば、クレイトン1901FG(JSR クレイトン(株)製)をあげることができる。
【0034】
(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体
本発明においては、前記(a−1)〜(a−4)の樹脂と共にまたはこれらの代わりにエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を使用しても良い。
【0035】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられ、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0036】
具体的には例えば、ニュクレル、ベイマック(いずれも商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などが挙げられる。
【0037】
本発明においては、(a)成分として、(a−1)〜(a−6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用する。
【0038】
前記(a)成分は後述する水酸化マグネシウムとナノ−ミクロレベルでイオン結合していることにより、高い機械特性を発揮する。水酸化マグネシウムと樹脂成分とが強力に結合し、水酸化マグネシウムが本来有している硬質性、強度、補強性が樹脂成分と一体化することにより、得られる難燃性樹脂組成物が高い機械特性を有することが可能になったものと考えられる。その結果、難燃性樹脂組成物に含有する水酸化マグネシウムの量を多くするほど、耐摩耗性を格段に向上させることができたものと考えられる。また樹脂成分と水酸化マグネシウムとの強固な結合により、成形物品の表面をこすっても白化現象は生じず、非常に高強度の成形物品を得ることができる。また水酸化マグネシウムを介して樹脂成分中の樹脂が非常に強固でミクロな結合を有しているため、油成分で膨潤することなく高い耐油性を有することが可能となる。
【0039】
特に(a)として(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレン、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレンおよび不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体の2成分を使用することにより、耐油性、耐摩耗性が顕著に良好となるだけでなく、水酸化マグネシウムを大量に加えても非常に流動性に優れており、優れた成形性を得ることができる。さらに電線においては特に優れた圧接性を有することが可能となる。
(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレンとしては、例えば、上記(a−1)で例示されたポリボンドP−1002などのアクリル酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体としては、例えば、上記(a−4)で例示されたクレイトン1901FGなどのマレイン酸変性スチレン系共重合体が挙げられる。
【0040】
さらに樹脂成分中の樹脂と水酸化マグネシウムが強い結合を有することにより、燃焼時において吸熱反応が助長され、また殻形成により延焼を防ぎ、高い難燃性を示すことが確認された。これらの難燃性、強度、耐摩耗性に対する効果は(a)成分として(メタ)アクリル酸で変性されたポリオレフィンおよび/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を使用した場合のほうが大きいため、好ましくは少なくとも(a)成分の一部として、(メタ)アクリル酸で変性されたポリオレフィンおよび/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の使用が好ましい。
【0041】
また(a)成分が水酸化マグネシウムとイオン性結合を有することから、ポリプロピレンが少量でも加熱変形特性を満足することが出来、これにより難燃性、端末加工性、絶縁特性、耐熱性が良好となる。これは、水酸化マグネシウムが触媒となって(a)成分の一部が架橋するためと考えられる。
【0042】
この難燃性、端末加工性、絶縁特性をより良好にするためには、(a)成分として、(メタ)アクリル酸で変性されたポリオレフィン、特に(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレンを使用する方が好ましい。
【0043】
本発明の好ましい実施態様は、後述する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有する難燃性樹脂組成物である。この実施態様では、(A)樹脂成分中、(a)成分の含有量は、22〜85質量%、好ましくは25〜85質量%であり、さらに好ましくは45〜80質量%、より好ましくは45〜75質量%である。含有量が少なすぎると、優れた耐摩耗性、耐油性を得ることができず、また電線の場合圧接性が著しく低下する場合がある。また含有量が多すぎると、著しく伸びが低下したり、電線として使用した場合には圧接加工時に割れが生じる場合がある。
【0044】
また、本発明の別の好ましい実施態様は、後述する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム75質量部以上100質量部未満含有する難燃性樹脂組成物である。この実施態様では、(A)樹脂成分中、(a)成分の含有量は、35〜100質量%である。水酸化マグネシウムが少ない場合、(a)成分を大量に加えても伸びが低下することなく、物性を維持可能で、しかも圧接性を維持することが可能となる。この実施態様では、耐摩耗性、耐油性、難燃性を維持するため、(a)成分は(A)樹脂成分中の含有量を少なくとも35質量%とする。
【0045】
(b)ポリプロピレン
本発明に用いることのできるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体が挙げられる。具体的には例えば、イデミツPP(商品名、出光石油化学(株)製)や、サンアロマー(商品名、サンアロマー(株)製)などが挙げられる。
【0046】
ここでエチレン・プロピレンランダム共重合体はエチレン成分含量が1〜5質量%程度のものをいい、エチレン・プロピレンブロック共重合体はエチレン成分含量が5〜15質量%程度のものをいう。
【0047】
含有するポリプロピレンのMFR(ASTM‐D‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜60g/10分、より好ましくは0.1〜25g/10分、さらに好ましくは0.3〜15g/10分のものを用いる。
【0048】
本発明の好ましい実施態様である、上記の(A)樹脂成分100質量部に対して(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有する難燃性樹脂組成物では、(A)樹脂成分中、(b)ポリプロピレンの含有量は10〜75質量%であり、好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは15〜65質量%である。含有量が少なすぎると、成形性、耐熱性が著しく低下し、多すぎると著しく摩耗性や圧接性が低下する恐れがある。
【0049】
また、本発明の別の好ましい実施態様である、上記の(A)樹脂成分100質量部に対して(B)水酸化マグネシウム75質量部以上100質量部未満を含有する難燃性樹脂組成物では、(A)樹脂成分中、(b)ポリプロピレンの含有量は0〜60質量%である。
【0050】
(c)エチレン−αオレフィン共重合体
本発明において用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えばエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられ、α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
【0051】
エチレン・α−オレフィン共重合体として具体的には、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EBR(エチレン・1‐ブテンゴム)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。このなかでも、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0052】
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、940kg/m以下が好ましく、さらに好ましくは930kg/m以下、特に好ましくは928kg/m以下である。この密度の下限には特に制限はないが、875kg/m以上が好ましい。
【0053】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メルトフローレート(以下、MFRと記す)(ASTM D−1238)が0.5〜50g/10分のものが好ましい。
【0054】
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒の存在下に合成されるものや通常の直鎖型低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でもメタロセン触媒の存在下に合成されるものが好ましい。このようなものとしては、日本ポリケム(株)から、「カーネル」(商品名)、三井住友ポリオレフィン(株)から「エボリュー」(商品名)が上市されている。
【0055】
本発明において、エチレン−αオレフィン共重合体の含有量は、後述する(A)樹脂成分中、0〜65質量%、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。含有量が多すぎると著しく摩耗性や圧接性、強度が低下する場合がある。
【0056】
(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンと酢酸ビニルが共重合した樹脂であり、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。具体的には例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エバフレックス(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)等が、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エバルロイ(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
本発明における(d−1)および/または(d−2)成分の含有量は、後述する(A)樹脂成分中、0〜40質量%であり、好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜15質量%である。含有量が多すぎると、摩耗性、強度が低下する恐れがある。
【0058】
(e)スチレン系共重合体
本発明のスチレン系共重合体は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体もしくはその水素添加物である。
【0059】
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。
【0060】
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエンが好ましい。
前記スチレン系共重合体として具体的には例えば、セプトン4077、セプトン4055、セプトン8105(商品名、(株)クラレ製)、ダイナロン1320P(商品名、JSR(株)製)等が挙げられる。
【0061】
本発明においてスチレン系共重合体の含有量は、後述する(A)樹脂成分中、樹脂成分中0〜40質量%であり、好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。含有量が多すぎると耐摩耗性、強度、耐油性が低下する恐れがある。
【0062】
(f)ゴム用軟化剤
本発明におけるゴム用軟化剤としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
【0063】
ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
【0064】
本発明に用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものが好ましい。
前記ゴム用軟化剤として具体的には、ダイアナプロセスオイルPW90、PW380(商品名、シェル社製)等がある。
【0065】
本発明におけるゴム用軟化剤の含有量は、後述する(A)樹脂成分中、0〜20質量%であり、好ましくは0〜10質量%である。含有量が多すぎると、耐磨耗性、強度、耐油性が低下する場合がある。
【0066】
本発明の難燃性樹脂組成物及び成形体は、(A)樹脂成分として、(a−1)〜(a−6)から選ばれる少なくとも1種と(b)成分を必須成分とし、必要により(c)、(d−1)および/または(d−2)、(e)および(f)成分をそれぞれ特定量含有し、これと特定量の(B)水酸化マグネシウムとを含有することより、特別な架橋反応を行わなくとも耐熱性と、高い難燃性を有し、しかも機械特性、耐摩耗性、耐油性に非常に優れたものとなる。
【0067】
通常樹脂に対して水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加してゆくと、耐摩耗性が著しく低下する。本発明においては金属水和物である水酸化マグネシウムを本発明の樹脂成分に対して多く添加しても耐摩耗性が低下することはなく、むしろ耐摩耗性が向上する。従って難燃性と耐摩耗性を両立させることができる。またさらに通常水酸化マグネシウムを大量に含有すると耐油性は大幅に低下するが、本発明の材料は水酸化マグネシウムを大量に含有しても耐油性の低下がなく、バランスの良い優れた物性を維持することができる。
【0068】
さらに電線として使用した場合は非常に圧接性に優れた物性を有しており、ストレインリリーフの盛り上がり等の現象も生じず、優れた圧接性を示す。
【0069】
本発明における、特定の樹脂成分に水酸化マグネシウムを大量に加えた場合、摩耗性が低下せず、むしろ向上するプロセスについてははっきり解明されていないが、水酸化マグネシウムと(a)成分が強いイオン性結合を有し、水酸化マグネシウムとポリマー全体がナノ−ミクロ状態で微細にしかも強固に結合することにより、水酸化マグネシウムが本来有している硬質性、強度、補強性が樹脂成分と一体化することにより、樹脂組成物の耐摩耗性が格段に向上したものと想定される。このような効果により、成形体表面をこすっても白化現象は生じず、非常に高強度の成形体を得ることができる。また水酸化マグネシウムを介して非常に強固でミクロな結合を有しているため、油成分で膨潤することなく物性を保持することが可能となる。
【0070】
本発明においては、(A)樹脂成分中、(a)の不飽和カルボン酸成分の含有量が1.3質量%〜6.0質量%が好ましく、さらに好ましくは2.0質量%〜5.5質量%である。不飽和カルボン酸成分とは例えば、(a−1)成分〜(a−4)成分の不飽和カルボン酸による変性に用いられた不飽和カルボン酸成分であり、(a−5)、(a−6)成分の共重合成分である、アクリル酸やメタクリル酸のことである。なお、(a−1)〜(a−4)では、「酸成分の含有量」と「酸変性量」は同義である。不飽和カルボン酸成分の含有量が特定の範囲内であることにより、特に優れた強度、耐摩耗性、耐油性、電線の圧接性を保持しつつ、優れた伸び、難燃性を有することが可能となる。
【0071】
(B)水酸化マグネシウム
本発明においては、通常市販されている水酸化マグネシウムを使用することが可能である。本発明において、水酸化マグネシウムは、無処理のままでも、表面処理を施されていてもよい。表面処理としてはたとえば、脂肪酸処理、リン酸処理、チタネート処理、シランカップリング剤による処理などがあげられる。(A)樹脂成分との結合特性の点から、本発明においては、無処理のものか、シランカップリング剤を用いたものを使用するのが好ましい。
【0072】
本発明におけるシランカップリング剤は末端にビニル基、メタクロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するものが好ましい。具体的にはたとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が好ましい。シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことが可能であるが、たとえば、表面処理をしていない水酸化マグネシウムをあらかじめドライブレンドしたり、湿式処理を行ったり、混練り時にシランカップリング剤をブレンドすることなどにより得ることが可能である。使用するシランカップリング剤の含有量は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には水酸化マグネシウムに対し好ましくは0.1〜2.5重量%、さらに好ましくは0.2〜1.8重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%である。
【0073】
また、すでにシランカップリング剤処理をおこなった水酸化マグネシウムを入手することも可能である。シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L、キスマ5N、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学(株)製)や、ファインマグMO−E(商品名、(株)TMG)などがあげられる。
【0074】
また、無処理の水酸化マグネシウムとしては、たとえばキスマ5(商品名、協和化学(株))、マグニフィンH5(商品名、アルベマール(株))などがあげられる。
本発明においては、水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。
【0075】
本発明においては、表面処理を行っていない水酸化マグネシウムや、表面処理を行った水酸化マグネシウムをそれぞれ単独で使用しても、併用してもよい。異なる表面処理を行った水酸化マグネシウムを併用することも可能である。
【0076】
本発明の好ましい実施態様の難燃性樹脂組成物において、(B)水酸化マグネシウムの含有量は、(A)樹脂成分100質量部に対し100〜300質量部であり、好ましくは120〜250質量部、さらに好ましくは120〜230質量部である。含有量が少なすぎると、難燃性に問題があり、多すぎると機械特性が著しく低下したり、耐低温性が低下する問題がある。この実施態様では、上述したように(a)成分が(A)樹脂成分中に22〜85質量%含有される。
また、本発明の別の好ましい実施態様の難燃性樹脂組成物において、(B)水酸化マグネシウムの含有量は、(A)樹脂成分100質量部に対し75〜100質量部であるこの実施態様では、上述したように(a)成分が(A)樹脂成分中に35〜100質量%含有される。
【0077】
本発明の難燃性樹枝組成物には、その他難燃性を向上させるためにメラミンシアヌレート化合物を加えることも出来る。メラミンシアヌレートは、粒径が細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えばMCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学(株)製)や、Chemie Linz Gmbhより上市されているものがある。また脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC640、MC860(いずれも商品名、日産化学(株)製)などがある。
【0078】
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば以下のような構造のメラミンシアヌレートがある。
【0079】
【化1】

【0080】
本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含有することができ、さらに難燃性を向上することができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を飛躍的に向上させることができる。
【0081】
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0082】
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B
・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などがある。
【0083】
本発明の難燃性樹脂組成物には、成形物品において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有することができる。
【0084】
酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0085】
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
【0086】
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
【0087】
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系、シリコーン系などがあげられ、なかでも、炭化水素系やシリコーン系が好ましい。
【0088】
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
【0089】
次に本発明の絶縁電線、ケーブル、光コード等の成形物品について説明する。
本発明の成形物品としては例えば、導体や光ファイバ素線、光ファイバ心線の外側やその他成形体の周りに上記の本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として有する絶縁電線やケーブルなどがある。前記絶縁電線やケーブルは、本発明の難燃性樹脂組成物を通常の押出成形機を用いて導体、光ファイバ、集合絶縁電線やその他成形体の周囲に押出被覆することにより製造することが出来る。またチューブについても同様な方式で製造することが出来る。
【0090】
本発明の成形体の大きさや形状については特に制限はなく、用途に応じて適宜定められる。例えば絶縁電線に使用される場合、導体の周りに形成される絶縁樹脂組成物の被覆層の肉厚も特に制限はないが、0.15〜2mmが好ましい。また、絶縁層が多層構造であってもよく、本発明の絶縁樹脂組成物で形成した被覆層のほかに中間層などを有するものでもよい。
【0091】
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
まず、表1〜3に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、実施例1〜19および比較例1〜7の難燃性樹脂組成物を製造した。
【0093】
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.48mmφの錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0. 16mmφ)上に、予め溶融混練した各難燃性樹脂組成物を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は0.98mm絶縁層の肉厚0.25mm)とした。
【0094】
得られた絶縁電線に対して、以下の評価試験を行った。
【0095】
○引張試験
電線より管状片を作成し引張試験を行った。標線間25mm、引張速度50mm/分で試験を行った。伸び100%以上、引張り強さ18Mpa以上が必要である
○耐油試験
試験方法はJIS C 3005に基づきJIS2号試験油を用い85℃で24時間浸せきを行った後に引張試験を行った
引張り強さ残率80%、伸び残率80%以上が合格である
○耐摩耗性試験
R=0.225のブレードを用い、JASO D 608に基づきブレード往復法により試験を行った。加重は7Nとした。回数700回以上で合格であるが、900回以上がより好ましい。また1000回以上がさらに好ましい
○電線の圧接性
ハンドプレス機を用い、モレックスMi−IIコネクタを用い圧接を行った後に、観察を行った。圧接刃の部分で1カ所でも割れがあるサンプル及びストレインリリーフ部分で電線被覆部の盛り上がりが矢尻部分を超えたものが発生したものを不合格とした
○難燃性
UL1581に基づき、水平燃焼試験を行った。60秒以上延焼したものを不合格とした。
【0096】
○耐外傷性
JASO D 608に基づく耐摩耗試験のブレード往復法の試験方法で、R=0.125mmのブレードを使用し、荷重5Nで4往復摩耗を行った。その後のサンプルを観察した
○:外傷がない又は白化が無い
×:外傷がある又は白化が著しい
【0097】
○外観
外観は、絶縁電線の外径の変動の有無や表面の状態を目視で調査し、これらが良好であったものを○、外径が変動しており不安定なもの、表面に肌荒れが発生したもの、ブリードが発生したものを×で示した。
【0098】
各材料としては、下記のものを使用した。
(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン
アクリル酸変性ポリプロピレン
商品名:ポリボンドP1002 製造元:クロンプトン(株)
アクリル酸変性量:6質量%
アクリル酸変性ポリエチレン
商品名:ポリボンドP1009 製造元:クロンプトン(株)
アクリル酸変性量:6質量%
マレイン酸変性ポリエチレン
商品名:アドマーXE070 製造元:三井化学(株)
マレイン酸変性量:1質量%
マレイン酸変性ポリエチレン
商品名:アドテックスL−6100M 製造元:日本ポリオレフィン(株)
マレイン酸変性量:1質量%
(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体
マレイン酸変性スチレン系共重合体
商品名:クレイトン1901FG 製造元:JSR クレイトン(株)
マレイン酸変性量:1.7質量%
(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
エチレンメタクリル酸共重合体
商品名:ニュクレルN1207C 製造元:三井デュポンポリケミカル(株)
メタクリル酸含有量:12質量%
【0099】
(b)ポリエチレン
ブロックポリプロピレン(B−PP)
商品名:150GK 製造元:出光石油化学(株)
ランダムポリプロピレン(R−PP)
商品名:BC6DR 製造元:日本ポリプロピレン(株)
(c)エチレン−αオレフィン共重合体
メタロセン触媒ポリエチレン(密度:898kg/m
商品名:カーネルKF−360 製造元:日本ポリケム(株)
(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体
商品名:エバフレックス V−527−4 製造元:三井デュポンポリケミカル(株)
酢酸ビニル含有量:17質量%
(e)スチレン系共重合体
SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)
商品名:セプトン4077 製造元:(株)クラレ
商品名:セプトン2104 製造元:(株)クラレ
HSBR(スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物)
商品名:ダイナロン1320P 製造元:JSR(株)
(f)ゴム用軟化剤
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90 製造元:シェル社
(B)水酸化マグネシウム
シラン処理水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5L 製造元:協和科学(株)
無処理の水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5 製造元:協和科学(株)
脂肪酸処理水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5AL 製造元:協和科学(株)
滑剤
ポリエチレンワックス
商品名:ACポリエチレンNO.6 製造元:ヘキスト社
【0100】
各材料の含有量、(a)成分の質量%および(a)成分中の酸の量(質量%)、試験結果を表1〜3に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
表1〜3から明らかなように、実施例1〜19は、いずれの評価項目においても良好な結果が得られている。
たいして、(a)成分を含有していないか(比較例1)、含有量が本発明の範囲を外れている(比較例2、6)場合は、耐油性や圧接加工性、伸びに問題がある。またa)成分が入っていない場合、耐外傷性も著しく低い。また、(b)成分を含有していないか、本発明の範囲より多すぎる場合(比較例4、7)は、耐油性、圧接加工性を満足しない。水酸化マグネシウムの含有量が本発明の範囲を下回った場合(比較例3)は、難燃性が不合格となり、逆に多すぎる場合(比較例5)は、機械特性、耐油性、圧接加工性が劣る結果となる。
【0105】
以上より、本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性、耐熱性、機械特性、耐油性、耐摩耗性、圧接性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物である。前記効果は、水酸化マグネシウムとして、無処理の水酸化マグネシウムおよび/またはシラン処理された水酸化マグネシウムを使用したときに、特に効果がある。
【0106】
また、樹脂成分中の(a)の含有量が、45〜80質量%のときに、特に効果があり、さらには、樹脂成分中における不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有量が1.3質量%〜6.0質量%の時に効果が大きく、2.0質量%〜5.5質量%の場合に特に顕著である。
【0107】
また、(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンを含有する場合に、効果が大きく、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン及び不飽和カルボン酸変性スチレン系共重合体を含有した場合に特に顕著である。
【0108】
また、本発明の成形物品は上記全ての特性を満足しながら、成形物品の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、特に難燃性や耐摩耗性、耐油性を併せ持った、成形物品である。
【0109】
よって本発明の難燃性樹脂組成物は、配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、シート、チューブや、圧接性に優れた配線材等の成形物品に好適な難燃性樹脂組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)22質量%以上85質量%以下、(b)ポリプロピレン10質量%以上75質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)25質量%以上85質量%以下、(b)ポリプロピレン10質量%以上75質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム100質量部以上300質量部以下を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
(a−1)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、(a−2)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、(a−3)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(a−4)不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、(a−5)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(a−6)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(a)35質量%以上100質量%以下、(b)ポリプロピレン0質量%以上60質量%以下、(c)エチレン−αオレフィン共重合体0質量%以上65質量%以下、(d−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体および/または(d−2)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体0質量%以上20質量%以下、(e)スチレン系エラストマー0質量%以上40質量%以下、並びに(f)ゴム用軟化剤0質量%以上20質量%以下を含有する(A)樹脂成分100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム75質量部以上100質量部未満を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)水酸化マグネシウムが、(B−1)無処理の水酸化マグネシウムおよび/または(B−2)シラン処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)樹脂成分中、(a)の含有量が45質量%以上80質量%以下であること特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)樹脂成分中、(a)の不飽和カルボン酸成分の含有量が、1.3質量%以上6.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)樹脂成分中、(a)の不飽和カルボン酸成分の含有量が、2.0質量%以上5.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項8】
(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレンを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項9】
(a)として、少なくとも(メタ)アクリル酸で変性されたポリプロピレン及び不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体または、光ファイバ素線および/または光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品。

【公開番号】特開2006−199923(P2006−199923A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265265(P2005−265265)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】