説明

電力分配装置

【課題】複数の負荷を電力供給源に接続する電力分配装置と、電力供給源から複数の負荷に電力を分配する方法とを提供すること。
【解決手段】電力分配装置であって、電力供給源に接続されている入力と、2つ以上の出力であって、各々が複数の負荷のうちの1つに接続されている、2つ以上の出力と、入力と出力のうちの1つとの間に接続された少なくとも1つの電力制限ユニットとを含み、電力制限ユニットは、入力と出力のうちの特定の1つとの間に接続された電力センサと、電力センサと直列に接続された電力回路と、電力センサに結合され、出力のうちの特定の1つに供給される電力の測定された表現を受信する比較ユニットと、比較ユニットに接続され、過負荷信号を受信する制御ユニットとを含む、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の負荷を電力供給源に接続する電力分配装置と、電力供給源から複数の負荷に電力を分配する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
電力供給源は、本質的に、それらが送達することが可能な有限量の電力に制限される。複数の負荷を電力供給源に接続することは、負荷からの電力要求が供給源によって供給される最大電力を超過する、いわゆる過負荷(overload)状況を引き起こし得る。そのような電力供給源のうちの1つは、例えば、乗り物または航空機の搭載電力システムであり得る。この場合、供給源は、1つ以上の発電機およびバッテリによって構築される。そのような乗り物における負荷は、モータ、アクチュエータ、暖房、照明および電子機器であり得る。状況に応じて、異なる組み合わせの負荷が、電力供給源に適用され得る。最大負荷に対して電力供給源を取ることは、不経済であったり、環境にやさしくなかったりし得る。もしそうでなかったとしても、上述の過負荷状況が起こり得る。
【0003】
特に、極端な温度における負荷または頻繁に変化する電力要求を伴う負荷を考慮するときに、供給源は過負荷になり得る。航空機および自動車の用途の場合、安全な設備が快適な設備よりもより重要である。快適な設備、例えば窓暖房、座席暖房、空調または娯楽設備は、電力供給源からの多くの電力を必要とし、このことは、供給源をその限界を超えて動作させることにつながる。したがって、負荷に優先順位をつけることにより、重要な設備の動作を確実化なものとする必要がある。上述のコンポーネントの一部は、出力電力を所望のレベルに調整し、それにより、この供給源が既に飽和している場合でさえも、供給源からの電力要求を一定に維持する。これらの負荷の一部は、供給電力を低減させる場合に入力電力を増加させ、それにより、出力電力ひいては入力電力が一定に維持されるようにし得る。臨界的な状況においては、その他のより重要であり得るコンポーネント(例えば、安全設備)が、供給源が既にその限界にあるときに、この一定の電力要求を受け得る。この場合、安全上の理由から、快適な設備の電力を低減させることが大いに望まれる。
【0004】
電圧供給源は、例えば電力シンク(給電等)をオンにするときに、出力電流を調整し、それを最大電圧に制限することが可能であることが公知である。その他の供給源は、電流限界に適合するようにチャネルを制御することによって、互いに接続される。しかしながら、適合は、制御チャネルの伝送速度によって制限される。公知の装置は、通常状況または開始状況の両方において、入力電流過渡に対して十分に速く反応しない。対照的に、安全設備は、通常、ソフトウェアクラッシュのリスクを一切取らないように、そして、警告に対する最大の反応速度を可能とするように、ハードウェアに内蔵される。したがって、広い周波数範囲または短い時間にわたる入力電力制限装置に対する需要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
電力分配装置であって、電力供給源に接続されている入力と、2つ以上の出力であって、各々が複数の負荷のうちの1つに接続されている、2つ以上の出力と、入力と出力のうちの1つとの間に接続された少なくとも1つの電力制限ユニットとを含み、電力制限ユニットは、入力と出力のうちの特定の1つとの間に接続された電力センサであって、供給源から出力のうちの特定の1つに接続された負荷によって取られる電力の表現を測定するように適合されている電力センサと、電力センサと直列に接続された電力回路であって、調整された出力電圧、または、調整された出力電流、または、調整された出力電圧と調整された出力電流との両方をそれぞれの負荷に供給し、電力回路は、制御信号を受信する最終的な制御要素を含む、電力回路と、電力センサに接続され、出力のうちの特定の1つに供給される電力の測定された表現を受信する比較ユニットであって、表現を閾値と比較し、表現が閾値を超えている場合に過負荷信号を提供する比較ユニットと、比較ユニットに接続され、過負荷信号を受信する制御ユニットであって、電力回路に接続され、過負荷信号が受信された場合に制御信号を所与の値に制限する制御ユニットとを含む、装置。
【0006】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
電力分配装置であって、
電力供給源に接続されている入力と、
2つ以上の出力であって、各々が複数の負荷のうちの1つに接続されている、2つ以上の出力と、
該入力と該出力のうちの1つとの間に接続された少なくとも1つの電力制限ユニットと
を含み、
該電力制限ユニットは、
該入力と該出力のうちの該特定の1つとの間に接続された電力センサであって、該供給源によって該出力のうちの該特定の1つに接続されたそれぞれの負荷に供給される電力の表現を測定するように適合されている電力センサと、
該電力センサと直列に接続された電力回路であって、調整された出力電圧、または、調整された出力電流、または、該調整された出力電圧と該調整された出力電流との両方を該それぞれの負荷に供給し、該電力回路は、制御信号を受信する最終的な制御要素を含む、電力回路と、
該電力センサに結合され、該出力のうちの該特定の1つに供給される該電力の測定された表現を受信する比較ユニットであって、該表現を閾値と比較し、該表現が該閾値を超えている場合に過負荷信号を提供する比較ユニットと、
該比較ユニットに接続され、該過負荷信号を受信する制御ユニットであって、該電力回路に接続され、該過負荷信号が受信された場合に該制御信号を所与の値に制限する制御ユニットと
を含む、装置。
(項目2)
上記電力センサは、電流センサを含み、上記出力のうちの上記特定の1つに接続された上記負荷に供給される上記電力の表現は、測定された電流に比例する電圧である、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目3)
上記比較ユニットは、測定された電流を表現する電圧を閾値電圧と比較する、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目4)
上記電力回路に提供される上記制御信号は、基準電圧である、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目5)
上記表現が上記閾値を超えている場合に、上記基準電圧は、非過負荷動作モードにおけるものよりも小さい、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目6)
上記電力回路は、DC−DC変換器を含む、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目7)
上記電力回路は、スイッチモード電力増幅器を含む、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目8)
上記電力回路の出力電力は、過負荷信号が上記閾値によって表現される電力を下回る値になった場合に、上記制御信号によって設定される、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目9)
少なくとも2つの電力制限ユニットが、上記入力と上記出力のうちのそれぞれの1つとの間に接続されており、各電力制限ユニットは、上記それぞれの負荷に対応する特定の閾値と、該負荷に割り当てられた優先順位とを有する、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目10)
上記電力制限ユニットに上記閾値を提供する電力管理ユニットをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目11)
上記電力管理ユニットは、上記電力供給源によって供給された総電力を評価し、上記優先順位と利用可能な電力とにしたがって、上記閾値を設定する、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目12)
上記閾値は、一定である、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目13)
上記所与の値は、上記最終的な制御要素がスイッチオフにされるような値である、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目14)
上記電力センサは、上記電力回路の上流に接続されている、上記項目のいずれか一項に記載の装置。
(項目15)
電力供給源によって供給される電力を2つ以上の負荷に分配する方法であって、
該供給源から該負荷のうちの特定の1つによって取られる電力の表現を測定することと、
制御信号に応じて、出力電力を調整することと、
該負荷のうちの該特定の1つによって該供給源から取られた電力の測定された表現を閾値と比較し、該表現が該閾値を超えている場合に、過負荷信号を提供することと、
該過負荷信号が発生した場合に、該制御信号が該電力回路の出力電力を低減させるように、該過負荷信号の発生に応じて、制御信号を提供することと
を含む、方法。
【0007】
(摘要)
電力供給源によって供給される電力を2つ以上の負荷に分配する装置および方法が開示され、供給源から特定の負荷の1つによって取られる電力の表現が測定される。制御信号が調整されることに応じて、出力電力を調整する。負荷のうちの特定の1つによって供給源から取られた電力の測定された表現が閾値と比較され、表現が閾値を超えている場合に過負荷信号が提供される。過負荷信号の発生に応じて制御信号が提供され、それにより、制御信号は、過負荷信号が発生した場合に、電力回路の出力電力を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、新規な電力分配装置の実施例のブロック図である。
【図2】図2は、図1の電力分配装置に用いるための例示的な電力制限ユニットのブロック図である。
【図3】図3は、図2の電力制限ユニットに用いるための線形電圧レギュレータのブロック図である。
【図4】図4は、図2の電力制限ユニットに用いるための電力回路としてのDC−DC変換器のブロック図である。
【図5】図5は、図2の電力制限ユニットに用いるための電力回路としてのスイッチモードオーディオ増幅器のブロック図である。
【図6】図6は、図1に示される電力分配装置のシミュレーションの結果を示す図である。
【図7】図7は、図1に示される電力分配装置の測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以下の図面および記載を参照することにより良く理解され得る。図中のコンポーネントは、必ずしも一定の比率で拡大縮小されておらず、その代わりに、本発明の原理を示す際に強調が施される。さらに、図中では、同じ参照番号は対応するパーツを指定する。
【0010】
(詳細な説明)
図1を参照すると、複数の(すなわち、少なくとも2つの)負荷2、3、4、5を電力供給源6に結合する新規の電力分配装置1は、電流センサ7と、3つの電力制限ユニット8、9、10と、総電力管理ユニット11と、基準電力供給源12とを備えている。複数の負荷は、任意の種類の負荷(例えば、オーム性負荷、誘導性負荷および容量性負荷ならびにそれらの組み合わせ)であり得る。このような負荷は、例えば、モータ、アクチュエータ、暖房、照明、電子機器などによって構築され得る。電力供給源6は、パワーネットであり得、そして1つ以上の発電機および/または1つ以上のバッテリーを備え、これらは簡略化のために図示されない。例えば、それは電流供給源または電圧供給源であり得る。電力制限ユニット8、9、10は、この負荷に供給される電圧および/または電流を減少させることによって、それぞれの負荷によって消費される電力を特定の量までしかるべく制限するように適合される。
【0011】
電力制限ユニット8、9、10の各々は、電力センサ7を通って供給源6に結合される電力入力13と、それぞれの負荷に接続される電力出力14と、電力の量が制限される値を表す閾値を受容するための閾値入力15とを備えている。電力制限ユニット8および9の閾値入力15は、負荷2、3、4および5によって必要とされる総電力に応じてそれぞれの閾値を提供する総電力管理ユニット11に接続される。電力制限ユニット10は、基準電圧供給源12から一定の閾値を受容する。本例において、電圧は、電力制限ユニット8、9、10の閾値入力15に供給され、それぞれの閾値を規定するが、任意の他の種類の信号が同様に適用可能である。
【0012】
本例において、最も高い優先順位は負荷2に割り当てられ、その結果、この電力量が供給源6によって提供され得る限り、負荷2が必要とする全ての電力が負荷2に供給される。2番目に高い優先順位は負荷5に割り当てられ、電力量が閾値によって設定された一定の制限未満であることと、供給源6がこの電力量を送達することが可能であることとを仮定すると、負荷5が必要とする全ての電力が負荷5に供給される。負荷3および4は、最も低い優先順位を有し、そしてそれぞれに負荷2および5によって必要とされず、かつ総電力管理ユニット11によって評価される特定の共有の電力量が供給され、その結果、負荷2〜5によって消費される実際の電力は電力センサ(本例においては電流センサ7であるが特定の条件下では電圧センサでもあり得る)によって消費され、供給源6によって提供され得る最大の電力と比較される。実際の電力と最大の電力との差は、負荷3および4による、一定の比または動的に制御される比で共有される。
【0013】
図2は、図1の電力分配装置1において使用する例示的な電力制限ユニット10を示す。電力制限ユニット10は、電力センサ、本例においては、入力端子13に接続され、電力出力端子14に接続されたそれぞれの負荷に供給される電流の量を測定し、その表現を提供する電流センサ7、を備え、例えば、上記表現は、負荷に流入する電流に比例する電圧である。この電圧は、比較ユニット、すなわち比較器17に供給され、比較器17は、負荷電流を表す電圧を、従って、負荷によって消費される電力を、閾値入力15に印加され、電力閾値を形成する基準電圧と比較する。
【0014】
制御ユニット、本例においては、制御可能な電圧供給源18が比較器17に接続され、その結果、電圧供給源18によって提供される基準電圧は、電流センサ16によって測定される電流に依存する。電圧供給源18によって提供される基準電圧は、制御信号として電力回路19に供給され、該電力回路19は、電力入力端子20と、電力出力端子21と、制御信号入力22とを備えている。電力回路19は、例えば、AC−DC変換器、力率制御器、パルス幅変調器、または以下でそれぞれ図4、5および6を参照して下記されるような線形電圧レギュレータ、DC−DC変換器またはスイッチモード電力増幅器であり得る。電力回路19は、電力入力端子13と電力出力端子14との間で、電流センサ16と直列に接続される。
【0015】
従って、電力制限回路8、9または10の各々と、負荷3、4または5のうちの1つとによって消費される電力の表現は、電流センサ16によって測定される。電力回路19は、電圧供給源18によって提供される制御信号に応じて、電力回路の出力電力を調整する。これらの制御信号は、過負荷信号が発生した場合に、電力回路19の出力電力を減少させるために、比較器17によって提供された過負荷信号に依存する。供給源6によって特定の負荷に供給された電力の測定された表現は閾値と比較され、過負荷信号は表現が閾値を超える場合に提供される。
【0016】
従って、電力回路19は、電力センサとして作用する電流センサ16に直列に接続され、調整された出力電圧または調整された出力電流、あるいはそれら両方をそれぞれの負荷に供給する。電力回路19は、例えば、以下の図3、4および5に示される例示的な電力回路内のトランジスタ26、36、37、39のような最終的な制御要素を備えており、該最終的な制御要素は制御信号を受ける。比較ユニットを形成する比較器17は、電流センサ16に結合され、複数の出力のうちの特定の1つに供給された電力の測定された表現として電圧を受け、表現が閾値を超える場合に過負荷信号を提供する閾値電圧とこの表現とを比較する。制御ユニットを形成する制御された電圧供給源18は、制御ユニットが比較ユニットから過負荷信号を受けるときに、制御信号を所与の値(例えば、特定の電圧)に制限する。制御可能な電圧供給源18によって提供される電圧は、最終的な制御要素がスイッチオフされ得るか、または過負荷信号が発生するときに最大出力電圧または電流を提供するためにクランプされ得、信号38によって調整され得る。
【0017】
図3は、図2の電力制限ユニット19における使用のための線形電圧レギュレータのブロック図である。線形電圧レギュレータにおいて、電力入力端子20は、エミッタに接続され、そのコレクタは電力出力端子14に接続される。電力出力端子14における電圧は、抵抗器44、45と、基準電圧46に付加的に接続された差動増幅器42と、増幅器42の出力分岐の抵抗器41と、そのエミッタ収集経路がトランジスタ39の基部と接地との間に接続されているnpnバイポーラトランジスタ40とによって構築された電圧ディバイダを通って戻るように供給される。トランジスタの基部は、ダイオード43および端子22を通って電圧供給源18にさらに接続される。過負荷信号が発生したり、しなかったりする場合に、電圧供給源18によって提供される電圧は、過負荷が検出されないときに増幅器42によって提供される電圧に影響を与えないように存在する。しかしながら、過負荷の状況において、トランジスタ40の基部における電圧は、トランジスタ39がスイッチオフされるか、またはクランプされる値まで制限されるように存在する。
【0018】
図4は、図2の電力制限ユニットにおいて使用するためのスイッチモード電力回路19を構築する例示的なDC−DC変換器のブロック図である。このような変換器は、ブースト、バックまたはインバータ(フライバック)、プッシュプル、ハーフブリッジ、フルブリッジ、セピックタイプあるいはそれらの組み合わせであり得る。図4の電力回路19において使用されるもののような共通の制御方法は、パルス幅変調(PWM)を使用する。この方法において、出力電圧VOUTのサンプルがとられ、サブトラクタ23において、基準端子22における基準電圧VREFから差し引かれ、エラー信号VERRORを生成する。このエラー信号VERRORは、ランプオシレータ24(例えば、鋸歯オシレータ)から受信されたランプ信号VRAMPと比較される。インダクタンス27をスイッチングする電力スイッチ26を制御するデジタル信号VSWITCHを出力する比較器25において比較が行われる。スイッチ26とインダクタンス27との接合部における交流電圧は、ダイオード28およびキャパシタ29によって整流され、出力電圧VOUTを生成する。出力電圧VOUTが変化するとき、エラー信号VERRORもまた変化し、その結果、エラー信号VERRORによって構築された比較器25の閾値を変化させる。結果として、出力パルス幅(PWM)が変化する。次いで、このデューティサイクルの変化は、出力電圧を動かして、エラー信号をゼロまで減らし、結果として制御ループを完了させる。デューティサイクルの変化は、入力電圧に対する安定状態の出力を制御する。これは、全てのインダクタベースのスイッチング回路を支配する重要な概念である。
【0019】
図5は、図2の電力制限ユニット内での使用のための電力回路を構築するスイッチモードオーディオ増幅器のブロック図である。スイッチモードオーディオ増幅器は、入力前置増幅器30と、ランプオシレータ31(例えば、鋸歯オシレータ)と、比較器32とHブリッジとを備え、このHブリッジは、インバータ33と、2つのMOSFETドライバ34および35と、各々が2つのMOSFET電力トランジスタを有する2つの出力ステージ36および37とを備えている。比較器32は、前置増幅器30から受信された信号をサンプルし、オシレータ周波数がサンプリング期間の持続時間を決定する。従って、オシレータ周波数は、クラスD増幅器の全性能において重要な要因である。前置増幅器30は、端子20において入力信号を供給され、端子22において基準信号を供給される。比較器32は、Hブリッジを駆動するパルス幅変調された方形波を出力する。次いで、Hブリッジは、方形波を差動出力し、負荷として、例えば、LCフィルタおよびラウドスピーカ(共に図示せず)に低インピーダンスの供給源を提供する。
【0020】
上記の例における電流センサ7、16は、任意の公知のタイプであり得、例えば、ホール要素を含む電流センサ、誘導性センサ、抵抗要素(シャント)などであり得る。このような電流センサ7、16の出力は、通常、電流センサの下流に接続された回路によっては使いやすい電圧である。測定された電流は、供給源6の電圧が本質的に一定であることを仮定すると、それぞれの負荷によって消費される電力を表す。電流センサによって出力される電圧が測定される電流に比例するので、電圧は、消費される電力の表現である。
【0021】
測定される電力消費は、続く比較器17において、端子15における閾値電圧によって表される調整可能な最大電力閾値と比較される。最大電力閾値は、適切なアルゴリズムを用いて、総電力管理ユニット11の制御下で調整され得る。過負荷条件が比較器17によって検出されるとき、所与の適切な基準電圧が、制御ユニット18によって電力回路に印加される。この基準電圧22は、通常モード(過負荷でない状況)における基準電圧以下である。一部の場合において、過負荷基準電圧は、電力回路19がスイッチオフされるようにゼロであり得る。基準電圧はまた、特定の態様で閾値電圧に連結され得、従って、総電力管理ユニット11によって制御され得る。このことは、制限機能性のゆっくりとしたソフトウェア制御および素早いハードウェア制御の両方を確実にし、信号を、電力回路19の制御の動力学に移行する。
【0022】
上記された例において、電力センサは電力回路の上流に、すなわち、入力端子と電力回路との間に接続され、その結果、電力回路の調整ループは、電力センサと、非常に素早い応答時間をもたらす比較ユニットとを含まない。
【0023】
新規の装置および方法の主たる利点は、所与の最大出力エネルギーレベルに対する非常に素早い応答時間と、安全要件をより良く満足させるソフトウェア独立のエネルギー制御と、非常に高い頻度のエネルギー要求に対する入力制限と、過負荷条件からの素早い回復時間とである。
【0024】
非常に素早い制限機能は、特定の閾値より大きい過度の入力電流によって起動される。制限機能の最大速度は、閾値に対する比較の遅延に依存する。
【0025】
図6から理解され得るように、設定点を超えることはないが、電圧供給源は非常に過負荷状態にされる。このシミュレーションの結果は、図6に示され、図6では、曲線(a)が実際の入力電流の表現であり、曲線(b)が調整された最大電流基準を表し、曲線(c)が消費される電力を制御するための電力回路19への基準経路を示す。
【0026】
試作品での測定がシミュレーションを検証し、図7に示される。図7において、曲線(d)は、過負荷の電圧供給源の電圧を描き、曲線(f)は、ピーク負荷要求における電流を描き、曲線(e)は、それに対する制御ユニットの応答を描く。
【0027】
再び図1を参照すると、負荷3、4および5のうちの少なくとも1つが、ラウドスピーカであり得る。それぞれの電力回路8、9および10は、図2に示されるタイプであり得、図3または4に示されるような電力回路19と、その下流に接続される図5に示されるようなスイッチモードオーディオ増幅器とを有する。カスケードされた電圧レギュレータ(図3または4に示される)と増幅器(図5に示される)とを含む、電力回路のそれぞれの基準電圧22は、比較器17によって同時に制御され、その結果、例えば、電力回路および負荷が共に、同時にスイッチオフされ、結果として、異なる負荷供給源の状況を発生させる問題が回避される。
【0028】
本発明の様々な例示的な実施形態が開示されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、本発明の利点の一部を達成する様々な変更および修正が行われ得ることが当業者に明らかである。同一の機能を行う他の構成要素が適切に置き替えられ得ることが当業者に明白である。本発明の概念に対するこのような修正は、添付の特許請求の範囲により含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0029】
8、9、10 電力制限ユニット
13 電力入力
14 電力出力
15 閾値入力
16 電流センサ
17 比較器
18 電圧供給源
20 電力入力端子
21 電力出力端子
22 制御信号入力
38 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−195011(P2012−195011A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157523(P2012−157523)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2009−176958(P2009−176958)の分割
【原出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】