説明

電力変換器の制御装置

【課題】容易に実現可能な方法により、電力変換器の出力電圧を飽和させることなく出力電圧誤差補償を実現可能とした信頼性の高い制御装置を提供する。
【解決手段】電力変換器の各相の出力電圧指令値と実際値との間の誤差を補償する補償電圧を演算する手段と、演算された補償電圧を各相の出力電圧指令値にそれぞれ加算して最終的な出力電圧指令値を生成する手段と、を備えた制御装置に関する。各相の出力電圧指令値の中でその絶対値が最大となる相を検出する最大値検出手段4を備え、補償電圧調整手段5は、最大値検出手段4により検出された相の出力電圧指令値に加算される補償電圧をゼロとし、他相の出力電圧指令値に加算される補償電圧を所定値に調整して各相の出力電圧指令値との加算に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチング素子のオンオフにより直流電圧または交流電圧から任意の振幅、周波数の交流電圧を出力する電力変換器において、特に電源短絡や負荷端開放を防止するための転流動作により各相の出力電圧指令値と出力電圧実際値との間に発生する誤差を補償する機能を有する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PWMインバータは、直流電圧を任意の振幅、周波数の交流電圧に変換する電力変換器であり、電動機駆動等の幅広い用途に適用されている。インバータがスイッチングを行うときには、電源短絡を回避するためにデッドタイムを設けているが、その影響により、出力電圧指令値と出力電圧実際値との間に誤差が生じる。その結果、出力電圧に歪みが生じ、特に回転機を駆動する場合は回転ムラやトルクリプルの原因となる。
【0003】
この問題を解決するための方法が、特許文献1に開示されている。図4は、特許文献1に開示されたPWMパルス作成方法を示すブロック図である。
図4において、出力電圧指令値演算手段10により、振幅指令、周波数指令に基づいて出力電圧指令値v,v,vを演算し、出力電圧誤差補償手段11にて演算された補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpを加算手段13,13,13によりそれぞれ加算して最終的な出力電圧指令値v**,v**,v**を演算する。
ここで、出力電圧誤差補償手段11では、キャリア1周期中に発生する出力電圧誤差を数式1によって演算しており、演算した出力電圧誤差を補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpとして出力電圧指令値v,v,vに予め加算することにより、出力電圧誤差を補償している。
【0004】
【数1】

【0005】
但し、数式1において、Edcはインバータの直流電圧、Tはデッドタイム、fはキャリア周波数である。また、sign(x)は符号関数であり、x≧0でsign(x)=1、x<0でsign(x)=−1となる。
数式1より、各相の補償電圧は、それぞれの相の出力電流の極性から一意に演算することができる。例えば、出力電流が正の場合は、転流期間の影響により実際の出力電圧は指令値に対して減少するので、その減少分を補償電圧として予め元の出力電圧指令値に加算する操作を行うことになる。
【0006】
出力電圧指令値v,v,vに補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpをそれぞれ加算して得られた出力電圧指令値v**,v**,v**はPWMパルス発生手段12へ入力され、キャリア比較やデッドタイムの付加等の操作を行い、各スイッチング素子に与えるPWMパルスが出力される。PWMパルス発生手段12へ入力される電圧指令値v**,v**,v**には、デッドタイムにより発生する誤差電圧分が予め加算されているため、実際に出力される電圧は元の指令値v,v,v通りとなり、結果的に誤差電圧を補償することができる。
【0007】
また、マトリクスコンバータに代表される、多相の交流電圧を任意の振幅・周波数の交流電圧に直接変換する交流交流直接変換装置についても、スイッチング時に電源短絡・負荷端開放を回避するための転流時間により出力電圧誤差が発生するが、数式2に示すように、数式1におけるEdcを電源電圧の最大相電圧値と最小相電圧値との差(vmax−vmin)に変更して得た補償電圧を元の出力電圧指令値v,v,vに加算すれば、全く同様の原理により出力電圧誤差を補償することができる。
【0008】
【数2】

【0009】
但し、数式2においてvmax,vminはそれぞれ電源電圧の最大相電圧値と最小相電圧値、Tcomは転流時間である。この種の技術については、例えば非特許文献1に開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開平9−84362号公報(段落[0006]、図14等)
【非特許文献1】佐藤以久也,伊東淳一,大口英樹,小高章弘,小太刀博和,江口直也,「マトリックスコンバータの電動機駆動性能改善に関する研究」,電気学会半導体電力変換研究会論文,SPC−04−75,2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
マトリクスコンバータやインバータ等の電力変換器では、入力電圧の振幅によって決まる、出力可能な電圧の限界値が存在する。出力可能な電圧以上の電圧指令値を与えると、出力電圧の飽和により、指令値通りの波形が出力できず、誤差補償が不充分になる。
【0012】
図5は、図4の出力電圧指令値演算手段10により演算した電圧指令値v,v,vを示す波形図である。特許文献1記載の従来技術では、これらの正弦波状の出力電圧指令値v,v,vに補償電圧をそれぞれ加算して最終的な出力電圧指令値v**,v**,v**を作成しているが、電力変換器に対して出力電圧の限界値に近い大きな電圧を出力するような指令値が与えられる場合、特許文献1による出力電圧誤差補償を行うと、出力電圧の飽和により、誤差補償が不充分になる。
【0013】
例えば、図5の時刻Aのように、U相の出力電圧指令値vが電力変換器の出力可能な正の限界値Dに近付いている時刻での動作を例にとって考える。なお、図5において、−Dは負の限界値、B,−Bは電圧指令値v,v,vの正負の最大値を示す。
時刻Aにおいて、出力電流の極性がi>0、i<0、i<0であると仮定すると、補償電圧を加算した後の出力電圧指令値は数式3のようになる。
【0014】
【数3】

【0015】
但し、前述した数式1から、C=Edc・T・fである。数式3のU相電圧成分に着目すると、vがもともと正の限界値Dに近くなっている上に、更に補償量C(>0)を加算することになる。そのため、v,Cの値によっては、電圧誤差補償を行ったことにより最終的な出力電圧指令値v**が限界値Dよりも大きくなる可能性がある。このような場合、出力電圧が飽和するため出力電圧誤差補償の効果が得られないことになる。
一方、|v|>|v|,|v|>|v|であることを考えると、v,vに対して補償量Cの加算または減算を行っても出力電圧指令値v**,v**が飽和する可能性は少なく、V相、W相については出力電圧誤差補償を正常に行うことができる。しかし、U相の出力電圧だけは飽和するため、出力電圧誤差補償が不充分になる。
【0016】
前述した特許文献1には、出力が小さな領域において出力電圧誤差補償を行うための技術が開示されているが、前述した時刻Aのように元の出力電圧指令値が大きな領域において出力電圧の飽和を回避した上で誤差補償を行う方法を開示した先行技術文献は見当たらない。
このため、本発明の解決課題は、容易に実現可能な方法により、電力変換器の出力電圧を飽和させることなく出力電圧誤差補償を実現可能とした信頼性の高い制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、半導体スイッチング素子のオンオフにより任意の振幅、周波数の交流電圧を出力する電力変換器の制御装置であって、
前記電力変換器の各相の出力電圧指令値と出力電圧実際値との誤差を補償するための補償電圧を演算する演算手段と、この演算手段により演算された補償電圧を各相の出力電圧指令値にそれぞれ加算して最終的な出力電圧指令値を生成する手段と、を備えた制御装置において、
前記演算手段により演算された仮の補償電圧を調整する補償電圧調整手段を備え、この補償電圧調整手段により、出力線間電圧が変化しないように補償電圧の大きさを調整して各相の出力電圧指令値との加算に用いるものである。
【0018】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、
各相の出力電圧指令値の中でその絶対値が最大となる相を検出する最大値検出手段を備え、
前記補償電圧調整手段は、前記最大値検出手段により検出された相の出力電圧指令値に加算される補償電圧をゼロとし、他相の出力電圧指令値に加算される補償電圧を所定値に調整するものである。
【0019】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、
各相の出力電圧指令値の中でその絶対値が最大となる相を検出する最大値検出手段と、当該相の極性を検出する最大値極性検出手段と、を備え、
前記補償電圧調整手段は、前記演算手段により演算された仮の補償電圧に、前記最大値検出手段及び前記最大値極性検出手段によりそれぞれ検出された相及び極性に応じた同一の定数を加算して各相の補償電圧を調整するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、演算によって得られた仮の補償電圧に対し、定数の加算または乗算等の簡単な操作を行うだけで適切な補償電圧を生成することができ、この補償電圧を元の出力電圧指令値に加算することで、出力電圧指令値が大きな領域においても出力電圧を飽和させずに線間電圧を一定に保ち、出力電圧誤差を良好に補償することができる。
その結果、モータ駆動時のトルクリプル等の低減が可能となり、信頼性の高い電力変換器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明は、出力電流の極性に応じて演算により補償電圧を決定した後に、出力線間電圧を変化させることのない操作を上記補償電圧に対して行うことにより、出力電圧を飽和させない出力電圧誤差補償を可能にしたものである。
【0022】
図1は、請求項1,2に係る本発明の第1実施形態を示すブロック図であり、前述した図4の出力電圧誤差補償手段11に相当する部分を示している。
本実施形態では、まず、出力電流極性判別手段1により各相の出力電流の極性を検出する。補償電圧演算手段2では、表1に示すように、出力電流の極性情報に応じた仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempを、補償量Cを用いて演算する。
【0023】
【表1】

【0024】
表1に示す仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempは、従来技術における補償電圧と等価であり、インバータの場合は数式1を、マトリクスコンバータの場合は数式2の演算を行うことに他ならない。
本実施形態では、補償電圧調整手段5により、上述した仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempに操作を加え、最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpを得る。
【0025】
補償電圧調整手段5は、三相の出力電圧指令値のうち、その絶対値が最も大きい相に対する最終的な補償電圧を0とし、出力線間電圧が変化しないように他の二相の補償電圧に操作を加える。
以下に、補償電圧調整手段5の動作について説明する。
【0026】
図1における絶対値演算手段3により、電圧指令値v,v,vの絶対値を演算し、比較器等で構成された最大値検出手段4により、電圧指令値の絶対値が最も大きい相を判別する。補償電圧調整手段5では、最大値検出手段4から出力された相情報をもとに仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempに操作を加えた最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpを出力する。
【0027】
ここで、表2は、最大値検出手段4から出力された相情報(電圧指令値の絶対値が最も大きい相)に応じた補償電圧調整手段5の出力(最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmp)を示している。表2から明らかなように、補償電圧調整手段5では仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempを整数倍する操作しか行わないため、その実現が非常に容易である。
【0028】
【表2】

【0029】
次に、具体例を用いて、本実施形態の作用効果を説明する。ここでは、各相の電圧指令値が図2の区間2のような関係(|v|>|v|,|v|>|v|)になっており、出力電流の極性がi>0、i<0、i<0である場合を考える。
この場合、補償電圧演算手段2により演算される仮の補償電圧は、前述した表1からも明らかなように、数式4となる。
【0030】
【数4】

【0031】
なお、本実施形態における仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempは、従来技術の補償電圧と同一である。
各相の電圧指令値v,v,vが図2の区間2のような大小関係になっている場合、U相の電圧指令値vの絶対値が最大である。よって、補償量Cを加算した後の電圧指令値が変換器の出力できる限界値を超え、U相のみ出力が飽和するおそれがある。
そこで、補償電圧調整手段5では、電圧指令値の絶対値が最も大きく、飽和の可能性が最も高いU相の最終的な補償電圧vu cmpを0として、U相電圧の飽和を回避する。しかし、一相分の補償電圧のみに操作を加えると、出力線間電圧が変化してしまい、補償が不充分となる。従って、他相については仮の補償電圧vv temp,vw tempをそれぞれ2倍する操作を行う。
以上より、最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpは数式5の通りになる。
【0032】
【数5】

【0033】
よって、PWMパルス発生手段(図4におけるPWMパルス発生手段12に相当)に与える出力相電圧指令値v**,v**,v** は、元の各相の出力電圧指令値に上記補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpをそれぞれ加算した値として、数式6により表される。
【0034】
【数6】

【0035】
また、出力線間電圧指令値vuv**,vvw**,vwu** は、数式7となる。
【0036】
【数7】

【0037】
一方、特許文献1に記載された従来技術によりPWMパルス発生手段12に与える出力相電圧指令値v**,v**,v** 及び出力線間電圧指令値vuv**,vvw**,vwu** は、それぞれ数式8,数式9によって表される。
【0038】
【数8】

【0039】
【数9】

【0040】
数式6と数式8とを比較すると、本実施形態と従来技術とでは、PWMパルス発生手段に与える出力相電圧指令値v**,v**,v**がそれぞれ異なっている。しかし、数式7と数式9とを比較すると、出力線間電圧指令値は全く同一となる。
よって、本実施形態によれば、補償電圧調整手段5において表2に示す操作を仮の補償電圧に対して行うことにより、出力線間電圧を変化させずに、しかも出力電圧の飽和を引き起こすことなく良好に出力電圧誤差補償を行うことができる。
【0041】
次に、図3は、請求項1,3に係る本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
この実施形態では、第1実施形態と同様に、出力電流極性判別手段1、補償電圧演算手段2により、仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempを決定し、補償電圧調整手段7により仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempに操作を加えて最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpを得る。
【0042】
補償電圧調整手段7では、仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempに対し、それぞれに同一の定数を加算する。以下に、補償電圧調整手段7の動作について説明する。
図3における絶対値演算手段3により、元の電圧指令値v,v,vの絶対値を演算し、比較器等で構成された最大値検出手段4により、電圧指令値の絶対値が最も大きい相を判別する。同時に、元の電圧指令値v,v,vと最大値検出手段4の出力とが入力されている最大値極性判別手段6により、絶対値が最大となる相の電圧指令値の極性を判別する。
【0043】
補償電圧調整手段7では、最大値極性判別手段6から出力された極性情報をもとに、仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempに操作を加えた最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpを出力する。
表3は、最大値検出手段4から出力された相情報(電圧指令値の絶対値が最も大きい相)と、その最大相の電圧指令値の極性情報とに応じた補償電圧調整手段7の出力(最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmp)とを示している。
【0044】
【表3】

【0045】
図2に示す区間2,4,6のように、電圧指令値の絶対値が最大となる相の電圧指令値の極性が正となる場合は、最大相に正の補償電圧が加算されると、出力電圧の飽和が発生する恐れがある。
そこで、図3の補償電圧調整手段7では、表3のように仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempのそれぞれに対し、各相の出力電圧指令値から決まる共通の定数として−E(E>0)を加算する。この操作により、正の出力限界値までのマージンが広くなるので、出力電圧の飽和を回避することができる。また、各相に共通の定数を加算するだけであるため、この操作により出力線間電圧が変化することはなく、実現も非常に容易である。
【0046】
逆に、図2に示す区間1,3,5のように、電圧指令値の絶対値が最大となる相の電圧指令値の極性が負となる場合は、定数E(E>0)を各相の仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempのそれぞれに加算すればよい。
【0047】
次に具体例を用いて、本実施形態の作用効果を説明する。ここでは、前記同様に各相の電圧指令値が図2の区間2のような大小関係になっており、出力電流の極性がi>0、i<0、i<0である場合を考える。
補償電圧演算手段2により演算される仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempは、数式4と同一になる。各相の電圧指令値v,v,vが図2の区間2のような大小関係である場合、U相の電圧指令値vの絶対値が最大である。よって、補償量Cを加算した後の電圧指令値が電力変換器の出力可能な限界値を超え、U相のみ出力電圧が飽和するおそれがある。
【0048】
そこで、図3の補償電圧調整手段7では、表3に示したように、仮の補償電圧vu temp,vv temp,vw tempのそれぞれに対し共通の定数として−E(E>0)を加算する。
以上より、第2実施形態における最終的な補償電圧vu cmp,vv cmp,vw cmpは数式10のようになる。
【0049】
【数10】

【0050】
数式10によれば、U相電圧指令値vに加算される最終的な補償電圧vu cmpは小さくなっているため、出力電圧の飽和を回避することができる。
このとき、PWMパルス発生手段に与える出力相電圧指令値v**,v**,v** は数式11となり、出力線間電圧指令値vuv**,vvw**,vwu** は数式12となる。
【0051】
【数11】

【0052】
【数12】

【0053】
数式11と数式8とを比較すると、本実施形態と従来技術とではPWMパルス発生手段に与える出力電圧指令値(出力相電圧指令値)v**,v**,v** はそれぞれ異なっている。しかし、数式12と数式9とを比較すればわかるように、出力線間電圧指令値は全く同一となる。
よって、本実施形態によれば、補償電圧調整手段7において表3に示す操作を元の補償電圧に対して行うことにより、第1実施形態と同様に出力線間電圧を変化させず、しかも出力電圧の飽和を引き起こすことなく良好に出力電圧誤差補償を行うことができる。
【0054】
なお、本発明は電力変換器に応じた誤差電圧が予めわかっていれば、インバータやマトリクスコンバータ等、様々な電力変換器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における各相の出力電圧指令値を示す波形図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】特許文献1に開示されたPWMパルス作成方法を示すブロック図である。
【図5】図4の出力電圧指令値演算手段により演算した出力電圧指令値を示す波形図である。
【符号の説明】
【0056】
1:出力電流極性判別手段
2:補償電圧演算手段
3:絶対値演算手段
4:最大値検出手段
5:補償電圧調整手段
6:最大値極性検出手段
7:補償電圧演算手段
10:出力電圧指令値演算手段
11:出力電圧誤差補償手段
12:PWMパルス発生手段
13,13,13:加算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチング素子のオンオフにより任意の振幅、周波数の交流電圧を出力する電力変換器の制御装置であって、
前記電力変換器の各相の出力電圧指令値と出力電圧実際値との誤差を補償するための補償電圧を演算する演算手段と、この演算手段により演算された補償電圧を各相の出力電圧指令値にそれぞれ加算して最終的な出力電圧指令値を生成する手段と、を備えた制御装置において、
前記演算手段により演算された仮の補償電圧を調整する補償電圧調整手段を備え、この補償電圧調整手段により、出力線間電圧が変化しないように補償電圧の大きさを調整して各相の出力電圧指令値との加算に用いることを特徴とする電力変換器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、
各相の出力電圧指令値の中でその絶対値が最大となる相を検出する最大値検出手段を備え、
前記補償電圧調整手段は、前記最大値検出手段により検出された相の出力電圧指令値に加算される補償電圧をゼロとし、他相の出力電圧指令値に加算される補償電圧を所定値に調整することを特徴とする電力変換器の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、
各相の出力電圧指令値の中でその絶対値が最大となる相を検出する最大値検出手段と、当該相の極性を検出する最大値極性検出手段と、を備え、
前記補償電圧調整手段は、前記演算手段により演算された仮の補償電圧に、前記最大値検出手段及び前記最大値極性検出手段によりそれぞれ検出された相及び極性に応じた同一の定数を加算して各相の補償電圧を調整することを特徴とする電力変換器の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−215278(P2007−215278A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30513(P2006−30513)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(503361927)富士電機機器制御株式会社 (402)
【Fターム(参考)】