説明

電力変換装置

【課題】積層方向に直交する方向の小型化を図りつつ、電子部品の組み付け及び取り外しを容易に行うことのできる電力変換装置を提供する。
【解決手段】半導体モジュール20と冷媒流路210とを積層してなる積層体2と、該積層体2における積層方向Xの一端に設けられた部品配置部72に配置される電子部品5と、積層体2及び電子部品5を収容するケース7とを備えた電力変換装置1である。積層体2からは、半導体モジュール20に接続されたバスバー22が積層方向Xの一端へ引き出されている。バスバー22の引き出し部220は、電子部品5に対して、積層方向Xに直交する方向に面して配されている。ケース7は、積層体2と反対側から部品配置部72に電子部品5を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部700と、電子部品5をケース7内の部品配置部72に固定する固定部4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールと電子部品とを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等には、インバータ等の電力変換装置が搭載されている。該電力変換装置は、その電力変換回路を構成する半導体モジュールとこれを冷却する冷却器とを備えており、小型のものが望まれている。
【0003】
このような電力変換装置の例として、例えば特許文献1や特許文献2に開示された電力変換装置が提案されている。特許文献1及び2に開示された電力変換装置は、半導体モジュールと冷媒流路とが交互に積層されてなる積層体に対し、積層方向の一端にコンデンサやリアクトル等の電子部品が配置されている。これにより、積層方向に直交する方向における電力変換装置の寸法を低減することができる。
【0004】
また、これらの電力変換装置においては、積層体における積層方向と直交する方向に、半導体モジュールとコンデンサやリアクトル等の電子部品とを接続するバスバーが配設されている。そして、半導体モジュールの主電極端子は、上記バスバーとアーク溶接や抵抗溶接等により溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−124523号公報
【特許文献2】特開2008−220042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電力変換装置においては、コンデンサやリアクトル等の電子部品に対して、バスバーを上記積層体の積層方向と直交する方向に配置せざるを得ない場合がある。この場合、上記電子部品を組み付けた後に上記バスバーを組み付けなければならず、組み付け手順の自由度が低下するという問題がある。特に、電子部品とバスバーとを締結した後に半導体モジュールとバスバーとを溶接すると、溶接部に印加される電圧、または溶接部に流れる電流により電子部品に過電圧がかかり、あるいは過電流が流れるおそれがある。例えば電子部品がコンデンサの場合、上記の過電流や過電圧によって、半導体モジュールに内蔵される素子等が破壊されるおそれもある。
【0007】
また、組み付け時の誤配置や溶接ミス等の理由により、一度組み付けた電子部品を電力変換装置から取り外そうとすると、電子部品を取り外す前にバスバーを取り外す必要がある。そのため、取り外し作業の作業性が低下するという問題がある。また、電力変換装置のメンテナンス時等において、電子部品の交換が困難である。
【0008】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたもので、積層方向に直交する方向の小型化を図りつつ、電子部品の組み付け及び取り外しを容易に行うことのできる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒流路とを積層してなる積層体と、該積層体における積層方向の一端に設けられた部品配置部に配置される電子部品と、上記積層体及び上記電子部品を収容するケースとを備えた電力変換装置であって、
上記積層体からは、上記半導体モジュールに接続されたバスバーが上記積層方向の一端へ引き出されているとともに、該バスバーの引き出し部は、上記電子部品に対して、上記積層方向に直交する方向に面して配されており、
上記ケースは、上記積層体と反対側から上記部品配置部に上記電子部品を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部と、上記電子部品を上記ケース内の上記部品配置部に固定する固定部とを備えていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記電力変換装置は、上記積層体における積層方向の一端に設けられた部品配置部に上記電子部品が配置されている。これにより、積層方向に直交する方向において上記電力変換装置を小型化することが容易となる。
【0011】
また、上記ケースは、上記積層体と反対側から上記部品配置部に上記電子部品を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部と、上記電子部品を上記ケース内の上記部品配置部に固定する固定部とを備えている。これにより、上記バスバーを上記半導体モジュールに溶接した後に、上記電子部品を上記部品挿入用開放部より挿入し、組み付けを行うことが可能となる。それ故、組み付け手順の自由度が大きくなるとともに、電子部品に過電流や過電圧がかかることを防止することができる。また、取り外しの際にも、上記バスバーを取り外すことなく上記部品挿入用開放部より上記電子部品を取り外すことができる。
【0012】
以上のごとく、上記態様によれば、積層方向に直交する方向の小型化を図りつつ、電子部品の組み付け及び取り外しを容易に行うことのできる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、コンデンサを挿入した電力変換装置をバスバー側から見た平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】実施例1における、電子部品の斜視図。
【図4】実施例2における、電力変換装置の電子部品が収容される部分の平面図。
【図5】実施例2における、積層方向に互いに異なる位置に耳部を形成した電子部品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電力変換装置において、上記電子部品は、上記電力変換装置における電力変換回路に含まれるコンデンサやリアクトル等であってもよい。特に、上記電子部品がコンデンサである場合には、該コンデンサの組み付け前に上記半導体モジュール間の配線を行うことができることによって、以下の効果を奏することができる。つまり、上記半導体モジュール間の接続に抵抗溶接やアーク溶接を用いる場合において、溶接の際に流れる電流が、上記コンデンサに充電されることを防止することができる。これにより、該コンデンサから上記半導体モジュールにサージ電流が流れ込むことを防止することができる。その結果、上記サージ電流により上記半導体モジュールが故障することを防止できる。
【0015】
また、上記積層体の上記積層方向の一端には、上記冷媒流路へ冷却媒体を導入する冷媒導入管と、上記冷媒流路から冷却媒体を排出する冷媒排出管とが上記積層方向へ突出形成されており、上記電子部品は上記冷媒導入管と上記冷媒排出管との間に配置されていてもよい(請求項2)。
この場合には、上記冷媒導入管と上記冷媒排出管との間のデッドスペースを低減することができる。つまり、このデッドスペースに上記部品配置部を設けることができる。その結果、上記電力変換装置をより省スペース化することが可能となる。
【0016】
また、上記ケースは、上記部品挿入用開放部から上記積層方向に延設されたガイド部を備え、該ガイド部は、上記電子部品を上記積層体へ向けて案内可能に構成されていてもよい(請求項3)。
この場合には、上記ガイド部により上記電子部品が案内されることで、該電子部品を上記部品配置部へ容易に配置することができる。その結果、上記電子部品の組み付け作業における作業性をより向上させることができる。
【0017】
また、上記ケースは、上記部品配置部に対する上記電子部品の位置を定める位置決め手段を備えていてもよい(請求項4)。
この場合には、上記位置決め手段により上記電子部品を所定の位置へ容易かつ正確に配置することが可能となる。その結果、上記電子部品の組み付け作業における作業性をより向上させることができる。
【0018】
なお、上記部品配置部は、上記ケースと一体に形成されていてもよい。この場合には、上記固定部、上記ガイド部及び上記位置決め手段を各々上記部品配置部に形成することができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
上記電力変換装置の実施例について、図1〜図3を用いて説明する。本例の電力変換装置1は、図1に示すごとく、半導体モジュール20と該半導体モジュール20を冷却する冷媒流路210とを積層してなる積層体2と、該積層体2における積層方向(以下、この向きを「積層方向X」という。)の一端に設けられた部品配置部72に配置される電子部品5と、積層体2及び電子部品5を収容するケース7とを備えている。また、積層体2からは、半導体モジュール20に接続されたバスバー22が積層方向Xの一端へ引き出されているとともに、バスバー22の引き出し部220は、電子部品5に対して、図2に示すごとく、積層方向Xに直交する方向に面して配されている。そして、ケース7は、積層体2と反対側から部品配置部72に電子部品5を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部700と、電子部品5をケース7内の部品配置部72に固定する固定部4とを備えている。なお、本例において、電子部品5はコンデンサである。
【0020】
積層体2と電子部品5とは、図1に示すごとく、積層方向Xを法線とする一対の側壁70と、積層方向Xに垂直な方向(以下、この向きを横方向Yという。)を法線とする一対の側壁71とから構成されるケース7内において、積層方向Xに互いに並んで配置されている。また、電子部品5は、ケース7内における、積層方向Xの一端に配された側壁70と積層体2との間に形成された部品配置部72に収容されている。そして、バスバー22は、図2に示すごとく、積層体2及び電子部品5に対して積層方向Xと横方向Yとの双方に直交する方向に配置されている。以下において、積層方向Xと横方向Yとの双方に直交する方向を高さ方向Zといい、高さ方向Zにおいて、電子部品5に対してバスバー22が配される側を上方という。ただし、これは便宜的な表現であり、必ずしもこの上方が、実際の鉛直上向きとなる必要はない。
【0021】
積層体2は、図1に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する複数の半導体モジュール20と複数の冷媒流路210とを交互に積層することにより形成されている。また、この複数の冷媒流路210は、冷媒導入管211、冷媒排出管212及び連結管213とともに、半導体モジュール20を冷却する冷却器21を構成している。
【0022】
冷媒流路210は、積層方向Xと直交する方向(横方向Y)に長尺な冷却管214によって構成されている。冷却器21は、図1に示すごとく、この冷却管214を積層方向Xに複数並べてなるとともに、その長手方向(横方向Y)の両端部付近において、積層方向Xに隣り合う冷却管214同士を連結管213によって連結してなる。そして、冷却器21は、隣り合う冷却管214の間に半導体モジュール20を両主面から狭持することができるよう構成されている。これにより、半導体モジュール20は、積層方向Xに配列されている。
【0023】
なお本例では、隣り合う冷却管214の間には、互いに直列に接続される一対の半導体モジュール20が狭持されている。また、冷却器21は13本の冷却管214を積層方向Xに並列しており、隣り合う冷却管214の間に形成される12段のスペースに、それぞれ一対の半導体モジュール20が互いに横方向Yに並んで配置されている。
【0024】
また、積層方向Xにおいて電子部品5が配置される側の一端に配された冷却管214には、その横方向Yにおける両端に、図1に示すごとく、冷媒導入管211及び冷媒排出管212が配設されている。冷媒導入管211と冷媒排出管212とは、積層体2における積層方向Xの一端を基端として積層体2から積層方向Xにおける電子部品5側へ延伸され、ケース7の積層方向Xにおける側壁70から突出している。
【0025】
これにより、冷媒導入管211から導入された冷却媒体は、連結管213を適宜通り、各冷却管214に分配されると共にその長手方向(横方向Y)に流通可能となる。そして、各冷却管214を流れる間に、冷却媒体は半導体モジュール20との間で熱交換を行うことができる。熱交換により温度上昇した冷却媒体は、下流側の連結管213を適宜通り、冷媒排出管212に導かれ、冷却器21より排出される。
【0026】
冷却器21に狭持される半導体モジュール20は、IGBT素子等のスイッチング素子を樹脂モールドしてなるモールド部201と、該モールド部201から互いに反対方向に突出した一対の主電極端子202及び制御端子とから構成される。一対の主電極端子202は、図1に示すごとく、横方向Yに互いに並んでいるとともに、高さ方向Zにおいて、バスバー22が配置される方向、つまり積層体2に対して上方へ突出形成されている。そして、主電極端子202間は、適宜バスバー22等の配線部材により適宜電気的に接続されている。なお、バスバー22以外の配線部材については、図1への記載を便宜上省略した。
【0027】
バスバー22は、積層方向Xに平行な板棒状の導体であり、各々のバスバー22は、積層方向Xに配列された半導体モジュール20の主電極端子202とアーク溶接等の方法により溶接されている。また、一対のバスバー22は、積層方向Xにおける電子部品5が配置される側の一端より積層方向Xに延設された引き出し部220を有している。引き出し部220は、図2に示すごとく、部品配置部72に収容された電子部品5に対して高さ方向Zの上方に配置されている。そして引き出し部220の先端において、後述する電子部品5の接続端子52とバスバー22とがボルト221により締結されている。これにより、半導体モジュール20と電子部品5とが電気的に接続されている。
【0028】
部品配置部72は、高さ方向Zから見た平面視の形状が略長方形をなす箱状の凹部であり、高さ方向Zの上方にガイド部3と固定部4とを備えている。部品配置部72は、図1に示すごとく、冷媒導入管211と冷媒排出管212との間に設けられている。そして、高さ方向Zの上方と、積層方向Xにおける積層体2と反対方向との2面が開口されている。また、部品配置部72の積層方向Xにおける開口部、すなわち側壁70から開口した部分が上記部品挿入用開放部700となっている。
【0029】
ガイド部3は、図2に示すごとく、部品配置部72における高さ方向Zの開口部に、横方向Yに隣接して一対形成されている。ガイド部3は、部品配置部72における横方向Yに垂直な一対の側面720における各々の上端を基端として、横方向Yに向けて互いに反対方向に延設された平坦部30と、平坦部30の端より高さ方向Zの上方に立設された立設部31とを有する。すなわち、ガイド部3は、図2に示すごとく、積層方向Xに垂直な断面の形状が、互いに直交する平坦部30と立設部31とからなる略L字状を呈している。そして、ガイド部3は、図1に示すごとく部品挿入用開放部700を基端として積層方向Xに向けて延設されている。これにより、後述する電子部品5に設けた一対の耳部51を、それぞれ一対のガイド部3の平坦部30に載置するとともに、立設部31により横方向Yへのがたつきを抑制しつつ電子部品5を積層方向Xへ向けてスムーズに案内することができるように構成されている。
【0030】
固定部4は、ガイド部3の平坦部30に設けられている。固定部4は、平坦部30を高さ方向Zに貫通するとともに、雌ネジが形成された締結穴を有し、電子部品5の耳部51をボルト41により締結することができるよう構成されている。
【0031】
部品挿入用開放部700は、部品配置部72の積層方向Xにおける開口部より構成されている。つまり、部品挿入用開放部700は、図2に示す部品配置部72における高さ方向Zの下端に形成された底面722と、一対の側面720と、ガイド部3とによって囲まれた部品配置部72の断面形状と同様の形状で側壁70に開口している。
【0032】
部品挿入用開放部700より挿入される電子部品5は、図3に示すごとく、コンデンサ素子を内蔵した略直方体形状の本体部50と、本体部50の高さ方向Zにおける上端部より横方向Yに向けて突出形成された一対の耳部51とを有する。本体部50は、部品挿入用開放部700を通過可能な大きさに形成されている。そして、本体部50の上面には、一対の接続端子52が配設されており、図2に示すごとくバスバー22と接続されている。
【0033】
電子部品5の耳部51は、高さ方向Zから見た形状が長方形をなす板状の突出部であり、その中央に高さ方向Zに貫通した貫通穴510を有する。また、耳部51は、部品配置部72に形成されたガイド部3に対して大きな遊びがなく、スムーズに摺動可能な寸法に形成されている。
【0034】
また、ケース7は、電子部品5の位置を定める位置決め手段を有する。位置決め手段は、部品配置部72における積層方向Xに垂直な当接面721とガイド部3とより構成されている。すなわち、電子部品5の積層方向Xにおける位置は、部品挿入用開放部700より積層体2に向けて挿入された電子部品5が、当接面721に当接することにより決定される。また、横方向Y及び高さ方向Zにおける位置は、耳部51がガイド部3に載置され、平坦部30及び立設部31と当接することにより決定される。
【0035】
なお、電子部品5の挿入配置及び位置決めは、バスバー22と半導体モジュール20の主電極端子202とが溶接された後に行われる。つまり、バスバー22と主電極端子202とがアーク溶接等により溶接された後に、電子部品5が部品挿入用開放部700を通じて部品配置部72に挿入配置される。そして、バスバー22の引き出し部220と重ならない位置に形成された固定部4において、電子部品5が部品配置部72に固定される。
【0036】
次に、本例の作用効果を説明する。電力変換装置1は、積層体2における積層方向Xの一端に設けられた部品配置部72に電子部品5が配置されている。これにより、積層方向Xに直交する方向、つまり高さ方向Zにおいて電力変換装置1を小型化することが容易となる。
【0037】
また、ケース7は、積層体2と反対側から部品配置部72に電子部品5を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部700と、電子部品5をケース7内の部品配置部72に固定する固定部4とを備えている。これにより、バスバー22を半導体モジュール20に溶接した後に、電子部品5を部品挿入用開放部700より挿入し、組み付けを行うことが可能となる。それ故、組み付け手順の自由度が大きくなるとともに、電子部品5に過電流や過電圧がかかることを防止することができる。また、取り外しの際にも、バスバー22を取り外すことなく部品挿入用開放部700より電子部品5を取り外すことができる。
【0038】
また、電子部品5が冷媒導入管211と冷媒排出管212との間に配置されている。それ故、冷媒導入管211と冷媒排出管212との間のデッドスペースを低減することができる。つまり、このデッドスペースに部品配置部72を設けることができる。その結果、電力変換装置1をより省スペース化することが可能となる。
【0039】
また、部品配置部72は、部品挿入用開放部700から積層方向Xに延設されたガイド部3を備え、ガイド部3は、電子部品5を積層体2へ向けて案内可能に構成されている。それ故、ガイド部3により電子部品5が案内されることで、電子部品5を部品配置部72へ容易に配置することができる。その結果、電子部品5の組み付け作業における作業性をより向上させることができる。
【0040】
また、ケース7は、部品配置部72に対する電子部品5の位置を定めるため、部品配置部72の当接面721及びガイド部3より構成される位置決め手段を備えている。それ故、位置決め手段により電子部品5を所定の位置へ容易かつ正確に配置することが可能となる。その結果、電子部品5の組み付け作業における作業性をより向上させることができる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、積層方向に直交する方向の小型化を図りつつ、電子部品の組み付け及び取り外しを容易に行うことのできる電力変換装置を提供することができる。
【0042】
(実施例2)
本例は、図4及び図5に示すごとく、位置決め手段をガイド部3にまとめて形成した例である。本例における位置決め手段は、図4に示すごとく、ガイド部3の平坦部30と、立設部31と、平坦部30上に形成された耳部ストッパー32とにより構成されている。耳部ストッパー32は、ガイド部3における積層方向Xの一端であって、部品挿入用開放部700と反対側の端部において、平坦部30から高さ方向Zに突出して形成される。つまり、部品挿入用開放部700より挿入される電子部品5の耳部51と耳部ストッパー32とが当接することにより、積層方向Xにおける電子部品5の位置を一定とするよう構成されている。
【0043】
また、本例の電子部品5は、図5に示すごとく、耳部51の積層方向Xにおける位置が、互いに異なるよう形成されている。その他は、実施例1と同様である。
【0044】
次に、本例の作用効果を説明する。本例では、位置決め手段をガイド部3にまとめて形成している。それ故、電子部品5の配置が、いずれの方向についてもガイド部3によって決定される。つまり、電子部品5のサイズと無関係に位置決めを実施することができるため、ケース7の形状を変えずに電子部品5を容易に変更することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電力変換装置
2 積層体
20 半導体モジュール
210 冷媒流路
22 バスバー
220 引き出し部
3 ガイド部
4 固定部
5 電子部品
6 位置決め手段
7 ケース
700 部品挿入用開放部
72 部品配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒流路とを積層してなる積層体と、該積層体における積層方向の一端に設けられた部品配置部に配置される電子部品と、上記積層体及び上記電子部品を収容するケースとを備えた電力変換装置であって、
上記積層体からは、上記半導体モジュールに接続されたバスバーが上記積層方向の一端へ引き出されているとともに、該バスバーの引き出し部は、上記電子部品に対して、上記積層方向に直交する方向に面して配されており、
上記ケースは、上記積層体と反対側から上記部品配置部に上記電子部品を挿入配置できるよう開放された部品挿入用開放部と、上記電子部品を上記ケース内の上記部品配置部に固定する固定部とを備えていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記積層体の上記積層方向の一端には、上記冷媒流路へ冷却媒体を導入する冷媒導入管と、上記冷媒流路から冷却媒体を排出する冷媒排出管とが上記積層方向へ突出形成されており、上記電子部品は上記冷媒導入管と上記冷媒排出管との間に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力変換装置において、上記ケースは、上記部品挿入用開放部から上記積層方向に延設されたガイド部を備え、該ガイド部は、上記電子部品を上記積層体へ向けて案内可能に構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記ケースは、上記部品配置部に対する上記電子部品の位置を定める位置決め手段を備えていることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−89923(P2013−89923A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232203(P2011−232203)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】