説明

電力線搬送通信システム

【課題】子機をリピータとして機能させるための設定を、人手を介さずに行えるようにする。
【解決手段】親機C0と、親機C0に接続する電力線B1とを備え、電力線B1にはそれぞれリピータ機能を内蔵する複数の子機C11〜C17がバス接続される電力線搬送通信システム1であって、親機C0は、子機ごとに、OFDM通信により直接通信できるか否かを判定する判定手段と、判定手段がOFDM通信により直接通信できると判定した子機の中からリピータ子機を選択する選択手段と、判定手段がOFDM通信では直接通信できないと判定した子機との通信をリピータ子機を介する通信に切り替える切替手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力線搬送通信システムに関し、特に親機と複数の子機との間で電力線搬送通信を行う電力線搬送通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力線に10kHz以上の高周波電流を重畳して通信を行う電力線搬送通信(PLC,Power Line Communications)が注目されている。以前は、電力線搬送通信の周波数帯域としては10kHz〜450kHzの帯域(以下、低周波数帯域という。)のみが認められていたが、2006年10月の電波法令改正により、屋内限定ではあるものの2MHz〜30MHzのより高帯域を用いることが認められた。これに伴い、数十〜数百Mbpsの高速通信が可能になったことから、特に家庭内やオフィス内での利用に注目が集まっている。
【0003】
しかし、従来通りの低周波数帯域を用いる電力線搬送通信システムも引き続き多用されている。具体的には、集合住宅内の各戸の電気メーターの検針(データ収集)や遠隔地からの機器制御に用いる例が挙げられる。
【0004】
ここで、低周波数帯域を用いる電力線搬送通信装置における法制度について、簡単に説明しておく。
【0005】
電波法では低周波数帯域を用いる電力線搬送通信装置を高周波利用設備として分類し、電波法施行規則は、高周波利用設備を免許不要で利用が可能となる型式制度を規定している。その中で一般用途として使える区分は「特別搬送式デジタル伝送装置」であり、型式指定のための具体的な条件が変調方式ごとに表1のように規定されている(施規第46条の2第四号。一部の条件のみ抜粋。)。
【0006】
【表1】

【0007】
この低周波数帯域にて使われる変調方式として、以下の説明例示では、10kHz〜450kHzを用いる「スペクトル拡散方式以外の変調方式」としてのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing,直交波周波数分割多重)変調方式と、115kHz又は132kHzを用いる位相変調方式(位相振幅変調方式を含む。)とする。以下、特に断らない限り、OFDM変調方式と言えば前者を指し、位相変調方式と言えば後者を指すことにする。
【0008】
OFDM変調方式は、10kHz〜450kHzの帯域をフルに用い、かつサブキャリアごとの適応変調を行えるので、比較的高速かつ信頼性の高い通信を実現できるという利点を有する。そのため、低周波数帯域の電力線搬送通信システムでは通常、OFDM変調方式による通信(以下、OFDM通信という。)が用いられる。一方で、現行の電波法施行規則では全サブキャリアの合計出力値が100mW以下に制限されるため、OFDM通信はノイズが多い環境下での通信や遠方との通信には不利である。
【0009】
位相変調方式は、OFDM変調方式に比べると低速な通信しかできないが、350mWの出力を出せるので、ノイズが多い環境下での通信や遠方との通信に有効である。
【0010】
低周波数帯域を用いる電力線搬送通信システムの具体的な例を挙げる。図9(a)は、3階建てで各階に7つずつの部屋を有する集合住宅Aにおいて、各戸のメーター検針を行うための電力線搬送通信システムを示している。同図に示すように、このシステムは、1階(例えば分電盤付近)に設置された親機D0と、それぞれ親機D0に接続する階ごとの電力線B1〜B3とを備え、各電力線B1〜B3には、各戸ごとの子機D11〜D37がバス接続されている。
【0011】
図9(b)は、図9(a)に示した電力線搬送通信システムのネットワークトポロジを示している。同図に示すように、この電力線搬送通信システムでは、論理的には親機D0と各子機D11〜D37とが直接接続されており、相互にOFDM通信による直接通信を行う。すなわち、親機D0は各子機D11〜D37から直接検針データを受信する。
【0012】
なお、特許文献1には、電力線搬送通信装置間にリピータ(注:特許文献1では「レピータ」と称している。)を挿入することにより、電力線搬送通信システムの通信距離を延ばす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−229793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、図9(b)では、図9(a)に示した電力線搬送通信システムにおいて親機と各子機とがOFDM通信により直接通信を行う例を示したが、実際にはこのような直接通信ができない場合もある。例えば、親機と子機との距離が離れ過ぎている場合、親機と子機とがOFDM通信によって直接通信を行うことは困難である。
【0015】
そこで、各子機にリピータ機能を内蔵し、OFDM通信では親機D0と直接通信することができない子機については、直接通信することができる子機を介して親機とOFDM通信するようにすることが考えられる。以下、詳しく説明する。
【0016】
図10(a)は、図9(a)に示した電力線搬送通信システムにおいて、子機D11〜D37を、リピータを内蔵する子機E11〜E37で置き換えた例を示している。また、図10(b)は、図10(a)に示した電力線搬送通信システムのネットワークトポロジの例を示している。同図に示すように、この電力線搬送通信システムでは、子機E15〜E17,E24〜E27,E33〜E37が、OFDM通信では親機D0と直接通信することができない子機であり、子機E14,23,32をリピータとして機能させる。
【0017】
しかしながら、上記の電力線搬送通信システムでは、システム構築の際に人手を介して、子機E14,23,32がリピータとして機能するようにするための設定を行う必要がある。このような設定は一般にシステムのユーザには難しいものであるため、メーカから専門家を派遣する必要があり、設置前の準備に手間がかかる結果となってしまっている。また、設定は設計図面又は竣工図面に基づいて行うことになるが、これらの図面に間違いがあると、通信できなくなるおそれもある。そして、これらの問題点は、電力線搬送通信システムの普及の妨げとなってしまっていた。
【0018】
したがって、本発明の目的の一つは、子機をリピータとして機能させるための設定を、人手を介さずに行える電力線搬送通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するための本発明による電力線搬送通信システムは、親機と、前記親機に接続する電力線とを備え、前記電力線にはそれぞれリピータ機能を内蔵する複数の子機がバス接続される電力線搬送通信システムであって、前記親機は、前記子機ごとに、OFDM通信により直接通信できるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段がOFDM通信により直接通信できると判定した子機の中からリピータ子機を選択する選択手段と、前記判定手段がOFDM通信では直接通信できないと判定した子機との通信を前記リピータ子機を介する通信に切り替える切替手段とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、子機をリピータとして機能させるための設定を、人手を介さずに行うことが可能になる。
【0021】
また、上記電力線搬送通信システムにおいて、前記選択手段は、前記判定手段がOFDM通信により直接通信できると判定した子機と、その他の子機との間の通信品質に基づいて、前記リピータ子機を選択することとしてもよい。これによれば、リピータ子機と配下のリピータ経由通信子機との間の通信品質を最適化することが可能になる。
【0022】
また、上記各電力線搬送通信システムにおいて、前記判定手段は、OFDM変調方式を用いて変調した確認信号を送信し、前記各子機は、前記確認信号を受信した場合に第1の応答信号を返送し、前記判定手段は、前記確認信号の送信後所定のタイミングで前記第1の応答信号が受信された子機について、OFDM通信により直接通信できると判定し、受信されなかった子機について、OFDM通信では直接通信できないと判定することとしてもよい。これによれば、判定手段は、OFDM変調方式により直接通信できるか否かを、子機ごとに適切に判定できる。
【0023】
また、上記電力線搬送通信システムにおいて、前記親機と前記子機との直接通信は、第1の周波数帯を用いる第1のOFDM通信により行われ、前記リピータ子機と他の子機との通信は、前記第1の周波数帯とは重複しない第2の周波数帯を用いる第2のOFDM通信により行われることとしてもよい。これによれば、第1及び第2の周波数帯という重複しない2つの周波数帯を用いるので、リピータ子機が他の子機とOFDM通信している間、親機はさらに他の子機とOFDM通信することができる。したがって、リピータを用いる場合の通信時間が短縮される。
【0024】
また、この電力線搬送通信システムにおいて、前記切替手段は、前記判定手段がOFDM通信では直接通信できないと判定した子機に対して、位相変調通信により、前記第1のOFDM通信から前記第2のOFDM通信への切り替えを指示することとしてもよい。位相変調通信の通信距離は、上述したようにOFDM通信に比べて長いので、上記のようにすることで、切替手段が直接各子機に対して切り替えの指示をできるようになる。
【0025】
また、これらの電力線搬送通信システムにおいて、前記親機に接続し、複数の子機がバス接続された電力線を複数備えることとしてもよい。これによれば、各電力線上のリピータ子機は、他の電力線上のリピータ子機から独立して、第2のOFDM通信により当該電力線上の子機と通信することができるので、複数の電力線を有する場合の通信時間がより短縮される。
【0026】
また、上記各電力線搬送通信システムにおいて、前記リピータ子機は、前記第1のOFDM通信により前記親機から受信した情報を蓄積するとともに、前記第2のOFDM通信により他の子機から受信した情報を蓄積するバッファを備えることとしてもよい。これによれば、親機とリピータ子機との通信回数を減らすことができるので、通信時間がさらに短縮される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、子機をリピータとして機能させるための設定を、人手を介さずに行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態による電力線搬送通信装置のシステム構成を示す図である。(b)は、(a)に示した電力線搬送通信システムのネットワークトポロジを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による第1及び第2の周波数帯の説明図である。
【図3】(a)は、本発明の実施の形態による親機の機能ブロックを示す図である。(b)は、本発明の実施の形態による子機の機能ブロックを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による電力線搬送通信システム内の各子機と親機との通信状態を示す図である。
【図5】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態による親機と各子機との間若しくは子機間で送受信される信号のフォーマットを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態による親機と各子機との間及び子機間での通信ステップを示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態による親機の処理手順を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態による通信品質確認用の信号のフォーマットを示す図である。
【図9】(a)は、本発明の背景技術による電力線搬送通信システムのシステム構成を示す図である。(b)は、(a)に示した電力線搬送通信システムのネットワークトポロジを示す図である。
【図10】(a)は、本発明の背景技術による電力線搬送通信システムのシステム構成を示す図である。(b)は、(a)に示した電力線搬送通信システムのネットワークトポロジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、初めに電力線搬送通信システムのシステム構成について説明し、その後、子機をリピータとして機能させるための設定に係る処理について説明することにする。
【0030】
図1は、本実施の形態による電力線搬送通信システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、電力線搬送通信システム1は、親機C0と、それぞれ親機C0に接続する電力線B1〜B3とを備え、各電力線B1〜B3には、それぞれリピータ機能を内蔵する子機C11〜C37がバス接続されている。親機C0及び各子機C11〜C37はいずれも電力線搬送通信装置であり、相互に、上述したOFDM変調通信又は位相変調通信による電力線搬送通信を行う。そして、図示しない端末装置(パソコン、電気メータなど)と接続されて端末装置間での通信を実現する。
【0031】
電力線B1〜B3は親機C0の近辺に設けられた接続点N(例えば分電盤)で互いに接続されており、一の電力線に流れる信号は、他の電力線にも流れる。したがって、電力線B1〜B3に、同一周波数の信号を互いに独立して同時に流すことは原則としてできないが、接続点Nとの距離がある程度以上離れている子機が送信した信号は、接続点Nに到達する前に減衰してしまうため他の電力線に流れこむことはない。したがって、このような信号に限れば、電力線B1〜B3に、同一周波数の信号を互いに独立して同時に流すことが可能である。
【0032】
この電力線搬送通信システム1は、具体的には、例えば図9に示した背景技術の例と同様、3階建てで各階に7つずつの部屋を有する集合住宅Aに設置され、各戸のメーター検針を行うために用いられる。以下の説明では、親機C0に接続される端末装置はパソコンであり、各子機に接続される端末装置は電気メータであるとし、パソコンから各電気メータの検針データの取得を行う例を取り上げる。なお、本発明が電気メータの検針データを取得する電力線搬送通信システムに限定されないのはもちろんである。
【0033】
ここで、親機C0及び各子機C11〜C37の詳細について説明するに先立ち、低周波数帯域を分割してなる第1及び第2の周波数帯について説明しておく。
【0034】
電力線搬送通信システム1では、OFDM通信を行う際、低周波数帯域(10kHz〜450kHz)を第1の周波数帯Fと第2の周波数帯Fに分割して用いる。すなわち、親機C0及び各子機C11〜C37は、いずれか一方の周波数帯に属するサブキャリアのみを用いて、OFDM信号(OFDM変調方式によって変調された搬送波信号)を生成する。
【0035】
図2は、第1及び第2の周波数帯の説明図である。まず、同図に示すように、第1の周波数帯Fは10kHz〜220kHzの周波数帯域であり、第2の周波数帯Fは240kHz〜450kHzの周波数帯域である。低周波数帯域は10kHz〜450kHzであるので、第1の周波数帯Fは概ね低周波数帯域の下半分を占め、第2の周波数帯Fは概ね上半分を占めていることになる。
【0036】
さて、図3(a)は、親機C0の機能ブロックを示す図である。同図に示すように、親機C0は、それぞれ電力線に接続するFモデム11及び同期信号生成器12と、制御部13と、バッファ14と、端末装置としてのパソコンに接続するインターフェイス15とを有している。
【0037】
モデム11は、第1の周波数帯Fを用いてOFDM通信(第1のOFDM通信)又は位相変調通信を行うモデムである。ただし、指示データ及び検針データの送受信にはOFDM通信のみを用いる。具体的には、制御部13の指示に従い、バッファ14に記憶されるデータ又はインターフェイス15を介してパソコンから入力されるデータに基づいて第1の周波数帯Fの搬送波信号を変調し、電力線に送出する。また、電力線を流れる第1の周波数帯Fの変調搬送波信号を受信して復調し、得られたデータを、制御部13の指示に従ってバッファ14又はインターフェイス15に出力する。
【0038】
モデム11は、搬送波信号の変復調にOFDM変調方式又は位相変調方式を用いる。OFDM変調方式を用いる場合、搬送波信号は、第1の周波数帯Fに属するサブキャリアのみによって構成される広帯域信号となる。位相変調方式を用いる場合には、搬送波信号は単一周波数信号であり、その周波数は115kHz又は132kHzとなる。
【0039】
なお、OFDM信号は各サブキャリアの出力の合計が100mWとなるように出力調整されて送出される。一方、位相変調信号は350mWの出力で送出される。このような出力としているのは、上掲の表1に示した法規制に従うためである。
【0040】
また、Fモデム11は、信号を送信する際、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を用いるよう構成されている。すなわち、Fモデム11は、送信を開始する前に一度受信を試み(キャリアセンス)、他の装置の送信信号が検知されなければ、送信データの送信を行う。他の装置の送信信号が検知された場合には、その送信信号の送信終了を監視し、送信終了が検知された場合に所定時間待機してから送信データの送信を行う。なお、この所定時間は待機回数の増加に応じて短くなるよう決定される。通信開始時のネゴシエーションは行われない。
【0041】
同期信号生成器12は、電力線を流れる信号に既知の同期信号が含まれているか否かを監視する。含まれていることが検出された場合、その同期信号を用いて同期を確立し、同期を確立したことを示す情報を制御部13に通知する。この通知を受けた制御部13は、Fモデム11に復調処理を開始させる。
【0042】
制御部13は、ここまでに挙げた処理の他、親機C0の各部を制御する処理を行う。また、制御部13は、パソコンからの指示に従って検針データの送信を指示するための指示データを生成し、Fモデム11を用いて各子機に向けて送信するとともに、指示データに応じて各子機から返送されてきた検針データをFモデム11を介して受信する。
【0043】
なお、親機C0が指示データを送信する順序は、予めプログラミングされる。このプログラミングの詳細については後述する。また、制御部13は機能的に、判定部16(判定手段)、選択部17(選択手段)、切替部18(切替手段)を含んでいるが、これらの処理についても後述する。
【0044】
バッファ14は、制御部13の指示に従い、Fモデム11から入力されるデータを記憶する記憶手段である。インターフェイス15はパソコンとの間でデータの入出力を行う。
【0045】
図3(b)は、子機C11〜C37の機能ブロックを示す図である。なお、本実施の形態では、いずれの子機も同様の機能ブロックを有している。図3(b)に示すように、子機C11〜C37は、それぞれ電力線に接続するFモデム21、Fモデム22及び同期信号生成器23と、制御部24と、バッファ25と、端末装置としての電気メータに接続するインターフェイス26とを有している。
【0046】
モデム21の機能は、上述したFモデム11の機能と同様である。すなわち、Fモデム21は、第1の周波数帯Fを用いてOFDM通信(第1のOFDM通信)又は位相変調通信を行う。また、信号の送信にはCSMA/CA方式を用いる。
【0047】
モデム22の機能は、使用する周波数帯が第2の周波数帯Fである点を除いて、Fモデム21の機能と同様である。すなわち、Fモデム22は、第1の周波数帯Fとは重複しない第2の周波数帯Fを用いて、OFDM通信(第2のOFDM通信)を行う。具体的には、制御部24の指示に従い、バッファ25に記憶されるデータ又はインターフェイス26を介して図示しない端末装置から入力されるデータに基づいて第2の周波数帯Fの搬送波信号を変調し、電力線に送出する。また、電力線を流れる第2の周波数帯Fの変調搬送波信号を受信して復調し、得られたデータを、制御部24の指示に従ってバッファ25又はインターフェイス26に出力する。なお、Fモデム22は位相変調通信は行わない。また、信号の送信にはCSMA/CA方式を用いる。
【0048】
同期信号生成器23の機能は、上述した同期信号生成器12の機能と同様である。なお、同期信号生成器23から同期を確立したことを示す情報の通知を受けた制御部24は、Fモデム21又はFモデム22に復調処理を開始させる。
【0049】
制御部24は、ここまでに挙げた処理の他、子機の各部を制御する処理を行う。また、制御部24は、親機C0又は他の子機から自機宛の上記指示データ(検針データを送信するよう指示するための指示データ)が受信された場合、インターフェイス26を介して電気メータにアクセスして検針データを取得し、取得した検針データを、指示データを受信したモデムを用いて返送する。
【0050】
さらに、制御部24は、自機を、親機C0と他の子機との間の通信を中継するリピータとして機能させるか否かを記憶している。リピータとして機能させる場合には、さらに配下の子機を示す情報も記憶しており、Fモデム21を介して親機C0から配下の子機宛の上記指示データが受信された場合、Fモデム21を用いて宛先の子機に対して指示データを転送する。そして、この転送に応じて配下の子機から返送されてきた指示データを、Fモデム21を用いて親機C0に転送する。
【0051】
バッファ25は、制御部24の指示に従い、Fモデム21及びFモデム22から入力されるデータを記憶する記憶手段である。インターフェイス26は電気メータとの間でデータの入出力を行う。
【0052】
ここから、親機C0と子機C11〜C37の間で行われる通信について、詳しく説明していく。
【0053】
初めに、以下の説明の前提を説明しておく。以下では、電力線搬送通信システム1内の各子機と親機C0との通信状態は、図4に示す通りであると仮定する。すなわち、図4に示すように、親機C0は、子機C11〜C14、C21〜C23、C31〜C32との間で、OFDM信号と位相変調信号(位相変調方式により変調された搬送波信号)の両方を送受信できる。その他の子機C15〜C17、C24〜C27、C33〜C37との間では、OFDM信号は送受信できないが、位相変調信号の送受信はできる。
【0054】
さて、図1(b)は、電力線搬送通信システム1のネットワークトポロジを示す図である。同図に示すように、本実施の形態では、論理的に親機C0と直接接続しているのは子機C11〜C14,C21〜C23,C31〜C32(以下、直接通信子機と総称する。)のみである。このうち、子機C14,C23,C32はリピータ(以下、リピータ子機と総称する。)として用い、各電力線上で親機C0との距離がリピータ子機よりも離れている子機C15〜C17,C24〜C27,C33〜C37(以下、リピータ経由通信子機と総称する。)は、リピータとしての子機C14,C23,C32を介して、親機C0と接続されている。
【0055】
このようなネットワークトポロジを採用しているのは、図4に示したように、リピータ経由通信子機は、距離が離れ過ぎていて親機C0とOFDM通信による直接通信ができないためである。具体的に各子機を直接通信子機、リピータ経由通信子機のいずれとするか、またどの子機をリピータ子機として用いるかについては、親機C0の処理によってシステム立ち上げ時に自動決定される。この処理の詳細については、後に子機をリピータとして機能させるための設定に係る処理を説明する際に説明する。
【0056】
図1(a)(b)に示すように、親機C0と各直接通信子機との通信には、第1の周波数帯Fを用いる。つまり、各直接通信子機は、Fモデム21により親機C0とのOFDM通信(第1のOFDM通信)又は位相変調通信を行う。ただし、指示データや検針データの送受信にはOFDM通信のみを用いるというのは、上述したとおりである。一方、リピータ子機とリピータ経由通信子機との通信には、第2の周波数帯Fを用いる。つまり、これらの子機は、Fモデム22により相互にOFDM通信(第2のOFDM通信)を行う。
【0057】
図5の各図は、親機C0と各子機との間若しくは子機間で送受信される信号のフォーマットを示す図である。なお、これらの図に示しているのはネットワークレイヤより上位のレイヤに係る部分のみであって、同期信号など、ネットワークレイヤより低いレイヤに係る部分については示していない。以下、これらの図を参照しながら、親機C0と各子機との間及び子機間での信号の送受信について説明する。
【0058】
まず、図5(a)は、親機C0が直接通信子機(リピータ子機を除く)に指示データを送信する際に用いる信号のフォーマットである。パソコンから検針データ取得の指示を受けた親機C0は、指示データと、宛先アドレスとしての直接通信子機のアドレスと、送信元としての自機のアドレスとを含む信号を生成し、第1のOFDM通信により電力線B1〜B3上に送出する。各子機は電力線上を流れる信号のヘッダを監視しており、自機のアドレスが付加された信号が流れてきた場合に、その信号を受信する。
【0059】
図5(b)は、直接通信子機(リピータ子機を除く)が親機C0に検針データを送信する際に用いる信号のフォーマットである。図5(a)の信号を受信した各直接通信子機は、まず電気メータから検針データを取得する。そして、検針データと、宛先アドレスとしての親機C0のアドレスと、送信元としての自機のアドレスとを含む信号を生成し、第1のOFDM通信により電力線上に送出する。親機C0は電力線B1〜B3上を流れる信号のヘッダを監視しており、自機のアドレスが付加された信号が流れてきた場合に、その信号を受信する。以上の処理により、直接通信子機(リピータ子機を除く)からの検針データの取得が完了する。
【0060】
次に、図5(c)は、親機C0がリピータ子機及びリピータ経由通信子機に指示データを送信する際に用いる信号のフォーマットである。親機C0は、指示データと、宛先アドレスとしてのリピータ子機のアドレスと、送信元としての自機のアドレスとを含む信号を生成し、第1のOFDM通信により電力線B1〜B3上に送出する。
【0061】
図5(d)は、リピータ子機が配下のリピータ経由通信子機に指示データを転送する際に用いる信号のフォーマットである。リピータ子機は、親機C0から受信した信号の宛先アドレス及び送信元アドレスを、それぞれリピータ経由通信子機のアドレス及び自機のアドレスで書き換え、第2のOFDM通信により電力線上に送出する。
【0062】
図5(e)は、リピータ経由通信子機がリピータ子機に検針データを送信する際に用いる信号のフォーマットである。図5(d)の信号を受信した各リピータ経由通信子機は、まず電気メータから検針データを取得する。また、受信した信号の送信元アドレスから、検針データの宛先アドレス(すなわち、リピータ子機のアドレス)を取得する。そして、検針データと、宛先アドレスとしてのリピータ子機のアドレスと、送信元としての自機のアドレスとを含む信号を生成し、第2のOFDM通信により電力線上に送出する。
【0063】
図5(f)は、リピータ子機が親機C0に検針データを送信する際に用いる信号のフォーマットである。図5(b)の信号を受信したリピータ子機は、自機に接続されている電気メータから検針データを取得し、バッファ25(図3(b))に蓄積する。また、図5(e)に示した信号により、配下のリピータ経由通信子機からも検針データを取得し、バッファ25(図3(b))に蓄積する。そして、リピータ子機は、すべての検針データの取得が完了したら、蓄積された検針データと、宛先アドレスとしての親機C0のアドレスと、送信元としての自機のアドレスとを含む信号を生成し、第1のOFDM通信により電力線上に送出する。親機C0は、この信号を受信することにより、リピータ子機及びリピータ経由通信子機からの検針データの取得を完了する。
【0064】
以上、親機C0と各子機との間及び子機間で行われる信号の送受信について説明した。次に、この信号送受信の具体的な手順について説明する。
【0065】
図6は、親機C0と各子機との間及び子機間での通信ステップを示す模式図である。同図中の矢印は信号a〜fの送受信を示している。なお、信号a〜fは、図5(a)〜(f)に対応している。また、以下の説明で親機C0が信号を送信する順序は、子機の数などを考慮して、総通信ステップ数が最も少なくなるように予めプログラミングされたものである。
【0066】
まず初めに、信号の同時送受信について説明しておく。信号a〜c,fの送受信には第1のOFDM通信が用いられ、信号d,eの送受信には第2のOFDM通信が用いられることから、信号a〜c,fと信号d,eとは、電力線B1〜B3上で同時に送受信することができる。また、各リピータ子機及びその配下のリピータ経由通信子機の間で送受信される信号は、機器間の距離が十分に離れているため、他のリピータ子機及びその配下のリピータ経由通信子機の間で送受信される信号とは干渉しない。したがって、各リピータ子機及びその配下のリピータ経由通信子機の間での信号の送受信は、各電力線上で互いに独立して同時に行うことが可能である。親機C0における上記プログラミングは、これらを考慮して行われる。
【0067】
さて、図6に示すように、親機C0は、まず3つのリピータ子機C32,C23,C14を順次宛先として、信号c(指示データを含む信号)を送信する(ステップ1〜3)。この送信は第1のOFDM通信により行われる。
【0068】
各リピータ子機C32,C23,C14は、親機C0から信号cを受信すると直ちに、配下のリピータ経由通信子機のうちのひとつを宛先として、信号d(指示データを含む信号)を第2のOFDM通信により送信する(ステップ2〜4)。信号dを受信したリピータ経由通信子機は直ちに検針データを取得し、リピータ子機に向けて信号e(検針データを含む信号)を第2のOFDM通信により返送する(ステップ3〜5)。各リピータ子機C32,C23,C14は、こうして受信した信号eに含まれる検針データをバッファ25に蓄積する。各リピータ子機C32,C23,C14は、以上の処理を配下のリピータ経由通信子機すべてについて繰り返す(リピータ子機C32についてはステップ2〜11。リピータ子機C23についてはステップ3〜10。リピータ子機C14についてはステップ4〜9。)。そして、すべての配下のリピータ経由通信子機の検針データが蓄積されたら、自機の検針データも含む信号fを生成し、親機C0に向けて第1のOFDM通信により送信する。
【0069】
本実施の形態では各リピータ子機C32,C23,C14の配下にそれぞれ5つ,4つ,3つのリピータ経由通信子機があるので、親機C0がリピータ子機C14に向けて信号cを送信したステップ3の7ステップ後であるステップ10で、まずリピータ子機C14が信号fを親機C0に向けて第1のOFDM通信により送信する。次に、ステップ11,12で、リピータ子機C23,C32が順次、信号fを親機C0に向けて第1のOFDM通信により送信する。
【0070】
ステップ4〜9でリピータ子機が上記処理を行っている間、親機C0は直接通信子機C11〜C13との間で第1のOFDM通信により信号a,bの送受信を行い、これらの子機から検針データを取得する。また、親機C0は、ステップ13以降で、残りの直接通信子機C21,C22,C31との間で第1のOFDM通信により信号a,bの送受信を行い、これらの子機から検針データを取得する。最終的に、ステップ18が完了した時点で、すべての子機からの検針データの取得が完了する。
【0071】
以上説明したように、電力線搬送通信システム1では、第1及び第2の周波数帯という重複しない2つの周波数帯を用いているので、リピータ子機がリピータ経由通信子機とOFDM通信している間、親機は他の子機とOFDM通信することができる。したがって、リピータを用いる場合の通信時間が短縮される。より具体的に言えば、図17に示した背景技術では検針データの取得を完了するまでに66ステップを要していたものが、電力線搬送通信システム1では18ステップで完了している。
【0072】
また、各電力線上のリピータ子機は、他の電力線上のリピータ子機から独立して、配下のリピータ経由通信子機と通信することができるので、複数の電力線を有する場合の通信時間が短縮されている。
【0073】
また、リピータ子機にバッファを備えたことにより、親機とリピータ子機との通信回数を減らすことができるので、通信時間がさらに短縮されている。
【0074】
さて、ここから、子機をリピータとして機能させるための設定に係る処理について説明する。なお、この処理は電力線搬送通信システム1の立ち上げ時に行うことが好適である。また、初期状態では、各子機はFモデム21を用いて第1のOFDM通信を行うよう設定されている。
【0075】
図3(a)に示したように、親機C0は、判定部16、選択部17、切替部18を含んでいる。このうち、まず判定部16が、OFDM通信により直接通信できるか否かを子機ごとに判定する。次に、選択部17は、判定部16がOFDM通信により直接通信できると判定した子機の中から、リピータとして機能させる子機を選択し、選択した子機をリピータ子機として記憶する。そして、切替部18は、判定部16がOFDM通信により直接通信できないと判定した子機との通信を、リピータ子機を介する通信に切り替える。すなわち、これらの子機をリピータ経由通信子機として記憶するとともに、リピータ子機に対してリピータとして機能するよう命令する。また、各リピータ経由通信子機に対して、位相変調通信により、第1のOFDM通信から第2のOFDM通信への切り替えを指示する。
【0076】
以下、親機C0の具体的な処理手順について詳しく説明する。
【0077】
図7は、電力線B2に接続している各子機C21〜C27に関する処理の手順を示している。以下、この図7を参照しながら親機C0の処理について詳しく説明していくが、電力線B1,B3に接続している各子機に関しても、同様な手順で処理が行われる。
【0078】
図7に示すように、まず判定部16が、通信品質確認用の信号g(確認信号)をブロードキャストキャスト送信する(ステップ1)。この送信は、第1のOFDM通信により行われる。
【0079】
図8は、上記信号gのフォーマットを示す図である。同図に示すように、通信品質確認用の信号gは、プリアンブルとブロードキャストデータとを含んで構成される。なお、プリアンブルにはブロードキャストアドレスが含まれ、ブロードキャストデータには当該信号が通信品質確認用の信号であることを示す所定のデータが含まれる。
【0080】
図7に戻る。各子機は、Fモデム21を介して信号gが受信されると、その受信品質を測定する。なお、受信品質には、受信レベル、信号対ノイズ比(SNR)、ビットエラー数、フレームエラー数などが含まれる。
【0081】
子機C21〜C23は、図4に示したように、親機C0との間でOFDM信号を送受信できる。したがって、子機C21〜C23は信号gを受信し、信号gが受信されたことを示す情報と、信号gの受信品質を示す情報を含む信号hを生成し、親機C0に向けて第1のOFDM通信により送信する(ステップ2)。これに対し、子機C24〜C27は、図4に示したように、親機C0との間でOFDM信号を送受信できない。したがって、子機C24〜C27は信号gを受信できず、親機C0に向けて何も送信しない。判定部16は、所定のタイミングで子機C24〜C27からの信号が受信されないことにより、OFDM通信では子機C24〜C27との直接通信ができないと判定する。
【0082】
次に、判定部16は、上記信号gと内容的には同様の信品質確認用の信号iを、再度ブロードキャストキャスト送信する。今度の送信は、115kHz及び132kHzの位相変調通信をそれぞれ用いて、2度にわたって行われる(ステップ3,5)。
【0083】
各子機は、Fモデム21を介して信号iが受信されると、その受信品質を測定する。なお、受信品質の内容は上述した信号gの場合と同様である。
【0084】
子機C21〜C27はいずれも、図4に示したように、親機C0との間で位相変調信号を送受信できる。したがって、子機C21〜C27は信号iを受信し、信号iが受信されたことを示す情報と、信号iの受信品質を示す情報を含む信号jを生成し、親機C0に向けて位相変調通信により送信する(ステップ4,6)。
【0085】
以上の処理により、判定部16は、子機C21〜C23をOFDM通信により直接通信できる子機であると判定し、子機C24〜C27をOFDM通信では直接通信できない子機であると判定する。
【0086】
以上説明した判定部16の処理が完了し、OFDM通信で直接通信できない子機が1つでも存在していた場合、次に切替部18が、OFDM通信では直接通信できないと判定された子機C24〜C27に対し、第1のOFDM通信から第2のOFDM通信への切り替えを指示するための指示信号kを、位相変調通信により送信する(ステップ7)。指示信号kを受信した子機C24〜C27は、それ以降、Fモデム22にてOFDM信号を待機する。
【0087】
次に、選択部17がリピータ子機候補を選択する。具体的には、判定部16によりOFDM通信により直接通信できると判定された子機C21〜C23の中から、通信品質の低い順に所定個の子機をリピータ子機候補として選択する。通信品質の低い順とするのは、親機C0との通信品質が低いほど、直接通信できない子機に近いと考えられるからである。ここでは、所定個を2個とすることにすると、子機C22,C23がリピータ子機候補として選択される。
【0088】
選択部17は、選択したリピータ子機候補に対して、順次、子機C24〜C27の存在確認を行うよう命令するための命令信号lを送信する(ステップ8,12)。命令信号kの送信順は選択部17が決定すればよい。各リピータ子機候補の制御部24(図3(b))は、この命令信号lを受信すると、上述した判定部16の処理と同様に、通信品質確認用の信号gをブロードキャスト送信し(ステップ9,13)、各子機からの応答信号h(ステップ10,14)をバッファ25に蓄積する。なお、ここでの信号gの送信には第2のOFDM通信が用いられる。そのため、この信号gは子機C24〜C27のみによって受信され、子機C21〜C23は受信しない。そして、一定時間が経過したら、バッファ25に蓄積した各応答信号を含む信号mを生成し、親機C0に向けて送信する(ステップ11,15)。
【0089】
選択部17は、各リピータ子機候補C22,C23から受信した信号mに基づき、どちらの子機が、子機C24〜C27との通信状態がより良好であるかを判定する。そして、より良好であると判定した子機を、リピータ子機として選択する。なお、図1の例では、子機C23の方が子機C24〜C27との距離が近いので、子機C23がリピータ子機として選択される。
【0090】
選択部17がリピータ子機を選択したら、次に切替部18が、リピータ子機C23に対して、リピータとして機能するよう命令するための命令信号nを第1のOFDM通信により送信する(ステップ16)。この命令信号nには、配下のリピータ経由通信子機となる子機C24〜C27を示す情報が含まれる。
【0091】
リピータ子機C23の制御部24(図3(b))は、この命令信号nを受信すると、自機がリピータ子機となることを記憶し、リピータとしての動作を開始する。そして、親機C0に対してネットワーク構築完了通知のための信号oを第1のOFDM通信により送信する(ステップ17)。親機C0は、この信号oを受信することにより子機C23がリピータとして機能し始めたことを認識し、子機C23をリピータとして用いる運用モードを開始する。具体的には、検針データの取得の際、子機C24〜C27には指示データを送らないこととし、子機C24〜C27の検針データはリピータ子機C23から受信する。
【0092】
以上説明したように、電力線搬送通信システム1によれば、子機をリピータとして機能させるための設定を、人手を介さずに行うことが可能になる。すなわち、リピータ子機を介して通信を行うリピータ経由通信子機と直接通信する直接通信子機とを、システム構築後に人手を介さずに分類することが可能になる。また、親機C0は、リピータ子機を適切に選択できる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0094】
例えば、上記実施の形態では3つの電力線B1〜B3を用いる電力線搬送通信システム1を例に挙げて説明したが、本発明は、1つの電力線のみを用いる電力線搬送通信システムにおいても、同様な効果を奏する。
【符号の説明】
【0095】
1 電力線搬送通信システム
11,21 Fモデム
12,23 同期信号生成器
13,24 制御部
14,25 バッファ
15,26 インターフェイス
16 判定部
17 選択部
18 切替部
22 Fモデム
B1〜B3 電力線
C0 親機
C11〜C17,C21〜C27,C31〜C37 子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と、前記親機に接続する電力線とを備え、前記電力線にはそれぞれリピータ機能を内蔵する複数の子機がバス接続される電力線搬送通信システムであって、
前記親機は、
前記子機ごとに、OFDM通信により直接通信できるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段がOFDM通信により直接通信できると判定した子機の中からリピータ子機を選択する選択手段と、
前記判定手段がOFDM通信では直接通信できないと判定した子機との通信を前記リピータ子機を介する通信に切り替える切替手段とを有することを特徴とする電力線搬送通信システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記判定手段がOFDM通信により直接通信できると判定した子機と、その他の子機との間の通信品質に基づいて、前記リピータ子機を選択することを特徴とする請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項3】
前記判定手段は、OFDM変調方式を用いて変調した確認信号を送信し、
前記各子機は、前記確認信号を受信した場合に第1の応答信号を返送し、
前記判定手段は、前記確認信号の送信後所定のタイミングで前記第1の応答信号が受信された子機について、OFDM通信により直接通信できると判定し、受信されなかった子機について、OFDM通信では直接通信できないと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項4】
前記親機と前記子機との直接通信は、第1の周波数帯を用いる第1のOFDM通信により行われ、
前記リピータ子機と他の子機との通信は、前記第1の周波数帯とは重複しない第2の周波数帯を用いる第2のOFDM通信により行われることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項5】
前記切替手段は、前記判定手段がOFDM通信では直接通信できないと判定した子機に対して、位相変調通信により、前記第1のOFDM通信から前記第2のOFDM通信への切り替えを指示することを特徴とする請求項4に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項6】
前記親機に接続し、複数の子機がバス接続された電力線を複数備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の電力線搬送通信システム。
【請求項7】
前記リピータ子機は、前記第1のOFDM通信により前記親機から受信した情報を蓄積するとともに、前記第2のOFDM通信により他の子機から受信した情報を蓄積するバッファを備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電力線搬送通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−171579(P2010−171579A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10743(P2009−10743)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】