説明

電動パーキングブレーキ制御システム

【課題】部品点数を増加させることなく、温度に応じた目標荷重値を設定することができる電動パーキングブレーキ制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】車両の車輪を制動するパーキングブレーキと、前記パーキングブレーキをコントロールケーブルを介して作動または解除するアクチュエータと、外気温センサと、荷重センサと、前記アクチュエータを制御する制御部とを備えた電動パーキングブレーキ制御システムであって、前記制御部は、連続する複数の温度領域に区分された温度領域情報に基づいて、前記外気温センサからの外気温の時系列において、前記パーキングブレーキの作動より以前の所定時間内における外気温が属する温度領域のうちの低温度側の温度領域を特定し、特定された温度領域に応じた目標荷重値まで到達するように前記アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする電動パーキングブレーキ制御システムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に備えられる電動パーキングブレーキ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーキングブレーキの作動、解除をコントロールケーブルを介して電動で行うアクチュエータを備える電動パーキングブレーキ装置が知られている。この電動パーキングブレーキ装置では、コントロールケーブルに該コントロールケーブルの張力(荷重)を検出するための荷重センサが介装されており、この荷重センサからの出力信号を受けた制御装置によってアクチュエータを制御することにより、パーキングブレーキの作動、解除が行われている。
【0003】
ところで、このようなコントロールケーブルを用いた電動パーキングブレーキ装置では、温度によってコントロールケーブルの荷重効率が異なるために、目標荷重値を温度に応じて設定することが望まれている。特許文献1では、このような問題を解決するために、電動アクチュエータにおける雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部を設けて、この雰囲気温度検出部の出力に基づいて、電動アクチュエータに供給する設定電流値を変更する電動パーキングブレーキ制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−56090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている電動パーキングブレーキ制御装置のように雰囲気温度検出部を設けた場合には、部品点数が増えるため、その分のスペースを確保する必要があるとともに、パーキングブレーキ装置のレイアウトも制限されてしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、部品点数を増加させることなく、温度に応じた目標荷重値を設定することができる電動パーキングブレーキ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電動パーキングブレーキ制御システムは、車両の車輪を制動するパーキングブレーキと、前記パーキングブレーキをコントロールケーブルを介して作動または解除するアクチュエータと、外気温センサと、荷重センサと、前記アクチュエータを制御する制御部とを備えた電動パーキングブレーキ制御システムであって、前記制御部は、連続する複数の温度領域に区分された温度領域情報に基づいて、前記外気温センサからの外気温の時系列において、前記パーキングブレーキの作動より以前の所定時間内における外気温が属する温度領域のうちの低温度側の温度領域を特定し、前記荷重センサの測定値が特定された温度領域に応じた目標荷重値まで到達するように前記アクチュエータの駆動を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明の電動パーキングブレーキ制御システムによれば、複数の温度領域に区分された温度領域情報に基づいて、外気温センサから得られた外気温の時系列において、パーキングブレーキの作動より以前の所定時間内における外気温が属する温度領域のうちの低温度側の温度領域を特定して、荷重センサの測定値が特定された温度領域に応じた目標荷重値まで到達するようにアクチュエータの駆動を制御している。これにより、本発明の電動パーキングブレーキ制御システムでは、コントロールケーブルやアクチュエータなどの温度をモニタリングすることなく、温度に応じた荷重値でパーキングブレーキを作動することができるので、新たな温度センサを設ける必要がない。
【0009】
(2)本発明の電動パーキングブレーキ制御システムによれば、特定された前記低温度側の温度領域として、最低温度領域を用いている。そのため、最低温度領域に応じた目標荷重値まで到達するようにアクチュエータの駆動が制御されるので、パーキングブレーキの作動をより確実にすることができる。
【0010】
(3)本発明の電動パーキングブレーキ制御システムによれば、所定時間内における最低外気温を特定し、この特定された最低外気温に応じて最低温度領域が特定されるので、最低温度領域の特定が容易になる。
【0011】
(4)本発明の電動パーキングブレーキ制御システムによれば、所定時間内における温度変化は、少なくとも、パーキングブレーキの作動までにおいて温度が上昇する温度変化である場合には、インナーケーブル自体の温度変化が降下時よりも上昇時に起こりにくく、特に氷点下などの低温域での温度上昇がし難いために、特に寒冷地に対応した制御とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電動パーキングブレーキ制御システムの一実施形態を示す概略ブロック構成図である。
【図2】温度領域情報と目標荷重値との関係を示す図である。
【図3】本発明の電動パーキングブレーキ制御システムがパーキングブレーキの作動を行う場合の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の電動パーキングブレーキ制御システムが温度領域を特定するための処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。本発明の電動パーキングブレーキ制御システム1は、図1に示すように、車両の車輪を制動するパーキングブレーキ2と、該パーキングブレーキ2をコントロールケーブル3を介して作動又は解除するアクチュエータ4と、荷重センサ5と、外気温センサ6と、アクチュエータ4を制御する制御部として機能する制御装置(ECU)7等を備えるものである。また、この電動パーキングブレーキ制御システム1には、パーキングブレーキ2の作動又は解除を行うために制御装置7に対して作動信号、解除信号を送る操作スイッチ8、車両のエンジンのオン・オフを切り替えるために制御装置7に対してオン信号、オフ信号を送るイグニッションスイッチ9、各部の異常(故障)を検出した際に当該異常を報知するワーニングランプ10、パーキングブレーキ2等が作動していることを報知する作動ランプ11、車両の前後左右4輪の回転速度等の情報や車両の勾配情報等を制御装置7に対して逐次伝送するための車両CAN制御通信バス12、アクチュエータ4のモータの回転情報を検出するためのモータ回転センサ13等が設けられている。
【0014】
パーキングブレーキ2は、主に駐停車時等に車両が移動するのを防止するために車両の車輪を制動するものである。このパーキングブレーキ2は、例えば、車両の左右後輪のホイールハブ部にそれぞれ設けられるドラムインディスクタイプのものであって、フットブレーキとして用いられるディスクブレーキのロータの内側に配置された不図示のブレーキドラムと、このブレーキドラムに接触することにより、制動力を発生させるブレーキシュー等を備えている。
【0015】
アクチュエータ4は、コントロールケーブル3を介してパーキングブレーキ2のブレーキシューを駆動させて、パーキングブレーキ2に制動力を発生させる作動状態と、実質的に制動力を発生させない解除状態との間の移行を行うものである。このアクチュエータ4は、詳しくは図示しないが、制御装置7によって正転、逆転駆動される正逆回転可能なモータと、このモータの回転数を減速させる複数段のギアからなる減速機構と、この減速機構の出力にて回転駆動されるスクリューと、このスクリューの回転により該スクリューの軸方向に往復動するイコライザ機構を構成しているナット等を備えており、このイコライザ機構によってコントロールケーブル3が牽引又は弛緩される。
【0016】
コントロールケーブル3は、外装のアウターケーシングと該アウターケーシングの内部を摺動自在なインナーケーブルを備えるものである。このコントロールケーブル3は、左右のパーキングブレーキ2に対応するようにそれぞれ設けられており、アクチュエータ4によって牽引又は弛緩されることにより、パーキングブレーキ2の作動又は解除が行われる。
【0017】
荷重センサ5は、コントロールケーブル3に作用する荷重(張力)を測定するためのものである。この荷重センサ5で得られた測定値は、制御装置7へと送られ、制御装置7は、この測定値が所定の目標荷重値に到達するようにアクチュエータ4の駆動を制御する。荷重センサ5は詳しくは図示しないが、例えば、主な構成部材として、シャフトと、主ばねと、副ばねと、マグネットと、ホールIC等を備えており、コントロールケーブル3の作動又は解除に伴って前記シャフトが軸方向に往復動し、このシャフトの往復動と共に、マグネットが往復動するようになっている。そして、このマグネットの往復動により該マグネットに対応して配置されているホールICが、コントロールケーブル3の荷重に相当する主ばねと副ばねとの圧縮、伸長変形量に応じた電圧をコントロールケーブル3に作用する荷重の測定値として制御装置7へ出力するようになっている。
【0018】
外気温センサ6は、車両の外気温を検出するためのものであって、例えば、オートエアコンディショナの制御等に用いられるものである。この外気温センサ6によって得られた外気温の測定値は、制御装置7へと送られ、例えば、制御装置7が有するRAM等に時系列データとして一時的に記憶される。尚、この外気温の時系列は、後述する温度領域情報に基づいて温度領域を特定する際に利用されるものである。
【0019】
制御装置(ECU)7は、操作スイッチ8からの入力等に応じてアクチュエータ4等の制御を行うためのものであり、車両各部の制御を行うためのプログラムを格納するROM、荷重センサ5や外気温センサ6等から得たデータを一時的に記憶するためのRAM等を備えている。
【0020】
また、この制御装置7のROMには、連続する複数の温度領域に区分された温度領域情報が予め記憶されている。この温度領域情報とは、図2の横軸に示すように、予め設定した所定の温度範囲を示す複数の温度領域に区分したものであり、ここでは、温度領域を6つに区分した例を示している。図2に示す温度領域情報では、T1未満の温度領域を極低温域(A1)、T1以上T2未満の温度領域を低温域2(A2)、T2以上T3未満の温度領域を低温域1(A3)、T3以上T4未満の温度領域を常温域2(A4)、T4以上T5未満の温度領域を常温域1(A5)、T5以上の温度領域を高温域(A6)としている。尚、この温度領域の区分数やそれぞれの温度領域の範囲は、これに限定されるものではなく、区分数を増やすことにより、細かな設定にしても良い。
【0021】
また、図2の縦軸には、それぞれの温度領域に応じた目標荷重値を示している。この目標荷重値は、車両が駐停車時に移動するのを確実に防止するためにアクチュエータ4によってコントロールケーブル3に作用させる荷重値であり、図2では、各温度領域A1〜A6に応じて目標荷重値F1〜F6が設定されている。尚、この目標荷重値も温度領域の区分数に応じて細かく設定しても良い。
【0022】
操作スイッチ8は、パーキングブレーキ2の作動又は解除の指令を行うためのものであって、例えば、車両のインストルメントパネル等に設けられている。この操作スイッチ8から制御装置7に対して作動信号が送られると、制御装置7は、アクチュエータ4のモータを正転駆動させてコントロールケーブル3を牽引することによりパーキングブレーキを作動させる。また、コントロールケーブル3が牽引されると、荷重センサ5からコントロールケーブル3に作用する荷重の測定値が制御装置7へと送られ、同時にモータ回転センサ13からモータの回転情報が制御装置7へと送られる。そして、コントロールケーブル3に作用する荷重の測定値が目標荷重値に到達すると、制御装置7は、一定の制動力を確保された判断して、モータを停止させる。これにより、ブレーキが掛かった状態となる。また、パーキングブレーキ2の作動状態から、操作スイッチ8から解除信号が制御装置7へ送られた場合には、制御装置7は、パーキングブレーキ2の解除を行うようにコントロールケーブル3を弛緩させる。
【0023】
次に、本発明の電動パーキングブレーキ制御システム1が、パーキングブレーキ2の作動を行う際の動作について、図3及び図4のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、図3に示すように、ステップS1において、制御装置7は、操作スイッチ8から送られた作動信号に基づいてパーキングブレーキ2が正常に作動するか否かを判断する。制御装置7が、何らかの異常を検出し、パーキングブレーキ2が正常に作動しないと判断した場合には、例えば、ワーニングランプ10を点灯させて異常を報知して、処理を終了する。また、制御装置7が、パーキングブレーキ2は正常に作動すると判断した場合には、ステップS2に進む。
【0024】
ステップS2では、制御装置7は、コントロールケーブル3を介してパーキングブレーキ2の作動を行うためにアクチュエータ4を駆動させ、ステップS3へと進む。
【0025】
ステップS3では、制御装置7は、図2に示す温度領域情報に基づいて、温度領域の特定を行うか否かを判断する。制御装置7が、温度領域の特定を行うと判断した場合には、ステップS5に進み、温度領域の特定を行わないと判断した場合にはステップS4に進む。制御装置7が、温度領域の特定を行わないと判断する場合としては、例えば、何らかの原因によって外気温センサ6から外気温のデータが得られなかったために温度領域の特定が行えない場合や予め温度領域情報を利用しない旨の設定が選択されていた場合等がある。
【0026】
ステップS4では、制御装置7は、予め設定されている標準目標荷重値になるようにアクチュエータ4を駆動させ、ステップS6に進む。尚、この標準目標荷重値は、予め車両が使用される地域や条件等に応じて決められるものであり、寒冷地等で使用する場合等のようにコントロールケーブル2の荷重効率が低くなると想定される場合には、車両が駐停車時に移動するのを確実に防止するために強めの荷重値に設定されていることが好ましい。
【0027】
ステップS5では、制御装置7は、図2に示すような温度領域情報に基づいて、外気温センサ6から得られた制御装置7のRAM等に記憶されている外気温の時系列において、パーキングブレーキ2の作動より以前の所定時間内における外気温が属する温度領域のうちの最低温度領域を特定し、この特定された最低温度領域に応じた目標荷重値になるようにアクチュエータ4を駆動させる。ここでの所定時間とは、予め設定された時間であり、例えば、操作スイッチ8から作動信号が制御装置7に送られて、パーキングブレーキ2の作動が開始される以前の60分間等が用いられる。尚、この所定時間の長さは、これに限定されるものではなく、車両が使用される地域や条件等に応じて適宜決められるようにしても良い。また、車両のエンジンが始動してから予め設定された所定時間に満たない間にパーキングブレーキ2の作動が開始されるような場合には、エンジンが始動してからパーキングブレーキ2の作動が開始されるまでの間を所定時間として、この所定時間内における外気温の時系列を温度領域の特定に用いても良い。
【0028】
次に、ステップS5内の処理における温度領域の特定の仕方について、図4を参照しつつ説明する。制御装置7は、図4に示すように、まずステップS11において、外気温の時系列から所定時間内における最低外気温Tminを特定する。
【0029】
そして、ステップS12において、制御装置7は、ステップS11にて特定された最低外気温Tminがどの温度領域に属するものであるかを特定するための比較を行うために、最初の条件となる初期値としてnに1を与える。具体的には、例えば、図2に示す極低温域(A1)と低温域2(A2)との境界温度となるT1が与えられて、ステップ13へと進む。
【0030】
ステップS13では、制御装置7は、ステップS11にて特定された最低外気温Tminが極低温域(A1)と低温域2(A2)との境界温度T1未満であるか否かを判断する。制御装置7が、最低外気温Tminが境界温度T1未満であると判断した場合には、ステップS14にて最低外気温Tminは、温度領域A1=極低温域に属すると判断し、この温度領域を最低温度領域として特定して処理を終了する。
【0031】
制御装置7が、最低外気温Tminが境界温度T1未満ではないと判断した場合には、ステップS15へと進み、次の温度領域である低温域2(A2)と低温域1(A3)の境界温度T2が与えられるようにnに1が加算され、ステップS16へと進む。
【0032】
ステップS16では、制御装置7は、nが最も境界温度が高くなる場合の条件となるNmax未満であるか否かを判断する。尚、このNmaxは、温度領域の区分数に対応するものであり、図2に示す温度領域情報の場合には、Nmaxは6に設定される。ステップS16において、制御装置7が、nはNmax未満であると判断した場合には、再びステップS13にて最低外気温Tminが次の境界温度T2未満であるか否かを判断し、最低外気温Tminが境界温度T2未満であると判断した場合には、ステップS14へと進み、最低温度Tminが境界温度T2未満でないと判断した場合には、ステップS15へと進む。このステップS13〜S15の処理は、nがNmaxに到達するまでの間、同様に繰り返されて最低外気温Tminがどの温度領域に属するかを判断することにより最低温度領域を特定する。
【0033】
また、ステップS16において、制御装置7が、nはNmax未満ではないと判断した場合、つまりnの値がNmax=6に到達した場合には、高温域(A6)より上の温度領域は存在しないので、ステップS17において、最低外気温Tminは高温域(A6)に属すると判断し、温度領域の特定処理を終了する。
【0034】
このようにして、最低外気温Tminがどの温度領域に属するか特定されると、制御装置7は、ステップS5において、図2に示すように、それぞれの温度領域に応じた目標荷重値を決定して、その目標荷重値になるようにアクチュエータ4を駆動させ、ステップ6へ進む。
【0035】
ステップ6では、制御装置7は、荷重センサ5から得られる測定値に基づいて、アクチュエータ4によってコントロールケーブル2に作用する荷重がステップS4又はステップS5の目標荷重値に到達したか否かを判断し、目標荷重値に到達した場合には、目標の制動力が確保されたと判断して、アクチュエータ4の駆動を停止する。また、制御装置7が、荷重センサ5から得られる測定値が目標荷重値に到達していないと判断した場合には、アクチュエータ4を目標荷重値に到達するように更に駆動させる処理を繰り返し、目標荷重値に到達すると、アクチュエータ4の駆動を停止し処理を終了する。
【0036】
このように、本発明の電動パーキングブレーキ制御システム1では、車両に従来から設けられている外気温センサ6から得られた外気温の時系列を用いて、温度に応じた荷重値でパーキングブレーキを作動することができるので、新たな温度計等を設ける必要がなく、そのためのスペースを確保する必要もない。
【0037】
尚、本発明の電動パーキングブレーキ制御システム1では、図4に示すように、まず外気温の時系列から所定時間内における最低外気温Tminを特定して、この特定された最低外気温Tminがどの温度領域に属するか判断することにより最低温度領域を特定する例について説明したが、最低温度領域の特定の仕方はこれに限定されるものではなく、例えば、まず外気温センサ6から得られた外気温の時系列を全てどの温度領域に属するか分類した後に、この外気温の時系列が属する温度領域のうち、最も低い温度領域を最低温度領域として特定するように処理しても良い。
【0038】
また、図3及び図4に示す処理では、制御装置7は、最低温度領域を特定して、この最低温度領域に対応する荷重を目標荷重値としているが、例えば、外気温センサ6から得られた外気温の時系列が、図2に示す全ての温度領域A1〜A6に属するように分布しているような場合には、温度領域A1〜A6のうちの低温度側に位置する低温域1(A3)を温度領域として特定し、この低温域1(A3)に対応する荷重値F3を目標荷重値として設定するようにしても良い。
【0039】
尚、本発明の電動パーキングブレーキ制御システム1は、上述の形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る電動パーキングブレーキ制御システムは、パーキングブレーキの作動、解除をアクチュエータを用いて電動で行う自動車等の車両用の電動パーキングブレーキ制御システムとして有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 電動パーキングブレーキ制御システム
2 パーキングブレーキ
3 コントロールケーブル
4 アクチュエータ
5 荷重センサ
6 外気温センサ
7 制御装置(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪を制動するパーキングブレーキと、前記パーキングブレーキをコントロールケーブルを介して作動または解除するアクチュエータと、外気温センサと、荷重センサと、前記アクチュエータを制御する制御部とを備えた電動パーキングブレーキ制御システムであって、
前記制御部は、
連続する複数の温度領域に区分された温度領域情報に基づいて、前記外気温センサからの外気温の時系列において、前記パーキングブレーキの作動より以前の所定時間内における外気温が属する温度領域のうちの低温度側の温度領域を特定し、
前記荷重センサの測定値が特定された温度領域に応じた目標荷重値まで到達するように前記アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする電動パーキングブレーキ制御システム。
【請求項2】
特定された前記低温度側の温度領域が、最低温度領域である請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御システム。
【請求項3】
前記最低温度領域の特定が、
前記所定時間内における最低外気温を特定し、
特定された最低外気温に応じて前記最低温度領域を特定することを特徴とする請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御システム。
【請求項4】
前記所定時間内における温度変化が、少なくとも、前記パーキングブレーキの作動までにおいて温度が上昇する温度変化である請求項1〜3のいずれかに記載の電動パーキングブレーキ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35508(P2013−35508A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175258(P2011−175258)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】