説明

電動パーキングブレーキ装置

【課題】 イコライザ31のねじ軸周りの回動を規制すること。
【解決手段】 電動パーキングブレーキ装置は、電気モータ11の回転駆動力を直線駆動力に変換する変換機構B、直線駆動力により駆動され直線駆動力を二つの出力部に分配する分配機構C、分配機構Cの各出力部に連結され直線駆動力を各パーキングブレーキ13,15に伝達するケーブル17,19、電気モータ11の正逆回転駆動を制御する電気制御装置を備える。変換機構Bは、雄ねじ25aを有し軸方向での移動を規制された状態で電気モータ11により回転駆動されるねじ軸25、ねじ軸の雄ねじ25aに螺合されたナット27、ナット27のねじ軸周りの回転を制限した状態にてナット27のねじ軸方向への移動をガイドするガイドプレート29を備える。分配機構Cのイコライザ31は、ナット27とガイドプレート29間に介在してガイド平面29aに摺動可能に係合する摺動係合部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において採用されるパーキングブレーキ装置、特に、電気モータを入力源として、同電気モータの正回転駆動によりパーキングブレーキを制動状態とし、前記電気モータの逆回転駆動により前記パーキングブレーキを解除状態とするように構成した電動パーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動パーキングブレーキ装置の一つとして、電気モータの回転駆動力を直線駆動力に変換する変換機構と、前記直線駆動力によって駆動されるとともに前記直線駆動力を二つの出力部に分配する分配機構と、この分配機構の各出力部に連結されて前記直線駆動力を各パーキングブレーキに伝達する一対のケーブルと、前記電気モータの正逆回転駆動を制御する電気制御装置とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−161063号公報
【0003】
上記した従来の電動パーキングブレーキ装置においては、前記変換機構が、外周に雄ねじを有し軸方向での移動を規制された状態にて前記電気モータによって正方向または逆方向に回転駆動されるねじ軸と、このねじ軸の前記雄ねじに螺合されたナットを備えており、前記分配機構が、中央部にて前記ナットに揺動可能に支持されていて前記ナットとともにねじ軸方向へ移動可能であり、前記中央部から前記ねじ軸の径外方に向けて延びる一対のアーム部の先端部分にて前記各ケーブルと結合されるイコライザを備えている。
【発明の開示】
【0004】
ところで、上記した従来の電動パーキングブレーキ装置においては、ナットが円柱形状に形成されていて、この円柱形状のナットの径方向にねじ軸が貫通するように構成されており、ねじ軸の軸心とナットの軸心が略直交している。また、イコライザがナットの一端部にナットの軸心周りに揺動可能に組付けられている。このため、かかる構成では、イコライザの一対のアーム部の先端部分(出力部)に一対のケーブルをそれぞれ結合することで、ナットとイコライザのねじ軸周りの回転を規制することが可能である。
【0005】
しかし、上記した構成では、ねじ軸が電気モータによって正方向または逆方向に回転駆動される際に、ナットとイコライザがねじ軸周りに或る程度回転することは避けられず、イコライザのねじ軸周りの回転によってイコライザのケーブルとの結合部やケーブルに無理な力が加わり、当該装置の耐久性を損なうおそれがある。また、特許文献1のように、ケーブルに張力センサが組付けられている場合には、イコライザのねじ軸周りの回転が、張力センサの耐久性や精度に悪影響を与えるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するために、上記した形式の電動パーキングブレーキ装置において、前記変換機構が、外周に雄ねじを有し軸方向での移動を規制された状態にて前記電気モータによって正方向または逆方向に回転駆動されるねじ軸と、このねじ軸の前記雄ねじに螺合されたナットと、このナットのねじ軸周りの回転を制限した状態にて前記ナットのねじ軸方向への移動をガイドするガイド手段を備え、前記分配機構が、中央部にて前記ナットに揺動可能に支持されていて前記ナットとともにねじ軸方向へ移動可能であり、前記中央部から前記ねじ軸の径外方に向けて延びる一対のアーム部の先端部分にて前記各ケーブルと結合されるイコライザを備えており、前記ガイド手段が前記イコライザと前記各ケーブルとの両結合中心と前記ねじ軸の軸心を含む平面に平行でねじ軸方向に延在するガイド平面を備え、前記イコライザがその中央部に前記ナットと前記ガイド平面間に介在していて前記ガイド平面に対して摺動可能に係合する摺動係合部(平板状に形成されていることが好ましい)を備えていて、前記イコライザが前記ガイド平面によりねじ軸周りの回転を規制されており、前記ナットが前記ねじ軸から正逆何れの方向でもねじ軸周りのトルクを受けたとき、前記ナットが前記イコライザに係合してねじ軸周りの回転を規制されることに特徴がある。
【0007】
この電動パーキングブレーキ装置においては、イコライザの中央部に、ガイド平面に対して摺動可能に係合する摺動係合部が設けられていて、イコライザがナットとともにねじ軸方向へ移動するとき、イコライザがガイド平面により案内されて、ねじ軸周りの回動(無用な動き)を規制される。これにより、イコライザの各ケーブルとの結合部やケーブルに無理な力が作用しなくて、当該装置の耐久性を向上させることが可能である。なお、ケーブルに張力センサが組付けられる場合においては、張力センサの精度および耐久性をも向上させることが可能である。
【0008】
また、本発明の実施に際して、前記ナットが前記ねじ軸から正逆何れの方向でもねじ軸周りのトルクを受けて前記イコライザに係合する際に前記ナットから前記イコライザに作用する力が、前記イコライザの前記摺動係合部と前記ガイド平面の摺動可能な係合領域内にて、前記イコライザを前記ガイド平面に押し付ける方向の分力を有していることも可能である。この場合には、ナットからイコライザに作用する力が如何に大きくても、イコライザはガイド平面上で傾動(揺動)することはなく、上記した作用効果が安定して得られる。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記イコライザを揺動可能に支持する前記ナットの支持部が球形状に形成され、このナットの支持部に揺動可能に支持される前記イコライザの被支持部が円筒形状に形成されていることも可能である。この場合には、ナットの支持部とイコライザの被支持部が共に円筒形状に形成される場合に比して、ナットの支持部からイコライザの被支持部へのトルク伝達量を少なくすることが可能であり、ナットのねじ軸周りの回転によってイコライザがねじ軸周りに回転しないことをより確実なものとすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を実施した自動車用の電動パーキングブレーキ装置のアクチュエータを示していて、このアクチュエータは、電気モータ11の出力である回転駆動力を減速して伝達する減速機構Aと、この減速機構Aを介して伝達される電気モータ11の回転駆動力を直線駆動力に変換する変換機構Bと、この変換機構Bにより変換された直線駆動力によって駆動されるとともに直線駆動力を二つの出力部に分配する分配機構Cと、この分配機構Cの各出力部に連結されて直線駆動力を各パーキングブレーキ13,15に伝達する一対のケーブル17,19と、電気モータ11の正逆回転駆動を制御する電気制御装置ECU(図2参照)を備えている。
【0011】
電気モータ11は、車体に組付けられるハウジング21(図1ではカバーが取り外されている)に、減速機構Aと共に組付けられている。また、電気モータ11は、図2に示したように、電気制御装置ECUに電気的に接続されていて、電気制御装置ECUによって作動を制御されるようになっており、運転者が制動スイッチSW1を操作することにより正方向に回転駆動され、運転者が解除スイッチSW2を操作することにより逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0012】
減速機構Aは、適宜な数の減速ギヤ列(図示省略)によって構成されていて、各ギヤはハウジング21に組付けたケーシング23内に組み込まれており、入力ギヤは電気モータ11の出力軸(図示省略)に固着され、出力ギヤはねじ軸25の一端(ケーシング23内に突出している端部)に固着されている。
【0013】
変換機構Bは、上述したねじ軸25と、このねじ軸25に螺合されたナット27と、このナット27のねじ軸周りの回転を制限した状態にてナット27のねじ軸方向への移動をガイドするガイド手段としてのガイドプレート29を備えていて、ねじ軸25が正方向に回転駆動されることによりナット27が図1の右方位置(解除位置)から図1の左方位置(制動位置)に向けてねじ軸25の軸方向に移動され、また、ねじ軸25が逆方向に回転駆動されることによりナット27が図1の左方位置(制動位置)から図1の右方位置(解除位置)に向けてねじ軸25の軸方向に移動されるようになっている。
【0014】
分配機構Cは、ナット27に作用する直線駆動力を二つの出力部に等分に分配するものであり、中央部31aにてナット27に揺動可能に支持されていてナット27とともにねじ軸方向へ移動可能であり、中央部31aからねじ軸25の径外方に向けて延びる一対のアーム部31b,31cの先端部分(出力部)にて各ケーブル17,19と結合されるイコライザ31を備えている。
【0015】
ねじ軸25は、外周に雄ねじ25aを有していて、一対の軸受26,28を介してハウジング21に回転自在かつ軸方向へ移動不能に組付けられている。また、ねじ軸25は、その軸方向での移動を軸受26,28によって規制された状態にて電気モータ11によって減速機構Aを介して正方向または逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0016】
ナット27は、内周に雌ねじ27aを有していて、この雌ねじ27aにてねじ軸25の雄ねじ25aに螺合されている。また、ナット27は、ねじ軸25の軸心O1に直交する断面形状が、図3にて示したように、上方が円形で下方が矩形とされていて、下方の両矩形隅角部分27b,27cにてイコライザ31の中央部31aの摺動係合部31a1背面に係合可能である。また、ナット27は、イコライザ31を揺動可能に支持する支持部27dをねじ軸方向の一端部に有していて、この支持部27dが、図1および図4にて示したように、球形状に形成されている。
【0017】
ガイドプレート29は、樹脂製のプレートであり、図1、図3および図4にて示したように、ハウジング21の底壁21a上に固着されていて、イコライザ31と各ケーブル17,19との両結合中心O2,O3とねじ軸25の軸心O1を含む平面に平行なガイド平面29aを備えている。ガイド平面29aは、所要の幅W2(イコライザ31における摺動係合部31a1の幅W1より僅かに広い幅)を有していて、ねじ軸方向に延在しており、イコライザ31の摺動係合部31a1と摺動可能に係合している。
【0018】
イコライザ31は、その中央部31aに設けられてナット27とガイドプレート29間に介在している摺動係合部31a1の下面にてガイドプレート29のガイド平面29aに摺動可能に係合しており、摺動係合部31a1の下面とガイド平面29aの摺動可能な係合領域Sはねじ軸方向の長さがL(図4参照)であり幅がW1(図3参照)である。また、イコライザ31は、その中央部31aに設けた被支持部31a2にて、ナット27の支持部27dに揺動可能に支持されていて、この被支持部31a2が円筒形状に形成されている。
【0019】
また、イコライザ31は、一方の出力部であるアーム部31bの先端部分にて、一方のケーブル17におけるインナーワイヤ17aの一端部と直接に回動可能に連結され、他方の出力部であるアーム部31cの先端部分にて、他方のケーブル19におけるインナーワイヤ19aの一端部と張力センサTSおよびロッド33を介して回動可能に連結されている。
【0020】
一方のケーブル17は、インナーワイヤ17aと、このインナーワイヤ17aの両端部以外の外周を被覆するアウターチューブ17bによって構成されていて、インナーワイヤ17aの他端部は、一方のパーキングブレーキ13の作動部に連結されている。他方のケーブル19は、インナーワイヤ19aと、このインナーワイヤ19aの両端部以外の外周を被覆するアウターチューブ19bによって構成されていて、インナーワイヤ19aの他端部は、他方のパーキングブレーキ15の作動部に連結されている。
【0021】
張力センサTSは、図1にて示したように、他方のケーブル19のインナーワイヤ19aとイコライザ31の他方の出力部であるアーム部31cの先端部分との連結部位にロッド33とともに介装されて他方のケーブル19におけるインナーワイヤ19aの張力を検出するものであり、その検出信号(張力検出値)は電気制御装置ECUに入力されるようになっている。電気制御装置ECUは、図2にて概略的に示したように、制動スイッチSW1と解除スイッチSW2と張力センサTSに電気的に接続されるとともに、電気モータ11とインジケータランプILに電気的に接続されている。
【0022】
上記のように構成したこの実施形態においては、両ケーブル17,19等が正常で当該アクチュエータが正常に作動する場合、制動スイッチSW1が操作されると、電気モータ11が正回転駆動されて、変換機構Bのねじ軸25が正回転され、これに伴ってナット27とイコライザ31が図1の右方位置(解除位置)から図1の左方位置(制動位置)に向けてねじ軸25の軸方向に移動する。このため、両ケーブル17,19のインナーワイヤ17a,19aが引っ張られて両パーキングブレーキ13,15が制動状態とされる。なお、ナット27とイコライザ31が図1の左方位置(制動位置)に移動すると、張力センサTSにより検出される張力が設定値となって、インジケータランプILが点灯するとともに、電気モータ11の正回転駆動が停止されて、両パーキングブレーキ13,15の制動状態が維持される。
【0023】
また、当該アクチュエータが正常に作動する場合において、解除スイッチSW2が操作されると、電気モータ11が逆回転駆動されて、変換機構Bのねじ軸25が逆回転され、これによりナット27とイコライザ31が図1の左方位置(制動位置)から図1の右方位置(解除位置)に移動する。このため、両ケーブル17,19のインナーワイヤ17a,19aが緩められて両パーキングブレーキ13,15が解除状態とされる。なお、ナット27とイコライザ31が図1の右方位置(解除位置)に移動すると、張力センサTSにより検出される張力が略ゼロとなって、インジケータランプILが消灯するとともに、電気モータ11の逆回転駆動が停止されて、両パーキングブレーキ13,15の解除状態が維持される。
【0024】
ところで、上記した実施形態においては、ガイドプレート29が、イコライザ31と各ケーブル17,19との両結合中心O2,O3とねじ軸25の軸心O1を含む平面に平行でねじ軸方向に延在するガイド平面29aを備え、イコライザ31が、その中央部31aに、ナット27とガイド平面29a間に介在していてガイド平面29aに対して摺動可能に係合する摺動係合部31a2を備えていて、イコライザ31がガイド平面29aによりねじ軸周りの回転を規制されており、ナット27がねじ軸25から正逆何れの方向でもねじ軸周りのトルクを受けたとき、ナット27の矩形隅角部分27bまたは27cがイコライザ31の摺動係合部31a1背面に係合して、ナット27がねじ軸周りの回転を規制される(図3の仮想線参照)。
【0025】
このため、この実施形態においては、イコライザ31の各ケーブル17,19との結合部やケーブル17,19のインナーワイヤ17a,19a、ロッド33、張力センサTS等に無理な力が作用しなくて、当該装置の耐久性を向上させることが可能である。また、ケーブル17のインナーワイヤ17aとロッド33間に設けた張力センサTSに無理な力が作用しなくて、張力センサTSの精度および耐久性をも向上させることが可能である。
【0026】
また、この実施形態においては、図3および図4に示した構成から明らかなように、ナット27がねじ軸25からねじ軸周りのトルクを受けてイコライザ31に係合する際に、ナット27からイコライザ31に作用する力が、イコライザ31の摺動係合部31a2とガイドプレート29のガイド平面29aとの摺動可能な係合領域S内にて、イコライザ31をガイド平面29aに押し付ける方向の分力を有する構成とされている。このため、ナット27からイコライザ31に作用する力が如何に大きくても、イコライザ31はガイド平面29a上で傾動(揺動)することはなく、上記した作用効果が安定して得られる。
【0027】
なお、上記した分力の反力は、ガイドプレート20のガイド平面29aからイコライザ31の摺動係合部31a2を介してナット27に作用する垂直抗力であり、この垂直抗力の着力点は上記した係合領域S内にあり、この着力点の幅方向外側にもイコライザ31の摺動係合部31a2とガイドプレート29のガイド平面29aの摺動可能な係合領域Sがある。また、ナット27の矩形隅角部分27bまたは27cがイコライザ31の摺動係合部31a1背面に係合するときには、上記した垂直抗力とは逆向きでねじ軸25からナット27が受ける作用力と上記した垂直抗力からなる偶力がナット27に作用することにより、ナット27のねじ軸周りの回転が規制される。
【0028】
また、この実施形態においては、イコライザ31を揺動可能に支持するナット27の支持部27dが球形状に形成され、このナット27の支持部27dに揺動可能に支持されるイコライザ31の被支持部31a2が円筒形状に形成されている。このため、ナット27の支持部27dとイコライザ31の被支持部31a2が共に円筒形状に形成される場合に比して、ナット27の支持部27dからイコライザ31の被支持部31a2へのトルク伝達量を少なくすることが可能であり、ナット27のねじ軸周りの回転によってイコライザ31がねじ軸周りに回転しないことをより確実なものとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による電動パーキングブレーキ装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示した電気モータおよび張力センサと図1に示されていない電気制御装置、制動スイッチ、解除スイッチおよびインジケータランプとの関係を示すブロック図である。
【図3】図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】図3に示したねじ軸、ナット、イコライザ、ガイドプレートの関係を示す要部縦断側面図である。
【符号の説明】
【0030】
11…電気モータ、13,15…パーキングブレーキ、17,19…一対のケーブル、21…ハウジング、23…ケーシング、25…ねじ軸、25a…雄ねじ、27…ナット、27a…雌ねじ、27b,27c…矩形隅角部分、27d…支持部、29…ガイドプレート、29a…ガイド平面、31…イコライザ、31a…中央部、31a1…摺動係合部、31a2…被支持部、31b,31c…アーム部、33…ロッド、ECU…電気制御装置、A…減速機構、B…変換機構、C…分配機構、TS…張力センサ、SW1…制動スイッチ、SW2…解除スイッチ、IL…インジケータランプ、O1…ねじ軸の軸心、O2,O3…イコライザとケーブルとの結合中心、S…イコライザの摺動係合部とガイドプレートのガイド平面との摺動可能な係合領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータの回転駆動力を直線駆動力に変換する変換機構と、前記直線駆動力によって駆動されるとともに前記直線駆動力を二つの出力部に分配する分配機構と、この分配機構の各出力部に連結されて前記直線駆動力を各パーキングブレーキに伝達する一対のケーブルと、前記電気モータの正逆回転駆動を制御する電気制御装置とを備えた電動パーキングブレーキ装置において、
前記変換機構が、外周に雄ねじを有し軸方向での移動を規制された状態にて前記電気モータによって正方向または逆方向に回転駆動されるねじ軸と、このねじ軸の前記雄ねじに螺合されたナットと、このナットのねじ軸周りの回転を制限した状態にて前記ナットのねじ軸方向への移動をガイドするガイド手段を備え、
前記分配機構が、中央部にて前記ナットに揺動可能に支持されていて前記ナットとともにねじ軸方向へ移動可能であり、前記中央部から前記ねじ軸の径外方に向けて延びる一対のアーム部の先端部分にて前記各ケーブルと結合されるイコライザを備えており、
前記ガイド手段が前記イコライザと前記各ケーブルとの両結合中心と前記ねじ軸の軸心を含む平面に平行でねじ軸方向に延在するガイド平面を備え、前記イコライザがその中央部に前記ナットと前記ガイド平面間に介在していて前記ガイド平面に対して摺動可能に係合する摺動係合部を備えていて、前記イコライザが前記ガイド平面によりねじ軸周りの回転を規制されており、前記ナットが前記ねじ軸から正逆何れの方向でもねじ軸周りのトルクを受けたとき、前記ナットが前記イコライザに係合してねじ軸周りの回転を規制されることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パーキングブレーキ装置において、前記ナットが前記ねじ軸から正逆何れの方向でもねじ軸周りのトルクを受けて前記イコライザに係合する際に前記ナットから前記イコライザに作用する力が、前記イコライザの前記摺動係合部と前記ガイド平面の摺動可能な係合領域内にて、前記イコライザを前記ガイド平面に押し付ける方向の分力を有していることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動パーキングブレーキ装置において、前記イコライザの前記摺動係合部が平板状に形成されていることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の電動パーキングブレーキ装置において、前記イコライザを揺動可能に支持する前記ナットの支持部が球形状に形成され、このナットの支持部に揺動可能に支持される前記イコライザの被支持部が円筒形状に形成されていることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−308085(P2007−308085A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141261(P2006−141261)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】