説明

電動機

【課題】設計及び製作が簡単で、且つ、小電流で動作可能な電動機を提供することにある。
【解決手段】第1の固定永久磁石45と第2の固定永久磁石50を有する固定子55と、巻線部と間隙部とに分割された第1のスイッチング巻線15を有する第1のリング状コア10と、巻線部と間隙部とに分割された第2のスイッチング巻線20を有する第2のリング状コア12と、互いに駆動軸60で連結された、第1の回転永久磁石25を有する第1の回転子35と、第2の回転永久磁石30を有する第2の回転子40とを有し、第1、第2のスイッチング用巻線15、20は、それぞれ第1、第2の電源部125−1、2と第1、第2のスイッチ部75−1、2とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子及び固定子が共に永久磁石により構成される電動機に係り、詳しくは、回転子及び固定子の間に配備されたスイッチ巻線により、回転子及び固定子間の吸引、反撥を制御して回転力を得る電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁極を等角間隔を置いて同一円周上に列設した円筒状磁鉄心のこれら対の磁極のうち一方のみを囲堯して隈取用非鉄金属環を設け、単相交流電源に接続すべき線輪を有する固定子とし、該固定子の磁極群から小空隙離れて可回動的に任意個数の焼結材料の小耐久磁石を設けた回転子からなる同期電動機が記載されている。
【0003】
図8は、特許文献1の同期電動機の縦断面図である。図8において、線輪2に単相交流を通ずるときは固定子の構造上円筒鉄心1の上方端部5、6の磁極極性は順次移動するが、この際回転子の放射腕3の先端小軸に設けてある小磁石4は、それに最も近く配在してある固定子側の磁極5、6との磁気的吸引及び反撥の関係から若干回動し、次いで回転子側の規定している所定方向へと極めて滑らかに回転を起こし、後爾線輪2に電流を流しておる限り回転を接続することができる。すなわち本モータにおいては、スタートに際し線輪3に電流が流れると共に小磁石体4は小軸のまわりに若干回動して回動力を受ける最も適切な位置を取って始動をなすのであって、この小磁石体4は宛も月が地球の周りを公転するような関係がある。
【0004】
特許文献2には、同一回転軸に誘導電動機Aの回転子と同期電動機Bの回転子とを設け、該同期電動機の回転子はその固定子側磁極に面する全周面又は極面に凡て同一磁極が現れるよう磁石化し、尚その固定側磁極にそれぞれ捲装の励磁線輪は交互に捲回方向を変えて直到に所定周波数電源に接続し、別に固定子側ヨークから回転子に至る磁路は非磁性体を以って分離し、誘導電動機Aにより主として回転軸の起動及び回転持続を行なわせ、同期電動機には真空管回路の一定周波数の出力を与えて該回転軸を一定速度を以って回転するよう補整する同期電動装置が記載されている。
【0005】
図9は、特許文献2の同期電動装置の内部構造を示すための一部縦断面図である。図9において、同期電動機Bの回転子をば全周面凡てN極又はS極にし、且ヨークは内外の2部分8、9に分け両者の間の磁路抵抗を可調整の極めて高い値にとってあるがため、スタートの際は極めて少ない抵抗の下に小型の誘導電動機Aで間に合うし、且又所定の回転速度に近いスピードに到達させるにも、発電作用に基づく強い抵抗を受けることが無い。
【0006】
即ち真空管回路から得る出力の周波数で決まる所定の回転速度の(+)(−)近くに回転軸2を小型誘導電動機Aにより容易にスタートさせて正常の回転状態に入らせることができ、しかも回転軸7を所定回転速度に保持するため補整さようだけを、真空管回路から得る出力を以って同期電動機Bを制御すれば足りるから同期電動機Bに要する電力は少なくて事足り機械装置全体の設計は頗る容易且低廉に製作することができる。
【0007】
このように、特許文献1における発明の同期電動機は、単相交流電源に接続される線輪を有する固定子と、小耐久磁石を設けた回転子とから構成されている。また特許文献2における発明の同期電動装置は、商用交流電力の供給を受ける励磁線輪を有する固定子と籠型回転子とから成る一般形式の誘導電動機Aと、励磁線輪a〜hを有する固定子と磁化された硬磁性材の回転子とから成る同期電動機Bとから構成されている。すなわち、いずれの構成においても、回転子の永久磁石を覆うように、同心円状に固定子が設けられ、励磁用のコイルに電流を流し、回転磁界を発生させることにより回転力を得ている。この回転力を得るために要する電流は、必要とするトルクを得るために十分な多くの電流を要する。また、固定子と回転子を同心円状に配置するため、固定子と回転子との間隙を精度良く保つ必要があり、高度な設計及び製作技術を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許出願公告 昭33−5011号公報
【特許文献2】特許出願公告 昭33−1961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、設計及び製作が簡単で、且つ、小電流で動作可能な電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電動機は、一方の側に複数個からなる第1の固定永久磁石を有し、他方の側に前記複数個と同数の第2の固定永久磁石を有し、前記複数個の第1、第2の固定永久磁石の互いに対向する磁極が異極となるよう配備された固定子と、巻線部と間隙部とに分割された分割数が前記複数個と同数に分割されて巻かれた第1のスイッチング巻線を有し、第1の固定永久磁石側に配備されて固定された第1のリング状コアと、巻線部と間隙部とに分割された分割数が前記複数個と同数に分割されて巻かれた第2のスイッチング巻線を有し、第2の固定永久磁石側に配備されて固定された第2のリング状コアと、互いに駆動軸で連結された、第1のスイッチング巻線に対向した前記複数個と同数の第1の回転永久磁石を有する第1の回転子と、第2のスイッチング巻線に対向した第1の回転永久磁石と同極に対向した前記複数個と同数の第2の回転永久磁石を有する第2の回転子と、を有し、第1、第2のスイッチング用巻線は、それぞれ第1、第2の電源部と第1、第2のスイッチ部とを有し、第1、第2の回転子の回転のタイミングを基に第1、第2のスイッチ部が動作することにより第1、第2の電源部から第1、第2のスイッチング用巻線に電流が供給され、第1、第2の回転板による回転が制御されることを特徴とする。
【0011】
本発明の電動機の第1のスイッチング巻線の巻線部の中央部が複数個の第1の固定永久磁石がそれぞれ互いに接する隣接部に対向して巻かれ、第2のスイッチング巻線の巻線部の中央部が前記複数個の第2の固定永久磁石がそれぞれ互いに接する隣接部に対向して巻かれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動機によれば、回転トルクの大きさは各永久磁石の磁界の強さで決まり、この磁界による相互作用を制御するためのスイッチング用巻線の電流は小電流でよいため、電動機に要する電力が少なくて済む。また、固定子と回転子とは、同じ回転軸に所定の間隙を持って容易に配置できるため、高度な設計及び製作技術を必要としない。これにより小電力で動作可能な、簡易な電動機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の電動機の構成を示す構成図。
【図2】本発明による固定子の構成を示す固定子構成図。
【図3】本発明によるスイッチング用巻線の接続構成を示す接続回路図。
【図4】本発明によるリング状コアと固定子カバーとの組立構成を示す組立図。
【図5】本発明による回転子の構成を示す回転子構成図。
【図6】ロータリースイッチと回転軸との接続を示す接続図。
【図7】電子スイッチによる回路接続図。
【図8】特許文献1の同期電動機の縦断面図。
【図9】特許文献2の同期電動装置の内部構造を示すための一部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の電動機の構成を示す構成図である。図1において、電動機200は、一方の側に4個からなる第1の固定永久磁石45を有し、他方の側に該4個と同数の第2の固定永久磁石50を有し、第1、第2の固定永久磁石の互いに対向する磁極が異極となるよう配備された固定子板55を有している。
【0015】
また、第1の固定永久磁石45側に配備され、固定された第1のリング状コア10に巻線部と間隙部とがそれぞれ4つに分割されて巻かれた第1のスイッチング用巻線15と、第2の固定永久磁石50側に配備され、固定された第2のリング状コア12に巻線部と間隙部とがそれぞれ4つに分割されて巻かれた第2のスイッチング用巻線20とを有している。
【0016】
さらに、互いに回転軸60で連結された、第1のリング状コア10に対向した前記4個と同数の第1の回転永久磁石25を有する第1の回転子35と、第2のリング状コア12に対向した前記4個と同数の第2の回転永久磁石30を有する第2の回転子40とを有している。第1の回転永久磁石25と第2の回転永久磁石30との対向する磁極は、互いに同極となるように配置されている。なお、固定永久磁石の数及び回転永久磁石の数が共に4の場合について説明しているが、同数であれば、2以上の任意の数であっても良い。
【0017】
固定子55と第1のリング状コア10と第2のリング状コア12とは、固定子カバー85により台座90に固定されている。回転軸60は、軸受65、70により支持され、固定子カバー85を介して、台座95に固定されている。第1のスイッチング用巻線15に接続された第1のスイッチ部80、及び第2のスイッチング用巻線20に接続された第2のスイッチ部85は、それぞれ回転軸60に固定され、且つ、ブラシ80−1、80−2を介し、それぞれの電源部90−1、90−2に接続され、回転子35、40の回転動作とスイッチ部80、85のスイッチ動作とは同期して動作する。次に、電動機200の詳細な構成について説明する。
【0018】
図2は、本発明による固定子の構成を示す固定子構成図である。固定子55の一方の側に4個の第1の固定永久磁石45を有し、他方の側に同数の4個の第2の固定永久磁石50を有し、第1、第2の固定永久磁石45、50の対向する4個の磁極が互いに異極となるよう配備されている。この固定子55は、固定子カバー85を介して台座90に固定されている。
【0019】
図3は、本発明によるスイッチング用巻線の接続構成を示す接続回路図である。図3aにおいて、第1のリング状コア10には第1のスイッチング用巻線15が、巻線部と間隙部とがそれぞれ4つに分割されて巻かれている。第1のスイッチング用巻線15の両端には、第1の電源部125−1、第1のスイッチ部75−1、及び逆流防止用ダイオード130−1が直列に接続されて、閉回路を構成している。
【0020】
図3bにおいて、第2のリング状コア12には第2のスイッチング用巻線20が、巻線部と間隙部とがそれぞれ4つに分割されて巻かれている。また、第1、第2のスイッチング用巻線15、20の巻線部と間隙部とは、互いに対向するように巻かれている。第2のスイッチング用巻線20の両端には、第2の電源部125−2、第2のスイッチ部75−2、及び逆流防止用ダイオード130−2が直列に接続されて、閉回路を構成している。
【0021】
図4は、本発明によるリング状コアと固定子カバーとの組立構成を示す組立図である。第1のリング状コア10と第2のリング状コア12とは、互いに固定子55(図示されず)を挟んで両側に配置されて同一の固定子カバー85に固定され、且つ固定子カバー85は台座90に固定されている。
【0022】
図5は、本発明による回転子の構成を示す回転子構成図である。図5において、図4に示される第1のリング状コア10と第2のリング状コア12とにそれぞれ対向し、4個の第1の回転永久磁石25を有する第1の回転子板35と、4個の第2の回転永久磁石30を有する第2の回転子板40とが、互いに回転軸60で連結されている。また、第1の回転永久磁石25と第2の回転永久磁石40は、互いに同極に対向して配置されている。回転軸60は、図1における軸受65、70により支持され、固定子カバー85を介して、台座90に固定されている。
【0023】
図6は、ロータリースイッチと回転軸との接続を示す接続図である。図6a、bは、第1のスイッチ部75−1と第2のスイッチ部75−2とがロータリースイッチで構成され、回転軸60に接続されている。第1のスイッチ部75−1と第2のスイッチ部75−2として機能する各ロータリースイッチは、図3a、bに示されるように、第1の電源部125−1、及び逆流防止用ダイオード130−1と直列に接続されて第1のスイッチング用巻線15と閉回路を構成し、同様に、第2の電源部125−2、及び逆流防止用ダイオード130−2と直列に接続されて、第2のスイッチング用巻線20と閉回路を構成している。ロータリースイッチの端子間には、ロータリースイッチに発生するスパークを吸収するスパーク吸収用のコンデンサー95−1、95−2がそれぞれ接続されている。このロータリースイッチは、回転軸60の回転角に応じてオン、オフする。
【0024】
図7は、電子スイッチによる回路接続図である。図6の機械式スイッチであるロータリースイッチは、電子式スイッチであるパワーMOS100−1、100−2にそれぞれ置き替えられても良い。図7a、bにおいて、図5に示される第1及び第2の回転子35、40の回転角を検出する第1及び第2のホールセンサ(図示せず)の出力が、抵抗110−1、110−2を介してパワーMOS120−1、120−2のゲートにそれぞれ入力され、スイッチング素子として機能する。抵抗105−1、105−2は、ゲートへのバイアス電圧を生成している。また、パワーMOS100−1、100−2は、第1の電源部125−1、第2の電源部125−2、及び逆流防止用ダイオード130−1,130−2とそれぞれ直列に接続されて第1のスイッチング用巻線15、及び第2のスイッチング用巻線22と閉回路を構成している。パワーMOS120−1、120−2の一端と接地間には、スパーク吸収用コンデンサー115−1、115−2がそれぞれ接続されている。
【0025】
次に図1において、電動機200の動作について説明する前に、図1に示される各々の永久磁石の位置関係において、第1の回転子板35と第2の回転子板40と、さらに固定子55とが、それぞれ独立した回転軸を有するよう構成した場合を説明する。このような構成において、第1のリング状コア10の第1のスイッチング用巻線15に電流を流さない状態で、第1の回転子板35を例えば手動により回転させた場合、固定子55は静止状態を維持したままである。ところが、第1のスイッチング用巻線15に電流を流した状態で第1の回転子板35を回転させた場合は、対向する回転永久磁石25と固定永久磁石45の異極同士が引き合うように、固定子55は第1の回転子板35の回転に追従して回転を開始する。このように、第1の回転子板35と固定子55の磁界による相互作用を、第1のスイッチング用巻線15の電流で制御できる。
【0026】
また、第2のリング状コア12の第2のスイッチング用巻線20に電流を流さない状態で、第2の回転子板40を回転させた場合、固定子55は静止状態を維持したままである。これに対して、第2の回転子板40、または固定子55のいずれかを制止させた状態で、第2のスイッチング用巻線20に電流を流した場合、対向する回転永久磁石30と固定永久磁石55の対向したバランスが僅かに崩れると、互いの吸引反撥力により、制止されていない第2の回転子板40、または固定子55が回転を開始する。この場合も同様に、第2の回転子板40と固定子55の磁界による相互作用を、第2のスイッチング用巻線20の電流で制御できる。
【0027】
上記の回転制御動作を基に、図1の構成における回転動作を説明する。第2のスイッチング用巻線20に電流を流した状態で、対向する回転永久磁石30と固定永久磁石55の対向したバランスが僅かに崩れると、互いの吸引反撥力により、第2の回転子板40が回転を開始する。このとき、対向する第1の回転子板35の回転永久磁石25と固定子55の固定永久磁石45との異極同士が引き合うことにより回転の制動力とならないように、第1のスイッチング用巻線15への電流は遮断されている。
【0028】
この回転により、第1の回転子板35の回転永久磁石25と固定子55の固定永久磁石45の位置関係と、第2の回転子板40の回転永久磁石30と固定子55の固定永久磁石50の位置関係とが入れ替わる。この状態で第1のスイッチング用巻線15に電流を流すと、回転の慣性により対向する回転永久磁石30と固定永久磁石55との対向したバランスが僅かに崩れたとき、互いの吸引反撥力により、第1の回転子板35が回転軸60の回転を持続するように動作する。このとき同様に、対向する第2の回転子板40の回転永久磁石30と固定子55の固定永久磁石50との異極同士が引き合うことにより回転の制動力とならないように、第2のスイッチング用巻線20への電流は遮断される。
【0029】
このように、第1のスイッチング用巻線15および第2のスイッチング用巻線20への電流の供給を、第1のスイッチ部75−1と第2のスイッチ部75−2とにより切り換え制御することで、電動機200は回転を持続する。この第1のスイッチ部75−1と第2のスイッチ部75−2の電流切り換え制御は、図6及び図7において説明したとおり、機械式スイッチのロータリースイッチにより、回転軸60の回転角に応じてオン、オフしても良く、電子式スイッチであるパワーMOS100−1、100−2にそれぞれ置き替えられても良い。
【0030】
また、第1のスイッチング用巻線15および第2のスイッチング用巻線20に供給される電流の方向は、回転方向に対して限定されることは無い。回転トルクの大きさは各永久磁石の磁界の強さで決まり、スイッチング用巻線の電流は、この磁界による相互作用を制御するだけの小電流でよい。このため、図3に示されるように、第1、第2のリング状コア10、12には第1、第2のスイッチング用巻線15、20が、巻線部と間隙部とがそれぞれ4つに分割されて、互いに対向するように巻かれている。第1、第2のスイッチング用巻線15、20の両端には、第1、第2の電源部125−1、125−2、第1、第2のスイッチ部75−1、75−2、及び逆流防止用ダイオード130−1、130−2が直列に接続されて、閉回路を構成している。
【0031】
この構成において、第1の回転子板35および第2の回転子板40が回転することにより、回転永久磁石25、30の各々で形成される磁路が、それぞれ第1のスイッチング用巻線15および第2のスイッチング用巻線20の巻線部を貫通し、各巻線部には誘起起電力が発生する。この誘起起電力による各電流と、第1、第2の電源部125−1、125−2による電流とを加算して流すことにより、各電源部からのスイッチング用巻線の電流を、更に低減することができる。
【0032】
第1のスイッチング用巻線15および第2のスイッチング用巻線20の巻線部に誘起される起電力の電流方向が、各電源部から供給されるスイッチング用巻線の電流方向と異なる場合は、逆電流防止用ダイオード130−1、130−2により阻止される。この逆方向の電流が流れ出すタイミングと、回転を維持するためスイッチング用巻線の電流をオフするスイッチ部のタイミングとを同期させることにより、ダイオードを省略することも可能である。
【0033】
また、回転の開始方向を一定にするために、起動用に小型モータを設けても良く、本発明の電動機の2組をカップリング等で直結し、それぞれの回転子の回転永久磁石の配列角度を少しずらすことにより、静止状態から起動しても良い。さらに、第1のスイッチ部75−1と第2のスイッチ部75−2の電流切り換えタイミングを制御することにより、回転速度及び駆動力を制御でき、且つ、回転方向を制御することができる。
【0034】
以上説明したように本発明によると、回転トルクの大きさは各永久磁石の磁界の強さで決まり、この磁界による相互作用を制御するためのスイッチング用巻線の電流は小電流でよいため、電動機に要する電力が少なくて済む。またスイッチング用巻線に誘起される起電力の電流を利用することにより、電源部からの電流供給はさらに小電流とすることができる。固定子と回転子とは、同じ回転軸に所定の間隙を持って容易に配置できるため、高度な設計及び製作技術を必要としない。これにより小電力で動作可能な、簡易な電動機を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
10:第1のリング状コア
12:第2のリング状コア
15:第1のスイッチング用巻線
20:第2のスイッチング用巻線
25:第1の回転永久磁石
30:第2の回転永久磁石
35:第1の回転子
40:第2の回転子
42:第2の回転永久磁石
45:第1の固定永久磁石
50:第2の固定永久磁石
55:固定子
60:回転軸
65:第1の軸受
70:第2の軸受
75−1、2:スイッチ部
85:固定子カバー
90:台座
95−1、2:スパーク吸収用コンデンサー
100−1、2:パワーMOS
105−1、2:抵抗
110−1、2:抵抗
125−1:第1の電源部
125−2:第2の電源部
130−1、2:逆流防止用ダイオード
200:発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側に複数個からなる第1の固定永久磁石を有し、他方の側に前記複数個と同数の第2の固定永久磁石を有し、前記複数個の第1、第2の固定永久磁石の互いに対向する磁極が異極となるよう配備された固定子と、
巻線部と間隙部とに分割された分割数が前記複数個と同数に分割されて巻かれた第1のスイッチング巻線を有し、前記第1の固定永久磁石側に配備されて固定された第1のリング状コアと、
巻線部と間隙部とに分割された分割数が前記複数個と同数に分割されて巻かれた第2のスイッチング巻線を有し、前記第2の固定永久磁石側に配備されて固定された第2のリング状コアと、
互いに駆動軸で連結された、前記第1のスイッチング巻線に対向した前記複数個と同数の第1の回転永久磁石を有する第1の回転子と、前記第2のスイッチング巻線に対向した前記第1の回転永久磁石と同極に対向した前記複数個と同数の第2の回転永久磁石を有する第2の回転子と、を有し、
前記第1、第2のスイッチング用巻線は、それぞれ第1、第2の電源部と第1、第2のスイッチ部とを有し、
前記第1、第2の回転子の回転のタイミングを基に前記第1、第2のスイッチ部が動作することにより前記第1、第2の電源部から前記第1、第2のスイッチング用巻線に電流が供給され、前記第1、第2の回転板による回転が制御されることを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記第1のスイッチング巻線の前記巻線部の中央部が前記複数個の第1の固定永久磁石がそれぞれ互いに接する隣接部に対向して巻かれ、
前記第2のスイッチング巻線の前記巻線部の中央部が前記複数個の第2の固定永久磁石がそれぞれ互いに接する隣接部に対向して巻かれていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−172048(P2010−172048A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9478(P2009−9478)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【特許番号】特許第4309962号(P4309962)
【特許公報発行日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(597175916)
【出願人】(507193984)
【出願人】(308037258)
【出願人】(507194006)
【出願人】(308037269)
【Fターム(参考)】