説明

電動車両の導電路

【課題】 車輪に配置したモータの上下振動があっても、ケーブルの屈曲を小さく抑えて同ケーブルの不具合を防止することができる電動車両の導電路を提供する。
【解決手段】 この電動車両は、インバータ装置72が車両の車体51に取付けられ、車体51にサスペンション8を介してインホイールモータ駆動装置58が支持されている。この電動車両において、モータ1とインバータとを接続する動力ケーブル20aを有し、インホイールモータ駆動装置58の状態を検出するセンサを設け、このセンサからモータコントロール部まで延びるセンサケーブル20bを有する。車体51またはサスペンション8に、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bの長手方向の一部を係止する係止部材22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インホイールモータ駆動装置とインバータ装置とを電気的に接続する、電動車両の導電路に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両において、いわゆるバネ下に配置されたインホイールモータ駆動装置と、車体に搭載されたインバータ装置とを接続する電動車両の導電路には、少なくても3相分の動力線があり、さらにモータの回転角を検出する角度センサのセンサケーブルや、インホイールモータ駆動装置の状態を検知するセンサケーブルがある。これら動力線やセンサケーブルは、サスペンションの挙動に追従できるように、インホイールモータ駆動装置とインバータ装置間で係止せずに、フリーの状態であった(特許文献1,2)。
【0003】
なお本件出願人は、インホイールモータ駆動装置において、荷重センサのケーブルの取り回し等について開示している(特願2010−220793)。
特許文献1には、車輪に配置したモータと、インバータとの間の動力線の接続手段が開示されている。特許文献2には、動力線とセンサケーブルとを一体にしたケーブル一体品を、樹脂製の部材で覆う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−171952号公報
【特許文献2】特開2011−150991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インホイールモータ駆動装置とインバータ装置間において、その両端のみでモータケーブルを固定、支持した場合、モータケーブルの自重によって、モータケーブルの中央部が下がり、折れ曲がった部分では、車両の路面振動によるインホイールモータ駆動装置の上下振動によって、モータケーブルのシールド部分が摩耗し、シールド線に不具合を生ずるおそれがある。
【0006】
この発明の目的は、車輪に配置したモータの上下振動があっても、ケーブルの屈曲を小さく抑えて同ケーブルの不具合を防止することができる電動車両の導電路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の電動車両の導電路は、車輪を駆動するモータ、このモータの回転を減速する減速機、およびこの減速機の入力軸と同軸の出力部材によって回転される車輪用軸受を有するインホイールモータ駆動装置と、車両に搭載されるバッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部、およびこのパワー回路部を制御するモータコントロール部を有するインバータ装置とを備え、このインバータ装置が車両の車体に取付けられ、前記車体にサスペンションを介して前記インホイールモータ駆動装置が支持された電動車両において、前記モータとインバータとを接続する動力ケーブルを有し、インホイールモータ駆動装置の状態を検出するセンサを設け、このセンサから前記モータコントロール部まで延びるセンサケーブルを有し、車体またはサスペンションに、前記動力ケーブルおよびセンサケーブルの長手方向の一部を係止する係止部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
この明細書において、前記動力ケーブルおよびセンサケーブルを、単に「ケーブル」という場合がある。
この構成によると、車体またはサスペンションに、動力ケーブルおよびセンサケーブルの長手方向の一部を係止する係止部材を設けたため、車両の路面振動により車輪を駆動するモータの上下振動があっても、ケーブルの屈曲を係止部材で小さく抑えることができる。これにより、動力ケーブルやセンサケーブルのシールド線が屈曲動作による曲げ疲労で破損することを抑えることができる。係止部材は、ケーブルの長手方向の一部を係止するため、ケーブル全体としてサスペンションの挙動に追従することが可能となる。
【0009】
前記動力ケーブルおよびセンサケーブルを、それぞれ覆う樹脂部材を設けても良い。この場合、例えば、車両の走行時に路面等から跳上げられる異物等が、動力ケーブルおよびセンサケーブルに直接当たることを防止でき、ケーブルを保護することができる。
前記樹脂部材がコルゲートチューブであっても良い。コルゲートチューブは可撓性を有するため、ケーブルが屈曲しても同ケーブルに追従して撓み、コルゲートチューブ自体に割れ、欠け等を生じることなくケーブルを保護することができる。また円周方向の一部にスリットが形成されたコルゲートチューブを適用する場合、前記スリットを一時的に広げてこのコルゲートチューブをケーブルに着脱容易に設けることができる。
【0010】
前記係止部材は、樹脂部材と、樹脂部材に覆われている動力ケーブルおよびセンサケーブルとを共に係止しているものであっても良い。この場合、ケーブルの露出部分をより少なくでき、ケーブルを保護する効果を高めることができる。
前記樹脂部材は、動力ケーブルおよびセンサケーブルのうち、係止部材で係止されている部分以外を覆うものであっても良い。この場合、ケーブルを係止部材で係止した後、ケーブルの係止部材で係止されている部分以外を、樹脂部材で容易に覆うことができる。この樹脂部材が例えば経年劣化した場合には、ケーブルを係止部材で係止した状態で、樹脂部材のみ容易に交換することができる。
【0011】
前記係止部材は複数の部材から構成されているものであっても良い。この構成によると、インバータ装置およびインホイールモータ駆動装置を車体に設けた後、ケーブルの長手方向の一部を、複数の部材からなる係止部材で容易に係止することができる。この場合、ケーブルを予め係止した状態で、インバータ装置およびインホイールモータ駆動装置を車体に設ける場合よりも、組立の作業効率を高めることができる。
【0012】
前記係止部材は、係止されるケーブルに作用する衝撃を吸収する緩衝材を含むものであっても良い。この場合、モータの上下振動に起因してケーブルの屈曲動作があっても、緩衝材により、ケーブルに作用する衝撃を吸収することができる。これにより、ケーブルの寿命を延ばすことが可能になる。
【0013】
前記インホイールモータ駆動装置と前記インバータ装置との間で、動力ケーブルおよびセンサケーブルを係止する係止部材を2箇所以上設けても良い。この場合、隣接する係止部材間でケーブルの屈曲を局所的に小さく抑えることができる。
前記センサが、車両の荷重を検出する荷重センサ、インホイールモータ駆動装置内の潤滑油量を検知する油量検知センサ、および前記モータのモータコイルの温度を検知する温度検知センサの少なくともいずれか1つを含むものであっても良い。これらセンサのケーブルの屈曲を係止部材で小さく抑えることで、シールド線の断線等を防止し得る。
【0014】
前記インバータにおける動力ケーブルの取り出し部を、モータにおける動力ケーブルの引き出し部よりも、車両の高さ方向に高い位置に設けても良い。例えば、インホイールモータ駆動装置に貯留された潤滑油が、モータにおける動力ケーブルの引き出し部から、この動力ケーブルを伝ってインバータにおける動力ケーブルの取り出し部まで不所望に漏れるおそれがなくなる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の電動車両の導電路は、車輪を駆動するモータ、このモータの回転を減速する減速機、およびこの減速機の入力軸と同軸の出力部材によって回転される車輪用軸受を有するインホイールモータ駆動装置と、車両に搭載されるバッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部、およびこのパワー回路部を制御するモータコントロール部を有するインバータ装置とを備え、このインバータ装置が車両の車体に取付けられ、前記車体にサスペンションを介して前記インホイールモータ駆動装置が支持された電動車両において、前記モータとインバータとを接続する動力ケーブルを有し、インホイールモータ駆動装置の状態を検出するセンサを設け、このセンサから前記モータコントロール部まで延びるセンサケーブルを有し、車体またはサスペンションに、前記動力ケーブルおよびセンサケーブルの長手方向の一部を係止する係止部材を設けたため、車輪に配置したモータの上下振動があっても、ケーブルの屈曲を小さく抑えて同ケーブルの不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る電動車両の導電路の要部を示す図である。
【図2】同電動車両のインホイールモータ駆動装置の断面図である。
【図3】図1の電動車両の導電路等を拡大して示す要部の拡大図である。
【図4】(A)は同導電路の係止部材の正面図、(B)は同係止部材の側面図である。
【図5】同電動車両を平面図で示す概念構成のブロック図である。
【図6】同電動車両の制御系のブロック図である。
【図7】(A)は、この発明の他の実施形態に係る電動車両の導電路の係止部材の正面図、(B)は同係止部材の側面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態の電動車両の導電路の例を示す図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態の電動車両の導電路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。
この実施形態に係る導電路は電動車両に設けられる。図1に示すように、この電動車両は、インホイールモータ駆動装置58と、インバータ装置72とを備えている。インバータ装置72が車両の車体51に取付けられ、前記車体51にサスペンション8を介してインホイールモータ駆動装置58が支持されている。
図2に示すように、インホイールモータ駆動装置58は、車輪52(図1)を駆動するモータ1と、このモータ1の回転を減速する減速機2と、この減速機2の入力軸3と同軸の出力部材4によって回転される車輪用軸受5と、潤滑油供給機構40とを有する。車輪用軸受5とモータ1との間に減速機2を介在させ、車輪用軸受5で支持される駆動輪である車輪52のハブと、モータ1のモータ回転軸6とを同軸心上で連結してある。図1に示すように、減速機2を収納する減速機ハウジング7には、サスペンション8のアッパーアーム8aおよびロアーアーム8bが連結される。なお、この明細書において、インホイールモータ駆動装置58を車両に支持した状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0018】
図2に示すように、モータ1は、筒状のモータハウジング9に固定したモータステータ10と、モータ回転軸6に取り付けたモータロータ11との間にラジアルギャップを設けたラジアルギャップ型のIPMモータ(すなわち埋込磁石型同軸モータ)である。モータハウジング9には、軸方向に離隔して軸受12,13が設けられ、これら軸受12,13にモータ回転軸6が回転自在に支持されている。モータ回転軸6は、モータ1の駆動力を減速機2に伝達するものである。モータ回転軸6の軸方向中間付近部には、径方向外方に延びるフランジ部6aが設けられ、このフランジ部6aにロータ固定部材14を介してモータロータ11が取付けられている。
【0019】
モータ1には、モータステータ10とモータロータ11の間の相対回転角度を検出する角度センサ15が設けられる。角度センサ15は、モータステータ10とモータロータ11の間の相対回転角度を表す信号を検出して出力する角度センサ本体16と、この角度センサ本体16の出力する信号から角度を演算する角度演算回路17とを有する。角度センサ本体16は、例えば、モータ回転軸6の外周面に設けられる被検出部16aと、モータハウジング9に設けられ前記被検出部16aに例えば径方向に対向して近接配置される検出部16bとを有する。被検出部16aと検出部16bは軸方向に対向して近接配置されるものであっても良い。角度センサ15はレゾルバであっても良い。
【0020】
このインホイールモータ駆動装置58には、インホイールモータ駆動装置内の潤滑油量を検知する油量検知センサSoが設けられている。この例では、モータハウジング9内に、減速機2の潤滑およびモータ1の冷却に用いられる潤滑油の潤滑油量を検知する油量検知センサSoが設けられている。この油量検知センサSoは、例えば、液体の水位制御に用いられる磁気式、光学式、電極式、または超音波式の液面レベルセンサから成る。この場合、油量検知センサSoで検知された値が定められた液面高さの下限値を下回っていないか判定する判定手段が、後述のモータコントロール部に設けられる。前記「定められた液面高さ」は、モータ1の駆動停止状態において、例えば、モータロータ11に掛かる程度、具体的には、モータロータ11の外周面が潤滑油に漬かる程度に定められている。なお、モータハウジング9内に油量検知センサSoを設ける構成に代えて、後述する減速機ハウジング7の下部に設けられる潤滑油貯留部に、油量検知センサSoを設けても良い。
【0021】
モータ1のモータコイル10aには、このモータコイル10aの温度を検知する温度検知センサSaが設けられている。前記温度検知センサSaとして例えばサーミスタが使用される。このサーミスタをモータコイル10aに接触固定することで、モータコイル10aの温度を検知し得る。温度検知センサSaで検知される温度に対し、例えば、複数の閾値が設定される。各閾値は、例えば、実験、シミュレーション等により、モータコイル10aに絶縁性能の劣化を生じさせる、モータコイル10aの温度および時間の関係に基づいて適宜に求められる。モータコイル10aに絶縁が生じたか否かは、モータ1に印加するモータ印加電圧に対するモータ電流値を、絶縁が生じていない基準値と比較することで判断し得る。なおモータ印加電圧は、後述の電流センサ85(図6)の後段等に設けられる図示外の電圧センサにより得られ、モータ電流値は、電流センサ85により得られる。
【0022】
モータコントロール部79にはモータ電流制限手段Mca(図6)を設けられ、モータ電流制限手段Mcaは、各閾値で区分される温度領域毎に電流制限条件が設定される。具体的には、検出されるモータコイル10aの温度が比較的低温のときは、電流制限条件を緩和し、検出される温度が高温になる程、電流制限条件を強く規制する。このようにモータコイル10aの温度に応じて、モータ1の電流値をきめ細かく制限することで、モータコイル10aの絶縁性能の劣化を防止し得る。
【0023】
図1に示すように、モータハウジング9の側面およびインボード側端面には、端子ボックス18A,18Bがそれぞれ設けられ、各端子ボックス18A,18B内には複数の端子がそれぞれ設けられている。図3に示すように、ハウジング側面の端子ボックス18Aにおけるインボード側の一端部には、モータ1を回転駆動する電力を供給する動力ケーブル20aの引き出し部21aが設けられている。モータハウジング内において、モータ1内の各相(U,V,W)の配線が、それぞれ前記端子ボックス18A内の対応する各端子までそれぞれ延びて接続されている。これら各端子に動力ケーブル20aがそれぞれ接続されている。これら動力ケーブル20aは、端子ボックス18Aの引き出し部21aからモータ外に引き出され、前記インバータ装置72におけるインバータ81に接続されている。インバータ81における動力ケーブル20aの取り出し部21bは、前記端子ボックス18Aの引き出し部21aよりも、車両の高さ方向に高い位置に設けられている。前記インバータ81は、車両に搭載されるバッテリ69(図5)の直流電流をモータ1の駆動に用いる3相の交流電力に変換するものである。
【0024】
図2に示すように、モータハウジング9内において、前記角度センサ本体16のうち検出部16bから延びる配線が、端子ボックス18B内の対応する端子に接続されている。また、モータハウジング9内において、油量検知センサSo、温度検知センサSaからそれぞれ延びる配線が、前記端子ボックス18B内の対応する端子にそれぞれ接続されている。各端子にセンサケーブル20bがそれぞれ接続されている。こられセンサケーブル20bは、端子ボックス18Bの引き出し部21aからモータ外に引き出され、モータコントロール部79に接続されている。
【0025】
減速機2の入力軸3は、軸方向一端がモータ回転軸6内に延びて、モータ回転軸6とスプライン嵌合されている。減速機ハウジング7に軸受23が設けられ、入力軸3の軸方向他端が前記軸受23によって支持される。したがって、減速機2の入力軸3およびモータ回転軸6は、軸受12,13,23により一体に回転自在に支持される。減速機ハウジング7内における、入力軸3の軸方向他端寄りの外周面には、偏心部24,25が設けられる。これら偏心部24,25は、偏心運動による遠心力が互いに打ち消されるように180°位相をずらして設けられている。
【0026】
減速機2は、減速比が1/6以上のものであるのが良い。この減速機2は、曲線板26,27と、複数の外ピン28と、運動変換機構29と、カウンタウェイト30,30とを有するサイクロイド減速機である。曲線板26,27は、偏心部24,25にそれぞれ回転自在に設けられる。モータハウジング9および減速機ハウジング7に渡って複数の外ピン28が支持され、これら外ピン28が曲線板26,27の外周に転接するようになっている。前記運動変換機構29は、曲線板26,27の自転運動を、出力部材4に伝達する機構である。この運動変換機構29は、出力部材4に設けられた複数の内ピン31と、曲線板26,27に設けられた貫通孔32とを有する。内ピン31は、出力部材4の回転軸心を中心として円周方向に等間隔に配設されている。図2に示すように、減速機2の入力軸3における偏心部24,25に隣接する軸方向位置に、それぞれカウンタウェイト30,30が設けられている。
【0027】
車輪用軸受5は、内周に複列の軌道面を形成した外方部材33と、これら各軌道面に対向する軌道面を外周に設けた内方部材34と、これら外方部材33および内方部材34の軌道面間に介在した複列の転動体35とを有する。内方部材34は、駆動輪を取付けるハブを兼用する。この車輪用軸受5は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、転動体35はボールからなり、各列毎に保持器で保持されている。前記軌道面は断面円弧状であり、各軌道面は接触角が背面合わせとなるように形成されている。また外方部材33と内方部材34との間の軸受空間のアウトボード側端、インボード側端は、それぞれシール部材36,37でシールされている。
【0028】
外方部材33は静止側軌道輪となるものであって、減速機ハウジング7のアウトボード側端に取付けるフランジ33aを有する。フランジ33aには、周方向の複数箇所にボルト挿通孔が設けられ、減速機ハウジング7には、ボルト挿通孔に対応する位置に、雌ねじからなるボルト螺着孔が設けられている。ボルト挿通孔に挿通した取付ボルトをボルト螺着孔に螺着させることにより、外方部材33が減速機ハウジング7に取付けられる。
【0029】
内方部材34は、出力部材4を挿通する中空部におけるインボード側の外周面に段部が形成され、この段部に内輪38が嵌合固定されている。内方部材34の外周面に一列の軌道面が一体形成され、内輪38の外周面に他列の軌道面が形成されている。内方部材34のアウトボード側端には、車輪取付用のハブフランジ34aが設けられている。内方部材34の中空部にはスプライン孔が形成され、同中空部に出力部材4がスプライン嵌合されている。出力部材4の先端部には雄ねじが形成され、中空部から突出する出力部材4の先端部にナット39を螺着することで、出力部材4と内方部材34とが連結されている。
【0030】
潤滑油供給機構40は、減速機2の潤滑およびモータ1の冷却の両方に用いられる潤滑油を供給する軸心給油機構であって、潤滑油流路41と、モータ回転軸油路42と、減速機油路43と、ポンプ44と、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部45とを有する。潤滑油流路41は、モータハウジング9に設けられる。潤滑油貯留部45に貯留された潤滑油が、ポンプ44により吸い上げられて潤滑油流路41および減速機油路43に導かれるようになっている。
【0031】
モータ回転軸油路42は、モータ回転軸6内の軸心に沿って設けられている。モータ回転軸6において、ロータ固定部材14が設けられる軸方向位置に、径方向に貫通する複数の貫通孔6bが設けられている。またロータ固定部材14には、前記複数の貫通孔6bに連通して径方向外方に延びる油路14aが設けられている。この油路14aは、ロータ固定部材14とモータロータ11の内周面との環状隙間δ1に連通する。潤滑油は、順次、潤滑油流路41、モータ回転軸油路42、貫通孔6b、および油路14aを経由して環状隙間δ1に導かれて、モータ1の冷却に供される。冷却に供された潤滑油は、ロータ固定部材14のフランジ14bと、モータロータ11の端面との間のスリットからそれぞれ排出されて、遠心力および重力によって下方に移動し潤滑油貯留部45に貯留される。
【0032】
減速機油路43は、減速機2に設けられ、潤滑油流路41および潤滑油貯留部45にそれぞれ連通して潤滑油を減速機2に供給する。この減速機内部を潤滑する潤滑油は、遠心力および重力によって径方向外方で且つ下方に移動し、潤滑油貯留部45に戻される。
ポンプ44は、潤滑油流路41の流路途中に設けられ、潤滑油を強制的に循環させている。このポンプ44は、例えば、出力部材4の回転により回転する図示外のインナーロータと、このインナーロータの回転に伴って従動回転するアウターロータと、ポンプ室と、吸入口と、吐出口とを有するサイクロイドポンプである。前記インナーロータが内方部材34の回転により回転すると、アウターロータは従動回転する。このときインナーロータおよびアウターロータはそれぞれ異なる回転中心を中心として回転することで、前記ポンプ室の容積が連続的に変化する。これにより、前記吸入口から流入した潤滑油が前記吐出口から潤滑油流路41に圧送される。
【0033】
潤滑油貯留部45は、減速機側貯留部45aとモータ側貯留部45bとを有する。減速機側貯留部45aは、減速機ハウジング7の下部に設けられ、モータ側貯留部45bは、モータハウジング9の下部に設けられる。モータハウジング9の下部には、減速機側貯留部45aとモータ側貯留部45bとを連通する貫通孔46が形成されている。この貫通孔46により、減速機側貯留部45aに貯留される潤滑油の油面高さと、モータ側貯留部45bに貯留される潤滑油の油面高さとが同一の油面高さとなる。
【0034】
図3は、図1の電動車両の導電路等を拡大して示す要部の拡大図である。図4(A)は同導電路の係止部材22の正面図であり、図4(B)は同係止部材22の側面図である。図3に示すように、車体51およびサスペンション8には、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bの長手方向の一部を係止する係止部材22が設けられている。車体51のうち、インバータ81が搭載される付近の下部に、車幅方向に沿って定められた間隔を隔てて複数(この例では、各インホイールモータ駆動装置58についてそれぞれ2個)の係止部材22が設置され、サスペンション8のうちアーム部8cに、係止部材22が設置されている。アーム部8cは、車体51の下部から車両の高さ方向の下方に向けて突出する板状部材であって、このアーム部8cの下端にリンク部材8dを介して前記ロアーアーム8bが揺動自在に連結されている。アーム部8cの例えば長手方向中間部に、係止部材22が図示外のボルト等を介して連結されている。
【0035】
図4(A)に示すように、係止部材22は、複数の部材から構成されている。係止部材22は、車体51またはサスペンション8に連結される係止部材本体22aと、この係止部材本体22aに固定されて係止部材本体22aと共に各ケーブル20a,20bの挿入孔haを形成するカバー部材22bとを有する。図4(B)に示すように、係止部材本体22aは、例えば、略長方形板状に形成されている。図4(A)に示すように、この係止部材本体22aの一端縁部には、各挿入孔haの円周方向の半分を成す半円弧状部分haaが所定間隔おきに形成されている。係止部材本体22aの前記一端縁部に対向するカバー部材22bの一端縁部には、各挿入孔haの円周方向の残余の半分を成す半円弧状部分habが所定間隔おきに形成されている。係止部材本体22aに、例えば、図示外のボルト等を介してカバー部材22bが固定される。係止部材22は、このカバー部材22bの固定状態において、一対の半円弧状部分haa,habが組み合わされて各ケーブル20a,20bの挿入孔haが形成される。係止部材本体22aの他端縁部には、長手方向両側に延びる延在部22aa,22aaが設けられ、この延在部22aa,22aaに例えばボルト挿通孔がそれぞれ設けられる。各ボルト挿通孔に挿通されるボルトにより、係止部材本体22aが車体51またはサスペンション8に連結される。
【0036】
図3に示すように、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bを、それぞれ覆う樹脂部材Tbが設けられている。この樹脂部材Tbは、例えば、可撓性のある中空円筒形状から成るコルゲートチューブであって、円周方向の一部にスリットSLが形成されたものが適用される。この場合、スリットSLを一時的に広げて樹脂部材Tbの中空孔を拡径させることで、樹脂部材Tbをケーブル20a,20bに着脱容易に設け得る。
【0037】
前記樹脂部材Tbは、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bのうち、係止部材22で係止されている部分以外を覆う。すなわち樹脂部材Tbは、各ケーブル20a,20bの長手方向に沿って設けられる複数の樹脂部材Tbからなり、一つの樹脂部材Tbは、端子ボックス18A,18Bの引き出し部21aから、サスペンション8に設けられる係止部材22における挿入孔haの下面近傍まで延びる。この樹脂部材Tbに隣接する別の樹脂部材Tbは、前記係止部材22における挿入孔haの上面近傍から、車体51に設けられるアウトボード側の係止部材22における挿入孔haのアウトボード側側面近傍まで延びる。前記樹脂部材Tbに隣接する別の樹脂部材Tbは、前記アウトボード側の係止部材22における挿入孔haのインボード側側面近傍から、車体51に設けられるインボード側の係止部材22における挿入孔haのアウトボード側側面近傍まで延びる。これら複数の樹脂部材22のいずれも前述のスリットSLが形成されているため、スリットSLを一時的に広げて樹脂部材Tnの中空孔を拡径させることで、樹脂部材Tbをケーブル20a,20bの各箇所に着脱自在である。
【0038】
図5は、実施形態に係る電動車両を平面図で示す概念構成のブロック図である。この電動車両は、車体51の左右の後輪となる車輪52が駆動輪とされ、左右の前輪となる車輪53が従動輪の操舵輪とされた4輪の自動車である。駆動輪および従動輪となる車輪52,53は、いずれもタイヤを有し、それぞれ車輪用軸受5を介して車体51に支持されている。車輪用軸受5は、図5ではハブベアリングの略称「H/B」を付してある。駆動輪となる左右の車輪52,52は、それぞれ独立の走行用のモータ1,1により駆動される。モータ1の回転は、減速機2および車輪用軸受5を介して車輪52に伝達される。これらモータ1、減速機2、および車輪用軸受5は、互いに一つの組立部品であるインホイールモータ駆動装置58を構成しており、インホイールモータ駆動装置58は、一部または全体が車輪52内に配置される。各車輪52,53には、電動式のブレーキ59,60が設けられている。
【0039】
左右の前輪となる操舵輪である車輪53,53は、転舵機構61を介して転舵可能であり、操舵機構62により操舵される。転舵機構61は、タイロッド61aを左右移動させることで、車輪用軸受5を保持した左右のナックルアーム11bの角度を変える機構であり、EPS(電動パワーステアリング)モータ63により、回転・直線運動変換機構(図示せず)を介して左右移動させられる。操舵機構62は、タイロッド61aと機械的に連結されていないステアリングホイール64の操舵角を操舵角センサ65で検出し、その検出した操舵角である旋回指令によりEPSモータ63に駆動指令を与えるステアバイワイヤ式とされている。
【0040】
制御系を説明する。
自動車全般の制御を行う電気制御ユニットであるECU71と、このECU71の指令に従って走行用のモータ1の制御を行うインバータ装置72と、ブレーキコントローラ73とが、車体51に搭載されている。ECU71は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。
【0041】
ECU71は、機能別に大別すると駆動制御部71aと一般制御部71bとに分けられる。駆動制御部71aは、アクセル操作部66の出力する加速指令と、ブレーキ操作部67の出力する減速指令と、操舵角センサ65の出力する旋回指令とから、左右輪の走行用モータ1,1に与える加速・減速指令を生成し、インバータ装置72へ出力する。駆動制御部71aは、上記の他に、出力する加速・減速指令を、各車輪52,53の車輪用軸受5,5に設けられた回転センサ74から得られるタイヤ回転数の情報や、車載の各センサの情報を用いて補正する機能を有していても良い。アクセル操作部66は、アクセルペダルとその踏み込み量を検出して前記加速指令を出力するセンサ66aとでなる。ブレーキ操作部67は、ブレーキペダルとその踏み込み量を検出して前記減速指令を出力するセンサ67aとでなる。
【0042】
ECU71の一般制御部71bは、前記ブレーキ操作部67の出力する減速指令をブレーキコントローラ73へ出力する機能、各種の補機システム75を制御する機能、コンソールの操作パネル76からの入力指令を処理する機能、表示装置77に表示を行う機能などを有する。表示装置77は、液晶表示装置等の画像を表示可能なものである。前記補機システム75は、例えば、エアコン、ライト、ワイパー、GPS、エアバッグ等であり、ここでは代表して一つのブロックとして示す。
【0043】
ブレーキコントローラ73は、ECU71から出力される減速指令に従って、各車輪52,53のブレーキ59,60に制動指令を与える手段である。ECU71から出力される制動指令には、ブレーキ操作部67の出力する減速指令によって生成される指令の他に、ECU71の持つ安全性向上のための手段によって生成される指令がある。ブレーキコントローラ73は、この他にアンチロックブレーキシステムを備える。ブレーキコントローラ73は、電子回路やマイコン等により構成される。
【0044】
インバータ装置72は、各モータ1に対して設けられたパワー回路部78と、このパワー回路部78を制御するモータコントール部79とで構成される。モータコントール部79は、各パワー回路部78に対して共通して設けられていても、別々に設けられていても良いが、共通して設けられた場合であっても、各パワー回路部78を、例えば互いにモータトルクが異なるように独立して制御可能なものとされる。モータコントール部79は、このモータコントール部79が持つインホイールモータ駆動装置58に関する各検出値や制御値等の各情報(「IWMシステム情報」と称す)をECUに出力する機能を有する。
【0045】
図6は、この電動車両の制御系のブロック図である。同図に示すように、パワー回路部78は、バッテリ69の直流電力をモータ1の駆動に用いる3相の交流電力に変換するインバータ81と、このインバータ81を制御するPWMドライバ82とで構成される。モータ1は3相の同期モータ等からなる。インバータ81は、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)で構成され、PWMドライバ82は、入力された電流指令をパルス幅変調し、前記各半導体スイッチング素子にオンオフ指令を与える。
【0046】
モータコントール部79は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成され、その基本となる制御部としてモータ駆動制御部83を有している。モータ駆動制御部83は、上位制御手段であるECU71から与えられるトルク指令等による加速・減速指令に従い、電流指令に変換して、パワー回路部78のPWMドライバ82に電流指令を与える手段である。モータ駆動制御部83は、インバータ81からモータ1に流すモータ電流値を電流センサ85から得て、電流フィードバック制御を行う。また、モータ駆動制御部83は、モータロータ11(図2)の回転角を角度センサ15から得て、ベクトル制御を行う。
【0047】
この実施形態では、判定手段47A,47Bを、インバータ装置における上記構成のモータコントロール部79に設けている。判定手段47Aは、油量検知センサで検知された値が定められた液面高さの下限値を下回っていないか判定する手段である。判定手段47Aは、検知された値が前記下限値を下回ったと判定したとき、異常報告手段91に出力する。
判定手段47Bは、温度検知センサSaで検知される温度が閾値を超えるか否かを判定する手段である。温度検知センサSaで検知される値は、モータコントロール部79において、アンプApで増幅され、この増幅値が判定手段47Bにて判定される。判定手段47Bは、検知される温度が閾値を超えたと判定したとき、異常報告手段91に出力する。異常報告手段91は、ECU71に異常の報告を行い、その異常の報告により、ECU71の異常表示手段92が運転席の表示装置77に異常の表示を行う。このため、運転者は、その異常を直ぐに認識することができて、車両の停止や徐行、修理工場への走行など、運転者により迅速に適切な処置を行うことができる。
【0048】
作用効果について説明する。
この電動車両の導電路によると、車体51およびサスペンション8に、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bの長手方向の一部を係止する係止部材22を設けたため、車両の路面振動により車輪52を駆動するモータ1の上下振動があっても、ケーブル20a,20bの屈曲を係止部材22で小さく抑えることができる。これにより、動力ケーブル20aやセンサケーブル20bのシールド線が屈曲動作による曲げ疲労で破損することを抑えることができる。係止部材22は、ケーブル20a,20bの長手方向の一部を係止するため、ケーブル全体としてサスペンション8の挙動に追従することが可能となる。
【0049】
動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bをそれぞれ覆う樹脂部材Tbを設けたため、例えば、車両の走行時に路面等から跳上げられる異物等が、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bに直接当たることを防止でき、ケーブル20a,20bを保護することができる。樹脂部材Tbであるコルゲートチューブは可撓性を有するため、ケーブル20a,20bが屈曲しても同ケーブルに追従して撓み、コルゲートチューブ自体に割れ、欠け等を生じることなくケーブル20a,20bを保護することができる。
樹脂部材Tbは、動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bのうち、係止部材22で係止されている部分以外を覆うため、ケーブル20a,20bを係止部材22で係止した後、ケーブル20a,20bの係止部材22で係止されている部分以外を、樹脂部材Tbで容易に覆うことができる。この樹脂部材Tbが例えば経年劣化した場合には、ケーブル20a,20bを係止部材22で係止した状態で、樹脂部材Tbのみ容易に交換することができる。
【0050】
係止部材22は、係止部材本体22aとカバー部材22bとを有するため、インバータ装置72およびインホイールモータ駆動装置58を車体51に設けた後、ケーブル20a,20bの長手方向の一部を、係止部材本体21aとカバー部材22bとで挟み込むように挿入孔haに挿入することで容易に係止することができる。この場合、ケーブル20a,20bを予め係止した状態で、インバータ装置72およびインホイールモータ駆動装置58を車体51に設ける場合よりも、組立の作業効率を高めることができる。
【0051】
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。
【0052】
図7(A)は、他の実施形態に係る電動車両の導電路の係止部材22の正面図であり、図7(B)は同係止部材22の側面図である。この例の係止部材22は、係止されるケーブル20a,20bに作用する衝撃を吸収する緩衝材22cを含んでいる。緩衝材22cは、係止部材22の挿入孔haに嵌め込まれ、ゴム等の弾性体から成る環状部材である。前記挿入孔haに嵌め込まれた緩衝材22cの内周に、ケーブル20a,20bが挿入されて係止される。図7(B)に示すように、緩衝材22cの軸方向両端は、係止部材本体22aやカバー部材22bの両端面からそれぞれ突出する幅広に形成されている。この場合、ケーブル20a,20bを確実に緩衝材22cで保護して係止することができ、例えば、ケーブル20a,20bが挿入孔haの縁部に擦れて損傷する等の不具合を未然に防止することができる。また、モータ1の上下振動に起因してケーブル20a,20bの屈曲動作があっても、緩衝材22cにより、ケーブル20a,20bに作用する衝撃を吸収することができる。これにより、ケーブル20a,20bの寿命を延ばすことが可能になる。
【0053】
図8に示すように、係止部材22は、樹脂部材Tbと、樹脂部材Tbに覆われている動力ケーブル20aおよびセンサケーブル20bとを共に係止するものであっても良い。この場合、ケーブル20a,20bの露出部分をより少なくでき、ケーブル20a,20bを保護する効果を高めることができる。
図9に示すように、車輪用軸受5に荷重センサSbを設け、この荷重センサSbからモータコントロール部79まで延びるセンサケーブル20bの長手方向の一部を、係止部材22で係止しても良い。
【符号の説明】
【0054】
1…モータ
2…減速機
3…入力軸
4…出力部材
5…車輪用軸受
8…サスペンション
20a…動力ケーブル
20b…センサケーブル
22…係止部材
22c…緩衝部材
51…車体
52…車輪
58…インホイールモータ駆動装置
69…バッテリ
72…インバータ装置
78…パワー回路部
79…モータコントロール部
81…インバータ
Sa…温度検知センサ
Sb…荷重センサ
So…油量検知センサ
Tb…樹脂部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動するモータ、このモータの回転を減速する減速機、およびこの減速機の入力軸と同軸の出力部材によって回転される車輪用軸受を有するインホイールモータ駆動装置と、車両に搭載されるバッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部、およびこのパワー回路部を制御するモータコントロール部を有するインバータ装置とを備え、このインバータ装置が車両の車体に取付けられ、前記車体にサスペンションを介して前記インホイールモータ駆動装置が支持された電動車両において、
前記モータとインバータとを接続する動力ケーブルを有し、
インホイールモータ駆動装置の状態を検出するセンサを設け、このセンサから前記モータコントロール部まで延びるセンサケーブルを有し、
車体またはサスペンションに、前記動力ケーブルおよびセンサケーブルの長手方向の一部を係止する係止部材を設けたことを特徴とする電動車両の導電路。
【請求項2】
請求項1において、前記動力ケーブルおよびセンサケーブルを、それぞれ覆う樹脂部材を設けた電動車両の導電路。
【請求項3】
請求項2において、前記樹脂部材がコルゲートチューブである電動車両の導電路。
【請求項4】
請求項2において、前記係止部材は、樹脂部材と、樹脂部材に覆われている動力ケーブルおよびセンサケーブルとを共に係止している電動車両の導電路。
【請求項5】
請求項2または請求項3において、前記樹脂部材は、動力ケーブルおよびセンサケーブルのうち、係止部材で係止されている部分以外を覆う電動車両の導電路。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記係止部材は複数の部材から構成されている電動車両の導電路。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記係止部材は、係止されるケーブルに作用する衝撃を吸収する緩衝材を含む電動車両の導電路。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記インホイールモータ駆動装置と前記インバータ装置との間で、動力ケーブルおよびセンサケーブルを係止する係止部材を2箇所以上設けた電動車両の導電路。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記センサが、車両の荷重を検出する荷重センサ、インホイールモータ駆動装置内の潤滑油量を検知する油量検知センサ、および前記モータのモータコイルの温度を検知する温度検知センサの少なくともいずれか1つを含む電動車両の導電路。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記インバータにおける動力ケーブルの取り出し部を、モータにおける動力ケーブルの引き出し部よりも、車両の高さ方向に高い位置に設けた電動車両の導電路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112003(P2013−112003A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256983(P2011−256983)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】