説明

電動門扉の給電装置

【課題】 戸当り柱に設けた給電端子から戸当り移動柱に設けた受電端子に電圧を付与する電動門扉の給電装置において、端子との接触における感電を防止し安全性を向上させ、給電中は効率良くバッテリに充電できるようにする。
【解決手段】 給電端子11、トランス12及びモーションセンサ14、また、一次電源15が制御装置70に接続されている。制御装置70は、モーションセンサ14のON、OFFにより給電端子11への電圧の付与を制御する制御部71と、制御部71からの信号によりトランス12への電圧の付与を制御する給電制御回路72が設けられている。モーションセンサ14が戸当り移動柱を検知している時に給電端子11に電圧を付与し、戸当り移動柱を非検知の時に給電端子11に電圧を付与しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動門扉の給電装置に関し、さらに詳しくは、戸当り柱側から戸当り移動柱に設けたバッテリに電源を供給できるようにした電動門扉の給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等の門幅の広い出入り口に設置される門扉には、戸当り移動柱にモータを設け、このモータで門扉下部に設けた車輪を駆動することによりガイドレール上を自走できるようにした電動門扉が広く採用されるようになった。
【0003】
このような電動門扉としては、例えば、戸当り柱又は戸当り移動柱の何れか一方に弾性部材により出没自在に突出させた突出端子を設けるとともに、他方に門扉閉成状態において突出端子と接触する固定端子を設け、突出端子と固定端子の接触により給電源から戸当り移動柱に設けたバッテリに給電するものが知られている。
【0004】
特許文献1には、戸当り柱の支柱側端子に降圧用変圧器が接続され、降圧用変圧器に供給される商用電源を一旦降圧して支柱側端子に供給する電動門扉が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−240493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1で提案された電動門扉は、降圧用変圧器で一次電源を降圧して支柱側端子に供給するので、支柱端子に誤って触れたとしても、家庭用電源等の高電圧ではないので、人体に影響を与えないものである。しかしながら、支柱側端子と移動柱側端子との間は低電圧により電源が供給されるので、接触する端子の間に埃があったり、端子の接触圧力が低かったりすると、電源が上手く供給できず、充電に長時間を要するものであった。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解決し、門扉の開成時において、戸当り柱に設けた給電端子に電圧を付与しないようし、門扉の閉成時に給電端子に電圧を付与することにより、端子との接触における感電を防止し安全性を向上させ、給電中は効率良くバッテリに充電することのできる電動門扉の給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る電動門扉の給電装置は、戸当り移動柱に受電端子を設けるとともに、戸当り柱に給電端子を設け、該給電端子から受電端子を介して戸当り移動柱に設けたバッテリに給電する電動門扉の給電装置であって、該戸当り柱に移動柱を検知するセンサを設け、該センサが移動柱を検知している時に給電端子に電圧を付与し、移動柱を非検知の時に給電端子に電圧を付与しないことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る電動門扉の給電装置においては、戸当り柱に設けたセンサが戸当り移動柱を検知している時に給電端子に電圧を付与し、センサが戸当り移動柱を非検知の時に給電端子に電圧を付与しないものである。したがって、戸当り移動柱が戸当り柱に当接状態にある時(門扉閉鎖状態及び門扉閉鎖動作中)は、給電端子に電圧を付与し、受電端子を介して効率良くバッテリを充電することができ、また、戸当り移動柱が戸当り柱から離れた時(門扉開成状態及び門扉開成動作中)は、給電端子への電圧の付与を停止しているので、誤って給電端子に触れたとしても感電することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の電動門扉の給電装置においては、戸当り柱にセンサを設け、センサが戸当り移動柱を検知している時に給電端子に電圧を付与するものであるが、センサによる戸当り移動柱の検知は、戸当り柱と戸当り移動柱との距離が5〜15cmに設定することが好ましい。また、センサの戸当り移動柱の検知により給電端子に電圧を付与するが、この電圧の付与は、センサの戸当り移動柱の検知と同時に行なってもよいが、戸当り移動柱の検知から戸当り移動柱が戸当り柱に当接するまでの所定時間待って行なうことが好ましい。このように給電端子への電圧の付与をセンサの戸当り移動柱の検知から遅らせることにより、給電端子と受電端子が確実に接触した後に電圧が付与されるので、電圧が付与された状態で給電端子が受電端子に接触してスパークを引き起こし、端子が汚れるのを防止することができる。
【0011】
本発明による電動門扉の給電装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明による電動門扉の給電装置を用いた伸縮式の電動門扉の正面図、図2は同平面図、図3は本発明による電動門扉の給電装置の戸当り柱における主要部の断面図、図4は同戸当り柱におけるブロック図、図5は本発明による電動門扉の給電装置の戸当り移動柱における給電端子部分の断面図、図6は同戸当り移動柱における車輪部分の断面図、図7は同戸当り移動柱におけるブロック図、図8は動作を示すタイムチャート図、図9はバッテリの充電状態を示す概略模式図、図10はバッテリの非充電状態を示す概略模式図である。
【0013】
図1及び図2において、10は戸当り柱、20は吊り元柱で、これら戸当り柱10と吊り元柱20はゲート等の間隔に応じて配置されており、また、戸当り柱10と吊り元柱20との間の地面には、2本のガイドレール30が平行に敷設されている。吊り元柱20には、伸縮式の扉体40が設けられており、この扉体40は、吊り元柱20に固定された吊り元固定柱50が一端に設けられるとともに、他端には走行自在な戸当り移動柱60が設けられ、これら吊り元固定柱50と戸当り移動柱60との間に、伸縮自在な扉体本体41が設けられている。この扉体本体41は、複数の移動柱42と、伸縮自在な伸縮部43とで構成されている。
【0014】
また、前記戸当り移動柱60の下端にはガイドレール30を走行する駆動車輪68が設けられるとともに、所定間隔で配置された移動柱42の下端にもガイドレール30を走行するための車輪44が設けられている。
【0015】
戸当り柱10は、図3に示すように、戸当り移動柱60側に突出した給電端子11が設けられ、この給電端子11により戸当り柱10側から戸当り移動柱60側へ給電するものである。12はトランスで、バッテリの充電に適した電圧まで降圧するためのもので、具体的には、一次電源として家庭用電源である100Vを用いた場合、12Vまで降圧するものである。13は一次電源用配線で、地中を通って一次電源に接続されている。
【0016】
14はモーションセンサで、戸当り移動柱60を感知して、戸当り移動柱60が設定した所定距離(例えば、10cm)以内に位置する場合にONし、戸当り移動柱60が所定距離より遠くに位置する場合にOFFするものである。すなわち、扉体40の閉鎖動作の場合、戸当り移動柱60が近接して来て所定距離まで達すると、モーションセンサ14は感知してONとなり、モーションセンサ14は以後ON状態を維持する。次に、扉体40の開放動作の場合、戸当り移動柱60は戸当り柱10から離れて行き所定距離まで達すると、モーションセンサ14は感知しなくなってOFFとなり、モーションセンサ14は以後OFF状態を維持する。このモーションセンサ14のON、OFFにより、給電端子11への電圧の付与を行なったり停止したりしている。
【0017】
以上のような給電端子11、トランス12及びモーションセンサ14、また、一次電源15が制御装置70に接続されており、この制御装置70は、図4に示すように、モーションセンサ14のON、OFFにより給電端子11への電圧の付与を制御する制御部71と、制御部71からの信号によりトランス12への電圧の付与を制御する給電制御回路72、モーションセンサ14からの信号を制御部71へ出力するモーションセンサ取込み回路73、制御部71からの信号によりトランス12からの電圧の給電端子11への付与を制御する給電電流取込み回路74及びヒューズ75が設けられ、制御部71に、モーションセンサ取込み回路73、給電制御回路72、給電電流取込み回路74及びヒューズ75が接続されている。
【0018】
そして、一次電源15がヒューズ75を介して制御部71及び給電制御回路72に接続され、前記モーションセンサ14がモーションセンサ取込み回路73を介して制御部71に接続され、前記トランス12は給電制御回路72に接続されると共に給電電流取込み回路74に接続され、給電端子11は給電電流取込み回路74に接続されている。
【0019】
戸当り移動柱60は、図5に示すように、戸当り柱10側に開口した受電端子61が設けられ、この受電端子61は、戸当り柱10の給電端子11と結合することにより、給電端子11より給電されるものである。また、図6に示すように、バッテリ62が設けられているとともに、モータ63が設けられており、このモータ63は、スプロケット64、チェーン65及びスプロケット66を介して車軸67に連結されており、この車軸67の両端には車輪68が設けられている。
【0020】
以上のような受電端子61、バッテリ62及びモータ63は制御装置80に接続されており、この制御装置80は、図7に示すように、バッテリ62の充電を制御するとともに、モータ63の駆動を制御する制御部81、受電端子61に給電された交流電源を直流に変換するAC/DC変換回路82、制御部81からの信号によりバッテリ62を充電するバッテリ充電回路83、バッテリ62に充電する電流量を計測するバッテリ充電電流取込み回路84、モータ63の速度を調整するモータ駆動回路85及びヒューズ86が設けられ、制御部81に、AC/DC変換回路82、バッテリ充電回路83、バッテリ充電電流取込み回路84及びモータ駆動回路85が接続されている。
【0021】
そして、受電端子61がAC/DC変換回路82に接続され、バッテリ62がヒューズ86を介してバッテリ充電回路83及びバッテリ充電電流取込み回路84に接続されており、モータ63がモータ駆動回路85に接続されている。
【0022】
次に、本発明による電動門扉の給電装置の動作について説明する。
【0023】
まず、門扉を開成状態から閉鎖状態にする門扉の閉鎖動作中の場合について説明する。門扉の閉鎖動作中においては、図8のt時に示すように、戸当り移動柱60は走行しており、モーションセンサ14がOFF、給電トランス12がOFF、給電端子11に電圧が付与されておらず、バッテリ62は充電が停止されている。すなわち、戸当り移動柱60は戸当り柱10から所定距離離れているのでモーションセンサ14は戸当り移動柱60を検知せずOFF状態である。
【0024】
次に、戸当り移動柱60が走行して行き、t時に戸当り柱10の手前10cmの位置に達すると、モーションセンサ14が戸当り移動柱60を検知する。モーションセンサ14は検知信号をモーションセンサ取込回路73を介して制御部71に出力するが、給電端子11へ電圧を付与することは行なわれない。すなわち、戸当り移動柱60がさらに走行し、t時に戸当り柱10に当接・停止し、給電端子11と受電端子61とが確実に結合した後であるt時(モーションセンサがONになって約2秒後)に、制御部71は給電制御回路72に給電を開始する信号を出力し、これにより給電制御回路72はトランス12に電圧を付与する。トランス12は100Vを12Vまで降圧して給電電流取込回路74に供給し、給電端子11は給電電流取込回路74を介して電圧を付与される。したがって、給電端子11と結合している受電端子61にも電圧が付与される。
【0025】
受電端子61に付与された電圧は、AC/DC変換回路82で直流に変換された後、制御部81に送られる。制御部81はAC/DC変換回路82から直流電圧を入力した後、数秒経過(約5秒経過)したt時にバッテリ充電回路83を介してバッテリ62に電圧を付与し、バッテリ62の充電が開始される。バッテリ62の充電状態における戸当り柱10と戸当り移動柱60の関係を図9に示す。こうしてバッテリ62が充電され、バッテリが満充電となると制御部81により充電が停止される。
【0026】
次に、門扉を閉鎖状態から開成状態にする門扉の開成動作中の場合について説明する。門扉の開成動作の前、すなわち門扉の閉鎖状態においては、戸当り移動柱60は停止しており、モーションセンサ14がON、給電トランス12がON、給電端子11及び受電端子61に電圧が付与されており、バッテリ62は開動作の信号が送られたt時に直ちに充電が停止される。バッテリ62の非充電状態における戸当り柱10と戸当り移動柱60の関係を図10に示す。この状態でt時に門扉を開成するために戸当り移動柱60の走行を開始させ、t時に戸当り移動柱60が戸当り柱10から所定距離離れると、モーションセンサ14による戸当り移動柱60の検知が解除されるので、モーションセンサ14からの検知信号が停止し、制御部71によりトランス12への電圧の付与が停止される。したがって、給電端子11への電圧の付与も停止されるので、給電端子11に触れても感電することがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による電動門扉の給電装置を用いた伸縮式の電動門扉の正面図
【図2】本発明による電動門扉の給電装置を用いた伸縮式の電動門扉の平面図
【図3】本発明による電動門扉の給電装置の戸当り柱における主要部の断面図
【図4】本発明による電動門扉の給電装置の戸当り柱におけるブロック図
【図5】本発明による電動門扉の給電装置の戸当り移動柱における給電端子部分の断面図
【図6】本発明による電動門扉の給電装置の戸当り移動柱における車輪部分の断面図
【図7】本発明による電動門扉の給電装置の戸当り移動柱におけるブロック図
【図8】動作を示すタイムチャート図
【図9】バッテリの充電状態を示す概略模式図、
【図10】バッテリの非充電状態を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0028】
10 戸当り柱
11 給電端子
12 トランス
14 センサ
20 吊り元柱
30 ガイドレール
40 扉体
50 吊り元固定柱
60 戸当り移動柱
61 受電端子
62 バッテリ
63 モータ
68 車輪
70 制御装置
80 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸当り移動柱に受電端子を設けるとともに、戸当り柱に給電端子を設け、該給電端子から受電端子を介して戸当り移動柱に設けたバッテリに給電する電動門扉の給電装置であって、該戸当り柱に移動柱を検知するセンサを設け、該センサが戸当り移動柱を検知している時に給電端子に電圧を付与し、戸当り移動柱を非検知の時に給電端子に電圧を付与しないことを特徴とする電動門扉の給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−270482(P2007−270482A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96419(P2006−96419)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】