説明

電圧制御発振器

【課題】電源ラインなどから入力する外来ノイズの影響を低減できる電圧制御発振器を提供すること。
【解決手段】
発振トランジスタ11のベース・エミッタ間に第1の帰還コンデンサ12を接続し、発振トランジスタ11のエミッタ・コレクタ間に第2の帰還コンデンサ13を接続し、発振トランジスタ11のベース・コレクタ間にインダクタ14を接続してコルピッツ発振回路を構成する。発振トランジスタ11のコレクタと直流電源端子18との間にコレクタバイアス抵抗30を接続し、コンデンサ19を介してコレクタバイアス抵抗30の一端を接地する。発振トランジス11のコレクタとベースとの間にチョークインダクタ31とコンデンサ32とが直列に接続されたフィルタ回路を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振周波数を電圧制御する電圧制御発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御電圧によって発振周波数を制御する電圧制御発振器が知られている。図5は、従来の電圧制御発振器の構成図である。同図に示す電圧制御発振器10は、発振トランジスタ11のエミッタ・ベース間に第1の帰還コンデンサ12が接続され、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間に第2の帰還コンデンサ13が接続されている。発振トランジスタ11のベース・コレクタ間にインダクタ14が接続されている。
【0003】
発振トランジスタ11のエミッタは、エミッタバイアス抵抗15を介して接地されると共に、直流カットコンデンサ16を介して出力端子17(OSCout)に接続されている。発振トランジスタ11のコレクタは、直流電源端子18(Vcc)に接続されると共に、コンデンサ19を介して高周波的に接地されている。発振トランジスタ11のベースは、分圧用抵抗20を介して直流電源端子18が接続されると共に、分圧用抵抗21を介して接地されている。また、発振トランジスタ11のベースには直流カットコンデンサ22を介して共振回路23が接続されている。
【0004】
共振回路23は、ストリップラインで構成されるインダクタ14とコンデンサ24とを並列接続してなる並列共振回路として構成されている。インダクタ14の一端及びコンデンサ24の一端が接続され、インダクタ14の他端及びコンデンサ24の他端はそれぞれ接地されている。また、並列共振回路23には、コンデンサ25を介してバラクタダイオード26が並列に接続されている。コンデンサ25とバラクタダイオード26の接続点には、チョーク用インダクタ27を介して電圧制御端子28(Vctl)が接続されている。また、電源制御端子28はバイパスコンデンサ29を介して接地されている。
【0005】
以上のように構成された、電圧制御発振器10は、バラクタダイオード26のカソードに印加された電圧制御信号Vctlに応じて、共振回路23の共振周波数が制御され、共振信号が発振用トランジスタ11のベースに印加される。そして、発振用トランジスタ11のエミッタから発振信号が直流カットコンデンサ16を介して出力される。
【0006】
ところで、電圧制御発振器のスプリアスを抑える方法として、バラクタダイオードに加えられる制御電圧の変化幅を抑えることにより、スプリアスの発生を抑制した電圧制御発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−352423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電圧制御発振器では、発振トランジスタのコレクタに接続された電源ラインから入力する外来ノイズの影響を抑えることができなかった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電源ラインなどから入力する外来ノイズの影響を低減できる電圧制御発振器を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電圧制御発振器は、発振トランジスタを有する発振回路と、前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続されるエミッタ抵抗と、前記発振トランジスタのコレクタ・電源間に接続されるコレクタ抵抗と、前記コレクタ抵抗とグランドとの間に設けられるバイパスコンデンサと、前記発振トランジスタのコレクタ・ベース間に設けられるフィルタ回路と、を具備することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、発振信号に含まれるノイズ成分をこのノイズ成分と位相が異なるノイズ成分を相殺することができるので、発振信号のノイズ成分を低減することができる。また、フィルタ特性の調整によりフィルタ回路を通過するノイズ成分の周波数帯域を選択できるので、発振周波数成分を減衰することなくノイズ成分を低減できる。
【0012】
本発明の電圧制御発振器は、発振トランジスタを有する発振回路と、前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続されるエミッタ抵抗と、前記発振トランジスタのコレクタ・電源間に接続されるコレクタ抵抗と、前記コレクタ抵抗とグランドとの間に設けられるバイパスコンデンサと、前記発振トランジスタのコレクタ・エミッタ間に設けられるフィルタ回路と、を具備することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、発振信号に含まれるノイズ成分をこのノイズ成分と位相が異なるノイズ成分で相殺することができるので、発振信号のノイズ成分を低減することができる。また、フィルタ特性の調整によりフィルタ回路を通過するノイズ成分の周波数帯域を選択できるので、発振周波数成分を減衰することなくノイズ成分を低減できる。
【0014】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記発振回路は、前記発振トランジスタのベース・エミッタ間に接続される第1の帰還コンデンサと、前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続される第2の帰還コンデンサと、前記発振トランジスタのベース・接地間に接続されるインダクタとを備えるコルピッツ型発振回路であることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、コルピッツ型の発振回路で構成することができるので、正弦波に近い波形の発振信号を得ることができる。
【0016】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記発振回路は、前記発振トランジスタのベース・接地間に設けられるベースコンデンサと、前記発振トランジスタのベース・エミッタ間に接続される第1の帰還コンデンサと、前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続される第2の帰還コンデンサと、前記コレクタ・接地間に接続されるインダクタとを備えるコルピッツ型発振回路であることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ベース接地型のコルピッツ型発振回路においても、発振信号に含まれるノイズ成分をこのノイズ成分と位相が異なるノイズ成分で相殺することができるので、発振信号のノイズ成分を低減することができる。
【0018】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記フィルタ回路は、ノイズの周波数帯域を通過させる帯域通過フィルタであること特徴とする。
【0019】
この構成によれば、ノイズ成分の周波数帯域を選択的に通過させることができるので、発振周波数の減衰を抑制できると共に、発振信号に重複するノイズ成分を相殺することができる。
【0020】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記フィルタ回路は、フィルタ用インダクタと、フィルタ用キャパシタと、前記コレクタ抵抗とが直列に接続された直列共振回路からなることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、直列共振回路で除去できる周波数帯域を拡大することができるので、ノイズを除去できる周波数帯域を拡大することができる。
【0022】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記フィルタ回路は、発振周波数の帯域を遮断する帯域除去フィルタであることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、発振周波数の帯域を選択的に除去することができるので、発振信号の減衰を抑制することができると共に、ノイズ成分を相殺することができる。
【0024】
また、本発明は、上記電圧制御発振器において、前記フィルタ回路は、前記帯域除去フィルタを構成しているフィルタ用インダクタ及びフィルタ用キャパシタが信号線路とグランドとの間に直列に接続することができる。この構成によれば、簡素な回路構成で帯域除去フィルタ回路を構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電源ラインなどから入力する外来ノイズの影響を低減できる電圧制御発振器を提供すること目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電圧制御発振器の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る電圧制御発振器の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の他の変形例に係る電圧制御発振器の構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電圧制御発振器の構成図である。
【図5】従来技術の電圧制御発振器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の本実施の形態に係る電圧制御発振器の構成図である。同図に示すように、本実施の形態に係る電圧制御発振器1は、発振トランジスタ11と、発振トランジスタ11のエミッタ・ベース間に接続される第1の帰還コンデンサ12と、発振トランジスタ11のエミッタ・コレクタ間に接続される第2の帰還コンデンサ13と、発振トランジスタ11のコレクタ・ベース間に接続されるインダクタ14とを備えるコレクタ接地型のコルピッツ発振回路として構成されている。但し、本発明は、コルピッツ型の発振回路に限定されるものではなく、発振トランジスタを備えた発振回路であれば適用可能である。
【0029】
発振トランジスタ11のコレクタと電源端子18(Vcc)との間には、コレクタバイアス抵抗30が接続されている。コレクタバイアス抵抗30の一端は発振トランジスタ11のコレクタに接続され、他端は電源端子18に接続されると共に、コンデンサ19を介して接地されている。また、発振トランジスタ11のコレクタは、フィルタ回路31を介して発振トランジスタ11のベースに接続されている。フィルタ回路31は、発振トランジスタ11のコレクタに一端が接続されたチョークインダクタ32とチョークインダクタ32の他端に一方の電極が接続され、他方の電極が発振トランジスタ11のベースに接続されたコンデンサ33とからなる直列共振回路で構成されている。このように、電圧制御発振器1は、発振トランジスタ11のコレクタ・ベース間及びエミッタ・ベース間の双方に互いの位相が反転する信号をフィードバックする経路がそれぞれ設けられている。
【0030】
フィルタ回路31は、LC直列共振回路で構成されており、通過帯域を電源ラインから発振トランジスタ11のエミッタへ入力する外来ノイズの帯域に合わせるように調整する。なお、フィルタ回路31をローパスフィルタで構成した場合は、発振周波数より低い周波数を通過させるようにしても良い。その他の構成に関しては、図5に示す電圧制御発振器10と同一に構成されているので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0031】
次に、本実施の形態に係る電圧制御発振器1の動作について説明する。発振トランジスタ11のベースには、共振回路23に印加された電圧制御信号Vctlに応じた共振周波数信号が印加される。発振トランジスタ11は、ベースに印加された共振信号によって発振動作する。発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間には、ベースに印加された共振信号に応じた電流が流れ、エミッタから発振信号が取り出される。この時、発振信号の一部は、発振トランジスタ11のエミッタ側に設けられているコンデンサ12を介して発振トランジスタ11のベースに帰還される。電源ラインから入力する外来ノイズは、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間を通って位相反転され、コンデンサ12を介してベースへ入力される。この時電源ラインから入力してフィルタ回路31側へ分岐した外来ノイズは、位相反転されずにフィルタ回路31を通って同じくベースへ入力される。
【0032】
フィルタ回路31を通ってベースへ入力された外来ノイズは、位相反転されていないので、帰還回路経由でベースに入力する位相反転した外来ノイズとフィルタ回路31経由でベース入力する外来ノイズとが相殺される。その結果、発振トランジスタ11のベースに印加される共振信号から外来ノイズが除去され、ノイズの影響を受けない発振信号が直流カットコンデンサ16を介して出力される。なお、フィルタ回路31によって、ノイズ成分の周波数帯域のみが通過するように設定されているので、発振周波数成分は減衰されることがなく、ノイズ成分のみを除去することができる。
【0033】
このように、本実施の形態においては、電源ラインから入力する外来ノイズを位相反転させずにフィルタ回路31を介して発振トランジスタ11のベースへ入力するように構成している。このため、発振トランジスタ11を通って位相反転した状態でベースへ帰還される外来ノイズを位相反転しない外来ノイズで相殺できるので、外来ノイズを抑えることができ、外来ノイズに影響されない電圧制御発振器1を構成することができる。
【0034】
次に、図2を参照して発振制御回路の変形例を説明する。電圧制御発振器2は、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間にフィルタ回路34を接続した例である。フィルタ回路34は、インダクタ35とコンデンサ36からなるLC直列共振回路として構成される。インダクタ35の一端が、発振トランジスタ11のコレクタに接続され、他端がコンデンサ36の一方の電極に接続されている。コンデンサ36の他方の電極は、発振トランジス11のエミッタに接続されている。フィルタ回路34は、上記フィルタ回路31と同様のフィルタ特性を持たせている。その他の部分に関しては、図1に示す電圧制御発振器1と同様に構成されているので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
次に、電圧制御発振器2の動作について説明する。電源ラインから入力する外来ノイズは、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間を通って位相反転される。また、外来ノイズの一部は、発振トランジスタ11を介さずに、フィルタ回路34を通ってエミッタ側に伝送される。そして、発振トランジスタ11のエミッタ側から出力された位相反転を伴う外来ノイズとフィルタ回路34経由で位相反転せずにエミッタ側に伝送される外来ノイズとが相殺される。その結果、発振トランジスタ11のベースに印加される共振信号から外来ノイズが除去され、ノイズの影響を受けない発振信号が直流カットコンデンサ16を介して出力される。
【0036】
このように、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間にフィルタ回路34を接続した場合においても、電源ラインから入力する外来ノイズの一部を位相反転させずにエミッタ側に伝えて位相反転した外来ノイズと相殺できるので、発振トランジスタ11のベースへ帰還される信号から外来ノイズを除去することができる。
【0037】
次に、図3を参照して他の変形例を説明する。本変形例の電圧制御発振器3は、発振トランジスタ11のコレクタ・ベース間にトラップ回路37が接続されている。トラップ回路37は、直列に接続されたコンデンサ38、39と、コンデンサ38、39の接続点と接地間との間に直列接続されるインダクタ40及びコンデンサ41とからなる直列回路とで構成されている。コンデンサ38の一方の電極は、発振トランジスタ11のコレクタに接続され、他方の電極はコンデンサ39の一方の電極に接続されている。コンデンサ39の他方の電極は、発振トランジスタ11のベースに接続されている。インダクタ40の一端は、コンデンサ38の他方の電極とコンデンサ39の一方の電極との接続点に接続され、他端がコンデンサ41を介して高周波的に接地されている。トラップ回路37は、発振周波数にトラップ位置が設定されており、発振周波数成分以外の信号を発振トランジスタ11のベース側へ通過させる。その他の部分に関しては、図1に示す電圧制御発振器1と同様に構成されているので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0038】
次に、電圧制御発振器3の動作について説明する。電源ラインから入力する外来ノイズは、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間を通って位相反転され、帰還コンデンサ12を介してベースに入力される。また、電源ラインから入力した外来ノイズの一部は、トラップ回路37に入力する。トラップ回路37では、発振周波数成分を抑圧して阻止し、発振周波数以外の帯域に存在する外来ノイズは、トラップ回路37を通って発振トランジスタ11のベースに入力される。
【0039】
トラップ回路37を通ってベースへ入力された外来ノイズは、位相反転されていないので、帰還回路経由でベースに入力する位相反転ノイズとトラップ回路37経由でベース入力する外来ノイズとが相殺される。その結果、発振トランジスタ11のエミッタから外来ノイズが除去された発振信号が直流カットコンデンサ16を介して出力される。また、トラップ回路37のフィルタ特性として発振周波数帯域をトラップするように設定することにより、発振信号が相殺されることなく、ノイズ成分のみを除去することができる。
【0040】
このように、発振トランジスタのコレクタ・ベース間にトラップ回路37を接続した場合においても、電源ラインから入力する外来ノイズを抑えることができる。
【0041】
また、本発明の実施の形態1においては、直列共振回路(フィルタ回路)とコレクタバイアス抵抗とを直列に接続し、コレクタバイアス抵抗の抵抗値を調整することにより、直列共振回路で除去できる周波数帯域を拡大することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電圧制御発振器4の構成図である。同図に示すように、電圧制御発振器4は、ベース接地型のコルピッツ発振回路として構成され、共振回路23より前段の部分に関しては、電圧制御発振器1と同様に構成されている。
【0043】
本実施の形態においては、発振トランジスタ51のベースは、接地用コンデンサ54を介して高周波的に接地されている。発振トランジスタ51のコレクタはコンデンサ22を介して共振回路23に接続され、発振トランジスタ51のエミッタは、直流カットコンデンサ52を介して出力端子53に接続されている。発振トランジスタ51のベースは、分圧用抵抗55を介して電源端子18に接続されると共に、分圧抵抗56を介して接地されている。発振トランジスタ51のエミッタ・ベース間は、コンデンサ57を介して接続されている。また、発振トランジスタ51のコレクタ・ベース間は、コンデンサ58を介して接続されている。発振トランジスタ51のコレクタ・エミッタ間は、コンデンサ59を介して接続されている。
【0044】
発振トランジスタ51のコレクタは、インダクタ60及びコレクタバイアス抵抗61を直列に介して電源18に接続されている。インダクタ60の一端は、発振トランジスタ51のコレクタに接続され、他端がコレクタバイアス抵抗61の一端に接続されている。コレクタバイアス抵抗61の他端は、電源端子18に接続されると共に、コンデンサ62を介して高周波的に接地されている。
【0045】
コレクタバイアス抵抗61とインダクタ60との接続点は、フィルタ回路63を介して発振トランジスタ51のエミッタに接続されている。フィルタ回路63は、インダクタ64と、コンデンサ65とからなるLC直列共振回路として構成されている。フィルタ回路63は、フィルタ特性を電源ラインから発振トランジスタ51のエミッタへ入力する外来ノイズの帯域に合わせたフィルタ特性を有する。インダクタ64とコンデンサ65との接続点は、抵抗66の一端が接続され、抵抗素子66の他端は接地されている。
【0046】
次に、第2の実施の形態に係る電圧制御発振器4の動作について説明する。共振回路23が、電圧制御信号Vctlに応じた共振周波数の信号を発振トランジスタ51のコレクタに印加する。発振トランジスタ51は、コレクタに印加された共振信号によって発振する。
【0047】
電源ラインから入力する外来ノイズは、コレクタバイアス抵抗61及びインダクタ60を介して発振トランジスタ51のコレクタ・エミッタ間を通って位相反転されてエミッタ側より出力される。また、この時電源ラインから入力してフィルタ回路63に分岐した外来ノイズは、フィルタ回路63を通って発振トランジスタ51エミッタ側に伝送される。フィルタ回路63は、ノイズ成分だけ通過して発振周波数成分を阻止するフィルタ特性となっているので、電源ラインからのノイズは通すが、コレクタ側の発振周波数成分の通過を阻止する。
【0048】
フィルタ回路63を通って発振トランジスタ51のエミッタ側へ伝送された外来ノイズは、位相反転されていないので、発振トランジスタ51経由で出力される位相反転外来ノイズとフィルタ回路63経由で入力する外来ノイズとが相殺される。その結果、外来ノイズが除去された発振信号が直流カットコンデンサ52を介して出力される。なお、フィルタ回路63は、ノイズ成分の周波数帯域のみが通過するように設定することにより、発振信号が相殺されることなく、ノイズ成分のみを除去することができる。
【0049】
このように、ベース接地型のコルピッツ発振回路で構成される電圧制御発振回路においても電源ラインから入る外来ノイズを抑えることができ、外来ノイズに影響されない電圧制御発振器を構成することができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、フィルタ回路63のインダクタ64として、発振トランジスタ51のエミッタ接地に用いられているインダクタ64を利用しているので、部品点数を削減できうる。また、コレクタ側のインダクタ60及び、エミッタ側のインダクタ64の抵抗値の比率を調整することにより、電源ラインから入力するノイズを調整することができるので、ノイズ除去効率を向上させることができる。
【0051】
また、本発明の実施の形態2においては、直列共振回路(フィルタ回路)とコレクタバイアス抵抗とを直列に接続し、コレクタバイアス抵抗の抵抗値を調整することにより、直列共振回路で除去できる周波数帯域を拡大することができる。
【0052】
なお、以上説明した電圧制御発振器1〜4において、帰還コンデンサは、ディスクリート部品ではなく、基板のパターンや、発振トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間の容量差により構成することができる。このため、回路を安価に構成できると共に簡素に構成することができる。
【0053】
本発明は上述した実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3、4、10 電圧制御発振器
11、51 発振トランジスタ
12、13 帰還コンデンサ
14、27、32、35、40、60、64 インダクタ
15、20、21、30、55、56、61、66 抵抗
16、19、22、24、25、29、33、36、38、39、41、52、54、
57〜59、62、65 コンデンサ
17、53 出力端子
18、28 電源端子
23 共振回路
26 バラクタダイオード
31、34、63 フィルタ回路
37 トラップ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振トランジスタを有する発振回路と、
前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続されるエミッタ抵抗と、
前記発振トランジスタのコレクタ・電源間に接続されるコレクタ抵抗と、
前記コレクタ抵抗とグランドとの間に設けられるバイパスコンデンサと、
前記発振トランジスタのコレクタ・ベース間に設けられるフィルタ回路と、を具備することを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
発振トランジスタを有する発振回路と、
前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続されるエミッタ抵抗と、
前記発振トランジスタのコレクタ・電源間に接続されるコレクタ抵抗と、
前記コレクタ抵抗とグランドとの間に設けられるバイパスコンデンサと、
前記発振トランジスタのコレクタ・エミッタ間に設けられるフィルタ回路と、を具備することを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項3】
前記発振回路は、
前記発振トランジスタのベース・エミッタ間に接続される第1の帰還コンデンサと、
前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続される第2の帰還コンデンサと、
前記発振トランジスタのベース・接地間に接続されるインダクタとを備えるコルピッツ型発振回路であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
前記発振回路は、
前記発振トランジスタのベース・接地間に設けられるベースコンデンサと、
前記発振トランジスタのベース・エミッタ間に接続される第1の帰還コンデンサと、
前記発振トランジスタのエミッタ・接地間に接続される第2の帰還コンデンサと、
前記コレクタ・接地間に接続されるインダクタとを備えるコルピッツ型発振回路であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電圧制御発振器。
【請求項5】
前記フィルタ回路は、ノイズの周波数帯域を通過させる帯域通過フィルタであること特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電圧制御発振器。
【請求項6】
前記フィルタ回路は、フィルタ用インダクタと、フィルタ用キャパシタと、前記コレクタ抵抗とが直列に接続された直列共振回路からなることを特徴とする請求項5記載の電圧制御発振器。
【請求項7】
前記フィルタ回路は、発振周波数の帯域を遮断する帯域除去フィルタであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電圧制御発振器。
【請求項8】
前記フィルタ回路は、前記帯域除去フィルタを構成しているフィルタ用インダクタ及びフィルタ用キャパシタが信号線路とグランドとの間に直列に接続されていることを特徴とする請求項7記載の電圧制御発振器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278734(P2010−278734A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128849(P2009−128849)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】