説明

電子カメラ

【課題】 複数の記録媒体を装填可能な電子カメラにおいて、画像の種類または用途に応じた記録先の振り分けを自動的且つ適切に行う。
【解決手段】 本発明の電子カメラは、被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、複数の記録媒体から画像データの記録先を選択可能な記録部と、振り分け部とを有する。記録部は、振り分け部が決定した記録媒体に画像データを記録する。振り分け部は、電子カメラの設定に関する情報に基づいて、或いは、画像データの評価指標に基づいて、或いは、被写体の状態に関する情報に基づいて、或いは、記録媒体の状態または属性に関する媒体情報と記録画像サイズとに基づいて、画像データの記録先を自動的に決定する。従って、複数の記録媒体を装填可能な電子カメラにおいて、画像の種類または用途に応じた記録先の振り分けを自動的且つ適切に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子カメラに関し、特に、記録媒体が複数ある場合の記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の記録媒体を装填可能な電子カメラが知られている。例えば、特許文献1の電子カメラでは、手動操作によりスライド移動可能なスロットカバーが2つのカードスロット上に設けられている。スロットカバーには、いずれかのカードスロットを露出させる開口部が設けられている。そして、スロットカバーの位置を検出することで、どちらのカードスロットが露出しているかを検知している。これにより、スロットカバーにより覆われたカードスロット内のカード型記録媒体は記録可能とし、開口が露出したカードスロット内のカード型記録媒体はアクセス不可能としている。
【特許文献1】特開2001−185874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の電子カメラでは、どちらのカード型記録媒体に画像データを記録するかの選択は、ユーザが手動操作によりスロットカバーを移動させることで行う必要がある。即ち、従来の電子カメラは、複数の記録媒体のいずれかに対して記録可能であっても、画像の用途を考慮した上でどの記録媒体に記録すべきかを自動的に振り分ける概念がなかった。このため、一方の記録媒体には例えばプライベートな画像のみを記録し、他方には別の用途の画像を記録したい場合、ユーザは、記録の都度、どちらの記録媒体に記録するかを自分で選択する必要がある。従って、画像の用途に応じた記録先の振り分けを電子カメラが自動的に行い、ユーザの操作負担を軽減することが要望されていた。
【0004】
本発明の目的は、複数の記録媒体を装填可能な電子カメラにおいて、画像の種類または用途に応じた記録先の振り分けを自動的且つ適切に行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子カメラは、被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、複数の記録媒体から画像データの記録先を選択可能な記録部とを有する。
請求項1の電子カメラは、以下の点を特徴とする。第1に、画像データの撮像時における電子カメラの設定に関する情報を判断基準として、画像データの記録先を複数の記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有する。第2に、記録部は、振り分け部が決定した記録媒体に画像データを記録する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、撮像時に設定されている撮影モードを振り分け部が判断基準として用いることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、撮像時に電子カメラ内のタイマが示す曜日を振り分け部が判断基準として用いることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、撮像時に電子カメラ内のタイマが示す時間帯を振り分け部が判断基準として用いることを特徴とする。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、振り分け部が露出条件を判断基準として用いることを特徴とする。
請求項6の電子カメラは、以下の点を特徴とする。第1に、画像データの評価指標に基づいて、画像データの記録先を複数の記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有する。第2に、記録部は、振り分け部が決定した記録媒体に画像データを記録する。
【0008】
請求項7の発明は、請求項6の電子カメラにおいて、画像データが示す画像の鮮鋭度に関する情報を振り分け部が評価指標として用いることを特徴とする。
請求項8の電子カメラは、以下の点を特徴とする。第1に、画像データの撮像時における被写体の状態に関する情報を判断基準として、画像データの記録先を複数の記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有する。第2に、記録部は、振り分け部が決定した記録媒体に画像データを記録する。
【0009】
請求項9の発明は、請求項8の電子カメラにおいて、被写体を照明する光源の色温度を振り分け部が判断基準として用いることを特徴とする。
請求項10の電子カメラは、以下の点を特徴とする。第1に、複数の記録媒体の状態または属性に関する媒体情報と、画像データのデータ量に関する画像サイズ情報とに応じて、画像データの記録先を複数の記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有する。第2に、記録部は、振り分け部が決定した記録媒体に画像データを記録する。
【0010】
請求項11の発明は、請求項10の電子カメラにおいて、記録媒体の空き容量に関する情報を振り分け部が媒体情報として用いることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項10の電子カメラにおいて、記録媒体にデータが書き込まれる際の書き込み速度に関する情報を振り分け部が媒体情報として用いることを特徴とする。
【0011】
請求項13の発明は、請求項10の電子カメラにおいて、記録媒体にデータが書き込まれる際の消費電力に関する情報を振り分け部が媒体情報として用いることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項10〜請求項13のいずれかの電子カメラにおいて、画像データの撮像時に設定される画像データの記録画素数と圧縮率の内少なくとも一方に基づいて、振り分け部が画像サイズ情報を設定することを特徴とする。
【0012】
請求項15の発明は、請求項10〜請求項13のいずれかの電子カメラにおいて、記録の対象となる画像データのデータ量を振り分け部が画像サイズ情報として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、電子カメラの設定に関する情報に基づいて、或いは、画像データの評価指標に基づいて、或いは、被写体の状態に関する情報に基づいて、或いは、記録媒体の状態または属性に関する媒体情報と画像サイズ情報とに基づいて、画像データの記録先を振り分け部が自動的に決定する。従って、複数の記録媒体を装填可能な電子カメラにおいて、画像の種類または用途に応じた記録先の振り分けを自動的且つ適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における電子カメラの概略構成図である。本実施形態は、請求項1〜請求項9に対応する。図に示すように、電子カメラ8は、交換可能な撮影レンズ12と、クイックリターンミラー14と、シャッタ16と、観察光学系18と、撮像素子20と、アナログ信号処理部24と、閃光装置26と、A/D変換部28と、タイミングジェネレータ32と、焦点検出部34と、測光部36と、測色部38と、角速度検出部40と、操作部42と、CPU44と、システムバス48と、メモリ52と、画像処理部56と、振り分け記録部60と、不図示の2つのカードスロットにそれぞれ装填されたカード型記録媒体70A、70Bと、モニタ制御部74と、液晶モニタ78とを有している。
【0015】
撮影レンズ12は、ピントを合わせる合焦用レンズ88と、画角を調節するズーム用レンズ90と、移動したレンズの位置を検出するエンコーダ92と、透過光量を調節する絞り94と、レンズや絞り94を駆動する駆動モータ96と、レンズCPU98とを有している。
角速度検出部40は、撮影時において縦方向と横方向の電子カメラ8の揺れをそれぞれ角速度として検出して、CPU44に伝達する。CPU44は、伝達された角速度に基づいて、撮影レンズ12内の不図示の手振れ補正レンズを調整して光学的手振れ補正を行う。なお、角速度検出部40や手振れ補正レンズを省いて、電子的手振れ補正にしてもよい。電子的手振れ補正の場合、撮影時には、撮像素子20の結像面上での像の位置がCPU44に伝達される。そして、この像の位置に応じて、撮像素子20からの読み出し範囲を変えることで、手振れを補正する。
【0016】
操作部42は、電源釦、撮影モード選択釦、振り分けモード選択釦、撮影条件入力用釦、レリーズ釦などの操作用釦群を有している(図示せず)。
CPU44は、電子カメラ8のシステム制御を行う。
また、電子カメラ8は、撮影日時、撮影時刻の情報をCPUに伝達するタイマ(図示せず)を有している。
【0017】
電子カメラ8は、撮影モードとして、ポートレートモードと、花火モードと、風景モードと、スポーツモードと、白黒コピーモードと、接写モードとを有している。
ポートレートモードでは、人物配置用の枠が観察光学系18上の観察像に重畳して表示され、絞り94が開放にされ、撮像後におけるホワイトバランスの調整処理は肌色重視に設定される。
【0018】
花火モードでは、無限遠でピントが合うように撮影レンズ12が駆動され、シャッタスピードはやや遅めに設定され、閃光装置は強制発光に設定される。
風景モードでは、空や緑系の色の見栄えがよくなるようにホワイトバランスが設定され、露出条件の演算に対する寄与率が画像上部の空に偏りすぎないように(画像下部も適正露出になるように)設定される。
【0019】
スポーツモードでは、シャッタスピードが速く設定され、レリーズタイムラグが短くなるように制御され、連写撮影が行われ、閃光装置26は発光しない。
白黒コピーモードでは、白い背景内の文字がくっきり写るように設定され、撮像素子20から得られる赤、青、緑の3原色の画像信号から輝度成分のみが生成される。
接写モードでは、合焦用レンズ88の駆動範囲が広くされる。
【0020】
また、電子カメラ8は、露出設定モードとして、シャッタスピード優先モードと、絞り優先モードと、オートモードと、マニュアルモードとを有している。シャッタスピード優先モードでは、ユーザが設定したシャッタスピード(露光時間)に基づいて、シャッタスピード以外の露出条件をCPU44が適切に設定する。なお、本明細書での露出条件は、シャッタスピード、撮像感度(撮像素子20のISO値)、絞り値、閃光装置26による発光の有無(発光する場合は発光量も含む)である。絞り優先モードでは、ユーザが設定した絞り値に基づいて、絞り値以外の露出条件をCPU44が適切に設定する。オートモードでは、全ての露出条件をCPU44が適切に設定する。マニュアルモードでは、ユーザが設定した露出条件に基づいて撮影が行われる。
【0021】
さらに、電子カメラ8は、画像データの記録先の決定手段として第1〜第22の振り分けモードを有している。即ち、振り分け記録部60は、設定された振り分けモードに応じた別々の方法で、カード型記録媒体70A、70Bのどちらに画像データを記録するかを自動的且つ適切に決定する。これが本実施形態の主な特徴であり、振り分けモードは、操作部42の振り分けモード選択釦により選択可能である。
【0022】
各振り分けモードでは、振り分け記録部60は、『撮影時における電子カメラ8の設定状態』、『画像データの評価指標』、『撮影時における被写体の状態に関する情報』などを判断基準として、カード型記録媒体70A、70Bのどちらに画像データを記録するかを決定する。
『撮影時における電子カメラ8の設定状態』は、以下の3つを指す。1つは、撮影時に電子カメラ8内のタイマ(図示せず)が示す時間情報または曜日である。1つは、撮像後の画像データに対する画像処理方法(画像サイズを含まない)であり、静止画撮影用に撮像素子20が露光される前に設定されているものである。1つは、撮影条件から、『撮影時における被写体の状態に関する情報』を除いたものである。
【0023】
本明細書での撮影条件は、撮影レンズ12の種類、画角(撮影レンズ12のズーム位置)、撮影距離(合焦用レンズ88の位置から判定可能)、AFエリア(撮影時に、どの領域にピントを合わせていたか)、被写体を照明する光源の色温度、被写体輝度、露出条件等である。撮影条件の内、色温度と被写体輝度は、『撮影時における被写体の状態に関する情報』である。
【0024】
なお、前述の6つの撮影モードのいずれかに設定すれば、撮影条件の一部や画像処理方法は自動的に設定される。
『画像データの評価指標』は、画像データが示す画像の色相、画像データが示す画像のコントラスト値、画像データの圧縮後のデータ量、撮影時に角速度検出部40が検出する角速度等である。手振れの程度を示す角速度を『画像データの評価指標』とする理由は、手振れが大きいほどボケ具合が大きくなると考えられるからである。なお、本実施形態のような光学的手振れ補正ではなく、電子的手振れ補正の場合、撮影の瞬間における結像面上での像の位置が画像データの評価指標に対応する。
【0025】
また、電子カメラ8は、撮影モード、振り分けモード、露出条件、画素処理方法等の種々の設定情報の組み合わせをカスタム設定として記憶可能である。即ち、種々の設定情報の組み合わせは何通りもあるので、それぞれを第1、第2、第3・・・のカスタム設定として記憶可能である。
図2は、本実施形態の電子カメラ8の動作を示す流れ図である。以下、図に示すステップ番号に従って、電子カメラ8の動作を説明する。
【0026】
[ステップS1]電子カメラ8の電源釦がオンされると、電源オン処理が行われる。CPU44は、レンズCPU98と交信して撮影レンズ12の種類を取得する。また、ユーザは、操作部42の釦群を操作して、撮影モード、露出条件などの設定や、第1〜第22振り分けモードのいずれかの選択が可能である。また、ユーザは、撮像後の画像データに対する記録画素数の設定や、撮像後の画像データを記録する際の圧縮率の選択が可能である。圧縮率は例えば、低圧縮(データ量を例えば約1/4に圧縮)、中圧縮(データ量を例えば約1/8に圧縮)、高圧縮(データ量を例えば約1/16に圧縮)から選択可能である。
【0027】
[ステップS2]撮像素子20は、露光されて電荷の蓄積及び排出を繰り返し、動画用の画像信号を所定のフレームレートで連続的に出力する。アナログ信号処理部24及びA/D変換部28は、この画像信号にクランプ処理、A/D変換などを施し、動画用の画像データを生成する。動画用の画像データは、通常、間引き読み出しにより、全有効画素の内の一部の画素の画素値で構成される。また、この画像データは、画像処理部56によりカラープロセス処理等が施された後、液晶モニタ78に動画表示される。
【0028】
[ステップS3]レリーズ釦が半押しされた後、測光部36は、被写体輝度を測光してCPU44に伝達する。また、測色部38は被写体を照明している光源の色温度を測定してCPU44に伝達する。CPU44は、被写体輝度等に基づいて露出条件を決定する。なお、測色部38がない構成では、色温度は撮影により得られる画像データから求めてもよい。
【0029】
[ステップS4]レリーズ釦の全押しに同期して、設定された撮影条件で公知の動作により静止画撮影が行われる。即ち、シャッタ16が駆動され、設定されたシャッタスピードで撮像素子20は露光される。撮像素子20の全有効画素の画素出力は、クランプ処理、A/D変換などが施された後、A/D変換部28から静止画の画像データとして出力される。生成された画像データには、ホワイトバランス調整、色補間、色補正、輪郭強調処理、ガンマ補正、画像圧縮等の処理が施される。なお、本実施形態では画像圧縮にJPEG圧縮を用いる例を説明するが、他の圧縮方法でもよい。また、CPU44は、『撮影時における電子カメラ8の設定状態の情報』、及び『撮影時における被写体の状態に関する情報』を、後述のステップS7までは消去せずに記憶しておく。
【0030】
ここで、静止画用に撮像素子20を露光する前のステップS1で記録画素数を設定可能にしたが、ステップS1でそれらが設定されない場合、露光後であるこのステップS4で設定してもよい。例えば、撮像素子20の画素出力にA/D変換、ホワイトバランス調整、色補間等の表示に必要な画像処理を施した後、この画像を液晶モニタ78に表示し、この表示と共に、記録画素数や圧縮率の選択を促す表示を出力して、それらを選択させてもよい。
【0031】
なお、スポーツモードに設定されている場合には、上記のように全有効画素の画素出力を用いる静止画撮影ではなく、間引き読み出しによる連写撮影が行われる。
[ステップS5]振り分け記録部60は、CPU44から、記録先の決定に必要な情報、即ち、何によって記録先を振り分けるかの情報を読み込む。何によって記録先を振り分けるかは、以下のステップS6で説明するように、各振り分けモード毎に異なる。
【0032】
[ステップS6]振り分け記録部60は、読み込んだ情報と、設定された振り分けモードとに応じて、カード型記録媒体70A、70Bのどちらに画像データを記録するかを決定する。以下、各振り分けモード毎に、振り分け記録部60による記録先の決定方法を説明する。
(1)第1振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、タイマが示す日付に基づいて、撮影時の曜日が平日か否かを判定する。平日であればカード型記録媒体70Aへの記録を決定し、平日でなければカード型記録媒体70Bへの記録を決定する。なお、平日であればカード型記録媒体70Bに記録し、平日でなければカード型記録媒体70Aへ記録するように決定してもよい。判定結果が肯定的であればどちらに記録するかは、操作部42の釦によりステップS1でユーザが予め選択してもよく、以下、カード型記録媒体の符号70A、70Bは適宜省略する(他の振り分けモードでも同様)。
【0033】
(2)第2振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、タイマが示す時刻に基づいて、撮影時が特定時間帯に含まれるか否かを判定する。特定時間帯に含まれる場合、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、含まれない場合、他方への記録を決定する。ここでの特定時間は、例えばステップS1でユーザに選択させておけばよい。
(3)第3振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、タイマが示す日付及び時刻に基づいて、撮影時が日照時間帯に含まれるか否かを判定する。日照時間帯に含まれる場合、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、含まれない場合、他方への記録を決定する。なお、撮影地域によって日照時間は若干異なるので、例えば小型のGPS(Global Positioning System)を搭載しておき、撮影地域と、日付及び時刻とに基づいて日照時間帯に含まれるか否かを判定してもよい。
【0034】
(4)第4振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影モードによって記録先を決定する。予め選択された特定の撮影モードで撮影が行われた場合には一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合には他方への記録を決定する。ここでの特定の撮影モードは、例えばステップS1においてポートレートモード、花火モード、風景モード、スポーツモード、白黒コピーモード、接写モードの少なくともいずれか(全ての場合は含まない)をユーザに選択させておけばよい。
【0035】
(5)第5振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、露出設定モードによって記録先を決定する。予め選択された特定の露出設定モードで撮影が行われた場合には一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合には他方への記録を決定する。ここでの特定の露出設定モードは、例えばステップS1においてシャッタスピード優先モード、絞り優先モード、オートモード、マニュアルモードの少なくともいずれか(全ての場合は含まない)をユーザに選択させておけばよい。
【0036】
(6)第6振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影時において電子カメラ8がカスタム設定を用いた状態であったか否かを判定する。カスタム設定を用いた状態であった場合、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合、他方への記録を決定する。なお、ユーザが選択した特定のカスタム設定で撮影が行われた場合には一方のカード型記録媒体への記録を決定し、それ以外のカスタム設定で撮影が行われた場合には他方への記録を決定するようにしてもよい。ここでの特定のカスタム設定は、例えばステップS1でユーザに選択させればよい。
【0037】
(7)第7振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影レンズ12の種類によって記録先を決定する。例えば、撮影レンズ12が特定のものであれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、特定のものでなければ他方への記録を決定する。特定の撮影レンズは、例えばステップS1でユーザに選択させればよい。
(8)第8振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影時における撮影レンズ12のズーム位置によって記録先を決定する。例えば、ズーム位置が広角側であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、望遠側であれば他方への記録を決定する。
【0038】
(9)第9振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、絞り値によって記録先を決定する。例えば絞り94が開放であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。
(10)第10振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、絞り値が特定の値に設定されていれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。ここでの特定の絞り値としては、例えば撮影レンズ12の性能が最もよくなる値を、撮影レンズ12の種類毎にテーブルデータのような形式でCPU44に予め記憶させておけばよい。或いは、ステップS1でユーザに選択させてもよい。
【0039】
(11)第11振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、実際の撮影距離によって記録先を決定する。ここでの撮影距離は、ピントを合わせている被写体と電子カメラ8との距離であり、ピントが合った状態においてエンコーダ92が出力するレンズ位置から判定可能である。なお、三角測距法等の別の方法で求めてもよい。そして、撮影距離が所定値以下であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。
【0040】
(12)第12振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影モードから推定されるおおよその撮影距離によって記録先を決定する。本実施形態では一例として、花火モードまたは風景モードに設定されていれば、遠距離と推定されるので一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。なお、接写モードまたは白黒コピーモードに設定されていれば、近距離と推定されるので一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定するようにしてもよい。
【0041】
(13)第13振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、AFエリアによって記録先を決定する。例えばAFエリアが中央部であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合には他方への記録を決定する。或いは、AFエリアがCPU44により自動的に設定されたものであれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、AFエリアがユーザにより設定されたものであれば他方への記録を決定する。
【0042】
(14)第14振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮像素子20のISO値によって記録先を決定する。例えばISO値が100以下であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。或いは、ISO値がCPU44により設定されたものであれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、ユーザが設定したものであれば他方への記録を決定してもよい。
【0043】
(15)第15振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影時の閃光装置26の発光の有無を判定する。発光が行われた場合、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合、他方への記録を決定する。
(16)第16振り分けモードは、露出設定モードがマニュアルモード以外に設定されている場合、即ち、露出条件の少なくともいずれかがCPU44により決定される場合を対象とする。第16振り分けモードでは、振り分け記録部60は、CPU44が決定した露出条件がユーザにより補正されたか否かによって振り分ける。補正された露出条件で撮影された場合には一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合には他方への記録を決定する。
【0044】
(17)第17振り分けモードは、同じ被写体に対して、条件を変えて撮影する場合を対象とする。シャッタスピードが所定値より早い場合には、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでない場合には他方への記録を決定する。なお、CPU44により設定されたシャッタスピードをユーザが補正して撮影した場合には一方に記録し、そうでない場合には他方に記録するようにしてもよい。
【0045】
(18)第18振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、画像処理部56に指令して、ステップS4で生成した画像データの平均色相を判定させる。ここでの色相は、画像全体の平均色相でもよいし、画像の中央部のみの平均色相でもよいし、AFエリアに対応する領域の平均色相でもよい。振り分け記録部60は、画像処理部56が判定した色相によって記録先を決定する。例えば、色相が青に近ければ一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。
【0046】
(19)第19振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、画像処理部56に指令して、ステップS4で生成した画像データのコントラスト値を求めさせる。ここでのコントラスト値は、画像データが表す画像の鮮鋭性を示し、画像全体の平均的なコントラスト値でもよいし、AFエリアに対応する領域のコントラスト値でもよい。振り分け記録部60は、コントラスト値が所定値以上であれば、成功写真と判断されるので一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ、ピンボケ写真と判断されるので他方への記録を決定する。
【0047】
(20)第20振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影時に角速度検出部40が検出した角速度によって記録先を決定する。例えば、縦方向と横方向の角速度の少なくともいずれかが所定値以上であれば、成功写真と推定されるので一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ、ピンボケ写真と推定されるので他方への記録を決定する。
【0048】
なお、本実施形態のような光学的手振れ補正ではなく、電子的手振れ補正の場合、振り分け記録部60は、撮影時における撮像素子20の結像面上での像の位置をCPU44から取得すればよい。そして、この像の位置と、手振れがない場合の像の位置との間隔が所定値以上の場合、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ、他方への記録を決定すればよい。
【0049】
(21)第21振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、画像圧縮後における画像データのデータ量(バイト数)によって記録先を決定する。画素数が同じでバイト数が多ければ、成功写真と判断でき、バイト数が少なければピンボケ写真と判断できる。なぜなら、ピントが合っている画像ほど、高周波成分が多いので、JPEG圧縮において生成される符号量は多くなり、データ量は多くなるからである。従って、データ量が所定値以上であれば一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ他方への記録を決定する。
【0050】
(22)第22振り分けモードに設定されている場合、振り分け記録部60は、撮影時における光源の色温度によって記録先を決定する。例えば、色温度が4000K(室内撮影と判断可能)であれば、一方のカード型記録媒体への記録を決定し、そうでなければ、他方への記録を決定する。
[ステップS7]振り分け記録部60は、ステップS6で決定した方のカード型記録媒体に、画像データを記録する。そして、画像データと共に、振り分けの判断基準としてステップS5で読み込んだ情報を付帯情報として画像のJPEGファイルのヘッダ部分に記録する。例えば、第1振り分けモードであれば撮影時の曜日を記録し、第13振り分けモードであればAFエリアをどこに設定したかを記録する。なお、絞り値や撮像感度等は、撮影条件として、現行の電子カメラでも画像のJPEGファイルのヘッダ部分に記録するものがあるので、重複する場合は、振り分け条件としては記録せずに撮影条件として記録しておけばよい。以上が本実施形態の電子カメラ8の動作説明である。
【0051】
このように第1〜第17振り分けモードでは撮影時の電子カメラ8の設定に基づいて、第18〜第21振り分けモードでは色相やコントラスト値等の画像データの評価指標に基づいて、第22振り分けモードでは色温度に基づいて、画像データの記録先を電子カメラ8が自動的に振り分ける。このため、どちらのカード型記録媒体に記録するかを、記録の都度ユーザが選択する必要はない。
【0052】
従って、ユーザの操作負担は軽減される。また、同じ用途の複数の画像が複数のカード型記録媒体に分散して記録されることを防止できる。この結果、カード型記録媒体別に内部の画像データの種類を把握できるので、ユーザは、カード型記録媒体の画像データの中身を、認識しやすくなる。即ち、どのカード型記録媒体にどの画像を記録したかを探す手間が少なくなり、画像の整理が容易になる。
【0053】
特に、第1振り分けモードでは、平日か否かで記録先を振り分ける。ユーザによっては、平日に撮影した画像は勤務時間帯に記録した仕事上のものが多く、土曜及び祝日の画像はプライベート画像が多い場合がある。従って、自宅のコンピュータにはプライベートな画像を記録した方のカード型記録媒体を接続し、会社のコンピュータには仕事上の画像を記録したカード型記録媒体を用いるといったことが可能になる。この結果、電子カメラは1つしかなくてもカード型記録媒体が複数あれば、公私の切り分けが容易になる。
【0054】
第2振り分けモードでも、勤務時間帯(例えば9時〜17時)を特定時間帯として入力しておくことで、第1振り分けモードと同様の効果が得られる。また、例えば宴会等が多い時間帯と考えられる18時〜21時等の時間帯を特定時間として入力しておくことで、特定の行事に関する画像のみを区別して記録できる。
第3振り分けモードでは、タイマが示す日付及び時刻に基づいて日照時間帯か否かを正確に判定した上で、日照時間帯の画像を区別して記録できる。日照時間帯の画像は比較的明るいものが多いと考えられ、そのような画像を区別して記録できる。
【0055】
第4振り分けモードでは、撮影モードによって記録先を自動的に振り分けることができる。従って、例えば家族で花火に行った場合、花火モードで撮られる花火の写真と、花火モード以外のモードで撮られる家族の集合写真とを別々にできる。
第5振り分けモードでは、露出設定モードによって記録先を自動的に振り分けることができる。
【0056】
第6振り分けモードでは、カスタム設定を用いた状態であったか否か、或いは、特定のカスタム設定で撮影が行われたか否かによって記録先を自動的に振り分けることができる。
第7振り分けモードでは、撮影レンズ12の種類によって記録先を自動的に振り分けることができる。
【0057】
第8振り分けモードでは、撮影時における撮影レンズ12のズーム位置によって記録先を自動的に振り分けることができる。
第9振り分けモードでは、絞り94が開放であるものを別に記録する。これは、絞りを開放することで、被写界深度を浅くしてピントの合っている部分を強調し、雰囲気を出す撮影も多いからである。従って、そのように意図的に雰囲気を演出した画像と、そうでないものとを自動的に振り分けることができる。
【0058】
第10振り分けモードでは、特定の絞り値で撮影されたか否かによって記録先を自動的に振り分けることができる。撮影レンズ12の光学的性能は、絞り値によって若干変わるので、例えば撮影レンズ12の性能が最もよくなると考えられる絞り値での撮像画像を別に記録できる。
第11、及び第12振り分けモードでは、撮影距離によって記録先を自動的に振り分けることができる。
【0059】
第13振り分けモードでは、AFエリアによって記録先を自動的に振り分けることができる。特にユーザがAFエリアを選択する場合、主要被写体のみにピントを合わせることも多いと考えられ、画像における主要被写体の位置によって振り分けることとほぼ等価である。
第14振り分けモードでは、撮像素子20のISO値が所定値以上か否かによって記録先を自動的に振り分けることができる。或いは、一方にはユーザが意図した撮像感度で撮影された画像データのみを記録し、他方には電子カメラの自動露出設定でいろいろと変更された撮像感度で撮影された画像データを記録することができる。
【0060】
第15振り分けモードでは、撮影時の閃光装置26の発光の有無によって記録先を自動的に振り分けることができる。バウンス撮影にしない場合は特に、発光の有無は、撮像後にフォトレタッチを行う必要があるかないかの判断基準になり得るので、発光の有無による振り分けは、ユーザが区別したい条件に適う場合がある。
第16振り分けモードでは、CPU44により決定された露出条件がユーザにより補正されたか否かによって記録先を自動的に振り分けることができる。
【0061】
第17振り分けモードでは、同じ被写体に対して条件を変えて撮影した複数の画像を区別して記録できる。本実施形態では一例としてシャッタスピードを判断基準としたが、シャッタスピードが所定値より早いものは、手振れを少なくした予備的な画像である場合も多く、そのような画像を正規の画像とは区別して記録できる。
第18振り分けモードでは、画像の色相によって記録先を自動的に振り分けることができる。
【0062】
第19〜第21振り分けモードでは、それぞれコントラスト値、角速度、画像データのデータ量に基づいて、成功写真かピンボケ写真かを判定する。このため、成功写真かピンボケ写真かを客観的且つ正確に判定できる。従って、ユーザは、撮像した画像を表示させて成功画像かピンボケ画像かを判別する必要はない。また、ピンボケ画像のみを別の記録先に記録することができる。このため、失敗写真が記録される方のカード型記録媒体は、おおざっぱに見て得るべきものがなければ一括してフォーマットすることなどが可能である。
【0063】
第22振り分けモードでは、光源の色温度によって記録先を自動的に振り分けることができる。これは、ホワイトバランス調整の条件(赤、緑、青の画像信号にそれぞれ乗じるホワイトバランスゲインWr、Wg、Wbの組み合わせ)によって記録先を自動的に振り分けることと等価である。また、例えば色温度4000K近辺を境に振り分ければ、室内撮影か屋外撮影かによって記録先を振り分け可能である。
【0064】
<第2の実施形態>
次に、請求項10〜請求項15に対応する第2の実施形態を説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との主な違いは、記録先を決定する振り分け記録部60やCPU44の演算機能のみである。従って、構成図を省略し、第1の実施形態と同一要素には同一符号を付し、違いのみを説明する。
【0065】
図3は、第2の実施形態における電子カメラ8の動作の流れ図である。以下、図に示すステップ番号に従って、電子カメラ8の動作を説明する。なお、ステップS22、S23、S24、S28は、第1の実施形態のステップS2、S3、S4、S7とそれぞれ同様であるので、ステップS21、S25、S26、S27のみを説明する。
[ステップS21]本実施形態では第23〜第25振り分けモードのいずれかを選択可能であることを除き、第1の実施形態のステップS1と同様である。
【0066】
[ステップS25]振り分け記録部60は、設定された振り分けモードに応じて、カード型記録媒体70A、70Bにアクセスして必要な情報を取得する。
第23振り分けモードでは、振り分け記録部60は、カード型記録媒体70A、70Bの空き容量をそれぞれ取得する。
第24、第25振り分けモードでは、振り分け記録部60は、カード型記録媒体70A、70Bの種類(機種)をそれぞれ取得する。第24振り分けモードでは、振り分け記録部60は、予め記憶しているカードの機種と、書き込み速度とを対応させたテーブルデータを参照して、それぞれに対する書き込み速度を判断する。第25振り分けモードでは、振り分け記録部60は、カードの機種と、書き込みの際の消費電力とを対応させたテーブルデータを参照して、それぞれに対する消費電力を判断する。
【0067】
なお、テーブルデータは出荷時等に振り分け記録部60に予め記憶させておけばよいが、新規格の記録媒体の場合、テーブルデータを参照しても書き込み速度や消費電力が分からない。そのような場合、テスト書き込みを行い、それに要する時間、或いはそれによるバッテリーの電圧降下分を測ることで、書き込み速度、或いは消費電力を判定後、テスト書き込みしたデータを消去すればよい。また、カード型記録媒体の種類を取得可能か否かに拘らずテスト書き込みを行い、書き込み速度、消費電力を正確に判定してもよい。
【0068】
[ステップS26]振り分け記録部60は、記録する際の画像サイズの情報をCPU44から読み込む。画像サイズとして読み込む情報は、記録画素数でもよいし、圧縮後の実際のデータ量でもよい。なお、本実施形態ではステップS24で画像圧縮を行うが、ステップS24では行わずに後述するステップS28での記録前に画像圧縮を行ってもよく、その場合、このステップS26では圧縮後のデータ量は確定していない、その場合、画像サイズは、記録画素数と圧縮率とから予測される圧縮後のデータ量で判断してもよい。圧縮後のデータ量は、記録画素数に圧縮率を乗じた値にほぼ比例するので、圧縮前でもある程度の精度で予測可能である。
【0069】
[ステップS27]振り分け記録部60は、カード型記録媒体70A、70Bの情報と、画像サイズと、設定された振り分けモードとに応じて、画像データの記録先を決定する。
第23振り分けモードでは、画像サイズが所定値以上であれば、空き容量が多い方のカード型記録媒体への記録を決定し、画像サイズが所定値未満であれば他方への記録を決定する。
【0070】
第24振り分けモードでは、画像サイズが所定値以上であれば、書き込み速度が速い方のカード型記録媒体への記録を決定し、画像サイズが所定値未満であれば他方への記録を決定する。
第25振り分けモードでは、画像サイズが所定値以上であれば、消費電力が小さい方のカード型記録媒体への記録を決定し、画像サイズが所定値未満であれば他方への記録を決定する。
【0071】
なお、上記第23、第24、第25振り分けモードにおいて、画像サイズは、圧縮率のみで判断してもよい。即ち、圧縮率が低圧縮に設定されていれば、データ量は多いと考えられるので、空き容量が多い方、または、書き込み速度が速い方、または、消費電力が小さい方に記録し、圧縮率が低圧縮でなければ他方に記録するようにしてもよい。以上が第2の実施形態の動作説明である。
【0072】
このように第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第23振り分けモードでは、画像サイズが大きいもの(または、圧縮率が低く、データ量が多いと考えられるもの)は、空き容量が多い方のカード型記録媒体に記録する。従って、書き込みを開始後、書き込みが終了する前に、そのカード型記録媒体の空き領域がなくなるという不具合の可能性は少なくなる。
【0073】
第24振り分けモードでは、画像サイズが大きいもの(または圧縮率が低いもの)は、書き込み速度が速い方に記録する。従って、多数の画像データが記録される場合に、全体として記録に要する時間を短縮できるので、その分、電子カメラ8の動作速度が速くなる。
第25振り分けモードでは、画像サイズが大きいもの(または圧縮率が低いもの)は、書き込みに要する消費電力が少ない方に自動的に記録する。従って、消費電力を低減できる。
【0074】
<本発明の補足事項>
本発明による画像データの記録先の振り分け方法は、電子カメラ以外の電子機器にも適用可能である。
また、第1の実施形態の第1〜第22振り分けモードと、第2の実施形態の第23〜第25振り分けモードとを合わせて選択可能にしてもよい。
【0075】
1つの画像データを一方のカード型記録媒体のみに記録する例を述べたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば第23振り分けモードにおいて双方の空き容量がほぼ同じで、どちらに記録すべきかの判定が困難な場合には、両方のカード型記録媒体に記録してもよいし、その旨の表示を出してユーザに選択させてもよい。
第1及び第2の実施形態では、2つの交換可能な(装填型である)カード型記録媒体に記録する例を述べたが、記録媒体はカード型でなくてもよい。また、内部の記憶媒体と、単数の装填型の記録媒体とに記録する形態でもよい。或いは、3つ以上の装填型の記録媒体に記録する形態でもよい。
【0076】
第1の実施形態では、閃光装置26が内蔵型である例を述べたが、外付け型の電子閃光装置と交信する形態でもよい。その場合、バウンス撮影にしたか否かによって記録先を振り分けてもよい。或いは、電子閃光装置の発光モード(TTL測光モード、外部調光モード、マニュアル調光モード)によって振り分けてもよい。
第1及び第2の実施形態では、撮影の都度、即ち、画像データの生成の都度、記録する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。撮像した複数の画像データをメモリ52に一時的に記憶しておき、交換型の別の記録媒体(例えばコンピュータ)が接続された時点で、上述のように適切に記録先を決定して、記録を開始してもよい。
【0077】
以下、請求項と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
請求項記載の撮像部は、シャッタ16、撮像素子20、アナログ信号処理部24、A/D変換部28、タイミングジェネレータ32、焦点制御部34と、これらに画像データを生成させるCPU44の制御機能とに対応する。なお、撮像部による画像データの生成の動作の詳細は公知なので、詳細な説明を省略した。
【0078】
請求項記載の記録部は、各振り分けモードに応じて決定した記録先に画像データを記録する振り分け記録部60の機能に対応する。
請求項記載の振り分け部は、画像データの記録先を決定する振り分け記録部60の機能に対応する。
第18振り分けモードで判定する平均色相、第19振り分けモードで判定するコントラスト値、第20振り分けモードで取得する角速度、第21振り分けモードで判定する画像データのデータ量は、請求項記載の画像データの評価指標の一例である。
【0079】
第22振り分けモードで取得する光源の色温度は、請求項記載の撮像時における前記被写体の状態に関する情報の一例である。被写体の状態に関する情報としては、測光部36が取得する被写体輝度等も考えられる。第1の実施形態では挙げなかったが、被写体輝度が所定値以上か否かによって記録先を振り分けてもよい。
第23振り分けモードで取得する空き容量は、請求項で言及している『記録媒体の状態に関する媒体情報』の一例である。
【0080】
第24、第25振り分けモードで取得する書き込み速度、消費電力は、請求項で言及している『記録媒体の属性に関する媒体情報』の一例である。
請求項記載の画像サイズ情報は、撮像により生成された画像データに対する記録画素数、データ量、画像データに画像圧縮を施す際の圧縮率に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上詳述したように本発明は、電子カメラの分野において大いに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子カメラの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態の電子カメラの動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0083】
8 電子カメラ
12 撮影レンズ
14 クイックリターンミラー
16 シャッタ
18 観察光学系
20 撮像素子
24 アナログ信号処理部
26 閃光装置
28 A/D変換部
32 タイミングジェネレータ
34 焦点検出部
36 測光部
38 測色部
40 角速度検出部
42 操作部
44 CPU
48 システムバス
52 メモリ
56 画像処理部
60 振り分け記録部
70A、70B カード型記録媒体
74 モニタ制御部
78 液晶モニタ
88 合焦用レンズ
90 ズーム用レンズ
92 エンコーダ
94 絞り
96 駆動モータ
98 レンズCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
複数の記録媒体から前記画像データの記録先を選択可能な記録部と
を備えた電子カメラであって、
前記画像データの撮像時における電子カメラの設定に関する情報を判断基準として、前記画像データの記録先を複数の前記記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有し、
前記記録部は、前記振り分け部が決定した前記記録媒体に前記画像データを記録する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、撮像時に設定されている撮影モードを前記判断基準として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、撮像時に電子カメラ内のタイマが示す曜日を前記判断基準として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、撮像時に電子カメラ内のタイマが示す時間帯を前記判断基準として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、露出条件を前記判断基準として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
複数の記録媒体から前記画像データの記録先を選択可能な記録部と
を備えた電子カメラであって、
前記画像データの評価指標に基づいて、前記画像データの記録先を複数の前記記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有し、
前記記録部は、前記振り分け部が決定した前記記録媒体に前記画像データを記録する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項6記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記画像データが示す画像の鮮鋭度に関する情報を前記評価指標として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項8】
被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
複数の記録媒体から前記画像データの記録先を選択可能な記録部と
を備えた電子カメラであって、
前記画像データの撮像時における前記被写体の状態に関する情報を判断基準として、前記画像データの記録先を複数の前記記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有し、
前記記録部は、前記振り分け部が決定した前記記録媒体に前記画像データを記録する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項9】
請求項8記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記被写体を照明する光源の色温度を前記判断基準として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項10】
被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
複数の記録媒体から前記画像データの記録先を選択可能な記録部と
を備えた電子カメラであって、
複数の前記記録媒体の状態または属性に関する媒体情報と、前記画像データのデータ量に関する画像サイズ情報とに応じて、前記画像データの記録先を複数の前記記録媒体の中から自動的に決定する振り分け部を有し、
前記記録部は、前記振り分け部が決定した前記記録媒体に前記画像データを記録する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項11】
請求項10記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記記録媒体の空き容量に関する情報を前記媒体情報として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項12】
請求項10記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記記録媒体にデータが書き込まれる際の書き込み速度に関する情報を前記媒体情報として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項13】
請求項10記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記記録媒体にデータが書き込まれる際の消費電力に関する情報を前記媒体情報として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項14】
請求項10〜請求項13のいずれか1項記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、前記画像データの撮像時に設定される前記画像データの記録画素数と圧縮率の内少なくとも一方に基づいて、前記画像サイズ情報を設定する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項15】
請求項10〜請求項13のいずれか1項記載の電子カメラにおいて、
前記振り分け部は、記録の対象となる前記画像データのデータ量を前記画像サイズ情報として用いる
ことを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−33268(P2006−33268A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207389(P2004−207389)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】