説明

電子カメラ

【構成】 イメージセンサ14は、被写界を捉える撮像面14fを有する。CPU24は、シャッタボタン28sの半押し操作が実行されたとき撮像条件を調整し、半押し操作の後に実行される全押し操作に応答して撮像面14fで捉えられた被写界像を記録媒体46に記録する。また、既定条件が満足されたとき撮像面14fで捉えられた被写界像を全押し操作を待つことなく記録媒体46に記録する。ここで既定条件は、複数の条件の論理積である。複数の条件は、半押し操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面14fの既定領域に属するという画像条件を含む。
【効果】 顔画像を含む被写界像を的確に記録できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特にたとえば、被写界を撮像面で捉え、捉えられた被写界像を記録媒体に記録する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の装置としては、特許文献1に開示されたものが知られている。この従来技術は、撮像面で捉えられた被写界像からの顔画像の検出を試み、顔画像の検出に成功したとき被写界像を自動的に記録する。これによって、シャッタチャンスを逃すことを防止しようとしている。
【0003】
なお、従来の顔画像検出方法は、例えば特許文献2に開示されている。この従来技術は、入力画像を複数のブロックに分割し、これら複数のブロックの各々の色情報を算出し、そして肌色の色情報を有するブロックを顔画像として検出する。
【特許文献1】特開2003−92700号公報〔H04N 5/93,5/225,5/91〕
【特許文献2】特開2002−15319号公報〔G06T 7/00〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、顔の位置や表情がどうであれ、顔画像さえ検出されれば記録処理が実行されるので、所望の被写界像が記録されるとは限らない。特に、ポートレート(肖像写真)の撮影には適さない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、顔画像を含む被写界像を的確に記録できる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に従う電子カメラ(10)は、被写界を捉える撮像面(14f)を有する撮像手段(14)、条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整手段(S13,S15)、条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体(46)に記録する第1記録手段(S17,S27)、および既定条件が満足されたとき撮像面で捉えられた被写界像を記録操作を待つことなく記録媒体に記録する第2記録手段(S19,S27)を備え、既定条件は、条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である。
【0007】
撮像手段は、被写界を捉える撮像面を有する。撮像条件は、条件調整操作が実行されたとき調整手段によって調整される。条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して撮像面で捉えられた被写界像は、第1記録手段によって記録媒体に記録される。
【0008】
既定条件が満足されれば、撮像面で捉えられた被写界像は、記録操作を待つことなく第2記録手段によって記録媒体に記録される。ここで、既定条件は、条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である。すなわち、第2記録手段の記録処理は、複数の条件が全て満足されたときだけ実行される。
【0009】
請求項1に発明によれば、複数の条件に操作条件を含めたことで、第2記録手段の記録処理の実行タイミングを所望の期間内に制限でき、自然な表情の記録が可能となる。また、複数の条件に画像条件を含めたことで、被写界像に占める顔画像の位置を制限できる。例えば既定領域を撮像面の中央上寄りに配置すれば、顔画像は被写界像の中央上寄り部分を占める結果となる。こうして、顔画像を含む被写界像を的確に記録できる。
【0010】
請求項2の発明に従う電子カメラは、請求項1に従属し、複数の条件は、人物の顔画像が既定領域に属する時間が閾値に達したという時間条件をさらに含む。これによって、被写界ぶれを防止できる。
【0011】
請求項3の発明に従う電子カメラは、請求項1または2に従属し、撮像面で捉えられた被写界像のうち既定領域に対応する探索領域(E)に属する被写界像のみを対象として人物の顔の特徴画像を探索する探索手段(S43,S47,S49)、および既定条件が満足されないとき探索手段の探索処理を停止させる停止手段(S45)をさらに備える。
【0012】
探索手段は、人物の顔の特徴画像を探索する。探索手段の探索領域は、既定領域に対応する。停止手段は、既定条件が満足されないとき、探索手段の探索処理を停止させる。
【0013】
したがって、探索処理は、被写界像のある決まった一部分のみを対象に、既定条件が満足されている期間だけ実行される。このため、処理負荷が軽減される。
【0014】
請求項4の発明に従う電子カメラは、請求項1ないし3のいずれかに従属し、条件調整操作はシャッタボタン(28s)の半押しに相当し、記録操作はシャッタボタンの全押しに相当する。この場合、全押し操作に起因する手ブレの発生頻度を低減できる。
【0015】
請求項5の発明に従う電子カメラは、請求項1ないし4のいずれかに従属し、既定領域は撮像面の中央上寄りに位置する。これにより、ポートレート撮影に適した記録が行える。
【0016】
請求項6の発明に従う電子カメラは、請求項1ないし5のいずれかに従属し、既定領域に沿った枠画像を表示する枠表示手段(S3)をさらに備える。
【0017】
枠表示手段は、既定領域に沿った枠画像を表示する。これによって、顔の既定領域への導入が容易となり、使い勝手が向上する。
【0018】
請求項7の発明に従う電子カメラは、請求項1ないし6のいずれかに従属し、第1記録手段によって記録された被写界像の識別子を第1フォルダに登録する第1登録手段(S79)、および第2記録手段によって記録された被写界像の識別子を第2フォルダに登録する第2登録手段(S77)をさらに備える。
【0019】
第1記録手段によって記録された被写界像の識別子は、第1登録手段によって第1フォルダに登録される。一方、第2記録手段によって記録された被写界像の識別子は、第2登録手段によって第2フォルダに登録される。このように、記録操作に応答して記録された画像と、記録操作を待たずに記録された画像とを別々のフォルダで管理することで、例えば後者の画像だけを確認する作業が容易に行え、使い勝手が向上する。
【0020】
請求項8の発明に従う電子カメラは、請求項1ないし7のいずれかに従属し、撮像手段はイメージセンサであり、撮像面はイメージセンサの受光面である。
【0021】
請求項9の発明に従う記録制御プログラムは、被写界を捉える撮像面(14f)を有する撮像手段(14)を備えた電子カメラ(10)のプロセサ(24)に、条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整ステップ(S13,S15)、条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体(46)に記録する第1記録ステップ(S17,S27)、および既定条件が満足されたとき撮像面で捉えられた被写界像を記録操作を待つことなく記録媒体に記録する第2記録ステップ(S19,S27)を実行させる。既定条件は、条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である。
【0022】
請求項10の発明に従う記録制御方法は、被写界を捉える撮像面(14f)を有する撮像手段(14)を備えた電子カメラ(10)のプロセサ(24)によって実行される記録制御方法であって、条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整ステップ(S13,S15)、条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体(46)に記録する第1記録ステップ(S17,S27) 、および既定条件が満足されたとき撮像面で捉えられた被写界像を記録操作を待つことなく記録媒体に記録する第2記録ステップ(S19,S27) を備え、既定条件は、条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、顔画像を含む被写界像を的確に記録することができる。
【0024】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、光学レンズ12を含む。被写界の光学像は、光学レンズ12を通してイメージセンサ14に照射され、光電変換を施される。これによって、被写界を表す電荷つまり生画像信号が生成される。
【0026】
電源が投入されると、CPU24は、スルー画像処理を実行するべく、プリ露光および間引き読み出しの繰り返しをTG/SG22に命令する。TG/SG22は、イメージセンサ14のプリ露光と、これによって得られた電荷の間引き読み出しとを実行するべく、複数のタイミング信号をイメージセンサ14に与える。イメージセンサ14で生成された生画像信号は、1/30秒に1回の割合で発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、ラスタ走査に従う順序で読み出される。
【0027】
イメージセンサ14から出力された生画像信号は、CDS/AGC/AD回路16によって相関2重サンプリング,自動ゲイン調整およびA/D変換の一連の処理を施される。信号処理回路18は、CDS/AGC/AD回路16から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施し、YUV形式の画像データをメモリ制御回路34を通してSDRAM36に書き込む。
【0028】
ビデオエンコーダ38は、SDRAM36に格納された画像データをメモリ制御回路34を通して1/30秒毎に読み出し、読み出された画像データをコンポジットビデオ信号に変換する。この結果、被写界を表すリアルタイム動画像(スルー画像)がLCDモニタ40に表示される。
【0029】
AF/AE評価回路20は、信号処理回路18から出力された画像データに基づいて、被写界の明るさを示す輝度評価値と被写界の合焦度を示すフォーカス評価値とを作成する。作成された輝度評価値およびフォーカス評価値は、CPU24に与えられる。
【0030】
キー入力装置28に設けられたシャッタボタン28sが操作されていないとき、CPU24は、スルー画像用AE処理を実行する。TG/SG22に設定されたプリ露光時間は、AF/AE評価回路20からの輝度評価値に基づいて制御される。これによって、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0031】
シャッタボタン28sが半押しされると、CPU24は、AF処理およびAE処理を実行する。AF処理の結果、光学レンズ12はドライバ26によって合焦位置に設定される。また、AE処理の結果、TG/SG22に設定された露光時間は最適値に設定される。
【0032】
シャッタボタン28sが全押しされると、CPU24は、記録処理を実行するべく、本露光および全画素読み出しをTG/SG22に命令し、JPEG圧縮をJPEGコーデック32に命令する。
【0033】
TG/SG22は、イメージセンサ14の本露光と、これによって得られた全ての電荷の読み出しとを実行するべく、複数のタイミング信号をイメージセンサ14に与える。イメージセンサ14で生成された生画像信号は、ラスタ走査に従う順序で読み出される。イメージセンサ14から出力された生画像信号は、上述と同様の処理によってYUV形式の画像データに変換される。変換された画像データは、メモリ制御回路34を通してSDRAM36に書き込まれる。
【0034】
JPEGコーデック32は、SDRAM36に格納された画像データをメモリ制御回路34を通して読み出し、読み出された画像データをJPEG方式で圧縮し、そして圧縮画像データつまりJPEGデータをメモリ制御回路34を通してSDRAM36に書き込む。こうして得られたJPEGデータはその後、CPU24によって読み出され、I/F44を経てファイル形式で記録媒体46に記録される。
【0035】
キー入力装置28によって再生モードが選択されると、所望のJPEGファイルの再生処理が実行される。CPU24は、I/F44を通して記録媒体46にアクセスし、所望のJPEGファイルに格納されたJPEGデータを読み出す。読み出されたJPEGデータは、メモリ制御回路34を通してSDRAM36に書き込まれる。
【0036】
JPEGコーデック32は、メモリ制御回路34を通してSDRAM36からJPEGデータを読み出し、読み出されたJPEGデータを伸長し、そして伸長された画像データをメモリ制御回路34を通してSDRAM36に書き込む。
【0037】
ビデオエンコーダ38は、SDRAM36に格納された画像データをメモリ制御回路34を通して読み出し、読み出された画像データをNTSC方式のコンポジットビデオ信号に変換し、そして変換されたコンポジットビデオ信号をLCDモニタ40に出力する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0038】
キー入力装置28によって更新操作が行われると、別のJPEGファイルについて再生処理が実行される。これによって、モニタ画面に表示される再生画像が別の再生画像によって更新される。
【0039】
以上が、ディジタルカメラ10の基本動作である。ところで、ディジタルカメラ10には、風景撮影,ポートレート撮影など複数の撮影モードが準備されている。ディジタルカメラ10は、ポートレート以外の撮影モードでは、前述したように、シャッタボタン28sの半押しに応答して本露光用のAF/AE調整処理を実行し、そして全押しに応答して記録処理を実行する。
【0040】
これに対して、ポートレート撮影モードでは、半押しで本露光用のAF/AE調整を行う点は同じだが、半押し状態で一定条件が満足されると全押しを待たずに記録を行う点が異なる。ここで一定条件は、半押し中に人物の顔が撮像面14fの既定領域(これを“顔判別領域E”と呼ぶ:図2,図3参照)で捉えられ、かつこの状態(顔検出状態)が所定時間以上継続するという条件である。なお、一定条件が満足される前に全押し操作が行われれば、その時点で記録処理は実行される。
【0041】
以下には、ポートレート撮影モードでの動作を詳細に説明する。キー入力装置28によってポートレート撮影モードが選択されると、CPU24は、キャラクタジェネレータ42を通してLCDモニタ40に人物枠Gを表示する(図2参照)。図2に示すように、人物枠Gは顔枠G1および胴体枠G2で構成され、顔枠G1は顔判別領域Eに対応する位置に(すなわち両者の中心が重なるように)表示される。なお、ここで顔枠G1と顔判別領域Eとは互いに異なる形状を有するが、相似形状ないしは合同形状としてもよい。
【0042】
ユーザは、モニタ画面を見ながら、撮影しようとする人物の顔が顔枠G1内に納まるようにディジタルカメラ10の姿勢を調節する。この結果、人物の顔は、撮像面14fの顔判別領域E1で捉えられる。
【0043】
この後、シャッタボタン28sが半押しされると、CPU24は、AF/AE評価回路20の評価値に基づいてAF処理およびAE処理を実行する。
【0044】
CPU24はまた、撮像面14fで捉えられた被写界像のうち顔判別領域Eで捉えられた被写界像に基づいて、顔判別処理を実行する。図2を参照して、まず、顔判別領域Eに属する部分画像の特徴量が算出される。フラッシュメモリ30には複数の人物の顔の特徴量を記述した辞書が記憶されており、算出された特徴量は、この辞書の特徴量と照合される。照合の結果、注目する部分画像が顔画像と判別されると、シャッタボタン28sの全押し操作を待たずに記録処理を実行する。
【0045】
具体的には、顔画像の検出に成功したときタイマ24tをスタートさせ、顔画像の検出に失敗したときタイマ24tをリセットする。そして、タイマ24tの値つまり顔検出状態の継続時間が所定値に達した時点で、記録処理を実行する。これによって、被写界のJPEGデータがファイル形式で記録媒体46に記録される。
【0046】
この後、CPU24は、記録されたJPEGファイルの識別子を専用フォルダに格納する。専用フォルダは、ポートレート撮影モードの初回選択時に作成され、“101_AUTO”などのフォルダ名が付与されている(図4,図5参照)。全押しによるJPEGファイルは、“100_0208”など他のフォルダに格納される。なお、図4に示すようなフォルダの階層構造を記述した管理データは、フラッシュメモリ30に記憶される。これによって、自動撮影によるJPEGファイルとそうでないJPEGファイルとが容易に区別される。
【0047】
なお、専用フォルダの具体的な利用方法としては、例えば、図5のようなフォルダ一覧画面で“101_AUTO”を選択し、そこに格納された画像をスライドショー形式で再生する方法がある。これによって、自動撮影された画像だけをまとめて確認できる。
【0048】
CPU42は、ポートレート撮影モードでは、μITRONなどのマルチタスクOSの制御下で、図6に示すメインタスクと図7に示す顔検出タスクと図8に示すフォルダ登録タスクとを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ30に記憶される。
【0049】
まず図6を参照して、ステップS1では顔検出タスクを起動し、ステップS3では人物枠の表示をキャラクタジェネレータ42に命令する。ステップS5ではフォルダ登録タスクを起動し、ステップS7ではスルー画像処理を実行する。ステップS1の処理によって、図7に示す顔検出タスクの処理が開始される。ステップS3の処理によって、人物枠Gつまり顔枠G1および胴体枠G2がLCDモニタ40に表示される(図2参照)。ステップS5の処理によって、図8に示すフォルダ登録タスクの処理が開始される。ステップS7の処理によって、スルー画像がLCDモニタ40に表示される。
【0050】
ステップS9では、シャッタボタン28sが半押し状態にあるか否かを判別し、ここでNOであればステップS11でスルー画像用AE処理を実行してからステップS9に戻る。ステップS11の処理によって、スルー画像の明るさが適度に調整される。ステップS9でYESであれば、記録用AF処理および記録用AE処理をステップS13およびステップS15でそれぞれ実行した後、ステップS17〜S23のループ処理に移る。
【0051】
ステップS17ではシャッタボタン28sが全押し状態にあるか否かを判別し、ステップS19ではタイマ24tを参照してタイムアウト状態か否かを判別し、ステップS21ではシャッタボタン28sが解除状態にあるか否かを判別する。シャッタボタン28sの操作が解除されるとステップS21でYESと判別し、ステップS7に戻る。
【0052】
半押し状態のままタイマ24sが所定値に達するとステップS19でYESと判別し、S23に移ってフラグGに“2”をセットした後、ステップS27で記録処理を実行する。シャッタボタン28sが全押しされるとステップS17でYESと判別し、S25に移ってフラグGに“1”をセットした後、ステップS27で記録処理を実行する。記録処理の実行後、ステップS7に戻る。
【0053】
図7を参照して、ステップS41ではフラグFに“0”をセットし、ステップS43では顔判別領域Eを顔枠G1上に配置する(図2参照)。ステップS45ではシャッタボタン28sが半押し状態にあるか否かを判別し、ここでNOであれば、ステップS53およびS55の処理を経てステップS45自身に戻る。
【0054】
ステップS45でYESであればステップS47に移って、顔判別領域Eの特徴量を検出する。ステップS49では、検出された特徴量を辞書の特徴量と照合する。ステップS51では、顔判別領域Eに属する部分画像が顔画像であるか否かをステップS49の照合結果に基づいて判別する。ステップS51でNOであれば、ステップS53およびS55の処理を経てステップS45に戻る。
【0055】
ステップS53ではフラグFに“0”をセットし、ステップS55でタイマ24tをリセットする。したがって、半押し状態で顔画像が検出されない限り、フラグFは“0”を示し、タイマ24tもリセット状態に保たれる。
【0056】
ステップS51でYESであれば、ステップS57に移ってフラグFが“0”であるか否かを判別し、ここでNOであればステップS45に戻る。ステップS57でYESであれば、ステップS59およびS61の処理を経てステップS45に戻る。
【0057】
ステップS59ではタイマ24tをスタートさせ、ステップS61ではフラグFに“1”をセットする。したがって、半押し状態で顔画像が検出されると、フラグFは“0”から“1”に変化し、かつタイマ24tがスタートされる。そして、半押し状態で顔画像が検出され続けている限り、フラグFは“1”を示し、かつタイマ24tの計時動作が継続される。半押し操作が解除されるか、全押し操作に移行するか、または顔が顔枠G1から出る(すなわち顔画像が顔判別領域Eから出る)と、フラグFは“1”から“0”に変化し、タイマ24tはリセットされる。
【0058】
図8を参照して、ステップS71ではフラグGに“0”をセットし、ステップS73およびステップS75のループ処理に移る。ステップS73ではフラグGが“2”であるか否かを判別し、ステップS75ではフラグGが“1”であるか否かを判別する。
【0059】
ステップS73でYESであればステップS77に移り、ステップS27で記録された画像の識別子を専用フォルダ例えば“101_AUTO”(図4,図5参照)に記録する。ステップS75でYESであればステップS79に移り、ステップS27で記録された画像の識別子を他のフォルダ例えば“100_0208”(図4,図5参照)に記録する。
【0060】
以上から明らかなように、この実施例では、イメージセンサ14は、被写界を捉える撮像面14fを有する。CPU24は、シャッタボタン28sの半押し操作(条件調整操作)が実行されたとき撮像条件を調整し(S13,S15)、半押し操作の後に実行される全押し操作(記録操作)に応答して撮像面14fで捉えられた被写界像を記録媒体46に記録する(S17,S27)。
【0061】
また、CPU24は、既定条件が満足されれば、撮像面14fで捉えられた被写界像を全押し操作を待つことなく記録媒体46に記録する(S19,S27)。ここで、既定条件は、複数の条件の論理積である。すなわち、全押し操作によらない記録処理は、複数の条件が全て満足されたときだけ実行される。ここで複数の条件は、少なくとも、半押し操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が撮像面14fの既定領域G1(図2参照)に属するという画像条件を含む。
【0062】
複数の条件に操作条件を含めたことで、全押し操作によらない記録処理の実行タイミングを所望の期間内に制限でき、自然な表情の記録が可能となる。また、複数の条件に画像条件を含めたことで、被写界像に占める顔画像の位置を制限できる。ここでは既定領域G1が撮像面14fの中央上寄りに位置するので、顔画像は被写界像の中央上より部分を占める結果となる(図3参照)。
【0063】
好ましくは、複数の条件は、人物の顔画像が既定領域G1に属する時間が閾値に達したという時間条件をさらに含む。これによって、被写界ぶれを防止できる。
【0064】
以上により、顔画像を含む被写界像を的確に記録できる。
【0065】
また、CPU24は、全押し操作を待たずに記録された被写界像の識別子を専用フォルダ(例えば“101_AUTO”)に登録する(S77)。全押し操作に応答して記録された被写界像の識別子は、他のフォルダ(例えば“100_0208”)に登録される(S79)。これによって、全押し操作を待たずに記録された被写界像だけを確認する作業が容易に行える。
【0066】
なお、このように自動撮影された画像とそうでない画像と別々のフォルダで管理する代わりに、前者をフラッシュメモリ30(もしくは別の内蔵メモリ)に記録し、後者を記録媒体46に記録するなど、画像自体を別々の媒体に記録してもよい。
【0067】
以上では、ディジタルカメラ10を用いて説明したが、この発明は、条件調整を電子制御で行うカメラ(電子カメラ)であれば、撮像面14fがフィルムであるフィルムカメラにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1実施例に適用される表示画面の一例を示す図解図である。
【図3】図1実施例に適用される表示画面の他の一例を示す図解図である。
【図4】図1実施例に適用されるフォルダ構造の一例を示す図解図である。
【図5】図1実施例に適用される表示画面のその他の一例を示す図解図である。
【図6】図1実施例に適用されるCPU動作の一部を示すフロー図である。
【図7】図1実施例に適用されるCPU動作の他の一部を示すフロー図である。
【図8】図5実施例に適用されるCPU動作のその他の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0069】
10 …ディジタルカメラ
14 …イメージセンサ
18 …信号処理回路
20 …AF/AE評価回路
24 …CPU
28 …キー入力装置
30 …フラッシュメモリ
36 …SDRAM
40 …LCDモニタ
46 …記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段、
条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整手段、
前記条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して前記撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体に記録する第1記録手段、および
既定条件が満足されたとき前記撮像面で捉えられた被写界像を前記記録操作を待つことなく前記記録媒体に記録する第2記録手段を備え、
前記既定条件は、前記条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が前記撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である、電子カメラ。
【請求項2】
前記複数の条件は、前記人物の顔画像が前記既定領域に属する時間が閾値に達したという時間条件をさらに含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮像面で捉えられた被写界像のうち前記既定領域に対応する探索領域に属する被写界像のみを対象として人物の顔の特徴画像を探索する探索手段、および
前記既定条件が満足されないとき前記探索手段の探索処理を停止させる停止手段をさらに備える、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記条件調整操作はシャッタボタンの半押しに相当し、前記記録操作は前記シャッタボタンの全押しに相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記既定領域は前記撮像面の中央上寄りに位置する、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記既定領域に沿った枠画像を表示する枠表示手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記第1記録手段によって記録された被写界像の識別子を第1フォルダに登録する第1登録手段、および
前記第2記録手段によって記録された被写界像の識別子を第2フォルダに登録する第2登録手段をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項8】
前記撮像手段はイメージセンサであり、前記撮像面は前記イメージセンサの受光面である、請求項1ないし7のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項9】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段を備えた電子カメラのプロセサに、
被写界を捉える撮像面を有する撮像ステップ、
条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整ステップ、
前記条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して前記撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体に記録する第1記録ステップ、および
既定条件が満足されたとき前記撮像面で捉えられた被写界像を前記記録操作を待つことなく前記記録媒体に記録する第2記録ステップを実行させ、
前記既定条件は、前記条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が前記撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である、記録制御プログラム。
【請求項10】
被写界を捉える撮像面を有する撮像手段を備えた電子カメラによって実行される記録制御方法であって、
被写界を捉える撮像面を有する撮像ステップ、
条件調整操作が実行されたとき撮像条件を調整する調整ステップ、
前記条件調整操作の後に実行される記録操作に応答して前記撮像面で捉えられた被写界像を記録媒体に記録する第1記録ステップ、および
既定条件が満足されたとき前記撮像面で捉えられた被写界像を前記記録操作を待つことなく前記記録媒体に記録する第2記録ステップを備え、
前記既定条件は、前記条件調整操作が実行中であるという操作条件、および人物の顔画像が前記撮像面の既定領域に属するという画像条件を含む複数の条件の論理積である、記録制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−267309(P2007−267309A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92879(P2006−92879)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】