説明

電子カルテ作成プログラム及び電子カルテ作成システム

【課題】患者の検査データを自動的に配置して表示すると共に、患者に関する所見等の情報を合わせて表示する電子カルテを作成する電子カルテプログラムを提供する。
【解決手段】コンピュータを、患者の検査データを格納するデータベース22より患者の検査データを取得する検査データ取得手段32と、電子カルテの表示領域に表示可能な所定の大きさに当該検査データを検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段33と、検査データ画像を配置するための位置情報を管理すると共に、位置情報に基づいて検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段34と、手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段35と、検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを表示する表示手段36として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテ作成プログラム及び電子カルテ作成システムに関し、特に、複数の検査データを含む電子カルテを表示する場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関においても情報化が進んでおり、情報通信機器等を導入して、業務の効率化を図っている。このような情報化の流れの中で、患者のカルテ(診察記録)に関しても電子化して管理することが行われている。
【0003】
従来、医師は、検査機器を用いて測定した患者についての各種測定値や、患者を診察した際の所見や患者の疾患のある部位を表すシェーマ(人体の部位を表す図形)などを手書きにより紙のカルテに記載して、患者の診察記録を表現している。したがって、カルテを電子化する際には、これらの情報が表現可能な機能を備えていることが必要とされており、このような機能を有する電子カルテ作成プログラム等の技術が提案されている(特許文献1,2,3参照)。
【0004】
しかしながら、これらの技術により作成される電子カルテの外観は、文字情報等がその種別に応じて分類されて表示されているために、従来の紙のカルテの外観とは異なっている。このため、特に、長年に亘って紙のカルテに慣れた医師にとっては、電子カルテに習熟するのに一定の時間を要するため、本来の医療業務に差し支える場合が生じている。
【0005】
ところで、医療の特定の分野では、電子カルテに診察記録を入力するのは医師のみに限られない場合がある。例えば、眼科では分業化が進んでおり、各種検査機器を用いて、検査員が患者の視力等の各種検査データを測定し、眼科医がそれらの測定した結果を参照して診察を行っている。
【0006】
したがって、このような分野において、従来の紙カルテの外観に類似した外観や操作感をもつ電子カルテを提供する場合、検査員、医師など複数人が患者の検査データ等を記録することとなるため、検査員は電子カルテのどの位置に検査データを記載するか、或いはどのような大きさで検査データを記載するかに配慮しなければならない。すなわち、検査員は検査データを電子カルテに記載する際には、他の検査員がどのように検査データを電子カルテに記載するかを考慮しなければならず、検査データの入力に煩わしさが伴うという問題がある。
【0007】
さらに、検査員の自由に委ねて検査データを電子カルテに記載させると、医師にとっては、統一感に欠けた可読性の低い電子カルテを参照することとなり、診察を円滑に行えないという問題が生じる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−325314号公報
【特許文献2】特開2001−43284号公報
【特許文献3】特開2005−250526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑み、各種検査データを自動的に配置して表示すると共に、患者を診療した際の所見等の情報を合わせて表示する電子カルテを作成する電子カルテプログラム及び電子カルテ作成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
コンピュータを、
複数の検査項目に分類された患者の検査データを格納するデータベースより電子カルテを作成する対象の患者の検査データを取得する検査データ取得手段と、
前記コンピュータの表示装置の電子カルテの表示領域に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段と、
前記表示装置の前記電子カルテの表示領域に前記検査データ画像を配置するための位置情報を管理すると共に、前記位置情報に基づいて前記検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段と、
前記コンピュータの入力装置を介して手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段と、
前記検査データ一覧画像と前記手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示する表示手段
として機能させることを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0011】
かかる第1の態様では、入力された検査データは画像化されて、表示装置の電子カルテの表示領域内に自動的に表示されるため、検査データの表示位置を考慮した入力処理が不要となり、検査データの入力手段の実装が容易となる。さらに、検査データは統一的に所定の位置に配置されるため、電子カルテの外観が一貫したものとなり、利用者にとっての利便性を向上することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記位置情報とは、電子カルテの表示領域を格子状に区分した矩形領域に、前記検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されているか否かを表すフラグであり、
前記所定の位置とは、他の検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されていない空の矩形領域であり、
前記検査データ画像配置手段は、前記フラグが立っているか否かを判断することで、少なくとも1つの空の矩形領域を選出し、当該空の矩形領域に前記検査データ画像を配置して検査データ一覧画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0013】
かかる第2の態様では、検査データ画像が電子カルテの表示領域に格子状に並べられて表示される。これにより、検査データ画像が整然と配列された電子カルテを表示することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記データベースは、新たな検査データが前記データベースに追加されたことを表す更新フラグを格納すると共に、検査データ一覧画像及び手書き画像データを患者に関連付けて格納し、
前記検査データ取得手段は、前記更新フラグが立っているか否かを判断して前記検査データを取得し、
前記検査データ画像配置手段は、前記検査データ画像化手段により画像化された前記検査データ画像を所定の位置に配置して作成した検査データ一覧画像を患者に関連付けて前記データベースに保存し、
前記表示手段は、前記データベースに保存された検査データ一覧画像と手書き画像データとを取得して、当該検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0015】
かかる第3の態様では、一度作成した検査データ一覧画像はデータベースに保存され、電子カルテを表示する際には、この検査データ一覧画像をデータベースより取得して表示装置に表示するため、検査データ一覧画像を作成するための画像化処理等が不要となり、コンピュータの処理負荷を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ一覧画像を下絵として前記表示装置に表示すると共に、前記手書き画像データを取得することを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0017】
かかる第4の態様では、検査データ一覧画像を下絵として、利用者による手書き画像データの入力が可能となるため、紙のカルテで行われているような所見等の追記という作業と同等のことが電子カルテ上においても直観的に行うことが可能となる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1〜4の態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ画像が前記手書き画像データに優先して表示されるよう所定の画像処理を行うことを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0019】
かかる第5の態様では、手書き画像データが検査データ画像に上書きされても、検査データ画像が視認できるよう表示される。
【0020】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記検査データ画像化手段は、電子カルテを作成する対象の患者の検査データを前記データベースより取得し、当該検査データに所定の書式を適用して、前記表示装置に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0021】
かかる第6の態様では、検査データが、検査データをカルテ上に記載する際の慣習的な表記に自動的に変換された上で、検査データ画像が作成される。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載する電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記手書き画像データ入力手段は、前記手書き画像データを描画する色として指定された色情報を構成するビット列の一部を、前記手書き画像データを入力した者を識別する記入者識別子を構成するビット列に置き換えることで描画色情報を算出し、
前記表示手段は、前記描画色情報で手書き画像データを前記表示装置に表示すると共に、前記描画色情報に含まれる記入者識別子により識別される記入者に関する記入者情報を前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成プログラムにある。
【0023】
かかる第7の態様では、手書き画像データと共にその記入者に関する記入者情報が表示される。これにより、手書き画像データを記入した者が誰であるのかが一目瞭然となる。このような記入者情報の表示は、一人の患者に関する電子カルテに対して複数の医者が検診した所見等を手書き画像データとして入力する場合に特に有用である。
【0024】
本発明の第8の態様は、
複数の検査項目に分類された患者の検査データをデータベースに格納するための検査データ入力端末と、前記データベースより取得した前記検査データに基づいて電子カルテを作成する電子カルテ作成コンピュータとからなり、検査員により前記データベースに格納された前記検査データに基づいた電子カルテを医師が参照する際に用いる電子カルテ作成システムであって、
前記電子カルテ作成コンピュータは、
前記データベースより電子カルテを作成する対象の患者の検査データを取得する検査データ取得手段と、
前記電子カルテ作成コンピュータの表示装置の電子カルテの表示領域に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段と、
前記表示装置の前記電子カルテの表示領域に前記検査データ画像を配置するための位置情報を管理すると共に、前記位置情報に基づいて前記検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段と、
前記電子カルテ作成コンピュータの入力装置を介して手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段と、
前記検査データ一覧画像と前記手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0025】
かかる第8の態様では、入力された検査データは画像化されて、表示装置の電子カルテの表示領域内に自動的に表示されるため、検査データの表示位置を考慮した入力処理が不要となり、検査データの入力手段の実装が容易となる。また、検査データは統一的に所定の位置に配置されるため、電子カルテの外観が一貫したものとなり、利用者にとっての利便性を向上することができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、第8の態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記位置情報とは、電子カルテの表示領域を格子状に区分した矩形領域に、前記検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されているか否かを表すフラグであり、
前記所定の位置とは、他の検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されていない空の矩形領域であり、
前記検査データ画像配置手段は、前記フラグが立っているか否かを判断することで、少なくとも1つの空の矩形領域を選出し、当該空の矩形領域に前記検査データ画像を配置して検査データ一覧画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0027】
かかる第9の態様では、検査データ画像が電子カルテの表示領域に格子状に並べられて表示される。これにより、検査データ画像が整然と配列された電子カルテを表示することが可能となる。
【0028】
本発明の第10の態様は、第8又は9の態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記データベースは、新たな検査データが前記データベースに追加されたことを表す更新フラグを格納すると共に、検査データ一覧画像及び手書き画像データを患者に関連付けて格納し、
前記検査データ取得手段は、前記更新フラグが立っているか否かを判断して前記検査データを取得し、
前記検査データ画像配置手段は、前記検査データ画像化手段により画像化された前記検査データ画像を所定の位置に配置して作成した検査データ一覧画像を患者に関連付けて前記データベースに保存し、
前記表示手段は、前記データベースに保存された検査データ一覧画像と手書き画像データとを取得して、当該検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0029】
かかる第10の態様では、一度作成した検査データ一覧画像はデータベースに保存され、電子カルテを表示する際には、この検査データ一覧画像をデータベースより取得して表示装置に表示するため、検査データ一覧画像を作成するための画像化処理等が不要となり、コンピュータの処理負荷を軽減することが可能となる。
【0030】
本発明の第11の態様は、第8〜10の何れかの態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ一覧画像を下絵として前記表示装置に表示すると共に、前記手書き画像データを取得することを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0031】
かかる第11の態様では、検査データ一覧画像を下絵として、利用者による手書き画像データの入力が可能となるため、紙のカルテで行われているような所見等の追記という作業と同等のことが電子カルテ上においても直観的に行うことが可能となる。
【0032】
本発明の第12の態様は、第8〜11の何れかの態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ画像が前記手書き画像データに優先して表示されるよう所定の画像処理を行うことを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0033】
かかる第12の態様では、手書き画像データが検査データ画像に上書きされても、検査データ画像が視認できるよう表示される。
【0034】
本発明の第13の態様は、第8〜12の何れかの態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記検査データ画像化手段は、電子カルテを作成する対象の患者の検査データを前記データベースより取得し、当該検査データに所定の書式を適用して、前記表示装置に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0035】
かかる第13の態様では、検査データが、検査データをカルテ上に記載する際の慣習的な表記に自動的に変換された上で、検査データ画像が作成される。
【0036】
本発明の第14の態様は、第8〜13の何れかの態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記検査データを入力するための入力フォームを前記検査データ入力端末に提示するウェブサーバを更に具備し、
前記ウェブサーバは、前記入力フォームを介して取得した前記検査データを前記データベースに格納する検査データ入力手段を備えることを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0037】
かかる第14の態様では、検査データ入力端末に一般的なウェブブラウザを導入することで、ウェブサーバの提示する入力フォームを介して、検査データをデータベースに格納することができるため、検査データ入力端末に検査データを入力するための専用のプログラムが不要となる効果を奏する。
【0038】
本発明の第15の態様は、第8〜14の何れかの態様に記載する電子カルテ作成システムにおいて、
前記手書き画像データ入力手段は、前記手書き画像データを描画する色として指定された色情報を構成するビット列の一部を、前記手書き画像データを入力した者を識別する記入者識別子を構成するビット列に置き換えることで描画色情報を算出し、
前記表示手段は、前記描画色情報で手書き画像データを前記表示装置に表示すると共に、前記描画色情報に含まれる記入者識別子により識別される記入者に関する記入者情報を前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成システムにある。
【0039】
かかる第15の態様では、手書き画像データと共にその記入者に関する記入者情報が表示される。これにより、手書き画像データを記入した者が誰であるのかが一目瞭然となる。このような記入者情報の表示は、一人の患者に関する電子カルテに対して複数の医者が検診した所見等を手書き画像データとして入力する場合に特に有用である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、入力された検査データは画像化されて、所定の位置に自動的に配置されるため、電子カルテの外観は一貫したものとなり、利用者にとっての利便性の向上が図ることができる。また医師が、この画像化された検査データを参照しながら、患者を診療した際の所見等の情報を追加できるため、紙のカルテで行われているような所見等の追記という作業と同等のことが電子カルテ上においても直観的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0042】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る電子カルテ作成プログラムをインストールしたコンピュータを備える電子カルテ作成システムの機能ブロック図である。
【0043】
本実施形態においては、眼科における電子カルテの作成過程を例示する。
【0044】
電子カルテ作成システム1は、検査員2が患者を検査して取得した検査データをデータベース22に入力するための検査データ入力端末20と、検査員2の操作により取得した患者の検査データを直接的にデータベースに入力する検査機器21と、眼科医3が用いる電子カルテ作成コンピュータ30と、ウェブサーバ23と、データベース22とからなり、それぞれLAN24を介して相互に通信可能に接続されている。また、電子カルテ作成コンピュータ30には電子カルテ作成プログラム31がインストールされている。
【0045】
かかる構成を前提として、検査員2は、検査データ入力端末20又は検査機器21を用いて、患者の検査データをデータベース22に格納すると共に、眼科医3は、電子カルテ作成コンピュータ30を用いて、これらの検査データに基づいて作成される電子カルテを参照したり、患者を診察した際の所見等を電子カルテに追加したりする例を示す。
【0046】
ここで、電子カルテ作成コンピュータ30は、例えば、CPU、ROM、ハードディスク、RAM、キーボードマウス等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置(何れも図示せず。)を主なハードウェアとして具備すると共に、これらのハードウェアを機能させるオペレーティングシステム(OS)として、例えばマイクロソフト社製Windows(登録商標)を具備し、このOS上で電子カルテ作成プログラム31が実行される。なお、電子カルテ作成プログラム31は、電子カルテ作成コンピュータ30のOS上で起動するものではなく、BIOS等を介して電子カルテ作成コンピュータ30のハードウェア上で直接機能するものであってもよい。
【0047】
また、検査データ入力端末20は、例えば、CPU、ROM、RAM、ペンタブレット等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置(何れも図示せず。)を主なハードウェアとして具備するPDA端末であって、これらのハードウェアを機能させるオペレーティングシステム(OS)として、例えばマイクロソフト社製Windows(登録商標)Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PCを具備し、このOS上で患者の検査データをデータベース22に格納するための所定の処理が行われる。
【0048】
また、検査機器21は、例えば眼圧を計測するための機器等である。この検査機器21は、RS−232C等のインタフェースを介して検査機器21を制御するための制御用コンピュータ(図示せず)と接続されている。この制御用コンピュータでは、このインタフェースを介して検査機器21の検査データを取得する処理が行われると共に、検査データをデータベース22に格納するための所定の処理が行われる。
【0049】
また、ウェブサーバ23は、検査データを入力するための検査データ入力フォームを前記検査データ入力端末20に提示すると共に、この検査データ入力フォームを介して検査データを取得してデータベース22に格納する検査データ入力手段を備えるサーバコンピュータである。
【0050】
また、データベース22は、RDBMS(Relational DataBase Management System)であり、ODBC(Open DataBase Connectivity)やRDBMS独自のデータベース接続用ドライバを介して、検査機器21に接続された制御用コンピュータや電子カルテ作成コンピュータ30とデータの入出力が可能に構成されている。
【0051】
また、電子カルテ作成コンピュータ30には、電子カルテ作成プログラム31がインストールされており、データベース22より電子カルテを作成する対象の患者の検査データを取得する検査データ取得手段32と、取得した検査データを検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段33と、各検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段34と、電子カルテ作成コンピュータ30の入力装置を介して手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段35と、検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置に表示する表示手段36とが具備されている。
【0052】
検査データ取得手段32は、電子カルテを作成する対象の患者の検査データをデータベース22より取得するために用いられる。これにより、電子カルテを作成する対象の検査データが特定することができる。また、ODBC等のデータベース接続用ドライバを介してデータベース22より検査データを取得する。ここで検査データとは、患者の視力や眼圧などの検査項目について検査した際の検査値をいう。
【0053】
検査データ画像化手段33は、検査データ取得手段32により取得した患者の検査データを検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成するために用いられる。これにより、ある患者の複数の検査項目に亘る検査データは検査項目毎の検査データ画像に変換されて、電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置の電子カルテの表示領域に表示可能なデータ形式となる。検査データ画像を画像化する処理については後述する。
【0054】
検査データ画像配置手段34は、検査データ画像を所定の位置に配置して、検査データ一覧画像を作成するために用いられる。これによって、検査項目毎に作成された検査データ画像が、電子カルテの表示領域に自動的に整列される。この結果、眼科医3は、患者の全検査項目についての検査データを一覧することが可能となる。この検査データ一覧画像を作成する処理については後述する。
【0055】
手書き画像データ入力手段35は、手書き画像データを入力するために用いられる。ここで、手書き画像データとは、マウス等の入力装置を用いて描かれた、電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置に表示可能な画像データをいう。これにより、眼科医3は診察の際の患者に対する所見やシェーマ等を表現することができる。この手書き画像データを入力する処理については後述する。
【0056】
表示手段36は、検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて電子カルテを作成し、電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置に表示するために用いられる。これにより、検査データと所見等を表す手書き画像データとが一体的に表示されるため、眼科医3にとって見慣れた従来の紙カルテの外観に類似した電子カルテを表示することができる。なお、手書き画像データが未入力の場合は、検査データ一覧画像のみを表示する。この重ね合せ処理については後述する。
【0057】
上述のごとく構成される電子カルテ作成システム1において、電子カルテを作成する一連の処理について説明する。ここでは、患者を識別する患者IDを「1000」とし、この患者の検査データをデータベース22に格納する一方、眼科医3がこの患者の電子カルテを参照し、所見等を入力する場合について説明する。なお診察をした日付は2005年12月01日とする。
【0058】
図2は、データベース22に格納される各種データを例示する図である。この図を用いて、各種データの構造について説明する。
【0059】
データベース22は、検査データ、更新フラグ、電子カルテ管理データ及び表示位置管理データを格納している。
【0060】
図2(a)には、検査項目の一つである視力検査に関する検査データである視力検査データ100が例示されている。他の検査項目としては、眼圧、レフ、ケラト、角膜径、深視力、FLY、BET及びD15などがある。視力検査データ100は、例えば、患者ID、検査日、左右、裸眼視力、矯正視力、球面度数、乱視度数、乱視軸方向、ピンホール、患者眼鏡、プリズム1,2、ベース1,2、R/G及び表示位置IDから構成されており、患者に行われた視力検査の検査値(「左右」から「R/G」まで)が、各患者及び検査日毎に関連付けられて管理されている。すなわち、患者IDと検査日を特定することで、視力検査の検査値を取得することができる。なお、表示位置IDとは、電子カルテにこの視力検査データ100を表示する際の表示位置を示す識別子であり、この表示位置IDがセットされていない場合は、まだ表示位置が決定していないことを示している。表示位置IDについては後述する。
【0061】
図2(b)には、新たな検査データがデータベース22に追加されたことを表す更新フラグ101が例示されており、例えば、患者ID、検査日、更新フラグ、視力検査、眼圧、レフ、ケラト、角膜径、深視力、FLY、BET及びD15から構成されている。視力検査からD15の列には、患者を検査した回数を記録する。また更新フラグはいずれかの検査項目について、対応する検査データが入力されたときに「1」にセットされる。この検査した回数及び更新フラグのセットは、データベース22が一般的に備えているトリガー機能によって、実装することができる。
【0062】
このことにより、新たに入力された検査データの有無を判断することが可能となる。例えば、図2の(b)の患者IDが「1000」、検査日が「20051201」(2005年12月1日を表す。)である行のデータについては、更新フラグが「1」であることから、新たに入力された検査データがあると判断することができる。また、同じ行にあるデータの視力検査、眼圧の列の値はそれぞれ1であり、レフの列の値は2である。すなわち、視力検査及び眼圧に関する検査データが1つあり、レフに関する検査データは2つあることが示されている。
【0063】
図2(c)には、患者の電子カルテとして表示する検査データ一覧画像及び手書き画像データを管理する電子カルテ管理データ102が例示されており、例えば、患者ID、検査日、担当医師、検査データ一覧画像、手書き画像データ、検索キーワード、頁、版から構成されている。これにより、患者IDと検査日を特定することで、検査データ一覧画像、手書き画像データ等を取得することができる。なお、頁は電子カルテが複数ページに亘る場合に、何ページ目の電子カルテかを管理するために用いられる。また、版は電子カルテの版管理をするために用いられる。頁、版の詳細については後述する。
【0064】
図2(d)には、検査データ画像及び手書き画像データが電子カルテの表示領域のどの位置に配置されているかを管理する表示位置管理データ103が例示されており、例えば、患者ID、検査日、画像区分及び表示位置IDから構成されている。これにより、患者IDと検査日を特定することで、電子カルテの表示領域の内、検査データ画像及び手書き画像データが配置された位置を示す表示位置IDを取得することができる。この結果、検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する際に、電子カルテの表示領域の内、すでに使用されている位置に重複して検査データ画像を配置することを回避することができる。
【0065】
図3は、検査データの入力画面を表す概略図である。この図を用いて、検査員2が患者の検査データを入力する処理について説明する。
【0066】
検査員2は検査データ入力端末20を用いて、ウェブサーバ23を介して患者の検査データをデータベース22に入力する。具体的には、検査員2は、検査データ入力端末20でウェブブラウザを起動し、ウェブサーバ23で入力フォーム40の所在を示すURLにアクセスするようウェブブラウザを操作する。
【0067】
このURLに対応して、ウェブサーバ23は、入力フォーム40を検査データ入力端末20に提示する。例えば検査員2が視力検査に関する検査データを入力する場合は、入力フォーム40は、図2(a)の視力検査データ100に示したような各検査値を入力できるようにする。
【0068】
ウェブサーバ23は、検査員2により送信された視力検査データ100を患者ID,検査日と関連付けてデータベース22に格納する。この患者IDは、検査員2により、入力フォーム40を介して与えられるものである。また、検査日はウェブサーバ23がデータベース22に視力検査データ100を格納する時の日付である。なお、視力検査データ100の表示位置IDについては、この時点では値を格納しない。
【0069】
なお、データベース22のトリガー機能により、この視力検査データ100が追加された時は、図2(b)に示す更新フラグの値が「1」に設定されると共に、視力検査の列の値が一つインクリメントされる。これらの更新フラグの値により、患者IDが「1000」、検査日が「20051201」の患者の視力検査データが追加されたことを判断することができる。
【0070】
上述したように、検査員2は、検査データが電子カルテにどのように表示されるかを考慮する必要がないため、検査員2は検査データを入力する作業に専念することができ、円滑に検査を遂行することが可能となる。
【0071】
図4は、電子カルテ作成プログラムの処理のフローを示す図である。この図を用いて、データベース22に格納された検査データより、電子カルテが作成される一連の処理を説明する。
【0072】
まず、データベース22より患者IDが「1000」、検査日が「20051201」である更新フラグの取得処理を行い(S1)、更新フラグが1であるか否かを判断する(S2)。更新フラグが1である場合は、患者IDが「1000」、検査日が「20051201」の取得処理(S3)、検査データの画像化処理(S4)、検査データ一覧画像の作成処理(S5)、図形画像の入力処理(S6)、電子カルテの表示処理(S7)を行う。更新フラグが1でない場合は、S2の次にS6の処理を行う。また、プログラムの終了が選択されたか否かを判断し(S8)、この結果に基づいて電子カルテの作成を終了する。
【0073】
以下に各処理について詳細に説明する。
【0074】
最初に、検査データ取得手段32が主体となって、電子カルテの作成対象となる検査データの取得処理(S1〜S3)を行う。
【0075】
この更新フラグの取得処理(S1)は、眼科医3により与えられる、患者IDが「1000」、検査日が「20051201」を検索キーとして、検査データをデータベース22より取得する。
【0076】
この結果、図2(b)に示す患者IDが「1000」である行の更新フラグ101を取得することができる。このレコードの更新フラグを判断することで、検査データの画像化処理を行うか否かを判断する(S2)。この場合、更新フラグが1であるので、視力検査、眼圧及びレフに関する検査データを取得する(S3)。したがって、例えば図2(a)にある患者ID「1000」の視力検査データ100を取得することとなる。
【0077】
一方、更新フラグが1でない場合は、検査データに変更がないことが判断できるため、このS3〜S5の処理を割愛してS6の手書き画像データの入力処理に移行する。
【0078】
次に、検査データを画像化する処理について説明する(S4)。ここでは、患者IDが「1000」の検査データの内、視力検査に関する検査データを例に、画像化処理について説明する。
【0079】
まず、患者IDが「1000」のレコードの各検査値を取得し、所定の書式を適用する。ここで所定の書式とは検査項目毎に定義された検査データの表示方法を指定する情報である。この所定の書式を適用することにより、検査値のみの検査データを慣習的に用いられている表記で電子カルテに表示することが可能となる。例えば、視力検査については
RV=%f(%f %f × S %f D:Cyl %fD A× %f)
という書式が定義されている。%fは、その個所を検査データの検査値で置き換えるための場所を示している。従って、図2(a)にある患者IDが「1000」の検査データの各検査値にこの書式を適用すると
RV=0.5(1.50 p × S −4.25D:Cyl 0D A× 0°)
のような文字列が生成される。
【0080】
図5は、検査データを画像化した検査データ画像を例示する図である。所定の書式を適用した文字列を電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置に表示可能な所定の大きさに画像化する。具体的には、Windows(登録商標)で一般的に利用可能な描画用APIであるGDIのTextOut関数等を用いて行う。また、所定の書式の他の態様として、検査データを画像化する際に用いるフォント、文字色又は背景色を予め検査項目毎に定義してもよい。これらの定義に従ってTextOut関数等を用いることで、検査項目毎に異なる表示の態様で検査データを画像化することができる。
【0081】
また、検査データ画像の大きさは、ここでは、例えば70×140のピクセルの大きさの領域を基本領域として、その基本領域を複数用いて画像化する。例えば、視力検査に関する検査データを画像化する際には、この基本領域を横に二つ並べる。この結果、図5(a)に示すように70×280ピクセルの領域に、視力検査に関する検査データが画像化された検査データ画像200が作成される。
【0082】
この基本領域をいくつ用いるかは、検査項目毎に定義されている。例えば、眼圧に関しては、基本領域を一つ(図5(b)の検査データ画像201)用いる。他に、ケラトについては、基本領域を縦に二つ(図5(b)の検査データ画像202)、BETについては基本領域を縦に3つ、横に二つ(図5(b)の検査データ画像203)のように、各検査項目の検査値の数や表記方法に応じて、定義されている。
【0083】
また、このような文字を主体とした表現に限定されず、図5(b)の検査データ画像203に示すように、検査データを基にグラフを描画してもよい。この場合もGDIのLineToやMoveTo関数を用いて矩形や直線を描くことでグラフを描画する。
【0084】
次に、検査データ一覧画像の作成処理について説明する(S4)。この処理では、検査データ画像を所定の位置に配置して、検査データ一覧画像を作成する。所定の位置に配置するにあたり、電子カルテの表示領域のどの部分に検査データ画像が配置されたかを示す表示位置管理データを用いる。
【0085】
図6は、電子カルテの表示領域と表示管理テーブルとの関係を示す図である。図示するように、電子カルテの表示領域50は電子カルテ作成コンピュータ30の出力装置38に表示される。さらに、この表示領域は64個の矩形領域に格子状に区分されており、この一つの矩形領域にはそれぞれ1〜64の表示位置IDが対応している。なお、この一つの矩形領域は70×140のピクセルの大きさである。
【0086】
図2(d)の表示位置管理データ103は、これらの矩形領域の内、どの表示位置IDに検査データ画像が配置されているかを示している。この例では、患者IDが「1000」、検査日が「20051201」の検査データ画像は、表示位置ID1,2,3,6,7,9,10の位置に配置されていることが示されている。すなわち、この表示位置管理データ103を参照することで、電子カルテ上のどの位置に検査データ画像が配置されているかが判断できるため、新たに配置しようとする検査データ画像を他の検査データ画像と重複することなく配置することが可能となる。
【0087】
図7−1、図7−2は、検査データ画像を配置する処理を逐次表した図である。この図を用いて、この表示位置管理データ103を参照して検査データ一覧画像を作成する過程を説明する。なお、図7−1、図7−2の破線に囲まれた部分は矩形領域を現し、丸数字はその表示位置IDを示している。
【0088】
患者IDが「1000」、検査日が「20051201」については、眼圧は1つ(70×140)、レフは二つ(各々140×140)、視力は1つ(70×280)の検査データ画像を配置する処理は次のとおりである。
【0089】
図7−1(a)に示すように、表示位置管理データ103には、まだ検査データ画像が配置されていないため、眼圧に関する検査データの検査データ画像204を表示位置ID「1」に配置する。また、この時、表示位置管理データ103を次の表1のように更新する。
【0090】
【表1】

【0091】
これにより、電子カルテの表示領域の矩形領域1番が使用中であるということが判別できる。
【0092】
次に、一方のレフに関する検査データの検査データ画像205を配置する位置を決定する。検査データ画像205の大きさは140×140、すなわち矩形領域を縦に二つ並べた分の大きさである。従って、電子カルテの表示領域の内、縦に二つ分の空きがある箇所を探すこととなる。
【0093】
表1に示した表示位置管理データ103を参照すると、表示位置ID「1」が使用中であるため、次に表示位置ID「2」が表示位置管理データ103に記録されているか否かをチェックする。この結果、表示位置ID「2」はまだ記録されていないため、表示位置ID「2」の下にある矩形領域の表示位置IDである「6」が表示位置管理データ103に記録されているかをチェックする。この結果、表示位置ID「2,6」が未使用であるので、図7−1(b)に示すように検査データ画像205を配置する。
【0094】
また、この時、表示位置管理データ103を次の表2のように更新する。
【0095】
【表2】

【0096】
同様に、他方のレフに関する検査データの検査データ画像206を配置する位置を決定する。検査データ画像206の大きさは140×140、すなわち矩形領域を縦に二つ並べた分の大きさである。従って、電子カルテの表示領域の内、縦に二つ分の空きがある箇所を探すこととなる。
【0097】
表2に示した表示位置管理データ103を参照すると、表示位置ID「1、2」が使用中であるため、次に表示位置ID「3」が表示位置管理データ103に記録されているか否かをチェックする。この結果、表示位置ID「3」はまだ記録されていないため、表示位置ID「3」の下にある矩形領域の表示位置IDである「7」が表示位置管理データ103に記録されているかをチェックする。この結果、表示位置ID「3,7」が未使用であるので、図7−1(c)に示すように検査データ画像206を配置する。
【0098】
また、この時、表示位置管理データ103を次の表3のように更新する。
【0099】
【表3】

【0100】
同様に、視力に関する検査データの検査データ画像207を配置する位置を決定する。検査データ画像207の大きさは70×280、すなわち矩形領域を横に二つ並べた分の大きさである。従って、電子カルテの表示領域の内、横に二つ分の空きがある箇所を探すこととなる。
【0101】
表3に示した表示位置管理データ103を参照すると、表示位置ID「1、2、3、6,7」が使用中であり、表示位置ID「4、5、8」が未使用であるが、この検査データ画像207は横に2つ分の空きが必要であるため、表示位置ID「4,5,8」は利用できず、この結果、表示位置ID「9、10」が未使用であり、且つ検査データ画像207を配置できることが判断できる。したがって、図7−2(d)に示すように検査データ画像207を配置する。
【0102】
また、この時、表示位置管理データ103を次の表4のように更新する。
【0103】
【表4】

【0104】
上述のように、すべての検査データ画像について配置する位置を決定した結果、図8に示す検査データ一覧画像60が作成されることとなる。
【0105】
このように、検査データ画像が自動的に配置されることで、検査データが統一的に表示されるため、眼科医3にとって見易い電子カルテの画面を提供することが可能となる。また、検査員2にとっては、検査データの表示を考慮して検査データを入力する必要がなくなるため、検査データの入力作業に専念することができる。
【0106】
上述の処理により作成された検査データ一覧画像を患者ID及び検査日に関連付けて電子カルテ管理データ102に保存する。
【0107】
保存された検査データ一覧画像は、次に同一の患者IDと検査日の電子カルテの参照があった時に、その患者の検査データが更新されていない場合に限り、後述する表示処理の処理対象に用いられる。すなわち、電子カルテの作成の要求があった場合は、この作成済みの検査データ一覧画像を用いるため、データの取得処理や画像化処理を省略することが可能となり、速やかに眼科医3に電子カルテを表示することが可能となると共に、データベース22や電子カルテ作成コンピュータ30の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0108】
なお、検査データ画像を配置する処理の際に、最初に検査データ画像を配置した表示領域が不足した場合は、新たに64個の矩形領域からなる表示領域を別途設け、この表示領域に検査データ画像を配置する。この時、最初に検査データ画像を配置して作成した検査データ一覧画像を「1」頁、新たな表示領域に検査データ画像を配置して作成した検査データ一覧画像を「2」頁として、表5に示すようにそれぞれ検査データ一覧画像を保存する(例えばPNG形式などの所定のファイルフォーマットで保存する。)。
【0109】
【表5】

【0110】
表5は、患者ID「1000」、検査日「20051201」で特定される電子カルテ管理データ102の一部を抜粋したものである。表5に示すように、特定された電子カルテ管理データ102は検査データ一覧画像が2つあることを示している(PNG形式画像データB,B’)。これにより、検査データの数が多く、64個の矩形領域に配置しきれない場合でも、別頁として検査データ一覧画像を保存することで、多数の検査データを画像化して保存することが可能となる。
【0111】
次に手書き画像データの入力処理(S6)の説明をする。
【0112】
図9は手書き画像データの入力処理を示すフローである。まず、検査データ一覧画像を下絵として、電子カルテ作成コンピュータ30の入力装置を介して手書き画像データを取得、表示及び保存処理を行う(S10)。これにより、眼科医3は検査員2により入力された検査データを一覧することが可能となる。また、この検査データ一覧画像を下絵として、患者を診療した際の所見等を追加することが可能となる。
【0113】
例えば、眼科医3がシェーマを入力する場合は、手書き画像データである自由曲線を描くことでシェーマの入力を実現することができる。自由曲線を入力する際には、マウスを最初にクリックした点から次にクリックした点までの間にポインタが通過した軌跡の座標を取得し、それらの座標を所定の色で描画することで自由曲線を入力する。
【0114】
この自由曲線は画面に表示可能なPNG形式の画像データとして患者ID及び検査日に関連付けて電子カルテ管理データ102に保存する。この画像データの大きさは、電子カルテの表示領域50と同一の大きさにする。
【0115】
なお、キーボードを介して文字情報の取得を行い、当該文字情報を画像化したデータを手書き画像データとしてもよい。マウス操作による自由曲線で文字を描くことが困難である場合に有用である。また、定型的に入力する頻度が高い文言については、そのような文言の文字情報を予め定型句として登録しておき、マウスの操作で入力する定型句を選択できるようにし、選択された定型句を画像化して手書き画像データとしてもよい。さらに、この文字情報を画像化すると共に、文字情報そのものを電子カルテ管理データ102の検索キーワードとして保存してもよい。これにより、眼科医3が所見として入力した文字情報が、画像として電子カルテに表示される一方、その所見として入力された文字情報を検索対象として電子カルテを検索することが可能となる。
【0116】
次に、取得した手書き画像データが下絵の検査データ一覧画像のどの部分に対応するかに応じて、表示位置管理データ103を更新する(S11)。
【0117】
図10は、検査データ一覧画像を下絵として入力された手書き画像データと電子カルテの表示領域との関係を示す図である。図示するように、手書き画像データである自由曲線70が電子カルテの表示領域50の内、表示位置IDが1,2,5,6,9,10である矩形領域に描かれたことを示している。
【0118】
このような手書き画像データが入力された場合は、表示管理テーブルの表示位置管理データ103を更新する。例えば、患者IDを「1000」、検査日を「20051201」として、画像区分に「手書きデータ画像」、表示位置IDに1,2,5,6,9,10とする。この結果、表示位置管理データ103は表6のように更新される。
【0119】
【表6】

【0120】
この処理を行うことにより、検査データ画像配置手段34が検査データ一覧画像を作成する際に(S5)、手書き画像データの描かれた位置を把握できるため、手書き画像データを避けて検査データ画像の配置を行うことが可能となる。
【0121】
また、手書き画像データをPNG形式などの画像ファイルに変換して電子カルテ管理データ102に保存する。この保存に際しては、眼科医3により手書き画像データが入力される毎に、別の画像ファイルとして電子カルテ管理データ102に保存してもよい。これによって、手書き画像データの履歴を残すことが可能となる。この時、最初に入力した手書き画像データを「1」版、次に入力した手書き画像データを「2」版として、表7に示すようにそれぞれ手書き画像データの画像ファイルを保存する。
【0122】
【表7】

【0123】
表7は、患者ID「1000」、検査日「20051201」で特定される電子カルテ管理データ102の一部を抜粋したものである。表7に示すように、特定された電子カルテ管理データ102は手書き画像データが2つあることを示している(PNG形式画像データB,B’)。すなわち、眼科医3により手書き画像データが入力される毎に、手書き画像データが画像ファイルとして保存される。これにより、眼科医3は、これらの手書き画像データにより表される所見等の情報が追加・編集等されていく過程を確認できるため、患者の状態の変化をより適切に把握することが可能となる。
【0124】
以上に述べたように、S10、S11の処理を行うことで、眼科医3は検査データ一覧画像を下絵としながら、手書き画像データを入力することが可能となる。
【0125】
次に、電子カルテの表示処理について説明する(S7)。この表示処理では、電子カルテ管理データ102に保存された検査データ一覧画像及び手書き画像データを取得して、これらの画像を重ね合せて電子カルテを作成し、電子カルテ作成コンピュータ30の表示装置に表示する。
【0126】
まず、患者ID「1000」、検査日「20051201」である電子カルテ管理データ102をデータベース22より取得する。この結果、PNG形式の画像データとして保存されている検査データ一覧画像及び手書き画像データを取得することができる。
【0127】
図11は、検査データ一覧画像及び手書き画像データとこれらの画像を重ね合わせた電子カルテを例示する図である。
【0128】
重ね合わせる際には、検査データ一覧画像60を下絵として、手書き画像データ61を重ね合わせる。具体的には、手書き画像データ61にマスク処理を施し、各々の画像のX座標、Y座標の原点位置(0,0)を一致させ、BitBlt関数等のビットマップをコピーする関数を用いて重ね合せ、電子カルテ画像62を作成する。
【0129】
なお、手書き画像データは、下絵に検査データが表示されているか否かに関わらず、任意の位置に入力することが可能であるため、例えば手書き画像データとして自由曲線を入力した結果、検査データ一覧画像が上書きされて、どのような検査データが表示されているかが視認できなくなる場合がある。
【0130】
このような場合、所定の画像処理として公知技術であるBi−Linear法を用いることで、検査データが視認できるよう電子カルテ画像を作成できる。図12はこのBi−Linear法を用いる前後における、手書き画像データと検査データ一覧画像の重ね合わせのイメージを例示する図である。図12(a)は検査データ画像一覧の検査データ画像208に手書き画像データとして自由曲線70が入力された図を表している。図12(a)に示すように、検査データ画像208に自由曲線70が重なって表示されている箇所は、検査データ画像208を視認することができない。
【0131】
かかる場合、検査データ画像208にBi−Linear法を適用して画像処理を行い、かかる画像処理を行った検査データ画像208を自由曲線70に重ね合わせて、表示装置に表示する。図12(b)は検査データ画像208にBi−Linear法を適用した上で自由曲線70と重ねあわせた結果を表している。図示するように、Bi−Lineaer法を適用した結果、自由曲線70が重なった場合においても、検査データ画像208を視認することが可能となる。
【0132】
図13は、電子カルテの表示、編集画面を例示する図である。眼科医3は患者IDを指定すると共に、検査日選択メニュー90より任意の検査日を指定することで、電子カルテの表示領域50には、検査データ画像209〜212を配置した検査データ一覧画像が表示される。
【0133】
眼科医3は、この画面を参照しながら、必要に応じて所見等を入力する。所見等の入力に当たっては、手書き画像データメニュー91にある直線、曲線、矩形等を入力するためのモードに切り替えるボタンを選択した上で、例えば自由曲線を描いて所見データ92のような手書き画像データを電子カルテに追加する。
【0134】
なお、データベース22に保存された検査データ一覧画像及び手書き画像より作成される電子カルテは、眼科医3が用いる電子カルテ作成コンピュータ30で表示されるものに限定されない。例えば、検査員2が入力した検査データを確認するために、検査データ入力端末20で電子カルテを参照できるよう構成してもよい。
【0135】
以上に説明したように、本実施形態では、検査データが所定の位置に配置されて電子カルテとして表示されるため、検査員2は検査データの入力に専念することが可能となると共に、眼科医3はその検査データを一覧して、所見等を追加することが可能となる。
【0136】
<実施形態2>
実施形態1では、手書き画像データ61が誰によって入力されたかを記録していなかった。本実施形態では、手書き画像データ61とその入力者を記録する場合に関して説明する。なお、実施形態1に係る電子カルテ作成システム1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0137】
まず、データベース22には、電子カルテ作成システム1を使用する者に関する記入者情報を格納しておく。ここで、記入者情報とは、少なくとも電子カルテ作成システム1を利用する者の氏名、その者を特定する記入者識別子を含むものである。また、電子カルテ作成システム1の使用者がそれを使用するに際し、どの記入者識別子を有する者であるかを特定しておく。例えば、電子カルテ作成プログラム31に、当該使用者に対して記入者識別子を入力させる機能を設けることで、記入者識別子を得るようにする。
【0138】
手書き画像データ入力手段35は、手書き画像データ61を取得してこれを描画する際に、例えば手書き画像データを入力した者により指定された所定の色を表す色情報に記入者識別子を埋め込んで描画色情報を算出し、その描画色情報に基づいて手書き画像データ61をディスプレイに表示する。
【0139】
また、上述したような描画色情報で描画された手書き画像データ61がディスプレイに表示されているときに、この手書き画像データ61上にマウスポインタが重なった場合、その描画色情報に埋め込まれた記入者識別子を抽出すると共にこの記入者識別子に対応する記入者情報を例えばマウスポインタ近傍に表示してもよい。
【0140】
以下、具体的に記入者識別子を手書き画像データ61の色情報に埋め込む処理について説明する。図14は、描画色情報で手書き画像データを描画する処理のフローを示す図である。
【0141】
まず、電子カルテ作成コンピュータ30を用いて電子カルテの作成、閲覧等を行う者に関する記入者識別子の取得を行う(S20)。これは、例えば電子カルテ作成コンピュータ30に接続されたキーボード等の入力手段を介して行う。
【0142】
次に、色情報の取得を行う(S21)。これは、例えば、電子カルテ作成コンピュータ30の画面上に複数の色の見本を提示し、マウスポインタで指示された見本を色情報として取得する。本実施形態では、手書き画像データ61を入力した者により指定された色情報は、赤(R)成分は8ビット、緑(G)成分は8ビット、青(B)成分は8ビットの合計24ビットから構成されている。いわゆるRGB形式である。
【0143】
上述のように取得した記入者識別子と色情報とに基づいて、手書き画像データ61の描画に用いる実際の色情報(以下、これを「描画色情報」と称する。)の算出を行う(S22)。本実施形態では、記入者識別子は9ビットで表現する。この場合、記入者識別子を3ビットごとの3つの部分に分け、それぞれを色情報の各色成分の下位3ビットとする。以下、色情報としてAqua(水色)が選択され、記入者識別子として「102」が入力された場合を例にとり詳細に説明する。
【0144】
なお、明細書中では、d1(2)は記入者識別子を二進数で表記したものであり、d{0,1|i=1〜9}は第iビット目が1又は0であることを表している。同様に、r1(2)(r{0,1|k=1〜8})は色情報の赤成分を、g1(2)(g{0,1|k=1〜8})は緑成分を、b1(2)(b{0,1|k=1〜8})は青成分を表している。
【0145】
まず、記入者識別情報と所定のビット列との論理積(AND演算)を算出する(下記式中、「&」は左辺の値と右辺の値とのビット毎の論理積を算出する演算子である。)。
(1)D=d1(2) & 000000111(2)
=000000d1(2)
(2)D=d1(2) & 000111000(2)
=000d000(2)
(3)D=d1(2) & 111000000(2)
=d000000(2)
そして、上記(2)のDを右に3ビット論理シフト、(3)のDを右に6ビット論理シフトする。これを(2’)及び(3’)に示す(下記式中、「>>」は左辺の値を右辺にある数だけ、右へ論理シフトする演算子である。)。
(2’)G = D >> 3 = 000000d4(2)
(3’)B = D >> 6 = 000000d7(2)
記入者識別情報が「102(十進数)」であるならば、その二進数表現は001100110(2)となり、R(=D)、G、Bはそれぞれ000000110(2)、000000100(2)、000000001(2)となる。
【0146】
一方、色情報の赤・緑・青成分について、下位3ビットを0にする。
(4)R = r1(2) & 11111000(2)
= r000(2)
(5)G = g1(2) & 11111000(2)
= g000(2)
(6)B = b1(2) & 11111000(2)
= b000(2)
色情報が水色の場合、水色の赤成分は00000000(2)、緑成分は11111111(2)、青成分は11111111(2)であるから、R、G、Bはそれぞれ00000000(2)、緑成分は11111000(2)、青成分は11111000(2)となる。
【0147】
そして、RとR、GとG、BとBについてそれぞれビットごとの論理和(OR演算)を算出する。これを(7)、(8)、(9)に示す(下記式中、「+」は左辺の値と右辺の値とのビット毎の論理和を算出する演算子である。)。
(7)R=R+R= 00000d1(2) + r000(2)
= r1(2)
(8)G=G+G= 00000d4(2) + g000(2)
= g4(2)
(9)B=B+B= 00000d7(2) + b000(2)
= b7(2)
これにより、色情報(水色)に記入者識別情報(102)を埋め込んで算出される描画色情報は、赤成分が00000110(2)、緑成分が11111100(2)、青成分が11111001(2)となる。
【0148】
上述のようにして算出したR、G、Bからなる描画色情報で、手書き画像データをディスプレイに描画する(S23)。また、この手書き画像データをデータベース22に、PNG形式など所定の形式で保存する。
【0149】
一方、上述のように算出した描画色情報で描画された手書き画像データ61から記入者識別子を取り出すには次のような演算を行う。図15は、描画色情報から記入者識別子を抽出してこの記入者識別子に関する記入者情報を表示する処理のフローを示す図である。
【0150】
実施形態1で説明したように、検査データ一覧画像と手書き画像データとが電子カルテ作成コンピュータ30のディスプレイ上に表示されている際に、マウスポインタが手書き画像データに重なる位置に移動したときの座標を取得し、当該座標に対応する色の取得を行う(S30)。そして、この取得した色の赤(R)・緑(G)・青(B)成分のそれぞれと、下位3ビットを抽出する所定のビット列とのビット毎の論理積を算出する。これを(10)、(11)、(12)に示す。
(10)R=R&00000111(2)
= r1(2) & 00000111(2)
= 00000d1(2)
(11)G=G&00000111(2)
= g4(2) & 00000111(2)
= 00000d4(2)
(12)B=B&00000111(2)
= b7(2) & 00000111(2)
= 00000d7(2)
例えば、取得した色の赤成分が00000110(2)、緑成分が11111100(2)、青成分が11111001(2)であるならば、Rは00000110(2)、Gは00000100(2)、Bは00000001(2)となる。
【0151】
そして、上記(11)のGを左に3ビット論理シフト、(12)のBを左に6ビット論理シフトする。これを(11’)及び(12’)に示す(下記式中、「<<」は左辺の値を右辺にある数だけ、左へ論理シフトする演算子を示している)。
(11’)G = G << 3 = 000d000(2)
(12’)B = B << 6 = d000000(2)
上述のようにして算出した3つのR(=R)、G、Bの論理和を算出して記入者識別子の取得を行う(S31)。これを(13)に示す。
(13)D=R+G+B=000000d1(2)
+000d000(2)
+d000000(2)
=d1(2)
上述の例の場合、記入者識別子として001100110(2)(十進数の102)を得ることができる。
【0152】
次に、データベース22から、上述のように抽出した記入者識別子に該当する記入者情報の取得を行う(S32)。例えば、表8に示すように、データベース22に電子カルテ作成システム1を使用する者として、2人分(例えば医師)の記入者情報が登録されているとする。
【0153】
【表8】

【0154】
このような複数の記入者情報のうち、記入者識別子が102である一つの記入者情報を抽出する。この結果、表8の例では、氏名が「B川 B子」である記入者情報が抽出される。この記入者情報に基づいて、マウスポインタの近傍に記入者の名前の表示を行う(S33)。
【0155】
図16に、手書き画像データと記入者の名前が表示されたイメージを示す。図示するように、手書き画像データ300の近傍には記入者の氏名301が表示されている。これにより、手書き画像データ300を記入した者が誰であるのかが一目瞭然となる。このような記入者の氏名の表示は、一人の患者に関する電子カルテに対して複数の医者が検診した所見等を手書き画像データとして入力する場合に特に有用である。
【0156】
また、手書き画像データは、それを記入した者に関する記入者識別子を含む描画色情報でディスプレイに表示されたり、PNG形式などのファイルとして保存される。すなわち、手書き画像データと記入者識別子とが一体となっている。これにより、手書き画像データとその記入者との対応関係を管理することが容易となっている。
【0157】
上記対応関係を別の形態で管理するならば、例えば、手書き画像データをディスプレイに表示した際における手書き画像データの各点の座標とその記入者との対応関係をデータベースなどに保存する形態が考えられる。しかしながら、このような形態では、例えば手書き画像データを削除したり、編集した場合、その都度データベース上の対応関係も更新しなければならない。また、ディスプレイの解像度の変更などの理由により、手書き画像データが表示される座標が必ずしも一定とは限らない。この結果、データベース上に管理されている手書き画像データの座標と、実際に手書き画像データが表示されている座標との間に相違が生じ、適切な対応関係が維持されないという問題がある。本実施形態で説明したような手書き画像データとその記入者との対応関係は上述したように一体的になっているため、このような問題は生じないという利点がある。
【0158】
なお、本実施形態においては、記入者識別子を表現するのに9ビットとしたが、これに限定されない。少なくとも、記入者識別子が埋め込まれる色情報のビット長よりも短い必要があるが、色情報により表示されるディスプレイ上に表示される色と、描画色情報により表示される色とが人目から見てそれほど変化を感じない程度になるよう記入者識別子のビット長を選択すればよい。また色情報等を表現する形式としてRGB形式を用いたが、これに限定されず、例えばCMYK形式を用いる場合でも本発明を適用できる。手書き画像データを描画する際に用いる色情報の一部に記入者識別情報を埋め込めることができればよいからである。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、患者のカルテを電子化して管理する医療機関などで利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の実施形態に係る電子カルテ作成プログラムをインストールしたコンピュータを備える電子カルテ作成システムの機能ブロック図である。
【図2】データベースに格納される各種データを例示する図である。
【図3】検査データの入力画面を表す概略図である。
【図4】電子カルテ作成プログラムの処理のフローを示す図である。
【図5】検査データを画像化した検査データ画像を例示する図である。
【図6】電子カルテの表示領域と表示管理テーブルとの関係を示す図である。
【図7−1】検査データ画像を配置する処理を逐次表した図である。
【図7−2】検査データ画像を配置する処理を逐次表した図である。
【図8】検査データ一覧画像を例示する図である。
【図9】手書き画像データの入力処理を示すフローである。
【図10】検査データ一覧画像を下絵として入力された手書き画像データと電子カルテの表示領域との関係を示す図である。
【図11】検査データ一覧画像及び手書き画像データとこれらの画像を重ね合わせた電子カルテを例示する図である。
【図12】Bi−Linear法を用いる前後における、手書き画像データと検査データ一覧画像の重ね合わせのイメージを例示する図である。
【図13】電子カルテの表示、編集画面を例示する図である。
【図14】描画色情報で手書き画像データを描画する処理のフローを示す図である。
【図15】描画色情報から記入者識別子を抽出してこの記入者識別子に関する記入者情報を表示する処理のフローを示す図である。
【図16】手書き画像データと記入者の名前が表示されたイメージである。
【符号の説明】
【0161】
1 電子カルテ作成システム
2 検査員
3 眼科医
20 検査データ入力端末
21 検査機器
22 データベース
23 ウェブサーバ
24 LAN
30 電子カルテ作成コンピュータ
31 電子カルテ作成プログラム
32 検査データ取得手段
33 検査データ画像化手段
34 検査データ画像配置手段
35 手書き画像データ入力手段
36 表示手段
38 出力装置
40 入力フォーム
50 電子カルテの表示領域
60 検査データ一覧画像
70 自由曲線
90 検査日選択メニュー
91 手書き画像データメニュー
92 所見データ
100 検査データ
101 更新フラグ
102 電子カルテ管理データ
103 表示位置管理データ
200〜212 検査データ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
複数の検査項目に分類された患者の検査データを格納するデータベースより電子カルテを作成する対象の患者の検査データを取得する検査データ取得手段と、
前記コンピュータの表示装置の電子カルテの表示領域に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段と、
前記表示装置の前記電子カルテの表示領域に前記検査データ画像を配置するための位置情報を管理すると共に、前記位置情報に基づいて前記検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段と、
前記コンピュータの入力装置を介して手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段と、
前記検査データ一覧画像と前記手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示する表示手段
として機能させることを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項2】
請求項1の電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記位置情報とは、電子カルテの表示領域を格子状に区分した矩形領域に、前記検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されているか否かを表すフラグであり、
前記所定の位置とは、他の検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されていない空の矩形領域であり、
前記検査データ画像配置手段は、前記フラグが立っているか否かを判断することで、少なくとも1つの空の矩形領域を選出し、当該空の矩形領域に前記検査データ画像を配置して検査データ一覧画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2の電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記データベースは、新たな検査データが前記データベースに追加されたことを表す更新フラグを格納すると共に、検査データ一覧画像及び手書き画像データを患者に関連付けて格納し、
前記検査データ取得手段は、前記更新フラグが立っているか否かを判断して前記検査データを取得し、
前記検査データ画像配置手段は、前記検査データ画像化手段により画像化された前記検査データ画像を所定の位置に配置して作成した検査データ一覧画像を患者に関連付けて前記データベースに保存し、
前記表示手段は、前記データベースに保存された検査データ一覧画像と手書き画像データとを取得して、当該検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかの電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ一覧画像を下絵として前記表示装置に表示すると共に、前記手書き画像データを取得することを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項5】
請求項1〜4の電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ画像が前記手書き画像データに優先して表示されるよう所定の画像処理を行うことを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかの電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記検査データ画像化手段は、電子カルテを作成する対象の患者の検査データを前記データベースより取得し、当該検査データに所定の書式を適用して、前記表示装置に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかの電子カルテ作成プログラムにおいて、
前記手書き画像データ入力手段は、前記手書き画像データを描画する色として指定された色情報を構成するビット列の一部を、前記手書き画像データを入力した者を識別する記入者識別子を構成するビット列に置き換えることで描画色情報を算出し、
前記表示手段は、前記描画色情報で手書き画像データを前記表示装置に表示すると共に、前記描画色情報に含まれる記入者識別子により識別される記入者に関する記入者情報を前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成プログラム。
【請求項8】
複数の検査項目に分類された患者の検査データをデータベースに格納するための検査データ入力端末と、前記データベースより取得した前記検査データに基づいて電子カルテを作成する電子カルテ作成コンピュータとからなり、検査員により前記データベースに格納された前記検査データに基づいた電子カルテを医師が参照する際に用いる電子カルテ作成システムであって、
前記電子カルテ作成コンピュータは、
前記データベースより電子カルテを作成する対象の患者の検査データを取得する検査データ取得手段と、
前記電子カルテ作成コンピュータの表示装置の電子カルテの表示領域に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成する検査データ画像化手段と、
前記表示装置の前記電子カルテの表示領域に前記検査データ画像を配置するための位置情報を管理すると共に、前記位置情報に基づいて前記検査データ画像を所定の位置に配置して検査データ一覧画像を作成する検査データ画像配置手段と、
前記電子カルテ作成コンピュータの入力装置を介して手書き画像データを取得する手書き画像データ入力手段と、
前記検査データ一覧画像と前記手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項9】
請求項8の電子カルテ作成システムにおいて、
前記位置情報とは、電子カルテの表示領域を格子状に区分した矩形領域に、前記検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されているか否かを表すフラグであり、
前記所定の位置とは、他の検査データ画像又は前記手書き画像データが配置されていない空の矩形領域であり、
前記検査データ画像配置手段は、前記フラグが立っているか否かを判断することで、少なくとも1つの空の矩形領域を選出し、当該空の矩形領域に前記検査データ画像を配置して検査データ一覧画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項10】
請求項8又は9の電子カルテ作成システムにおいて、
前記データベースは、新たな検査データが前記データベースに追加されたことを表す更新フラグを格納すると共に、検査データ一覧画像及び手書き画像データを患者に関連付けて格納し、
前記検査データ取得手段は、前記更新フラグが立っているか否かを判断して前記検査データを取得し、
前記検査データ画像配置手段は、前記検査データ画像化手段により画像化された前記検査データ画像を所定の位置に配置して作成した検査データ一覧画像を患者に関連付けて前記データベースに保存し、
前記表示手段は、前記データベースに保存された検査データ一覧画像と手書き画像データとを取得して、当該検査データ一覧画像と手書き画像データとを重ね合わせて作成する電子カルテを前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかの電子カルテ作成システムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ一覧画像を下絵として前記表示装置に表示すると共に、前記手書き画像データを取得することを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項12】
請求項8〜11の電子カルテ作成システムにおいて、
前記表示手段は、前記検査データ画像が前記手書き画像データに優先して表示されるよう所定の画像処理を行うことを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項13】
請求項8〜12の何れかの電子カルテ作成システムにおいて、
前記検査データ画像化手段は、電子カルテを作成する対象の患者の検査データを前記データベースより取得し、当該検査データに所定の書式を適用して、前記表示装置に表示可能な所定の大きさに当該検査データを前記複数の検査項目毎に画像化して検査データ画像を作成することを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項14】
請求項8〜13の何れかの電子カルテ作成システムにおいて、
前記検査データを入力するための入力フォームを前記検査データ入力端末に提示するウェブサーバを更に具備し、
前記ウェブサーバは、前記入力フォームを介して取得した前記検査データを前記データベースに格納する検査データ入力手段を備えることを特徴とする電子カルテ作成システム。
【請求項15】
請求項8〜14の何れかの電子カルテ作成システムにおいて、
前記手書き画像データ入力手段は、前記手書き画像データを描画する色として指定された色情報を構成するビット列の一部を、前記手書き画像データを入力した者を識別する記入者識別子を構成するビット列に置き換えることで描画色情報を算出し、
前記表示手段は、前記描画色情報で手書き画像データを前記表示装置に表示すると共に、前記描画色情報に含まれる記入者識別子により識別される記入者に関する記入者情報を前記表示装置に表示することを特徴とする電子カルテ作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−213555(P2007−213555A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335124(P2006−335124)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(506016679)株式会社メガコン (1)
【Fターム(参考)】