説明

電子デバイスを作製するときの分散物の使用

電子粒子固体、キャリアおよび式(1):R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Zの分散剤を含む、コンデンサー、プリント配線回路基板などを作製する際に有用な分散物であって、ここで、Rは水素または重合末端基であり;Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20−アルケニレンであり;Bは、C1〜6−アルキレンまたはそれらのラクトンであり;Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む塩基性部分であり;xは、2〜45であり;Yは、0〜15であり;そして、x:y比は、3:1以上であり、そのキャリアは、一価アルコールおよびジアルキレングリコールモノアルキルエステルのエステルから選択される、150〜350℃の間に沸点を有する高沸点有機液体である、分散物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年3月5日に提出された、イギリス特許出願番号0304941.8に対して優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、誘導性材料によって分離された、種々のパターンの伝導性チャネルが有用である、コンデンサー、プリント配線回路基板および同様の電子デバイスを作製するときに使用するための誘導性金属材料および伝導性金属材料を分散させるときに使用するための改良された分散剤を開示する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
WO94/21368は、本明細書で教示された分散剤と同様の種々の分散剤を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
電子デバイスを製造するための分散剤の使用であって、分散物が、電子粒子固体、キャリアおよび以下の式:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を包含し、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレン、例えば、(O−B−CO)は、ラクトンから誘導され得;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である。
【0005】
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−によって表されるポリエステル鎖は、ブロックかまたは好ましくはランダムであり得、(O−A−CO)または(O−B−CO)によって表される部分のどちらかは、Rに直接結合され得る。しかし、記載されているように、(O−A−CO)基がRに結合されることが、好ましい。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明は、キャリア中に分散された、電子粒子固体を含む、特定の分散物の使用、ならびにコンデンサー、およびプリント配線回路基板のような、電子デバイスを作製するためのこのような分散物の使用に関する。
【0007】
多層セラミックコンデンサーは、当該分野で周知であり、一般的に、細かく分割された誘電性材料を、基板に適用し、その上に、コンデンサー電極またはプレートの機能を果たすための所望のパターンで、細かく分割された伝導性金属(例えば、銀)の層を重ね合わせることによって作製される。多層セラミックコンデンサーは、誘導性材料および伝導性材料の交互の層から作製され、2つの最も外側の層は、誘電性材料から構成される。誘導性材料および伝導性材料の交互の層の複合性サンドイッチは、次いで、モノリシックなコンデンサー構造を形成するために、誘導性材料の融解温度または焼結温度で、しばしば圧力下で、焼成される。融解するかまたは焼結する過程の間、異なる層の中の誘電性材料および伝導性材料を均一に分散するために使用される、種々の成分が、「燃え尽きる」。この誘導性層および伝導性層は、一般的に、キャリア中の誘電性材料および伝導性材料の分散物から調製され、このキャリアは、一般的に非極性有機液体である。キャリア中の電子粒子固体を均一に分散するために、好ましくは、分散剤が使用され、そしてこの分散剤は、キャリア中の電子粒子固体の分離を避けるために、そしてその次の焼成過程の間、効率的な除去を提供するために、注意深く選択されなければならない。
【0008】
リシノール酸およびポリエチレンイミンから誘導されるポリエステルアミン分散剤の使用は、電子コンデンサーの製造において使用される非極性有機液体キャリア中の電子粒子固体を分散させるときに、特に有効であり、そのような分散剤は、その後に、最終的なコンデンサーの中で、いかなる有害な影響も引き起こすことなく、焼成過程の間、除去され得ることが見出された。
【0009】
本発明に従って、分散物が、電子粒子固体、キャリアおよび式1:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を含有し、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレン、例えば、(O−B−CO)は、ラクトンから誘導され得;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である、電子デバイスの製造における分散物の使用が提供される。
【0010】
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−によって表されるポリエステル鎖は、ブロックかまたは好ましくはランダムであり得、(O−A−CO)または(O−B−CO)によって表される部分のどちらかは、Rに直接結合され得る。しかし、(O−A−CO)基がRに結合されることが、好ましい。
【0011】
好ましくは、x:yの比が、5:1以上であり、より好ましくは8:1以上であり、特に10:1以上である。yがゼロであることが、特に好ましい。
【0012】
Rが重合末端基である場合、Rは、好ましくは、Rがアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または好ましくはアルキルであり得、そしてハロゲン、C1〜6−アルコキシ、アミノまたはエーテルの基で置換され得る、カルボン酸R−COOHの残基である。好ましくは、Rは、置換されていない。Rがアルキルである場合、Rは、直鎖状または分枝状であり得、飽和または不飽和であり得るが、好ましくは飽和である。
【0013】
Rの中の炭素原子の総数は、50ほどの多さであり得るが、Rが、8個以上の炭素原子、より好ましくは12個以上の炭素原子、そして特に14個以上の炭素原子を含有することが、好ましい。また、Rが、30個以下の炭素原子、より好ましくは24個以下の炭素原子、そして特に20個以下の炭素原子を含有することが、好ましい。
【0014】
式R−COOHのカルボン酸の例としては、酢酸、メトキシ酢酸、カプロン酸、オレイン酸、ラウリン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸およびパルミチン酸が挙げられる。分枝状アルキルカルボン酸の例としては、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルドデカン酸および2−デシルテトラデカン酸が挙げられる。また、分枝状脂肪族酸はまた、商標Isocarb(exSasol)の下で入手可能であり、そして特定の例は、Isocarb 12、16、20、28、32、34Tおよび36である。カルボン酸の混合物が、使用され得る。(CO−A−O)基によって表される、不飽和ヒドロキシカルボン酸は、アルキルカルボン酸またはアルケニルカルボン酸を含み得、そしてこれは、重合末端基として作用し得る。これは特に、ヒドロキシカルボン酸が、天然産物から誘導される場合、当てはまる。
【0015】
好ましくは、Aは、12個以上の炭素原子、そして特に14個以上の炭素原子を含む。(CO−A−O)基が誘導され得るヒドロキシカルボン酸の例としては、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸および4−ヒドロキシデカン酸が挙げられる。(CO−A−O)が、リシノール酸の残基であることが、特に好ましい。
【0016】
Bによって表されるアルキレン残基は、直鎖状または分枝状であり得る。(CO−B−O)が誘導されるヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコール酸、6−ヒドロキシカプロン酸および5−ヒドロキシ吉草酸が挙げられる。
【0017】
ラクトンの例としては、β−プロピオラクトンならびに必要に応じてアルキル−置換されたε−カプロラクトンおよび必要に応じてアルキル−置換されたδ−バレロラクトン(valerolactone)が挙げられる。アルキル置換基は、好ましくは直鎖状または分枝状であり得るC1〜6−アルキル、そして特に直鎖状または分枝状であり得るC1〜4−アルキルである。アルキル置換型ε−カプロラクトンは、WO98/19784に記載されているような、アルキル置換型シクロヘキサノンの酸化によって得られ得る。例としては、7−メチル−ε−カプロラクトン、3−メチル−ε−カプロラクトン、5−メチル−ε−カプロラクトン、6−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−ε−カプロラクトン、5−tert.ブチル−ε−カプロラクトン、4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトンおよび4,4,6−トリメチルε−カプロラクトンが挙げられる。アルキル置換型バレロラクトンの例としては、β−メチル−δ−バレロラクトンが挙げられる。好ましいラクトンは、ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンである。
【0018】
ヒドロキシカルボン酸およびラクトンの混合物が、使用され得る。
【0019】
好ましくは、yは6以下、より好ましくは4以下、さらにより好ましくは2以下であり、特にゼロである。
【0020】
Zに対するポリエステル鎖R−(O−A−CO)(O−B−CO)−の重量比が、好ましくは、好ましくは5以上、そして特に8以上である。Zに対するこのポリエステル鎖の重量比は、30以下、より好ましくは20以下、そして特に15以下であることが、好ましい。特に有用な分散剤は、Zに対するポリエステル鎖R−(O−A−CO)(O−B−CO)−の重量比が8〜15である分散剤である。
【0021】
Zは、好ましくは、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、より好ましくはポリ(C2〜4−アルキレンイミン)(以下、PAI)そして特にポリ(エチレンイミン)(以下PEI)のような、ポリアミンまたはポリイミンの残基である。
【0022】
直鎖状ポリエチレンイミンは、Macromolecular,1972,Vol 5,4470ページの中で、Takeo Saegusaらによって記載されているように、ポリ(N−アシル)アルキレンイミンの加水分解によって調製され得る。異なる分子量の分枝状ポリエチレンイミンは、BASFおよびNihon Shokubaiから入手可能である。異なる分子量のポリアリルアミンおよびポリ(N−アルキル)アリルアミンは、Nitto Bonsekiから入手可能である。ポリビニルアミンは、Mitsubishi Kaseiから入手可能である。ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから入手可能であり、そしてポリ(アミドアミン)デンドリマーは、Aldrich Chemical Companyから販売されている「星型(starburst)」デンドリマーとして入手可能である。
【0023】
ポリアミンまたはポリイミンは、好ましくは500〜600,000、より好ましくは1,000〜200,000、さらにより好ましくは1,000〜100,000、特に1,000〜70,000の重量平均分子量を有する。
【0024】
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−によって表されるポリエステル部分の数平均分子量は、好ましくは、600〜4,000、そして特に800〜2,000である。
【0025】
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−によって表されるポリエステル鎖部分は、ポリエステル鎖の末端カルボニル基と、ポリアミンもしくはポリイミンの中の第一級アミン基または第二級アミン基の窒素原子との間に形成された、共有結合性アミド基−CON=、あるいは、ポリエステル鎖の末端カルボン酸基と、ポリアミンまたはポリイミンの中のアンモニウム基との間に形成された、塩の結合−COOHN≡のいずれかを介して、ポリアミンの成分Zまたはポリイミンの成分Zに結合され得る。
【0026】
好ましくは、分散剤は、ポリアミンまたはポリイミンに結合される、多数のポリエステル鎖を含み、そして結果的に、反応器(reactor)の状態の厳しさに依存してアミドの混合物および塩の結合を含み得る。
【0027】
分散剤はまた、一般式2:
【0028】
【化2】

【0029】
によって便利に表され得、ここで、
X−x−x−Xは、ポリアミンまたはポリイミンを表し;
Yは、ポリエステル鎖部分R−(O−A−CO)(O−B−CO)−を表し;および
qは4〜2,000である。好ましくは、qは10以上である。また、qは、1,000以下であり、特に500以下であることが好ましい。
【0030】
分散剤は、当該分野で公知の任意の方法によって調製され得、より代表的に、WO94/21368に記載されているプロセスによって作製される。
【0031】
分散物中の電子粒子固体は、電子デバイスまたは電気デバイスの製造において使用される、任意の誘電性固体または伝導性固体(それらの混合物を含む)であり得る。
【0032】
伝導性固体は、好ましくは粉末または薄片であり得る金属であるが、好ましくは微細にされた粉末の金属である。金属の粒子サイズは、好ましくは3μ以下であり、そして特に1μ以下である。伝導性金属の例としては、銅、銀、金、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスニウム、イリジウムおよびニッケル(それらの混合物および合金を含む)が挙げられる。
【0033】
ニッケルおよび銀は、好ましい金属である。
【0034】
誘電性固体は、任意の非電気伝導性固体であり得、そして好ましくは、金属酸化物または酸素含有無機金属誘導体である。適切な誘電性固体の例としては、ガラス、チタン酸バリウム、ジルコン酸鉛、スズ酸ビスマス、二酸化チタン、ニオブ酸鉛マグネシウム、酸化鉛、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、硝酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化ビスマスおよび酸化アルミニウムならびにそれらの混合物が挙げられる。一般的に、連続的な誘電性層を提供するために、融解され得るか、または焼結され得る、任意の非伝導性固体が、使用され得る。誘電性固体の粒子サイズは、本質的にはかなり粗大であり得るが、しかし、伝導性金属を用いて、分散物に組み込まれる場合、粒子サイズは、好ましくは5μ以下であり、より好ましくは3μ以下、および特に1μ以下である。
【0035】
この分散物中のキャリアは、有機的、または好ましくは有機液体の混合物であり、これらはまた好ましくは水を含まない。有機液体は、極性であり得るか、または好ましくは非極性であり得、そして特に150℃と350℃の間に沸点を有する高沸点有機液体である。好ましくは、沸点は、180℃以上、特に200℃以上である。沸点は、300℃以下、特に280℃以下であることがまた好ましい。
【0036】
好ましい高沸点有機液体は、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、テルピネオール(その立体異性体を含む)、およびジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ジエチルグリコールモノアルキルエーテル)、特に、C1〜6モノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)のような、一水酸基アルコールである。他の好ましい高沸点有機液体は、ブチルカルビトール(carbitol)アセテート(2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート)のような、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルのエステルである。
【0037】
テルピネオールは、好ましい高沸点有機液体である。
【0038】
操作を容易にするために、分散剤は、好ましくは、キャリア中の溶液として利用可能にされる。それゆえ、本発明のさらなる局面に従って、150℃と350℃の間に沸点を有する高沸点有機液体および式1の分散剤を含む組成物が提供される。
【0039】
好ましくは、高沸点有機液体は、芳香族炭化水素(例えば、ナフサ)、または好ましくは一水酸基アルコールであり、そして特に、テルピネオール(それらの異性体混合物を含む)である。
【0040】
この組成物は、さらに、好ましくは金属および/または誘電性固体である、電子粒子固体を含み得る。好ましい金属は、銀およびニッケルである。好ましい誘電性固体は、チタン酸バリウムである。
【0041】
この組成物中の電子粒子固体の量は、好ましくは、この組成物の総量に基づいて、20%〜90%である。電子粒子固体の量は、この組成物の総量に基づいて、40%以上、および特に50%以上であることが好ましい。特に、有用な組成物は、50%〜70%の電子粒子固体を含む組成物である。
【0042】
この組成物の中の分散剤の量は、広い範囲にわたって変動し得るが、好ましくは、電気粒子固体の量に基づいて、1%〜150%である。好ましくは、分散剤の量は、電気粒子固体の量に基づいて、100%以下であり、より好ましくは50%以下であり、そして特に20%以下である。有用な分散物は、分散剤の量が、電子粒子固体の、2〜10重量%である。
【0043】
この組成物の粘性は、また、意図された最終使用にこの組成物を適合させるために、結合樹脂のような、他のアジュバントを加えることによって調整され得る。
【0044】
好ましくは、結合樹脂は、キャリア中で可溶である。結合樹脂は、好ましくは、ロジンまたはセルロースのような、天然産物から誘導される。適切な結合樹脂の例としては、水素化ロジン、水素化ロジンのグリセリンエステル、エチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0045】
従って、この組成物が、印刷インク、特に、プリント配線回路基板(PCB)のような電子デバイス中の電気伝導性トラックを生産するためのスクリーン印刷インク、コンデンサーなどとして使用される場合、結合樹脂を含むことが好ましい。結合樹脂の量は、重量による総組成物の4%〜16%に等しい、キャリアまたは液相の、好ましくは10重量%〜40重量%である。
【0046】
この組成物が、スクリーンプリント技術を使用して、伝導性電気トラックを製作するために使用される場合、この組成物は、好ましくは、粘性インク、特に、25℃で、10,000cpsと70,000cpsの間の粘性を有するインクを構成する。また、好ましくは、このインクは、脂肪族炭化水素、特に、6〜16個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素のような、不活性有機液体を含む。脂肪族炭化水素の例としては、ガソリン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、および特に灯油が挙げられる。このインク中の不活性有機液体の量は、好ましくは、このペースト、40〜65重量%である。
【0047】
不活性有機液体によって、誘電性基板の表面と相互作用し、それによって、その表面の完全性に有害に影響することのない、任意の有機液体が意味される。好ましくは、不活性有機液体は、50℃〜150℃未満の沸点を有する。
【0048】
このインクの粘性が、それを、ドロップオンデマンド(drop−on−demand)インクジェット印刷のような、フレキソ(flexographic)印刷およびインクジェット印刷により適切にするために、容易に変動され得ることは、当業者に明らかである。
【0049】
このインクは、一般的に、必要に応じて加熱することによって、高沸点有機液体の中の分散剤および結合樹脂を溶解することによって調製される。20〜25℃に冷却させた後、ニッケルまたは銀のような電子粒子固体が加えられ、その後、存在する場合、脂肪族有機液体が加えられる。ボールミル、ビーズミル、高剪断混合または超音波処理のような、適切な分散プロセスが、次いで適用され得る。このインクは、次いで、前駆の電気的伝導性トラックを生産するために、この産業で公知の任意の適切な手段(例えば、スクリーンプリント)によって、誘電性基板に適用される。不活性有機液体は、必要に応じて、エバポレートし、その後、600℃〜1200℃の温度で、誘導性基板を加熱させることによって除去され、このプロセスの間、キャリアが燃え尽き、そして電気的伝導性粒子固体が融解されて、誘電性基板の表面上に電気的伝導性トラックが与えられる。電気的伝導性経路の厚さは、スクリーンプリントプロセスを繰り返すことによって、および/または所望のように電気的析出によってさらなる材料を適用することによって増加され得る。
【0050】
組成物は、また、組成物を、レジスター、コンデンサーなどのような成分の電気的接触に適用することによって、PCBのような電子デバイスを作製する際に使用される成分の間の電気的結合を作るために、ハンダとして使用され得る。同様に、組成物はまた、組成物でバイアス(vias)を満たすことによって、異なる電気的な伝導性トラックの間の電気的結合を作製するために使用され得る。この電気的ブリッジは、上記で記載されるように、高い温度で焼成することによって完成され得る。
【0051】
この組成物は、また、コンデンサーの製造において使用され得、この組成物は、「未焼成(green)」の柔軟な誘電性ボディもしくは基板、または焼成された堅い誘電性基板のいずれかに適用される。
【0052】
誘電性基板に適用される場合、用語「未焼成」は、誘電性基板を形成する誘電性粒子固体を一緒に融解することまたは焼結することをもたらす高い温度にさらされていない基板を意味する。未焼成の誘電性基板は、しばしば、自己支持的(self−supporting)柔軟なシートの形態で存在し、ここで、この誘電性粒子固体は、重合有機結合剤によって、共に保持される。未焼成の誘電性基板は、伝導性電子粒子固体(例えば、金属)を含む、上記の組成物を用いて印刷される。印刷された誘電性基板は、次いで、区分に切られ、この区分は、重ね合わせた層で配置され、伝導性印刷トラックが、交互層に対して同じ側に突き出して、そしてこの一番上の層が、印刷されたトラックが全くない。次いで、この層は、300〜2000psiの圧力下で圧縮され、次いで、600〜1200℃の高温で焼成され、突き出した電気的接触を有するモノリシックコンデンサーが形成される。
【0053】
コンデンサーが、誘電性材料によって囲まれた、比較的少ない数の伝導性層(例えば、2層)を含む場合、コンデンサーは、包埋されたコンデンサーとして公知であり、そのような包埋されたコンデンサーはまた、本発明に従って、分散物を使用して製作され得る。
【0054】
組成物はまた、焼成された強固な誘電性基板に適用され得る。しかし、この場合では、組成物は、より高いレベルの高沸点有機液体を含み得る。なぜなら、焼成される基板は、未焼成の基板と比較して、そのような有機液体に対してより高い抵抗性があるからである。組成物は、焼成された誘電性基板に適用される場合、焼成された後、伝導性電子粒子固体は、誘電性材料の融解されるかまたは焼結された本体内で維持される、伝導性本体を形成するため、誘電性粒子固体の組成物の、20重量%まで含むことが、しばしば有用である。焼成される誘電性材料は、無機チップの形態であり得る。
【0055】
組成物はまた、ビヒクルの製造で使用されるガラスの曇りを除くための、加熱要素を提供するために使用され得る。
【0056】
電子粒子固体が、チタン酸バリウムのような誘電性材料である場合、組成物は、非電気的伝導性接着によって、PCBのような基板に電子成分を固定させるために使用され得る。組成物は、本明細書中で上に記載されたような、結合樹脂および不活性液体を含み得る。焼成した後、非電気的伝導性溶接部が、電子的成分と基板の間で形成される。
【0057】
誘電性材料を含む組成物は、基板表面の、局在的にまたは全体的のいずれかに適用され得る。表面全体に適用される場合、組成物は、ドクターブレード(doctor blade)によって有利に適用され得る。局在的に適用される場合、組成物は、粘性の適切な調整後、インクとして有用に適用され得る。
【0058】
本発明は、ここで、以下の実施例に関連して、さらに詳細に記載される。ここで、全ての参照は、反対に表現されない限り、重量部である。
【0059】
【表1】

【0060】
上の表において、PHSは、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)であり、PRAは、ポリリシノール酸であり、RAは、リシノール酸であり、capは、ε−カプロラクトンであり、HSAは、12−ヒドロキシステアリン酸であり、SP200は、数平均分子量10,000を有するポリエチレンイミンであり、そしてSP050は、数平均分子量5000を有するポリエチレンイミンである。
【0061】
分散剤3についてのポリエステル鎖のカラムにおける括弧の中の数は、ポリエステル鎖の中のリシノール酸とε−カプロラクトンのモル比を示す。PC:PIのカラムの中の数は、ポリエステル鎖とポリエチレンイミンの重量平均比を示す。
【0062】
分散剤1〜10は、WO94/21368において記載されるプロセスと同様のプロセスによって、全て作製される。分散剤4は、調製物がまたWO94/21368で記載される、ポリエステルAと同じである。分散剤5および6は、ポリエステルAについてWO94/21368での使用と同様のプロセスによって作製される。分散剤5は、870の分子量を有する。分散剤6は、1100の分子量を有する。分散剤7は、1:1のモル比で、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸を含む、1600の分子量のポリエステル鎖を有する。分散剤8および9は、1100の分子量のポリエステル鎖を有する。分散剤10は、1600の分子量のポリエステル鎖を有する。
【0063】
(実施例1〜12)
分散剤(250部)を、1時間、窒素下で120℃で、一緒に攪拌することによって、テルピネオール異性体(250部 (ex Fisher))の混合物に溶解させた。20℃まで冷却した後、16時間、3mm直径ガラス バラチニ(balatini)ビーズ(17部)の存在下で、水平振盪器を用いて、よりたくさんのテルピネオールで希釈したテルピネオール中の分散剤の溶液中で、電子粒子固体を製粉させることによって分散物を調製した。分散物の粘性は、A〜D(よい〜悪い)の任意のスケールを用いて、手で振ることによって評価した。結果を、以下の表1A〜1Dに示した。
【0064】
【表2】

【0065】
(表1の脚注)
分散剤の量は、テルピネオールの異性体の混合物中の分散剤の50/50 w/w混合物である。
【0066】
Ni粉末は、1μ以下の粒子サイズを有する、微細な粉末(ex Aldrich)である。
【0067】
BaTiOは、1μ以下の粒子サイズを有する、微細なチタン酸バリウム(ex Aldrich)である。
【0068】
【表3】

【0069】
セリウムオキシドは、ナノサイズの(nanosized)Aldrichからの入手可能物である。
MEL3/ジルコニアは、MEL Chemicalsから入手可能である。
Okamoor Silica HPF2は、Hepworth Minerals&Chemicalsから入手可能である。
Alumina AE511Cは、住友から入手可能である。
【0070】
【表4】

【0071】
実施例1〜4、9〜12、AおよびBの粘性をまた、57ミクロンギャップにおける、2°表面(face)の4cmの円錐を備えた、Thermal Analyser model CSL 500を使用して、ガラスビーズを除去した後、20℃で測定した。この結果を以下の表2で示す。
【0072】
【表5】

【0073】
【表6】

【0074】
本発明が、その好ましい実施形態に関連して説明される一方で、明細書を読む際に、それらの種々の改変が、当業者に明らかであることが理解されるべきである。それゆえ、本明細書で開示される本発明は、添付された特許請求の範囲内に入るような改変を網羅することが意図される。ポリマーが、数平均または重量平均を特定することなく、分子量を用いて記載される場合、数平均として解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの製造における分散物の使用であって、該分散物は、電子粒子状固体、キャリア、および式1:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を含有し、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレンまたはそのラクトンであり;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である、使用。
【請求項2】
Rが、直鎖状または分枝状であり得る、C1〜50−アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
(O−A−CO)が、リシノール酸の残基である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
yが0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Zに対するR−(O−A−CO)(O−B−CO)の重量比が、8〜15である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Zが、ポリアミンの残基またはポリイミンの残基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記ポリイミンまたはポリアミンが、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはポリ(C2〜4アルキレンイミン)である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリ(C2〜4アルキレンイミン)が、ポリエチレンイミンである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記分散剤が、式2:
【化1】

によって表され、
ここで、
X−x−x−Xは、ポリアミンまたはポリイミンを表し;
Yは、ポリエステル鎖部分R−(O−A−CO)(O−B−CO)−を表し;および
qは4〜2,000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記伝導性固体が、銅、銀、金、白金、パラジウムおよびニッケル(それらの混合物および合金を含む)から選択される金属である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記誘電性固体が、連続層を形成するために融解され得るかまたは焼結され得る、任意の非伝導性固体である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記誘電性固体が、金属酸化物または酸素を含む無機金属誘導体である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記非誘電性固体が、チタン酸バリウムである、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
前記キャリアが、150℃と350℃の間の沸点を有する、高沸点有機液体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記高沸点有機液体が、異性体混合物を含むテルピネオールである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記電子デバイスが、コンデンサーまたはプリント配線回路基板である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
キャリアおよび式1:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を含む組成物であって、該キャリアが、150℃と350℃の間の沸点を有する、高沸点有機液体であり、一価アルコールおよびジアルキレングリコールモノアルキルエーテルのエステルから選択され、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレンまたはそのラクトンであり;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である、組成物。
【請求項18】
(O−A−CO)が、リシノール酸の残基である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記キャリアが、テルピネオール(それらの異性体を含む)である、請求項17または請求項18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
電子粒子固体をさらに含有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記電子粒子固体が、銀またはニッケル(それらの合金および混合物を含む)である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
誘電性粒子固体をさらに含有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記誘電性粒子固体が、チタン酸バリウムである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
結合樹脂をさらに含有する、請求項17〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記結合樹脂が、エチルセルロースまたはエチルヒドロキシエチルセルロースである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
150℃より低い沸点を有する、脂肪族炭化水素をさらに含有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記脂肪族炭化水素が、灯油である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記電子粒子固体が、誘導性固体または伝導性固体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの製造における分散物の使用であって、該分散物は、電子粒子状固体、キャリア、および式1:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を含有し、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレンまたはそのラクトンであり;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である、使用。
【請求項2】
Rが、直鎖状または分枝状であり得る、C1〜50−アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
(O−A−CO)が、リシノール酸の残基である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
yが0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Zに対するR−(O−A−CO)(O−B−CO)の重量比が、8〜15である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Zが、ポリアミンの残基またはポリイミンの残基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記ポリイミンまたはポリアミンが、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはポリ(C2〜4アルキレンイミン)である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリ(C2〜4アルキレンイミン)が、ポリエチレンイミンである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記分散剤が、式2:
【化1】

によって表され、
ここで、
X−x−x−Xは、ポリアミンまたはポリイミンを表し;
Yは、ポリエステル鎖部分R−(O−A−CO)(O−B−CO)−を表し;および
qは4〜2,000であり、そしてここで、前記電子粒子固体が、誘電性固体もしくは伝導性固体またはそれらの混合物を包含する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
キャリアおよび式1:
R−(O−A−CO)(O−B−CO)−Z 1
の分散剤を含む組成物であって、該キャリアが、150℃と350℃の間の沸点を有する、高沸点有機液体であり、一価アルコールおよびジアルキレングリコールモノアルキルエーテルのエステルから選択され、
ここで、
Rは、水素または重合末端基であり;
Aは、C8〜20−アルキレンおよび/またはC8〜20アルケニレンであり;
Bは、C1〜6−アルキレンまたはそのラクトンであり;
Zは、ヒドロキシルまたは塩基性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
xは、2〜45であり;
yは、0〜15であり;ならびに
x:yの比が、3:1以上である、組成物。

【公表番号】特表2006−523947(P2006−523947A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507052(P2006−507052)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/007345
【国際公開番号】WO2004/078333
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】