電子ビーム造形装置
【課題】粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能な電子ビーム造形装置を提供する。
【解決手段】溶融ステップ(一次溶融)の後に、溶融体14の上面が集束点61に位置するように、エレベータにてベースプレイトをH1だけ上昇させて、該ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、電子ビームの集束点を調整することなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【解決手段】溶融ステップ(一次溶融)の後に、溶融体14の上面が集束点61に位置するように、エレベータにてベースプレイトをH1だけ上昇させて、該ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、電子ビームの集束点を調整することなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元CADデータを一定の厚み(ピッチ)にスライスしたデータに基づき、金属パウダーに電子ビームを照射溶融し、これを繰り返すことにより該パウダーを溶融し所望の形状の整形物を造形する電子ビーム造形装置において、造形物の表面の凹凸を小さくできる電子ビーム造形技術に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形方法は、高分子を用いた部品を鋳型や切削加工を用いずに迅速に製作する方法として、開発されたラピッドプロトタイピングと呼ばれる成型手法で、歴史的には、紫外線あるいは可視光により硬化する樹脂を用い、紫外線レーザ、可視光レーザあるいは近赤外光フラッシュランプを用い、3次元CADデータを層別し各層毎に成型を繰り返し積層する方法である光造形法が端緒である。
【0003】
その後、光硬化樹脂に代わり、プラスチックをレーザで焼結する粉末積層法が開発された。この方法の応用として、鋳物砂や金属粉に樹脂をコーティングし溶融焼結することで、無機材料や金属製部品の製作も可能となったが、その機械的強度は金属加工で得られる物と比べて極めて弱く使用範囲が限られている。
【0004】
これを解決するために、レーザで金属を溶融させて三次元造形する金属造形法が開発された。これはレーザの利点を生かし大気中での成型が可能である反面、不純物(酸化物)の混入を避けられないという課題を有している。
【0005】
このような背景で開発されたのが、電子ビームを用いる三次元造形法であり、真空中での造形のため不純物の混入を防ぎ、レーザに比べてエネルギー効率の高さから積層金属の金属特性が鍛造製品の特性に近く、組成に酸化物も少なく、また高融点金属あるいは難溶接金属の造形も可能となった。
【0006】
非特許文献1は本特許が適用される電子ビーム造形装置の概要を述べたものであり、文中には、「本装置は3DCADにより設計されたデータに基づきチタン部品を製作します。真空チャンバ内で平均100ミクロン程度の厚さでチタンパウダーを撒きます。この後電子ビームが必要な箇所をスキャン照射します。電子ビームが照射されたチタンパウダーは溶解し薄いチタン層になります。この薄いチタン層を縦方向に積み重ねて造形します。電子ビームは焦点深度が深いため、チタン層間は完全に融合しています。」と記載されているが、溶融表面を平滑にする手段についてはなんら触れられていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】赤野恒夫、「チタンの新しい加工装置の紹介」、チタン、vol.56、No4(2008)、P49の左欄17行目から24行目。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように多くの三次元造形方法の中で優れている電子ビーム造形技術においても、なお、優位点を活かすための問題点解決の必要性がある。
【0009】
第1の問題点は、生成物の表面粗さが粒径と同程度であり、微小部品や平滑を要求するような用途には適していないことである。これは、電子ビーム造形装置で用いられる金属パウダーの粒径が大きく、さらにこの粒径に合致したステップで造形物が搭載されたエレベータを下降させることにより生成される造形物の面の凹凸が、パウダーの粒径程度に粗くなるという問題を持っている。この問題点を解決するために、単純にエレベータの下降ステップを細かくした場合には、溶融表面が基準レベルより高い位置になり、次の工程であるパウダー供給とレイキ動作ができなくなるという問題が発生する。
【0010】
第2の問題点は、第1の工程で金属パウダーを電子ビームで溶融した後、第2の工程として第1の工程と同じ位置に電子ビームを照射し溶融表面を平滑化して問題を解決しようとして電子ビームを同じ焦点位置で照射した場合には、電子ビームの集束スポット径が大きくなり、その位置での電子ビームの集束密度が低下し金属表面を適温にできないという問題がある。
【0011】
第3の問題点は、造形物の精細度が金属パウダーの粒径の数倍を限界としていることである。金属パウダーの粒径が微小になればなる程粉塵爆発の危険性が増すことはよく知られている。そのため、電子ビーム造形装置では微小金属パウダーの使用を禁じ粉塵爆発の危険性の低い粒径の金属パウダーを使用している。このため、造形物の精細度が数百ミクロンとなり、微細な部品の製作には適しないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能な電子ビーム造形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するため、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
【0014】
まず本発明に係る電子ビーム造形装置は、
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバ(7)と、該真空チャンバ内に照射する電子ビーム(6)を発生するための電子ビーム発生部(フィラメント1,グリッドカップ2,アノード3)と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイル(4)と、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイル(5)と、造形物を造形するための金属パウダー(11)を貯留するパウダーコンテナ(9)と、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイト(15)と、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキ(10)と、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータ(8)と、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点(61)から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと(以上、図3)、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと(図4)、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと(図6)、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体(14)の層を積み重ねて前記造形物を造形することを前提とする(図5)。
【0015】
そして請求項1に係る電子ビーム造形装置は、
前記造形処理が、前記溶融ステップの後に、前記溶融体(14)の上面が前記集束点(61)に位置するように、前記エレベータにて前記ベースプレイトを(H1だけ)上昇させる上昇ステップと(図8)、前記層別二次元データに基づいて、該ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビーム(6)を走査して該溶融体を溶融する(再溶融体141とする)再溶融ステップと(図8〜図9)、をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また請求項2に係る電子ビーム造形装置は、
前記造形処理が、前記溶融ステップの後に、前記集束点(61)が前記溶融体(141)の上面に位置するように(即ち集束点61がテーブル12の面からH1だけ下方に位置するように)前記電子ビーム(6)を調整する調整ステップと、前記層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上の溶融体に前記調整された電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと(以上、図10)、をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
さらに請求項3に係る電子ビーム造形装置は、請求項2に記載した電子ビーム造形装置であって、
前記溶融ステップの後に、前記ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、前記電子ビームの集束径が最適になるように観測する観測ステップを行い(図11:スポットサイズと輝度を観測する)、該観測結果に基づいて前記調整ステップを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る電子ビーム造形装置によれば、溶融ステップ(一次溶融)の後に、溶融体の上面が集束点に位置するように、エレベータにてベースプレイトを上昇させて、該ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、電子ビームの集束点を調整することなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【0019】
また請求項2に係る電子ビーム造形装置によれば、溶融ステップ(一次溶融)の後に、集束点が溶融体の上面に位置するように電子ビームを調整し、ベースプレイト上の溶融体に該調整された電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、エレベータでベースプレイトを上昇させることなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【0020】
さらに請求項3に係る電子ビーム造形装置によれば、一次溶融の後、二次溶融の前に、ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、電子ビームの集束径が最適になるように観測して(例えばスポットサイズと輝度を観測して)、該観測結果に基づいて、集束点が溶融体の上面に位置するように電子ビームを調整するので、電子ビームの最適な集束点を調整により求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は現在使われている電子ビーム造形装置の構成を示す図である。
【図2】図2はテーブル12とエレベータ8付近を拡大した模式図であって、予備加熱を説明する図である。
【図3】図3はパウダーコンテナ9からパウダー11を供給しレイキ10で均した状態を示す図である。
【図4】図4はベースプレイト15上のパウダー14への電子ビーム6の照射している状態を示す図である。
【図5】図5はベースプレイト15上にパウダーの溶融体14があり、その上に供給されたパウダー11がレイキ10で均された状態にあることを示す図である。
【図6】図6(a)はパウダー11上を電子ビーム6が走査している模式図であり、図6(b)はパウダー11が溶融され溶融体141になった状態を示す図である。
【図7】図7は再溶融する場合において電子ビーム6の集束点を変更しない場合の集束点61と溶融体14の位置関係を示す図である。
【図8】図8は図7の問題点を解消するための方策を示す図である。
【図9】図9は改善された平滑な表面を持つ再溶融体141とテーブル12の関係を示す図である。
【図10】図10は溶融体14を再溶融する際にエレベータを上昇させずに行う例を示す図である。
【図11】図11は電子ビームの集束点61を求めるための一つの例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は三次元CADデータをスライスしてきりだされた層別ニ次元データに沿って電子ビームで金属パウダーを溶融し、直接CADデータから三次元金属モデルを製作する電子ビーム造形装置の構造を示すものである。図1で、真空ポンプ(図示外)により真空にされた真空チャンバ7に設置された電子銃のフィラメント1に電流を流すとここから電子ビーム6が発生し、グリッドカップ2とアノード3で加速され前方(図では下方)に放射される。電子ビーム6は伝播とともに拡がりを持ちフォーカスコイル4に電流を流すことによって得られる電子レンズの働きで電子ビーム6は前方に集束する。次に、偏向コイル5に鋸歯状波的な電流を流して電子ビーム6を偏向させることにより、電子ビーム6を任意の位置への照射あるいは走査することができる。真空チャンバ7にはパウダーコンテナ9とエレベータ8を持つテーブル12と金属パウダー(以下、単に「パウダー」と称する。)11を均すレイキ10が設置されている。エレベータ8は定められた量で移動するようになっている。パウダーコンテナ9は一定量のパウダー11を供給しこれをレイキ10が加工面でのパウダー11が均一になるよう均す。その状態で電子ビーム6がフォーカスコイル4と偏向コイル5によりパウダー11面上に集束、走査され、パウダー11を溶融する。この状況は図2以降で詳細に述べる。
【0023】
ここで用いられるパウダー11は、例えば材質がチタンであり、粒径が40〜100μm(即ち平均粒径70μm)であるが、材質はチタン・アルミニウム・バナジウム合金、コバルト・クロム合金等でも良く、平均粒径は25〜80μmでも良い。
【0024】
図2はテーブル12とエレベータ8付近を拡大した模式図である。図でエレベータ8の上にベースプレイト15が載っており、このベースプレイト15上の全面に電子ビーム6を走査・照射により予備加熱してベースプレイト15の温度を上昇させる。
【0025】
図3では、図2のプロセスを実施後、エレベータ8を0.1mm降下させた後、図1のパウダーコンテナ9からパウダー11を供給しレイキ10で均した状態を示す。
【0026】
図4はベースプレイト15上のパウダー14への電子ビーム6の照射している状態を示している。電子ビーム6はその集束点61がパウダー14の上面にくるように調整されている。電子ビーム6は初めに全面亘って走査されパウダーを予備加熱した後、造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいき必要箇所を溶融する。
【0027】
図5は図3と図4を繰り返した後の状態を示しており、ベースプレイト15上には繰り返された回数に相当する溶融されたパウダーの溶融体14があり、その上に供給されたパウダー11がレイキ10で均された状態にあることを示している。
【0028】
図6(a)はパウダー11上を電子ビーム6が照射している模式図で、溶融体14上に溶融前のパウダー11がのっている。図6(b)はパウダー11が溶融され溶融体14になった状態を示している。金属が溶融し液状になるときパウダー11の隙間を埋めるため、溶融体14の嵩は低くなることを示している。
【0029】
通常のプロセスでは、図6(b)の状態でエレベータを一定量降下させた後、パウダーコンテナ9からパウダー11を供給、レイキ10による均しを得て、図5の状態に戻る。この繰り返しが従来のプロセスである。このプロセスでは溶融体14の表面の粗さはパウダー11の粒子の凹凸を完全には平滑にすることは困難である。
【0030】
本発明では、図6(a)(b)での通常プロセスの後に、溶融体14に電子ビームを照射、溶融し溶融体14の表面を平滑にしようとするものであるが、図7に示すようにテーブル12面から距離H1下にある溶融体14面に電子ビーム6を照射した場合には、電子ビーム6の集束点61は溶融体14の表面より距離がほぼH1高いところにあり溶融体14の表面の電子ビーム6の径62は集束径61より太くなるため、十分な溶融効果が得られないばかりか、却って表面の凹凸を大きくすることがある。
【0031】
図8は、上記の欠点を解消するための方策を示す図で、一回目の照射、溶融プロセスの後に、エレベータ8を距離H1上昇させ溶融体14の表面を電子ビーム6の集束点61に合わせた後、電子ビーム6の照射し、溶融体14を効果的に再溶融する。
【0032】
図9はこのようにして得られた改善された平滑な表面を持つ再溶融体141とテーブル12の関係を示している。
従来のパウダー供給の層の厚さをDとすると、従来の溶融体の各層の厚さdは次式で表わされる。 d=D−H1
これに対して、本発明によるプロセスによれば、各層の厚さは、d=D−(H1+H2)となり、より精細になっていることが分かる。これは3次元モデルの表面だけでなく側面もより滑らかになることを示している。
【0033】
図10に示すように、溶融体14を再溶融させるため、電子ビーム6の集束点61をテーブル12面より距離H1下に結ばせることも、本発明の効果を実現する方法として有効である。この場合、再溶融後の溶融体141の面とテーブル12面との距離dは次式で表わされる。即ち、 d=H1+H2
この方法として、H1長い集束長が得られるようフォーカスコイル4への電流供給を制御することにより可能である。
また、この場合には、次の層のためのエレーベータ8の下降量はH2分減じることが必要である。
【0034】
図11は、図10において電子ビームの集束点61を求めるための一つの例を示すグラフであって、電子ビーム6のスポットサイズと電子ビーム照射による溶融点の温度の関係を示している。熔融点の温度は市販されている赤外線サーモグラフィで観測される。ここで、電子ビーム6の照射による溶融点の相対輝度は、照射点をほぼ中心とした点対象を示す。スポットサイズは相対輝度が溶融点の最高輝度の2分の1になる等高線の直径と定義する。
【符号の説明】
【0035】
1…フィラメント
2…グリッドカップ
3…アノード
4…フォーカスコイル
5…偏向コイル
6…電子ビーム
7…真空チャンバ
8…エレベータ
9…パウダーコンテナ
10…レイキ
11…パウダー
12…テーブル
14…溶融体
15…プレート
61…(電子ビームの)集束点
62…(溶融体上での電子ビームの)スポットサイズ
141…再溶融体
H1…溶融体14とテーブル12面の高低差
H2…再溶融体141とテーブル12面の高低差
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元CADデータを一定の厚み(ピッチ)にスライスしたデータに基づき、金属パウダーに電子ビームを照射溶融し、これを繰り返すことにより該パウダーを溶融し所望の形状の整形物を造形する電子ビーム造形装置において、造形物の表面の凹凸を小さくできる電子ビーム造形技術に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形方法は、高分子を用いた部品を鋳型や切削加工を用いずに迅速に製作する方法として、開発されたラピッドプロトタイピングと呼ばれる成型手法で、歴史的には、紫外線あるいは可視光により硬化する樹脂を用い、紫外線レーザ、可視光レーザあるいは近赤外光フラッシュランプを用い、3次元CADデータを層別し各層毎に成型を繰り返し積層する方法である光造形法が端緒である。
【0003】
その後、光硬化樹脂に代わり、プラスチックをレーザで焼結する粉末積層法が開発された。この方法の応用として、鋳物砂や金属粉に樹脂をコーティングし溶融焼結することで、無機材料や金属製部品の製作も可能となったが、その機械的強度は金属加工で得られる物と比べて極めて弱く使用範囲が限られている。
【0004】
これを解決するために、レーザで金属を溶融させて三次元造形する金属造形法が開発された。これはレーザの利点を生かし大気中での成型が可能である反面、不純物(酸化物)の混入を避けられないという課題を有している。
【0005】
このような背景で開発されたのが、電子ビームを用いる三次元造形法であり、真空中での造形のため不純物の混入を防ぎ、レーザに比べてエネルギー効率の高さから積層金属の金属特性が鍛造製品の特性に近く、組成に酸化物も少なく、また高融点金属あるいは難溶接金属の造形も可能となった。
【0006】
非特許文献1は本特許が適用される電子ビーム造形装置の概要を述べたものであり、文中には、「本装置は3DCADにより設計されたデータに基づきチタン部品を製作します。真空チャンバ内で平均100ミクロン程度の厚さでチタンパウダーを撒きます。この後電子ビームが必要な箇所をスキャン照射します。電子ビームが照射されたチタンパウダーは溶解し薄いチタン層になります。この薄いチタン層を縦方向に積み重ねて造形します。電子ビームは焦点深度が深いため、チタン層間は完全に融合しています。」と記載されているが、溶融表面を平滑にする手段についてはなんら触れられていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】赤野恒夫、「チタンの新しい加工装置の紹介」、チタン、vol.56、No4(2008)、P49の左欄17行目から24行目。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように多くの三次元造形方法の中で優れている電子ビーム造形技術においても、なお、優位点を活かすための問題点解決の必要性がある。
【0009】
第1の問題点は、生成物の表面粗さが粒径と同程度であり、微小部品や平滑を要求するような用途には適していないことである。これは、電子ビーム造形装置で用いられる金属パウダーの粒径が大きく、さらにこの粒径に合致したステップで造形物が搭載されたエレベータを下降させることにより生成される造形物の面の凹凸が、パウダーの粒径程度に粗くなるという問題を持っている。この問題点を解決するために、単純にエレベータの下降ステップを細かくした場合には、溶融表面が基準レベルより高い位置になり、次の工程であるパウダー供給とレイキ動作ができなくなるという問題が発生する。
【0010】
第2の問題点は、第1の工程で金属パウダーを電子ビームで溶融した後、第2の工程として第1の工程と同じ位置に電子ビームを照射し溶融表面を平滑化して問題を解決しようとして電子ビームを同じ焦点位置で照射した場合には、電子ビームの集束スポット径が大きくなり、その位置での電子ビームの集束密度が低下し金属表面を適温にできないという問題がある。
【0011】
第3の問題点は、造形物の精細度が金属パウダーの粒径の数倍を限界としていることである。金属パウダーの粒径が微小になればなる程粉塵爆発の危険性が増すことはよく知られている。そのため、電子ビーム造形装置では微小金属パウダーの使用を禁じ粉塵爆発の危険性の低い粒径の金属パウダーを使用している。このため、造形物の精細度が数百ミクロンとなり、微細な部品の製作には適しないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能な電子ビーム造形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するため、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
【0014】
まず本発明に係る電子ビーム造形装置は、
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバ(7)と、該真空チャンバ内に照射する電子ビーム(6)を発生するための電子ビーム発生部(フィラメント1,グリッドカップ2,アノード3)と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイル(4)と、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイル(5)と、造形物を造形するための金属パウダー(11)を貯留するパウダーコンテナ(9)と、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイト(15)と、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキ(10)と、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータ(8)と、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点(61)から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと(以上、図3)、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと(図4)、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと(図6)、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体(14)の層を積み重ねて前記造形物を造形することを前提とする(図5)。
【0015】
そして請求項1に係る電子ビーム造形装置は、
前記造形処理が、前記溶融ステップの後に、前記溶融体(14)の上面が前記集束点(61)に位置するように、前記エレベータにて前記ベースプレイトを(H1だけ)上昇させる上昇ステップと(図8)、前記層別二次元データに基づいて、該ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビーム(6)を走査して該溶融体を溶融する(再溶融体141とする)再溶融ステップと(図8〜図9)、をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また請求項2に係る電子ビーム造形装置は、
前記造形処理が、前記溶融ステップの後に、前記集束点(61)が前記溶融体(141)の上面に位置するように(即ち集束点61がテーブル12の面からH1だけ下方に位置するように)前記電子ビーム(6)を調整する調整ステップと、前記層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上の溶融体に前記調整された電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと(以上、図10)、をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
さらに請求項3に係る電子ビーム造形装置は、請求項2に記載した電子ビーム造形装置であって、
前記溶融ステップの後に、前記ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、前記電子ビームの集束径が最適になるように観測する観測ステップを行い(図11:スポットサイズと輝度を観測する)、該観測結果に基づいて前記調整ステップを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る電子ビーム造形装置によれば、溶融ステップ(一次溶融)の後に、溶融体の上面が集束点に位置するように、エレベータにてベースプレイトを上昇させて、該ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、電子ビームの集束点を調整することなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【0019】
また請求項2に係る電子ビーム造形装置によれば、溶融ステップ(一次溶融)の後に、集束点が溶融体の上面に位置するように電子ビームを調整し、ベースプレイト上の溶融体に該調整された電子ビームを走査して該溶融体を再溶融(二次溶融)することにより、エレベータでベースプレイトを上昇させることなく、一次溶融と同一の集束径で電子ビームによる二次溶融を行うことができるので、粒径の大きい金属パウダーを用いても従来より平滑な表面をもった造形物を製作可能となる。
【0020】
さらに請求項3に係る電子ビーム造形装置によれば、一次溶融の後、二次溶融の前に、ベースプレイト上の溶融体に電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、電子ビームの集束径が最適になるように観測して(例えばスポットサイズと輝度を観測して)、該観測結果に基づいて、集束点が溶融体の上面に位置するように電子ビームを調整するので、電子ビームの最適な集束点を調整により求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は現在使われている電子ビーム造形装置の構成を示す図である。
【図2】図2はテーブル12とエレベータ8付近を拡大した模式図であって、予備加熱を説明する図である。
【図3】図3はパウダーコンテナ9からパウダー11を供給しレイキ10で均した状態を示す図である。
【図4】図4はベースプレイト15上のパウダー14への電子ビーム6の照射している状態を示す図である。
【図5】図5はベースプレイト15上にパウダーの溶融体14があり、その上に供給されたパウダー11がレイキ10で均された状態にあることを示す図である。
【図6】図6(a)はパウダー11上を電子ビーム6が走査している模式図であり、図6(b)はパウダー11が溶融され溶融体141になった状態を示す図である。
【図7】図7は再溶融する場合において電子ビーム6の集束点を変更しない場合の集束点61と溶融体14の位置関係を示す図である。
【図8】図8は図7の問題点を解消するための方策を示す図である。
【図9】図9は改善された平滑な表面を持つ再溶融体141とテーブル12の関係を示す図である。
【図10】図10は溶融体14を再溶融する際にエレベータを上昇させずに行う例を示す図である。
【図11】図11は電子ビームの集束点61を求めるための一つの例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は三次元CADデータをスライスしてきりだされた層別ニ次元データに沿って電子ビームで金属パウダーを溶融し、直接CADデータから三次元金属モデルを製作する電子ビーム造形装置の構造を示すものである。図1で、真空ポンプ(図示外)により真空にされた真空チャンバ7に設置された電子銃のフィラメント1に電流を流すとここから電子ビーム6が発生し、グリッドカップ2とアノード3で加速され前方(図では下方)に放射される。電子ビーム6は伝播とともに拡がりを持ちフォーカスコイル4に電流を流すことによって得られる電子レンズの働きで電子ビーム6は前方に集束する。次に、偏向コイル5に鋸歯状波的な電流を流して電子ビーム6を偏向させることにより、電子ビーム6を任意の位置への照射あるいは走査することができる。真空チャンバ7にはパウダーコンテナ9とエレベータ8を持つテーブル12と金属パウダー(以下、単に「パウダー」と称する。)11を均すレイキ10が設置されている。エレベータ8は定められた量で移動するようになっている。パウダーコンテナ9は一定量のパウダー11を供給しこれをレイキ10が加工面でのパウダー11が均一になるよう均す。その状態で電子ビーム6がフォーカスコイル4と偏向コイル5によりパウダー11面上に集束、走査され、パウダー11を溶融する。この状況は図2以降で詳細に述べる。
【0023】
ここで用いられるパウダー11は、例えば材質がチタンであり、粒径が40〜100μm(即ち平均粒径70μm)であるが、材質はチタン・アルミニウム・バナジウム合金、コバルト・クロム合金等でも良く、平均粒径は25〜80μmでも良い。
【0024】
図2はテーブル12とエレベータ8付近を拡大した模式図である。図でエレベータ8の上にベースプレイト15が載っており、このベースプレイト15上の全面に電子ビーム6を走査・照射により予備加熱してベースプレイト15の温度を上昇させる。
【0025】
図3では、図2のプロセスを実施後、エレベータ8を0.1mm降下させた後、図1のパウダーコンテナ9からパウダー11を供給しレイキ10で均した状態を示す。
【0026】
図4はベースプレイト15上のパウダー14への電子ビーム6の照射している状態を示している。電子ビーム6はその集束点61がパウダー14の上面にくるように調整されている。電子ビーム6は初めに全面亘って走査されパウダーを予備加熱した後、造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいき必要箇所を溶融する。
【0027】
図5は図3と図4を繰り返した後の状態を示しており、ベースプレイト15上には繰り返された回数に相当する溶融されたパウダーの溶融体14があり、その上に供給されたパウダー11がレイキ10で均された状態にあることを示している。
【0028】
図6(a)はパウダー11上を電子ビーム6が照射している模式図で、溶融体14上に溶融前のパウダー11がのっている。図6(b)はパウダー11が溶融され溶融体14になった状態を示している。金属が溶融し液状になるときパウダー11の隙間を埋めるため、溶融体14の嵩は低くなることを示している。
【0029】
通常のプロセスでは、図6(b)の状態でエレベータを一定量降下させた後、パウダーコンテナ9からパウダー11を供給、レイキ10による均しを得て、図5の状態に戻る。この繰り返しが従来のプロセスである。このプロセスでは溶融体14の表面の粗さはパウダー11の粒子の凹凸を完全には平滑にすることは困難である。
【0030】
本発明では、図6(a)(b)での通常プロセスの後に、溶融体14に電子ビームを照射、溶融し溶融体14の表面を平滑にしようとするものであるが、図7に示すようにテーブル12面から距離H1下にある溶融体14面に電子ビーム6を照射した場合には、電子ビーム6の集束点61は溶融体14の表面より距離がほぼH1高いところにあり溶融体14の表面の電子ビーム6の径62は集束径61より太くなるため、十分な溶融効果が得られないばかりか、却って表面の凹凸を大きくすることがある。
【0031】
図8は、上記の欠点を解消するための方策を示す図で、一回目の照射、溶融プロセスの後に、エレベータ8を距離H1上昇させ溶融体14の表面を電子ビーム6の集束点61に合わせた後、電子ビーム6の照射し、溶融体14を効果的に再溶融する。
【0032】
図9はこのようにして得られた改善された平滑な表面を持つ再溶融体141とテーブル12の関係を示している。
従来のパウダー供給の層の厚さをDとすると、従来の溶融体の各層の厚さdは次式で表わされる。 d=D−H1
これに対して、本発明によるプロセスによれば、各層の厚さは、d=D−(H1+H2)となり、より精細になっていることが分かる。これは3次元モデルの表面だけでなく側面もより滑らかになることを示している。
【0033】
図10に示すように、溶融体14を再溶融させるため、電子ビーム6の集束点61をテーブル12面より距離H1下に結ばせることも、本発明の効果を実現する方法として有効である。この場合、再溶融後の溶融体141の面とテーブル12面との距離dは次式で表わされる。即ち、 d=H1+H2
この方法として、H1長い集束長が得られるようフォーカスコイル4への電流供給を制御することにより可能である。
また、この場合には、次の層のためのエレーベータ8の下降量はH2分減じることが必要である。
【0034】
図11は、図10において電子ビームの集束点61を求めるための一つの例を示すグラフであって、電子ビーム6のスポットサイズと電子ビーム照射による溶融点の温度の関係を示している。熔融点の温度は市販されている赤外線サーモグラフィで観測される。ここで、電子ビーム6の照射による溶融点の相対輝度は、照射点をほぼ中心とした点対象を示す。スポットサイズは相対輝度が溶融点の最高輝度の2分の1になる等高線の直径と定義する。
【符号の説明】
【0035】
1…フィラメント
2…グリッドカップ
3…アノード
4…フォーカスコイル
5…偏向コイル
6…電子ビーム
7…真空チャンバ
8…エレベータ
9…パウダーコンテナ
10…レイキ
11…パウダー
12…テーブル
14…溶融体
15…プレート
61…(電子ビームの)集束点
62…(溶融体上での電子ビームの)スポットサイズ
141…再溶融体
H1…溶融体14とテーブル12面の高低差
H2…再溶融体141とテーブル12面の高低差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバと、該真空チャンバ内に照射する電子ビームを発生するための電子ビーム発生部と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイルと、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイルと、造形物を造形するための金属パウダーを貯留するパウダーコンテナと、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイトと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキと、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータと、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体の層を積み重ねて前記造形物を造形する電子ビーム造形装置であって、
前記造形処理は、前記溶融ステップの後に、前記溶融体の上面が前記集束点に位置するように、前記エレベータにて前記ベースプレイトを上昇させる上昇ステップと、前記層別二次元データに基づいて、該ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと、をさらに含むことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【請求項2】
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバと、該真空チャンバ内に照射する電子ビームを発生するための電子ビーム発生部と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイルと、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイルと、造形物を造形するための金属パウダーを貯留するパウダーコンテナと、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイトと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキと、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータと、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体の層を積み重ねて前記造形物を造形する電子ビーム造形装置であって、
前記造形処理は、前記溶融ステップの後に、前記集束点が前記溶融体の上面に位置するように前記電子ビームを調整する調整ステップと、前記層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上の溶融体に前記調整された電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと、をさらに含むことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【請求項3】
請求項2に記載した電子ビーム造形装置であって、
前記溶融ステップの後に、前記ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、前記電子ビームの集束径が最適になるように観測する観測ステップを行い、該観測結果に基づいて前記調整ステップを行うことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【請求項1】
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバと、該真空チャンバ内に照射する電子ビームを発生するための電子ビーム発生部と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイルと、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイルと、造形物を造形するための金属パウダーを貯留するパウダーコンテナと、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイトと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキと、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータと、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体の層を積み重ねて前記造形物を造形する電子ビーム造形装置であって、
前記造形処理は、前記溶融ステップの後に、前記溶融体の上面が前記集束点に位置するように、前記エレベータにて前記ベースプレイトを上昇させる上昇ステップと、前記層別二次元データに基づいて、該ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと、をさらに含むことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【請求項2】
真空ポンプにより内部が真空にされる真空チャンバと、該真空チャンバ内に照射する電子ビームを発生するための電子ビーム発生部と、該電子ビーム発生部にて発生された電子ビームを集束するためのフォーカスコイルと、該フォーカスコイルにて集束された電子ビームを偏向して任意の位置に走査するための偏向コイルと、造形物を造形するための金属パウダーを貯留するパウダーコンテナと、上面が前記真空チャンバ内に露出し該上面に前記パウダーコンテナから前記金属パウダーが供給されるベースプレイトと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを掻き均すためのレイキと、前記ベースプレイトを昇降させるためのエレベータと、を含み、
前記ベースプレイトの上面が前記電子ビームの集束点から前記金属パウダーの粒径だけ下方に位置するように、前記エレベータにて該ベースプレイトを下降させる下降ステップと、前記パウダーコンテナから前記ベースプレイト上に前記金属パウダーを供給する供給ステップと、該ベースプレイト上に供給された前記金属パウダーを前記レイキにて掻き均す掻き均しステップと、前記ベースプレイト上で掻き均された前記金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを予備加熱する予備加熱ステップと、前記造形物の三次元CADデータを所定の厚みにスライスした層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上で予備加熱された金属パウダーに前記電子ビームを走査して該金属パウダーを溶融する溶融ステップと、を繰り返す造形処理を行うことにより、前記ベースプレイト上で前記金属パウダーの溶融体の層を積み重ねて前記造形物を造形する電子ビーム造形装置であって、
前記造形処理は、前記溶融ステップの後に、前記集束点が前記溶融体の上面に位置するように前記電子ビームを調整する調整ステップと、前記層別二次元データに基づいて、前記ベースプレイト上の溶融体に前記調整された電子ビームを走査して該溶融体を溶融する再溶融ステップと、をさらに含むことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【請求項3】
請求項2に記載した電子ビーム造形装置であって、
前記溶融ステップの後に、前記ベースプレイト上の溶融体に前記電子ビームを走査して該溶融体を予備加熱し、当該予備加熱の際に、前記電子ビームの集束径が最適になるように観測する観測ステップを行い、該観測結果に基づいて前記調整ステップを行うことを特徴とする電子ビーム造形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−255057(P2010−255057A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107553(P2009−107553)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(503418715)株式会社エイチ・ティー・エル (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(503418715)株式会社エイチ・ティー・エル (5)
【Fターム(参考)】
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