説明

電子ペン・システム、コンピュータ装置、端末及びプログラム

【課題】電子ペンで記入されたストロークにより表わされる第1言語の文字列の適切な配置状態を維持したまま、翻訳した第2言語の文字列を表示させる。
【解決手段】コンピュータ装置3は、電子ペンから受信したストローク情報を第1言語の文字列の文字情報として認識し、認識された第1言語の文字列を表示する表示枠を、そのサイズ及び配置を認識し、認識された文字情報、並びに、認識された表示枠のサイズ及び配置を含む情報を端末4へ送信する。端末4は、コンピュータ装置3から送信されてくる情報を取得し、取得された情報のうち、文字情報により表わされる第1言語の文字列を、第2言語の文字列に翻訳し、第2言語への翻訳後の文字列を表示枠に対応する枠に、文字サイズを調整して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンにより描画されたストロークを適切に表示するための、電子ペン・システム、コンピュータ装置、端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像等の記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話等の端末装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような電子ペンやコンピュータ等で構成されるシステムを用いて、ドットパターンが印刷された書き込みボードに対して、電子ペンでストロークを記入する技術が、特許文献2に開示されている。
【0004】
また、サーバから送信されたデータに基づき各端末において文字を認識し、認識した文字を翻訳する技術が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3842283号公報
【特許文献2】特表2003−508831号公報
【特許文献3】特開平6−259600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ペン・システムにおいて、書き込みボードに記入されたストロークで表わされる第1言語の文字列を、コンピュータで翻訳して表示させたり、ストロークで描かれた絵等をコンピュータで描画させる場合に、本出願人は、次のような課題が生じることを見出した。
【0007】
図16は、その課題を説明する図である。
ユーザが、電子ペンで専用のドットパターンを形成した書き込みボード(図示せず)上に、ストローク画像301に対応する肺の絵を構成する第1ストローク群(図16参照)、図16に図示せぬ「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列を示す第2ストローク群、及び、図16に図示せぬ「肺」という日本語の文字列(1文字)を示す第3ストローク群の各々を、相互に重畳しないように記入したとする。
この場合、英語に翻訳するコンピュータ側では、翻訳した文字を何ら調整しなければ、図16に示すように、第1ストローク群に対応するストローク画像によって構成され、肺の絵を表わすストローク画像301に対して、第2及び第3ストローク群に対応する日本語の文字列を英語に翻訳した文字列である文字列302,303が重畳して表示されてしまうおそれがある。
ここで、「Notice a shadow of the lung cancer」という文字列302は、第2ストローク群により表わされる「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列を英語に翻訳したものである。「lung」という文字列303は、第3ストローク群により表わされる「肺」という日本語の文字列を英語に翻訳したものである。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電子ペンで記入された描画ストロークにより表わされる第1言語の文字列の適切な配置状態を維持したまま、翻訳した第2言語の文字列を表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子ペン・システムは、コンピュータ装置と端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信する電子ペン・システムであって、前記コンピュータ装置は、ストローク情報を第1言語の文字列の文字情報として認識する文字認識手段と、前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記第1言語の文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段とを備え、前記端末は、前記コンピュータ装置から送信され前記情報を取得する制御を実行する情報取得制御手段と、前記情報取得制御手段の制御により取得された前記情報のうち、前記文字情報により表わされる前記第1言語の文字列を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する表示枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コンピュータ装置の表示枠認識手段により認識された表示枠のサイズ及び配置に基づいて、端末において文字列を挿入することができる。このため、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストローク情報の文字列の配置と、ストローク情報を文字認識処理した結果の文字列を端末において表示した場合の配置とを同様にすることができる。そして、電子ペンで記入されたストロークにより表わされる第1言語の文字列を翻訳した場合であっても、適切な配置状態を維持したまま、翻訳語の第2言語の文字列を端末側で表示させることができる。
【0011】
上記電子ペン・システムにおいて、前記コンピュータ装置の前記送信制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に関する情報を前記端末へ送信し、前記端末の前記表示制御手段は、前記ストローク情報に関する情報に基づき、表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画するとよい。
この構成によれば、書き込み媒体への記入時に、記入されたストローク情報が文字認識手段によって文字認識できないストローク情報であっても、当該ストローク情報に基づくストロークと文字列とが重ならないように表示することができる。
【0012】
上記電子ペン・システムにおいて、前記端末の前記表示制御手段は、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する表示枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行するとよい。
第1言語を第2言語に翻訳した場合に、文字列が長くなり、表示枠サイズに収めるのが難しい場合もある。しかしながら、この構成により、表示制御手段により、表示枠のサイズ及び配置に基づいて、第2言語に翻訳された文字列が改行され、さらに文字サイズも調整されることで、調整された文字列が表示枠に挿入される。これにより、表示される文字列が不自然とならないように調整して文字を表示することができる。
【0013】
また、本発明に係るコンピュータ装置は、端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信するコンピュータ装置であって、電子ペンから受信したストローク情報を、文字列で構成される文字情報として認識する文字認識手段と、前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、コンピュータ装置の表示枠認識手段により認識された表示枠のサイズ及び配置に基づいて、端末において文字列を挿入することができる。このため、電子ペンで書き込み媒体に記入された文字列の位置の配置関係を維持したまま、端末において文字列を表示することができる。したがって、書き込み媒体への記入時に、記入された文字列が文字列を含む他のストロークと重ならないように表示させることができる。
【0015】
上記コンピュータ装置において、前記表示枠認識手段により認識された表示枠内に、翻訳手段による翻訳後の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段をさらに備えるとよい。
このように、表示枠に対し文字サイズが調整された文字列が表示枠内に表示される。これにより、表示される文字を適切な大きさに調整して文字列を表示することができる。
【0016】
上記コンピュータ装置において、前記表示制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に基づき、前記表示枠内に表示する文字列と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画するとよい。
この構成によれば、記入されたストローク情報が文字認識手段によって文字認識できないストローク情報であっても、当該ストローク情報に基づくストロークと文字列とが重ならないように端末において表示することができる。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信する制御を実行するコンピュータを、電子ペンから受信したストローク情報を、文字列で構成される文字情報として認識する文字認識手段と、前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段として機能させることを特徴とする。
この構成によれば、表示枠認識手段により認識された表示枠のサイズ及び配置に基づいて、端末において文字列を挿入することができる。このため、電子ペンで書き込み媒体に記入された文字列の位置の配置関係を維持したまま、端末において文字列を表示することができる。したがって、書き込み媒体への記入時に、記入された文字列が文字列を含む他のストロークと重ならないように端末において表示させることができる。
【0018】
上記プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記表示枠認識手段により認識された表示枠内に、翻訳手段による翻訳後の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段をさらに備えたものとしてさらに機能させてもよい。
このように、表示枠に対し文字サイズが調整された文字列が表示枠内に表示される。これにより、表示される文字を適切な大きさに調整して文字列を表示することができる。
【0019】
上記プログラムにおいて、前記表示制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に基づき、前記表示枠内に表示する文字列と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画するとよい。
この構成によれば、記入されたストローク情報が文字認識手段によって文字認識できないストローク情報であっても、当該ストローク情報に基づくストロークと文字列とが重ならないように端末において表示することができる。
【0020】
また、本発明に係る端末は、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を翻訳する端末であって、電子ペンで生成されたストローク情報が文字認識処理されることにより生成された第1言語の文字列を構成する文字情報を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、前記ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に翻訳後の文字列を挿入することができる。このため、電子ペンで書き込み媒体に記入された第1言語の文字列の配置状態を維持したまま、翻訳語の第2言語の文字列を端末側で表示させることができる。
【0021】
上記端末において、前記表示制御手段は、文字認識処理されなかったストローク情報に関する情報に基づき、文字認識処理されて表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画するとよい。
この構成によれば、記入されたストローク情報が文字認識処理されなかったストローク情報であっても、当該ストローク情報に基づくストロークと文字列とが重ならないように表示することができる。
【0022】
上記端末において、前記表示制御手段は、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行することができる。
第1言語を第2言語に翻訳した場合に、文字列が長くなり、表示枠サイズに収めるのが難しい場合であっても、この構成により、表示制御手段により、表示枠のサイズ及び配置に基づいて、翻訳後の文字列が改行され、さらに文字サイズも調整されることで、調整された文字列が表示枠に挿入される。これにより、表示される文字列が不自然とならないように調整して文字を表示することができる。
【0023】
また、本発明に係るプログラムは、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を翻訳するのに用いられる端末を、電子ペンで生成されたストローク情報が文字認識処理されることにより生成された第1言語の文字列を構成する文字情報を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、前記ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、して機能させることを特徴とする。
この構成によれば、ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に翻訳後の文字列を挿入することができる。このため、電子ペンで書き込み媒体に記入された第1言語の文字列の配置状態を維持したまま、翻訳語の第2言語の文字列を端末側で表示させることができる。
【0024】
上記プログラムにおいて、前記表示制御手段は、文字認識処理されなかったストローク情報に関する情報に基づき、文字認識処理されて表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画するとよい。
この構成によれば、記入されたストローク情報が文字認識処理されなかったストローク情報であっても、当該ストローク情報に基づくストロークと文字列とが重ならないように端末において表示することができる。
【0025】
上記プログラムにおいて、前記表示制御手段は、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行するとよい。
第1言語を第2言語に翻訳した場合に、文字列が長くなり、表示枠サイズに収めるのが難しい場合であっても、この構成により、表示制御手段により、表示枠のサイズ及び配置に基づいて、翻訳後の文字列が改行され、さらに文字サイズも調整されることで、調整された文字列が表示枠に挿入される。これにより、表示される文字列が不自然とならないように調整して文字を表示することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子ペンで記入された描画ストロークにより表わされる第1言語の文字列の適切な配置状態を維持したまま、翻訳した第2言語の文字列を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における電子ペン・システムのシステム構成図である。
【図2】本実施形態におけるホワイトボードの横断面を示す図である。
【図3】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図4】(A)は、ドットパターンを模式的に示し、(B)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図5】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図6】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
【図7】端末の機能ブロック図である。
【図8】コンピュータ装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】コンピュータ装置側の表示例を示す図である。
【図10】コンピュータ装置側の表示例を示す図である。
【図11】コンピュータ装置側の表示例を示す図である。
【図12】端末の処理フローを示すフローチャートである。
【図13】端末側の表示例を示す図である。
【図14】端末側の表示例を示す図である。
【図15】端末側の表示例を示す図である。
【図16】従来の端末におけるディスプレイの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
[電子ペン・システムの構成]
図1は、本実施形態に係る電子ペン・システムの構成を示す。本実施形態の電子ペン・システムは、1人の講師が、1人又は複数人の聴講者に講義をする教室等に設置されているものとする。図1に示すように、本実施形態に係る電子ペン・システム10は、電子ペン1と、ドットパターン(コード化パターン)が形成されたホワイトボード2(書き込み媒体)と、コンピュータ装置3と、各聴講者が1台ずつ使用する端末4−1〜4−nとを有する。
【0030】
講師は、ホワイトボード2に対して、電子ペン1でストロークを記入したり、電子イレイサー(図示せず)で当該ストロークを消去することによって講義を進める。なお本実施形態では、電子ペン1により記入される第1言語は日本語である。電子ペン1からの記入情報は、Bluetooth(登録商標)により、コンピュータ装置3に無線送信される。
【0031】
コンピュータ装置3は、パーソナルコンピュータ(Personal computer)等で構成されており、その表示画面の位置座標と、ホワイトボード2上の電子ペン1による記入領域の位置座標とが対応付けられている。
コンピュータ装置3は、電子ペン1からの記入情報を受信して、ホワイトボード2上に記入されたストロークのうち、文字として認識できるものについては文字認識処理により文字情報として認識し、それ以外のものについてはストロークとして認識する。
そして、コンピュータ装置3は、文字認識された文字、及び描画ストロークを、ホワイトボード2に記載された配置関係を維持したままディスプレイに表示させる。
また、コンピュータ装置3は、当該文字情報及び当該画像情報を、Wi-Fi(無線LANの標準規格IEEE802.11シリーズに準拠していることを示す、業界団体による証明マーク。本実施形態では、Wi-Fiマークが付された無線LAN機器間の無線通信方式を示すためにも用いる。)により、各端末4−1〜4−nに無線送信する。
【0032】
図1のホワイトボード2上には、講師が電子ペン1を用いて手書きでそれぞれ記入した、肺の絵を表わす第1ストローク群S1、「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列を示す第2ストローク群S2、及び、「肺」という日本語の文字列(1文字)を示す第3ストローク群S3の各々が、相互に重畳しないように記入されている。
コンピュータ装置3は、ホワイトボード2上に手書きで第1ストローク群S1が記入される際に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を受信する。そして、コンピュータ装置3は、当該記入情報から把握されるストロークによっては文字を認識することはできないと判断し、当該記入情報に基づいて、対応する表示画面の位置にストロークを描画する。
また、コンピュータ装置3は、ホワイトボード2上に手書きで第2ストローク群S2が記入される際に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を受信する。そして、コンピュータ装置3は、当該記入情報から把握されるストロークによって文字を認識することができると判断し、文字認識処理により、第2ストローク群S2により表わされる「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列J2を、文字情報として認識し、対応する表示画面の位置に文字情報を表示する。
同様に、コンピュータ装置3は、ホワイトボード2上に手書きで第3ストローク群S3が記入される際に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を受信する。そして、コンピュータ装置3は、当該記入情報から把握されるストロークによって文字を認識することができると判断し、文字認識処理により、第3ストローク群S3により表わされる「肺」という日本語の文字列J3を、文字情報として認識し、対応する表示画面の位置に文字情報を表示する。
これにより、コンピュータ装置3は、肺の描画ストロークP1、文字認識した結果の「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列J2及び「肺」という日本語の文字列J3を、ホワイトボード2に記載された配置関係を維持したまま表示手段35のディスプレイに表示することとなる。
また、コンピュータ装置3は、描画ストロークP1を示す画像情報、日本語の文字列J2を示す文字情報、及び日本語の文字列J3を示す文字情報を、それぞれの配置情報とともに、各端末4−1,4−2,4−3,・・・,4−nに送信する。
【0033】
各端末4−1〜4−nは、PDAやスマートフォン等で構成されており、各聴講者(ユーザ)に1台ずつ提供されている。なお、以下、端末4−1〜4−nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて単に「端末4」と呼ぶ。
端末4は、コンピュータ装置3から送信される画像情報又は第1言語の文字情報を受信して記憶させるとともに、当該画像情報に対応するストローク等を表示させたり、当該文字情報に対応する文字列(原文)(以下、「認識文字列」ともいう)を、予め設定された第2言語(以下、「設定言語」という)に翻訳し、設定言語に翻訳された文字列(訳文)(以下、「翻訳文字列」ともいう)をディスプレイに表示させる。
【0034】
端末4−1は、例えば肺の描画ストロークP1に対応する画像情報を受信すると、当該描画ストロークP1を表示手段45のディスプレイに表示させる。
端末4−1には、設定言語として英語が設定されている。そこで、端末4−1は、例えば「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列J2を示す文字情報をコンピュータ装置3から受信すると、この日本語の文字列J2を、「Notice a shadow of lung cancer」という英語の文字列E2に翻訳する。そして、端末4−1は、図1に示すように、英語の文字列E2を表示手段45のディスプレイに表示させる。
ここで、英語の文字列E2は、日本語の文字列J2に対して文字数が多くなっているため、仮に、文字列J2と同一のフォントサイズで、文字列J2と同様に1行で表示された場合には、肺の描画ストロークP1と重畳してしまい適切に表示されない。そこで、本実施形態では、端末4−1は、日本語の文字列J2が配置される範囲と同一範囲内に収まるように、文字列J2に対応する配置情報を参照して、文字列E2のフォントサイズを調整したり、文字列E2を改行したりしたうえで、当該同一範囲内に当該文字列E2を表示させる。これにより、第1言語を第2言語に翻訳した場合に、文字列が長くなり、表示枠サイズに収めるのが難しい場合であっても、翻訳後の文字列が改行され、さらに文字サイズも調整されることで、ホワイトボード2上の配置関係を維持したまま、文字列E2が適切に表示される。
また例えば、端末4−1は、「肺」という日本語の文字列J3を示す文字情報をコンピュータ装置3から受信すると、この日本語の文字列J3を、「lung」という英語の文字列E3に翻訳する。そして、端末4−1は、図1に示すように、英語の文字列E3を表示手段45のディスプレイに表示させる。
ここで、英語の文字列E3は、日本語の文字列J3に対して文字数が多くなっているため、仮に、文字列J3と同一のフォントサイズで表示された場合には、肺の描画ストロークP1と重畳してしまい適切に表示されない。そこで、本実施形態では、端末4−1は、日本語の文字列J3が配置される範囲と同一範囲内に収まるように、文字列J3に対応する配置情報を参照して、文字列E3のフォントサイズを調整したうえで、当該同一範囲内に当該文字列E3を表示させる。これにより、ホワイトボード2上の配置関係を維持したまま、文字列E3が適切に表示される。
【0035】
端末4−2は、基本的には端末4−1と同様の処理を行う。但し、端末4−2では、設定言語としてドイツ語が設定されている。したがって、端末4−2は、日本語の文字列J2,J3を示す文字情報をコンピュータ装置3から受信すると、この日本語の文字列J2,J3をそれぞれ「Pass auf einen Schattan des Lungenkrebses auf」,「Lunge」というドイツ語に翻訳する。そして、端末4−2は、図1に示すように、ドイツ語に翻訳した翻訳文字列を表示手段45のディスプレイに表示させる。
【0036】
端末4−3は、基本的には端末4−1と同様の処理を行う。但し、端末4−3では、設定言語として日本語が設定されている。設定言語(第2言語)が第1言語である日本語と同一のため、端末4−3は、日本語の文字列J2,J3を示す文字情報をコンピュータ装置3から受信しても翻訳しない。そして、端末4−3は、図1に示すように、受信した文字情報による日本語の文字列を表示手段45のディスプレイに表示させる。即ち、端末4−3は、コンピュータ装置3のディスプレイに表示されている各文字列J2,J3及び描画ストロークP1と同じ文字列及び描画ストロークを表示手段45のディスプレイに表示させる。
【0037】
図2は、このような電子ペン・システムのうち、ホワイトボード2の横断面を示す図である。図2に示すように、アノト方式のドットパターン(コード化パターン)を構成する各ドット21は、白色のホワイトボード基板22の全面に重畳して印刷されている。ここで、各ドット21は、電子ペン1で読み取ることができるように、赤外線を吸収するカーボンを含有するインクで印刷されている。各ドット21によるドットパターンが重畳して印刷されているホワイトボード基板22の上には、EB(Electron Beam:電子線)硬化樹脂により形成されたEB硬化樹脂保護層23が積層されている。EB硬化樹脂保護層23は、ホワイトボード基板22上に印刷された各ドット21を電子ペン1や電子イレイサーによる摩擦から保護し、ホワイトボード2の経年使用による劣化を防止する。
【0038】
[ドットパターン]
続いて、ホワイトボード2に形成されるアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。図3は、ホワイトボード2に印刷されるドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。即ち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ホワイトボード2上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0039】
図4(A)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(A)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、ホワイトボード2上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがホワイトボード2上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(B)は、図4(A)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応付けられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0040】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、マーカーペン104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。マーカーペン104の先端は、インクを備えるペン先部103となっており、講師(ユーザ)は、電子ペン1のペン先部103をホワイトボード2上に当接させて、文字等のストロークを記入したり、タップ(ペン先部103によるホワイトボード2への軽叩)したりする。ここで、電子ペン1のペン先部103がホワイトボード2に最初に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。また、電子ペン1をペンダウンすることでペン先部103からホワイトボード2上に流出するインクにより、ストロークと略同一軌道の軌跡がホワイトボード2上に表示される。
【0041】
バッテリー112は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりホワイトボード2に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からマーカーペン104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0042】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1でホワイトボード2に文字等を書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述するペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1をホワイトボード2から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。
【0043】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、ホワイトボード2上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103がホワイトボード2に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、ドットのインク素材は、赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図4(A)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0044】
プロセッサ108は、講師(ユーザ)の記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)のホワイトボード2上におけるX,Y座標(単に「位置座標」、「座標情報」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。即ち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図4(A)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(B)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、X,Y座標データを演算する際に、回転補正処理機能により補正を行う。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ)、筆圧データ及びX,Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、ホワイトボード2における6×6のドットパターンは、ホワイトボード2内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がホワイトボード2のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0045】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、座標属性情報(時刻情報と、筆圧データと、X、Y座標データ)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置3への送信は、Bluetooth(登録商標)等の無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置3に送信された1個又は複数個の記入情報(座標属性情報)は、コンピュータ装置3によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX,Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置3は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザによる1つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、筆圧をマーカーペン104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0046】
[コンピュータ装置の構成]
次に、コンピュータ装置3の構成について説明する。コンピュータ装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1や端末4とのデータ通信が可能なアンテナ等を含む通信部、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ等の出力部、マウスやキーボード等の入力部を含むパーソナルコンピュータ等で構成される。
【0047】
図6は、コンピュータ装置3の機能ブロック図である。コンピュータ装置3は、機能的には、入力手段31、受信手段32、記憶手段33、処理手段34、表示手段35及び送信手段36を備える。そして、コンピュータ装置3は、電子ペン1から受信した記入情報に基づいて所定の処理を行う。
【0048】
入力手段31は、マウスやキーボード等により構成され、ユーザの操作に応じた各種情報を入力して、処理手段34に供給する。
受信手段32は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1からの記入情報を受信すると、処理手段34に伝送する。
表示手段35は、ディスプレイ(表示画面)等によって構成され、処理手段34によって指示された内容を画像として表示する。
送信手段36は、画像情報や認識された文字情報等の処理手段34によって指示された情報を各端末4に送信する。なお、端末4へのデータ送信方式は、有線であっても無線であってもよいが、本実施形態ではWi-Fiによる無線通信方式が採用されている。
【0049】
記憶手段33は、ハードディスクやROM、RAMといったメモリによって構成される。記憶手段33は、処理手段34の処理命令により、ホワイトボード2におけるドットパターン上の位置座標を表示画面上の位置座標に変換する座標変換関数を記憶したり、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶したり、認識された文字情報を記憶したりする。また、記憶手段33は、本電子ペン・システム10で使用するプログラムや辞書データベース、ホワイトボード2に形成されたドットパターンの位置座標に関する座標定義情報等を予め記憶している。
【0050】
処理手段34は、主に、記入情報取得制御手段341、文字認識手段342、表示枠認識手段343、表示制御手段344、及び、送信制御手段345により構成される。処理手段34は、ユーザの電子ペン1による入力に応じて、記入情報からストロークを特定していき、ストロークを文字認識した文字列又はストローク画像として表示手段35に表示させたり、同様の画面を各端末4の表示面に表示させたりするために必要となる、各種の処理を実行する。
【0051】
記入情報取得制御手段341は、受信制御手段3411及び座標変換手段3412により構成される。
受信制御手段3411は、電子ペン1から逐次送信される記入情報を受信手段32を制御して受信し、受信した記入情報(以降、「受信記入情報」とも呼ぶ)を記憶手段33に記憶させる。また、受信制御手段3411は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成するストローク情報(座標属性情報の集合)を認識すると、座標変換手段3412に通知する。
次に、座標変換手段3412は、記憶手段33に記憶されている座標変換関数を用いて、受信記入情報に含まれるホワイトボード2上の位置座標(X,Y座標)を、コンピュータ装置3の表示画面上の位置座標に変換する。そして、座標変換手段3412は、受信記入情報の位置座標を変換後の位置座標に置換した記入情報(以降、「変換記入情報」とも呼ぶ)を記憶手段33に記憶する。また、座標変換手段3412は、受信制御手段3411によって通知されたストローク情報に対応する座標変換後のストローク情報(以降、「変換ストローク情報」とも呼ぶ)を、文字認識手段342に供給する。
【0052】
文字認識手段342は、座標変換手段3412により供給された変換ストローク情報に基づいて、逐次、ストロークを認識しつつ、記憶手段33に記憶された辞書データベースを参照して、認識した1以上のストロークにより文字認識可能か否かを判別し、文字認識可能な場合は、文字認識処理により、そのストロークにより表わされる文字列を文字情報として認識する。なお、文字認識手段342は、変換ストローク情報に含まれる位置座標や時刻情報に基づき、1以上のストロークが1文字を構成することや、複数の文字が一連の文字列(ひと塊の文字列)を構成することを認識する。
そして、文字認識手段342は、認識した文字情報(以降、「認識文字情報」とも呼ぶ)及び対応する変換ストローク情報を、表示枠認識手段343に供給する。
一方、文字認識手段342は、変換ストローク情報から文字を認識できない場合には、当該文字認識できない変換ストローク情報を、表示制御手段344に供給する。
【0053】
表示枠認識手段343は、文字認識手段342により供給された変換ストローク情報から、表示画面上でのストローク及びその配置を認識して、当該ストロークが包含される領域、即ち、認識文字情報に対応する文字列(以降、「認識文字列」とも呼ぶ)が表示される表示画面上の領域を、表示枠として認識する。具体的には、表示枠認識手段343は、対象とするストロークが包含される矩形の領域(表示枠)のサイズ及びディスプレイ(表示画面)上の位置を表示枠として認識する。このとき、表示枠認識手段343は、描画ストロークが表示枠内の上下左右に所定の余白を空けて収まるように、表示枠を認識する。表示枠認識手段343は、認識した表示枠のサイズ及び位置を示す座標情報(以降、「表示枠情報」とも呼ぶ)を、対応する認識文字情報とともに、表示制御手段344に供給する。
【0054】
表示制御手段344は、認識文字情報及び表示枠情報に基づいて、又は、文字認識されなかったストロークの変換ストローク情報に基づいて、電子ペン1によりストロークが記入されたホワイトボード2上の内容を示す画像を描画する。そして、表示制御手段344は、描画した画像を表示するように表示手段35を制御する。ストロークが文字認識された場合には、即ち、表示枠認識手段343から認識文字情報及び表示枠情報が供給された場合には、表示制御手段344は、認識文字情報に対応する文字列が表示枠情報より特定される表示枠に収まるように、文字フォントのサイズを調整したうえで、表示手段35に表示させる画像を描画する。一方、ストロークが文字認識されなかった場合には、即ち、文字認識手段342から変換ストローク情報が供給された場合には、表示制御手段344は、当該文字認識されなかったストロークがストローク画像として再現されるように、変換ストローク情報に基づいて表示手段35に表示させる画像を描画する。
表示制御手段344は、このような制御を実現すべく、主に、文字サイズ調整手段3441及び描画手段3442により構成される。
【0055】
ストロークが文字認識された場合には、文字サイズ調整手段3441は、表示枠認識手段343より供給された認識文字情報により表わされる文字列が、対応する表示枠内に収まるように、文字フォントのサイズを調整して、描画手段3442に通知する。
【0056】
描画手段3442は、文字サイズ調整手段3441により通知されたフォントサイズと、表示枠認識手段343より供給された情報とに基づき、表示画面上の表示枠が該当する位置に、認識文字情報に対応する文字列が表示されるように、画像を描画する。そして、描画手段3442は、描画した画像を、表示手段35に表示させる。
【0057】
一方、ストロークが文字認識されなかった場合には、描画手段3442は、文字認識手段342より供給された変換ストローク情報に基づき、ストローク画像が表示画面上の該当する位置に表示されるように画像を描画する。そして、描画手段3442は、描画した画像を表示手段35に表示させる。
【0058】
送信制御手段345は、表示制御手段344を監視して、表示手段35に表示される画像と同様の画像を各端末4がその表示面に表示できるように、表示手段35の画面更新のタイミングに合わせて、送信情報を生成する。そして、送信制御手段345は、生成した送信情報を各端末4に送信するように送信手段36を制御する。ストロークが文字認識された場合には、送信制御手段345は、当該認識文字情報及び対応する表示枠情報を含むように送信情報を生成する。一方、ストロークが文字認識されなかった場合には、送信制御手段345は、当該ストロークのストローク画像の情報(画像情報及び配置情報)を含むように送信情報を生成する。
【0059】
[端末の構成]
次に、端末4について説明する。端末4は、ハードウェアとして、コンピュータ装置3とのデータ通信が可能な通信部やアンテナ部、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、タッチパネル等の入・出力部を含むスマートフォン等で構成される。これらのハードウェア構成の詳細については、図16を参照して後述する。
【0060】
図7は、端末4の機能ブロック図である。端末4は、機能的には、入力手段41、受信手段42、記憶手段43、処理手段44、及び表示手段45を備える。そして、端末4は、コンピュータ装置3から受信した送信情報を用いて、各種の処理を行う。
【0061】
入力手段41は、タッチパネル等により構成され、タッチパネル(表示面)にユーザが指を接触させる操作に伴い、タッチパネル上の位置情報を検出し、処理手段44に供給する。
受信手段42は、アンテナ受信回路等により構成され、コンピュータ装置3からの送信情報を受信すると、処理手段44に伝送する。なお、コンピュータ装置3とのデータ通信方式は、有線であっても無線であってもよいが、上述したように本実施形態ではWi-Fiによる無線通信方式が採用されている。
表示手段45は、タッチパネル等によって構成され、処理手段44によって指示された内容を画像として表示する。
【0062】
記憶手段43は、ハードディスクやROM、RAMといったメモリによって構成される。記憶手段43は、処理手段44の処理命令により、コンピュータ装置3から受信した送信情報を記憶する。また、記憶手段43は、後述の翻訳手段443が翻訳処理を実行するために必要な翻訳辞書を含む翻訳エンジン等を予め記憶している。
【0063】
処理手段44は、主に、情報取得制御手段441、翻訳言語設定手段442、翻訳手段443、及び表示制御手段444、により構成される。
処理手段44は、コンピュータ装置3から受信した情報に基づいて、その表示画面に翻訳文字列又はストローク画像を表示させるための各種の処理を実行する。
【0064】
情報取得制御手段441は、受信制御手段4411及び情報種別判定手段4412により構成される。
受信制御手段4411は、コンピュータ装置3から逐次送信されてくる情報を、受信手段42を制御して受信し、受信した情報を記憶手段43に記憶させる。
次に、情報種別判定手段4412は、情報の種別として、文字情報が含まれる種類であるのか、それとも、画像情報が含まれる種類であるのかを判定する。情報種別判定手段4412は、受信した情報に文字情報が含まれると判定した場合、その情報を翻訳手段443に供給する。一方、情報種別判定手段4412は、受信した情報に画像情報が含まれると判定した場合、その情報を表示制御手段444に供給する。
【0065】
翻訳言語設定手段442は、受信した情報に含まれる文字情報を後述の翻訳手段443によってどの言語に翻訳するのかを、設定言語として予め設定する。具体的には、翻訳開始前に、端末4を使用するユーザ(聴講者)が、入力手段41を操作して、所望の言語(例えば、ユーザの母国語)を指示する。翻訳言語設定手段442は、このユーザからの指示を入力手段41を介して認識し、当該指示にしたがって設定言語を設定する。そして、翻訳言語設定手段442は、設定した設定言語の情報を記憶手段43に記憶する。
【0066】
翻訳手段443は、情報種別判定手段4412により受信した情報が文字情報を含む種類であると判定された場合に機能する。翻訳手段443は、受信した情報に含まれる文字情報を設定言語に翻訳し、その結果得られる設定言語の翻訳文字情報及び当該情報に含まれる表示枠情報を表示制御手段444へ供給する。
文字情報の翻訳は、翻訳言語設定手段442により予め設定された設定言語に基づいて行われる。
なお、翻訳手段443は、受信した情報に含まれる文字情報の言語が設定言語と一致する場合には、翻訳処理の実行を禁止して、情報に含まれる文字情報を翻訳文字情報と見なしてそのまま表示制御手段444に供給する。これにより、端末4における翻訳処理の負担を軽減することができる。
【0067】
表示制御手段444は、翻訳文字情報及び表示枠情報に基づいて、又はストローク画像の情報に基づいて、電子ペン1によりストロークが記入されたホワイトボード2上の内容に対応する、設定言語に翻訳された内容を示す画像を描画する。そして、表示制御手段444は、描画した画像を表示するように表示手段45を制御する。表示制御手段444は、このような制御を実現すべく、主に、文字サイズ・改行調整手段4441及び描画手段4442により構成される。
【0068】
受信した情報に文字情報が含まれている場合には、文字サイズ・改行調整手段4441は、翻訳手段443により供給された翻訳文字情報により表わされる翻訳文字列が対応する表示枠内に収まるように、文字フォントのサイズや改行位置を調整して、描画手段4442に通知する。
【0069】
描画手段4442は、文字サイズ・改行調整手段4441により通知されたフォントサイズ及び改行位置と、対応する表示枠情報とに基づき、タッチパネル(表示面)上の表示枠が該当する位置に、翻訳文字情報に対応する翻訳文字列が表示されるように画像を描画する。そして、描画手段4442は、描画した画像を、表示手段45に表示させる。
【0070】
一方、受信情報に画像情報が含まれている場合には、描画手段4442は、情報種別判定手段4412から供給された情報に基づき、その情報に含まれる画像情報により表わされるストローク画像が、タッチパネル(表示面)上の該当する位置に表示されるように画像を描画する。そして、描画手段4442は、描画した画像を表示手段45に表示させる。
【0071】
[コンピュータ装置の処理フロー]
次に、図8を参照して電子ペン1を用いた電子ペン・システム10によるコンピュータ装置3の処理フローについて説明する。
【0072】
初めに、電子ペン1からホワイトボード2に記入されたストロークに関する記入情報が送信されると、コンピュータ装置3では、記入情報取得制御手段341が受信手段32を制御して記入情報を受信し、記憶手段33に記憶させる(S101)。
具体的には、ユーザ(講師)が、ホワイトボード2に対し電子ペン1で文字等を記入すると、電子ペン1は、記入情報を生成し、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ逐次送信する。
そして、記入情報取得制御手段341の受信制御手段3411は、逐次送信されてくる記入情報を受信手段32を制御し受信して記憶手段33に記憶させる。
【0073】
次に、座標変換手段3412は、受信した記入情報に含まれるホワイトボード2上の位置座標(X,Y座標)を、コンピュータ装置3の表示画面上の位置座標に変換する。そして、座標変換手段3412は、受信記入情報の位置座標を変換後の位置座標に置換した記入情報(変換記入情報)を記憶手段33に記憶する。そして、受信制御手段3411がペンダウン情報及びペンアップ情報によって1つのストローク情報を認識すると、座標変換手段3412は、当該ストローク情報に対応する変換ストローク情報を、文字認識手段342に供給する(ステップS102)。
【0074】
次に、処理手段34の文字認識手段342は、変換ストローク情報(コンピュータ装置3の表示画面上の位置座標に座標変換された座標属性情報の集合体)を、文字認識が可能か否かを判定する(ステップS103)。
具体的には、文字認識手段342は、座標変換手段3412から逐次供給される変換ストローク情報に基づいてストロークを認識しつつ、辞書データベースを参照して、特定した1以上のストロークにより表わされる文字列を文字情報として認識する。そして、文字認識手段342は、文字認識処理により認識した文字情報及び対応する変換ストローク情報を、表示枠認識手段343に供給する(ステップS103:YES)。
一方、文字認識手段342は、文字認識できなかった場合、当該文字認識できない変換ストローク情報を、表示制御手段344に供給する(ステップS103:NO)。
【0075】
表示枠認識手段343は、文字認識手段342により供給された変換ストローク情報から、ストロークとその表示画面上での配置を特定して、当該ストロークが、上下左右に所定の余白を空けて包含される表示画面上の領域を表示枠として認識する(ステップS104)。そして、表示枠認識手段343は、認識した表示枠のサイズ及び位置を示す表示枠情報を、対応する認識文字情報とともに、表示制御手段344に供給する。
【0076】
表示制御手段344の文字サイズ調整手段3441は、表示枠認識手段343により供給された情報に基づき、認識文字情報により表わされる認識文字列が、表示枠内に収まるように、その文字サイズ(フォントサイズ)を調整して、描画手段3442に通知する(ステップS105)。
【0077】
描画手段3442は、ステップS105の処理で調整された文字サイズと、表示枠認識手段343により供給された情報とに基づき、表示画面上の表示枠が該当する位置に、認識文字列が表示されるように、画像を描画する。そして、描画手段3442は、描画した画像を、表示手段35に表示させる(ステップS106)。これによって、電子ペン1によって記入された手書きの文字列に対応する認識文字列が、ホワイトボード2上の手書き文字列の記入位置(座標)に対応するディスプレイ(表示画面)上の表示位置に適切に表示される。
また、描画手段3442は、ステップS103で文字認識されなかった変換ストローク情報に基づき、ストローク画像が表示画面上の該当する位置に表示されるように画像を描画する。そして、描画手段3442は、描画した画像を表示手段35に表示させる(ステップS106)。これによって、電子ペン1によって記入されたストロークが文字認識でされなかった場合には、ホワイトボード2上の手書きストロークの記入位置(座標)に対応するディスプレイ(表示画面)上の表示位置に、手書きされたストロークのストローク画像が表示される。
【0078】
送信制御手段345は、表示制御手段344を監視しており、ステップS106の処理で画面表示が更新されるタイミングに合わせて、表示手段35に表示される画像と同様の画像を各端末4がその表示面に表示できるように、送信情報を生成する。そして、送信制御手段345は、生成した送信情報を送信手段36から各端末4に送信する(ステップS107)。
コンピュータ装置3は、上記の処理を繰り返して、受信した全ての記入情報についてステップS107の処理を実行すると、処理を終了する。
【0079】
このようにして、受信した記入情報(座標属性情報を含む)から認識したストローク情報(1つのストロークを構成する座標属性情報の集合)に対応する変換ストローク情報が文字認識可能な場合(ステップS103:YES)、ステップS104〜S107の処理により、認識文字情報に対応する認識文字列が、文字列のストロークが記入されたホワイトボード2上の位置に対応する表示画面上の位置(表示枠)に表示されるとともに、当該認識文字情報及び表示枠情報を含む送信情報が生成されて、当該送信情報が各端末4に送信される。
【0080】
これに対して、変換ストローク情報が文字認識不可能な場合(ステップS103:NO)、ステップS106、S107の処理により、変換ストローク情報に基づくストローク画像が、ストロークが記入されたホワイトボード2上の位置に対応する表示画面上の位置に表示されるとともに、当該ストローク画像の画像情報及び配置情報を含む送信情報が生成されて、当該送信情報が各端末4に送信される。
【0081】
ここで、図9乃至図11を参照して、図8のコンピュータ装置3の処理中における、表示手段35の表示例を説明する。なお、表示枠を示す矩形状の破線は、説明の便宜上図示するもので、実際には表示されない。
【0082】
図9は、講師が電子ペン1で「肺」という日本語の文字列(1文字)をホワイトボード2上に記入する場合における、コンピュータ装置3側のディスプレイ(表示手段35)の表示例を示している。
図9(A)に示すように、講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で「肺」という日本語の文字列(1文字)を構成する9つの第3ストローク群S3を記入すると、電子ペン1は、生成した記入情報がコンピュータ装置3へ逐次送信する。
コンピュータ装置3は、電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を記入情報取得制御手段341により受信して座標変換し(図8のステップS102)、文字認識手段342によって、それらの変換記入情報に含まれる座標属性情報の集合体(変換ストローク情報)を文字認識処理にかける。そして、コンピュータ装置3は、文字認識手段342によって、9つの第3ストローク群S3に対応する9つの変換ストローク情報から「肺」という文字に該当する文字情報を認識すると(図8のステップS103:YES)、図9(B)上段に示すように、表示枠認識手段343によって、当該「肺」という認識文字列が表示される表示画面上の位置である表示枠121のサイズと位置を認識する(同ステップS104)。そして、図9(B)下段に示すように、表示制御手段344によって、「肺」という認識文字列を所定のフォントの文字列J3として、ディスプレイ上の表示枠121の位置に表示するように、文字サイズを調整して(同ステップS105)、文字画像を描画し、文字画像を表示手段35に表示する(同ステップS106)。
そして、送信制御手段345は、当該認識文字情報及び表示枠情報を含むように送信情報を生成しその情報を端末4へ送信する(同ステップS107)。
【0083】
また、図10は、講師が一連の文字列(複数文字)を電子ペン1でホワイトボード2上に記入する場合における、コンピュータ装置3側のディスプレイの表示例を示している。文字列が複数文字の場合も、文字列が1文字の場合と同様の処理が行われる。
図10(A)に示すように、講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列(複数文字)を示す第2ストローク群S2を記入すると、電子ペン1は、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ逐次送信する。
コンピュータ装置3は、文字認識手段342によって、複数の変換ストローク情報から逐次「肺」「が」「ん」・・・という文字に該当する文字情報を認識する(図8のステップS103:YES)。ここで、コンピュータ装置3は、「肺」の認識文字情報を認識した時点で、表示枠認識手段343により「肺」に対応する表示枠の認識を行う(同ステップS104)。そして、ディスプレイ上の該当する位置に所定のフォントで「肺」の認識文字列を表示できるように、文字サイズを調整して(同ステップS105)、文字画像を描画し、文字画像をディスプレイに表示する(同ステップS106)。続いて、「が」の認識文字情報が認識されたときに(同ステップS103:YES)、文字認識手段342は、変換ストローク情報に含まれる位置座標や時刻情報から、「肺」と「が」がひとまとまりの文字列であることを認識するため、「肺が」の2文字に対応する表示枠を表示枠認識手段343により認識し(同ステップS104)、表示制御手段344により、ディスプレイ上の該当する位置に「肺が」の認識文字列を表示できるように、文字サイズを調整し(同ステップS105)、文字画像を描画して、文字画像の表示をディスプレイ上に更新する(同ステップS106)。
同様にして、表示枠認識手段343が「肺がんの陰影に注意」という認識文字列に対応する表示枠131を認識して(図10(B)上段)、表示制御手段344は、ディスプレイ上の該当する位置に「肺がんの陰影に注意」という認識文字列の所定のフォントによる文字列J2を表示できるように文字画像を描画して、文字画像の表示をディスプレイ上で更新する(図10(B)下段)。また、送信制御手段345は、画面更新の都度、送信する情報を生成して、生成した情報を端末4へ送信する(同ステップS107)。
【0084】
また、図11は、講師が肺のイラストを電子ペン1でホワイトボード2上に記入する場合における、コンピュータ装置3側のディスプレイの表示例を示している。
図11(A)に示すように、講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で肺のイラストを構成する第1ストロークS1を記入すると、電子ペン1は、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ逐次送信する。
コンピュータ装置3は、文字認識手段342によっても、複数の変換ストローク情報から文字が認識できないため(図8のステップS103:NO)、図11(B)に示すように、これらの変換ストローク情報に基づく描画ストロークP1が、対応する複数のストロークS1が記入されたホワイトボード2上の位置に対応するディスプレイ上の位置に表示するように、ストローク画像を描画して、ディスプレイに表示する(同ステップS106)。
そして、送信制御手段345は、当該ストローク画像の画像情報及び配置情報を含むように送信情報を生成し、生成した送信情報を端末4へ送信する(同ステップS107)。
【0085】
[端末の処理フロー]
次に、図12を参照して図8のコンピュータ装置3から受信された情報に基づいて実行される端末4の処理フローについて説明する。
【0086】
端末4の処理は、翻訳言語設定手段442により設定言語が予め設定されていることを前提として、コンピュータ装置3が情報を受信すると開始される。
即ち、講師が電子ペン1でストロークをホワイトボード2に記入すると、コンピュータ装置3は、上述の処理によって、電子ペン1で記入されたストロークに対応する認識文字情報又はストローク画像情報を含む送信情報を生成して、生成した情報を各端末4に逐次送信する。すると、各端末4において、次のような処理が実行される。
【0087】
初めに、コンピュータ装置3から情報が逐次送信されると、端末4では、情報取得制御手段441の受信制御手段4411が受信手段42を制御して情報を逐次受信し、記憶手段43に記憶させる(ステップS201)。
【0088】
次に、情報取得制御手段441の情報種別判定手段4412は、受信した情報の種別は文字情報を含む種類(テキスト)であるか否かを判定する(ステップS202)。情報種別判定手段4412は、情報の種類がテキストであると判定した場合、当該情報を翻訳手段443に供給する(ステップS202:YES)。
【0089】
次に、翻訳手段443は、情報に含まれる文字情報を設定言語に翻訳し、その結果得られる設定言語の翻訳文字情報及び対応する表示枠情報を表示制御手段444に供給する(ステップS203)。
【0090】
表示制御手段444の文字サイズ・改行調整手段4441は、翻訳文字情報により表わされる翻訳文字列が表示枠内に収まるように、その文字サイズ(フォントサイズ)及び改行位置を調整して、描画手段4442に通知する(ステップS204)。
【0091】
表示制御手段444の描画手段4442は、ステップS204の処理で調整された文字サイズ及び改行位置と、表示枠情報とに基づき、タッチパネル(表示面)上の表示枠が該当する位置に、翻訳文字情報に対応する翻訳文字列が表示されるように文字画像を描画する。そして、描画手段4442は、文字画像を表示手段45に表示させる(ステップS205)。
また、描画手段4442は、受信した情報に画像情報が含まれる場合(ステップS202:NO)、当該画像情報及び配置情報に基づき、ストローク画像がタッチパネル上の該当する位置に表示されるようにストローク画像を描画する。そして、描画手段4442は、描画したストローク画像を表示手段45に表示させる(ステップS205)。
端末4は、上記処理を繰り返して、受信した全ての情報についてステップS205の処理を実行すると、処理を終了する。
【0092】
このようにして、コンピュータ装置3によって電子ペン1のストロークが文字認識されて、受信した情報に文字情報が含まれる場合(ステップS202:YES)、ステップS203〜S205の処理により、設定言語に翻訳されてフォントサイズや改行の調整が行われた翻訳文字列が、タッチパネル上の、コンピュータ装置3のディスプレイに表示された認識文字列と同様の位置に、即ち、ホワイトボード2上の手書き文字列の記入位置と同様の位置に表示される。
【0093】
これに対して、コンピュータ装置3によって電子ペン1のストロークが文字認識できず、送信情報に画像情報が含まれる場合(ステップS202:NO)、ホワイトボード2上の手書きストロークの記入位置(座標)に対応するタッチパネル(表示面)上の表示位置に、手書きされたストロークのストローク画像が表示される。
【0094】
ここで、図13乃至図15を参照して、図12の端末4の処理中における、タッチパネル(表示手段45)の表示例を説明する。なお、表示枠を示す矩形状の破線は、説明の便宜上図示するもので、実際には表示されない。また、端末4側の表示例は、設定言語として英語が設定された端末4−1の場合で説明する。
【0095】
図13は、図9に示すコンピュータ装置3における表示例に対応しており、講師が電子ペン1で「肺」という日本語の文字列(1文字)をホワイトボード2上に記入する場合における、端末4−1側のタッチパネルの表示例を示している。
講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で「肺」という日本語の文字列(1文字)を構成するストローク(図9(A)の第3ストローク群S3参照)を記入した場合、コンピュータ装置3は、図13(A)に示すように、文字認識された日本語の認識文字列J3をタッチパネルのディスプレイに表示するとともに、対応する認識文字情報及び表示枠情報を含む情報を生成して、各端末4に送信する。
端末4−1は、受信した当該情報に文字情報が含まれるため(図12のステップS202:YES)、翻訳手段443により当該認識文字情報を設定言語に翻訳して、翻訳文字情報を得る(同ステップS203)。
そして、端末4−1は、表示制御手段444の翻訳文字情報により表わされる翻訳文字列を表示枠121内に表示できるよう、文字サイズ及び改行位置を調整する(同ステップS204)。そして、図13(B)下段に示すように、表示制御手段444は、調整した文字サイズ及び改行位置(改行なし)並びに表示枠情報に基づき、タッチパネル上の表示枠121が該当する位置に、「lung」という翻訳文字列を所定のフォントの文字列E3として表示できるように文字画像を描画して、タッチパネルのディスプレイに表示する(同ステップS205)。
【0096】
図14は、図10に示すコンピュータ装置3における表示例に対応しており、講師が電子ペン1で一連の文字列(複数文字)をホワイトボード2上に記入する場合における、端末4−1側のタッチパネルの表示例を示している。
講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で「肺がんの陰影に注意」という日本語の文字列(複数文字)を示す複数のストローク(図10(A)のストロークS2参照)を記入した場合、コンピュータ装置3は、図14(A)に示すように、文字認識された日本語の文字列J2をタッチパネルのディスプレイに表示するとともに、対応する認識文字情報及び表示枠情報を含む情報を生成して、各端末4へ送信する。
端末4−1は、受信した当該情報に文字情報が含まれるため(図12のステップS202:YES)、翻訳手段443により、当該認識文字情報を設定言語に翻訳して、翻訳文字情報を得る(同ステップS203)。
そして、端末4−1は、表示制御手段444により、翻訳文字列が表示枠131内に表示されるよう、文字サイズ及び改行位置を調整する(同ステップS204)。そして、図14(B)下段に示すように、表示制御手段444は、調整した文字サイズ及び改行位置並びに表示枠情報に基づき、タッチパネル上の表示枠131が該当する位置に翻訳文字列を所定のフォントの文字列E2として表示するように文字画像を描画して、タッチパネルのディスプレイに表示する(同ステップS205)。
【0097】
図15は、図11に示すコンピュータ装置3における表示例に対応しており、講師が電子ペン1で肺のイラストをホワイトボード2上に記入する場合における、端末4−1側のタッチパネルの表示例を示している。
講師が、ホワイトボード2上に電子ペン1で肺のイラストを構成する複数のストローク(図11(A)のストロークS1参照)を描いた場合、コンピュータ装置3は、図15(A)に示すように、文字認識されなかった当該ストローク画像161(P1)をディスプレイに表示して、当該ストローク画像P1の画像情報及び配置情報を含む送信情報を生成し、各端末4へ送信する。
端末4−1は、受信した当該情報に文字情報が含まれないため(図12のステップS202:NO)、表示制御手段444は、情報に含まれる画像情報及び配置情報に基づいて、対応するストローク画像P1を、タッチパネルのディスプレイに表示する(同ステップS205)。
【0098】
[本実施形態による作用効果]
以上説明したように本実施形態によれば、電子ペン・システム10は、コンピュータ装置3と端末4との間で、電子ペン1でホワイトボード2に記入されたストロークに関する情報を通信する。
コンピュータ装置3は、電子ペン1から送信される記入情報を受信して、ホワイトボード2上の位置情報をコンピュータ装置3のディスプレイ上の位置情報に変換する制御を実行する記入情報取得制御手段341と、1つ以上のストロークにより表わされる第1言語の文字列を、文字情報(認識文字情報)として認識する文字認識手段342と、文字認識手段342により認識された認識文字情報により表わされる第1言語の認識文字列が表示される表示枠131につき、そのサイズ及び配置位置(表示枠情報)を認識する表示枠認識手段343と、認識文字列が表示枠内に収まるように文字サイズを調整したうえで、ディスプレイ上の表示枠に該当する位置に表示されるように文字画像を描画して、ディスプレイに表示する制御を実行する表示制御手段344と、文字認識手段342により認識された認識文字情報及び表示枠認識手段343により認識された表示枠情報を含む情報を端末4に送信する制御を実行する送信制御手段345とを備える。
端末4は、コンピュータ装置3から送信される情報を受信して、受信した情報に文字情報が含まれるか否かを判別する制御を実行する情報取得制御手段441と、受信した情報に文字情報が含まれる場合に、当該第1言語の認識文字情報を、設定言語(第2言語)に翻訳する翻訳手段443と、翻訳手段443による第2言語の翻訳文字情報により表わされる翻訳文字列が、表示枠131に収まるように文字サイズ及び改行位置を調整したうえで、タッチパネル上の表示枠に該当する位置に表示されるように画像を描画して、描画した画像を表示手段45に表示させる制御を実行する表示制御手段444とを備える。
【0099】
このように、コンピュータ装置3の表示枠認識手段343により認識された表示枠131の位置及びサイズに基づいて、端末4において翻訳文字列を表示することができる。このため、電子ペン1でホワイトボード2に記入された文字列の位置と、端末4において翻訳文字列を表示する位置とをほぼ一致させることができる。したがって、ホワイトボード2に記入された文字列が他のストロークと重なっていない限り、翻訳文字列を端末4において表示させる場合にも、翻訳文字列が他のストロークと重ならないように表示することができる。また、電子ペン1で記入されたストロークにより表わされる第1言語の文字列の文字数と、第2言語に翻訳された翻訳文字列の文字数が異なる場合であっても、適切な表示状態を維持したまま、翻訳文字列を端末4で表示させることができる。
【0100】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
上記実施形態では、電子ペン1を用いる対象はホワイトボード2とされたが、特にこれに限られず、アノト方式のドットパターンが印刷された任意の書き込み媒体であればよい。また、電子ペン1やドットパターン(コード化パターン)、記入情報は、アノト方式に限られなくともよい。
【0101】
また、上記実施形態では、コンピュータ装置3から端末4に送信情報が送信されるタイミングは、画面更新の都度、換言すると、1以上のストロークから文字認識されて当該認識文字列(1文字)が画面に表示される都度、又は1以上のストロークが文字認識されず、ストローク画像として画面に表示される都度とされたが、特にこれに限られない。コンピュータ装置3は、電子ペン1により複数文字の文字列が記入される場合は、認識文字列を1文字単位で画面に逐次表示する都度に情報を生成せずに、一連の認識文字列を全て画面に表示してから情報を生成して、端末4に送信するようにしてもよい。なお、コンピュータ装置3は、文字認識機能によって、記入情報に含まれる位置座標や時刻情報に基づき、1以上のストロークが1文字を構成することや、複数の文字が一連の文字列を構成することを認識できる。
【符号の説明】
【0102】
1…電子ペン
2…ホワイトボード
3…コンピュータ装置
4…端末
10…電子ペン・システム
31…入力手段
32…受信手段
33…記憶手段
34…処理手段
35…表示手段
36…送信手段
341…記入情報取得制御手段
3411…受信制御手段
3412…座標変換手段
342…文字認識手段
343…表示枠認識手段
344…表示制御手段
3441…文字サイズ調整手段
3442…描画手段
345…送信制御手段
41…入力手段
42…受信手段
43…記憶手段
44…処理手段
45…表示手段
441…情報取得制御手段
4411…受信制御手段
4412…情報種別判定手段
442…翻訳言語設定手段
443…翻訳手段
444…表示制御手段
4441…文字サイズ・改行調整手段
4442…描画手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置と端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信する電子ペン・システムであって、
前記コンピュータ装置は、
電子ペンから受信したストローク情報を第1言語の文字列の文字情報として認識する文字認識手段と、
前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記第1言語の文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、
前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段と
を備え、
前記端末は、
前記コンピュータ装置から送信される前記情報を取得する制御を実行する情報取得制御手段と、
前記情報取得制御手段の制御により取得された前記情報のうち、前記文字情報により表わされる前記第1言語の文字列を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、
前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する表示枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする電子ペン・システム。
【請求項2】
前記コンピュータ装置の前記送信制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に関する情報を前記端末へ送信し、
前記端末の前記表示制御手段は、前記ストローク情報に関する情報に基づき、表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン・システム。
【請求項3】
前記端末の前記表示制御手段は、
前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する表示枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子ペン・システム。
【請求項4】
端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信するコンピュータ装置であって、
電子ペンから受信したストローク情報を、文字列で構成される文字情報として認識する文字認識手段と、
前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、
前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段と、
を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項5】
前記表示枠認識手段により認識された表示枠内に、翻訳手段による翻訳後の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に基づき、前記表示枠内に表示する文字列と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画することを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ装置。
【請求項7】
端末との間で、電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を通信する制御を実行するコンピュータを、
電子ペンから受信したストローク情報を、文字列で構成される文字情報として認識する文字認識手段と、
前記ストローク情報に基づき、前記文字認識手段により認識された前記文字列を表示するための表示枠を、そのサイズ及び配置とともに認識する表示枠認識手段と、
前記文字認識手段により認識された文字情報、並びに、前記表示枠認識手段により認識された前記表示枠の前記サイズ及び前記配置を含む情報を前記端末へ送信する制御を実行する送信制御手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記表示枠認識手段により認識された表示枠内に、翻訳手段による翻訳後の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段をさらに備えたものとしてさらに機能させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記文字認識手段によって文字認識できないストローク情報に基づき、前記表示枠内に表示する文字列と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画することを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を翻訳する端末であって、
電子ペンで生成されたストローク情報が文字認識処理されることにより生成された第1言語の文字列を構成する文字情報を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、
前記ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする端末。
【請求項11】
前記表示制御手段は、文字認識処理されなかったストローク情報に関する情報に基づき、文字認識処理されて表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画する
ことを特徴とする請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記表示制御手段は、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行することを特徴とする請求項10又は11に記載の端末。
【請求項13】
電子ペンで書き込み媒体に記入されたストロークの情報を翻訳するのに用いられる端末を、
電子ペンで生成されたストローク情報が文字認識処理されることにより生成された第1言語の文字列を構成する文字情報を、第2言語の文字列に翻訳する翻訳手段と、
前記ストローク情報に基づいて認識された表示枠のサイズ及び配置に対応する枠内に、前記翻訳手段による翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズを調整して表示させる制御を実行する表示制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記表示制御手段は、文字認識処理されなかったストローク情報に関する情報に基づき、文字認識処理されて表示する文字と配置関係を維持した状態で、ストロークを描画する
ことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記表示制御手段は、前記表示枠の前記サイズ及び前記配置に対応する枠内に、翻訳後の前記第2言語の文字列を、その文字サイズと改行との調整により表示させる制御を実行することを特徴とする請求項13又は14に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−234276(P2012−234276A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101136(P2011−101136)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】