説明

電子モジュール

本発明は、電子素子(2)を有する上面(1A)と、該上面とは反対側の、複数の端子部(A1,A2)を有する下面(1B)と、少なくとも1つの側面(3)とを有するベースボディ(100)を備えた電子モジュールに関する。本発明によれば、前記少なくとも1つの側面は第1の領域(4A)および第2の領域(4B)を含む少なくとも1つの制御位置(4)を有しており、前記第2の領域は前記第1の領域内の凹部(5)として構成されており、前記第1の領域と前記第2の領域とは異なる材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール、ならびに、電子モジュールを備えた光電デバイスに関する。本願は、独国出願第102009032253.1号の優先権を主張するものであり、当該の独国出願の開示内容は引用により本願に含まれるものとする。
【0002】
本発明の解決すべき課題は、電子素子の端子のはんだコンタクトを光学的に制御できる電子モジュールを提供することである。
【0003】
本発明によれば、電子モジュールはベースボディを有する。例えば、当該のベースボディは表面実装デバイス用ケーシング(SMDケーシング)である。また、当該のベースボディは、上面とこの上面の反対側の下面とを有する。
【0004】
上面および下面には、ベースボディの外表面の一部によって、それぞれ1つずつの面領域が形成されている。下面の面領域とは、ベースボディの外表面のうち、実装状態でコンタクト支持体(例えば配線板)に面する領域を云う。
【0005】
本発明では、ベースボディの下面に複数の端子部が配置されている。各端子部はここでは電子モジュールの電気的コンタクトのために設けられている。有利には、電子モジュールの下面は同時にベースボディの下面をなしており、下面の端子部には外部からアクセス可能である。つまり、ベースボディの下面で電子モジュールへの電気的接続が行われるのである。
【0006】
本発明では、ベースボディの上面に電子素子が配置されている。電子素子は例えばベースボディの上面の面領域に電気的に接続されている。このために、電子素子は、当該の面領域に、ボンディングされているか、はんだ付けされているか、または、導電性接着剤によって接着されている。ここでの電子素子は、光感応性半導体チップまたは発光半導体チップである。例えば、当該の半導体チップは、ルミネセンスダイオードチップ、LEDチップ、レーザーダイオードチップなどである。
【0007】
本発明では、ベースボディは、第1の領域および第2の領域を含む少なくとも1つの制御位置を有する少なくとも1つの側面を有する。当該の側面は、下面に対して垂直に延在し、ベースボディの側方を包囲する面である。当該の側面は下面から上面へ向かって延在し、この2つの面を接続している。少なくとも1つの制御位置は有利には外部からアクセス可能であり、例えば外部の観察者にとって任意に見通し可能である。"任意に見通し可能である"とは、電子素子がコンタクト支持体上に実装されても、制御位置の所定の部分が覆われておらず、外部から光学的に観察できることを意味する。"領域"とは、側面を少なくとも部分的に形成する表面を指す。有利には、制御位置の全体が第1の領域と第2の領域とによって形成されている。換言すれば、制御位置は側面の一部であり、これが2つの領域に分割されているのである。つまり、制御位置は、側面の一部であって、例えば材料の相違により、側面の他の部分から区別される領域である。
【0008】
本発明では、第2の領域は第1の領域内の凹部として構成されている。なお、"凹部"とは、例えば第1の領域を切り欠いたりアーチ形にしたりして形成されたくぼみのことである。第2の領域の側方は少なくとも部分的に第1の領域によって包囲されている。例えば、第2の領域は第1の領域によって完全に包囲される。
【0009】
本発明では、第1の領域と第2の領域とは異なる材料を有する。"異なる材料を有する"とは、第1の領域を形成する材料と第2の領域を形成する材料が同じでないことを意味する。例えば、第2の領域は、付加的なコーティングを設けることによって、第1の領域から区別される。
【0010】
本発明は、電子素子を有する上面と、この上面とは反対側の、複数の端子部を有する下面と、少なくとも1つの側面とを有するベースボディを備えた、電子モジュールに関する。本発明によれば、前記少なくとも1つの側面は第1の領域および第2の領域を含む少なくとも1つの制御位置を有しており、前記第2の領域は前記第1の領域内の凹部として構成されており、前記第1の領域と前記第2の領域とは異なる材料を含む。
【0011】
ここでの電子モジュールは、特に、コンタクト支持体(例えば配線板)上に載置されている場合、電子モジュールの下面に配置された複数の端子部が外部から見通せないようになっていることが前提である。各端子部は、電子モジュールのベースボディによって覆われている。このようにすると、例えば、端子部が接続材料によって充分に濡らされているかどうか、ただちには判別できない。また、電子モジュールの端子部がコンタクト支持体に電気的および/または機械的に接続されているかどうかも確実ではない。
【0012】
電子モジュールの端子部を接続材料によって制御可能に充分に濡らすために、本発明の電子モジュールは、少なくとも1つの制御位置を含む少なくとも1つの側面を有するベースボディを用いるというアイデアを基礎としている。当該の制御位置は第1の領域および第2の領域を有する。
【0013】
複数の端子部および少なくとも1つの制御位置の双方が接続材料に接触し、接続材料と制御位置とのあいだに充分な濡れひいては物理的または化学的に安定な接続が生じると、複数の端子部も接続材料によって充分に濡らされ、硬化後、例えばコンタクト支持体に対して、電気的および機械的に安定な接続が達成される。よって、電子モジュールがコンタクト支持体上に被着された場合にも、制御位置での視覚的な監視によって、各端子部が接続材料によって充分に濡らされているという記述データを得ることができる。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、第2の領域は第1の領域よりも接続材料によって強く濡らすことができる。すなわち、接続材料は、第1の領域よりも第2の領域に対して物理的または化学的に強く結合し、このため、第2の領域へ塗布されると例えば滴落しなくなる。硬化後、接続材料は第2の領域にいっそう強く結合するので、例えば、接続材料と第2の領域とのあいだの接続部は、接続材料と第1の領域とのあいだの接続部に比べ、大きな外部の機械的負荷に耐えることができる。当該の接続材料は例えばはんだである。この場合、例えば、はんだは、鉛フリーはんだろうまたは鉛を含有するはんだろうによって形成される。また、接続材料を接着剤によって形成してもよい。例えば、接着剤として、銀を含む導電性接着剤が用いられる。
【0015】
本発明の別の有利な実施形態では、ベースボディは金属支持体を有する。当該の支持体は、条片状の金属支持体(リードフレームとも称される)である。これは、例えば、2つの条片状の金属、例えば銅によって形成される。同様に、ニッケル、パラジウム、銀のうち1つまたは複数の材料あるいはこれらと銅との混合物によって、金属支持体を形成することもできる。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態では、金属支持体は部分ごとに不透光性のケーシングボディによって覆われている。有利には、金属支持体とケーシングボディとがベースボディを形成している。ここで、"覆われている"とは、ケーシングボディが部分ごとに金属支持体に直接に接触し、金属支持体とケーシングボディとのあいだの所定の位置には空隙も中断部も存在しない状態を意味する。"不透光性"とは、ケーシングボディが入射してくる電磁放射の少なくとも80%、有利には90%までを透過させないことを意味する。ケーシングボディはデュロプラスト材料またはサーモプラスト材料、例えばエポキシドによって形成されているか、あるいは、セラミック材料によって形成されているか、あるいは、その他の材料によって形成されている。当該の材料に、付加的に、光吸収性の材料、例えばカーボンブラック粒子または他の充填物質を導入してもよい。
【0017】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ケーシングボディは金属支持体と制御位置とを機械的に接続している。有利には、外部の機械的作用に対して特に安定な電子モジュールが形成される。また、ケーシングボディにより、金属支持体と制御位置との相対位置が安定化される。さらに、ケーシングボディが電気的に絶縁され、金属支持体と制御位置とのあいだに配置される。
【0018】
本発明の別の有利な実施形態によれば、金属支持体および/または制御位置はケーシングボディ内に少なくとも部分的に埋め込まれている。これは、金属支持体が、各端子部および電子素子の実装領域を除いて、ケーシングボディによって包囲されていることを意味する。つまり、有利には、ケーシングボディと電子モジュールの各端子部とはかみ合っており、少なくとも部分的に形状による接合が達成されている。有利には、各端子部の面は、垂直方向で、ケーシングボディの面と整合する。ここで、"垂直方向"とは、ベースボディの下面に対して垂直またはほぼ垂直な平面を延在する方向を云う。すなわち、各端子部はベースボディの下面に位置し、ケーシングボディを超えて突出してはいない。有利には、各端子部は、電子モジュールの外部から電気的にコンタクト可能な面を有する。少なくともこの面では、各端子部はケーシングボディによって包囲されてはいない。
【0019】
本発明の別の有利な実施形態によれば、各端子部および制御位置は同じ材料によって形成されている。例えば、各端子部および制御位置は銅によって形成されており、各端子部および第2の領域に付加的に、金属コーティング、例えば、金コーティングまたは銀コーティングが設けられる。制御位置の第2の領域が接続材料によって充分に濡らされている場合、各端子部に付加的なインジウムコンタクトを設けた後、各端子部も接続材料によって充分に濡らされていることの確認を得ることができる。
【0020】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ベースボディはセラミック材料によって形成されている。ベースボディが完全にセラミック材料によって形成されている場合、下面の少なくとも一部の箇所が電気的コンタクトを形成しうる材料、例えば、金属によってコーティングされ、当該のコーティング箇所が端子部となる。また、ベースボディがチップ端子部と電子モジュールのコンタクトを形成するための導体路とを有してもよい。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ベースボディの少なくとも1つの側面は位置ごとのダイシングによって形成されている。特に、側面の輪郭形状は射出成形またはプレス成形によってではなく、成形体のダイシングプロセスによって定められる。ダイシングは、例えば、ソーダイシング、切削、フライシング、破断エッジ形成およびこれに続く破断や、その他の手法によって行われる。ケーシングボディの側面は材料の除去によって形成される。この場合、有利には、側面が材料除去の痕跡を有する。ベースボディが金属支持体によって形成されており、ケーシングボディおよび金属支持体を通る位置で電子モジュールがダイシングされる(切削ないし破断される)場合、金属支持体の側面は横方向でケーシングボディの面に一致する。
【0022】
ここで、"横方向"とは、下面に対して平行あるいはほぼ平行に延在する平面の方向である。つまり、この場合、側面は、部分ごとに、ケーシングボディと金属支持体とによって形成されている。金属支持体の所定の位置でダイシングを行って制御位置を形成することもできる。この場合、有利には、制御位置の第2の領域を通るダイシングは行われないので、第2の領域はダイシングの痕跡、例えば材料の除去の痕跡を有さない。
【0023】
本発明の別の有利な実施形態によれば、制御位置の第1の領域は金属によって形成されている。また、これに関連して、ベースボディが金属支持体を有してもよい。
【0024】
本発明の別の有利な実施形態によれば、制御位置の第1の領域はセラミック材料によって形成される。有利には、ベースボディも完全にセラミック材料によって形成される。
【0025】
本発明の別の有利な実施形態によれば、制御位置の第2の領域は金属コーティングを有する。有利には、各端子部と制御位置の第2の領域との双方に金属コーティングが設けられる。有利には、各端子部の金属コーティングと制御位置の第2の領域の金属コーティングとは同じ材料で形成される。金属コーティングを設けると、有利には、接続材料の濡れ性を調整する(例えば高める)ことができる。ここでの金属コーティングは例えば金または銀によって形成される層である。
【0026】
さらに、本発明は、前述した電子モジュールを含む光電デバイスに関する。つまり、本発明は、前述したそれぞれの実施形態による電子モジュールを含む光電デバイスに関する。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、光電デバイスは、電子モジュールと、この電子モジュールの電気的コンタクトを形成するためのコンタクト支持体とを有し、コンタクト支持体の表面に少なくとも1つの実装領域が形成されている。コンタクト支持体は例えば配線板であり、実装領域は電子モジュールの実装される領域である。つまり、実装領域は、コンタクト支持体の表面のうち電子モジュールが載置される面である。このために、実装領域は少なくとも部分ごとに電子モジュールに機械的に接触する。有利には、実装領域は電子モジュールの電気的コンタクトを形成するための接続材料に接触する。接続材料は、電子モジュールの少なくとも1つの位置、ひいては、電子モジュールの実装領域の少なくとも一部を濡らす。
【0028】
別の有利な実施形態によれば、制御位置の第2の領域が、接続材料によって実装領域へ結合されている。"結合されている"とは、接続材料を硬化した後、接続材料と第2の領域とが、例えば外部からの機械的負荷に対して耐性を有して安定にかつ固定に接合されることを意味する。有利には、接続材料は第2の領域に物理的および/または化学的に結合するので、これらのあいだには空隙も中断部も生じない。特に、接続材料は第2の領域に対して、破断耐性を有するように結合される。
【0029】
本発明の別の有利な実施形態によれば、接続箇所はコンタクト支持体の上面から任意に見通し可能である。"任意に見通し可能である"とは、当該の制御位置がコンタクト支持体のうち電子モジュールに近い側から視覚的に監視可能であることを意味する。例えば、外部の観察者は、当該の制御位置につき、接続材料が第2の領域に結合しているかどうか監視することができる。第2の領域が接続材料と結合していれば、電子モジュールの各端子部が接続材料と結合していることになる。
【0030】
本発明の別の有利な実施形態によれば、接続材料ははんだである。また、接続材料がはんだろうであり、制御位置の第2の領域が銀または金のコーティングを有するようにしてもよい。有利には、金コーティングの場合、銅によって形成される金属支持体上で、析出プロセス、例えば無電流めっきによって、制御位置の第2の領域に複数の層から成る積層体が形成される。有利には、当該の積層体は、最下層が金属支持体であり、接続材料へ向かってニッケル・パラジウム・金が層をなすものである。なお、各層が他の材料によって形成されていたり、異なる順序で層をなしていたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の電子モジュールの第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の電子モジュールの第2の実施例を示す図である。
【図3】本発明の電子モジュールを製造するための基体の第1の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の電子モジュールの第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明の電子モジュールを製造するための基体の第2の実施例を示す平面図である。
【図6】本発明の光電デバイスの側面図である。
【0032】
以下に、本発明の電子モジュールおよび光電デバイスを図示の実施例に則して詳細に説明する。
【0033】
図中、同じ要素および同様の機能を有する要素には同じ参照番号を付してある。ただし、各要素は縮尺通りには描かれておらず、むしろわかりやすくするために部分的に拡大して描かれていることもある点に注意されたい。
【0034】
図1のaには電子モジュールEBTを図2のA−A線で切断した断面図が示されている。ベースボディ100は上面1Aとその反対側の下面1Bとを有する。
【0035】
また、ベースボディ100は金属支持体101を有する。金属支持体101は例えば銅によって形成されている。なお、金属支持体101は部分ごとに不透光性のケーシングボディ6によって覆われている。金属支持体101はケーシングボディ6とともにベースボディ100を形成している。図1のaの実施例では、ケーシングボディ6はベースボディ100の上面1Aのうち、チップ実装領域を除き、面領域1AFを完全に覆っている。ベースボディ100の下面1Bではケーシングボディ6の面が横方向で金属支持体101の端子部A1,A2の面と整合している。つまり、ベースボディ100の下面1B(面領域1BF)は平坦であって隆起部も凹部または中断部も存在せず、ベースボディ100の形状のみによって定められている。
【0036】
端子部A1,A2は電子モジュールEBTの電気的コンタクトのために用いられる。端子部A1,A2にはベースボディ100の下面1Bから任意にアクセスできるようになっており、ここでは、電気的コンタクト材料、例えば、金コーティングまたは銀コーティングによってコーティングされている。
【0037】
金属支持体101によって部分的に構成されている面領域1AFの上に、電子素子2が配置されている。電子素子2は、ボンディングワイヤ21によって金属支持体101に電気的に接続されている。電子素子2は光感応性半導体チップであるかあるいは発光半導体チップである。例えば、当該の半導体チップは、LEDチップまたはレーザーダイオードチップなどのルミネセンスダイオードチップである。
【0038】
さらに、ベースボディ100はダイシングによって形成される側面3を有している。ダイシングは例えばソーダイシング、切削、フライシング、破断エッジ形成およびこれに続く破断や、その他の形式の材料除去などによって行うことができる。ベースボディ100の側面3が材料除去により形成される場合、当該の側面3は有利には材料除去の痕跡を有する。この場合、ケーシングボディ6および金属支持体101の双方を通るダイシングが行われ、側面3はケーシングボディ6と金属支持体101とによって形成される。
【0039】
全ての側面3が第1の領域4Aおよび第2の領域4Bを含む制御位置4を有しており、ここで、第2の領域4Bは第1の領域4A内の凹部5として形成されている。
【0040】
第2の領域4Bを接続材料によって濡らすために、第2の領域4Bに金属コーティングが設けられる。例えば、当該の金属コーティングは、銀または金によって形成されたコーティングである。第2の領域4Bの金属コーティングは端子部A1,A2のコーティングと同じ材料から形成される。特に、第2の領域4Bを通るダイシングは行われないので、制御位置4の第2の領域4Bはダイシングの痕跡を有さない。
【0041】
図1のbには、本発明の電子モジュールEBTの別の実施例の断面図が示されている。ここでは、金属支持体101が相互に分離された2つの部分支持体150,160によって形成されている。部分支持体150は制御位置4を有する。部分支持体150,160間にはケーシングボディ6が存在している。ケーシングボディ6は電気的絶縁性を有しており、2つの部分支持体150,160を相互に機械的に接続している。有利には、この実施例では、制御位置4を有する部分支持体150が他の電子素子、例えば外部の電子素子へのコンタクトのために用いられる。特に有利な実施例として、2つの部分支持体150,160をそれぞれ異なる電位に置き、2つの部分支持体150,160間に所定の電圧がかかるようにしてもよい。
【0042】
図2のa−cには、上面図・側面図・下面図として、図1のaの実施例の装置が示されている。図2からわかるように、いずれの場合にも、制御位置4は第1の領域4Aおよび第2の領域4Bによって形成されている。第2の領域4Bは第1の領域4A内の凹部5として形成されており、ここで、凹部5は、2つの側面によって形成される稜辺31を切り欠くことによって"部分円筒状"の凹部として形成されている。"部分円筒状"とは、ここでは、凹部5が連続的に湾曲した内壁面と当該の内壁面に対して垂直に延在する内上面とによって形成されていることを意味する。
【0043】
図3には、金属の基体1000の平面図が示されている。ベースボディ100を製造するために、ケーシングボディ材料が基体1000の領域G2に塗布される。有利には、材料の硬化後、ケーシングボディが、垂直方向で、後のベースボディ100の端子部A1,A2の面にも、基体1000に形成されているリング状の円筒環Mの面にも整合するように、多量のケーシングボディ材料が領域G2に塗布される。基体1000では、端子部A1,A2および円筒環Mが領域G2の表面に対する隆起部を形成している。円筒環Mの外径R1は180μmから220μm、有利には200μmであり、内径R2は80μmから120μm、有利には100μmである。
【0044】
有利には、注入成形の後、円筒環Mによって円形に包囲されている領域G1は、ケーシングボディ材料を有さず、露出される。次のステップで、ケーシングボディ材料が硬化されて、ケーシングボディ6が形成されると、基体1000は切断線Sに沿ってダイシングされ、個々のベースボディ100が形成される。切断線Sに沿ったダイシングの後、領域G2の所定の位置に個々の金属支持体101の制御位置4の第2の領域4Bが生じる。換言すれば、円筒環Mがダイシングプロセスによって分割され、ダイシング後には全ての金属支持体101が"部分円筒状"の凹部5を有することになる。
【0045】
図4には、下面図として、電子モジュールEBTの別の実施例が示されている。ここでは、ベースボディ100がセラミック材料によって形成されており、この場合、ベースボディ100が端子部A1,A2を有する。端子部A1,A2は、金属材料、例えば、銀または金によって形成された金属コーティングによって形成することもできる。ベースボディ100には、下面1Bから上面1Aへ通じる導体路およびスルーコンタクトが設けられており、これにより、電子素子2が端子部A1,A2へ電気的にコンタクトされる。
【0046】
前述した実施例と同様に、この実施例においても、電子モジュールEBTは側面3を有し、各側面3は第1の領域4Aおよび第2の領域4Bを含む制御位置4を有し、第2の領域4Bは第1の領域4A内の凹部5として形成されている。
【0047】
なお、この場合、凹部5として形成されている第2の領域4Bは金属材料によってコーティングされている。当該のコーティング材料は端子部A1,A2のコーティング材料と同じである。
【0048】
図5には、平面図で、セラミック製の基体1001が示されている。当該の基体1001は切欠2000を有しており、この切欠2000は、材料などを有さず、空気が充填されている。なお、切欠2000の内壁2001には金属コーティングが設けられている。この金属コーティングは例えば金または銀によって形成することができる。基体1001は切断線Sに沿って個々のベースボディ100へとダイシングされる。ダイシングの後、内壁2001は外部から見通し可能かつアクセス可能となる。つまり、切欠2001を分割する位置でのダイシングによって、それぞれの制御位置4の第2の領域4Bが凹部5の形状で形成されるのである。
【0049】
図6には、側面図として、光電デバイス130の実施例が示されている。コンタクト支持体110の上面120に実装領域140が存在しており、そこに電子モジュールEBTが被着されている。コンタクト支持体110は例えば電子モジュールEBTを実装するための配線板である。実装領域140は、コンタクト支持体130の上面120のうち、少なくとも部分的に電子モジュールEBTに機械的に接触する領域である。電子モジュールEBTは、接続材料A、例えばはんだまたは接着剤によって、端子部A1,A2を介して、コンタクト支持体110に電気的かつ機械的に接続されている。有利には、制御位置4の第2の領域4Bは接続材料Aによって実装領域140に結合している。ここでは、接続材料Aと第2の領域4Bとの界面にも、接続材料Aと実装領域140との界面にも、空隙や中断部(例えば空気の混入箇所)が存在しない。制御位置4はコンタクト支持体110の上面120から任意に見通し可能である。
【0050】
コンタクト支持体110に被着されている電子モジュールEBTの端子部A1,A2はベースボディ100によって覆われているので、この実施例では、側方から任意に見通し可能な制御位置4により、端子部A1,A2が接続材料Aと結合しているかどうか、ひいては、電子モジュールEBTがコンタクト支持体110に充分に電気的に接続されているかどうかを確認することができる。制御位置4に接続材料Aが結合していれば、端子部A1,A2の接続も確実に形成されていることになる。
【0051】
本発明は前述した実施例のみに限定されない。本発明の特徴は、いずれも、特許請求の範囲あるいは発明の詳細な説明に明示されていなくても、単独でまたは任意に組み合わせて、本発明の対象となりうる。
【図1a】

【図1b】

【図2a−2b】

【図2c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子(2)を有する上面(1A)と、該上面とは反対側の、複数の端子部(A1,A2)を有する下面(1B)と、少なくとも1つの側面(3)とを有するベースボディ(100)を備えた
電子モジュール(EBT)であって、
前記少なくとも1つの側面は第1の領域(4A)および第2の領域(4B)を含む少なくとも1つの制御位置(4)を有しており、
前記第2の領域は前記第1の領域内の凹部(5)として構成されており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは異なる材料を含む
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記第2の領域は前記第1の領域よりも接続材料(A)によって強く濡らすことができる、請求項1記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記ベースボディは金属支持体(101)を有する、請求項1または2記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記金属支持体は部分ごとに不透光性のケーシングボディ(6)によって覆われている、請求項3記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記ケーシングボディは前記金属支持体と前記制御位置とを機械的に接続している、請求項4記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記金属支持体および/または前記制御位置は前記ケーシングボディ内に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項4または5記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記複数の端子部および前記制御位置は同じ材料によって形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記ベースボディの少なくとも1つの側面は位置ごとのダイシングによって形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記第1の領域は金属によって形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記第1の領域はセラミック材料によって形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電子モジュール。
【請求項11】
前記第2の領域は金属コーティングを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の電子モジュール。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の電子モジュール(EBT)と、
該電子モジュールの電気的接続に用いられるコンタクト支持体(110)と
を有しており、
前記コンタクト支持体の上面(120)に少なくとも1つの実装領域(140)が形成されており、
該実装領域と制御位置(4)の第2の領域(4B)とが接続材料(A)によって接続されており、
前記制御位置は前記コンタクト支持体の上面から任意に見通し可能である
ことを特徴とする光電デバイス(130)。
【請求項13】
前記接続材料(A)ははんだである、請求項12記載の光電デバイス。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−532469(P2012−532469A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518868(P2012−518868)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058831
【国際公開番号】WO2011/003732
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】