説明

電子レンジ用のコーヒー等の濾過器

【目的】電子レンジで湯を沸かす作業と沸かした湯で被抽出物から抽出液を抽出し濾過する作業を同時にする濾過器を提供する。
【構成】水(25)を貯める容器本体(2)と排出口(13)を開設する蓋体(3)からなり、水を貯めた前記容器本体(2)に対して前記排出口(13)に被抽出物(5)を封入したフィルタ製のカートリッジ(4)を添わせて塞いだ前記蓋体(3)を被せ、水密に止着した後、この容器本体を反転して下になった蓋体をカップ(24)に載せ、この状態で電子レンジに投入して所要時間マイクロ波によって前記水を沸騰させると同時に、前記容器本体内で発生する水蒸気圧で湯を強制的に前記カートリッジ(4)に浸透させ、抽出液を抽出し濾過してカップ(24)に滴下回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジを使用してコーヒーや茶等の被抽出物からその成分を濾過抽出する濾過器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコーヒー液を抽出する濾過器にサイホン式,パーコレータ式,ドリップ式等各種の抽出法があり、それぞれ多種多様な濾過器が提案され、実用化されている。
これらの濾過器はコーヒー液の抽出に限って使用されるものではなく、その構造に合せて緑茶や紅茶、その他の被抽出物にも利用されるが、最近手近なものとしてドリップ式の濾過器が各種改善を加えて提案されている。
【0003】
中でも使い捨てに係るドリップ式の濾過器には、フィルタを換えることによって、或はコーヒー粉末等を封入するフィルタ製のカートリッジを取り替えることで、簡単に利用できることから、簡易型濾過器として広く普及しており、日常的に利用されるようになっている。
言うまでもなく、この種ドリップ式に係る濾過器は、フィルタに蓄えたコーヒー粉末等に対して、或は粉末を収容したカートリッジに向けて熱湯を注ぎ込むだけで、この熱湯により抽出された液をカップ等の容器に受けることによって簡単に濾過抽出液として回収することができることから便利に使用されている。
【0004】
しかし、この熱湯を注ぐことで成分を抽出する濾過器は、使用に当って先ず熱湯を必要とすることから、その準備がない場合には水を沸さなければならず、直ぐにと言った場合にそれに対応できないことがある。
この様なことから近時電子レンジの普及に併せてからこれを利用して水を加熱し熱湯を得ると同時に、この熱湯をフィルタに受けたコーヒー粉末に注いで成分を抽出し、直ちにこの抽出液、つまりコーヒー液をコーヒーカップ等の抽出液回収用容器に受けるようにした、つまり湯沸しの作業と、成分の抽出作業とを同時にする電子レンジを使った濾過方法乃至その濾過器が提案されている。例えば、この様な電子レンジを使った濾過方法や濾過器の例として特許文献1〜7が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開平01−148212号公報。
【特許文献2】特開平01−254123号公報。
【特許文献3】特開昭64− 49514号公報。
【特許文献4】特開2005− 46165号公報。
【特許文献5】特開2001−137117号公報。
【特許文献6】特開2000−316726号公報。
【特許文献7】特開2002− 58598号公報。
【0006】
特許文献1に記載の発明は、電子レンジA内に収容した水の容器12の水を電子レンジの高周波によって加熱し、この過熱水、つまり湯をサイホンの作用で濾過器18に導いてフィルタに受けた被抽出物に注いでその抽出液を受器20に受けるようにしたものである。
つまり、この特許文献1の抽出器具は電子レンジを使って水を加熱し、この過熱水を直接電子レンジ内に収容する濾過器に注ぎ、抽出するとした提案であり、水の加熱とこの過熱した湯を直接濾過器に注ぐようにした点に特徴がある。
この点、特許文献2に記載される発明も略同様のもので、電子レンジ内で水を加熱して得た湯によって被抽出物を濾過し、抽出液を得るようにしたものである。
【0007】
特許文献3に記載の発明は、水を収容する容器1にコーヒー粉を収容する抽出部5を収めて電子レンジによる過熱によって上記抽出部5の切欠部3を開いてコーヒー粉7に湯を注ぎ、フィルター を通して抽出液を得るとしたものである。
【0008】
一方、特許文献4に記載の発明は、電子レンジを利用して水47を過熱し、得られる湯を抽出材45に注ぐ一方、所定の温度に上記水47が上昇するのに併せて機能性フィルタ43の抽出液47の通過を可能にして水の状態での濾過を防止する構造にした飲料用抽出装置に係るものである。
【0009】
また、特許文献5,6に記載の発明は、電子レンジ内で濾過する点で、上記各濾過装置と共通するが、ここでは抽出容器の中に抽出液8、つまり水と抽出飲料材、つまり被抽出物とを予め一緒に収めて電子レンジで加熱し、水を沸かすと共に、電子レンジの加熱力を使って膨張袋を膨らませ、この膨張を利用して弁を開き抽出液の滴下を開始するようにしたものである。
【0010】
更に、特許文献7の抽出装置は、フィルタに特殊フィルタの機能性フィルタ6を使って電子レンジによって抽出液5を加熱し、抽出材4からの成分の抽出を進める一方、この抽出液5が所定の温度に上昇したとき、この温度を使って上記機能性フィルタ6の濾過を開始させ、抽出液5が水の状態でフィルタを通過しないようにしたものとなっている。
【0011】
この様に従来から電子レンジを利用したコーヒー等の濾過装置、濾過方法の提案があるが、これらは濾過に要する湯を電子レンジによって水の状態から加熱することによって得ると同時に、得られた湯を同じく電子レンジ内に収めるフィルタ及び抽出液の受け容器を中心とした濾過器に直接注ぐようにして湯沸しと、抽出液の濾過とを1つの電子レンジ内で処理するものとしている。つまり、湯沸し作業と濾過作業を同時にする点で共通しており、特徴にもなっている。
【0012】
しかし、上記濾過作業の部分、過程につきみると、サイホン式にしろ、ドリップ式にしろ従来一般に行われて来た濾過方式、濾過装置と基本的に変わることがなく、唯一特徴とする点は電子レンジによる湯の加熱と、得られた湯をそのまゝ電子レンジ内で濾過器に通して抽出液を得るようにしたことに過ぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様に電子レンジを使って濾過のために使用する水を加熱し、湯を得ることに併せてこの湯をそのまゝ電子レンジ内で濾過器,濾過装置に供給し、コーヒー粉末等の被抽出物に注いで抽出液を濾過抽出し、これを同じく電子レンジ内で容器に受けることで全ての作業、つまり湯沸しと、濾過作業を1つの電子レンジで行うようにしたことについて、更に検討改善を加えて研究開発したものであり、特に本発明では電子レンジの特性的な機能を更に別の面から利用して効率的に且つ簡便に、しかも高濃度で高い風味をもった抽出液が得られる電子レンジを利用して濾過するコーヒーや茶等の濾過に適した濾過器を提供しようとするものである。
【0014】
前記従来の電子レンジを利用した濾過装置は、既に述べたところで明らかなように、いずれの場合も電子レンジは被抽出物に注ぐための湯を沸す、湯沸し器として使われている。そして、ここで沸された湯を直ちに濾過器に供給するため、同じ電子レンジ内にこの濾過器を格納することで湯沸し作業と濾過作業を同時一連に行うようにしたことに特徴がある。
しかし、この方法,装置は電子レンジを使用していながら単に湯沸し器として利用しているに過ぎず、電子レンジのもつ本来的な機能,特性を利用したものとはなっていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は電子レンジの利用に当ってこの電子レンジの機能を有効に活用し、コーヒー、茶等の抽出,濾過に利用できるようにした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供しようとするものである。
電子レンジの利用は水を加熱することで効率的に湯を沸すことができるが、従来の電子レンジを利用した濾過器は、この湯沸し機能を利用して直接的に湯を沸すことまでであり、更なる機能の活用はされていない。
【0016】
本発明は、電子レンジのマイクロ波によって濾過抽出に使用する湯を沸すと同時に、この湯の沸騰に併せて発生する蒸気を濾過器の内部に貯えて蒸気圧とし、沸騰する湯に自ら圧力を掛け、この圧力の掛った湯を同じく濾過器の内部に収容する被抽出物、例えばコーヒー粉末や茶等に浸透,透過させてこれにより成分を抽出した抽出液(コーヒー液等)を濾過器の出口となる排出口に備えるフィルタに通し、コーヒーカップ等の抽出液回収用容器に滴下回収するものである。
つまり、本発明はコーヒー等の濾過抽出に当って電子レンジによって水を加熱し、沸騰させると同時に、この加熱沸騰によって発生する蒸気圧を貯えてその基となる沸騰した湯に対して圧力を掛け、この圧力を利用してコーヒー等の被抽出物を濾過するようにしたことにある。
【0017】
この湯沸しに伴って発生する蒸気圧を利用して濾過する本発明濾過器について、更に詳述すると、その特徴とするところは、マイクロ波を透過する素材によって形成されるカップ状の容器本体と、該容器本体の開口部を閉ざす同一素材からなる蓋体とからなるものであって、前記蓋体は上面部に濾過抽出液の排出口を開設し、他方前記容器本体の内部若しくは前記蓋対の上面部内面のいずれかに前記排出口に被抽出物を内包するフィルタ製のカートリッジを着脱自由に装着する装着枠部を備え、使用時には前記装着枠部に前記カートリッジを装着して前記排出口に臨ませ、同時に前記容器本体内に所要量の水を注ぎ、この状態で該容器本体の開口部に前記蓋体を水密に止着してその後容器本体を反転し、前記蓋体を下にして抽出液回収用容器上に載置し、次にこの状態で電子レンジ内に収納してマイクロ波により前記容器本体内の水を沸騰させると共に、その水蒸気圧で該沸騰水を前記カートリッジ内に通し、被抽出物の成分を抽出させて抽出液を前記排出口を通して前記抽出液回収用容器に滴下回収するようにしてなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器にある(請求項1に係る発明)。
【0018】
この発明によれば、容器本体に所要量の水を注ぎ、その一方蓋体の排出口に臨ませて被抽出物を内包するフィルタ製のカートリッジを装着し、この状態で上記容器本体の開口部に蓋体を装着して一体に組付け、その後この容器本体を反転させて前記蓋体を下にして抽出液回収用容器の上に載置し、これによって前記排出口をこの回収用容器の中に臨むようにするのである。このとき、容器本体内の水は反転に伴って蓋体の排出口に臨んで装着されたカートリッジを水没状態にし、その内部への浸透が図られ、被抽出物を湿潤した状態にすることになる。そして、反転による水の移動によって上側に位置を変えた容器本体の内部は気密な空間を形成することになり、その結果上記被抽出物を湿潤した水はカートリッジ内に止まって排出口を通して任意に滴下するのが阻止される。
【0019】
次に、この状態のまゝ電子レンジ内に持ち込み、所要時間電子レンジを操作してマイクロ波により容器本体内部に注いだ水を加熱し、沸騰させると、濾過液の抽出が自動的に行われることになる。
この電子レンジの加熱による水の沸騰は、カートリッジへの透過を促し、更に発生する蒸気は湯を加圧して透過を進行させると共に、膨張することによって被抽出物内を透過した抽出液を排出口に向けて押圧し、フィルタを通して抽出液回収容器へ送り出すことになる。
【0020】
また一方、本発明は、前記容器本体は、底面部から開口部に止着される蓋体の上面部に開設する排出口に向けてカートリッジの装着枠部を立設し、該装着枠部の上端部に前記カートリッジを着脱自由に装着して前記蓋体の止着に伴わせて前記排出口に臨ませることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項2に係る発明)。
【0021】
この発明は、カートリッジの装着枠部を容器本体側に設けるものとしたもので、容器本体との一体化を図ると同時に、プラスチック等の素材によって形成する場合、一体的成形を可能にするもので、成形性を良好にすることができる。そして、更にこの装着枠部を容器本体側に設けることは蓋体と結合させるとき、蓋体の内面部に向けて突き出し、この内面部との間にカートリッジを挟み込むようにして押付けてこの蓋体に開設する排出口に密着させることが簡単に行えることになる。
【0022】
また、この発明は、前記カートリッジの装着枠部は、カートリッジを嵌め込める口径の円筒形に形成し、上端開口部にカートリッジを嵌め込み保持すると共に、該装着枠部の周面に容器本体内に注ぐ水をカートリッジに誘導する透水孔を形成してなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項3に係る発明)。
【0023】
この発明は、前記装着枠部を円筒形に形成することによってこの開口する先端部にカートリッジを嵌め込み状に装着できるようにしてその装着作業を容易にすると共に、容器本体と蓋体との結合時に確実に排出口に向けてカートリッジを臨ませられることに特徴を有する。
【0024】
また本発明は、前記蓋体には上面部内面に排出口を囲んで止着受部を形成し、その一方該止着受部に係脱自由に係止するカートリッジの装着枠部を別体に形成して、前記止着受部に該装着枠部を止着することによって前記カートリッジを前記排出口に臨んで装着することを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項4に係る発明)。
【0025】
この発明は装着枠部を蓋体側に設けるようにした場合である。排出口を囲んで設ける止着受部に止め部を係止することを通して両者間にカートリッジを狭持し、これによってカートリッジを排出口に確実に装着できるようにしたもので、装着枠部が前述したように必ずしも容器本体側にのみ設けられるものではなく、いずれかに設けられゝばよいことを示すものである。
【0026】
また一方、本発明は前記容器本体は、円形のカップ形に形成して開口部の外周面に雄ネジ部を設け、他方該開口部を閉ざす蓋体には上面部の周縁に前記開口部を囲む短円筒形の垂設枠を形成してその内周面に雌ネジ部を設け、これら雄,雌ネジ部の締め合せによって容器本体の開口部に蓋体を止着することを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項5に係る発明)。
【0027】
この発明は、容器本体と蓋体との着脱を迅速に且つ円滑に行うことを目的としたもので、雄,雌ネジ部の捻回係合によって結合させ、また分離できるようにして使用時の操作性を良くしたものであり、また確実性を高めたものである。
【0028】
また本発明は、前記容器本体は、円形のカップ形に形成して開口部の外周面に係止突起を形成し、その一方該開口部を閉ざす蓋体の上面部内面には前記開口部を囲む環状の垂設枠を設けてその内周面に前記係止突起に係脱自由に係合する係合爪を設け、蓋体の回転により該係合爪を前記係止突起に係合して容器本体の開口部に蓋体を止着することを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項6に係る発明)。
【0029】
この発明は、容器本体と蓋体に形成する雄雌ネジ部に代えて、これらを係止突起と係合爪としたもので、その目的とするところ、及び作用,効果を同じくしたものである。たゞ本発明の場合ネジの如く山の連続がないことから成形が容易であることに加えて、係止突起か係合爪のいずれかを螺旋方向に並べると、ネジとしての機能を発揮するので締め付けが行え、しかも螺旋の角度を急にすれば、小さな回転で強い結合を図ることができることになる。
【0030】
また本発明は、前記蓋体の上面部外面に抽出液回収用容器の開口部の縁との間に空隙を形成するリブを形成することを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項7に係る発明)。
【0031】
この発明によると、蓋体の上面部の外面側にリブが形成されることから、この蓋体が反転して抽出液回収用容器の上に乗ったとき、この容器の縁と蓋体の外面とがリブの介入によって密着することがなく、従って抽出液の滴下によって容器の内部が満たされたとき内圧が高まることがなく、円滑に抽出液の回収が行われることになる。
【0032】
また本発明は、前記蓋体の上面部外面には排出口を横断してカートリッジの底部の膨出を防ぐ桟を渡してなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項8に係る発明)。
【0033】
この発明によると、排出口にリブが渡ることから容器本体内部の水が加熱され、膨張すると同時に、発生する水蒸気圧によってカートリッジの外皮となるフィルタが排出口に向けて被抽出物と共に押し出されたとき、このフィルタを受け止めることができ、破裂を防止することができることになる。
【0034】
また本発明は、前記蓋体の上面部外面には該上面部に開設する排出口を囲んで筒形の落下防止用突起部を形成してなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項9に係る発明)。
【0035】
この発明によると、蓋体の排出口を囲んで落下防止用突起部が設けられることから、抽出液回収用容器上に載置したとき、蓋体、つまり濾過器が横移動しても、この突起部が容器の縁に当って転落を防止することになることから安全に使用できることになる。
【0036】
また本発明は、被抽出物を内包するカートリッジは円筒形の胴部と該胴部の底を塞ぐ底面部とをフィルタ素材によって形成し、その一方胴部の上面部は非透水性のフィルムによって塞ぐことを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項10に係る発明)。
【0037】
この発明によると、カートリッジには胴部の周囲から内部に湯が浸透し、成分を抽出した液は底部を通して排出口へと透過することになる一方、カートリッジ内部に侵入した湯は成分を含んだ抽出液と共に上面を塞ぐフィルムによって容器本体内部に戻るのを阻止され、この結果底部の排出口へと積極的に誘導され、濾過を進行させることになる。
【0038】
また本発明は、前記カートリッジの底面部の周縁部に胴部の外周面から外に拡がる環状の鍔を延設し、また該鍔の上面と前記胴部の裾部の全周に亘って水の透過を阻止する帯状防水部を形成して容器本体に注がれ、カートリッジに浸透する水が前記胴部の裾部を通して被抽出物との接触が少ないまま透過するのを阻止するようにしてなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器を提供することにある(請求項11に係る発明)。
【0039】
この発明によると、カートリッジの裾部に防水部が立ち上り状に設けられて胴部の底部に近い位置から浸透しようとする湯の侵入を防ぐことから、カートリッジ内の被抽出物に接触しないまゝ内部を湯が通過するのを防止することができる。つまり、被抽出物との接触がない湯の通過は抽出液の濃度を薄め、香りを薄めることになり、風味を損なうことになるが、本発明はこれを有効に防止することになる。
【0040】
本発明に係る濾過器は、前述の如く構成されるものであって、使用に当って先ず容器本体に水を注ぎ、また蓋体の排出口に被抽出物を封入するフィルタ製のカートリッジを臨ませ、次にこの容器本体と蓋体とを水密に結合して一体にしたのち、この水を貯えた容器本体を反転させて蓋体を下にして抽出液回収用容器上に載置しセットすると、上記容器本体の反転によって蓋体の内面部側に移った水が排出口を塞ぐカートリッジを水没した状態にして、カートリッジの胴部、つまりフィルタを通してその内部に徐々に浸透することになり、封入されたコーヒー粉末等の被抽出物を次第に湿潤させることになる。
【0041】
カートリッジの内部に浸透した水は、容器本体が反転して内部が気蜜な状態になることから内部に負圧を発生させることになり、カートリッジの被抽出物を湿潤させたのちは、ここに止まって排出口からの滴下を止められることになる。
次に、この状態で容器本体に蓋体を結合させた本発明濾過器を抽出液回収用容器と共にセットした状態で電子レンジに持ち込み、電源を入れてマイクロ波により加熱すると、容器本体内部の水が加熱され、沸騰すると共に、水蒸気が発生して内圧を高めることになることから逃げ場のない沸騰した水、つまり湯は次々とフィルタを通してカートリッジ内に浸透し、この内部の被抽出物を湿潤させてその成分を抽出しながら排出口へと押出される。そして、カートリッジの底面部のフィルタによって濾された抽出液は、そのまゝ回収用容器に滴下し、これに貯えられることになる。
【0042】
尚、この濾過の過程においてマイクロ波は水を沸騰させると共に、カートリッジ内の被抽出物にも直接照射され、過熱することになるが、前述したように容器本体の反転に伴って水没し、予め水が浸透して湿潤した状態に置かれるため焼け焦げることがなく、従って被抽出物が有するそれぞれの風味を損うことがない。
【0043】
本発明濾過器は容器本体の容量、これに注ぎ込む水の量、そして使用するカートリッジの被抽出物の封入量によって抽出液の量が定まり、また1人分用、2人分用と種類が定められるが、容器本体から蓋体を外してカートリッジを交換すれば反復して使用が可能であり、同一被抽出物を封入するカートリッジの場合には濾過器を洗浄することなく連続して使用することも可能である。
【0044】
尚、濾過器を構成する容器本体と蓋体はプラスチック製、陶磁器製、或はガラス製とマイクロ波を透す素材を以て形成することになるが、このうち蓋体については容器本体内の水、カートリッジ内に侵入した水を加熱することに直接影響することでもなく、また抽出液回収用容器内に貯えられる抽出液にマイクロ波が当ることによって再加熱するのを防止することにもなるので非透過性の素材によって形成してもよい。
【発明の効果】
【0045】
以上本発明によれば、電子レンジを利用することによって手軽に水を沸すことができると同時に、この水の沸騰に伴って発生する水蒸気圧を使って湯をカートリッジ内の被抽出物に通し、更には成分を抽出した抽出液を押し出して濾過器から強制的にカップ等の抽出液回収用容器に取り出すようにしたことから、充分な濃度の抽出液を手際よく、しかも簡単,確実に得られる利点がある。
【0046】
ことに、本発明濾過器は、湯沸しに併せて電子レンジ内に収められるカートリッジ、更に言えばその内部に封入される被抽出物が、マイクロ波を受けるとき、水によって湿潤した状態におかれることから、焦げ付くことがなく被抽出物本来の風味をもって抽出できる利点がある。
【0047】
そして、本発明濾過器は、カートリッジを交換することによって再使用ができることから極めて経済的であり、しかも濾過器を構成する容器本体及び蓋体はシンプルな構造に係り、量産することも容易なものであることから廉価に提供できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
添付する図面は、本発明に係る電子レンジを使用して被抽出物から抽出液を濾過する濾過器の実施形態を実施例として示したものである。以下、それぞれの実施例につきつき詳述し、本発明の特徴とするところを明らかにする。
【実施例1】
【0049】
次に、本発明に係る濾過器を図示する実施例につき説明する。
図1は、本発明の濾過器の正面図であり、図2は、分解した状態の中央縦断正面図である。図面において、符号1は濾過器を示し、2は容器本体を、3は蓋体を、4は本発明濾過器に組込み使用される被抽出物、ここではコーヒー粉末5を内包するフィルタを素材にして形成されるカートリッジを示す。
【0050】
濾過器1を構成する容器本体2及び蓋体3は、電子レンジのマイクロ波を透過する必要があることからプラスチック、ガラス、陶磁器等のマイクロ波透過性の素材が選択されるが、ここでは成形が容易であることからプラスチックを材料にして成形してある。
容器本体2は、カップ形に形成して開口部6の外周面に鍔形の環状隆起部7を形成し、その外周縁に蓋体3を止着する雄ネジ部8を設ける一方、内部には底部2aの上面中央部から円筒形の前記カートリッジ4を装着するための装着枠部9を一体に立ち上げている。
【0051】
上記装着枠部9は、上端の開口部10を容器本体2の開口部6の高さに略揃え、胴部の周面には容器本体2に注ぐ水を枠部の内部に通すための縦長にした透水孔11を複数個開設している。
【0052】
一方、蓋体3は全体の形状が倒皿形をなすよう形成してあり、上面部12の中央部に排出口13を開設する。そして、周縁部の短円筒形をなす垂設枠14の内周面に前記容器本体2の雄ネジ部8を螺合し、この容器本体2との結合を図る雌ネジ部15を形成している。
【0053】
上記排出口13は、容器本体2のカートリッジ装着枠部9の上端開口部10に向かい合わせとなるように対応して形成してあり、その口径は開口部10の口径より小さくしてある。
蓋体3は、上面部12の外面に図4に示したように十字状にリブ16を突設し、このリブ16の交点を前記排出口13の中央に配置して後述するようにカートリッジ4の底面部4cの膨出を防止する膨出防止用の桟17としている。
【0054】
尚、蓋体3の垂設枠14の内周面は外に向けて拡張するテーパー面18に形成してあり、これによって容器本体2の開口部10を受け入れ易くしてあり、また、この垂設枠14の外周面にはリブ16に連続させて回転操作時の指掛け突起19を4ヶ所に設けてある。
【0055】
カートリッジ4は、フィルタを素材にして鍔20を備えた帽子形に形成してあり、内部に被抽出物であるコーヒー粉末5を封入する。
このカートリッジ4は、胴部4aを前記円筒形に形成する装着枠部9に収まる筒形に形成してあり、この胴部4aの裾部には図6に拡大して示したようにの全周に亘って水密性の帯状防水部22を巡らし、この裾部からの水の出入ができないようにしてある。そして、この防水部22は前記鍔20の上面に亘って延設し、鍔20に浸透して逃げる水をも防止するようにしてある。
(尚、カートリッジ4の上面部4bには図示するように被抽出物の種類によって例えば膨潤度の大きい茶葉の様な場合にはその上面に添わせて水密性のフィルム21を止着して塞ぐことがある。)
【0056】
カートリッジ4には1人用、2人用と言った使用容量に合せた量のコーヒー粉末が充填される。この場合、被抽出物の種類によって水の浸透に伴い膨潤したとき、カートリッジを破損することのないように膨潤量を見込んで予め空隙23ができる量を充填することになる。
【0057】
上記の如く構成される本発明濾過器について、その使用の実際を次に説明すると、先ずカップ形に形成した容器本体2に1人用とか2人用とかの容量に合せて所定量の水を注ぎ、貯えたところで装着枠部9の開口部10に向けて逆さにしたカートリッジ4を嵌め入れ、これの鍔20を開口部10の縁に当接して装着を行う。次に、この状態において上から蓋体3を被せ、回転して雄ネジ部8と雌ネジ部15の螺合締め付けをして容器本体2と蓋体3とを結合し、濾過器1の組立を完了する。
【0058】
この蓋体3の締付けによって容器本体2の開口部6は水密に閉ざされることになる。同時に、装着枠部9の開口部10に当接したカートリッジ4の鍔20が蓋体3の上面部内面との間に挟まれて水密に固定されることになる。
【0059】
この濾過器1の組立が完了したところで、反転させ、蓋体3を下にした状態で抽出液回収用容器、つまりカップ24上に載置し、その排出口13をカップの中に臨ませてセットを完了する。次に、このセット状態で電子レンジ(図示せず)内に持ち込み、そのまゝ所要時間マイクロ波による加熱を行うのである。
【0060】
ところで濾過器1の組立後、これを反転すると、容器本体2の内部に注いだ水25は開口部6が蓋体3によって水密に閉ざされていることから蓋体3に受けられた状態になり、容器本体の底部2aとの間に気密な空間26を形成することになる。そして、同時にカートリッジ4を取り囲んだ水25はその胴部4aのフィルタを通して内部に浸透し、封入したコーヒー粉末5を湿潤させることになる。
このとき、カートリッジ4の裾部に外側から接した水は防水壁22に妨げられることになり、この防水壁22を避けた胴部4aのフィルタの部分から浸透することになる。
【0061】
また、カートリッジ4内に浸透し、コーヒー粉末を湿潤した水は、カートリッジの下面部4cのフィルタを濡らすことになるが、容器本体2の内部に前記気密の空間26を形成することからこのフィルタを透過して更に排出口13にそのまゝ滴下するのを阻まれて水の状態でカップ24に流れ落ちるのを効果的に止めることになる。
【0062】
尚、図中27は、反転させた濾過器1をカップ24に載置し、セットしたときカップ上からずれ落ちるのを防止する円筒形状の落下防止用突起部であり、この突起部は滴下する抽出液をカップ24に誘導するのにも有効に作用する。
【0063】
電子レンジ内で加熱が開始されると、容器本体2内の水25が加熱沸騰することになり、これに伴って沸された湯から発生する水蒸気が水面25a上の空間26に溜り、蒸気圧を発生させることになる。この結果、湯25に圧力を掛けることになり、カートリッジ4内への浸透が促進されることになる。
この浸透した湯は、コーヒー粉末5を順次湿潤させ、成分の抽出を進行させてコーヒー液を作ると共に、このコーヒー液は上記蒸気圧を受けてカートリッジの下面部4c(セット状態における下面)のフィルタを通して排出口13に押出され、カップ24に向けて滴下することになる。
【0064】
このコーヒー液の濾過に当ってカートリッジ4内に浸透する湯は、カートリッジの胴部4aのフィルタ部分を通して浸透し、コーヒー粉末を湿潤させると共に、膨張するコーヒー粉末は予め用意された空隙23を埋めてカートリッジの破裂を防止し、更に上面部4bを塞ぐフィルム21によってコーヒー液の上方への逃げ出しを防止することになる。
その一方、蒸気による容器本体2の内圧を受けることになるカートリッジ4の下面部4cのフィルタは排出口13に向けて押出されるが、この実施例では十字型の桟17が受けることから破られることなく安定した濾過が行われることになる。
【0065】
以上説明の様に、本発明濾過器1は容器本体2に水を注ぎ入れ、併せて装着枠部9にカートリッジ4を装着して蓋体3を被せ、これを回転させて雄,雌ネジ部8,15を螺合すれば、濾過器の組合せは完了することになり、次にこの濾過器を反転させてカップ24上に載せれば、セットを完了してそのまゝ電子レンジに入れて、所要時間加熱すれば、自動的に濾過抽出作業が完了することになる。この簡単な一連の操作によって、カップにはコーヒー液が満たされることになり、後は電子レンジから取り出すだけであり、極めて簡単にコーヒーを入れることができる。
【0066】
しかも、この濾過器は蓋体3を開けて容器本体2から使用済みのカートリッジ4を取り出し、新たなカートリッジと交換すると共に、水を補給して蓋体を閉じ、再びカップ上に反転させた状態で載置して電子レンジに入れゝば所要濃度のコーヒーを入れることができるので、再使用するに当っても簡便に利用することができる。
勿論、使用終了後は使用済みカートリッジ4を抜き取ったのち水洗いすればよく、常に清潔な状態で保管しておくことができる。
【0067】
本発明濾過器は、この様に取扱いが容易で便利に使用できる一方、この濾過器は前記説明でも明らかなように、カートリッジ4に沸騰した湯を通すに当って、従来知られる濾過器の様に湯の自然流下によってフィルタを通し、コーヒー液等抽出液を濾過回収するのではなく、容器本体2の内部に発生する蒸気圧を利用してカートリッジ4に強制的に浸透させ、そのフィルタを通して抽出液を強制的に濾過して抽出する方法が採られることから濃度の高い抽出液を得ることができる。従って、被抽出物をコーヒー粉末とした場合エスプレッソコーヒーに近い濃度の高いドリップコーヒーを簡単に得ることができるのである。
【0068】
そして、本発明濾過器によれば、濾過器内部で電子レンジによって過熱されるコーヒー粉末5は、水に浸された状態に置かれることから電磁波を乾燥した状態で直接受けることがなく、従って、焦げるようなことがなく素材の風味を損うことなく抽出濾過できることになる。
【実施例2】
【0069】
図7は、容器本体2と蓋体3の結合に使われる前記雄ネジ部8と雌ネジ部15を係止突起30と係止爪31に変更した例である。
容器本体2の開口部外周面に形成する係止突起30は螺旋方向に沿って間隔をおいて複数個突設し、他方蓋体3に形成する係止爪31は周縁部に設ける垂設部14の内周面部に同様に間隔をおいて複数個突設して、容器本体2に対して蓋体3を締め付けるときには前記実施例1で説明した場合と同様に容器本体2の開口部6に蓋体3を被せ、これを回転することによってその締付けが行われる。
【0070】
係止突起30と係止爪31の係合はそれぞれが間隔をおいて設けてあることから、この間隔の間を通すことによって互いに食い違いの関係で向い合わせることができ、この状態で蓋体3を回転させると、互いの係止突起30と係止爪31が上下に噛み合い、更に回転すると螺旋方向に沿って傾斜して設けられる係止突起30の上に係止爪31が乗り上げて締め付けが行われることから蓋体3は容器本体2に緊締され一体に結合することになる。
【0071】
この係止突起30と係止爪31の係合は、雄,雌ネジ部8,15の結合に比べ相互の嵌め合せが容易であると共に、少ない回転で締付けができるので便利である。
【実施例3】
【0072】
図8は、カートリッジ4の装着枠部を蓋体3側に備えた場合の実施例である。
この実施例では、蓋体3の上面部12の中央部を貫いて形成される排出口13の周囲を囲むように内面側に環状の止着受部40を設け、この受部の内周面に雌ネジ41を刻設する一方、カートリッジ4を装着する円筒形の装着枠部42の上端外周面に前記雌ネジ41に螺合する雄ネジ43を形成している。
【0073】
この図8は、使用時の形状を理解し易くするため上下逆の姿にして表わしてあり、実際の上面部12が下向きとなっているが、この上面部12の上面(図面上の下面)にはリブ16,桟17が、そして落下防止用の突起部27が設けられる。
円筒形の装着枠部42は周面に水を通す透水孔44を複数個開設し、内部に嵌め付け挿入するカートリッジ4に対して容器本体2内の水を供給できるようにしてある。
【0074】
この装着枠部42は、上端側から前述の帽子形のカートリッジ4を嵌め入れて、その鍔20を開口部45の縁に当接して位置決めしたのち、この装着枠部42を反転させて下向きとなる開口部45を蓋体3の止着受部40に臨ませ、その内周面に設ける雄ネジ41に雌ネジ43をネジ付けて一体に組付けられる。
【0075】
このネジ付けによってカートリッジ4は鍔20を装着枠部の上端と蓋体3との間に挟んで固定され、この状態で蓋体3を容器本体2に被せ、回転して結合することによって容器本体2の中に吊り下がった状態で格納されることになる。そして、前述した実施例1と同様に、カップ24にセットする際に反転されることを通して蓋体3が下向きになるのに併せて排出口13の上に乗った姿になり、容器本体2の内部に注がれる水の中に没することになる。
【0076】
この様にカートリッジ4を装着する装着枠部42は蓋体3側に取り付くことで前記実施例1の装着枠部9と相違するが、実質的には蓋体3に形成する排出口13に向けてカートリッジ4を被い隠すように臨ませ、しっかり固定する点で共通するものとなっている。そして、カートリッジ4を簡単に装着し、使用後も簡単に外せる点も共通しており、取扱い易いものとなっている。
【0077】
ところで、前記各実施例では被抽出物を内包するカートリッジ4を帽形にしたが、この形態に限られるものではなく、袋状にして内部にコーヒーや緑茶、紅茶等の茶類を封入するものであっても良い。勿論、この様にカートリッジの形態が変化した場合は、それに合わせてこれを安定的に排出口13に添わせられる構造の装着枠部が形成されることは言うまでもないことであり、その形状等は設計者に委ねられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る濾過器の組立状態の正面図。
【図2】分解した状態の中央縦断正面図。
【図3】容器本体の平面図。
【図4】蓋体の平面図。
【図5】使用状態を説明する要部を断面とした正面図。
【図6】カートリッジを説明する一部欠截した拡大中央縦断正面図。
【図7】実施例2の一部を中央縦断面とした要部の分解正面図。
【図8】実施例3の装着枠部を示す一部断面とした分解正面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 濾過器
2 容器本体
2a 容器本体の底部
3 蓋体
4 カートリッジ
4a カートリッジの胴部
4b カートリッジの上面部
4c カートリッジの下面部
5 被抽出物たるコーヒー粉末
6 容器本体の開口部
8 雄ネジ部
9,42 装着枠部
10 装着枠部の開口部
11,43 装着枠部の透水孔
12 蓋体の上面部
13 排出口
14 垂設枠
15 雌ネジ部
16 リブ
17 桟
20 カートリッジの鍔
21 カートリッジの上面部に止着する止水用のフィルム
22 カートリッジの胴部の裾部に沿って設けた帯状防水部
23 カートリッジの内部に形成される空隙
24 抽出液回収用容器たるカップ
25 容器本体の内部に注がれる水
26 容器本体の内部に形成される空間
27 落下防止用突起部
30 係止突起
31 係止爪
40 装着枠部を受ける止着受部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジのマイクロ波を透過する素材によって形成されるカップ状の容器本体と、該容器本体の開口部を閉ざす同一素材からなる蓋体とからなり、前記蓋体は上面部に濾過抽出液の排出口を開設し、他方前記容器本体の内部若しくは前記蓋対の上面部内面のいずれかに前記排出口に被抽出物を内包するフィルタ製のカートリッジを着脱自由に装着する装着枠部を備え、使用時には前記装着枠部に前記カートリッジを装着して前記排出口に臨ませ、同時に前記容器本体内に所要量の水を注ぎ、この状態で該容器本体の開口部に前記蓋体を水密に止着してその後容器本体を反転し、前記蓋体を下にして抽出液回収用容器上に載置し、次にこの状態で電子レンジ内に収納してマイクロ波により前記容器本体内の水を沸騰させると共に、その水蒸気圧で該沸騰水を前記カートリッジ内に通し、被抽出物の成分を抽出させて抽出液を前記排出口を通して前記抽出液回収用容器に滴下回収するようにしてなることを特徴とした電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項2】
容器本体は、底面部から開口部に止着される蓋体の上面部に開設する排出口に向けてカートリッジの装着枠部を立設し、該装着枠部の上端部に前記カートリッジを着脱自由に装着して前記蓋体の止着に伴わせて前記排出口に臨ませることを特徴とした請求項1に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項3】
カートリッジの装着枠部は、カートリッジを嵌め込める口径の円筒形に形成し、上端開口部にカートリッジを嵌め込み保持すると共に、該装着枠部の周面に容器本体内に注ぐ水をカートリッジに誘導する透水孔を形成してなることを特徴とした請求項2に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項4】
蓋体には上面部内面に排出口を囲んで止着受部を形成し、その一方、該止着受部に係脱自由に係止するカートリッジの装着枠部を別体に形成して、前記止着受部に該装着枠部を止着することによって前記カートリッジを前記排出口に臨んで装着することを特徴とした請求項1に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項5】
容器本体は、円形のカップ形に形成して開口部の外周面に雄ネジ部を設け、他方該開口部を閉ざす蓋体には上面部の周縁に前記開口部を囲む短円筒形の垂設枠を形成してその内周面に雌ネジ部を設け、これら雄,雌ネジ部の締め合せによって容器本体の開口部に蓋体を止着することを特徴とした請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項6】
容器本体は、円形のカップ形に形成して開口部の外周面に係止突起を形成し、その一方該開口部を閉ざす蓋体の上面部内面には前記開口部を囲む環状の垂設枠を設けてその内周面に前記係止突起に係脱自由に係合する係合爪を設け、蓋体の回転により該係合爪を前記係止突起に係合して容器本体の開口部に蓋体を止着することを特徴とした請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項7】
蓋体の上面部外面に抽出液回収用容器の開口部の縁との間に空隙を形成するリブを形成することを特徴とした請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項8】
蓋体の上面部外面には排出口を横断してカートリッジの底部の膨出を防ぐ桟を渡してなることを特徴とした請求項1乃至7のいずれかに記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項9】
蓋体の上面部外面には該上面部に開設する排出口を囲んで筒形の落下防止用突起部を形成してなることを特徴とした請求項1乃至8のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項10】
被抽出物を内包するカートリッジは円筒形の胴部と該胴部の底を塞ぐ底面部とをフィルタ素材によって形成し、その一方胴部の上面部は非透水性のフィルムによって塞ぐことを特徴とした請求項1乃至9のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。
【請求項11】
カートリッジの底面部の周縁部に胴部の外周面から外に拡がる環状の鍔を延設し、また該鍔の上面と前記胴部の裾部の全周に亘って水の透過を阻止する帯状防水部を形成して容器本体に注がれ、カートリッジに浸透する水が前記胴部の裾部を通して被抽出物との接触が少ないまま透過するのを阻止するようにしてなることを特徴とした請求項1乃至10のいずれかの請求項に記載の電子レンジ用のコーヒー等の濾過器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−99174(P2010−99174A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271865(P2008−271865)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(591253401)片岡物産株式会社 (18)
【Fターム(参考)】