説明

電子光学装置用トリアリールアミン含有モノマー

【課題】電子光学装置において、効率のよい発光ができ、正荷輸送構成要素としての実用性を有する低いバンドギャップを有する(コ)ポリマーを提供する。
【解決手段】次の式を有するモノマーであって、X−Ar−[トリアリールアミン]−Ar−Xここで、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換された又は置換されないアリール又はヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、Ar及びArは同じか異なる置換又は置換されないヘテロアリール基であるモノマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリアリールアミンをベースとする三量体モノマー及び低バンドギャップポリマー、特に、同ポリマー及びコポリマーを含む電子冷光放射装置及び光起電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体有機ポリマーはここ数十年間で知られてきており、例えば、WO90/13148に見られるように、この十年間で電子冷光放射装置の分野の特許出願は増加している。典型的な電子冷光放射装置は、アノード、カソード及びアノードとカソードの間に位置する発光材料層からなる。半導体有機ポリマーは電子冷光放射装置において、発光要素として、又は電化輸送若しくは電荷注入層として機能する。より最近では、WO96/16449、光導電体及び光検出体に開示されているように、半導体有機ポリマーは光起電装置の出願してきている。
【0003】
電子冷光放射装置に使用されるポリマー材料の性質は、WO90/13148に開示されるポリ(フェニレンビニレン)、WO97/05184に開示されるポリ(アリールアミン)、WO98/06773に開示されるポリ(アリールアミン)を含む装置、材料の特性にとって重要である。
【0004】
特に、コポリマー及びポリマーの混合物は、WO92/03490、WO99/54385、WO00/55927及びWO99/38160に開示されるような装置において非常に有益であることが発見された。ポリ(アリールアミン)はトリアジンのようなヘテロ芳香族を含む芳香族基に開示されている(WO01/49769参照)。
【0005】
最近では、有用な半導体ポリマーの範囲を広げ、低いバンドギャップを有するポリマーを提供する努力がなされてきている(WO01/49768参照)。バンドギャップは最高被占準位(HOMO)及び最低空準位(LUMO)間のエネルギーレベルの差である。低バンドギャップ材料は、例えば、電磁波の可視領域の端の赤色に向かってより低い波長の光を放射し、高分子光起電装置の候補となりえる。WO01/49768はベンゾジアゾールのような複素環部からなるポリマーの低バンドギャップの範囲を開示する。ベンゾジアゾールはその発光及び電子輸送特性を特徴とする官能基である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電子光学装置において、効率のよい発光ができ、かつ正電荷輸送構成要素としての実用性を有する低いバンドギャップを有するポリマー及びコポリマーを提供することにある。この発明は、低いバンドギャップを有するポリマー及びコポリマーを提供するために重合されるモノマーの種類を提供し、前記ポリマー及びコポリマーを有する電子光学装置並びに前記モノマーの重合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施態様において、次の式を有するモノマーを提供する。
−Ar−[トリアリールアミン]−Ar−X
ここで、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換された又は置換されないアリール又はヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、Ar及びArは同じか異なる置換又は置換されないヘテロアリール基である。
【0008】
本発明の目的のためには、モノマーの主鎖という用語は、例えば、モノマーのその部分が最終的なポリマーの主鎖に位置づけられるような、他の鎖がすべてこれにぶらさがっていると見なされるような直鎖を意味する。主鎖は、ときどき主要な鎖を意味する。
【0009】
より好ましい実施態様においては、Ar基及びAr基は、チオフェン、ピロール、フラン又はピリジンのような複素環式芳香族基であり、特にチオフェンが好ましい。重合可能なX及びX基は、好ましくは、Cl、Br、I、ボロン酸、ボロンエステル又はボランからなる群から選ばれる。好ましい実施態様において、X及びX基は、Br及びボロンエステルからなる群より選択される。
【0010】
Ar及びAr基は、アリール、アルキル、シクロアルキル及びアルコキシからなる群より選ばれる部位によって置換されることができる。
【0011】
トリアリールアミン基は、ヘテロアリール基を含み、これはモノマーの鎖又はモノマーにぶらさがるものであり得、ヘテロアリール基の例としてはピリジン及びトリアジンがある。好ましい実施態様においては、トリアリールアミンはトリアジン基を含む。トリアリールアミン基は、少なくとも1つの窒素を含み、好ましい実施態様においては、トリアリールアミン基は、1又は2の窒素を含む。
【0012】
特に、好ましいモノマーは次の構造式を有するものである。
−Ar−Ar−N−Ar−Ar−X

Ar
ここで、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、ここで、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは同じか異なり、置換され又はされないアリール又はヘテロアリール基である。又は、これらのモノマーは次の構造を有している。
−Ar−Ar−N−Ar−N−Ar10−Ar−X
| |
Ar Ar
ここで、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、ここで、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びAr10は、同じか異なる置換された又は置換されないアリール又はヘテロアリール基である。Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10の具体例は、フェニレン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジン及びビフェニレンを含む。
【0013】
アリール又はヘテロアリール基Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びAr10は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシ及びチオアルキルからなる群より選ばれる。好ましい置換基はブチル及び第2ブチルである。
【0014】
本発明の特に好ましいモノマーは次のものを含む。
【0015】
【化2】

【0016】
ここで、R及びR’は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシ及びチオアルキルからなる群から選ばれ、好ましくは、R及びR’は、ブチル及び第2ブチルから選ばれる。
【0017】
本発明は、本発明のモノマーの重合によって得られるポリマーを提供する。本発明は、本発明のモノマーとこれに適合するコモノマーとの重合によって得られる。好ましいコモマーは、フルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレン、トリアリールアミン、キノクサリン及びスチルベンからなる群から選ばれ、前記コモノマーは、好ましくは、フルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレン又はトリアリールアミンである。
【0018】
さらなる実施態様において、本発明は、本発明のポリマー又はコポリマーからなる電子光学装置を提供する。好ましい態様において、前記電子光学装置は電子冷光放射装置又は光起電装置である。
【0019】
本発明は、(a)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及び少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、又は(b)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つの反応性ハロゲン官能基及び1つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、の反応混合物、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、及びボロン誘導官能基をBX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはF及びOHからなる群から独立して選択され、前記反応混合物を重合する工程を含むポリマーの製造方法を提供する。
【0020】
本発明は、(a)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及び少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する1又は2つのコモノマー、又は(b)少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する1又は2以上のコモノマー、又は、少なくとも(c)1つの反応性ハロゲン官能基及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、並びに1つの反応性ハロゲン官能基及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つのボロン誘導基を有する1又は2以上のコモノマー、の反応混合物、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、及びボロン誘導官能基をBX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはF及びOHからなる群から独立して選択され、前記反応混合物を重合する工程を含むコポリマーの製造方法を提供する。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明のモノマーは当業者に知られた適当な反応ルートで製造することができる。好ましい反応ルートは、アミン単位を与えるUllman濃縮及びアミン単位をさらにアリール又はヘテロアリール基に結合するためのStilleカップリングを含む。典型的な合成ルートの例を示す。
【0022】
【化3】

【0023】
上記のスキームにおいて、トリアリールアミンはジアミン及び芳香族ヨウ化物のUllmann濃縮によって形成される。この濃縮は、銅粉末、塩化第1銅、硼化第1銅、ヨウ化第1銅又は硫化第1銅のような触媒の存在下において不活性溶媒中で行われ、反応を促進するために1,10フェナンスロリンが加えられる。Stilleカップリングは芳香族単位を複素芳香族単位とカップリングさせる通常の手段であり、上記のスキームにおいて、求電子物質置換トリアリールアミンはパラジウム触媒の存在のもとで有機試薬と反応される。Ullmann濃縮及びStilleカップリングの変形は当業者にとって周知である。
【0024】
本発明のモノマーの例は、次の構造式を有するものを含む。
【0025】
【化4】

【0026】
本発明のポリマー及びコポリマーはヤマモト又はスズキカップリングのような当業者に周知の方法、好ましくはスズキカップリングで製造される。チオフェン又はピロールとモノマーの場合、置換ポリマー及びコポリマーが電気化学重合によって製造される。一般に、スズキカップリングによってポリマーを製造するために、適当に置換されたモノマーが触媒及び塩基の存在する溶液中で重合される。適当なモノマーは、例えば、1つの重合可能なBr部位及び重合可能なボロンエステル部位、代替的に、反応混合物は、例えば1つはBr置換物であり、他方は、例えばボロンエステル置換物である2つのモノマーを含むことができる。触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒、適当な塩基は、WO00/53656に開示されるようなアルカリ又はアルカリ土類カーボネート及びアルカリ又はアルカリ土類重炭酸塩又は有機塩基である。溶媒は、ポリマーが溶解するもの、例えば、ポリフルオレンに適合する溶媒はアニソール、ベンゼン、エチルベンゼン、メシチレン、キシレン及びトルエンを含む。典型的なスズキ重合の反応スキームを下記に示す。
【0027】
【化5】

【0028】
同様に、本発明のコポリマーはヤマモト又はスズキカップリング、好ましくはスズキカップリングで製造される。一般に、スズキカップリングによってポリマーを製造するために、適当に置換されたモノマーが触媒の存在する溶液中で重合される。2つの構成要素であるコポリマーを製造するために適当な試薬は、少なくとも2つのボロンエステル基を有するモノマーと少なくとも2つのB基を有するモノマーであり、代替的には、1つのB基及び1つのボロンエステル基を有するモノマーと1つのB基及び1つのボロンエステル基を有するモノマーである。明らかに、3次ポリマー及びより高次のコポリマーが適当なモノマーを反応させることによって製造し得る。触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒、適当な塩基は、WO00/53656に開示されるようなアルカリ土類カーボネート及びアルカリ土類重炭酸塩又は有機塩基である。溶媒は、ポリマーが溶解するもの、例えば、ポリフルオレンに適合する溶媒はアニソール、ベンゼン、エチルベンゼン、メシチレン、キシレン及びトルエンを含む。
【0029】
末端がキャップ化された試薬が反応を終了させるために、又は終了後加えられる。適合する末端がキャップ化された試薬の例は、フェニルボロネート及びブロモベンゼンを含む。
【0030】
コポリマーを形成するための本発明のモノマーと重合されるコモノマーの例は、次のものであり、ここで、X及びXは重合可能基である。
【0031】
【化6】

【0032】
ポリマー及びコポリマーの例は、次の構造式を有し、ここで、x、y、zはコポリマーにおけるモノマーの割合を表す。
【0033】
【化7】

【0034】
本発明のポリマー及びコポリマーは電子冷光放射装置及び光起電装置のような電子光学装置に使用され得る。本発明の電子冷光放射装置は、典型的には、適当な基板、アノード、カソード及びアノードとカソードの間に位置する発光材料からなる。電子冷光放射装置は、さらに、発光材料とアノード又はカソードの適当な方の間に位置する電荷輸送層及び/又は電荷注入層を含むことができる。本発明の電子冷光放射装置においては、本発明のポリマー又はコポリマーは発光層又は電荷輸送若しくは電化注入層、又は代替的には、発光材料との混合物における電荷輸送要素、又は電荷輸送層との混合物による発光要素として存在する。発光層の厚さは、10nm〜300nmであり、好ましくは50nm〜200nmである。特に、本発明のポリマー及びコポリマーは正孔輸送層又は混合物における正孔輸送要素として機能する。
【0035】
装置のアノードは、好ましくは基板に蒸着される高仕事関数の材料からなる。好ましくは、材料は4.3eVより大きな仕事関数を有し、このような材料の例としてインジウム錫酸化物(ITO)、錫酸化物(TO)、アルミニウム又はインジウムをドープした亜鉛酸化物、マグネシウム−インジウム酸化物、カドミウム錫酸化物及びAu、Ag、Ni、Pd及びPtのような金属がある。適当な基板は、ガラス及びプラスチックであり、基板は堅固又は柔軟、透明又は不透明である。高仕事関数の材料は50nm〜200nmの厚さを形成するために基板上に蒸着され、好ましくは、前記薄膜は10−100オーム/□、より好ましくは30オーム/□以下である。
【0036】
装置のカソードは、好ましくは、低仕事関数の材料、より好ましくは3.5eV以下仕事関数を有するものがよい。このような材料の例としては、Li、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Yb、Sm及びAlである。カソードは前記金属の合金又は他の金属と前記金属の合金、例えば、MgAg及びLiAl合金を含む。カソードは、好ましくは、例えば、Ca/Al又はLiAl/Alのような複層でもよい。装置は、WO97/42666に開示されるように、カソードと発光層の間にさらに誘電材料層を含んでもよい。特に、カソードと発光材料の間の誘電層として、アルカリ又はアルカリ土類金属のフッ化物を用いるのが好ましい。特に好ましいカソードは、厚さ1〜10nmのLi/Ca/Al層、厚さ1〜25nmのCa層及び厚さ10〜500nmのAl層を含む。
【0037】
電子冷光放射装置が、さらに電荷注入又は電荷輸送層を含むとき、これらの追加材料は単独層として、又は発光材料との混合として存在することができる。適当な電荷輸送材料の例としては、硫酸ポリスチレンがドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)、高分子アニオンドーパントのようなアニオンドーパントを有するポリアニリン、及びポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−(4−イミノ(ベンゾイン酸))−1,4−フェニレン))BFAのような高分子トリアリールアミンを含むトリアリールアミンがある。
【0038】
電子冷光放射装置の好ましい構造は、ガラス基板、ITOアノード、PEDOT−PSS電荷輸送層、発光材料層、LiFの薄膜層並びにカルシウム層及びアルミニウム層からなるカソード層を含む。
【0039】
本発明の光起電装置は、典型的には2つの電極及び前記2つの電極の間に少なくとも2つの異なる電子親和性を有する半導体ポリマーが配置され、前記半導体ポリマーの1つは本発明のポリマーであるものを含む。半導体ポリマーは混合物又は単独層の形で存在する。一般的に、電極の1つは、ITOのような高い仕事関数の材料を含み、他の適当な高い仕事関数の例は上記のとおりである。一般に、他の電極はAlのような低い仕事関数の材料を含み、他の適当な低い仕事関数の例は上記のとおりである。光起電装置は、固有の電荷注入及び/又は電荷輸送層、例えば、アノードと正孔の輸送及び注入を促進するための高分子層の間にPEDOT/PSSが組み込まれる。このような光起電装置の例はWO99/49525及びUS5670791に開示されている。
【0040】
本発明のポリマーは、光検出器又は光伝導体に於ける重要な構成要素として使用される。光検出器においては、ポリマーが2つの電極の間に配置される有機材料の1つの層に含まれ、電圧が有機材料層を横切って印加され、有機材料の入る入射光によって発生する電流を測定するための電流検出回路が使用される。本発明のポリマーを有する光伝導体は同様に操作されるが、装置が光にさらされたときに生じるポリマーの抵抗の変化を測定する回路を含む。光ダイオード及び光検出器はWO99/09603、GB2315594及びUS5523555に開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これに限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形が可能であることは当然である。
【実施例】
【0042】
トリマー前駆体の合成
【化8】

【0043】
トルエン(80mL)中の2−トリブチルスタニルチオフェン(10.16mL、17.56mmol)、アミン2(7.18g、13.3mmol)溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)が加えられた。反応混合物は4時間還流され、次いで徐冷された。浮遊物がセライトを通して除去され、乾燥状態まで蒸発された。ヘキサンからの再結晶化により目的とする生成物3.98g(56%生成)が得られた。さらに、1.16gが母液から得られた。全体で73%生成された。構造はGC−MS及び1H NMRで確認した。
【0044】
ジブロモトリマーの合成
【化9】

【0045】
DMF(10mL)中のトリマー前駆体(3.97g、17.47mmol)溶液にDMF(10mL)中のN−ブロモスクシニミド(NBS)(2.66g、19.94mmol)が加えられた。反応混合物は室温で30分間攪拌された。GC−MSで観察した。さらに、NBSの2.66gが加えられ、GC−MSによって100%の目的生成物が得られた。反応物は、アイス/エタノール中に注入することによりクエンチされた。生成物はろ過され、ジエチルエーテル/ヘキサンから再結晶化され、5.19g(98%生成)の目的生成物が得られた。
【0046】
ABコポリマーF8トリマーの重合
トルエン中の9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボレート)(F8)、(0.9267g,1.75mmol)及びジブロモトリマー(1.2290g、1.75mmol)溶液に、トルエン(5mL)中のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)4mgが加えられた。溶液は10分間脱ガスされ、次いでテトラエチルアンモニウム水酸化物(5.82mL)が加えられた。反応混合物は115℃で19時間加熱された。末端がキャップ化された試薬が次のように加えられた。0.3mlブロモベンゼンが加えられ、115℃で1時間反応させ、次いで0.3gフェニルボロニック酸が添加され、115℃で1時間反応させた。反応混合物は室温まで冷却され、メタノール0.5l中へ注がれた。沈殿物としてポリマーが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式を有するモノマー。
−Ar−[トリアリールアミン]−Ar−X
ここで、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換された又は置換されないアリール又はヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、Ar及びArは同じか異なる置換又は置換されないヘテロアリール基である。
【請求項2】
Ar及びArはヘテロアリール基である請求項1に記載のモノマー。
【請求項3】
Ar及びArがベンゼン、チオフェン、ピロール、フラン及びピリジンから構成される群から選ばれる請求項2に記載のモノマー。
【請求項4】
及びXは同じか異なり、Cl、Br、I、ボロン酸、ボロンエステル及びボランから構成される群から選ばれる請求項1に記載のモノマー。
【請求項5】
及びXは同じか異なり、Br又はボロンエステルから選ばれる請求項4に記載のモノマー。
【請求項6】
トリアリールアミン基が少なくとも1つのヘテロアリール基を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項7】
トリアリールアミン基がトリアジン基である請求項6に記載のモノマー。
【請求項8】
Ar及びArは同じか異なるアリール又はヘテロアリール基であり、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールアルコキシ及びチオアルキルから選ばれる部位で置換される請求項1に記載のモノマー。
【請求項9】
トリアリールアミンが1つの窒素原子を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項10】
トリアリールアミンが2つの窒素原子を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項11】
次の構造式を有する請求項9に記載のモノマー。
−Ar−Ar−N−Ar−Ar−X

Ar
ここで、X及びXは同じか異なる重合可能な基であり、ここで、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは同じか異なり、置換され又はされないアリール又はヘテロアリール基である。
【請求項12】
前記Ar、Ar及びArが、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリーロキシ及びチオアルキルからなる群より選択された部位で置換されている請求項11に記載のモノマー。
【請求項13】
次の構造式を有する請求項10に記載のモノマー。
−Ar−Ar−N−Ar−N−Ar10−Ar−X
| |
Ar Ar
ここで、X1及びX2は同じか異なる重合可能な基であり、ここで、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びAr10は、同じか異なる置換された又は置換されないアリール又はヘテロアリール基である。
【請求項14】
前記Ar、Ar、Ar、Ar及びAr10は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシ及びチオアルキルからなる群より選ばれる部位で置換された請求項13に記載のモノマー。
【請求項15】
次の構造を有する請求項1に記載のモノマー。
【化1】

ここで、R及びR’はアルキル、パーフルオロアルキル、アルカリアリール、アリールアルカリ、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリーロキシ及びチオアルキルから選択される。
【請求項16】
請求項1に記載のモノマーの重合によって得られるポリマー。
【請求項17】
請求項1に記載のモノマー及び1又は2以上のコモノマーの重合によって得られるコポリマー。
【請求項18】
請求項1に記載のモノマー並びにフルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレン、トリアリールアミン、スチルベン、キノクサリン及びビフェニレンから選ばれる1又は2以上のコモノマーの重合によって得られる請求項17に記載のコポリマー。
【請求項19】
請求項1に記載のモノマー並びにフルオレン、ベンゾチアジアゾール、トリアリールアミン及びビフェニレンから選ばれるコモノマーの重合によって得られる請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
請求項16に記載のポリマー又は請求項17に記載のコポリマーを含有する電子光学装置。
【請求項21】
電子冷光放射装置である請求項20に記載の電子光学装置。
【請求項22】
光起電装置である請求項20に記載の電子光学装置。
【請求項23】
次の反応混合物を重合する工程を含む請求項16に記載のポリマーの製造方法。
(a)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及び少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、又は(b)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つの反応性ハロゲン官能基及び1つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、の反応混合物、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、及びボロン誘導官能基をBX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはF及びOHからなる群から独立して選択される。
【請求項24】
次の反応混合物を重合する工程を含む請求項17に記載のコポリマーの製造方法。
(a)ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及び少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する1又は2つのコモノマー、又は(b)少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する1又は2以上のコモノマー、又は、少なくとも(c)1つの反応性ハロゲン官能基及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つのボロン誘導官能基を有する請求項1に記載のモノマー、並びに1つの反応性ハロゲン官能基及びボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される1つのボロン誘導基を有する1又は2以上のコモノマー、の反応混合物、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、及びボロン誘導官能基をBX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはF及びOHからなる群から独立して選択される。

【公開番号】特開2009−97015(P2009−97015A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262218(P2008−262218)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【分割の表示】特願2003−538226(P2003−538226)の分割
【原出願日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】