説明

電子写真装置

【課題】クリーニング性能を向上して、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像の発生を防止する。
【解決手段】タンデム型電子写真装置において、感光体40に形成したトナー画像を中間転写体10の表面に転写し、その転写したトナー画像を2次転写装置22で2次転写してシートに画像を記録する。中間転写体10には、中間転写体クリーニング装置17の下流位置で、粒子結着体86の先端を押し当てる。そして、中間転写体の回転とともに、粒子結着体で粒子を付着して中間転写体10の表面に、トナーの付着力を低減するトナー付着力低減層を均一に形成する。トナー付着力低減層は、非画像形成時に、中間転写体を複数回回転して、クリーニング装置で剥離後、再度、中間転写体の表面に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真プロセスを用いたコピーやファクシミリやプリンタ、またはそれらの複合機など、帯電・書込み・現像・転写・クリーニングなどを繰り返してシートに画像を記録する電子写真装置に関する。特に、像担持体に形成したトナー画像を中間転写体に転写し、その中間転写体に転写したトナー画像を2次転写してシートに画像を記録する電子写真装置に関する。および、そのような電子写真装置に備える中間転写体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真装置の中には、例えば特許文献1に記載されるように、中間転写体の表面に摩擦係数を低減させる物質を含有する構成とすることにより、中間転写体表面とトナーとの間の離型性を高め、転写率を向上し、クリーニングの負担を軽減して結果的に残像の発生を防止するものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平9−34276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電子写真装置の中には、例えば図10に示すように、4つの感光体1を並べて備えてそれらの感光体1にそれぞれ個別に単色トナー画像を形成し、そのトナー画像を各1次転写装置2により中間転写体3に順次転写し、その中間転写体3上の画像を2次転写装置4により一括転写することで、シートsに画像を記録する、間接転写方式のいわゆるタンデム型カラー電子写真装置がある。
【0005】
このようなカラー電子写真装置では、中間転写体3上に4回重ねて順次転写を行うことから、2次転写装置4による画像転写後、中間転写体クリーニング装置5により清掃しても、中間転写体3の表面をきれいにクリーニングすることができず、残像を発生する問題があった。
【0006】
そのような問題を解決すべく、中間転写体クリーニング装置5のクリーニングブレード6の押し当て力を増すと、中間転写体3の表面を劣化することとなる問題があった。
【0007】
そこで、この発明の第1の目的は、クリーニング性能を向上して、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像の発生を防止することにある。
【0008】
この発明の第2の目的は、中間転写体に対するトナー付着力を低減してクリーニング性能を向上することにより、残像の発生を防止することにある。
【0009】
この発明の第3の目的は、中間転写体表面とトナーとの間の離型性を高めてクリーニング性能を向上することにより、残像の発生を防止することにある。
【0010】
この発明の第4の目的は、上述の目的を達成した中間転写体を備えた電子写真装置を提供することにある。
【0011】
この発明の第5の目的は、クリーニング性能の向上を容易として、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像の発生を簡単に防止することができる電子写真装置を提供することにある。
【0012】
この発明の第6の目的は、クリーニング性能を一層向上して、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像の発生を防止することができる電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため、請求項1に係る発明は、上述した第1の目的を達成すべく、像担持体に形成したトナー画像を表面に転写し、その転写したトナー画像をシートに2次転写する電子写真装置の中間転写体において、表面にトナーの付着力を低減するトナー付着力低減層を均一に形成してなる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項1に記載の中間転写体において、トナー付着力低減層を、ステアリン酸亜鉛を用いて形成してなる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項1に記載の中間転写体において、トナー付着力低減層を、ふっ素樹脂を用いて形成してなる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、上述した第4の目的を達成すべく、電子写真装置において、請求項1、2または3に記載の中間転写体を備えてなる、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項4に記載の電子写真装置において、中間転写体に粒子結着体を押し当てて中間転写体の回転とともに粒子を付着し、その付着した粒子によりトナー付着力低減層を形成してなる、ことを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項5に記載の電子写真装置において、粒子結着体の押し当て強さを加減可能としてなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、中間転写体において、表面にトナーの付着力を低減するトナー付着力低減層を均一に形成するから、トナーが直接付着せず、クリーニング性能を向上して、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像やトナー固着の発生を防止することができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、そのような中間転写体において、トナー付着力低減層を、ステアリン酸亜鉛を用いて形成するから、逆極性に帯電するステアリン酸亜鉛によりトナーと付着しやすくするとともに、トナーが直接中間転写体表面に付着しないようにし、中間転写体に対するトナー付着力を低減してクリーニング性能を向上することにより、残像やトナー固着の発生を防止することができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る中間転写体において、トナー付着力低減層を、ふっ素樹脂を用いて形成するから、中間転写体表面とトナーとの間の離型性を高めてクリーニング性能を向上することにより、残像やトナー固着の発生を防止することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、画像形成装置において、請求項1、2または3に記載の中間転写体を備えるから、上述の効果を有する中間転写体を備えた画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、中間転写体に粒子結着体を押し当てて中間転写体の回転とともに粒子を付着し、その付着した粒子によりトナー付着力低減層を形成するから、クリーニング性能の向上を容易として、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像やトナー固着の発生を簡単に防止することができる電子写真装置を提供することができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、粒子結着体の押し当て強さを加減可能とするから、中間転写体上に常に均一なトナー付着力低減層を形成し、クリーニング性能を一層向上して、中間転写体表面の劣化を招くことなく、残像やトナー固着の発生を防止することができる電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1は、この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式のカラー複写機における全体概略構成図である。
【0026】
図中符号100は複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
【0027】
複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。中間転写体10は、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
【0028】
この図示例では、3つのうち第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
【0029】
また、3つのうちの第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・シアン・マゼンタ・イエロの4つの画像形成手段18を横に並べてタンデム画像形成装置20を配置する。
【0030】
そのタンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設ける。
【0031】
一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
【0032】
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
【0033】
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0034】
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0035】
さて、いまこのカラー複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
【0036】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0037】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロ・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0038】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
【0039】
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0040】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0041】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0042】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0043】
さて、上述したタンデム画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図2に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。感光体40は、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
【0044】
図示省略するが、少なくとも感光体40を設け、画像形成手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
【0045】
画像形成手段18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、感光体40に接触して電圧を印加することによりその感光体40の帯電を行う。
【0046】
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に付着する攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体40に転移する現像部67とで構成し、その現像部67より攪拌部66を低い位置とする。
【0047】
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設ける。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切る(図6参照)。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。
【0048】
一方、現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体40と対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設ける。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は、500μmに設定してある。
【0049】
そして、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持し、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りする。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
【0050】
他方、現像スリーブ65上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体40に転移してその感光体40上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナー補給する。
【0051】
ちなみに、図示例では、感光体40の線速を200mm/s、現像スリーブ65の線速を240mm/sとしている。感光体40の直径を50mm、現像スリーブ65の直径を18mmとして、現像行程が行われる。現像スリーブ65上のトナー帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲である。感光体40と現像スリーブ65の間隙である現像ギャップGは、従来の0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。
【0052】
感光体40の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体40の帯電(露光前)電位Vを−700V、露光後電位Vを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行われるものである。
【0053】
次に、1次転写装置62は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで感光体40に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、非接触のコロナチャージャなどであってもよい。
【0054】
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体40に押し当てて、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備えるとともに、外周を感光体40に接触して導電性のファーブラシ76を矢示方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79を設ける。
【0055】
そして、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対して接触してカウンタ方向に回転する電界ローラ77でバイアスを印加して取り除く。電界ローラ77は、スクレーパ78でクリーニングする。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
【0056】
除電装置64は、例えばランプであり、光を照射して感光体40の表面電位を初期化する。
【0057】
そして、感光体40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体40の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて上述した露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体40上に静電潜像を形成する。
【0058】
その後、現像装置61によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置62で中間転写体10上に転写する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
【0059】
図3は、図1に示すカラー複写機の要部拡大図である。同図においては、タンデム画像形成装置20の各画像形成手段18、その画像形成手段18の各感光体40、各現像装置61、各感光体クリーニング装置63、および各画像形成手段18の感光体40にそれぞれ対向して設ける各1次転写装置62の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、イエロの場合はYを、マゼンタの場合はMを、シアンの場合はCを付して示す。
【0060】
トナーは、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)、色剤を混合し、その周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することでその帯電特性、流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常、0.1〜1.5[μm]の範囲である。色剤は、カ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、キナクリドン、カ−ミン等を上げることができる。帯電極性は、図示例では負帯電である。
【0061】
トナーは、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。ここまでの説明で、トナーは、粉砕法で作成されたものであるが、重合法等で作成したものも使用可能である。一般に重合法、加熱法等で作成されたトナーは、形状係数を90%以上に形成することが可能で、さらに形状による添加剤の被覆率も極めて高くなる。
【0062】
ここで、形状係数は、本来ならば球形度となって、「粒子と同体積の球の表面積/実粒子の表面積*100%」で定義されるが、測定がかなり困難になるので、円形度で算出する。その定義は、「粒子と同じ投影面積を持つ円の周長/実粒子の投影輪郭長さ*100%」とする。そうすると、投影された円が真円に近づくほど、100%に近づくことになる。
【0063】
トナーの体積平均粒径の範囲は、3〜12μmが好適である。図示例では、6μmとし、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
【0064】
磁性粒子は、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。粒径は、20〜50μmの範囲が良好である。また、抵抗は、ダイナミック抵抗で10〜10Ωの範囲が最適である。ただし、測定方法は、磁石を内包したローラ(φ20;600RPM)に坦持して、幅65mm、長さ1mmの面積の電極をギャップ0.9mmで当接させ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400Vから鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧を印加した時の測定値である。
【0065】
現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット72を配設している。マグネット72は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ65の直径をφ18とし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い10〜30μmRZの範囲に入るようにあらしている。
【0066】
マグネット72は、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN、S、N、S、Sの5磁極を有する。マグネット72で形成された(トナー+磁性粒子)は、現像剤として現像スリーブ65上に坦持され、トナーは、磁性粒子と混合されることで規定の帯電量を得る。図示例では、−10〜−30[μC/g]の範囲が好適である。現像スリーブ65は、現像剤の磁気ブラシを形成した、マグネット72のS1側の領域に、感光体40に対向して配設されている。
【0067】
ところで、中間転写体クリーニング装置17には、図4に示すように、クリーニング部材としてファーブラシ82とクリーニングブレード83を設ける。ファーブラシ82は、中間転写体10に接触してそれに対しカウンタ方向に回転するように設ける。一方、クリーニングブレード83は、ファーブラシ82の下流位置で、基端を支持して先端を中間転写体10に押し当てるように設ける。図4中符号84は、コイル状やスクリュ状のトナー搬送部材である。
【0068】
そして、中間転写体10の回転とともに、その中間転写体10上の2次転写残トナーをファーブラシ82およびクリーニングブレード83で除去し、その除去したトナーをトナー搬送部材84により例えば不図示の廃トナーボトルへと搬送する。
【0069】
さて、そのような中間転写体クリーニング装置17の下流には、粒子結着体86を設ける。粒子結着体86は、ステアリン酸亜鉛や、ふっ素樹脂を含有するものなどよりなる粒子を押し固めてスティック状に形成したもので、図示省略するが、基端をホルダ等で支持し、例えばそのホルダ等をばね付勢して先端を中間転写体10に押し当ててなる。
【0070】
そして、中間転写体10の回転とともに、粒子結着体86で粒子を付着し、図5に示すように中間転写体10の表面に、その付着した粒子87よりなるトナー付着力低減層88を形成する。トナー付着力低減層88は、均一な、願わしくは一層状態すなわち最蜜充填状態とする。なお、図5中符号89は、中間転写体10上に付着したトナーを示す。
【0071】
粒子径は、0.1〜1.0μmがよい。粒子径が大きくなると、トナー付着力低減層88を均一に形成しても凹凸ができてトナーがトラップされる可能性が生じる。
【0072】
粒子結着体86の押し当て力は、1〜20g/cmの範囲が最適で、20g/cmを超えると、図6に示すように過剰に付着し、トナー付着力低減層88が2〜3層になって、トナー89が転写された後、中間転写体10表面に保持されないか、中間転写体10に付着して搬送している途中で転移してしまうおそれがある。また、1g/cmを下回ると粒子結着体86と中間転写体10の接触が不均一になり、トナー付着力低減層88が形成されない部分が発生して、結果的に中間転写体10表面へのトナーの固着が促進されることとなる。
【0073】
ところで、図示例では、粒子結着体86を中間転写体10に直接押し当て、粒子結着体86の粒子87を中間転写体10に付着した。しかし、図示省略するが、ブラシを用いて粒子結着体86から削り落とした粒子を中間転写体10に付着するようにしてもよい。
【0074】
この場合、粒子結着体86および中間転写体10に対するブラシの喰い込み量は、それぞれ0.5mm〜2mmが最適で、2mmを超えるとブラシによる当接ムラが顕著になり、0.5mmを下回ると当接圧の低下による粒子結着体86からの掻き取り、および中間転写体10表面への付着を十分行うことができなくなる。
【0075】
ここで、粒子87として、ステアリン酸亜鉛を用いた場合について説明する。
ステアリン酸亜鉛は、トナーとの分散性がよいが、トナーと逆の帯電特性を有していてトナーとの付着力も高い。これに類する材料として、ワックス材料を上げることができる。それは、カルナウバワックス、ポリプロピレン等の有機材料によるものである。
【0076】
つまり、ステアリン酸亜鉛を使用することにより、トナー89との付着力を高めて中間転写体10上でのトナー89の保持を確実とする一方、粒子87が中間転写体10上に最密充填されていることから、トナー89が中間転写体10に直接付着する可能性を著しく低減する。さらに、ステアリン酸亜鉛の帯電特性は、トナーとは逆であるから、トナー89を付着しやすくすると同時に、ステアリン酸亜鉛と中間転写体10の付着力は低減するので、中間転写体10上の残トナーはクリーニング装置17で十分掻き取りことができる。
【0077】
次に、粒子87として、ふっ素樹脂を含有するものを用いた場合について説明する。
【0078】
ふっ素樹脂は、トナー89、中間転写体10、感光体40の表面材料に対して離型性を有する。これは、ふっ素自体の表面エネルギが他の材料に対して低いことが理由として上げられる。また、ふっ素樹脂は、中間転写体10とも離型性が高いために、表面へのトナー、部材の付着を回避することができる。
【0079】
主たる材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニールエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等を上げることができる。これらの材料の組合せもしくは導電性材料等の含有は、中間転写体10の体積および表面抵抗の特性に大きく関係するので適宜調整するのがよい。
【0080】
ふっ素樹脂材料の採用により、トナー89と基本的に逆極性に帯電してトナー89との静電的付着力を低減し、中間転写体10上に存在する転写残トナーをクリーニング装置17で掻き取ることを可能として、次の画像での残像の発生を防止することができる。
【0081】
さて、上述した粒子結着体86の押し当て強さは、加減可能とすることもできる。
【0082】
例えば図7に示すように、中間転写体10に向けて、発光素子90と受光素子91とを備え、フォトセンサ等の発光素子90から発した光を、トナー顕像パターンを形成した中間転写体10表面で反射して受光素子91に入れ、濃度を検出して、それに基づき中間転写体10に対する粒子結着体86の押し当て強さを変更するようにする。
【0083】
検出タイミングは、例えばA4サイズのシートの長さ29.7cmに対して5〜10回とし、最小間隔約3cmとする。図8にそれにより検出された、画像パターンによる検出出力電圧を示す。ハーフトーン画像では出力が高く、ベタ画像では出力が低くなっている。
【0084】
ハーフトーン画像では、ベタ画像と比較して残トナーの面積率が低いために、クリーニングブレード83による当接でよりトナー付着力低減層88が掻き取られやすく、部分的には剥離してしまう可能性もある。
【0085】
そこで、当初より積算してきた積分値をある値に設定しておいて、その値に達したときに粒子結着体86の押し当て力を10g/cmから15g/cmへ約10枚画像形成分、アップさせ、図9に示すようにトナー付着力低減層88の形成を促進させる。押し当て力および押し当て時間は、先に述べたプロセス線速に大きく依存するものでシステムにより最適化するとよい。
【0086】
ところで、非画像形成時に中間転写体10を回転し、クリーニング装置17のクリーニングブレード83を中間転写体10に当接して、表面に付着した粒子を除去し、その後粒子結着体86を一定時間押し当てて均一なトナー付着力低減層88を形成するようにするとよい。
【0087】
非画像形成時に中間転写体10を回転し、クリーニング装置17のクリーニングブレード83を中間転写体10に当接すると、約1分でトナー付着力低減層88が剥離する。それは、トナー付着力低減層88が単純に付着しているだけであるからで、それ以上行うと、クリーニングブレード83との相互作用で中間転写体10表面が傷つき凹凸形状になる。
【0088】
その後、粒子結着体86を約2分間、押し当てると、均一なトナー付着力低減層88を形成することができる。これまでのものはトナーがトナー付着力低減層88の間に入り込む場合もあったが、このようにすると、完全にトナーを中間転写体10表面から除去することが可能となる。これにより、常に転写残トナーのクリーニングが確実に行われ、残像、固着等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式のカラー複写機における全体概略構成図である。
【図2】そのカラー複写機で用いるタンデム型画像形成装置の部分拡大構成図である。
【図3】そのカラー複写機の要部拡大構成図である。
【図4】その中間転写体クリーニング装置まわりの拡大構成図である。
【図5】その中間転写体へのトナー付着状態を示す部分拡大図である。
【図6】その中間転写体への別のトナー付着状態を示す部分拡大図である。
【図7】その中間転写体上に形成したトナー顕像パターンの濃度を測定する光学検知手段の構成説明図である。
【図8】画像パターンによる検出出力電圧を示す図である。
【図9】トナー付着力低減層の層厚の変化を示す図である。
【図10】従来のタンデム型間接転写方式のカラー複写機の要部構成図である。
【符号の説明】
【0090】
10 中間転写体
17 中間転写体クリーニング装置
22 2次転写装置
40 感光体(像担持体)
82 ファーブラシ
83 クリーニングブレード
86 粒子結着体
87 粒子
88 トナー付着力低減層
89 トナー
90 発光素子
91 受光素子




【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成したトナー画像を表面に転写し、その転写したトナー画像をシートに2次転写する電子写真装置の中間転写体において、表面にトナーの付着力を低減するトナー付着力低減層を均一に形成してなる、中間転写体。
【請求項2】
前記トナー付着力低減層を、ステアリン酸亜鉛を用いて形成してなる、請求項1に記載の中間転写体。
【請求項3】
前記トナー付着力低減層を、ふっ素樹脂を用いて形成してなる、請求項1に記載の中間転写体。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の中間転写体を備えてなる、電子写真装置。
【請求項5】
前記中間転写体に粒子結着体を押し当てて前記中間転写体の回転とともに粒子を付着し、その付着した粒子により前記トナー付着力低減層を形成してなる、請求項4に記載の電子写真装置。
【請求項6】
前記粒子結着体の押し当て強さを加減可能としてなる、請求項5に記載の電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−112203(P2008−112203A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23473(P2008−23473)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【分割の表示】特願2001−984(P2001−984)の分割
【原出願日】平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】