説明

電子制御装置

【課題】放熱ゲルを用いた放熱性の高い電子制御装置を提供する。
【解決手段】基板20に実装される半導体素子31は、半導体チップ、半導体チップと基板とを電気的に接続するリード、及び半導体チップをモールドする樹脂部を有する。ケース50は、半導体素子31を収容する。放熱ゲル60は、半導体素子31と接触している。また、放熱ゲル60は、半導体素子31から発生する熱を、半導体素子31の基板20と反対方向の第1カバー51に導く。基板20と第1カバー51との間に設けられる溝部54を有しているので、放熱ゲル60の移動が抑制され、放熱ゲル60を介してケース側へ高効率に放熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体パッケージから発生する熱を放熱するために、半導体パッケージとヒートシンクとの間に熱伝導性グリス(以下、「放熱ゲル」という)を用いる技術が公知である(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−244394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、車両に搭載されるモータ及びモータの駆動に係る電子制御装置(以下、「ECU」という。)が多く用いられるため、モータ及びECUの占める体積が増大する傾向にある。一方、車室空間を広げるため、モータやECUを配置するための空間は減少している。そのため、モータやECUの体格を小型化することが望まれている。
例えば運転者による操舵をアシストする電動式パワーステアリングシステム(以下、「EPS」という。)に用いられる電子制御装置は、モータを駆動するために大電流を通電する必要があり、発熱量が大きい。そのため、体格を小型にしつつ、放熱性を向上させる必要がある。
しかしながら、特許文献1の技術のように、放熱性を向上させるために車両のECUに
放熱ゲルを使用する場合、振動等の影響により放熱ゲルが移動してしまうという問題点があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放熱ゲルを用いた放熱性の高い電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明の電子制御装置は、基板と、半導体素子と、ケースと、放熱ゲルと、移動抑制手段と、を備える。基板に実装される半導体素子は、半導体チップ、半導体チップと基板とを電気的に接続するリード、及び半導体チップをモールドする樹脂部を有する。ケースは、半導体素子を収容する。放熱ゲルは、半導体素子と接触している。また、放熱ゲルは、半導体素子から発生する熱を、半導体素子の基板と反対方向のケースに導く。
【0006】
本発明では、基板とケースとの間に設けられる移動抑制手段を有しているので、放熱ゲルの移動が抑制され、放熱ゲルを介してケース側へ高効率に放熱することができる。なお、本発明における移動抑制手段は、物理力によって放熱ゲルの移動を抑制するものであり、例えば、障壁の形成、摩擦力の増大等によるものである。なお、本発明では、例えば基板とは反対方向のケースに凸部を形成することにより、ケースの一部が半導体素子の側面に位置するものも、「基板と反対方向のケース」に含まれるものとする。
【0007】
移動抑制手段には、以下の構成を採用することができる。
請求項2に記載の発明では、移動抑制手段は、ケースの半導体素子と対向する部位に形成された凹部である。この凹部に放熱ゲルが収容されることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
請求項3に記載の発明では、移動抑制手段は、ケースの半導体素子と対向する部位に形成される溝部である。ケースに溝部が設けられることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0008】
請求項4に記載の発明では、移動抑制手段は、樹脂部のケースと対向する面の外周に形成された突出部である。この突出部の内部に放熱ゲルが収容されることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
請求項5に記載の発明では、移動抑制手段は、基板とケースとの間に設けられ、半導体素子の側面を取り囲んで形成される壁部である。この壁部の内部に放熱ゲルが収容されることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
請求項6に記載の発明では、移動抑制手段は、放熱ゲルの表面を覆う保護部材である。放熱ゲルは、保護部材によって覆われるので、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0009】
請求項7に記載の発明では、移動抑制手段は、放熱ゲルとケースとの間に設けられ、粘着性を有するシート部材である。粘着性を有するシート部材を放熱ゲルとケースとの間に設けることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。特に、低硬度のシート部材を用いる場合、基板への応力を吸収することができる。
【0010】
請求項8に記載の発明では、移動抑制手段は、ケースの放熱ゲルと接触する部位に設けられる粗化部である。ケースの放熱ゲルとの接触面を粗化加工することにより摩擦力が増大し、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0011】
ところで、電子制御装置は、以下の構成とすることができる。
請求項9に記載の発明では、基板と反対側にて半導体チップと接触し、少なくとも一部が樹脂部から露出して放熱ゲルと接触する放熱板を備える。放熱板は、樹脂部に埋設されて表面のみが露出していてもよいし、大部分が樹脂部の外部に設けられていてもよい。
移動抑制手段は、放熱板に設けることができる。
請求項10に記載の発明では、移動抑制手段は、放熱板の放熱ゲルと接触する部位に設けられる粗化部である。放熱板の放熱ゲルとの接触面を粗化加工することにより摩擦力が増大し、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
請求項11に記載の発明では、移動抑制手段は、放熱板に形成された溝部である。放熱板に溝部が設けられることにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
請求項12に記載の発明では、移動抑制手段は、放熱板に形成された穴部である。放熱板に穴部を形成することにより、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0012】
ところで、請求項13に記載の発明のように、半導体素子が基板に複数実装されることがある。
請求項14に記載の電子制御装置では、半導体素子は、基板に複数実装される。請求項14に記載の発明のように、半導体素子を基板の両面に実装し、それぞれの半導体素子が基板と反対側にあるケースに放熱すれば、反対側に実装された半導体素子との熱干渉を抑制することができ、高効率に放熱することができる。また、半導体素子が基板の両面に実装されるので、体格を小型化することができる。
【0013】
請求項15に記載の発明では、放熱ゲルは、半導体素子ごとに設けられる。本発明では、移動抑制手段を有しているので、ケース内部全体に充填する必要がなく、放熱ゲルの使用量を低減することができる。
請求項16に記載の発明では、移動抑制手段は、ケースに設けられ、複数の半導体素子の間を仕切るリブである。移動抑制手段として、ケースの半導体素子間にリブを設けることにより、放熱ゲルの使用量を抑えつつ、放熱ゲルの移動をより抑制することができる。また、ケースにリブを設けることによって、放熱表面積が増加することにより、高効率に放熱することができる。さらに、リブを設けることにより、ケースの歪み防止にも寄与する。
【0014】
ここまでは移動抑制手段について言及したが、本発明はケースにも特徴を有している。以下、ケースの特徴について述べる。
請求項17に記載の発明では、ケースは、基板の一方の面を覆う第1カバー、及び基板の他方の面を覆う第2カバーを有している。なお、ケースが移動抑制手段を有している場合、第1カバー及び第2カバーの少なくとも一方が移動抑制手段を有していればよいが、いずれもが有するように構成しても、もちろんよい。
請求項18に記載の発明では、第1カバーは、基板と対向するカバー面と、カバー面の外周から基板方向に設けられる側壁とを有している。また、側壁の内側には、基板を係止するための爪部が突設されている。爪部を有しているので、第1カバーに対して基板を位置決めすることができる。
【0015】
請求項19記載の発明は、第1カバーは、爪部との間に基板及び第2カバーを挟持するかしめ部を有する。これにより、基板及び第2カバーの固定に用いるネジ等が不要になるので、部品点数や組み付け工数を低減することができる。
請求項20に記載の発明では、爪部の基板側の端部は、側壁と垂直な平面状に形成される。これにより、基板表面を確実に係止することができる。
請求項21に記載の発明では、第1カバー及び第2カバーの少なくとも一方は、外周から外方向に突設され、取付穴を有する取付部を有する。これにより、ネジ等を用いて電子制御装置を車両等に容易に組み付けることができる。特に、第1カバー及び第2カバーの両方に取付部を設ければ、第1カバーと第2カバーとを共締めすることにより、かしめ部を設ける必要が無く、さらに組み付け工数を低減することができる。
【0016】
請求項22に記載の発明では、第2カバーは、基板側に突出するガイド部を有している。また、基板は、ガイド部と対応する位置に設けられるガイド穴部を有している。ガイド穴部にガイド部を挿入することにより、第2カバーに対して基板を位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による電子制御装置の要部を拡大した模式的な断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による電子制御装置の組み付け構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による電子制御装置の回路図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による電子制御装置を示す模式的な図であって、(a)は断面図、(b)はP方向矢視図である。
【図8】本発明の第5実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態による電子制御装置を示す模式的な図であって、(a)は断面図、(b)はQ−Q線断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態による電子制御装置を示す模式的な断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態による電子制御装置を示す模式的な平面図である。
【図13】本発明の第10実施形態による電子制御装置を示す模式的な図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図14】本発明の第11実施形態による電子制御装置を示す模式的な図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図15】本発明の第12実施形態による電子制御装置を示す分解斜視図である。
【図16】本発明の第12実施形態による電子制御装置のかしめ部近傍の模式的な断面図である。
【図17】図16のK方向矢視図である。
【図18】本発明の第13実施形態による電子制御装置を示す分解斜視図である。
【図19】本発明の第14実施形態による電子制御装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態は、請求項1、3、9、13、15、16に記載の発明の特徴を具現化下ものである。
図1〜図4に示すように、電子制御装置(以下、「ECU」という。)1は、例えば車両のEPSに用いられ、操舵トルク信号及び車速信号に基づき、操舵のアシスト力を発生するモータ101を駆動制御するものである。
【0019】
ECU1は、基板20、半導体素子としてのパワーMOSFET(以下、単に「パワーMOS」という)31〜34、ケース50等を備えている。
基板20は、例えばガラス織布とエポキシ樹脂からなるFR−4等のプリント配線板である。基板20には、パワーMOS31〜34の他に、アルミ電解コンデンサ103、コイル104、リレー105、シャント抵抗107、及びマイクロコンピュータ(以下、「IC」という。)108等が実装されている。また、基板20には、コネクタ109が接続されている。本形態では、パワーMOS31〜34及びIC108が基板20の第1面21に設けられ、アルミ電解コンデンサ103、コイル104、リレー105、シャント抵抗107、及びコネクタ109が基板20の第1面21と反対側の第2面22に設けられている。
【0020】
パワーMOS31〜34は、コネクタ109を経由してバッテリー102からモータ101に供給される電流をスイッチングしている。図4に示すように、本形態の駆動回路は、Hブリッジモータ駆動回路である。ハンドルを右旋回するとき、モータ101に対して対称に設けられた2つのパワーMOS31、32がオン(導通)されることによって、モータ101が駆動される。このとき、残り2つのパワーMOS33、34はオフ(遮断)されている。また、ハンドルを左旋回するとき、パワーMOS33、34がオンされ、パワーMOS31、32がオフされることによって、モータ101が駆動される。右旋回から左旋回に切り替わるとき、パワーMOS31よりもパワーMOS32が先にオフされる。一方、左旋回から右旋回に切り替わるとき、パワーMOS33よりもパワーMOS34が先にオフされる。このとき、パワーMOS31及びパワーMOS33に電流が流れるので、パワーMOS31及びパワーMOS33から発生する熱量は、パワーMOS32及びパワーMOS33から発生する熱量よりも大きくなる。
なお、パワーMOS31〜34の構造の詳細については後述する。
【0021】
アルミ電解コンデンサ103は、電荷を蓄えることにより、パワーMOS31〜34への電力供給を補助したり、サージ電圧などのノイズ成分を抑制したりする。コイル104はノイズを低減するため、リレー105はフェールセーフのために、それぞれ設けられている。IC108は、コネクタ109を経由して入力される操舵トルク信号及び車速信号に基づき、モータ101の回転方向及び回転トルクを検出し、ドライバから信号を出力することで、パワーMOS31〜34のスイッチングを制御する。また、IC108は、パワーMOS31〜34の発熱する温度をモニタリングしている。
【0022】
ケース50は、アルミプレート或いは亜鉛鋼板等で形成される第1カバー51及び第2カバー52を有している。ケース50をアルミダイカストではなく、アルミプレート或いは亜鉛鋼板で形成することにより、ケース50を軽量化することができ、ひいてはECU1全体の軽量化に寄与する。第1カバー51は、基板20の第1面21側に設けられ、パワーMOS31〜34及びIC108を収容する。第2カバー52は、基板20の第2面22側に設けられ、アルミ電解コンデンサ103等の電子部品を収容する。第1カバー51と第2カバー52とは、ネジ59によって固定され、基板20を挟持する。
【0023】
次に、図2に基づいて、パワーMOS31〜34について説明する。なお、図2は、パワーMOS31の近傍のみを拡大して図示したものである。ここでは、パワーMOS31について説明する。
パワーMOS31は、半導体チップ41、リード42、放熱板44、樹脂部46等を有している。半導体チップ41は、基板20側に露出する金属製のプレート49上に設けられている。半導体チップ41の基板20と反対側の面には、リード42と一体に形成される放熱板44が設けられている。なお、本形態ではリードと放熱板44が一体に形成されているが、一体でなくてもよい。リード42は、はんだ43によって基板20上に形成される図示しない回路パターンと電気的に接続される。半導体チップ41は、はんだ43、リード42、放熱板44を経由して基板20と電気的に接続される。樹脂部46は、半導体チップ41、リード42の一部、放熱板44、及びプレート49をモールドする。放熱板44とプレート49は、樹脂部46から表面が露出している。
【0024】
パワーMOS31の基板20の反対側には、第1カバー51との間に放熱ゲル60が設けられる。放熱ゲル60は、例えばシリコン等を主成分とするものであって、車両に搭載された後(例えば、150℃で500時間経過した後)も硬化せず、ある程度の粘度を維持するものである。放熱ゲル60は、パワーMOS31と接触し、パワーMOS31から発生する熱を、第1カバー51に導く。図2に示すように、放熱ゲル60は、基板20と第1カバー51との間を充填するのではなく、パワーMOS31の第1カバー51側の面を覆う程度の量が塗布されている。すなわち、放熱ゲル60は、パワーMOSごとに設けられている。この放熱ゲル60により、パワーMOS31にて発生した熱が、第1カバー51側へ放熱される。なお、パワーMOS31にて発生した熱は、プレート49を介して基板20側へも放熱される。
【0025】
第1カバー51のパワーMOS31と対向する部位は、プレス等により凹凸加工され、移動抑制手段としての溝部54が形成されている点に本形態は特徴を有している。溝部54が形成されているので、放熱ゲル60の移動が抑制される。また、図1及び図3に示すように、第1カバー51には、パワーMOS31〜34の間を仕切るようにリブ56が形成され、4つの収容室61〜64が形成される。このリブ56も、移動抑制手段として機能している。なお、このリブ56にて形成された収容室61〜64を移動抑制手段としての凹部と捉えることもできる。
なお、基板20と第2カバー52との間にも放熱ゲル65が設けられる。そして、第2カバー52の放熱ゲル65と対向する部位には、溝55が形成されているので、放熱ゲル65の移動が抑制される。
【0026】
ここで、図3に基づいてECU1の組み付け方法について説明する。なお、図3においては、パワーMOS31〜34、シャント抵抗107、コネクタ109以外の電子部品については省略している。
まず、必要量の放熱ゲル60が、第1カバー51の収容室61〜64に塗布される。また、基板20に実装されたパワーMOS31〜34が、放熱ゲル60が塗布されている収容室61〜64に収容される。そして第2カバー52が基板20のパワーMOS31〜34の実装される面と反対側の面に設置され、ネジ59によって第1カバー51と固定される。そして、第1カバー51の外周から外方向に突設された取付部71の取付穴72にネジ等を挿通し、車両等に取り付ける。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態のECU1は、第1カバー51のパワーMOS31〜34と対向する部位に溝部54が形成されている。これにより、振動等により放熱ゲル60の移動を抑制することができる。また、放熱ゲル60と第1カバー51との接触面積が大きくなるので、放熱性が向上する。なお、第2カバー52の溝55も、溝部54と同様の効果を奏する。
【0028】
また、放熱ゲル60は、パワーMOS31〜34ごとに設けられている。また、第1カバー51のパワーMOS31〜34の間を仕切るようにリブ56が設けられている。これにより、放熱ゲルの使用量を抑えつつ、放熱ゲルの移動を抑制することができる。また、リブ56を設けてパワーMOS31〜34ごとに収容室61〜64を仕切ることにより、放熱表面積が増加するので、放熱性が向上する。さらに、リブ56を設けることにより、第1カバー51の歪み防止にも寄与する。この歪みを防止する効果は、第2カバー52における溝55においても同様である。
【0029】
以下、第2実施形態〜第11実施形態では、移動抑制手段の変形例を説明する。なお、図5〜図11は、第1実施形態の図2に対応する図面であり、1つのパワーMOSのみを図示ししている。ECU1の全体構成については、第1実施形態と同様であり、説明を省略した。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を、図5に基づいて説明する。第2実施形態は、請求項2に記載の発明の特徴を具現化したものである。
図5に示すパワーMOS310は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。パワーMOS310の基板21と反対側には、第1カバー510が設けられている。第1カバー510のパワーMOS310と対向する部位には、移動抑制手段としての凹部511が形成されている。この凹部511の内側には、放熱ゲル60が塗布されている。そして、放熱ゲル60を挟むようにして、パワーMOS310の基板20と反対側の端部が、凹部511に収容される。
本形態では、凹部511の内側に形成された空間に放熱ゲル60が収容されているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲル60の移動を抑制することができる。
【0031】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を、図6に基づいて説明する。第3実施形態は、請求項4に記載の発明を具現化したものである。
図6に示すパワーMOS320は、樹脂部321の第1カバー520と対向する面の外周に移動抑制手段としての突出部322が形成されている。この突出部322の内側には、放熱ゲル60が塗布されている。
本形態では、突出部322の内側に形成された空間に放熱ゲル60が収容されることにより、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲル60の移動を抑制することができる。
【0032】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を、図7に基づいて説明する。第4実施形態は、請求項8に記載の発明を具現化したものである。図7においては、(a)が第1実施形態の図2と対応する図であり、(b)が第1カバー530をP方向から見た図である。
図7に示すパワーMOS330は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。パワーMOS330の基板20と反対側には、第1カバー530が設けられている。また、パワーMOS330と第1カバー530との間には、放熱ゲル60が設けられている。本形態では、第1カバー530の放熱ゲル60と接触する部位に、移動抑制手段としての粗化部531が形成されている。この粗化部531は、ショットブラストや粗化めっきによって形成される。
本形態では、第1カバー530の放熱ゲル60と接触する部位に粗化部531が形成されているので、第1カバー530と放熱ゲル60との摩擦力が増大し、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0033】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を、図8に基づいて説明する。本発明の第5実施形態は、請求項7に記載の発明を具現化したものである。
図8に示すパワーMOS340は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。また、パワーMOS340の基板20と反対側に放熱ゲル60が設けられている。本形態では、放熱ゲル60と第1カバー540との間に、粘着性を有する移動抑制手段としての放熱シート601が設けられている。放熱シート601は、シリコンを主成分とするものであり、高硬度の放熱シートである。なお、放熱ゲル60もシリコンを主成分とするものであるため、吸着性がよい。これにより、放熱ゲル60は、放熱シート601と密着するので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0034】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を、図9に基づいて説明する。本発明の第6実施形態は、請求項7に記載の発明を具現化したものである。
図9に示すパワーMOS350は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。本形態では、パワーMOS350と第1カバー550との間に、粘着性を有する移動抑制手段としての放熱シート602が設けられている。放熱シート602は、シリコンを主成分とするものである。なお、放熱ゲル60もシリコンを主成分とするものであるため、吸着性がよい。また放熱シート602は、第5実施形態の放熱シート601よりも低硬度のものであり、放熱シート601よりも厚く形成されている。また、放熱ゲル60は、パワーMOS350の側面を囲むように、基板20と放熱シート602との間に設けられている。
【0035】
本形態では、放熱ゲル60が放熱シート602と密着するので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。また、放熱ゲル60は、パワーMOS350の側面を囲むように設けられており、パワーMOS350の側面からも放熱するので、放熱性が向上する。さらに、本形態では、比較的厚みのある低硬度の放熱シート602を備えているので、基板20へ応力を吸収することができる。
なお、放熱シート601及び放熱シート602がシート部材に対応している。
【0036】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を、図10に基づいて説明する。本発明の第7実施形態は、請求項5に記載の発明を具現化したものである。図7においては、(a)が第1実施形態の図2と対応する図であり、(b)が図7(a)のQ−Q線断面図である。
図10に示すパワーMOS360は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。本形態では、基板20と第1カバー560との間に、パワーMOS360の側面を取り囲んで形成される移動抑制手段としての壁部603を備えている。この壁部603は、第6実施形態の放熱シート602と同様の素材である。そして、壁部603の内壁で取り囲まれる空間604に放熱ゲル60が注入され、空間604の放熱ゲル60にパワーMOS360が埋められる。
【0037】
本形態では、壁部603で囲まれた空間604に放熱ゲル60が収容されることにより、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。また、パワーMOS360は、空間604の放熱ゲル60に埋められており、パワーMOS360の側面からも放熱されるので、放熱性が向上する。また、壁部603は、比較的厚みがあり、また第6実施形態の放熱シート602と同様、低硬度のシリコン材で形成されているため、基板20への応力を吸収することができる。
【0038】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態を、図11に基づいて説明する。本発明の第8実施形態は、請求項6に記載の発明を具現化したものである。
図11に示すパワーMOS370は、第1実施形態のパワーMOS31〜34と同様の構成である。パワーMOS370の基板20と反対側には、第1カバー570が設けられている。また、パワーMOS370と第1カバー570との間には、放熱ゲル60が設けられる。本形態の放熱ゲル60の表面は、移動抑制手段としての保護部材605で覆われる。保護部材605は、例えば、ポリオレフィン、アクリル、ポリウレタン等が主成分である防滴材が用いられる。放熱ゲル60は、保護部材605で覆われているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0039】
以下に示す本発明の第9実施形態〜第11実施形態では、移動抑制手段は、放熱板に形成されている。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態を、図12に基づいて説明する。本発明の第9実施形態は、請求項10に記載の発明を具現化したものである。なお、図12は、パワーMOSの平面図であり、基板、放熱ゲル、ケース等は省略した。
図12に示すパワーMOS380は、図示しない基板と反対側に放熱板441が樹脂部461から露出している。放熱板441の露出面には、移動抑制手段としての粗化部442が設けられ、放熱ゲルと接触する。この粗化部442は、ショットブラストや粗化めっきによって形成される。
本形態では、放熱板441の放熱ゲルと接触する部位に粗化部442が設けられているので、放熱板441と放熱ゲルとの摩擦力が増大し、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0040】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態を、図13に基づいて説明する。本発明の第10実施形態は、請求項11に記載の発明を具現化したものである。図13においては、(a)がパワーMOSの平面図であり、(b)がパワーMOSの側面図である。なお、基板、放熱ゲル、ケース等は省略した。
図13に示すパワーMOS390の放熱板445は、その大部分が樹脂部462から図示しないカバー側へ露出し、樹脂部462よりも大きく形成されている。放熱板445の樹脂部462と反対の端面446とカバーとの間には、放熱ゲルが設けられる。端面446には、プレス等により、移動抑制手段としての溝部447が形成される。
本形態では、放熱ゲルが接触する放熱板445の端面446に溝部447が形成されているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0041】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態を、図14に基づいて説明する。本発明の第11実施形態は、請求項12に記載の発明を具現化したものである。図14においては、(a)がパワーMOSの平面図であり、(b)がパワーMOSの側面図である。なお、基板、放熱ゲル、ケース等は省略した。
図14に示すパワーMOS395の放熱板455は、第10実施形態と同様、その大部分が樹脂部462から図示しないカバー側へ露出し、樹脂部462よりも大きく形成されている。放熱板455の樹脂部462と反対側の端面456とカバーとの間には、放熱ゲルが設けられる。端面456には、切削等により、移動抑制手段としての複数の穴部457が形成される。
本形態では、放熱ゲルが接触する放熱板455の端面456に穴部457が形成されているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲルの移動を抑制することができる。
【0042】
ここまでは、移動抑制手段の変形例について述べたが、以下、第12実施形態〜第14実施形態では、ケースの変形例を説明する。第12実施形態〜第14実施形態は、請求項13〜22の発明を具現化したものである。図15、図18、図19は、第1実施形態の図3と同様に、アルミ電解コンデンサ等の電子部品は省略している。
【0043】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態を、図15〜図17に基づいて説明する。
図15に示すように、本形態のECU2は、基板220、ケース250等を有している。
基板220の第1面221にはコネクタ209が設けられ、基板220の第1面221と反対側の第2面222には、パワーMOS231〜234、シャント抵抗107が設けられる。また基板220には、ガイド穴部225が設けられている。
【0044】
ケース250は、アルミプレート或いは亜鉛鋼板等でプレス形成される第1カバー251及び第2カバー271を有している。ケース250をアルミダイカストではなく、アルミプレート或いは亜鉛鋼板で形成することにより、ケース250を軽量化することができ、ひいてはECU2全体の軽量化に寄与する。第1カバー251は、基板220の第1面221側に設けられ、第2カバー271は、基板220の第2面222側に設けられる。
【0045】
第1カバー251は、基板220と対向するカバー面253、及びカバー面253の外周の基板220方向に設けられる側壁254から構成される。側壁254は、コネクタ209を収容する切欠部255が形成されている。側壁254の切欠部255が形成される面と向かい合う面、及び略直行する2つの面の内側には、爪部261〜266が突設される。爪部261〜266は、側壁254のそれぞれの面に2個ずつ形成されている。すなわち、切欠部255が形成される面と向かい合う面には、爪部261、262が形成される。また、切欠部255が形成される面と略直行する一方の面には、爪部263、264が形成され、切欠部255が形成される面と略直行する他方の面には、爪部265、266が形成される。爪部261〜266の基板220側の端面は、側壁254と略垂直に形成されている。また、側壁254には、基板220側に突設されるかしめ部267〜269が形成されている。かしめ部267は爪部261と262の間に設けられ、かしめ部268は爪部263と264との間に設けられ、かしめ部269は爪部265と266との間に設けられる。ECU2が組み付けられたとき、爪部261〜266とかしめ部267〜269によって、基板220と第2カバー271とが固定される。
【0046】
図15に示すように、第2カバー271は、放熱ゲル260及びパワーMOS231〜234を収容するための移動抑制手段としての凹部273が形成されている。また、第2カバー271の周縁には、底面と略水平に形成される周縁部274が設けられている。取付部275は、周縁部274から外側に略水平に突設される。取付部275は、ECU2を車両に取り付けるための取付穴276、及び歪み防止リブ277を有している。また、第2カバー271は、基板220ガイド穴部225に対応する位置に、基板220側に突出するガイド部279を有している。これにより、基板220は、第2カバー271に対して位置決めされる。
【0047】
ECU2を組み付けた際、爪部261〜266、及びかしめ部267〜269によって、基板220と第2カバー271とを固定する固定方法について図15〜図17に基づいて説明する。なお、図16及び図17には、爪部263、264及びかしめ部268近傍を示したが、他の爪部及びかしめ部についても同様の構成である。
第2カバー271のガイド部279を基板220のガイド穴部225に挿入し、第2カバー271に対して基板220を位置決めする。第1カバー251を基板220の上部に被せると、爪部261〜266の基板220側の端面が基板220の第1面221に当接する。そして、かしめ部267〜269を折り曲げて、基板220を爪部261〜266に押し付けながらかしめることにより、爪部261〜266とかしめ部267〜269の間に、基板220と第2カバー271とが挟持される。
【0048】
本形態では、第2カバー271に凹部273が設けられているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲル260の移動を抑制することができる。
本形態では特に、ケース250に特徴を有している。ケース250の第1カバー251は、爪部261〜266およびかしめ部267〜269を有している。そして、かしめ部267〜269をかしめて、爪部261〜266とかしめ部267〜269との間に基板220と第2カバー271とを挟持している。これにより、基板220、第1カバー251、及び第2カバー271を固定するためのネジが不要になる。したがって、部品点数を低減することができる。また、組み付け工数を低減することができる。
【0049】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態を図18に基づいて説明する。
本形態のECU7は、基板720、ケース750等を有している。
基板720の第1面721には、コネクタ709及びパワーMOS732、734が設けられている。基板720の第1面721と反対側の第2面722には、パワーMOS731、733、シャント抵抗107が設けられている。なお、パワーMOS731の裏側には、パワーMOS734が配置され、パワーMOS733の裏側には、パワーMOS732が配置される。本形態では、パワーMOS731が第1実施形態のパワーMOS31と対応し、パワーMOS732が第1実施形態のパワーMOS32と対応し、パワーMOS733が第1実施形態のパワーMOS33と対応し、パワーMOS734が第1実施形態のパワーMOS34と対応している。ハンドルを右旋回するとき、斜めに配置されているパワーMOS731、732がオンされ、ハンドルを左旋回するとき、斜めに配置されているパワーMOS733、734がオンされる。すなわち、同時にオンされるパワーMOSは、基板の異なる面に設けられており、かつ、離れて配置されていることにより、熱干渉を抑制している。
【0050】
ケース750は、第12実施形態のケース250と同様、アルミプレート或いは亜鉛鋼板等でプレス形成される第1カバー751及び第2カバー271を有している。ケース750をアルミダイカストではなく、アルミプレート或いは亜鉛鋼板で形成することにより、ケース750を軽量化することができ、ひいてはECU7全体の軽量化に寄与する。第1カバー751は、基板720の第1面721側に設けられ、第2カバー771は、基板720の第2面722側に設けられる。
【0051】
第1カバー751は、基板720と対向するカバー面753、及びカバー面753の外周の基板720方向に設けられる側壁754から構成される。カバー面753には、放熱ゲル760、及び、パワーMOS732、734を収容するため収容部757が形成されている。収容部757の内部には、移動抑制手段としての凹部758が形成されている。また、凹部758の内部には、パワーMOS732と734との間を仕切る移動抑制手段としてのカバーリブ759が設けられている。
【0052】
また、第1カバー751には、第12実施形態と同様、爪部261〜266及びかしめ部267〜269が設けられており、第12実施形態と同様の方法で組み付けることができる。これにより、基板720、第1カバー751、及び第2カバー771を固定するためのネジが不要になり、部品点数及び組み付け工数を低減することができる。
【0053】
第2カバー771は、放熱ゲル760及びパワーMOS731、733を収容するための移動抑制手段としての凹部773が形成されている。また、凹部773の内部には、パワーMOS731と733との間を仕切る移動抑制手段としてのカバーリブ772が形成されている。
【0054】
本形態では、第1カバー751に凹部758が設けられ、第2カバー771に凹部773が設けられているので、上記実施形態と同様、振動等による放熱ゲル760の移動を抑制することができる。
また、第1カバー751の凹部758の内部には、パワーMOS732と734とを仕切るカバーリブ759が形成されている。第2カバー771の凹部773には、パワーMOS731と733とを仕切るカバーリブ772が形成されている。これにより、放熱ゲル760の移動を抑制できる他、放熱表面積が増加することによる放熱性の向上、及び第1カバー751及び第2カバー771の歪みを防止するといった効果を奏する。また、放熱ゲル760の塗布量を低減することができる。
【0055】
さらに、本形態では、パワーMOS732、734は、基板720の第1面721に実装され、パワーMOS731、733は、基板720の第1面とは反対側の第2面722に設けられている。パワーMOS732、734から発生した熱は、放熱ゲル760を介して第1カバー751に放熱される。また、パワーMOS731、733から発生した熱は、放熱ゲル760を介して第2カバー771に放熱される。これにより、パワーMOS731、733と、パワーMOS732、734との熱干渉を抑制することができ、高効率の放熱することができる。また、パワーMOS731〜734が、基板720の両面に実装されるので、基板面積を小さくすることができ、体格を小型化することができる。
【0056】
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態を図19に基づいて説明する。第14実施形態は、第13実施形態の変形例である。
第14実施形態のECU8では、第1カバー851にかしめ部が形成されていない。一方、第1カバー851には、側壁854から外側に略水平に突設される取付部875が形成されている。この取付部875は、第2カバー771の取付部275を対応する位置に設けられている。また取付部875は、第2カバー771の取付部275と同様、ECU8を車両に取り付けるための取付穴876、及び歪み防止用リブ877を有している。
【0057】
本形態では、ECU8を車両に組み付ける際、第2カバー871のガイド部279を基板720のガイド穴部225に挿入して位置決めし、第1カバー851を被せ、第1カバー851の取付穴876及び第2カバー851の取付穴276にネジ880を挿通して共締めする。
これにより、第13実施形態と同様の効果を奏する他、かしめ工程を削減できるため、組み付け工数を低減することができる。
【0058】
(他の実施形態)
上記実施形態では、放熱ゲルの移動抑制手段、及びケースの構造を複数例示したが、これらの構造は任意に組み合わせて構成することができる。例えば、ケースや放熱板の放熱ゲルと接触する部位を粗化加工した後に、溝部や凹部を形成してもよい、といった具合である。
上記実施形態では、ケースはアルミ等の金属で形成されていた。本発明による他の実施形態では、樹脂等の他の物質で形成してもよい。また、溝部の形状は、角状のものに限らず、丸みを帯びた形状であってもよいし、複数の円筒或いは円柱が突出した形状であってもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:ECU(電子制御装置)、20:基板、25:ガイド穴部、31〜34:パワーMOS(半導体素子)、41:半導体チップ、42:リード、44:放熱板、46:樹脂部、50:ケース、51:第1カバー、52:第2カバー、54:溝部(移動抑制手段)、56:リブ(移動抑制手段)、57:凹部(移動抑制手段)、60:放熱ゲル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
半導体チップ、前記半導体チップと前記基板とを電気的に接続するリード、及び前記半導体チップをモールドする樹脂部を有し、前記基板に実装される半導体素子と、
前記半導体素子を収容するケースと、
前記半導体素子と接触し、前記半導体素子の前記基板と反対方向の前記ケースに前記半導体素子から発生する熱を導く放熱ゲルと、
前記基板と前記ケースとの間に設けられ、前記放熱ゲルの移動を抑制する移動抑制手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記移動抑制手段は、前記ケースの前記半導体素子と対向する部位に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記移動抑制手段は、前記ケースの前記半導体素子と対向する部位に形成された複数の溝部であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記移動抑制手段は、前記樹脂部の前記ケースと対向する面の外周に形成された突出部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記移動抑制手段は、前記基板と前記ケースとの間に設けられ、前記半導体素子の外周を取り囲んで形成される壁部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記移動抑制手段は、前記放熱ゲルの表面を覆う保護部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記移動抑制手段は、前記放熱ゲルと前記ケースとの間に設けられ、粘着性を有するシート部材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項8】
前記移動抑制手段は、前記ケースの前記放熱ゲルと接触する部位に設けられる粗化部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項9】
前記基板と反対側にて前記半導体チップと接触し、少なくとも一部が前記樹脂部から露出して前記放熱ゲルと接触する放熱板を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項10】
前記移動抑制手段は、前記放熱板の前記放熱ゲルと接触する部位に設けられる粗化部であることを特徴とする請求項9に記載の電子制御装置。
【請求項11】
前記移動抑制手段は、前記放熱板に形成された複数の溝部であることを特徴とする請求項9または10に記載の電子制御装置。
【請求項12】
前記移動抑制手段は、前記放熱板に形成された穴部であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項13】
前記半導体素子は、前記基板に複数実装されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項14】
前記半導体素子は、前記基板の両面に実装されることを特徴とする請求項13に記載の電子制御装置。
【請求項15】
前記放熱ゲルは、前記半導体素子ごとに設けられることを特徴とする請求項13または14に記載の電子制御装置。
【請求項16】
前記移動抑制手段は、前記ケースに設けられ、前記複数の半導体素子の間を仕切るリブであることを特徴とする請求項15に記載の電子制御装置。
【請求項17】
前記ケースは、前記基板の一方の面を覆う第1カバー、及び、前記基板の他方の面を覆う第2カバーを有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項18】
前記第1カバーは、
前記基板と対向するカバー面と、
前記カバー面の外周の前記基板方向に設けられる側壁と、
前記側壁から内側に突設され、前記基板を係止する爪部と、
を有することを特徴とする請求項17に記載の電子制御装置。
【請求項19】
前記第1カバーは、前記爪部との間に前記基板及び前記第2カバーを挟持するかしめ部を有することを特徴とする請求項18に記載の電子制御装置。
【請求項20】
前記爪部の前記基板側の端部は、前記側壁と垂直な平面状に形成されることを特徴とする請求項18または19に記載の電子制御装置。
【請求項21】
前記第1カバー及び第2カバーの少なくとも一方は、外周から外方向に突設され、取付穴を有する取付部を有することを特徴とする請求項16〜20のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項22】
前記第2カバーは、前記基板側に突出するガイド部を有し、
前記基板は、前記ガイド部と対応する位置に設けられるガイド穴部を有することを特徴とする請求項17〜21のいずれか一項に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−23459(P2011−23459A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165622(P2009−165622)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】