説明

電子回路

【課題】複数の電源のうち何れかの電源が瞬断したときに、確実に回路全体をリセットすること。
【解決手段】電源V1に瞬断が発生すると、リセット信号RSTN1がローレベルになりメイン回路10は動作が停止する。AND回路22はローレベルの信号SLP_RSTNを出力する。信号SLP_RSTNがローレベルになると、省エネ回路20は動作を停止し、記憶部201の記憶内容もリセットする。電源V1が復帰すると、リセット信号RSTN1はハイレベルになり、メイン回路10は信号BOOTCTLIを出力する。省エネ回路20は記憶部201の記憶内容が初期状態であるため、信号BOOTCTLOをループバックすると共に、記憶部201の記憶内容を起動処理済みであることを示す内容に書き換える。メイン回路10は、この信号BOOTCTLOを受け取ると、省エネ回路20に対して起動処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置を通常モード/省エネモードに切り替え可能な電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
装置内に複数の電源を有し、装置全体を制御するメイン回路、その他のサブ回路等の各回路がそれぞれ異なる電源から電圧供給を受ける場合、複数の電源のうち何れかの電源が瞬断(瞬時電圧低下)すると、従来はその電源から電圧供給を受けている回路のみがリセットされて初期状態となっていた。従って、瞬断から復帰した時、瞬断した電源から電圧供給を受けている回路は初期状態から回路が動作し、他の回路は継続して動作していることから、回路動作の整合性が取れなくなり、システム全体としてエラー状態になっていた。
【0003】
そこで、特許文献1〜3には、複数の回路がそれぞれ異なる電源に接続されており、電源起動時の各回路の誤動作を防ぐための方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−336886号公報
【特許文献2】特開平8−298556号公報
【特許文献3】特開2002−373038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、過電流検出時にのみ回路全体がリセットされる方法が記載されており、瞬断時については記載されていない。また、特許文献2は、電源立ち上げ時について記載されているだけで、瞬断時については触れられていない。
【0006】
特許文献3については、電源は1つであり、その電源から電圧供給を受ける複数の電圧変換回路があって、それぞれの電圧変換回路が各電子回路へ電圧を供給する構成となっている。電源が瞬断したときは、全ての電子回路が停止してリセット状態になるが、あくまで電源は1つであり、複数の回路がそれぞれ異なる電源から電圧供給を受ける構成に対する方法は記載されていない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の電源のうち何れかの電源が瞬断したときに、確実に回路全体をリセットする電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電子回路は、自装置全体の制御を行うメイン回路及びその他の回路であるサブ回路と、前記メイン回路に電源電圧を供給する第1電源と、前記サブ回路に電源電圧を供給する第2電源と、前記第1電源と前記メイン回路の間に配設され、前記第1電源から前記メイン回路への電源電圧の供給/遮断を切り替える切替手段と、前記第1電源及び前記第2電源の出力電圧のうち少なくとも一方が予め設定された基準値に満たないとき、リセットを指示する指示信号を出力する電源監視回路と、を備え、前記サブ回路は、前記指示信号がリセットを指示したときに回路状態を初期化するとともに、前記切替手段を遮断側に切り替えるものである。
【0009】
この構成によれば、第1電源が瞬断する等して出力電位が基準値未満になると、切替手段が遮断側に働き、メイン回路は停止する。更に第1電源の出力電圧が基準値未満になることで電源監視回路がリセットを指示する信号を出力するため、サブ回路は回路動作が停止し初期状態となる。つまり、第1電源の出力電位が基準値未満になると、メイン回路及びサブ回路の両方の回路動作が停止する。
【0010】
一方、第2電源が瞬断した場合、電源監視回路はリセットを指示する信号を出力するため、サブ回路は回路動作が停止する。更に、切替手段が遮断側に働き、メイン回路が停止する。つまり、第2電源の出力電位が基準値未満になると、メイン回路及びサブ回路の両方の回路動作が停止する。
【0011】
このように、第1電源又は第2電源の何れか一方の電源が瞬断すると、メイン回路及びサブ回路の両方の回路が停止し、リセット状態となる。つまり、瞬電から復帰したとき、各回路はリセット状態から復帰することになるため、回路動作の整合性がとれ、システムエラーが出ることなく復帰することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子回路であって、前記メイン回路は、前記サブ回路に対して予め定められた起動処理を行うものであり、前記サブ回路は、前記メイン回路によって起動処理がなされたか否かを記憶し前記指示信号がリセットを指示したときに記憶内容が初期状態となる記憶手段を有し、前記メイン回路の回路動作開始時において前記記憶手段の記憶内容が初期状態である場合、前記メイン回路は前記サブ回路に対して前記起動処理を行うものである。
【0013】
例えば、瞬断以外の要因によってメイン回路のみが停止し、サブ回路は動作が継続していた場合、従来、メイン回路は復帰時にサブ回路に対して不必要な起動処理を行っていた。そこで、サブ回路の起動処理がなされたか否かを記憶する記憶手段をサブ回路が有し、この記憶手段の内容に応じてメイン回路が起動処理の有無を判断する。これにより、メイン回路は無駄な起動処理を防ぐことができ、起動時の処理負荷を軽減することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子回路であって、前記サブ回路は、自装置の動作モードを通常モードと省エネモードの間で切り替えるものであり、自装置を前記通常モードで動作させるときは前記切替手段を供給側に切り替え、前記省エネモードで動作させるときは前記指示信号による当該サブ回路の初期化を禁止すると共に前記切替手段を遮断側に切り替えるものである。
【0015】
この構成によれば、サブ回路は、省エネモードの開始を判断すると自回路は初期化せずに切替手段を遮断側に切り替える。従って、メイン回路は回路動作が停止する。一方、省エネモード中はサブ回路は動作し続けるため、記憶手段は初期化されずに起動処理がなされたことを示す記憶内容を保持し続ける。従って、省エネモードが解除されてメイン回路が復帰しても、メイン回路はサブ回路に対して起動処理を行わない。つまり、メイン回路は無駄な起動処理を防ぎ、復帰時の処理負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、何れかの電源の出力電位が基準値未満になると、全ての回路の動作が停止してリセット状態になる。そして、電源復帰後、全ての回路はリセット状態から動作することになるため、回路動作の整合性がとれ、システムエラーが出ることなく復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子回路の回路図。
【図2】電子回路の回路動作の流れを示したタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図1は、本実施の形態における電子回路1の回路図である。電子回路1は、画像形成装置等、稼働時以外の消費電力を抑える省エネモードを備えた装置を駆動するための制御回路として用いられる。
【0019】
メイン回路10は、電子回路1が搭載される装置全体の制御を行う回路であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)、ワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)及びその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。
【0020】
メイン回路10は電源V1から電圧供給を受けて駆動する回路であり、電源V1とメイン回路10との間にはリセットIC11が介在している。リセットIC11は電源V1の電圧レベルを監視するものであり、電源V1が立ち上がり、電圧レベルが安定するまでの所定時間の間、メイン回路10に対してローレベルのリセット信号RSTN1を出力する。そして、所定時間経過後、リセットIC11はハイレベルのリセット信号RSTN1を出力する。メイン回路10はリセット信号RSTN1を取り込み、リセット信号RSTN1がハイレベルになると回路動作を開始し、ローレベルになると回路動作を停止する。
【0021】
省エネ回路20は、メイン回路10の制御下において駆動する回路であり、装置の通常モードと省エネモードの切り替え制御を行う。省エネモードとは、所定の回路への電圧供給を停止して消費電力を下げるモードをいう。省エネ回路20は電源V0から電圧供給を受けて駆動する回路であり、電源V0と省エネ回路20の間にはリセットIC21とAND回路22が介在する。
【0022】
リセットIC21は電源V0の電圧レベルを監視するものであり、電源V0が立ち上がり、電圧レベルが安定するまでの所定時間の間、ローレベルのリセット信号RSTN0を出力する。そして、所定時間経過後、リセットIC21はハイレベルのリセット信号RSTN0を出力する。
【0023】
AND回路22には、リセット信号RSTN0とリセット信号RSTN1とが入力される。尚、リセット信号RSTN1は回り込み防止回路31を介してAND回路22に取り込まれる。AND回路22は、リセット信号RSTN0とリセット信号RSTN1の両方がハイレベル(電源V0と電源V1の出力電圧が予め定められた基準値以上)のときに、ハイレベルの信号SLP_RSTNを出力し、何れか一方がローレベル(基準値未満)のときに、ローレベルの信号SLP_RSTNを出力する。このように、リセットIC11、リセットIC21、回り込み防止回路31及びAND回路22によって電源監視回路の一例が構成されている。省エネ回路20は信号SLP_RSTNを取り込み、信号SLP_RSTNがハイレベルになると回路動作を開始する。
【0024】
また、省エネ回路20はオープンコレクタ又はオープンドレイン出力のトランジスタTr1及びTr2を有し、トランジスタTr1の出力端子(コレクタ又はドレイン端子)は信号線DEEPSLEEP1に、トランジスタTr2の出力端子は信号線DEEPSLEEP2に接続されている。そして、トランジスタTr1及びTr2の出力端子(信号線DEEPSLEEP1及び信号線DEEPSLEEP2)は、抵抗(不図示)を介して電源V0にプルアップされている。
【0025】
信号線DEEPSLEEP1は切替スイッチSWの切替制御を行う。切替スイッチSWは、電源V1とリセットIC11の間に配設されたスイッチング素子であり、信号線DEEPSLEEP1の電位がハイレベルのとき、切替スイッチSWはオン(接続)となる。これで、電源V1の電圧がリセットIC11、メイン回路10へ供給される。尚、信号線DEEPSLEEP1の電位が基準値未満(ローレベル)のとき、切替スイッチSWはオフ(開放)となる。 装置を通常モードで動作させる場合、省エネ回路20はトランジスタTr1及びTr2をオフにして信号線DEEPSLEEP1及び信号線DEEPSLEEP2の電圧レベルを電源V0の出力電位と等しくする。装置を省エネモードで動作させる場合、省エネ回路20はトランジスタTr1及びTr2をオンにする。これにより、信号線DEEPSLEEP1及び信号線DEEPSLEEP2とGNDレベルがトランジスタTr1、Tr2を介して導通状態となり、信号線DEEPSLEEP1と信号線DEEPSLEEP2がローレベルとなる。信号線DEEPSLEEP1がローレベルになると、切替スイッチSWはオフとなる。切替スイッチSWがオフになると、リセットIC11への電圧供給がなくなるため、リセットIC11はローレベルのリセット信号RSTN1を出力する。メイン回路10は、ローレベルのリセット信号RSTN1を受けて回路動作を停止すると共に、回路状態がリセットされて初期状態になる。
【0026】
また、AND回路22はスリーステートバッファとなっており、出力信号をAND出力とするか、ハイインピーダンスとするかの選択は信号線DEEPSLEEP2が行う。つまり、信号線DEEPSLEEP2がハイレベルのとき、AND回路22はリセット信号RSTN0及びRSTN1の論理積の信号を出力し、信号線DEEPSLEEP2がローレベルのとき、AND回路22は出力をハイインピーダンスとする。
【0027】
このAND回路22は、電源V0及び電源V1の瞬断を検知する回路となっている。例えば、電源V0が瞬断すると、リセットIC21の電圧監視が働いてリセット信号RSTN0をローレベルとする。これにより、AND回路22の出力である信号SLP_RSTNがローレベルとなって省エネ回路20は停止すると共に、回路状態がリセットされて初期状態となる。
【0028】
更に信号線DEEPSLEEP1の電位が電源V0の瞬断によって基準値未満になると、切替スイッチSWがオフする。これにより、電源V1からメイン回路10への電圧供給がなくなり、メイン回路10も停止すると共に、回路状態がリセットされて初期状態となる。
【0029】
また、電源V1が瞬断すると、リセットIC11がリセット信号RSTN1をローレベルとする。これにより、メイン回路10が停止する。更に、リセット信号RSTN1がローレベルになるためにAND回路22の出力である信号SLP_RSTNがローレベルとなり、省エネ回路20が停止する。
【0030】
従来、複数の電源のうち何れか1つの電源が瞬断すると、その電源から電圧供給を受けている回路のみ停止していた。つまり、瞬断しなかった他の電源に接続されている回路は停止せずに動作が継続しているため、回路動作の整合性が取れず、システム全体としてエラーとなっていた。しかし、電子回路1の場合、電源V0と電源V1の何れかの電源が瞬断すると、メイン回路10及び省エネ回路20の両方の回路が停止して初期状態となるため、瞬断回復時にシステムエラーを伴うことなく復帰することができる。
【0031】
メイン回路10は、リセット信号RSTN1がハイレベルになって回路動作が開始すると、省エネ回路20を含む他の回路に対して起動処理を実行する。具体的には、メイン回路10は省エネ回路20に対して省エネ制御に必要なデータやプログラムの転送を行う。メイン回路10が他の回路に対して起動処理を行うきっかけであるリセット信号RSTN1がローレベルからハイレベルになるタイミングは、電源V1投入時、電源V1の瞬断後の復帰時、そして省エネモードからの復帰時に現れる。省エネモード時はメイン回路10は停止するが、省エネ回路20は動作が継続中であるため、省エネモード復帰時にメイン回路10が省エネ回路20の起動処理を行う必要がない。
【0032】
そこで、メイン回路10と省エネ回路20の間にループバック回路を配設し、メイン回路10は起動時における省エネ回路20の状態をこのループバック回路にて把握し、省エネ回路20がリセットされたときは起動処理を行い、リセットされていないときは起動処理を行わないようにする。
【0033】
具体的に説明すると、メイン回路10は回路動作開始直後に信号BOOTCTLIを省エネ回路20に出力する。省エネ回路20は、省エネ回路20がリセットされると記憶内容がリセットされ、一度書き込みが行われると、省エネ回路20がリセットされない限りその書き込み内容を保持し続ける記憶部201を有している。この記憶部201は、メイン回路10による起動処理が既に行われたか否かを示す情報を記憶する。つまり、起動処理と同時に省エネ回路20は実行済みであることを示す情報を記憶部201に記憶するが、省エネ回路20が停止してリセット状態になると、記憶部201の記憶内容もリセットされる。記憶部201の記憶内容がリセットされた状態(初期状態)であるということは、省エネ回路20がリセットされた後にメイン回路10による起動処理がなされていない(未処理)ことを示している。
【0034】
省エネ回路20はメイン回路10から信号BOOTCTLIを受け取ると、記憶部201の内容を信号BOOTCTLOとしてメイン回路10へループバックする。メイン回路10はループバックされた信号BOOTCTLOを取り込み、この信号の内容が起動処理が未処理であることを示しているときは省エネ回路20に対して起動処理を実行する。一方、信号BOOTCTLOの内容が起動処理が実行済みであることを示しているときは省エネ回路20に対して起動処理を行わない。
【0035】
図2は、図1を用いて説明した回路動作の流れをタイミングチャートで示した図である。図2を用いて回路動作について詳しく説明する。時間t1にて電源V0が投入されると、リセットIC21は時間t1から所定時間経過後の時間t2にハイレベルのリセット信号RSTN0を出力する。信号線DEEPSLEEP1及び信号線DEEPSLEEP2は電源V0にプルアップされているため、その電位は電源V0の出力電位と共に上昇する。省エネ回路20は、ハイレベルのリセット信号RSTN0を受けて動作開始が可能な状態になるが、メイン回路10より起動処理を受けていないため、この段階では回路動作は停止したままである。従って、記憶部201が記憶する内容は初期状態となっている。
【0036】
時間t3にて電源V1が投入されると、リセットIC11は時間t3から所定時間経過後の時間t4にてハイレベルのリセット信号RSTN1を出力する。このリセット信号RSTN1を受けて、メイン回路10が動作を開始し、まず省エネ回路20に対してパルス信号である信号BOOTCTLIを出力する。省エネ回路20が信号BOOTCTLIを受け取ると、記憶部201の記憶内容が初期状態であるときは、パルス信号である信号BOOTCTLOをループバックすると共に、記憶部201の記憶内容を処理済みであることを示す内容に書き換える。
【0037】
メイン回路10は、この信号BOOTCTLOを受け取ると、省エネ回路20に対して起動処理を実行する。省エネ回路20はこの起動処理を受けて、回路動作を開始する。
【0038】
その後、省エネ回路20が省エネモードを実行する判断を行うと、まずトランジスタTr1及びTr2をオンにして信号線DEEPSLEEP1及び信号線DEEPSLEEP2をローレベルにする(時間t5)。図2に示す時間TECOは、装置全体が省エネモードにある時間を示している。
【0039】
信号線DEEPSLEEP1がローレベルになると、切替スイッチSWがオフとなり電源V1の電圧供給が遮断され、リセット信号RSTN1がローレベルとなる。AND回路22においては、リセット信号RSTN1がローレベルになるが、信号線DEEPSLEEP2がローレベルにあるため、出力はハイインピーダンス状態となっている。更にAND回路22の出力は電源V0にプルアップされているため、信号SLP_RSTNはハイレベルを保持する。従って、省エネ回路20は継続して動作する。
【0040】
続いて、省エネ回路20が省エネモードの解除を判断すると、トランジスタTr1のみオフにする。これにより、信号線DEEPSLEEP1は電源V0からの電圧供給によってハイレベルになる(時間t6)。つまり、省エネモードが解除され、通常モードに復帰する。切替スイッチSWはオンするため電源V1による電圧供給が開始し、リセット信号RSTN1は時間t6から所定時間後の時間t7にハイレベルとなってメイン回路10が回路動作を開始する。
【0041】
そして、省エネ回路20は、トランジスタTr1をオフにしてから、所定時間後(時間t7)にトランジスタTr2をオフにする。所定時間とは、トランジスタTr1がオフしてからリセット信号RSTN1がハイレベルになるまでの時間であり、この所定時間は回路設計時に設計者が予め計算又は測定することによって得られる。時間t7にトランジスタTr2がオフすることによって、信号線DEEPSLEEP2はハイレベルとなり、AND回路22はリセット信号RSTN0及びRSTN1の論理積の信号を出力する。つまり、信号SLP_RSNTは引き続きハイレベルとなり、省エネ回路20は動作を続ける。
【0042】
そして、メイン回路10は省エネ回路20に対して信号BOOTCTLIを出力する。しかし、省エネ回路20はメイン回路10による起動処理を受けてから一度も回路動作が停止しておらず、記憶部201は起動処理が処理済みであることを示す内容を保持したままである。従って、省エネ回路20は信号BOOTCTLOをループバックしない。つまり、メイン回路10は省エネ回路20に対して起動処理を行わない。
【0043】
次に、時間t8において電源V1に瞬断が発生し、電源V1の出力電位が基準値Vth未満になると、リセットIC11はローレベルのリセット信号RSTN1を出力するため、メイン回路10の回路動作が停止する。また、信号線DEEPSLEEP2はハイレベルであるため、AND回路22はイネーブル状態である。即ち、リセット信号RSTN1がローレベルになると、AND回路22はローレベルの信号SLP_RSTNを出力する。信号SLP_RSTNがローレベルになると、省エネ回路20の回路動作が停止する。従って、記憶部201の記憶内容もリセットされる。
【0044】
そして、時間t9において電源V1が瞬断から復帰すると(基準値Vth以上になると)、リセットIC11は時間t9から所定時間経過後の時間t10にてハイレベルのリセット信号RSTN1を出力する。このリセット信号RSTN1を受けて、メイン回路10の回路動作が開始し、省エネ回路20に対してパルス信号である信号BOOTCTLIを出力する。記憶部201の記憶内容が初期状態であるため、省エネ回路20は信号BOOTCTLIを受け取るとパルス信号である信号BOOTCTLOをループバックすると共に、記憶部201の記憶内容を処理済みであることを示す内容に書き換える。
【0045】
メイン回路10は、この信号BOOTCTLOを受け取ると、省エネ回路20に対して起動処理を実行する。省エネ回路20はこの起動処理を受けて、動作を開始する。
【0046】
以上、説明したように、電源V0と電源V1の電源が瞬断すると、メイン回路10及び省エネ回路20の両方の回路が停止して初期状態となる。そして、復帰時は何れの回路も初期状態から動作するため、回路動作の整合性が取れ、システムエラーを伴うことなく復帰することができる。更に、省エネモードからの復帰時はメイン回路10が省エネ回路20の起動処理を行わないよう、メイン回路10と省エネ回路20の間にループバック回路を設けることで、省エネモード復帰時のメイン回路10の処理負荷を軽減することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 電子回路
10 メイン回路
11、21 リセット回路(電源監視回路)
20 省エネ回路(サブ回路)
22 AND回路(電源監視回路)
31 回り込み防止回路(電源監視回路)
201 記憶部(記憶手段)
V1 電源(第1電源)
V0 電源(第2電源)
SW 切替スイッチ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置全体の制御を行うメイン回路及びその他の回路であるサブ回路と、
前記メイン回路に電源電圧を供給する第1電源と、
前記サブ回路に電源電圧を供給する第2電源と、
前記第1電源と前記メイン回路の間に配設され、前記第1電源から前記メイン回路への電源電圧の供給/遮断を切り替える切替手段と、
前記第1電源及び前記第2電源の出力電圧のうち少なくとも一方が予め設定された基準値に満たないとき、リセットを指示する指示信号を出力する電源監視回路と、
を備え、前記サブ回路は、前記指示信号がリセットを指示したときに回路状態を初期化するとともに、前記切替手段を遮断側に切り替えるものである電子回路。
【請求項2】
前記メイン回路は、前記サブ回路に対して予め定められた起動処理を行うものであり、
前記サブ回路は、前記メイン回路によって起動処理がなされたか否かを記憶し前記指示信号がリセットを指示したときに記憶内容が初期状態となる記憶手段を有し、
前記メイン回路の回路動作開始時において前記記憶手段の記憶内容が初期状態である場合、前記メイン回路は前記サブ回路に対して前記起動処理を行う請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記サブ回路は、自装置の動作モードを通常モードと省エネモードの間で切り替えるものであり、自装置を前記通常モードで動作させるときは前記切替手段を供給側に切り替え、前記省エネモードで動作させるときは前記指示信号による当該サブ回路の初期化を禁止すると共に前記切替手段を遮断側に切り替える請求項2に記載の電子回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−41347(P2013−41347A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176471(P2011−176471)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】