電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法並びに仮想楽器の演奏処理のプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体
【課題】 実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる電子楽器装置を提供する。
【解決手段】 複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されているスティック1、2の先端部1a、2aの特定画像、脚に付けた黒球3、4の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生して、ヘッドホン7に送信して発音する。
【解決手段】 複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されているスティック1、2の先端部1a、2aの特定画像、脚に付けた黒球3、4の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生して、ヘッドホン7に送信して発音する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法、並びに、仮想楽器の演奏処理のプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CPUやその他の半導体などを利用した電子鍵盤楽器が普及しているが、仮想の打楽器を演奏するための電子楽器装置も次第に商品化され、高い性能の製品も開発されている。また、仮想の打楽器を演奏するための技術も多く提案されている。
ある提案の電子楽器においては、ドラムのスティックに圧電ジャイロセンサ又はマイクロ加速度センサを設け、この角速度センサから結線した回路により角速度を検出して、この角速度を制御信号に変換し、この制御信号により音量および音質を設定するシンセサイザを備えた構成になっている。この構成により、スティックを振るだけで打楽器の音を発生できる。(特許文献1参照)
また、ある提案の電子打楽器においては、中空状のスティック本体内に、発光素子および受光素子を有する光センサと、スティック本体の振り動作に応じて受光素子に入射する光量(反射光量、透過光量)を変化させる振動子を設けた構成になっている。この構成により、スティックを振ると、その振りに応じて振動子が振動し、この振動子の振動に応じて発光素子からの光の反射状態又は透過状態が変化し、この変化に応じた光量を受光素子が受光するため、スティック本体の振り操作を振動子の振動状態の波形として検出することができ、スティック本体の微妙な振動を精度よく検出することができ、しかも非接触方式であるから耐久性にも優れ、信頼性の高いものを得ることができる。(特許文献2参照)
また、ある提案の電子ドラムにおいては、電子ドラムのパッドの外周であるパッド枠の少なくとも一箇所を透明若しくは半透明とした導光板で形成し、その導光板に複数色の光源からの光を導光し発光させる構成とともに、所望の条件に従う点灯信号発生手段からの信号により点滅と発光色の切換とを行う構成になっている。この構成により、パッドに割り付けられた打楽器の種類など、演奏者が所望する情報を発光色、発光数などにより告知できる。(特許文献3参照)
また、ある提案の入力装置およびこれを用いた電子楽器においては、2本のワイヤが1点で固定されたスタンドと、それぞれのワイヤに固定された2本のスティックと、ワイヤに張力が生じたことを検知し、ワイヤが張った状態でこのワイヤが交わる線上での位置を検知するセンサと、位置を表す信号に応じた音色の信号を発生し得る音源装置と、センサが張力を検知したときに音源装置からの信号を出力する出力手段とを備えた構成になっている。この構成により、ワイヤが充分に伸びた瞬間のタイミングとその時の打点位置を電気信号として検出でき、それを用いて電子音源装置を操作することにより電子ドラムシステムの演奏が可能になる。(特許文献4参照)
【特許文献1】特開平6−75571号公報
【特許文献2】特開平10−55175号公報
【特許文献3】特開平11−30983号公報
【特許文献4】特開2000−163049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記各特許文献においては、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができないという課題、又は、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるという課題があった。
例えば、特許文献1の構成においては、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できなので、ドラム演奏の臨場感を得ることができず、結局は、図4に示されるように、摸擬ドラムのメンブレム部やスネア部に角速度センサを取り付けることになる。したがって、擬似ドラムを設置するためのスペースが必要になる。また、ステックと装置(この場合は、プロセッサの回路部)とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。
また、特許文献2の構成においては、特許文献1の場合と同様に、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できないので、ドラム演奏の臨場感を得ることができない上、ステックと楽音発生装置とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらに、スティックの振りが激しい場合には、スティック内のセンサ部が破損するおそれもある。
また、特許文献3の構成においては、擬似ドラムとしてのパッドを設置しなければならず、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるので、狭い家屋では設置することが困難である。
また、特許文献4の構成においては、図1からも明らかなように、スツール付きの大きなスタンドを設置しなければならず、自宅で手軽に演奏することができない。さらに、スティックとスタンドとを結ぶワイヤによって、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらにまた、図4および図6に示されているように、スティック操作を検出するセンサの機構が複雑であるので、製造コストやメンテナンスコストが高くなってしまう。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる電子楽器装置を安価に提供することを目的とする。
また、本発明は、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる仮想のドラム演奏方法を安価に提供することを目的とする。
また、本発明は、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる電子楽器装置および仮想のドラム演奏方法の実施に用いるカメラ付き携帯電話装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子楽器装置は、撮像手段と、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、この画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、この画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する信号発生手段と、を備えた構成になっている。
【0006】
本発明の仮想楽器の演奏方法は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する構成になっている。
【0007】
本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用可能なカメラ付き携帯電話装置は、
スイッチ部を有する第1の本体と表示部を有する第2の本体とが結合手段によって回動可能に結合され、第1の本体と第2の本体とを閉状態又は開状態に変化可能な構造を有し、
第2の本体の所定の位置に設けられた第1のレンズと、第1の本体に設けられた空間に収容され、第2のレンズおよび光反射部材が一体化された光学手段と、第1の本体のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状で第1の本体に設けられた空間に連通する空間を内部に有する突起部と、この突起部の空間の所定位置に設けられた第3のレンズと、光学手段を操作に応じて第1の本体に設けられた空間内の第1の位置又は第2の位置に移動させる操作手段と、第1の本体と第2の本体とが閉状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第1のレンズおよび第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、第1の本体と第2の本体とが開状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段が第2の位置にある場合には、第3のレンズから入射して光反射部材によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子と、を備えた構成になっている。
【0008】
また、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用可能なカメラ付き携帯電話装置は、
スイッチ部を有する第1の本体と表示部を有する第2の本体とが結合手段によって回動可能に結合され、第1の本体と第2の本体とを閉状態又は開状態に変化可能な構造を有し、
第2の本体の所定の位置に設けられた第1のレンズと、第1の本体においてスイッチ部を有する面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つ第2のレンズ、第1の本体のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た部分に形成されて当該側面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つ第3のレンズ、この第3のレンズから入射する光をほぼ直角に反射する光反射部材とが一体化された光学手段と、第1の本体において、操作に応じて光学手段を第1の位置又は第2の位置に第3のレンズの光軸方向にスライド可能に収容する収容手段と、第1の本体と第2の本体とが閉状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第1のレンズおよび第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、第1の本体と第2の本体とが開状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段が第2の位置にある場合には、第3のレンズから入射して光反射部材によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子と、を備えた構成になっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法並びにその装置および方法に使用するカメラ付き携帯電話装置によれば、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施形態、並びに、その装置および方法に使用可能なカメラ付き携帯電話装置の実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この図において、演奏者100の右手101および左手102には、2本のスティック1および2が握られている。これらスティック1および2の丸い形状の先端部1aおよび2aは、特定の色に着色されている。実施形態においては、特定の色としては黒色であるが、他の色であってもよい。また、演奏者100の右脚103および左脚104には、黒色の球形の物体3および4(以下、「黒球3、黒球4」という)が、それぞれ帯状の保持部材3aおよび4aによって固定されている。また、演奏者100の腰105の前側には、カメラ付き携帯電話装置5が腰105に装着されたベルト6に取り付けられたキャリアケース6aに収容されている。また、演奏者100の頭部106には、ステレオ用のヘッドホン7(発音手段)が装着されている。このヘッドホン7には、音量調整用のボリューム7aが設けられている。さらに、図には示していないが、カメラ付き携帯電話装置5に設けられているヘッドホン端子と、ヘッドホン7の入力端子とが信号線によって接続されている。
【0011】
図2は、図1に示したベルト6におけるキャリアケース6aに収容されたカメラ付き携帯電話装置5を示す図である。カメラ付き携帯電話装置5の前部には、自分の顔を撮影できるような広い視野角のレンズ8(第1のレンズ)が設けられている。また、カメラ付き携帯電話装置5の側部には、スイッチ9が設けられている。なお、図には示していないが、レンズ8に対応する内部には、レンズ8から入射する光によって画像を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子が設けられている。レンズ8の視野は広いので、図1におけるスティック1および2の先端部1aおよび2aと、両足に取り付けられた黒球3および4を撮像素子の画角に収めることができる。スイッチ9は、通常のカメラモードのときはシャッタスイッチの機能を有するが、ドラム演奏のモードにおいてはスタートおよびストップのスイッチとしても機能する。
キャリアケース6aは、ベルト6と一体に形成された専用のものが望ましいが、市販されているキャリアケースを通常のベルトに取り付けた構成でも、レンズ8およびスイッチ9が露出するものであれば十分である。
【0012】
図3は、カメラ付き携帯電話装置5の内部構成を示すブロック図である。この図において、CPU11は、システムバスを介して、ROM12、RAM13、無線送受信部14、スイッチ部15、表示部16、カメラ部17、フラッシュメモリ18、音源部19、および送信インタフェース20に接続され、これら各部との間で指令およびデータの授受を行って、この装置全体を制御する。
ROM12は、CPU11によって実行されるプログラムや初期データなどを記憶している。RAM13は、CPU11のワークエリアであり、処理するデータを一時的に記憶するバッファエリア、各種のレジスタ、フラグ、変数のためのエリアが用意されている。無線送受信部14は、外部の携帯電話装置との間で電話、メール、画像の送受信を行なうとともに、インターネットなどの通信網を介して、楽音データをダウンロードすることができる。スイッチ部15は、ダイヤル入力用のテンキースイッチ、オフフックスイッチ、オンフックスイッチ、発信スイッチ、メニュースイッチ、カーソルスイッチなどで構成されている。表示部16は、少なくとも1つのLCD(液晶表示デバイス)で構成されている。
【0013】
カメラ部17(撮像手段)は、上記したレンズ8および撮像素子のほかに、他の光学部材としてのレンズ、撮像素子から出力される撮像信号をディジタル信号に変換するADコンバータ回路、撮像信号によって画像の輪郭を検出するエッジ検出回路(検出手段)、画像の歪みを補正する補正回路などを含んでいる。また、CPU11は、カメラ部17の回路と協働して、撮像素子によって撮像された画像の中から1種類又は複数種類の特定画像(スティック1および2の先端部1aおよび2aの画像、および、脚に取り付けられた黒球3および4の画像)を抽出する画像抽出手段、抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、その特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器(この場合は、打楽器)を判定する画像判定手段を構成する。
【0014】
フラッシュメモリ18は、電源がオフされた後もデータを保持する書き換え可能な不揮発性メモリであり、電話やメールの着信履歴および発信履歴、アドレス帳として電話番号やメールアドレスのデータ、他のカメラ付き携帯電話装置から受信した画像データ、インターネットなどからダウンロードした楽音データ、スイッチ部15の操作によって録音された楽音データ、ドラム演奏に際して設定された各種のデータ、カメラ部17から得られるフレーム単位の画像データを記憶する。音源部19(信号発生手段)は、バスドラム、スネアドラム、フロアタム、シンバル、タムタム、ハイハットなどの複数種類からなる打楽器の音色の波形データを記憶し、CPU11の機能である画像判定手段によって判定された仮想楽器としての打楽器に応じて、その打楽器の音色のリズム音信号を発生する。送信インタフェース20は、DAコンバータ回路を含むとともに、ヘッドホン端子に接続されており、音源部19によって発生されたリズム音信号やフラッシュメモリ18に記憶された楽音データをディジタルからアナログに変換して、ヘッドホン7や外部のサウンドシステム(図示せず)に対して信号線を介して送信する。外部のサウンドシステムとしては、アンプやイコライザなどの装置およびスピーカなどがある。
なお、図には示していないが、CPU11のポートには、通話用のマイクやスピーカ、着信検知用のバイブレータなどを接続するドライバが接続されている。
【0015】
図4は、ヘッドホン7の内部構成を示すブロック図である。この図において、受信インタフェース21は、入力端子に接続され、信号線を介してカメラ付き携帯電話装置5の送信インタフェース20から送信されるリズム音信号や楽音信号を受信する。信号処理部22は、受信インタフェース21から得られるリズム音信号や楽音信号に対して、LチャンネルとRチャンネルとに分離するステレオ信号処理やその他の信号処理を施して出力する。アンプ23は、信号処理部22から出力されるステレオ信号を、ボリューム7aの調整に応じて増幅して、左右のスピーカ24Lおよび24Rから発音する。
【0016】
次に、カメラ付き携帯電話装置5の動作について、CPU11によって実行されるフローチャートおよび表示部16の画面、フラッシュメモリ18に設定されるデータ、RAM13におけるレジスタ、フラグ、変数などに基づいて説明する。なお、カメラ付き携帯電話装置5は、スイッチ部15やCPU11やカメラ部17の撮像素子などの電子部品を収容する下部本体(第1の本体)と、レンズ8、表示部16、および表示部16を駆動するTFT(薄膜トランジスタ)などを収容する上部本体(第2の本体)とが、ヒンジ部(結合手段)によって回動可能に結合された構造になっている。すなわち、下部本体のスイッチ部15を有する面と、上部本体の表示部16を有する面とが対面する閉状態、又は、上部本体が回動操作されて、下部本体のスイッチ部15および上部本体の表示部16とが開いた開状態に設定することができる。
【0017】
図5および図6は、メインルーチンのフローチャートである。図5において、RAM13の初期化などの所定のイニシャライズ(ステップSA1)の後、待受画面を表示する(ステップSA2)。この状態は、スイッチ部15および表示部16とが開いた開状態である。そして、オフフックスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA3)。このスイッチがオンされたときは、番号入力画面を表示して(ステップSA4)、テンキースイッチによって入力された番号又はアドレス帳から呼び出された特定の番号を入力する番号入力処理を行ない(ステップSA5)、発信スイッチのオンによってその番号を無線通信網に発信して(ステップSA6)、スピーカによって呼出報知を行う(ステップSA7)。そして、相手側との回線接続が確立したか否かを判別し(ステップSA8)、回線接続が確立したときは、通話処理に遷移する(ステップSA9)。通話処理中においては、オンフックスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA10)、このスイッチがオンされたときは、回線切断などの終話処理を行って(ステップSA11)、ステップSA2に移行して待受画面を表示する。
【0018】
ステップSA3において、オフフックスイッチがオンでない場合には、図6において、メニュースイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA12)。このスイッチがオンされたときは、メニュー画面を表示して(ステップSA13)、1つのメニューにフォーカスする(ステップSA14)。例えば、最初のメニューや前回選択されたメニューを強調して表示する。次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA15)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSA16)。そして、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA17)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA18)。戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSA15においてカーソルスイッチのオンを判別し、戻るスイッチがオンされたときは、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示する。
【0019】
図7(A)は、メニュー画面を示す図であり、図7(B)は、スイッチ部15においてメニュー画面および後述するその他の画面に表示されたアイコンに対応するカーソルスイッチ31、選択(決定)スイッチ32、および戻るスイッチ33を示す図である。メニュー画面には、複数のメニューが表示されるとともに、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。カーソルスイッチ31の操作に応じて、強調表示されるメニューのフォーカス位置が変化する。図7(A)の画面では、ドラム演奏のメニューにフォーカスが表示されている。
【0020】
図6のステップSA17において、選択スイッチがオンされたときは、そのときのフォーカス位置のメニューを実行する。フォーカス位置がドラム演奏であるか否かを判別し(ステップSA19)、ドラム演奏である場合には、ドラム設定処理を実行する(ステップSA20)。フォーカス位置がドラム演奏でない場合には、フォーカス位置が再生であるか否かを判別する(ステップSA21)。再生である場合には、フラッシュメモリ18に録音したドラム演奏のデータやダウンロードした曲のデータを再生する再生処理を行う(ステップSA22)。フォーカス位置がドラム演奏でも再生でもない場合には、フォーカス位置に対応する処理を行う(ステップSA23)。ドラム設定処理、再生処理、又はその他のフォーカス位置に対応する処理の後は、ステップSA13のメニュー画面に戻る。
【0021】
一方、ステップSA12において、メニュースイッチがオンでない場合には、他のスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA24)、いずれかのスイッチがオンされたときは、そのスイッチに対応する処理を行って(ステップSA25)、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示するが、いずれのスイッチもオンでない場合には、図5のステップSA3に移行して、各スイッチがオンを判別する。
【0022】
図8および図9は、ドラム設定処理のフローチャートである。図8において、まず、設定画面を表示する(ステップSB1)。そして、所定のフォーカス表示を行う(ステップSB2)。図10は、ドラム設定処理における設定画面の内容を示す図である。この図に示すように、設定画面には、「前回設定」、「今回設定」、「デフォルト」、「メロディ」の有無、「録音」の有無の選択メニューが表示され、「選択」アイコン、「戻る」アイコンが表示される。この図では、前回設定、メロディ無し、および録音無しにフォーカスが表示されている。
【0023】
図8においてフォーカス表示をした後は、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB3)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB4)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB5)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB6)、このスイッチがオンされたときは、図6のメインルーチンに戻る。戻るスイッチがオンでない場合には、カーソルスイッチのオンを判別する。ステップSB5において、選択スイッチがオンされたときは、フォーカスされている設定内容を実行する。前回設定がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB7)、前回設定にフォーカスされている場合には、前回設定のデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB8)。フォーカスされているのが前回設定でない場合には、デフォルトにフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB9)、デフォルトにフォーカスされている場合には、デフォルトのデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB10)。
【0024】
フォーカスされているのが前回設定でもなくデフォルトでもない場合には、図9において、今回設定にフォーカスされているか否かを判別する(ステップSB11)。今回設定にフォーカスされている場合には、設定画面を表示する(ステップSB12)。そして、所定の設定項目にフォーカスを表示する(ステップSB13)。また、所定の仮想楽器にラジオボタンを表示する(ステップSB14)。フォーカスを表示する設定項目の内容、および、ラジオボタンを表示する仮想楽器については、例えば、前回設定の内容に従う。図11は、ドラム演奏の設定画面を示す図である。この図では、「右足」演奏に対応する「バス」、「左足」演奏に対応する「ハイハット」がフォーカスされ、右手演奏に対応する仮想楽器として「タムタム」、「フロアタム」、および「トップシンバル」、左手演奏に対応する仮想楽器として「スネア」および「ハイハット」のラジオボタンが有効(黒丸)に設定されている。この画面にも、スイッチ部15のスイッチに対応して、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。
【0025】
次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB15)、このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB16)。また、カーソルスイッチによってラジオボタンが指定されたか否かを判別し(ステップSB17)、ラジオボタンが指定されたときは、その指定されたラジオボタンを無効から有効に又は有効から無効に反転する(ステップSB18)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB19)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB20)。このスイッチがオンされたときは、図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB15においてカーソルスイッチのオンを判別する。
【0026】
一方、ステップSB11において、フォーカス位置が今回設定でない場合には、メロディがフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB21)、メロディがフォーカスされている場合には、曲選択処理を実行する(ステップSB22)。曲選択処理においては、フラッシュメモリ18に記憶されている1つ以上の曲を画面に表示して、ドラム演奏とともに発音させるメロディの曲データをカーソルスイッチおよび選択スイッチの操作に応じて設定する。フラッシュメモリ18に記憶されている曲としては、いわゆる「着メロ」や「着うた」の曲データでもよいし、ドラム演奏用に作成されたリズムパートだけを除いた「マイナスワン」の曲データでもよい。曲選択処理の後は、フラグMFを「1(メロディオン)」にセットする(ステップSB23)。ステップSB21において、フォーカス位置がメロディでない場合には、録音がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB24)、録音がフォーカスされている場合には、フラグRFを「1(録音)」にセットする(ステップSB25)。RFが「1」の場合には、ドラム演奏のデータがフラッシュメモリ18に記憶される。
【0027】
ステップSB19において選択スイッチがオンされたとき、又は、ステップSB23にいてMFを「1」にセットした後、若しくは、ステップSB25においてRFを「1」にセットした後は、決定画面を表示する(ステップSB26)。図12は、ドラム演奏の決定画面の例を示す図である。この画面には、図10および図11の画面において設定された内容が表示されるとともに、「決定」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。そして、「決定」アイコンに対応するスイッチ部15の決定スイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB27)。このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB28)。このスイッチがオンされたときは図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB27において決定スイッチのオンを判別する。決定スイッチがオンされたときは、ドラム処理を実行する(ステップSB29)。ドラム処理が終了したときは、図6のメインルーチンに戻る。
【0028】
なお、決定スイッチがオンされたときは、図12の設定内容に対応して、RAM13には、図13に示すような配列ARのデータが記憶される。この図において、縦の行であるmの値(1〜4)は、右足(1)、左足(2)、右手(3)、左手(4)すなわち演奏する演奏者の身体の部位を表し、横の列であるnの値(1〜6)は、仮想楽器の種類即ちドラムの種類であるバス(1)、ハイハット(2)、タムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)、スネア(6)を表している。mの行とnの列とが交わった部分のデータによって、演奏する部位と演奏するドラムとの関係を表している。すなわち、図12において選択された設定内容が図13に示されている。例えば、右足(1)はバス(1)を演奏し、左足(2)はハイハット(1)を演奏する。足で演奏できないドラムは「/(非選択マーク)」で区別されている。同様に、右手(3)はタムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)を演奏し、左手(4)はハイハット(2)、スネア(6)を演奏する。
【0029】
図14は、図9におけるステップSB29のドラム処理のフローチャートである。ドラム処理においては、図2に示したスイッチ9をドラム処理のスタート/ストップスイッチとして使用する。すなわち、図12の画面において決定スイッチがオンされた後は、演奏者は、図1に示すように、カメラ付き携帯電話装置5を閉状態にして腰105の前側のキャリアケース6aに収納する。この状態でスイッチ9をオンにすれば、CPU11はドラム処理を実行する。
図14において、スタート/ストップスイッチ(図2のスイッチ9)がオンされたか否かを判別し(ステップSC1)、このスイッチがオンされたときはスタートフラグSTFを反転する(ステップSC2)。STFを反転した後、又は、ステップSC1においてスタート/ストップスイッチがオンでない場合には、STFが「1」であるか否かを判別する(ステップSC3)。STFが「1」である場合には、音声処理(ステップSC4)、画像処理(ステップSC5)、その他の処理(ステップSC6)を行い、ステップSC1に移行して、スタート/ストップスイッチがオンされたか否かを判別する。したがって、STFが「1」になってドラム処理が開始した後は、スタート/ストップスイッチがオンされない限り、ステップSC4からステップSC6までのドラム処理を続行する。ドラム処理中において、スタート/ストップスイッチがオンされて、ステップSC3においてSTFが「0」と判別されたときは、メインフローに戻る。なお、ステップSC6のその他の処理は、電源の低下やその他の異常を検出する処理などである。
【0030】
図15は、ステップSC4における音声処理のフローチャートである。まず、ドラム演奏中であるかドラム演奏停止中であるかを表すフラグLFが「0(演奏停止中)」又は「1(演奏中)」であるかを判別する(ステップSD1)。LFが「1」である場合には、図14の画像処理に移行するが、LFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストの実施を表すフラグSBFが「0」であるか又は「1」であるかを判別する(ステップSD2)。LFが「0」で且つSBFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストがまだ実施されていない場合である。この場合には、SBFを「1」にセットして(ステップSD3)、送信インタフェース20を介して、ヘッドホン7に対してテスト開始の音声メッセージを出力する(ステップSD4)。例えば、「各ドラムの音出しテストを行います」のような音声メッセージを出力する。
【0031】
次に、演奏する部位を示す変数mおよび演奏対象のドラムを示す変数nを共に「1」にセットして(ステップSD5)、mおよびnの値をインクリメントしながら、以下のループを実行する。図13に示した配列ARにおいて、AR(m,n)が「1」であるか否かを判別する(ステップSD6)。すなわち、mで指定する身体の部位がnで指定するドラムD(n)を演奏するように設定がされているか否かを判別する。AR(m,n)が「1」である場合には、mの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージをヘッドホン7に出力する(ステップSD7)。例えば、「右手でタムタムを叩いて下さい」のような音声メッセージを出力する。そして、フラグDF(m,n)を「1」にセットし(ステップSD8)、タイマレジスタに所定値Tの値をセットする(ステップSD9)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの状態をセットする。また、タイマインタラプトを許可する。Tの値としては、例えば、数分ないし十数分が適当である。ここでは、Tの時間を5分とする。
【0032】
タイマをセットした後、又は、ステップSD2において、SBFが「1」である場合すなわちドラム演奏に先立つテストが実施中である場合には、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別する(ステップSD10)。このフラグが「1」でまだmの部位によるD(n)の音出しテスト中である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの音声メッセージの指示にもかかわらず、その指示に従ったテスト演奏がされない時間が5分を経過したか否かを判別する。5分が経過していない場合には、図14の画像処理に移行する。そして、再び図15のフローチャートにおいて、ステップSD2、ステップSD3を経て、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別するが(ステップSD10)、このフラグが「1」である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。タイマの値が「0」に達したとき、すなわち、5分が経過した場合には、何らかの事情で演奏者がドラム演奏を中断したと判断して、STFを「0」にリセットして(ステップSD12)、図14のフローチャートに戻る。したがって、図14のステップSC4の判別によってメインルーチンに戻る。
【0033】
図15のステップSD10において、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされた場合、又は、ステップSD6においてAR(m,n)が「0」である場合には、nの値をインクリメントする(ステップSD13)。そして、nの値が最大値MAXを超えたか否かを判別する(ステップSD14)。最大値は、図13に示したようにmの番号に対応する部位ごとに異なる。最大値を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD14までのループを繰り返す。ステップSD14において、nの値が最大値MAXを超えたときは、mの値をインクリメントするとともに、nの値を「1」にセットする(ステップSD15)。このとき、mの値が「4」を超えたか否かを判別し(ステップSD16)、「4」を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD15までのループを繰り返す。
【0034】
ステップSD15において、mの値が「4」を超えたとき、すなわち、演奏者の身体において設定しているすべての部位のテスト演奏が終了したときは、フラグSBFを「0」にリセットして(ステップSD17)、フラッシュメモリ18におけるフレーム画像エリアのすべてであるf(1)ないしf(km)をクリアする(ステップSD18)。そして、フレーム画像エリアを指定する変数kを「1」にセットする(ステップSD19)。すなわち、f(1)のエリアを指定する。また、フラグLFを「1」にセットし(ステップSD20)、図14の画像処理に移行する。
【0035】
図16は、図14におけるステップSC5の画像処理のフローチャートである。カメラ部17から画像入力があるか否かを判別し(ステップSE1)、画像入力がない場合には図14のフローチャートに戻るが、画像入力があったときは、その画像データをフラッシュメモリ18にストアする(ステップSE2)。そして、1フレームの画像データが入力されたか否かを判別する(ステップSE3)。1フレームの画像データが入力されたときは、フラグSBFが「1(音出しテスト中)」であるか否かを判別する(ステップSE4)。SBFが「1」である場合には、フレーム画像を検索して(ステップSE5)、mに対応する特定画像を動画として検出したか否かを判別する(ステップSE6)。特定画像とは、図1に示したスティック1および2の先端部1aおよび2aの画像、および、黒球3および4の画像であり、デフォルトとして又は演奏者によって、画像パターンとしてあらかじめ設定されている。
【0036】
ステップSE6において、mに対応する特定画像の動画を検出したときは、RAM13の画像エリアG(m)に登録する(ステップSE7)。すなわち、1画面の画像データにおいて、テスト演奏として指示されている部位の特定画像の動画を検出したときは、RAM13の画像エリアG(m)に登録する。例えば、mが「1」の場合に右下の領域に黒球3の画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像を画像エリアG(1)に登録する。mが「2」の場合に左下の領域に黒球4の画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像を画像エリアG(2)に登録する。mが「3」の場合に右上の領域に先端部1aの画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像をG(3)として登録する。mが「4」の場合に左上の領域に先端部2aの画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像をG(4)として登録する。
【0037】
次に、登録したG(m)の動画の軌跡すなわち動線を検出したか否かを判別する(ステップSE8)。動画の検出は、所定時間(例えば、40ms)ごとのフレーム画像の画面において、G(m)の画像の座標を検出してRAM13にストアし、座標の移動を把握することで行われる。この場合において、動線の動きベクトルを把握するためにオプティカルフロー処理を行ってもよい。G(m)の動線を検出したときは、レジスタRTの値(初期値は0)をインクリメントする(ステップSE9)。また、D(n)の音色で発音する(ステップSE10)。すなわち、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージに応じて、演奏者が仮想のD(n)を演奏したときは、音源部19によってD(n)に対応する音色の楽音信号を発生させて、送信インタフェース20を介して、その楽音信号をヘッドホン7に出力する。
【0038】
ステップSE10の発音処理の後は、RTの値が所定回数Nに達したか否かを判別する(ステップSE11)。例えば、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージの指示が、左手のスティックでハイハットを演奏する指示であるとすると、ハイハットの位置と演奏の動線とを確定するために、演奏者に仮想楽器であるハイハットを演奏する動作を何回かさせる必要がある。また、演奏者にとっても、ハイハットを演奏するイメージを把握する必要がある。このため、連続してN回(5回ないし10回程度)、ハイハットのテスト演奏を行う。Nの値はあらかじめ設定されているが、演奏者の設定によって任意の回数に変更できるものとする。
【0039】
ステップSE11において、RTの値がNの値に達していない場合には、図14のフローチャートに戻るが、RTの値がNの値に達したときは、確定動線の演算処理を行う(ステップSE12)。図17は、右手(m=3)でトップシンバル(n=5)のテスト演奏を10回行ったときの、確定動線の演算処理を説明するための図である。この図において、E1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)は、図1に示したスティック1のテスト演奏において、40msごとの先端部1aの画像の座標を包含する楕円の関数を表している。すなわち、40msごとの先端部1aの画像の座標は、次第に面積が広がるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の楕円内に存在する。言い換えれば、10回のテスト演奏の動線が、2次元の楕円関数であるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の集合で表される3次元の立体的な楕円管の中に存在する。
なお、脚によるバスやハイハットの仮想演奏すなわち仮想のペダル演奏の場合には、40msごとの黒球の変位量が小さいので、図17の各楕円関数の位置はかなり接近した関係になる。
【0040】
例えば、右手でトップシンバルを叩く動作の時間を0.4秒すなわち400msと仮定する。この場合には、先端部1aの画像の座標の検出回数は10回であり、40msごとの先端部1aの画像の座標は、E1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の楕円内に存在することになる。この結果、右手でトップシンバルを叩く場合の確定動線C(3,5)が確定されるとともに、最後の楕円関数Ekm(x,y)がトップシンバルD(5)の空間位置DS(5)として確定される。ステップSE12の演算処理の後は、演算結果をRAM13のC(m,n)、DS(n)に登録する(ステップSE13)。次に、フラグDF(m,n)を「0」にリセットして(ステップSE14)、フラッシュメモリ18にストアした右手でトップシンバルを叩く動作のフレーム画像をクリアする(ステップSE15)。そして、図14のフローチャートに戻る。なお、他のドラムのテスト演奏についても同様である。
DF(m,n)が「0」にリセットされると、図15の音声処理のフローチャートにおいて、ステップSD10からステップSD13に移行して、次のテスト演奏のドラムを指定することになる。
【0041】
図16のステップSE4においてSBFが「0」である場合には、テスト演奏が終了して実際のドラム演奏に移行している。したがって、フラッシュメモリ18にストアしたフレーム画像は、任意のドラム演奏の画像になっている。図18は、任意のドラム演奏の画像を示す図である。図18の画像には、右手の画像101i、スティックの画像1i、その先端部の画像1ai、左手の画像102i、スティックの画像2i、その先端部の画像2ai、右脚の膝の画像103i、右脚に付けた黒球の画像3i、黒球を保持する帯状の保持部材の画像3ai、左脚の膝の画像104i、左脚に付けた黒球の画像4i、黒球を保持する帯状の保持部材の画像4ai、窓枠の画像105i、窓の外の風景の画像106i、額の画像107i、ごみ箱の画像108iが存在している。
【0042】
この画像の中からRAM13に登録したG(1)〜G(4)の画像とのマッチングによって、特定画像を抽出する(ステップSE16)。すなわち、2本のスティック1、2の先端部の画像1ai、2ai、2つの黒球の画像3i、4iを抽出する。さらに、抽出した画像以外の余分な画像を消去する(ステップSE17)。そして、フラッシュメモリ18において変数kで指定されるエリアf(k)に画像データをストアする(ステップSE19)。図19は、フラッシュメモリ18のエリアf(k)にストアした特定画像を表す図である。図18における画像1aiと画像2aiとは同じ形状であり、画像3iと画像4iとは同じ形状であるが、画面の位置関係から各画像をある程度は推測することは可能である。しかし、その推測が決定的であるという保証はない。例えば、画面の中央付近にスティックの先端部の画像が1つだけある場合には、その画像が画像1aiであるか又は画像2aiであるかは保証できない。したがって、図19に示すように、抽出した画像に記号g1〜g4を付与して識別する。
【0043】
図16のステップSE18において、フラッシュメモリ18のエリアf(k)に画像データをストアした後は、kの値をインクリメントする(ステップSE19)。kの初期値は、図15のステップSD19において「1」にセットされているので、最初はエリアf(1)に最初の1フレームの画像データをストアする。したがって、ステップSE19においてkの値は「2」となる。f(k)のエリアは、f(1)からf(km)までのkm個のフレームが用意されている。すなわち、図17に示した楕円関数の数と同数のエリアが用意されている。kmの数はドラムの種類nと演奏する身体の部位mによって決定されるが、演奏者の設定も可能である。ただし、この実施形態では、説明を簡便にするために、kmの値はすべて「10」とする。
【0044】
最後のエリアf(km)に1フレームの画像データをストアした後は、再びエリアf(1)に次の1フレームの画像データをストアするので、ステップSE19においてkの値をインクリメントした後は、kの値がkmの値より大きいか否かを判別する(ステップSE20)。kの値がkmの値より大きい場合には、kの値を「1」にセットする(ステップSE21)。kの値がkmの値以下である場合、又は、kの値を「1」にセットした後は、画像分析処理を実行する(ステップSE22)。そして、図14のフローチャートに戻る。
【0045】
図20および図21は、画像分析処理のフローチャートである。図20において、フラグAFが「1」であるか否かを判別し(ステップSF1)、AFが「0」である場合には、1フレームの画像データをストアした現在のエリアf(k)の1つ前のエリアに画像データがストアされているか否かを判別する(ステップSF2a)。そのエリアに画像データがストアされている場合には、AFを「1」にセットする(ステップSF2b)。そして、図16のフローチャートに戻る。そのエリアに画像データがストアされている場合には、画像データが1フレームしか記憶されていないため、後述するオプティカルフロー処理ができないので、直ちに図16のフローチャートに戻る。
【0046】
ステップSF1においてAFが「1」である場合には、変数jにkの値をセットし(ステップSF3)、jの値をデクリメントする(ステップSF4)。このデクリメントによってjの値が「0」になったか否かを判別し(ステップSF5)、「0」になったときは、jの値をkmにセットする(ステップSF6)。すなわち、kの値は図16のステップSE19ないしステップSE21において管理されており、kの値を変更することができないので、変数kで指定されている現在のエリアf(k)の1つ前のエリアを別の変数jを用いて指定する。そして、指定したエリアf(j)の画像データを読み出す(ステップSF7)。
【0047】
次に、図19に示した特定画像を検出して、その検出数をレジスタpmにストアする(ステップSF8)。図19の例では、特定画像はg1〜g4の4個であるので、pmにストアする値は「4」である。次に、エリアf(k)の画像データを読み出して(ステップSF9)、f(j)とf(k)の特定画像の座標を検出する(ステップSF10)。そして、f(j)の画像データとf(k)の画像データとのオプティカルフローを推定する(ステップSF11)。すなわち、f(j)の画像データにおける特定画像とf(k)の画像データにおける特定画像との間において、それぞれの動きベクトルを推定する。なお、ドラム演奏の際には、演奏者の身体が多少なりとも動くので、カメラ付き携帯電話装置5で撮像した画像も全体的に揺れるおそれがある。このため、オプティカルフロー処理において、動きのない被写体の画像、すなわち、図18における窓枠の画像105i、窓の外の風景の画像106i、額の画像107i、ごみ箱の画像108iに基づいて、画像の揺れ分を補正する。
通常、オプティカルフローの推定は、あらかじめ予想がつかない形状の物体の画像に対して行われるが、この場合には、形状が確定されている画像で最大4個の特定画像に対して行うので、極めて正確なオプティカルフローの推定を高速で行うことが可能である。
【0048】
オプティカルフローの推定を行った後は、特定画像gpを指定する変数pを「1」にセットして(ステップSF12)、その指定した特定画像gpは移動したか否かを判別する(ステップSF13)。gpが移動した場合には、その動きベクトルをレジスタvpにストアする(ステップSF14)。すなわち、ベクトル方向とベクトルの変化量とをストアする。図22は、図19のフレーム画像の次のフレーム画像を示す図である。特定画像g1〜g3は移動しているので、その動きベクトルv1〜v3をストアする。動きベクトルをストアした後、又は、指定した特定画像gpが移動していない場合には、pの値をインクリメントして次の特定画像を指定する(ステップSF15)。このインクリメントによってpの値が最大値pmを超えたか否かを判別し(ステップSF16)、pmを超えていない場合には、ステップSF13に移行して、gpの移動を判別する。
【0049】
ステップSF16において、pの値がpmの値を超えたときは、図21において、特定画像gpを指定する変数pを「1」にセットして(ステップSF17)、gpのフレーム数をレジスタMにストアする(ステップSF18)。次に、Mのフレーム数がkmに達したか否かを判別する(ステップSF19)。図19の例ではすべての特定画像であるg1〜g4が画像データに存在しているが、実際には、演奏者のドラム演奏によっては、存在する特定画像も変化することがあるので、pで指定した画像gpが存在しないフレームもあり得る。したがって、任意の画像gpの動線を確定するためには、km個(この実施形態では10個)のフレーム画像が必要である。
【0050】
ステップSF19において、Mのフレーム数がkmに達したときは、gpの動線をRAM13のエリアCC(gp)にストアする(ステップSF20)。すなわち、km個のフレームにおけるgpの座標をCC(gp)にストアする。そして、変数mおよび変数nをともに「1」にセットして(ステップSF21)、mおよびnの値をインクリメントしながら、以下のループを繰り返す。すなわち、gpの動線が図16のステップSE13においてRAM13に登録した動線C(m,n)のどれかと一致するか否かを判別する(ステップSF22)。gpの動線と動線C(m,n)とが一致するか否かは、各フレームf(k)において、gpの座標が図17に示した楕円関数Ek(x,y)の内部に存在するか否かによって判別する。動線が一致しない場合にはnの値をインクリメントする(ステップSF23)。このインクリメントによってnの値が最大値を超えたか否かを判別し(ステップSF24)、超えていない場合には、ステップSF22に移行してループを繰り返す。nの値が最大値を超えたときは、mの値をインクリメントする(ステップSF25)。このインクリメントによってmの値が最大値「4」を超えたか否かを判別し(ステップSF26)、超えていない場合には、ステップSF22に移行してループを繰り返す。
【0051】
ステップSF22において、gpの動線が登録した動線C(m,n)と一致した場合には、D(n)に応じた音色でvpのベクトル変化量に応じた振幅のリズム音信号を音源部19によって発生して、ヘッドホン7に送信してで発音する(ステップSF27)。次に、フラグRFが「1」であるか否かを判別し(ステップSF28)、RFが「1」である場合には、発生した楽音信号をフラッシュメモリ18に録音する(ステップSF29)。RFが「0」である場合、又は、ステップSF26においてmの値が最大値「4」を超えた場合、若しくは、ステップSF19においてMのフレーム数がkmに満たない場合には、pの値をインクリメントする(ステップSF30)。このインクリメントによってpの値が最大値pmを超えたか否かを判別し(ステップSF31)、pの値が最大値pm以下である場合には、ステップSF18に移行してループを繰り返す。pの値が最大値pmを超えたときは、図16のフローチャートに戻る。
【0052】
図23は、図1に示した右手101に保持されたスティック1の先端部1aの画像1ai、左手102に保持されたスティック2の先端部2aの画像2ai、右脚103および左脚104に取り付けた黒球3および黒球4の画像3iおよび4i、すなわち特定画像について、エリアf(1)からf(10)までの10フレームにおける各画像の位置f1〜f10の動線を示した図である。画像1aiはトップシンバルD(5)を演奏する動線を示し、画像2aiはスネアD(6)を演奏する動線を示し、画像3iは、変位量が小さいので途中を省略しているが、バスD(1)の仮想ペダルを踏む動線を示し、画像4iは静止状態を示している。したがって、CPU11は、トップシンバルの音色、スネアの音色、バスの音色で、音源部19に対してリズム音信号を発生する指示を与える。
ただし、認識した動線に応じて特定画像の位置が仮想楽器に達する前に、音源部19に対して対応する仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与える。すなわち、図23において、例えばf9の画像を検出したときに、対応する仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与えて、演奏者が仮想楽器を叩くタイミングに遅れることなく発音を行う。どの程度の時間早めるかは実験して測定する。
【0053】
以上のように、この第1実施形態の電子楽器装置によれば、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている複数種類の特定画像gp(1≦p≦4)を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。さらに、脚を使わず両手だけの擬似演奏も可能であるので、図1に示すような椅子がない状態でも、立ったままで仮想のドラム演奏をすることができる。この場合には、図11の設定画面において両足をオフに設定すればよい。
【0054】
上記第1実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、抽出した特定画像の動画を構成する時系列のフレーム画像のオプティカルフロー推定処理によって、当該特定画像の動きベクトルを分析するので、動画の中に含まれる特定画像を高速かつ高い精度で検出することができる。
さらに、CPU11は、抽出した特定画像の動きベクトルを分析することによって、当該特定画像の動線を認識し、認識した動線に応じて仮想楽器を判定するので、仮想のドラム演奏を確実に把握して、各仮想楽器の音色で発音を行うことができる。
さらにまた、認識した動線に応じて特定画像の位置が仮想楽器に達する前に、前記信号発生手段に対して当該仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与えることにより、演奏者が仮想楽器を叩くタイミングに対して発音が遅れることがない。
さらにまた、CPU11は、分析した動きベクトルの変化量に応じた振幅のリズム音信号を発生するように音源部19に指示するので、より一層、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができる。
【0055】
さらにまた、上記第1実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、指定された曲のメロディ音信号とともに、発生したリズム音信号をヘッドホンに出力するので、より一層、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができる。特に最近では、携帯電話装置に100曲以上ものメロディを記録可能であり、中には500曲ものメロディを記録できるものもある。さらに、曲を構成するメロディパート、コード(和音)パート、およびリズムパートから1つのパートを除いたいわゆるマイナスワンの曲データをインターネットからダウンロードできるので、リズムパートを除いたマイナスワンの曲データをインターネットからダウンロードしてフラッシュメモリ18に記憶し、メロディパートおよび和音パートを再生しながら、仮想楽器によるドラム演奏ができるので、ジャムセッションのようなバンド演奏の臨場感が得られる。
【0056】
上記第1実施形態の電子楽器装置においては、演奏者の手に保持されたスティックの先端部の画像を特定画像として抽出する構成にしたが、他の画像を抽出するような構成も可能である。
図24は、第2実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この場合には、スティック1、2の先端部1a、2aの代わりに、右手101および左手102の手首に取り付けた黒球111、112の画像を抽出する。あるいは、右手101および左手102の腕に取り付けた黒球113、114の画像を抽出する。使用する黒球111、112又は黒球113、114は、両脚に取り付けた黒球3、4と同じ形状になっている。したがって、CPU11による画像検出およびその抽出がさらに容易になる。なお、両脚に取り付けた黒球3、4は仮想のペダル操作による動き量が小さいので、膝よりも動きの大きい右足のつま先および左足のつま先に、それぞれ黒球3、4を取り付けてもよい。
【0057】
以上のように、第2実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出するので、たとえスティックを持たなくても仮想のドラム演奏を行うことができる。
あるいは、第1実施形態の変形例として、CPU11は、演奏者の手に保持されたのスティックの撮像された画像を特定画像として抽出するようにしてもよい。この場合には、スティックの微妙な角度なども検出できるので、極めて高度なドラム演奏を擬似した電子楽器装置を実現できる。なお、この場合においても、スティックを回りの環境にない色で着色することが望ましい。
【0058】
また、上記第1実施形態の電子楽器装置においては、カメラ付き携帯電話装置5とヘッドホン7とを信号線で接続する構成にしたが、赤外線やブルートゥースなどの無線信号によって、音源部19で発生した楽音信号をヘッドホン7や他のサウンドシステムに送信する構成も可能である。特に最近では、携帯電話装置を用いて無線信号による取引が実用化されているので、近い将来においては、カメラ付き携帯電話装置5に特別な仕様変更を行うことなく、無線信号による楽音信号の送信が可能となる。
無線信号によって音源部19で発生した楽音信号をサウンドシステムに送信する構成にした場合には、例えば、野外におけるイベントとして、スティックを持たず手の動作だけで行う仮想のドラム演奏の音楽を楽しむことも可能である。
【0059】
また、上記第1実施形態の電子楽器装置においては、カメラ付き携帯電話装置5によって特定画像を撮像する構成にしたが、専用のディジタルカメラを備えた撮像手段によって特定画像を撮像する構成も可能である。専用の撮像手段の場合には、演奏者の腰だけでなく、胸に取り付けるような構成も可能であるし、ヘッドホンと一体化した構成も可能である。さらに、このような専用の撮像手段を用いた場合には、携帯電話装置の機能に制約されることがないので、プロの演奏者にも有効な電子楽器装置を実現できる。
【0060】
なお、上記各実施形態においては、電子楽器装置の発明すなわち物の発明について説明したが、仮想楽器の演奏方法の発明としても実現可能である。
すなわち、本発明による仮想楽器の演奏方法は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する。
【0061】
本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施を安価に提供するためには、構成の要であるカメラ付き携帯電話装置を安価に実現することが必要である。そして、カメラ付き携帯電話装置を安価に実現するためには、第1には、使用する部品のコストダウンを図ることが必要であり、第2には、豊富な機能を具備することで販路を拡大して、量産化を図ることが必要である。図3の構成において、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ18などの半導体部品、LCDなどからなる表示部16、無線送受信部14については、開発の歴史も古く、コストダウンや機能の充実のために世界中で熾烈な競争が行われているので、さらなるコストダウンや機能の充実を図ることは極めて困難である。しかし、カメラ部17については、携帯電話装置に使用されるようになってからの歴史も浅い上、機能の充実化が強く要求されているため、さらなるコストダウンや機能の充実の可能性がある。
【0062】
すなわち、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施を安価に提供するためには、このカメラ部17のコストダウンおよび機能の充実を図ることが望ましい。ところが、最近のカメラ付き携帯電話装置においては、機能の充実を図るために、外部を撮影するアウト(外側)カメラと、自分の顔などを撮影するイン(内側)カメラ用として、2種類の撮像素子とレンズなどの光学系の部品を備えたものが普及してきた。すなわち、外部を撮影するための焦点距離の長いレンズと、自分撮り用の焦点距離の短い広い視野角のレンズとを備え、それぞれのレンズに応じた撮像素子が使用されている。このため、カメラ部が高価になってきている。
【0063】
そこで、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施のために、新たなカメラ付き携帯電話装置の発明について、第1実施形態ないし第3実施形態を例に採って説明する。
図25は、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。図25(A)において、下部本体51(第1の本体)と上部本体52(第2の本体)はヒンジ部53(結合手段)によって回動可能に結合されている。上部本体52の上面には、LCD(液晶表示デバイス)の表示部54が設けられているとともに、広い視野角のレンズ55(第1のレンズ)、すなわち焦点距離の短い光学特性のレンズ55が取り付けられている。レンズ55のさらに奥にはCCD又はCMOSなどからなる撮像素子56が配置され、レンズ55の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子56に結像される。撮像素子56は、この光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する。下部本体51には、ヒンジ部53からさらに突き出た構造の突起部57が形成されている。さらに、突起部57のほぼ中央には、レンズ58(第2のレンズ)がはめ込まれている。
したがって、図25(A)の状態においては、広い視野角のレンズ55によって、ユーザが自分の顔を撮像することができるとともに、図1に示したように、仮想のドラム演奏用として使用することができる。なお、図には示していないが、突起部57のレンズ58の周りには、金属製のワイヤが螺旋状に埋め込まれており、ヘリカルアンテナを構成している。
【0064】
図25(A)は、下部本体51のスイッチ部(図示せず)を有する面と、上部本体52表示部(図示せず)を有する面とが対面した閉状態になっている。この状態から、矢印で示す方向に上部本体52を開いて、図25(B)に示す状態に回動すると、レンズ58とレンズ55とが重なり合う状態になる。この結果、レンズ58の光軸ax2を中心とした光画像がレンズ55を通過して撮像素子56に結像される。したがって、本発明による仮想のドラム演奏を行う電子楽器装置に使用できるとともに、レンズ58の光学特性によって、レンズ55の焦点距離の短い光学特性を補正するようにすることで、通常のカメラ付き携帯電話装置と同様の撮影が可能になる。この場合には、上部本体52の図示しない表示部に撮像素子56で撮像された外部の画像がモニター表示される。
なお、下部本体52の側面に設けられたスイッチ51aは、通常の撮影においてはシャッタスイッチとして機能し、仮想のドラム演奏においてはスタート/ストップスイッチとして機能する。
このように、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子56を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0065】
図26および図27は、第2実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。なお、図25に示した構成と同じものや同じ機能を持つものは同一の符号で表し、重複する説明は省略する。
図26(A)に示すように、この第2実施形態のカメラ付き携帯電話装置では、広い視野角のレンズ55が上部本体52に設けられ、レンズ58が下部本体51に設けられている。さらに、この第2実施形態のカメラ付き携帯電話装置では、図26(A)に示す閉状態から上部本体52を開いて、図26(B)に示す位置まで回動すると、ヒンジ部53の中央部53aが回転軸Cの周りに矢印に示すように回転できる構造になっている。すなわち、図26(B)に示すように、上部本体52の表示部59が反対側になるように回転して、さらに、図27に示すように、再び閉状態にすることができる。
【0066】
図27に示すように、レンズ58の光軸ax2を中心とした光画像がレンズ55を通過して撮像素子56に結像される。したがって、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置と同様に、図25(A)の状態においては、広い視野角のレンズ55によって、ユーザが自分の顔を撮像することができるとともに、図1に示したように、仮想のドラム演奏用として使用することができる。さらに、レンズ58の光学特性によって、レンズ55の焦点距離の短い光学特性を補正するようにすることで、遠方の被写体を撮影することができる。この場合には、上部本体52の表示部59に撮像素子56で撮像された画像がモニター表示される。
【0067】
このように、第2実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子56を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0068】
図28および図29は、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。図28(A)に示す外観図およびその側面の一部の断面を表している図28(B)において、下部本体201(第1の本体)と上部本体202(第2の本体)とはヒンジ部203(結合手段)によって回動可能に結合されている。また、図28(A)、(B)の状態では、下部本体201のスイッチ部を有する面201aと、上部本体201の表示部を有する面202aとが対面する閉状態になっている。この点は上記第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0069】
ただし、この第3実施形態においては、図28(B)に示すように、撮像素子204は下部本体201に設けられている。この撮像素子204の上にはレンズ205(第2のレンズ)が配置され、このレンズ205と一体に成形されたプリズム206(光反射部材)からなる光学手段が設けられている。そして、この一体成形の光学手段であるレンズ205およびプリズム206をスライド可能な空間207が下部本体201に形成されている。また、下部本体201の側面からは、外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状の突起部208が形成され、その内部に形成された円筒形状の空間には、レンズ209(第3のレンズ)が配置されている。一方、上部本体202には、撮像素子204に対応する位置に広い視野角のレンズ210(第1のレンズ)が配置されている。
図28(A)、(B)に示す閉状態においては、レンズ210の光軸ax1を中心とした光画像がレンズ205を通過して撮像素子204に結像される。したがって、2つのレンズによる複合レンズの特性を生かすことで、レンズ210だけの場合よりも様々な収差を小さくできる。
【0070】
次に、図28(A)、(B)に示す閉状態から上部本体202を開いて、図28(C)に示す開状態にすると、レンズ205の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子204に結像される。この場合には、上部本体202の表示部に撮像素子204で撮像された画像がモニター表示される。したがって、ユーザは、表示部の画像をファインダとして見ながら、自分の顔や姿を撮影してメモリに保存したり、リアルタイムで他のカメラ付き携帯電話装置に送信することができる。
【0071】
下部本体201の側面からは、図28(A)に示すように、スライドレバー212(操作手段)が突き出ているが、これは一体成形された光学手段であるレンズ205およびプリズム206をスライドさせるためのものである。すなわち、図28(C)の状態からスライドレバー212をヒンジ部203と反対側にスライドすると、一体成形されたレンズ205およびプリズム206が空間207内をスライドして、図28(D)に示すように、プリズム206が撮像素子204に対応する位置になる。この場合には、突起部208内に配置したレンズ209の光軸ax2を中心とした光画像がプリズム206で直角に反射して撮像素子204に結像される。したがって、レンズ209を焦点距離の長い望遠型のレンズで構成することにより、従来のカメラ付き携帯電話装置に比較して、より遠方の風景や人物を撮影することができる。
【0072】
図28(A)において、突起部208の内部には、金属製のワイヤ211が円筒形状に沿って螺旋状に埋め込まれて成形されている。また、突起部208が形成されている側面の他方の端には、伸縮可能なロッドアンテナ214が設けられている。ワイヤ211は、ロッドアンテナ214と協働して、ダイバシティアンテナとしてのヘリカルアンテナの機能を果たすとともに、突起部208を機械的に補強している。したがって、突起部208に加わるベンディングモーメント(曲げ力)に対して強い構造になっている。このため、突起部208に付加レンズ装置を装着することが可能である。
【0073】
図29は、この突起部208にズーム機能を持つ付加レンズ装置301を装着した例を示す図である。図29(A)、(B)において、付加レンズ装置301は、突起部208側の部分302と外部側の部分303とが、ネジ305によって回転可能に結合された構造になっている。そして、外部側の部分303の内部には、カメラ付き携帯電話装置のレンズ209と同一の光軸ax2を持つレンズ304が配置されている。したがって、図29(B)に示すように、付加レンズ装置301のレンズ303および突起部208内に配置したレンズ209の光軸ax2を中心とした光画像が、プリズム206で直角に反射して撮像素子204に結像される。さらに、レンズ304を含む部分303を回転操作すると、図29(C)に示すように、その部分303が前方に移動してズーム機能を果たすことになる。
【0074】
このように、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置によれば、共通の撮像素子204を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施が可能になる。さらに、付加レンズ装置301を装着することによって、ディジタルカメラやビデオカメラと匹敵するような、極めて遠方の風景や人物を撮影することができるので、この優れた機能の充実によってユーザの要求を満たすことで販路の拡大が期待でき、一層の量産化によってコストダウンを図ることができる。
【0075】
この場合において、図28(A)に示したように、上部本体202の上面には、表示部213が設けられているので、カメラ付き携帯電話装置の内部に、撮像素子204から出力される撮像信号による画像の輪郭を検出するエッジ検出回路を設けることにより、付加レンズ装置301のズーム機能によるピントの状態を表示部213に表示することができ、特定のマーク画像などによってピントが合ったことをユーザに通知できる。
【0076】
図30は、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置の光学系の部材を示している。他の構成については、第3実施形態と同じであるので、図面および説明を省略する。
図30(A)は、一体成形された光学手段400の外観図であり、図30(B)および図30(C)は、それぞれ図30(A)におけるX−X線に沿って、図の左側の部分400aおよび右側の部分400bを見た場合の断面図である。また、図30(D)は、図30(B)および図30(C)におけるY−Y線に沿った断面図、すなわち、図30(A)における縦割の断面図である。図30(D)に示すように、この光学手段400は、レンズ401(第3のレンズ)、レンズ402(第2のレンズ)、およびプリズム403(光反射部材)が高い透明度の樹脂又はガラスで一体成形されている。なお、仮想のドラム演奏を行う電子楽器装置のためのレンズ(第1のレンズ)は、第3実施形態の構成と同じであるので、図面および説明は省略する。
【0077】
図31は、図30の光学手段400をカメラ付き携帯電話装置の収容手段405にスライド可能な状態で組み込んだ図である。この図において、図28および図29に示した撮像素子204と同じものが、カメラ付き携帯電話装置内に配置されている。図31(A)の状態においては、撮像素子204に対応する位置にはレンズ402がある。また、レンズ401を形成している部分400bがカメラ付き携帯電話装置から外部に突き出た状態になっている。したがって、レンズ402の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子204に結像される。次に、部分400bを外部に向けて引き出した場合には、図31(B)に示すように、撮像素子204に対応する位置にはプリズム403がある。したがって、レンズ401の光軸ax2を中心とした光画像が、プリズム403で直角に反射して撮像素子204に結像される。
【0078】
このように、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置によれば、共通の撮像素子204を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施が可能になる。さらに、焦点距離の異なる2つのレンズ401、402、およびプリズム403を高い透明度の樹脂又はガラスで一体成形しているので、極めて簡単な構造であるとともに、光軸の誤差を極めて小さくすることができる。
なお、この変形例においても、レンズ401を形成している部分400bの外側を金属又は硬質の樹脂でカバーすれば、付加レンズ装置を装着できるので、ディジタルカメラやビデオカメラと匹敵するような、極めて遠方の風景や人物を撮影することができる。
【0079】
以上のように、上記第1実施形態ないし第3実施形態および変形例におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0080】
特に、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、上部本体202の所定の位置に設けられた広い視野角のレンズ210と、下部本体201に設けられた空間に収容され、レンズ205およびプリズム206が一体化された光学手段と、下部本体201のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状で、下部本体201設けられた空間に連通する空間を内部に有する突起部208と、この突起部208の空間の所定位置に設けられたレンズ209と、一体成形の光学手段であるレンズ205およびプリズム206を操作に応じて突起部208側の位置又は下部本体201側の位置に移動させるスライドレバー212と、下部本体201と上部本体202とが閉状態で、且つ、レンズ205およびプリズム206が突起部208側の位置にある場合には、レンズ210およびレンズ205によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、下部本体201と上部本体202とが開状態で、且つ、レンズ205およびプリズム206が突起部208側の位置にある場合には、レンズ205によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、レンズ205およびプリズム206が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ209から入射してプリズム206によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子204と、を備えた構成になっているので、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も共通の撮像素子204で撮像することにより、カメラ付き携帯電話装置のコストダウンおよび機能の充実を図ることができる。
【0081】
また、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置は、上部本体202の所定の位置に設けられた広い視野角のレンズ210と、下部本体201においてスイッチ部を有する面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つのレンズ402、下部本体201のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た部分に形成されて当該側面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つレンズ401、レンズ401から入射する光をほぼ直角に反射するプリズム403とが一体化された光学手段400と、下部本体201において、操作に応じて光学手段400を下部本体201側の位置又は外部側の位置に、レンズ401の光軸方向にスライド可能に収容する収容手段405と、下部本体201と上部本体202とが閉状態で、且つ、光学手段400が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ210およびレンズ402によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、下部本体201と上部本体202とが開状態で、且つ、光学手段400が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ402によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段400が外部側の位置にある場合には、レンズ401から入射してプリズム403によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子204と、を備えた構成になっているので、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も共通の撮像素子204で撮像することにより、カメラ付き携帯電話装置のコストダウンおよび機能の充実を図ることができる。
【0082】
この第3実施形態の他の変形例として、光学手段400のレンズ401を広角レンズ又は魚眼レンズのように至近距離を撮れるようなレンズで構成してもよい。そして、このカメラ付き携帯電話装置5をヘッドホン7に取り付けるようにする。図32は、ヘッドホン7にカメラ付き携帯電話装置5を取り付けた状態を示す図である。この図において、ヘッドホン7には、キャリアケース7bが取り付けられ、カメラ付き携帯電話装置5が光学手段400およびスイッチ215を露出した状態で収容されている。この場合においては、カメラ付き携帯電話装置5からヘッドホン7への信号の送信は、赤外線による無線通信によって行う。この場合には、カメラ付き携帯電話装置5のカメラアングルが高くなるので、スティックの画像よりも手首や腕に付けた球形の物のほうが検出を容易にできる。さらに、手若しくは腕および脚に付ける球形の物の色を身体の部位ごとに異なる色にしてもよい。この場合には、各部位の識別が容易になる。
したがって、この第3実施形態の他の変形例においても、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0083】
次に、本発明による電子楽器装置の他の実施形態について説明する。図33は、他の実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この図において、図1および図24に示した第1実施形態および第2実施形態の構成と同じものは、同一の符号で表している。ヘッドホン7には、専用のカメラ部121が設けられている。そして、演奏者100の右手101、左手102、右脚103、および左脚104には、それぞれ色彩が異なる球122、123、124、および125が取り付けられている。この場合において、このヘッドホン7は携帯電話装置と協働して電子楽器装置を構成する。
【0084】
図34は、この実施形態におけるヘッドホン7の構成を示すブロック図である。この図において、CPU71は、システムバスを介して、ROM72、RAM73、ブルートゥース(Bluetooth)通信部74、カメラ部121、フラッシュメモリ75、音声出力インタフェース76に接続されている。CPU71は、第1実施形態における電子楽器装置が行っていた画像処理を担うことになる。このため、ROM72には画像処理のプログラムが記憶されており、CPU71がそのプログラムを実行するのであるが、上記したように、このヘッドホン7は仮想のドラム演奏を行うための専用の電子楽器装置であるので、実際には、ソフトウェアによる画像処理でなく、専用のLSIによるハードウェアで高速の画像処理を行う。しかし、画像処理をソフトウェアで行うにせよ又は専用のハードウェアで行うにせよ、基本的な動作については同じであるので、第1実施形態における仮想のドラム演奏の説明に合わせて、画像処理をソフトウェアで行うものと見なして、図34のような構成に基づいてこの実施形態を説明することにする。
【0085】
RAM73、カメラ部121、フラッシュメモリ75の機能については、第1実施形態の場合とほぼ同じである。ブルートゥース通信部74は、携帯電話装置との間でブルートゥースの無線通信によってデータの送受信を行う。音声出力インタフェース76は、携帯電話装置から送られてくる音声信号をディジタルからアナログのステレオ音声信号に変換してアンプ77に出力する。アンプ77は、例えば、カメラ部121と反対側の部分に設けられているボリューム78の調整に応じた増幅率で、ステレオ音声信号を増幅して左右のスピーカ79L、79Rで発音する。
【0086】
図35は、図34のCPU71の動作を示すフローチャートである。携帯電話装置との間でブルートゥースによる通信処理を行って(ステップSG1)、ドラム演奏のスタート指令を受信したか否かを判別する(ステップSG2)。スタート指令を受信したときは、画像処理を実行する(ステップSG3)。次に、電源電圧のチェックなどのその他の処理を行う(ステップSG4)。画像処理などの実行中では、携帯電話装置からストップ指令を受信したか否かを判別し(ステップSG5)、ストップ指令を受信しない場合には、ステップSG1に移行して上記各処理を繰り返すが、ストップ指令を受信したときは、このフローチャートを終了する。
【0087】
このように、ヘッドホン7によって画像処理を行うので、携帯電話装置のドラム処理では画像処理は行わず、音声処理、通信処理などを行う。なお、携帯電話装置におけるメインルーチン、ドラム設定処理の動作については、図5および図6に示した第1実施形態のメインルーチン、図8および図9に示した第1実施形態のドラム設定処理の動作と同じである。すなわち、この実施形態においても、ドラム演奏の設定は携帯電話装置側で行われる。図35は、この実施形態における携帯電話装置のドラム処理のフローチャートである。図14のフローチャートと比較すると、ステップSC5においては画像処理の代わりに通信処理を行うようになっている。
【0088】
この通信処理において、図15に示した第1実施形態の音声処理のステップSD7においては、mの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージは、携帯電話装置からブルートゥースの無線信号によってヘッドホン7に送信される。また、ステップSD10におけるDF(m,n)=0のデータはヘッドホン7から受信する。一方、ヘッドホン7においても、携帯電話装置から受信したmの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージに応じて、図16に示した画像処理のステップSE8で動線を検出すると、その検出データを携帯電話装置に送信し、その検出データに応じて携帯電話装置から受信したD(n)の音色のリズム音信号を音声出力インタフェース76によってアンプ77に出力して発音する。また、ステップSE14におけるDF(m,n)を携帯電話装置に送信する。
したがって、この実施形態による電子楽器装置おいても、第1実施形態における電子楽器装置と同様の効果が得られる。
【0089】
図1に示した第1実施形態においては、カメラ付き携帯電話装置5のヘッドホン端子からヘッドホン7に対して、信号線によってリズム音信号を出力する構成にしたが、第1実施形態の変形例としての電子楽器装置では、カメラ付き携帯電話装置にブルートゥース通信機能又は赤外線通信機能を持たせることにより、カメラ付き携帯電話装置からヘッドホン7に対して、無線信号によってリズム音信号を送信する構成も可能である。
【0090】
図37(A)は、無線信号によってリズム音信号を送信する場合に、電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す第1実施形態の変形例の図である。図37(A)において、カメラ付き携帯電話装置5は、充電の際にACアダプタ(図示せず)と接続される卓上ホルダ115に装着されており、ωの視野角のレンズ(図示せず)によって前方(図の右側)を撮像できる状態で、本箱や机などの家具116の上に配置されている。演奏者100は、カメラ付き携帯電話装置5のカメラに向かって座り、右手および左手にスティック1および2を持つとともに、右足および左足にスリッパ108および109を履き、スティック1および2と両足で仮想のドラム演奏を行う。スティック1および2の先端部1aおよび2aは、第1実施形態と同様に特定の色(この場合は黒)に着色されている。一方、第1実施形態においては演奏者100の脚部に取り付けられていた黒球3および4は、この実施形態ではスリッパ108および109の先端部に取り付けられている。
また、第1実施形態と同様に、演奏者の頭部にはヘッドホン7が装着されているが、この場合のヘッドホン7は、カメラ付き携帯電話装置5からの無線信号を受信するデータ受信機能を備えており、ヘッドホン7を頭部に固定する支持部材7bがアンテナの機能を兼用している。他の構成については第1実施形態と同じである。
図37(A)において、演奏者100の後方には、収納棚117、この上に置かれた時計118、壁に掛けられた額119がある。すなわち、演奏者100は、このような狭い部屋の中で仮想のドラム演奏を行っている。したがって、カメラ付き携帯電話装置5は、1メートルないし2メートル程度の距離で演奏者100を撮像する状態になっている。
【0091】
図37(B)は、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された演奏者100および後方の収納棚117などの画像を示す図である。なお、平成16年7月の時点で市販されている大半のカメラ付き携帯電話装置によれば、被写体から1メートルないし2メートル程度の距離で撮像される画像をLCDなどの表示部に表示した場合には、その画像が図37(B)に示す状態になることは、発明者によって実証されている。
したがって、第1実施形態と同様に、図18に示した画像の中から、図19に示した特定画像を抽出するのと同じように、図37(B)の画像から特定画像である1a、2a、3および4の画像を抽出することができる。
【0092】
したがって、第1実施形態の場合と同様に、この変形例においても、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。なお、平成16年7月の時点で、著名な某通信会社から市販されているカメラ付き携帯電話装置においては、例えば、35機種の中で26機種には既に赤外線通信機能が搭載されている。なおまた、ブルートゥース通信機能についても、パソコンなどのIT分野において既に実用化されており、近い将来においてはカメラ付き携帯電話装置に搭載できることが予想され得る。さらに、ヘッドホン7に赤外線通信又はブルートゥース通信を利用したデータ通信機能を容易に付加できることは、改めて記述するまでもなく明らかである。
【0093】
なお、上記各実施形態においては、電子楽器演奏装置および仮想楽器の演奏方法について説明したが、仮想楽器の演奏処理のプログラムをインターネットなどのネットワークを介してダウンロードしたり、仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録した記録媒体をカメラ付き携帯電話装置に装着して、そのプログラムを実行させることも可能である。この場合には、プログラムの発明およびプログラムを記録した記録媒体の発明を実現する。
すなわち、その仮想楽器の演奏処理のプログラムは、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、を実行する。
また、その記録媒体は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図2】図1に示したキャリアケースに収容されたカメラ付き携帯電話装置を示す図である。
【図3】カメラ付き携帯電話装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ヘッドホンの内部構成を示すブロック図である。
【図5】CPUのメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5に続くCPUのメインルーチンのフローチャートである。
【図7】(A)はメニュー画面を示す図であり、(B)はメニュー画面のアイコンに対応するスイッチを示す図である。
【図8】ドラム設定処理のフローチャートである。
【図9】図8に続くドラム設定処理のフローチャートである。
【図10】ドラム設定処理における設定画面の内容を示す図である。
【図11】ドラム演奏の設定画面を示す図である。
【図12】ドラム演奏の決定画面の例を示す図である。
【図13】RAMに記憶された配列ARのデータの図である。
【図14】図9におけるドラム処理のフローチャートである。
【図15】図14における音声処理のフローチャートである。
【図16】図14における画像処理のフローチャートである。
【図17】確定動線の演算処理を説明するための図である。
【図18】任意のドラム演奏の画像を示す図である。
【図19】フラッシュメモリにストアした特定画像を表す図である。
【図20】画像分析処理のフローチャートである。
【図21】図20に続く画像分析処理のフローチャートである。
【図22】図19のフレーム画像の次のフレーム画像を示す図である。
【図23】特殊画像について10フレーム分の各画像の動線を示した図である。
【図24】第2実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図25】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第1実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図26】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第2実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図27】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第2実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図28】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第3実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図29】図28のカメラ付き携帯電話装置の突起部に付加レンズ装置を装着した例を示す図である。
【図30】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第3実施形態の変形例における光学手段の構造を示す図である。
【図31】図30の光学手段をカメラ付き携帯電話装置に組み込んだ状態を示す図である。
【図32】ヘッドホン7にカメラ付き携帯電話装置5を取り付けた状態を示す図である。
【図33】他の実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図34】他の実施形態におけるヘッドホンの構成を示すブロック図である。
【図35】図34のCPUの動作を示すフローチャートである。
【図36】他の実施形態における携帯電話装置のドラム処理のフローチャートである。
【図37】第1実施形態の変形例における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1、2 スティック
1a、2a スティックの先端部
3、4、111、112、113、114 黒球
5 カメラ付き携帯電話装置
7 ヘッドホン
8、55、58、210、205、304、401、402 レンズ
11 CPU
17 カメラ部
18 フラッシュメモリ
19 音源部
51、201 下部本体
52、202 上部本体
54、59、213 表示部
56、204 撮像素子
206、403 プリズム
211 ヘリカルアンテナ
301 付加レンズ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法、並びに、仮想楽器の演奏処理のプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CPUやその他の半導体などを利用した電子鍵盤楽器が普及しているが、仮想の打楽器を演奏するための電子楽器装置も次第に商品化され、高い性能の製品も開発されている。また、仮想の打楽器を演奏するための技術も多く提案されている。
ある提案の電子楽器においては、ドラムのスティックに圧電ジャイロセンサ又はマイクロ加速度センサを設け、この角速度センサから結線した回路により角速度を検出して、この角速度を制御信号に変換し、この制御信号により音量および音質を設定するシンセサイザを備えた構成になっている。この構成により、スティックを振るだけで打楽器の音を発生できる。(特許文献1参照)
また、ある提案の電子打楽器においては、中空状のスティック本体内に、発光素子および受光素子を有する光センサと、スティック本体の振り動作に応じて受光素子に入射する光量(反射光量、透過光量)を変化させる振動子を設けた構成になっている。この構成により、スティックを振ると、その振りに応じて振動子が振動し、この振動子の振動に応じて発光素子からの光の反射状態又は透過状態が変化し、この変化に応じた光量を受光素子が受光するため、スティック本体の振り操作を振動子の振動状態の波形として検出することができ、スティック本体の微妙な振動を精度よく検出することができ、しかも非接触方式であるから耐久性にも優れ、信頼性の高いものを得ることができる。(特許文献2参照)
また、ある提案の電子ドラムにおいては、電子ドラムのパッドの外周であるパッド枠の少なくとも一箇所を透明若しくは半透明とした導光板で形成し、その導光板に複数色の光源からの光を導光し発光させる構成とともに、所望の条件に従う点灯信号発生手段からの信号により点滅と発光色の切換とを行う構成になっている。この構成により、パッドに割り付けられた打楽器の種類など、演奏者が所望する情報を発光色、発光数などにより告知できる。(特許文献3参照)
また、ある提案の入力装置およびこれを用いた電子楽器においては、2本のワイヤが1点で固定されたスタンドと、それぞれのワイヤに固定された2本のスティックと、ワイヤに張力が生じたことを検知し、ワイヤが張った状態でこのワイヤが交わる線上での位置を検知するセンサと、位置を表す信号に応じた音色の信号を発生し得る音源装置と、センサが張力を検知したときに音源装置からの信号を出力する出力手段とを備えた構成になっている。この構成により、ワイヤが充分に伸びた瞬間のタイミングとその時の打点位置を電気信号として検出でき、それを用いて電子音源装置を操作することにより電子ドラムシステムの演奏が可能になる。(特許文献4参照)
【特許文献1】特開平6−75571号公報
【特許文献2】特開平10−55175号公報
【特許文献3】特開平11−30983号公報
【特許文献4】特開2000−163049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記各特許文献においては、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができないという課題、又は、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるという課題があった。
例えば、特許文献1の構成においては、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できなので、ドラム演奏の臨場感を得ることができず、結局は、図4に示されるように、摸擬ドラムのメンブレム部やスネア部に角速度センサを取り付けることになる。したがって、擬似ドラムを設置するためのスペースが必要になる。また、ステックと装置(この場合は、プロセッサの回路部)とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。
また、特許文献2の構成においては、特許文献1の場合と同様に、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できないので、ドラム演奏の臨場感を得ることができない上、ステックと楽音発生装置とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらに、スティックの振りが激しい場合には、スティック内のセンサ部が破損するおそれもある。
また、特許文献3の構成においては、擬似ドラムとしてのパッドを設置しなければならず、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるので、狭い家屋では設置することが困難である。
また、特許文献4の構成においては、図1からも明らかなように、スツール付きの大きなスタンドを設置しなければならず、自宅で手軽に演奏することができない。さらに、スティックとスタンドとを結ぶワイヤによって、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらにまた、図4および図6に示されているように、スティック操作を検出するセンサの機構が複雑であるので、製造コストやメンテナンスコストが高くなってしまう。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる電子楽器装置を安価に提供することを目的とする。
また、本発明は、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる仮想のドラム演奏方法を安価に提供することを目的とする。
また、本発明は、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる電子楽器装置および仮想のドラム演奏方法の実施に用いるカメラ付き携帯電話装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子楽器装置は、撮像手段と、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、この画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、この画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する信号発生手段と、を備えた構成になっている。
【0006】
本発明の仮想楽器の演奏方法は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する構成になっている。
【0007】
本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用可能なカメラ付き携帯電話装置は、
スイッチ部を有する第1の本体と表示部を有する第2の本体とが結合手段によって回動可能に結合され、第1の本体と第2の本体とを閉状態又は開状態に変化可能な構造を有し、
第2の本体の所定の位置に設けられた第1のレンズと、第1の本体に設けられた空間に収容され、第2のレンズおよび光反射部材が一体化された光学手段と、第1の本体のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状で第1の本体に設けられた空間に連通する空間を内部に有する突起部と、この突起部の空間の所定位置に設けられた第3のレンズと、光学手段を操作に応じて第1の本体に設けられた空間内の第1の位置又は第2の位置に移動させる操作手段と、第1の本体と第2の本体とが閉状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第1のレンズおよび第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、第1の本体と第2の本体とが開状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段が第2の位置にある場合には、第3のレンズから入射して光反射部材によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子と、を備えた構成になっている。
【0008】
また、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用可能なカメラ付き携帯電話装置は、
スイッチ部を有する第1の本体と表示部を有する第2の本体とが結合手段によって回動可能に結合され、第1の本体と第2の本体とを閉状態又は開状態に変化可能な構造を有し、
第2の本体の所定の位置に設けられた第1のレンズと、第1の本体においてスイッチ部を有する面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つ第2のレンズ、第1の本体のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た部分に形成されて当該側面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つ第3のレンズ、この第3のレンズから入射する光をほぼ直角に反射する光反射部材とが一体化された光学手段と、第1の本体において、操作に応じて光学手段を第1の位置又は第2の位置に第3のレンズの光軸方向にスライド可能に収容する収容手段と、第1の本体と第2の本体とが閉状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第1のレンズおよび第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、第1の本体と第2の本体とが開状態で、且つ、光学手段が第1の位置にある場合には、第2のレンズによって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段が第2の位置にある場合には、第3のレンズから入射して光反射部材によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子と、を備えた構成になっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法並びにその装置および方法に使用するカメラ付き携帯電話装置によれば、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施形態、並びに、その装置および方法に使用可能なカメラ付き携帯電話装置の実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この図において、演奏者100の右手101および左手102には、2本のスティック1および2が握られている。これらスティック1および2の丸い形状の先端部1aおよび2aは、特定の色に着色されている。実施形態においては、特定の色としては黒色であるが、他の色であってもよい。また、演奏者100の右脚103および左脚104には、黒色の球形の物体3および4(以下、「黒球3、黒球4」という)が、それぞれ帯状の保持部材3aおよび4aによって固定されている。また、演奏者100の腰105の前側には、カメラ付き携帯電話装置5が腰105に装着されたベルト6に取り付けられたキャリアケース6aに収容されている。また、演奏者100の頭部106には、ステレオ用のヘッドホン7(発音手段)が装着されている。このヘッドホン7には、音量調整用のボリューム7aが設けられている。さらに、図には示していないが、カメラ付き携帯電話装置5に設けられているヘッドホン端子と、ヘッドホン7の入力端子とが信号線によって接続されている。
【0011】
図2は、図1に示したベルト6におけるキャリアケース6aに収容されたカメラ付き携帯電話装置5を示す図である。カメラ付き携帯電話装置5の前部には、自分の顔を撮影できるような広い視野角のレンズ8(第1のレンズ)が設けられている。また、カメラ付き携帯電話装置5の側部には、スイッチ9が設けられている。なお、図には示していないが、レンズ8に対応する内部には、レンズ8から入射する光によって画像を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子が設けられている。レンズ8の視野は広いので、図1におけるスティック1および2の先端部1aおよび2aと、両足に取り付けられた黒球3および4を撮像素子の画角に収めることができる。スイッチ9は、通常のカメラモードのときはシャッタスイッチの機能を有するが、ドラム演奏のモードにおいてはスタートおよびストップのスイッチとしても機能する。
キャリアケース6aは、ベルト6と一体に形成された専用のものが望ましいが、市販されているキャリアケースを通常のベルトに取り付けた構成でも、レンズ8およびスイッチ9が露出するものであれば十分である。
【0012】
図3は、カメラ付き携帯電話装置5の内部構成を示すブロック図である。この図において、CPU11は、システムバスを介して、ROM12、RAM13、無線送受信部14、スイッチ部15、表示部16、カメラ部17、フラッシュメモリ18、音源部19、および送信インタフェース20に接続され、これら各部との間で指令およびデータの授受を行って、この装置全体を制御する。
ROM12は、CPU11によって実行されるプログラムや初期データなどを記憶している。RAM13は、CPU11のワークエリアであり、処理するデータを一時的に記憶するバッファエリア、各種のレジスタ、フラグ、変数のためのエリアが用意されている。無線送受信部14は、外部の携帯電話装置との間で電話、メール、画像の送受信を行なうとともに、インターネットなどの通信網を介して、楽音データをダウンロードすることができる。スイッチ部15は、ダイヤル入力用のテンキースイッチ、オフフックスイッチ、オンフックスイッチ、発信スイッチ、メニュースイッチ、カーソルスイッチなどで構成されている。表示部16は、少なくとも1つのLCD(液晶表示デバイス)で構成されている。
【0013】
カメラ部17(撮像手段)は、上記したレンズ8および撮像素子のほかに、他の光学部材としてのレンズ、撮像素子から出力される撮像信号をディジタル信号に変換するADコンバータ回路、撮像信号によって画像の輪郭を検出するエッジ検出回路(検出手段)、画像の歪みを補正する補正回路などを含んでいる。また、CPU11は、カメラ部17の回路と協働して、撮像素子によって撮像された画像の中から1種類又は複数種類の特定画像(スティック1および2の先端部1aおよび2aの画像、および、脚に取り付けられた黒球3および4の画像)を抽出する画像抽出手段、抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、その特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器(この場合は、打楽器)を判定する画像判定手段を構成する。
【0014】
フラッシュメモリ18は、電源がオフされた後もデータを保持する書き換え可能な不揮発性メモリであり、電話やメールの着信履歴および発信履歴、アドレス帳として電話番号やメールアドレスのデータ、他のカメラ付き携帯電話装置から受信した画像データ、インターネットなどからダウンロードした楽音データ、スイッチ部15の操作によって録音された楽音データ、ドラム演奏に際して設定された各種のデータ、カメラ部17から得られるフレーム単位の画像データを記憶する。音源部19(信号発生手段)は、バスドラム、スネアドラム、フロアタム、シンバル、タムタム、ハイハットなどの複数種類からなる打楽器の音色の波形データを記憶し、CPU11の機能である画像判定手段によって判定された仮想楽器としての打楽器に応じて、その打楽器の音色のリズム音信号を発生する。送信インタフェース20は、DAコンバータ回路を含むとともに、ヘッドホン端子に接続されており、音源部19によって発生されたリズム音信号やフラッシュメモリ18に記憶された楽音データをディジタルからアナログに変換して、ヘッドホン7や外部のサウンドシステム(図示せず)に対して信号線を介して送信する。外部のサウンドシステムとしては、アンプやイコライザなどの装置およびスピーカなどがある。
なお、図には示していないが、CPU11のポートには、通話用のマイクやスピーカ、着信検知用のバイブレータなどを接続するドライバが接続されている。
【0015】
図4は、ヘッドホン7の内部構成を示すブロック図である。この図において、受信インタフェース21は、入力端子に接続され、信号線を介してカメラ付き携帯電話装置5の送信インタフェース20から送信されるリズム音信号や楽音信号を受信する。信号処理部22は、受信インタフェース21から得られるリズム音信号や楽音信号に対して、LチャンネルとRチャンネルとに分離するステレオ信号処理やその他の信号処理を施して出力する。アンプ23は、信号処理部22から出力されるステレオ信号を、ボリューム7aの調整に応じて増幅して、左右のスピーカ24Lおよび24Rから発音する。
【0016】
次に、カメラ付き携帯電話装置5の動作について、CPU11によって実行されるフローチャートおよび表示部16の画面、フラッシュメモリ18に設定されるデータ、RAM13におけるレジスタ、フラグ、変数などに基づいて説明する。なお、カメラ付き携帯電話装置5は、スイッチ部15やCPU11やカメラ部17の撮像素子などの電子部品を収容する下部本体(第1の本体)と、レンズ8、表示部16、および表示部16を駆動するTFT(薄膜トランジスタ)などを収容する上部本体(第2の本体)とが、ヒンジ部(結合手段)によって回動可能に結合された構造になっている。すなわち、下部本体のスイッチ部15を有する面と、上部本体の表示部16を有する面とが対面する閉状態、又は、上部本体が回動操作されて、下部本体のスイッチ部15および上部本体の表示部16とが開いた開状態に設定することができる。
【0017】
図5および図6は、メインルーチンのフローチャートである。図5において、RAM13の初期化などの所定のイニシャライズ(ステップSA1)の後、待受画面を表示する(ステップSA2)。この状態は、スイッチ部15および表示部16とが開いた開状態である。そして、オフフックスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA3)。このスイッチがオンされたときは、番号入力画面を表示して(ステップSA4)、テンキースイッチによって入力された番号又はアドレス帳から呼び出された特定の番号を入力する番号入力処理を行ない(ステップSA5)、発信スイッチのオンによってその番号を無線通信網に発信して(ステップSA6)、スピーカによって呼出報知を行う(ステップSA7)。そして、相手側との回線接続が確立したか否かを判別し(ステップSA8)、回線接続が確立したときは、通話処理に遷移する(ステップSA9)。通話処理中においては、オンフックスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA10)、このスイッチがオンされたときは、回線切断などの終話処理を行って(ステップSA11)、ステップSA2に移行して待受画面を表示する。
【0018】
ステップSA3において、オフフックスイッチがオンでない場合には、図6において、メニュースイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA12)。このスイッチがオンされたときは、メニュー画面を表示して(ステップSA13)、1つのメニューにフォーカスする(ステップSA14)。例えば、最初のメニューや前回選択されたメニューを強調して表示する。次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA15)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSA16)。そして、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA17)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA18)。戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSA15においてカーソルスイッチのオンを判別し、戻るスイッチがオンされたときは、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示する。
【0019】
図7(A)は、メニュー画面を示す図であり、図7(B)は、スイッチ部15においてメニュー画面および後述するその他の画面に表示されたアイコンに対応するカーソルスイッチ31、選択(決定)スイッチ32、および戻るスイッチ33を示す図である。メニュー画面には、複数のメニューが表示されるとともに、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。カーソルスイッチ31の操作に応じて、強調表示されるメニューのフォーカス位置が変化する。図7(A)の画面では、ドラム演奏のメニューにフォーカスが表示されている。
【0020】
図6のステップSA17において、選択スイッチがオンされたときは、そのときのフォーカス位置のメニューを実行する。フォーカス位置がドラム演奏であるか否かを判別し(ステップSA19)、ドラム演奏である場合には、ドラム設定処理を実行する(ステップSA20)。フォーカス位置がドラム演奏でない場合には、フォーカス位置が再生であるか否かを判別する(ステップSA21)。再生である場合には、フラッシュメモリ18に録音したドラム演奏のデータやダウンロードした曲のデータを再生する再生処理を行う(ステップSA22)。フォーカス位置がドラム演奏でも再生でもない場合には、フォーカス位置に対応する処理を行う(ステップSA23)。ドラム設定処理、再生処理、又はその他のフォーカス位置に対応する処理の後は、ステップSA13のメニュー画面に戻る。
【0021】
一方、ステップSA12において、メニュースイッチがオンでない場合には、他のスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA24)、いずれかのスイッチがオンされたときは、そのスイッチに対応する処理を行って(ステップSA25)、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示するが、いずれのスイッチもオンでない場合には、図5のステップSA3に移行して、各スイッチがオンを判別する。
【0022】
図8および図9は、ドラム設定処理のフローチャートである。図8において、まず、設定画面を表示する(ステップSB1)。そして、所定のフォーカス表示を行う(ステップSB2)。図10は、ドラム設定処理における設定画面の内容を示す図である。この図に示すように、設定画面には、「前回設定」、「今回設定」、「デフォルト」、「メロディ」の有無、「録音」の有無の選択メニューが表示され、「選択」アイコン、「戻る」アイコンが表示される。この図では、前回設定、メロディ無し、および録音無しにフォーカスが表示されている。
【0023】
図8においてフォーカス表示をした後は、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB3)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB4)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB5)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB6)、このスイッチがオンされたときは、図6のメインルーチンに戻る。戻るスイッチがオンでない場合には、カーソルスイッチのオンを判別する。ステップSB5において、選択スイッチがオンされたときは、フォーカスされている設定内容を実行する。前回設定がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB7)、前回設定にフォーカスされている場合には、前回設定のデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB8)。フォーカスされているのが前回設定でない場合には、デフォルトにフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB9)、デフォルトにフォーカスされている場合には、デフォルトのデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB10)。
【0024】
フォーカスされているのが前回設定でもなくデフォルトでもない場合には、図9において、今回設定にフォーカスされているか否かを判別する(ステップSB11)。今回設定にフォーカスされている場合には、設定画面を表示する(ステップSB12)。そして、所定の設定項目にフォーカスを表示する(ステップSB13)。また、所定の仮想楽器にラジオボタンを表示する(ステップSB14)。フォーカスを表示する設定項目の内容、および、ラジオボタンを表示する仮想楽器については、例えば、前回設定の内容に従う。図11は、ドラム演奏の設定画面を示す図である。この図では、「右足」演奏に対応する「バス」、「左足」演奏に対応する「ハイハット」がフォーカスされ、右手演奏に対応する仮想楽器として「タムタム」、「フロアタム」、および「トップシンバル」、左手演奏に対応する仮想楽器として「スネア」および「ハイハット」のラジオボタンが有効(黒丸)に設定されている。この画面にも、スイッチ部15のスイッチに対応して、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。
【0025】
次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB15)、このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB16)。また、カーソルスイッチによってラジオボタンが指定されたか否かを判別し(ステップSB17)、ラジオボタンが指定されたときは、その指定されたラジオボタンを無効から有効に又は有効から無効に反転する(ステップSB18)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB19)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB20)。このスイッチがオンされたときは、図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB15においてカーソルスイッチのオンを判別する。
【0026】
一方、ステップSB11において、フォーカス位置が今回設定でない場合には、メロディがフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB21)、メロディがフォーカスされている場合には、曲選択処理を実行する(ステップSB22)。曲選択処理においては、フラッシュメモリ18に記憶されている1つ以上の曲を画面に表示して、ドラム演奏とともに発音させるメロディの曲データをカーソルスイッチおよび選択スイッチの操作に応じて設定する。フラッシュメモリ18に記憶されている曲としては、いわゆる「着メロ」や「着うた」の曲データでもよいし、ドラム演奏用に作成されたリズムパートだけを除いた「マイナスワン」の曲データでもよい。曲選択処理の後は、フラグMFを「1(メロディオン)」にセットする(ステップSB23)。ステップSB21において、フォーカス位置がメロディでない場合には、録音がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB24)、録音がフォーカスされている場合には、フラグRFを「1(録音)」にセットする(ステップSB25)。RFが「1」の場合には、ドラム演奏のデータがフラッシュメモリ18に記憶される。
【0027】
ステップSB19において選択スイッチがオンされたとき、又は、ステップSB23にいてMFを「1」にセットした後、若しくは、ステップSB25においてRFを「1」にセットした後は、決定画面を表示する(ステップSB26)。図12は、ドラム演奏の決定画面の例を示す図である。この画面には、図10および図11の画面において設定された内容が表示されるとともに、「決定」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。そして、「決定」アイコンに対応するスイッチ部15の決定スイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB27)。このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB28)。このスイッチがオンされたときは図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB27において決定スイッチのオンを判別する。決定スイッチがオンされたときは、ドラム処理を実行する(ステップSB29)。ドラム処理が終了したときは、図6のメインルーチンに戻る。
【0028】
なお、決定スイッチがオンされたときは、図12の設定内容に対応して、RAM13には、図13に示すような配列ARのデータが記憶される。この図において、縦の行であるmの値(1〜4)は、右足(1)、左足(2)、右手(3)、左手(4)すなわち演奏する演奏者の身体の部位を表し、横の列であるnの値(1〜6)は、仮想楽器の種類即ちドラムの種類であるバス(1)、ハイハット(2)、タムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)、スネア(6)を表している。mの行とnの列とが交わった部分のデータによって、演奏する部位と演奏するドラムとの関係を表している。すなわち、図12において選択された設定内容が図13に示されている。例えば、右足(1)はバス(1)を演奏し、左足(2)はハイハット(1)を演奏する。足で演奏できないドラムは「/(非選択マーク)」で区別されている。同様に、右手(3)はタムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)を演奏し、左手(4)はハイハット(2)、スネア(6)を演奏する。
【0029】
図14は、図9におけるステップSB29のドラム処理のフローチャートである。ドラム処理においては、図2に示したスイッチ9をドラム処理のスタート/ストップスイッチとして使用する。すなわち、図12の画面において決定スイッチがオンされた後は、演奏者は、図1に示すように、カメラ付き携帯電話装置5を閉状態にして腰105の前側のキャリアケース6aに収納する。この状態でスイッチ9をオンにすれば、CPU11はドラム処理を実行する。
図14において、スタート/ストップスイッチ(図2のスイッチ9)がオンされたか否かを判別し(ステップSC1)、このスイッチがオンされたときはスタートフラグSTFを反転する(ステップSC2)。STFを反転した後、又は、ステップSC1においてスタート/ストップスイッチがオンでない場合には、STFが「1」であるか否かを判別する(ステップSC3)。STFが「1」である場合には、音声処理(ステップSC4)、画像処理(ステップSC5)、その他の処理(ステップSC6)を行い、ステップSC1に移行して、スタート/ストップスイッチがオンされたか否かを判別する。したがって、STFが「1」になってドラム処理が開始した後は、スタート/ストップスイッチがオンされない限り、ステップSC4からステップSC6までのドラム処理を続行する。ドラム処理中において、スタート/ストップスイッチがオンされて、ステップSC3においてSTFが「0」と判別されたときは、メインフローに戻る。なお、ステップSC6のその他の処理は、電源の低下やその他の異常を検出する処理などである。
【0030】
図15は、ステップSC4における音声処理のフローチャートである。まず、ドラム演奏中であるかドラム演奏停止中であるかを表すフラグLFが「0(演奏停止中)」又は「1(演奏中)」であるかを判別する(ステップSD1)。LFが「1」である場合には、図14の画像処理に移行するが、LFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストの実施を表すフラグSBFが「0」であるか又は「1」であるかを判別する(ステップSD2)。LFが「0」で且つSBFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストがまだ実施されていない場合である。この場合には、SBFを「1」にセットして(ステップSD3)、送信インタフェース20を介して、ヘッドホン7に対してテスト開始の音声メッセージを出力する(ステップSD4)。例えば、「各ドラムの音出しテストを行います」のような音声メッセージを出力する。
【0031】
次に、演奏する部位を示す変数mおよび演奏対象のドラムを示す変数nを共に「1」にセットして(ステップSD5)、mおよびnの値をインクリメントしながら、以下のループを実行する。図13に示した配列ARにおいて、AR(m,n)が「1」であるか否かを判別する(ステップSD6)。すなわち、mで指定する身体の部位がnで指定するドラムD(n)を演奏するように設定がされているか否かを判別する。AR(m,n)が「1」である場合には、mの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージをヘッドホン7に出力する(ステップSD7)。例えば、「右手でタムタムを叩いて下さい」のような音声メッセージを出力する。そして、フラグDF(m,n)を「1」にセットし(ステップSD8)、タイマレジスタに所定値Tの値をセットする(ステップSD9)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの状態をセットする。また、タイマインタラプトを許可する。Tの値としては、例えば、数分ないし十数分が適当である。ここでは、Tの時間を5分とする。
【0032】
タイマをセットした後、又は、ステップSD2において、SBFが「1」である場合すなわちドラム演奏に先立つテストが実施中である場合には、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別する(ステップSD10)。このフラグが「1」でまだmの部位によるD(n)の音出しテスト中である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの音声メッセージの指示にもかかわらず、その指示に従ったテスト演奏がされない時間が5分を経過したか否かを判別する。5分が経過していない場合には、図14の画像処理に移行する。そして、再び図15のフローチャートにおいて、ステップSD2、ステップSD3を経て、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別するが(ステップSD10)、このフラグが「1」である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。タイマの値が「0」に達したとき、すなわち、5分が経過した場合には、何らかの事情で演奏者がドラム演奏を中断したと判断して、STFを「0」にリセットして(ステップSD12)、図14のフローチャートに戻る。したがって、図14のステップSC4の判別によってメインルーチンに戻る。
【0033】
図15のステップSD10において、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされた場合、又は、ステップSD6においてAR(m,n)が「0」である場合には、nの値をインクリメントする(ステップSD13)。そして、nの値が最大値MAXを超えたか否かを判別する(ステップSD14)。最大値は、図13に示したようにmの番号に対応する部位ごとに異なる。最大値を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD14までのループを繰り返す。ステップSD14において、nの値が最大値MAXを超えたときは、mの値をインクリメントするとともに、nの値を「1」にセットする(ステップSD15)。このとき、mの値が「4」を超えたか否かを判別し(ステップSD16)、「4」を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD15までのループを繰り返す。
【0034】
ステップSD15において、mの値が「4」を超えたとき、すなわち、演奏者の身体において設定しているすべての部位のテスト演奏が終了したときは、フラグSBFを「0」にリセットして(ステップSD17)、フラッシュメモリ18におけるフレーム画像エリアのすべてであるf(1)ないしf(km)をクリアする(ステップSD18)。そして、フレーム画像エリアを指定する変数kを「1」にセットする(ステップSD19)。すなわち、f(1)のエリアを指定する。また、フラグLFを「1」にセットし(ステップSD20)、図14の画像処理に移行する。
【0035】
図16は、図14におけるステップSC5の画像処理のフローチャートである。カメラ部17から画像入力があるか否かを判別し(ステップSE1)、画像入力がない場合には図14のフローチャートに戻るが、画像入力があったときは、その画像データをフラッシュメモリ18にストアする(ステップSE2)。そして、1フレームの画像データが入力されたか否かを判別する(ステップSE3)。1フレームの画像データが入力されたときは、フラグSBFが「1(音出しテスト中)」であるか否かを判別する(ステップSE4)。SBFが「1」である場合には、フレーム画像を検索して(ステップSE5)、mに対応する特定画像を動画として検出したか否かを判別する(ステップSE6)。特定画像とは、図1に示したスティック1および2の先端部1aおよび2aの画像、および、黒球3および4の画像であり、デフォルトとして又は演奏者によって、画像パターンとしてあらかじめ設定されている。
【0036】
ステップSE6において、mに対応する特定画像の動画を検出したときは、RAM13の画像エリアG(m)に登録する(ステップSE7)。すなわち、1画面の画像データにおいて、テスト演奏として指示されている部位の特定画像の動画を検出したときは、RAM13の画像エリアG(m)に登録する。例えば、mが「1」の場合に右下の領域に黒球3の画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像を画像エリアG(1)に登録する。mが「2」の場合に左下の領域に黒球4の画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像を画像エリアG(2)に登録する。mが「3」の場合に右上の領域に先端部1aの画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像をG(3)として登録する。mが「4」の場合に左上の領域に先端部2aの画像パターンと同様の画像を検出した場合には、その画像をG(4)として登録する。
【0037】
次に、登録したG(m)の動画の軌跡すなわち動線を検出したか否かを判別する(ステップSE8)。動画の検出は、所定時間(例えば、40ms)ごとのフレーム画像の画面において、G(m)の画像の座標を検出してRAM13にストアし、座標の移動を把握することで行われる。この場合において、動線の動きベクトルを把握するためにオプティカルフロー処理を行ってもよい。G(m)の動線を検出したときは、レジスタRTの値(初期値は0)をインクリメントする(ステップSE9)。また、D(n)の音色で発音する(ステップSE10)。すなわち、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージに応じて、演奏者が仮想のD(n)を演奏したときは、音源部19によってD(n)に対応する音色の楽音信号を発生させて、送信インタフェース20を介して、その楽音信号をヘッドホン7に出力する。
【0038】
ステップSE10の発音処理の後は、RTの値が所定回数Nに達したか否かを判別する(ステップSE11)。例えば、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージの指示が、左手のスティックでハイハットを演奏する指示であるとすると、ハイハットの位置と演奏の動線とを確定するために、演奏者に仮想楽器であるハイハットを演奏する動作を何回かさせる必要がある。また、演奏者にとっても、ハイハットを演奏するイメージを把握する必要がある。このため、連続してN回(5回ないし10回程度)、ハイハットのテスト演奏を行う。Nの値はあらかじめ設定されているが、演奏者の設定によって任意の回数に変更できるものとする。
【0039】
ステップSE11において、RTの値がNの値に達していない場合には、図14のフローチャートに戻るが、RTの値がNの値に達したときは、確定動線の演算処理を行う(ステップSE12)。図17は、右手(m=3)でトップシンバル(n=5)のテスト演奏を10回行ったときの、確定動線の演算処理を説明するための図である。この図において、E1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)は、図1に示したスティック1のテスト演奏において、40msごとの先端部1aの画像の座標を包含する楕円の関数を表している。すなわち、40msごとの先端部1aの画像の座標は、次第に面積が広がるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の楕円内に存在する。言い換えれば、10回のテスト演奏の動線が、2次元の楕円関数であるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の集合で表される3次元の立体的な楕円管の中に存在する。
なお、脚によるバスやハイハットの仮想演奏すなわち仮想のペダル演奏の場合には、40msごとの黒球の変位量が小さいので、図17の各楕円関数の位置はかなり接近した関係になる。
【0040】
例えば、右手でトップシンバルを叩く動作の時間を0.4秒すなわち400msと仮定する。この場合には、先端部1aの画像の座標の検出回数は10回であり、40msごとの先端部1aの画像の座標は、E1(x,y)、E2(x,y)、…Ekm(x,y)の楕円内に存在することになる。この結果、右手でトップシンバルを叩く場合の確定動線C(3,5)が確定されるとともに、最後の楕円関数Ekm(x,y)がトップシンバルD(5)の空間位置DS(5)として確定される。ステップSE12の演算処理の後は、演算結果をRAM13のC(m,n)、DS(n)に登録する(ステップSE13)。次に、フラグDF(m,n)を「0」にリセットして(ステップSE14)、フラッシュメモリ18にストアした右手でトップシンバルを叩く動作のフレーム画像をクリアする(ステップSE15)。そして、図14のフローチャートに戻る。なお、他のドラムのテスト演奏についても同様である。
DF(m,n)が「0」にリセットされると、図15の音声処理のフローチャートにおいて、ステップSD10からステップSD13に移行して、次のテスト演奏のドラムを指定することになる。
【0041】
図16のステップSE4においてSBFが「0」である場合には、テスト演奏が終了して実際のドラム演奏に移行している。したがって、フラッシュメモリ18にストアしたフレーム画像は、任意のドラム演奏の画像になっている。図18は、任意のドラム演奏の画像を示す図である。図18の画像には、右手の画像101i、スティックの画像1i、その先端部の画像1ai、左手の画像102i、スティックの画像2i、その先端部の画像2ai、右脚の膝の画像103i、右脚に付けた黒球の画像3i、黒球を保持する帯状の保持部材の画像3ai、左脚の膝の画像104i、左脚に付けた黒球の画像4i、黒球を保持する帯状の保持部材の画像4ai、窓枠の画像105i、窓の外の風景の画像106i、額の画像107i、ごみ箱の画像108iが存在している。
【0042】
この画像の中からRAM13に登録したG(1)〜G(4)の画像とのマッチングによって、特定画像を抽出する(ステップSE16)。すなわち、2本のスティック1、2の先端部の画像1ai、2ai、2つの黒球の画像3i、4iを抽出する。さらに、抽出した画像以外の余分な画像を消去する(ステップSE17)。そして、フラッシュメモリ18において変数kで指定されるエリアf(k)に画像データをストアする(ステップSE19)。図19は、フラッシュメモリ18のエリアf(k)にストアした特定画像を表す図である。図18における画像1aiと画像2aiとは同じ形状であり、画像3iと画像4iとは同じ形状であるが、画面の位置関係から各画像をある程度は推測することは可能である。しかし、その推測が決定的であるという保証はない。例えば、画面の中央付近にスティックの先端部の画像が1つだけある場合には、その画像が画像1aiであるか又は画像2aiであるかは保証できない。したがって、図19に示すように、抽出した画像に記号g1〜g4を付与して識別する。
【0043】
図16のステップSE18において、フラッシュメモリ18のエリアf(k)に画像データをストアした後は、kの値をインクリメントする(ステップSE19)。kの初期値は、図15のステップSD19において「1」にセットされているので、最初はエリアf(1)に最初の1フレームの画像データをストアする。したがって、ステップSE19においてkの値は「2」となる。f(k)のエリアは、f(1)からf(km)までのkm個のフレームが用意されている。すなわち、図17に示した楕円関数の数と同数のエリアが用意されている。kmの数はドラムの種類nと演奏する身体の部位mによって決定されるが、演奏者の設定も可能である。ただし、この実施形態では、説明を簡便にするために、kmの値はすべて「10」とする。
【0044】
最後のエリアf(km)に1フレームの画像データをストアした後は、再びエリアf(1)に次の1フレームの画像データをストアするので、ステップSE19においてkの値をインクリメントした後は、kの値がkmの値より大きいか否かを判別する(ステップSE20)。kの値がkmの値より大きい場合には、kの値を「1」にセットする(ステップSE21)。kの値がkmの値以下である場合、又は、kの値を「1」にセットした後は、画像分析処理を実行する(ステップSE22)。そして、図14のフローチャートに戻る。
【0045】
図20および図21は、画像分析処理のフローチャートである。図20において、フラグAFが「1」であるか否かを判別し(ステップSF1)、AFが「0」である場合には、1フレームの画像データをストアした現在のエリアf(k)の1つ前のエリアに画像データがストアされているか否かを判別する(ステップSF2a)。そのエリアに画像データがストアされている場合には、AFを「1」にセットする(ステップSF2b)。そして、図16のフローチャートに戻る。そのエリアに画像データがストアされている場合には、画像データが1フレームしか記憶されていないため、後述するオプティカルフロー処理ができないので、直ちに図16のフローチャートに戻る。
【0046】
ステップSF1においてAFが「1」である場合には、変数jにkの値をセットし(ステップSF3)、jの値をデクリメントする(ステップSF4)。このデクリメントによってjの値が「0」になったか否かを判別し(ステップSF5)、「0」になったときは、jの値をkmにセットする(ステップSF6)。すなわち、kの値は図16のステップSE19ないしステップSE21において管理されており、kの値を変更することができないので、変数kで指定されている現在のエリアf(k)の1つ前のエリアを別の変数jを用いて指定する。そして、指定したエリアf(j)の画像データを読み出す(ステップSF7)。
【0047】
次に、図19に示した特定画像を検出して、その検出数をレジスタpmにストアする(ステップSF8)。図19の例では、特定画像はg1〜g4の4個であるので、pmにストアする値は「4」である。次に、エリアf(k)の画像データを読み出して(ステップSF9)、f(j)とf(k)の特定画像の座標を検出する(ステップSF10)。そして、f(j)の画像データとf(k)の画像データとのオプティカルフローを推定する(ステップSF11)。すなわち、f(j)の画像データにおける特定画像とf(k)の画像データにおける特定画像との間において、それぞれの動きベクトルを推定する。なお、ドラム演奏の際には、演奏者の身体が多少なりとも動くので、カメラ付き携帯電話装置5で撮像した画像も全体的に揺れるおそれがある。このため、オプティカルフロー処理において、動きのない被写体の画像、すなわち、図18における窓枠の画像105i、窓の外の風景の画像106i、額の画像107i、ごみ箱の画像108iに基づいて、画像の揺れ分を補正する。
通常、オプティカルフローの推定は、あらかじめ予想がつかない形状の物体の画像に対して行われるが、この場合には、形状が確定されている画像で最大4個の特定画像に対して行うので、極めて正確なオプティカルフローの推定を高速で行うことが可能である。
【0048】
オプティカルフローの推定を行った後は、特定画像gpを指定する変数pを「1」にセットして(ステップSF12)、その指定した特定画像gpは移動したか否かを判別する(ステップSF13)。gpが移動した場合には、その動きベクトルをレジスタvpにストアする(ステップSF14)。すなわち、ベクトル方向とベクトルの変化量とをストアする。図22は、図19のフレーム画像の次のフレーム画像を示す図である。特定画像g1〜g3は移動しているので、その動きベクトルv1〜v3をストアする。動きベクトルをストアした後、又は、指定した特定画像gpが移動していない場合には、pの値をインクリメントして次の特定画像を指定する(ステップSF15)。このインクリメントによってpの値が最大値pmを超えたか否かを判別し(ステップSF16)、pmを超えていない場合には、ステップSF13に移行して、gpの移動を判別する。
【0049】
ステップSF16において、pの値がpmの値を超えたときは、図21において、特定画像gpを指定する変数pを「1」にセットして(ステップSF17)、gpのフレーム数をレジスタMにストアする(ステップSF18)。次に、Mのフレーム数がkmに達したか否かを判別する(ステップSF19)。図19の例ではすべての特定画像であるg1〜g4が画像データに存在しているが、実際には、演奏者のドラム演奏によっては、存在する特定画像も変化することがあるので、pで指定した画像gpが存在しないフレームもあり得る。したがって、任意の画像gpの動線を確定するためには、km個(この実施形態では10個)のフレーム画像が必要である。
【0050】
ステップSF19において、Mのフレーム数がkmに達したときは、gpの動線をRAM13のエリアCC(gp)にストアする(ステップSF20)。すなわち、km個のフレームにおけるgpの座標をCC(gp)にストアする。そして、変数mおよび変数nをともに「1」にセットして(ステップSF21)、mおよびnの値をインクリメントしながら、以下のループを繰り返す。すなわち、gpの動線が図16のステップSE13においてRAM13に登録した動線C(m,n)のどれかと一致するか否かを判別する(ステップSF22)。gpの動線と動線C(m,n)とが一致するか否かは、各フレームf(k)において、gpの座標が図17に示した楕円関数Ek(x,y)の内部に存在するか否かによって判別する。動線が一致しない場合にはnの値をインクリメントする(ステップSF23)。このインクリメントによってnの値が最大値を超えたか否かを判別し(ステップSF24)、超えていない場合には、ステップSF22に移行してループを繰り返す。nの値が最大値を超えたときは、mの値をインクリメントする(ステップSF25)。このインクリメントによってmの値が最大値「4」を超えたか否かを判別し(ステップSF26)、超えていない場合には、ステップSF22に移行してループを繰り返す。
【0051】
ステップSF22において、gpの動線が登録した動線C(m,n)と一致した場合には、D(n)に応じた音色でvpのベクトル変化量に応じた振幅のリズム音信号を音源部19によって発生して、ヘッドホン7に送信してで発音する(ステップSF27)。次に、フラグRFが「1」であるか否かを判別し(ステップSF28)、RFが「1」である場合には、発生した楽音信号をフラッシュメモリ18に録音する(ステップSF29)。RFが「0」である場合、又は、ステップSF26においてmの値が最大値「4」を超えた場合、若しくは、ステップSF19においてMのフレーム数がkmに満たない場合には、pの値をインクリメントする(ステップSF30)。このインクリメントによってpの値が最大値pmを超えたか否かを判別し(ステップSF31)、pの値が最大値pm以下である場合には、ステップSF18に移行してループを繰り返す。pの値が最大値pmを超えたときは、図16のフローチャートに戻る。
【0052】
図23は、図1に示した右手101に保持されたスティック1の先端部1aの画像1ai、左手102に保持されたスティック2の先端部2aの画像2ai、右脚103および左脚104に取り付けた黒球3および黒球4の画像3iおよび4i、すなわち特定画像について、エリアf(1)からf(10)までの10フレームにおける各画像の位置f1〜f10の動線を示した図である。画像1aiはトップシンバルD(5)を演奏する動線を示し、画像2aiはスネアD(6)を演奏する動線を示し、画像3iは、変位量が小さいので途中を省略しているが、バスD(1)の仮想ペダルを踏む動線を示し、画像4iは静止状態を示している。したがって、CPU11は、トップシンバルの音色、スネアの音色、バスの音色で、音源部19に対してリズム音信号を発生する指示を与える。
ただし、認識した動線に応じて特定画像の位置が仮想楽器に達する前に、音源部19に対して対応する仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与える。すなわち、図23において、例えばf9の画像を検出したときに、対応する仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与えて、演奏者が仮想楽器を叩くタイミングに遅れることなく発音を行う。どの程度の時間早めるかは実験して測定する。
【0053】
以上のように、この第1実施形態の電子楽器装置によれば、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている複数種類の特定画像gp(1≦p≦4)を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。さらに、脚を使わず両手だけの擬似演奏も可能であるので、図1に示すような椅子がない状態でも、立ったままで仮想のドラム演奏をすることができる。この場合には、図11の設定画面において両足をオフに設定すればよい。
【0054】
上記第1実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、抽出した特定画像の動画を構成する時系列のフレーム画像のオプティカルフロー推定処理によって、当該特定画像の動きベクトルを分析するので、動画の中に含まれる特定画像を高速かつ高い精度で検出することができる。
さらに、CPU11は、抽出した特定画像の動きベクトルを分析することによって、当該特定画像の動線を認識し、認識した動線に応じて仮想楽器を判定するので、仮想のドラム演奏を確実に把握して、各仮想楽器の音色で発音を行うことができる。
さらにまた、認識した動線に応じて特定画像の位置が仮想楽器に達する前に、前記信号発生手段に対して当該仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する指示を与えることにより、演奏者が仮想楽器を叩くタイミングに対して発音が遅れることがない。
さらにまた、CPU11は、分析した動きベクトルの変化量に応じた振幅のリズム音信号を発生するように音源部19に指示するので、より一層、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができる。
【0055】
さらにまた、上記第1実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、指定された曲のメロディ音信号とともに、発生したリズム音信号をヘッドホンに出力するので、より一層、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができる。特に最近では、携帯電話装置に100曲以上ものメロディを記録可能であり、中には500曲ものメロディを記録できるものもある。さらに、曲を構成するメロディパート、コード(和音)パート、およびリズムパートから1つのパートを除いたいわゆるマイナスワンの曲データをインターネットからダウンロードできるので、リズムパートを除いたマイナスワンの曲データをインターネットからダウンロードしてフラッシュメモリ18に記憶し、メロディパートおよび和音パートを再生しながら、仮想楽器によるドラム演奏ができるので、ジャムセッションのようなバンド演奏の臨場感が得られる。
【0056】
上記第1実施形態の電子楽器装置においては、演奏者の手に保持されたスティックの先端部の画像を特定画像として抽出する構成にしたが、他の画像を抽出するような構成も可能である。
図24は、第2実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この場合には、スティック1、2の先端部1a、2aの代わりに、右手101および左手102の手首に取り付けた黒球111、112の画像を抽出する。あるいは、右手101および左手102の腕に取り付けた黒球113、114の画像を抽出する。使用する黒球111、112又は黒球113、114は、両脚に取り付けた黒球3、4と同じ形状になっている。したがって、CPU11による画像検出およびその抽出がさらに容易になる。なお、両脚に取り付けた黒球3、4は仮想のペダル操作による動き量が小さいので、膝よりも動きの大きい右足のつま先および左足のつま先に、それぞれ黒球3、4を取り付けてもよい。
【0057】
以上のように、第2実施形態の電子楽器装置によれば、CPU11は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出するので、たとえスティックを持たなくても仮想のドラム演奏を行うことができる。
あるいは、第1実施形態の変形例として、CPU11は、演奏者の手に保持されたのスティックの撮像された画像を特定画像として抽出するようにしてもよい。この場合には、スティックの微妙な角度なども検出できるので、極めて高度なドラム演奏を擬似した電子楽器装置を実現できる。なお、この場合においても、スティックを回りの環境にない色で着色することが望ましい。
【0058】
また、上記第1実施形態の電子楽器装置においては、カメラ付き携帯電話装置5とヘッドホン7とを信号線で接続する構成にしたが、赤外線やブルートゥースなどの無線信号によって、音源部19で発生した楽音信号をヘッドホン7や他のサウンドシステムに送信する構成も可能である。特に最近では、携帯電話装置を用いて無線信号による取引が実用化されているので、近い将来においては、カメラ付き携帯電話装置5に特別な仕様変更を行うことなく、無線信号による楽音信号の送信が可能となる。
無線信号によって音源部19で発生した楽音信号をサウンドシステムに送信する構成にした場合には、例えば、野外におけるイベントとして、スティックを持たず手の動作だけで行う仮想のドラム演奏の音楽を楽しむことも可能である。
【0059】
また、上記第1実施形態の電子楽器装置においては、カメラ付き携帯電話装置5によって特定画像を撮像する構成にしたが、専用のディジタルカメラを備えた撮像手段によって特定画像を撮像する構成も可能である。専用の撮像手段の場合には、演奏者の腰だけでなく、胸に取り付けるような構成も可能であるし、ヘッドホンと一体化した構成も可能である。さらに、このような専用の撮像手段を用いた場合には、携帯電話装置の機能に制約されることがないので、プロの演奏者にも有効な電子楽器装置を実現できる。
【0060】
なお、上記各実施形態においては、電子楽器装置の発明すなわち物の発明について説明したが、仮想楽器の演奏方法の発明としても実現可能である。
すなわち、本発明による仮想楽器の演奏方法は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する。
【0061】
本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施を安価に提供するためには、構成の要であるカメラ付き携帯電話装置を安価に実現することが必要である。そして、カメラ付き携帯電話装置を安価に実現するためには、第1には、使用する部品のコストダウンを図ることが必要であり、第2には、豊富な機能を具備することで販路を拡大して、量産化を図ることが必要である。図3の構成において、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ18などの半導体部品、LCDなどからなる表示部16、無線送受信部14については、開発の歴史も古く、コストダウンや機能の充実のために世界中で熾烈な競争が行われているので、さらなるコストダウンや機能の充実を図ることは極めて困難である。しかし、カメラ部17については、携帯電話装置に使用されるようになってからの歴史も浅い上、機能の充実化が強く要求されているため、さらなるコストダウンや機能の充実の可能性がある。
【0062】
すなわち、本発明による電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施を安価に提供するためには、このカメラ部17のコストダウンおよび機能の充実を図ることが望ましい。ところが、最近のカメラ付き携帯電話装置においては、機能の充実を図るために、外部を撮影するアウト(外側)カメラと、自分の顔などを撮影するイン(内側)カメラ用として、2種類の撮像素子とレンズなどの光学系の部品を備えたものが普及してきた。すなわち、外部を撮影するための焦点距離の長いレンズと、自分撮り用の焦点距離の短い広い視野角のレンズとを備え、それぞれのレンズに応じた撮像素子が使用されている。このため、カメラ部が高価になってきている。
【0063】
そこで、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施のために、新たなカメラ付き携帯電話装置の発明について、第1実施形態ないし第3実施形態を例に採って説明する。
図25は、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。図25(A)において、下部本体51(第1の本体)と上部本体52(第2の本体)はヒンジ部53(結合手段)によって回動可能に結合されている。上部本体52の上面には、LCD(液晶表示デバイス)の表示部54が設けられているとともに、広い視野角のレンズ55(第1のレンズ)、すなわち焦点距離の短い光学特性のレンズ55が取り付けられている。レンズ55のさらに奥にはCCD又はCMOSなどからなる撮像素子56が配置され、レンズ55の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子56に結像される。撮像素子56は、この光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する。下部本体51には、ヒンジ部53からさらに突き出た構造の突起部57が形成されている。さらに、突起部57のほぼ中央には、レンズ58(第2のレンズ)がはめ込まれている。
したがって、図25(A)の状態においては、広い視野角のレンズ55によって、ユーザが自分の顔を撮像することができるとともに、図1に示したように、仮想のドラム演奏用として使用することができる。なお、図には示していないが、突起部57のレンズ58の周りには、金属製のワイヤが螺旋状に埋め込まれており、ヘリカルアンテナを構成している。
【0064】
図25(A)は、下部本体51のスイッチ部(図示せず)を有する面と、上部本体52表示部(図示せず)を有する面とが対面した閉状態になっている。この状態から、矢印で示す方向に上部本体52を開いて、図25(B)に示す状態に回動すると、レンズ58とレンズ55とが重なり合う状態になる。この結果、レンズ58の光軸ax2を中心とした光画像がレンズ55を通過して撮像素子56に結像される。したがって、本発明による仮想のドラム演奏を行う電子楽器装置に使用できるとともに、レンズ58の光学特性によって、レンズ55の焦点距離の短い光学特性を補正するようにすることで、通常のカメラ付き携帯電話装置と同様の撮影が可能になる。この場合には、上部本体52の図示しない表示部に撮像素子56で撮像された外部の画像がモニター表示される。
なお、下部本体52の側面に設けられたスイッチ51aは、通常の撮影においてはシャッタスイッチとして機能し、仮想のドラム演奏においてはスタート/ストップスイッチとして機能する。
このように、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子56を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0065】
図26および図27は、第2実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。なお、図25に示した構成と同じものや同じ機能を持つものは同一の符号で表し、重複する説明は省略する。
図26(A)に示すように、この第2実施形態のカメラ付き携帯電話装置では、広い視野角のレンズ55が上部本体52に設けられ、レンズ58が下部本体51に設けられている。さらに、この第2実施形態のカメラ付き携帯電話装置では、図26(A)に示す閉状態から上部本体52を開いて、図26(B)に示す位置まで回動すると、ヒンジ部53の中央部53aが回転軸Cの周りに矢印に示すように回転できる構造になっている。すなわち、図26(B)に示すように、上部本体52の表示部59が反対側になるように回転して、さらに、図27に示すように、再び閉状態にすることができる。
【0066】
図27に示すように、レンズ58の光軸ax2を中心とした光画像がレンズ55を通過して撮像素子56に結像される。したがって、第1実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置と同様に、図25(A)の状態においては、広い視野角のレンズ55によって、ユーザが自分の顔を撮像することができるとともに、図1に示したように、仮想のドラム演奏用として使用することができる。さらに、レンズ58の光学特性によって、レンズ55の焦点距離の短い光学特性を補正するようにすることで、遠方の被写体を撮影することができる。この場合には、上部本体52の表示部59に撮像素子56で撮像された画像がモニター表示される。
【0067】
このように、第2実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子56を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0068】
図28および図29は、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置の外観図および断面の一部を示す図である。図28(A)に示す外観図およびその側面の一部の断面を表している図28(B)において、下部本体201(第1の本体)と上部本体202(第2の本体)とはヒンジ部203(結合手段)によって回動可能に結合されている。また、図28(A)、(B)の状態では、下部本体201のスイッチ部を有する面201aと、上部本体201の表示部を有する面202aとが対面する閉状態になっている。この点は上記第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0069】
ただし、この第3実施形態においては、図28(B)に示すように、撮像素子204は下部本体201に設けられている。この撮像素子204の上にはレンズ205(第2のレンズ)が配置され、このレンズ205と一体に成形されたプリズム206(光反射部材)からなる光学手段が設けられている。そして、この一体成形の光学手段であるレンズ205およびプリズム206をスライド可能な空間207が下部本体201に形成されている。また、下部本体201の側面からは、外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状の突起部208が形成され、その内部に形成された円筒形状の空間には、レンズ209(第3のレンズ)が配置されている。一方、上部本体202には、撮像素子204に対応する位置に広い視野角のレンズ210(第1のレンズ)が配置されている。
図28(A)、(B)に示す閉状態においては、レンズ210の光軸ax1を中心とした光画像がレンズ205を通過して撮像素子204に結像される。したがって、2つのレンズによる複合レンズの特性を生かすことで、レンズ210だけの場合よりも様々な収差を小さくできる。
【0070】
次に、図28(A)、(B)に示す閉状態から上部本体202を開いて、図28(C)に示す開状態にすると、レンズ205の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子204に結像される。この場合には、上部本体202の表示部に撮像素子204で撮像された画像がモニター表示される。したがって、ユーザは、表示部の画像をファインダとして見ながら、自分の顔や姿を撮影してメモリに保存したり、リアルタイムで他のカメラ付き携帯電話装置に送信することができる。
【0071】
下部本体201の側面からは、図28(A)に示すように、スライドレバー212(操作手段)が突き出ているが、これは一体成形された光学手段であるレンズ205およびプリズム206をスライドさせるためのものである。すなわち、図28(C)の状態からスライドレバー212をヒンジ部203と反対側にスライドすると、一体成形されたレンズ205およびプリズム206が空間207内をスライドして、図28(D)に示すように、プリズム206が撮像素子204に対応する位置になる。この場合には、突起部208内に配置したレンズ209の光軸ax2を中心とした光画像がプリズム206で直角に反射して撮像素子204に結像される。したがって、レンズ209を焦点距離の長い望遠型のレンズで構成することにより、従来のカメラ付き携帯電話装置に比較して、より遠方の風景や人物を撮影することができる。
【0072】
図28(A)において、突起部208の内部には、金属製のワイヤ211が円筒形状に沿って螺旋状に埋め込まれて成形されている。また、突起部208が形成されている側面の他方の端には、伸縮可能なロッドアンテナ214が設けられている。ワイヤ211は、ロッドアンテナ214と協働して、ダイバシティアンテナとしてのヘリカルアンテナの機能を果たすとともに、突起部208を機械的に補強している。したがって、突起部208に加わるベンディングモーメント(曲げ力)に対して強い構造になっている。このため、突起部208に付加レンズ装置を装着することが可能である。
【0073】
図29は、この突起部208にズーム機能を持つ付加レンズ装置301を装着した例を示す図である。図29(A)、(B)において、付加レンズ装置301は、突起部208側の部分302と外部側の部分303とが、ネジ305によって回転可能に結合された構造になっている。そして、外部側の部分303の内部には、カメラ付き携帯電話装置のレンズ209と同一の光軸ax2を持つレンズ304が配置されている。したがって、図29(B)に示すように、付加レンズ装置301のレンズ303および突起部208内に配置したレンズ209の光軸ax2を中心とした光画像が、プリズム206で直角に反射して撮像素子204に結像される。さらに、レンズ304を含む部分303を回転操作すると、図29(C)に示すように、その部分303が前方に移動してズーム機能を果たすことになる。
【0074】
このように、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置によれば、共通の撮像素子204を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施が可能になる。さらに、付加レンズ装置301を装着することによって、ディジタルカメラやビデオカメラと匹敵するような、極めて遠方の風景や人物を撮影することができるので、この優れた機能の充実によってユーザの要求を満たすことで販路の拡大が期待でき、一層の量産化によってコストダウンを図ることができる。
【0075】
この場合において、図28(A)に示したように、上部本体202の上面には、表示部213が設けられているので、カメラ付き携帯電話装置の内部に、撮像素子204から出力される撮像信号による画像の輪郭を検出するエッジ検出回路を設けることにより、付加レンズ装置301のズーム機能によるピントの状態を表示部213に表示することができ、特定のマーク画像などによってピントが合ったことをユーザに通知できる。
【0076】
図30は、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置の光学系の部材を示している。他の構成については、第3実施形態と同じであるので、図面および説明を省略する。
図30(A)は、一体成形された光学手段400の外観図であり、図30(B)および図30(C)は、それぞれ図30(A)におけるX−X線に沿って、図の左側の部分400aおよび右側の部分400bを見た場合の断面図である。また、図30(D)は、図30(B)および図30(C)におけるY−Y線に沿った断面図、すなわち、図30(A)における縦割の断面図である。図30(D)に示すように、この光学手段400は、レンズ401(第3のレンズ)、レンズ402(第2のレンズ)、およびプリズム403(光反射部材)が高い透明度の樹脂又はガラスで一体成形されている。なお、仮想のドラム演奏を行う電子楽器装置のためのレンズ(第1のレンズ)は、第3実施形態の構成と同じであるので、図面および説明は省略する。
【0077】
図31は、図30の光学手段400をカメラ付き携帯電話装置の収容手段405にスライド可能な状態で組み込んだ図である。この図において、図28および図29に示した撮像素子204と同じものが、カメラ付き携帯電話装置内に配置されている。図31(A)の状態においては、撮像素子204に対応する位置にはレンズ402がある。また、レンズ401を形成している部分400bがカメラ付き携帯電話装置から外部に突き出た状態になっている。したがって、レンズ402の光軸ax1を中心とした光画像が撮像素子204に結像される。次に、部分400bを外部に向けて引き出した場合には、図31(B)に示すように、撮像素子204に対応する位置にはプリズム403がある。したがって、レンズ401の光軸ax2を中心とした光画像が、プリズム403で直角に反射して撮像素子204に結像される。
【0078】
このように、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置によれば、共通の撮像素子204を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施が可能になる。さらに、焦点距離の異なる2つのレンズ401、402、およびプリズム403を高い透明度の樹脂又はガラスで一体成形しているので、極めて簡単な構造であるとともに、光軸の誤差を極めて小さくすることができる。
なお、この変形例においても、レンズ401を形成している部分400bの外側を金属又は硬質の樹脂でカバーすれば、付加レンズ装置を装着できるので、ディジタルカメラやビデオカメラと匹敵するような、極めて遠方の風景や人物を撮影することができる。
【0079】
以上のように、上記第1実施形態ないし第3実施形態および変形例におけるカメラ付き携帯電話装置は、共通の撮像素子を用いて、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も撮像することにより、コストダウンおよび機能の充実を図ることができるので、安価な電子楽器装置および仮想楽器の演奏方法の実施に使用することが可能になる。
【0080】
特に、第3実施形態におけるカメラ付き携帯電話装置は、上部本体202の所定の位置に設けられた広い視野角のレンズ210と、下部本体201に設けられた空間に収容され、レンズ205およびプリズム206が一体化された光学手段と、下部本体201のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た円筒形状で、下部本体201設けられた空間に連通する空間を内部に有する突起部208と、この突起部208の空間の所定位置に設けられたレンズ209と、一体成形の光学手段であるレンズ205およびプリズム206を操作に応じて突起部208側の位置又は下部本体201側の位置に移動させるスライドレバー212と、下部本体201と上部本体202とが閉状態で、且つ、レンズ205およびプリズム206が突起部208側の位置にある場合には、レンズ210およびレンズ205によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、下部本体201と上部本体202とが開状態で、且つ、レンズ205およびプリズム206が突起部208側の位置にある場合には、レンズ205によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、レンズ205およびプリズム206が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ209から入射してプリズム206によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子204と、を備えた構成になっているので、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も共通の撮像素子204で撮像することにより、カメラ付き携帯電話装置のコストダウンおよび機能の充実を図ることができる。
【0081】
また、第3実施形態の変形例におけるカメラ付き携帯電話装置は、上部本体202の所定の位置に設けられた広い視野角のレンズ210と、下部本体201においてスイッチ部を有する面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つのレンズ402、下部本体201のアンテナが形成される側面から外部に向かってほぼ垂直に突き出た部分に形成されて当該側面に対してほぼ垂直方向の光軸を持つレンズ401、レンズ401から入射する光をほぼ直角に反射するプリズム403とが一体化された光学手段400と、下部本体201において、操作に応じて光学手段400を下部本体201側の位置又は外部側の位置に、レンズ401の光軸方向にスライド可能に収容する収容手段405と、下部本体201と上部本体202とが閉状態で、且つ、光学手段400が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ210およびレンズ402によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、下部本体201と上部本体202とが開状態で、且つ、光学手段400が下部本体201側の位置にある場合には、レンズ402によって結像される光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力し、光学手段400が外部側の位置にある場合には、レンズ401から入射してプリズム403によって反射して結像された光画像を電気信号に変換して撮像信号として出力する撮像素子204と、を備えた構成になっているので、焦点距離の異なるレンズから近い被写体も遠い被写体も共通の撮像素子204で撮像することにより、カメラ付き携帯電話装置のコストダウンおよび機能の充実を図ることができる。
【0082】
この第3実施形態の他の変形例として、光学手段400のレンズ401を広角レンズ又は魚眼レンズのように至近距離を撮れるようなレンズで構成してもよい。そして、このカメラ付き携帯電話装置5をヘッドホン7に取り付けるようにする。図32は、ヘッドホン7にカメラ付き携帯電話装置5を取り付けた状態を示す図である。この図において、ヘッドホン7には、キャリアケース7bが取り付けられ、カメラ付き携帯電話装置5が光学手段400およびスイッチ215を露出した状態で収容されている。この場合においては、カメラ付き携帯電話装置5からヘッドホン7への信号の送信は、赤外線による無線通信によって行う。この場合には、カメラ付き携帯電話装置5のカメラアングルが高くなるので、スティックの画像よりも手首や腕に付けた球形の物のほうが検出を容易にできる。さらに、手若しくは腕および脚に付ける球形の物の色を身体の部位ごとに異なる色にしてもよい。この場合には、各部位の識別が容易になる。
したがって、この第3実施形態の他の変形例においても、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0083】
次に、本発明による電子楽器装置の他の実施形態について説明する。図33は、他の実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。この図において、図1および図24に示した第1実施形態および第2実施形態の構成と同じものは、同一の符号で表している。ヘッドホン7には、専用のカメラ部121が設けられている。そして、演奏者100の右手101、左手102、右脚103、および左脚104には、それぞれ色彩が異なる球122、123、124、および125が取り付けられている。この場合において、このヘッドホン7は携帯電話装置と協働して電子楽器装置を構成する。
【0084】
図34は、この実施形態におけるヘッドホン7の構成を示すブロック図である。この図において、CPU71は、システムバスを介して、ROM72、RAM73、ブルートゥース(Bluetooth)通信部74、カメラ部121、フラッシュメモリ75、音声出力インタフェース76に接続されている。CPU71は、第1実施形態における電子楽器装置が行っていた画像処理を担うことになる。このため、ROM72には画像処理のプログラムが記憶されており、CPU71がそのプログラムを実行するのであるが、上記したように、このヘッドホン7は仮想のドラム演奏を行うための専用の電子楽器装置であるので、実際には、ソフトウェアによる画像処理でなく、専用のLSIによるハードウェアで高速の画像処理を行う。しかし、画像処理をソフトウェアで行うにせよ又は専用のハードウェアで行うにせよ、基本的な動作については同じであるので、第1実施形態における仮想のドラム演奏の説明に合わせて、画像処理をソフトウェアで行うものと見なして、図34のような構成に基づいてこの実施形態を説明することにする。
【0085】
RAM73、カメラ部121、フラッシュメモリ75の機能については、第1実施形態の場合とほぼ同じである。ブルートゥース通信部74は、携帯電話装置との間でブルートゥースの無線通信によってデータの送受信を行う。音声出力インタフェース76は、携帯電話装置から送られてくる音声信号をディジタルからアナログのステレオ音声信号に変換してアンプ77に出力する。アンプ77は、例えば、カメラ部121と反対側の部分に設けられているボリューム78の調整に応じた増幅率で、ステレオ音声信号を増幅して左右のスピーカ79L、79Rで発音する。
【0086】
図35は、図34のCPU71の動作を示すフローチャートである。携帯電話装置との間でブルートゥースによる通信処理を行って(ステップSG1)、ドラム演奏のスタート指令を受信したか否かを判別する(ステップSG2)。スタート指令を受信したときは、画像処理を実行する(ステップSG3)。次に、電源電圧のチェックなどのその他の処理を行う(ステップSG4)。画像処理などの実行中では、携帯電話装置からストップ指令を受信したか否かを判別し(ステップSG5)、ストップ指令を受信しない場合には、ステップSG1に移行して上記各処理を繰り返すが、ストップ指令を受信したときは、このフローチャートを終了する。
【0087】
このように、ヘッドホン7によって画像処理を行うので、携帯電話装置のドラム処理では画像処理は行わず、音声処理、通信処理などを行う。なお、携帯電話装置におけるメインルーチン、ドラム設定処理の動作については、図5および図6に示した第1実施形態のメインルーチン、図8および図9に示した第1実施形態のドラム設定処理の動作と同じである。すなわち、この実施形態においても、ドラム演奏の設定は携帯電話装置側で行われる。図35は、この実施形態における携帯電話装置のドラム処理のフローチャートである。図14のフローチャートと比較すると、ステップSC5においては画像処理の代わりに通信処理を行うようになっている。
【0088】
この通信処理において、図15に示した第1実施形態の音声処理のステップSD7においては、mの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージは、携帯電話装置からブルートゥースの無線信号によってヘッドホン7に送信される。また、ステップSD10におけるDF(m,n)=0のデータはヘッドホン7から受信する。一方、ヘッドホン7においても、携帯電話装置から受信したmの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージに応じて、図16に示した画像処理のステップSE8で動線を検出すると、その検出データを携帯電話装置に送信し、その検出データに応じて携帯電話装置から受信したD(n)の音色のリズム音信号を音声出力インタフェース76によってアンプ77に出力して発音する。また、ステップSE14におけるDF(m,n)を携帯電話装置に送信する。
したがって、この実施形態による電子楽器装置おいても、第1実施形態における電子楽器装置と同様の効果が得られる。
【0089】
図1に示した第1実施形態においては、カメラ付き携帯電話装置5のヘッドホン端子からヘッドホン7に対して、信号線によってリズム音信号を出力する構成にしたが、第1実施形態の変形例としての電子楽器装置では、カメラ付き携帯電話装置にブルートゥース通信機能又は赤外線通信機能を持たせることにより、カメラ付き携帯電話装置からヘッドホン7に対して、無線信号によってリズム音信号を送信する構成も可能である。
【0090】
図37(A)は、無線信号によってリズム音信号を送信する場合に、電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す第1実施形態の変形例の図である。図37(A)において、カメラ付き携帯電話装置5は、充電の際にACアダプタ(図示せず)と接続される卓上ホルダ115に装着されており、ωの視野角のレンズ(図示せず)によって前方(図の右側)を撮像できる状態で、本箱や机などの家具116の上に配置されている。演奏者100は、カメラ付き携帯電話装置5のカメラに向かって座り、右手および左手にスティック1および2を持つとともに、右足および左足にスリッパ108および109を履き、スティック1および2と両足で仮想のドラム演奏を行う。スティック1および2の先端部1aおよび2aは、第1実施形態と同様に特定の色(この場合は黒)に着色されている。一方、第1実施形態においては演奏者100の脚部に取り付けられていた黒球3および4は、この実施形態ではスリッパ108および109の先端部に取り付けられている。
また、第1実施形態と同様に、演奏者の頭部にはヘッドホン7が装着されているが、この場合のヘッドホン7は、カメラ付き携帯電話装置5からの無線信号を受信するデータ受信機能を備えており、ヘッドホン7を頭部に固定する支持部材7bがアンテナの機能を兼用している。他の構成については第1実施形態と同じである。
図37(A)において、演奏者100の後方には、収納棚117、この上に置かれた時計118、壁に掛けられた額119がある。すなわち、演奏者100は、このような狭い部屋の中で仮想のドラム演奏を行っている。したがって、カメラ付き携帯電話装置5は、1メートルないし2メートル程度の距離で演奏者100を撮像する状態になっている。
【0091】
図37(B)は、カメラ付き携帯電話装置5によって撮像された演奏者100および後方の収納棚117などの画像を示す図である。なお、平成16年7月の時点で市販されている大半のカメラ付き携帯電話装置によれば、被写体から1メートルないし2メートル程度の距離で撮像される画像をLCDなどの表示部に表示した場合には、その画像が図37(B)に示す状態になることは、発明者によって実証されている。
したがって、第1実施形態と同様に、図18に示した画像の中から、図19に示した特定画像を抽出するのと同じように、図37(B)の画像から特定画像である1a、2a、3および4の画像を抽出することができる。
【0092】
したがって、第1実施形態の場合と同様に、この変形例においても、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。なお、平成16年7月の時点で、著名な某通信会社から市販されているカメラ付き携帯電話装置においては、例えば、35機種の中で26機種には既に赤外線通信機能が搭載されている。なおまた、ブルートゥース通信機能についても、パソコンなどのIT分野において既に実用化されており、近い将来においてはカメラ付き携帯電話装置に搭載できることが予想され得る。さらに、ヘッドホン7に赤外線通信又はブルートゥース通信を利用したデータ通信機能を容易に付加できることは、改めて記述するまでもなく明らかである。
【0093】
なお、上記各実施形態においては、電子楽器演奏装置および仮想楽器の演奏方法について説明したが、仮想楽器の演奏処理のプログラムをインターネットなどのネットワークを介してダウンロードしたり、仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録した記録媒体をカメラ付き携帯電話装置に装着して、そのプログラムを実行させることも可能である。この場合には、プログラムの発明およびプログラムを記録した記録媒体の発明を実現する。
すなわち、その仮想楽器の演奏処理のプログラムは、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、を実行する。
また、その記録媒体は、複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図2】図1に示したキャリアケースに収容されたカメラ付き携帯電話装置を示す図である。
【図3】カメラ付き携帯電話装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ヘッドホンの内部構成を示すブロック図である。
【図5】CPUのメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5に続くCPUのメインルーチンのフローチャートである。
【図7】(A)はメニュー画面を示す図であり、(B)はメニュー画面のアイコンに対応するスイッチを示す図である。
【図8】ドラム設定処理のフローチャートである。
【図9】図8に続くドラム設定処理のフローチャートである。
【図10】ドラム設定処理における設定画面の内容を示す図である。
【図11】ドラム演奏の設定画面を示す図である。
【図12】ドラム演奏の決定画面の例を示す図である。
【図13】RAMに記憶された配列ARのデータの図である。
【図14】図9におけるドラム処理のフローチャートである。
【図15】図14における音声処理のフローチャートである。
【図16】図14における画像処理のフローチャートである。
【図17】確定動線の演算処理を説明するための図である。
【図18】任意のドラム演奏の画像を示す図である。
【図19】フラッシュメモリにストアした特定画像を表す図である。
【図20】画像分析処理のフローチャートである。
【図21】図20に続く画像分析処理のフローチャートである。
【図22】図19のフレーム画像の次のフレーム画像を示す図である。
【図23】特殊画像について10フレーム分の各画像の動線を示した図である。
【図24】第2実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図25】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第1実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図26】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第2実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図27】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第2実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図28】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第3実施形態における外観図および断面の一部を示す図である。
【図29】図28のカメラ付き携帯電話装置の突起部に付加レンズ装置を装着した例を示す図である。
【図30】本発明の電子楽器装置に使用するカメラ付き携帯電話装置の第3実施形態の変形例における光学手段の構造を示す図である。
【図31】図30の光学手段をカメラ付き携帯電話装置に組み込んだ状態を示す図である。
【図32】ヘッドホン7にカメラ付き携帯電話装置5を取り付けた状態を示す図である。
【図33】他の実施形態における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【図34】他の実施形態におけるヘッドホンの構成を示すブロック図である。
【図35】図34のCPUの動作を示すフローチャートである。
【図36】他の実施形態における携帯電話装置のドラム処理のフローチャートである。
【図37】第1実施形態の変形例における電子楽器装置を演奏者が使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1、2 スティック
1a、2a スティックの先端部
3、4、111、112、113、114 黒球
5 カメラ付き携帯電話装置
7 ヘッドホン
8、55、58、210、205、304、401、402 レンズ
11 CPU
17 カメラ部
18 フラッシュメモリ
19 音源部
51、201 下部本体
52、202 上部本体
54、59、213 表示部
56、204 撮像素子
206、403 プリズム
211 ヘリカルアンテナ
301 付加レンズ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、前記撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、
この画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、
この画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する信号発生手段と、
を備えた電子楽器装置。
【請求項2】
前記画像抽出手段は、前記複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、演奏者の手に保持された物体又は手、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項3】
前記信号発生手段は、無線信号又は所定の信号線を介して、発生したリズム音信号を所定の発音手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項4】
前記信号発生手段は、指定された曲のメロディ音信号とともに、発生したリズム音信号を前記発音手段に出力することを特徴とする請求項3に記載の電子楽器装置。
【請求項5】
前記撮像手段、前記画像抽出手段、前記画像分析手段、および前記信号発生手段は、カメラ付き携帯電話装置で構成され、前記撮像手段は、前記発音手段を装着して仮想楽器を演奏する演奏者の画像を撮像し、前記信号発生手段は、発生したリズム音信号を無線信号によって前記発音手段に送信することを特徴とする請求項3に記載の電子楽器装置。
【請求項6】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する仮想楽器の演奏方法。
【請求項7】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラム。
【請求項8】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録した記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、前記撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、
前記画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号および操作に応じて指定された曲のメロディ音信号を発生して、無線信号又は所定の信号線を介して所定の発音手段に出力する信号発生手段と、
を備えた電子楽器装置。
【請求項2】
前記画像抽出手段は、前記複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、演奏者の手に保持された物体又は手、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項3】
前記撮像手段、前記画像抽出手段、前記画像分析手段、および前記信号発生手段は、カメラ付き携帯電話装置で構成され、前記撮像手段は、前記発音手段を装着して仮想楽器を演奏する演奏者の画像を撮像し、前記信号発生手段は、発生したリズム音信号を無線信号によって前記発音手段に送信することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項4】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号および操作に応じて指定された曲のメロディ音信号を発生して、無線信号を介して所定の発音手段に出力する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラム。
【請求項1】
撮像手段と、
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、前記撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、
この画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、
この画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する信号発生手段と、
を備えた電子楽器装置。
【請求項2】
前記画像抽出手段は、前記複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、演奏者の手に保持された物体又は手、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項3】
前記信号発生手段は、無線信号又は所定の信号線を介して、発生したリズム音信号を所定の発音手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項4】
前記信号発生手段は、指定された曲のメロディ音信号とともに、発生したリズム音信号を前記発音手段に出力することを特徴とする請求項3に記載の電子楽器装置。
【請求項5】
前記撮像手段、前記画像抽出手段、前記画像分析手段、および前記信号発生手段は、カメラ付き携帯電話装置で構成され、前記撮像手段は、前記発音手段を装着して仮想楽器を演奏する演奏者の画像を撮像し、前記信号発生手段は、発生したリズム音信号を無線信号によって前記発音手段に送信することを特徴とする請求項3に記載の電子楽器装置。
【請求項6】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出し、抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定し、判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する仮想楽器の演奏方法。
【請求項7】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラム。
【請求項8】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出した特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定した仮想楽器の音色のリズム音信号を発生する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラムを記録した記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、前記撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段によって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する画像分析手段と、
前記画像分析手段によって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号および操作に応じて指定された曲のメロディ音信号を発生して、無線信号又は所定の信号線を介して所定の発音手段に出力する信号発生手段と、
を備えた電子楽器装置。
【請求項2】
前記画像抽出手段は、前記複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、演奏者の手に保持された物体又は手、手首若しくは腕に取り付けられた物体、および演奏者の膝又は大腿部に取り付けられた物体の撮像された画像を特定画像として抽出することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項3】
前記撮像手段、前記画像抽出手段、前記画像分析手段、および前記信号発生手段は、カメラ付き携帯電話装置で構成され、前記撮像手段は、前記発音手段を装着して仮想楽器を演奏する演奏者の画像を撮像し、前記信号発生手段は、発生したリズム音信号を無線信号によって前記発音手段に送信することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器装置。
【請求項4】
複数種類の仮想の打楽器を演奏するために、所定の撮像手段によって撮像された画像の中からあらかじめ設定されている1種類又は複数種類の特定画像を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップによって抽出された特定画像の動きベクトルを分析して、当該特定画像に対してあらかじめ設定されている仮想楽器を判定する第2のステップと、
前記第2のステップによって判定された仮想楽器の音色のリズム音信号および操作に応じて指定された曲のメロディ音信号を発生して、無線信号を介して所定の発音手段に出力する第3のステップと、
を実行する仮想楽器の演奏処理のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2006−53167(P2006−53167A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214970(P2004−214970)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【特許番号】特許第3684420号(P3684420)
【特許公報発行日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303015653)有限会社ラルゴ (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【特許番号】特許第3684420号(P3684420)
【特許公報発行日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303015653)有限会社ラルゴ (23)
【Fターム(参考)】
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