説明

電子機器、電子機器の制御方法、制御プログラム、及び記録媒体

【課題】電子機器が自ら行う制御によって自機の物理アドレスを確実に特定する。
【解決手段】携帯電話機1は、接続された接続端子が、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、相手機器に制御信号を送信して、アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返し、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして自機の物理アドレスを特定するアドレス取得部13を備えているので、自機が行う制御によって自機の物理アドレスを確実に特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子を介して接続された電子機器と相手機器とを含む通信システムに関し、より詳細には該通信システムにおいて、自装置に割り当てられたアドレスを特定する電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像等のデータを電子機器間で送受信するためのインタフェースとして、HDMI(High Definition Multimedia Interface、登録商標)規格が普及しつつある。HDMIケーブルで接続された機器のうち、HDMI出力端子を有する機器はソース機器と呼ばれ、HDMI入力端子を有する機器はシンク機器と呼ばれる。
【0003】
ソース機器とシンク機器とは、複数の信号線を介して通信を行う。ここで、ソース機器とシンク機器との間で行われる通信の概要について、図7に基づいて説明する。図7は、ソース機器とシンク機器との間で行われる通信の概要を示すブロック図である。
【0004】
図示のように、ソース機器は、HDMIトランスミッタを備えており、シンク機器は、HDMIレシーバとEDID(Extended Display Identification Data)の格納部とを備えている。
【0005】
また、HDMIトランスミッタとHDMIレシーバとは、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)チャンネル1〜3及びTMDSクロックチャンネルを介して接続されている。そして、ソース機器とシンク機器とは、DDC(Display Data Channel)、CEC(Consumer Electronics Control)ライン、HPD(Hot Plug Detect)、+5V Powerラインで接続されている。
【0006】
HDMIトランスミッタは、ソース機器が出力する映像(Video)、音声(Audio)等を、TMDSチャンネル1〜3を介してHDMIレシーバに送信する。そして、HDMIレシーバは、TMDSクロックチャンネルで送信される信号をリファレンス・クロックとして使用して、受信した映像や音声を出力する。また、TMDSチャンネル1〜3を介して制御信号(Control)や状態(status)も送受信される。
【0007】
CECラインは、シンク機器がソース機器を制御する信号や、ソース機器がシンク機器を制御する信号等を送受信するための信号線である。CECラインを介した制御によって、ソース機器は、シンク機器の出力する映像や音声等を自機が送信するものに切り替えさせること等ができる。
【0008】
DDCは、EDIDを読み出すための信号線である。また、HPDは、DDCを介したEDIDの読み出しを制御するためのHPD信号を送信するための信号線である。そして、+5V Powerラインは、ソース機器がシンク機器への接続を通知するための+5V電源信号を送信するための信号線である。なお、EDIDの読み出し処理の流れについては後述する。
【0009】
〔物理アドレスについて〕
CECラインにて制御を行う場合には、制御を行う機器の物理アドレスと、制御の対象となる機器の物理アドレスとが特定されていることが必要になる。ここでは、物理アドレスについて図8に基づいて説明する。図8は、HDMIケーブルで接続された通信ネットワークの一例を示す図である。
【0010】
図示のように、TVは、4つのHDMI入力端子(入力ポート1〜4)を有するシンク機器である。そして、入力ポート1にはソース機器であるDVDプレーヤaが、入力ポート4には同じくソース機器である携帯電話機aが接続されている。また、入力ポート2には、中継Boxが接続されており、入力ポート3には機器が接続されていない。
【0011】
中継Boxは、HDMI入力端子と出力端子との両方を備えているリピータ機器であり、入力ポートA及びBの2つの入力端子を備えている。そして、入力ポートAにはDVDプレーヤbが接続されており、入力ポートBには携帯電話機bが接続されている。
【0012】
このような通信システムの場合には、TVは、自機の物理アドレスを〔0,0,0,0〕に設定する。そして、入力ポート1に接続されているDVDプレーヤaの物理アドレスを〔1,0,0,0〕に設定し、入力ポート2に接続されている中継Boxの物理アドレスを〔2,0,0,0〕に設定し、入力ポート3の物理アドレスを〔3,0,0,0〕に設定し、入力ポート4に接続されている携帯電話機aの物理アドレスを〔4,0,0,0〕に設定する。これらの物理アドレスは、各入力ポートに対応するEDID格納部に格納される。
【0013】
また、物理アドレスが〔2,0,0,0〕の中継Boxに接続されている機器には、中継Boxによって物理アドレスが割り当てられる。すなわち、中継Boxは、入力ポートAに接続されているDVDプレーヤbの物理アドレスを〔2,1,0,0〕に設定し、入力ポートBに接続されている携帯電話機bの物理アドレスを〔2,2,0,0〕に設定する。そしてこれらの物理アドレスは、中継Boxが備える、各入力ポートに対応するEDID格納部に格納される。
【0014】
〔接続処理の流れ〕
次に、ソース機器とシンク機器との接続処理の流れについて、図9に基づいて説明する。図9は、従来のソース機器とシンク機器との接続シーケンスの一例を示す図である。ソース機器とシンク機器とが接続されると、ソース機器から+5Vの電圧が供給される。そして、シンク機器は、+5Vの電圧を検出すると、相手機器(ソース機器)の物理アドレスを決定し、決定した物理アドレスを、+5Vの電圧が供給された入力ポートのEDID格納部に格納する。
【0015】
また、+5Vの電圧を検出したシンク機器は、+5Vの電圧が供給された入力ポートのHPD信号をHighレベルに切り替える。これにより、当該入力ポートに接続されたソース機器は、シンク機器のEDID格納部からEDIDデータを読み出すことが可能になる。このEDIDデータには、上記のようにソース機器の物理アドレスが格納されているので、ソース機器は読み出したEDIDデータから自機の物理アドレスを特定することができる。
【0016】
図示の例では、ソース機器は、EDIDデータを読み出した後、自機の物理アドレスを認識して記憶し、シンク機器に対するAVソースのパス切り替え要求を行っている。これにより、ソース機器からシンク機器へ、入力切替を要求するCECメッセージであるActiveSourceメッセージが送信される。
【0017】
そして、このメッセージを受信したシンク機器は、自機から出力する映像等のソースを当該ソース機器に切り替える。これにより、TMDSチャンネルを介してソース機器の送信するAVデータ(映像や音声等のデータ)が、シンク機器から出力されるようになる。
【0018】
以上のように、ソース機器が自らの物理アドレスを特定するためには、HPD信号がHighレベルとなっている必要がある。しかし、一般的には、シンク機器の入力ポートが複数存在する場合には、その何れか1つの選択状態にある入力ポートのみについて、HPD信号がHighレベルに設定される。
【0019】
このため、ソース機器を接続した入力ポートが選択状態ではない場合には、HPD信号がHighレベルとならず、物理アドレスが取得されないという問題がある。下記の特許文献1では、このような問題を解決するために、シンク機器の全ての入力ポートについてHPD信号を常にHighレベルに設定するようにしている。これにより、ソース機器は、物理アドレスを確実に取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2009−3882号公報(2009年1月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、特許文献1の発明では、シンク機器による制御によって、ソース機器が物理アドレスを確実に取得することを可能にするものである。このため、ソース機器は、特許文献1の発明によるシンク機器と接続した場合にのみ、自機の物理アドレスを確実に取得可能となる。
【0022】
すなわち、従来技術では、特許文献1の発明を適用していないシンク機器と接続したソース機器は、自機の物理アドレスを確実には取得することができないという問題があった。そして、これはソース機器に限られず電子機器一般に当てはまることであるが、通信ネットワークに接続する電子機器は、自機の物理アドレスを自ら行う制御によって確実に取得できることが望ましい。
【0023】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、自ら行う制御によって自機の物理アドレスを確実に取得することのできる電子機器等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するために、本発明の電子機器は、複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器であって、接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして自機の物理アドレスを特定するアドレス特定手段とを備えていることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の電子機器の制御方法は、上記の課題を解決するために、複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器の制御方法であって、接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、上記電子機器から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして上記電子機器の物理アドレスを特定するアドレス特定ステップとを含むことを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された電子機器が、相手機器を制御してアドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる。そして、アドレス記憶部にアクセス可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして電子機器の物理アドレスを特定する。
【0027】
したがって、上記電子機器は、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された場合であっても、自ら行う制御によって自機の物理アドレスを確実に特定することができる。
【0028】
また、本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器であって、接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を、送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、上記切替手段が接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを自機の物理アドレスとして特定するアドレス特定手段とを備えていることを特徴としている。
【0029】
そして、本発明の電子機器の制御方法は、上記の課題を解決するために、複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器の制御方法であって、接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、上記電子機器から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、上記切替ステップで接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを上記電子機器の物理アドレスとして特定するアドレス特定ステップとを含むことを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された電子機器が、相手機器に物理アドレスと制御信号とを送信してアドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる。そして、アドレス記憶部にアクセス可能となったときに送信した物理アドレスを電子機器の物理アドレスとして特定する。なお、送信する物理アドレスは、上記電子機器の物理アドレスである可能性のあるものであればよい。
【0031】
したがって、上記電子機器は、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された場合であっても、自ら行う制御によって自機の物理アドレスを確実に特定することができる。また、上記の構成によれば、相手機器のアドレス記憶部にアクセスしなくとも電子機器の物理アドレスを特定することができる。
【0032】
また、上記電子機器は、上記相手機器の接続端子に接続している自機以外の機器の物理アドレスを特定する使用中アドレス特定手段を備え、上記切替手段は、上記使用中アドレス特定手段が特定した物理アドレス以外の物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、切り替え先の接続端子が、電子機器以外の機器が使用していない接続端子に絞り込まれるので、電子機器以外の機器が使用している接続端子をアドレス記憶部にアクセス可能に切り替えることがなくなる。
【0034】
これにより、例えば、アドレス記憶部にアクセス可能に切り替えられたことをトリガとして所定の動作を行う機器が上記相手機器に接続されていたような場合に、その機器が動作してしまうことを防ぐことができる。
【0035】
なお、他の機器が使用している物理アドレスの特定方法は、特に限定されないが、例えば上記電子機器への応答送信を要求する信号を、考えられる各論理アドレス宛に送信し、応答を受信した論理アドレスの機器に対して当該機器の物理アドレスの送信を要求する信号を送信することで、その機器が使用している物理アドレスを特定することもできる。
【0036】
また、上記電子機器は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記電子機器の各手段として動作させることにより、上記電子機器をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明の電子機器は、接続された接続端子が、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして自機の物理アドレスを特定するアドレス特定手段とを備えている構成である。
【0038】
また、本発明の電子機器の制御方法は、以上のように、接続された接続端子が、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、上記電子機器から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして上記電子機器の物理アドレスを特定するアドレス特定ステップとを含む構成である。
【0039】
そして、本発明の他の電子機器は、以上のように、接続された接続端子が、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を、送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、上記切替手段が接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを自機の物理アドレスとして特定するアドレス特定手段とを備えている構成である。
【0040】
また、本発明の電子機器の他の制御方法は、以上のように、接続された接続端子が、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、上記電子機器から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、上記切替ステップで接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを上記電子機器の物理アドレスとして特定するアドレス特定ステップとを含む構成である。
【0041】
上記の構成によれば、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された電子機器が、相手機器を制御してアドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返すことによって、電子機器の物理アドレスを特定する。
【0042】
したがって、上記電子機器は、アドレス記憶部にアクセスできない接続端子に接続された場合であっても、自ら行う制御によって物理アドレスを確実に特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機が備える制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図3】上記携帯電話機の要部構成を示すブロック図である。
【図4】上記携帯電話機を含む通信システムの概略図である。
【図5】上記通信システムで行われる処理の一例を示すシーケンス図である。
【図6】上記携帯電話機が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】従来技術を示すものであり、ソース機器とシンク機器との間で行われる通信の概要を示すブロック図である。
【図8】HDMIケーブルで接続された通信ネットワークの一例を示す図である。
【図9】従来のソース機器とシンク機器との接続シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6に基づいて詳細に説明する。
【0045】
〔携帯電話機の構成〕
まず、本実施形態の携帯電話機の概要について、図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態の携帯電話機(電子機器)1の外観を示す斜視図である。携帯電話機1は、筺体を2つに折りたたむことのできる折りたたみ式の携帯電話機であり、同図では筐体を開いた状態を示している。
【0046】
図示のように、携帯電話機1は、画像を表示する表示部2、ユーザの入力操作を受け付ける入力キー3を備えていると共に、テレビなどのAV機器(シンク機器)とケーブル接続するためのHDMIコネクタ4を備えている。
【0047】
携帯電話機1は、HDMIコネクタ4を介してシンク機器とケーブル接続されたときに、HPD信号がHighレベルとなっているか否かにかかわらず、自機の物理アドレスを取得することができる点が主な特徴点である。
【0048】
続いて、携帯電話機1の構成の概要について図3に基づいて説明する。図3は、携帯電話機1の要部構成を示すブロック図である。図示のように、携帯電話機1は、表示部2、入力キー3、及びHDMIコネクタ4を備えていると共に、音声を出力するスピーカ5、自機を振動させるバイブレータ6、携帯電話機1の動作を統括して制御する制御部7、携帯電話機1で使用するデータ等を記憶する記憶部8、及び携帯電話網を介して通信を行うための無線部9を備えている。
【0049】
〔通信システムの概要〕
次に、携帯電話機1を含む通信システムについて、図4に基づいて説明する。図4は、携帯電話機1を含む通信システム100の概略図である。図示のように、通信システム100は、通信システム100におけるシンク機器であるTV(相手機器)201を含むと共に、通信システム100におけるソース機器である携帯電話機1、DVDプレーヤ202、及びレコーダ203を含む構成である。
【0050】
TV201は、HDMIの入力端子である入力ポート(接続端子)1〜4を備えている。そして、入力ポート1にはDVDプレーヤ202が接続されており、入力ポート2にはレコーダ203が接続されている。また、入力ポート3には機器が接続されておらず、携帯電話機1は、入力ポート4に接続されている。
【0051】
通信システム100に含まれる各機器の物理アドレスは、TV201が備える図示しないEDID格納部(アドレス記憶部)に記録されている。EDID格納部は、各入力ポートに接続する機器に割り当てられた物理アドレスを入力ポート毎に格納するものである。
【0052】
具体的には、TV201の物理アドレスとして〔0,0,0,0〕が、DVDプレーヤ202の物理アドレスとして〔1,0,0,0〕が、レコーダ203の物理アドレスとして〔2,0,0,0〕が、そして入力ポート3の物理アドレスとして〔3,0,0,0〕が格納されていることを想定している。
【0053】
なお、〔a,b,c,d〕の物理アドレスにおいて、aはシンク機器であるTV201に直接接続している1段目の階層のアドレスを示し、bは1段目の階層に接続されたリピータ機器に接続する2段目の階層のアドレスを示している。同様に、cは3段目の階層、dは4段目の階層のアドレスを示している。
【0054】
また、携帯電話機1の物理アドレスについても、TV201のEDID格納部に格納されている。ただし、携帯電話機1のHPD信号がHighレベルとなっていなければ、携帯電話機1は、このEDID格納部にアクセスすることができず、自機の物理アドレスを特定することができない。
【0055】
〔制御部7の構成〕
次に、携帯電話機1の制御部7の構成について図1に基づいて説明する。図1は、制御部7の要部構成を示すブロック図である。図示のように、制御部7は、接続検出部11、機器検出部(使用中アドレス特定手段)12、及びアドレス取得部(切替手段、アドレス特定手段)13を備えている。
【0056】
接続検出部11は、HDMIコネクタ4を介した通信接続が確立されたことを検出する。具体的には、HDMIコネクタ4を介した通信接続が確立されると、当該通信接続の相手機器と接続する通信ラインがHighレベルになるので、接続検出部11は、通信ラインがHighレベルであるか否かを確認することで、HDMIコネクタ4を介した通信接続が確立されたことを検出する。無論、HDMIコネクタ4を介した接続の検出方法は、この方法に限られず、例えば接続を検出するセンサを設けることによって検出してもよい。
【0057】
機器検出部12は、HDMIコネクタ4を介して直接または間接的に接続している機器を検出すると共に、検出した各機器の物理アドレスを取得する。具体的には、機器検出部12は、自機が接続している通信システム上の各論理アドレスに応答要求を送信して、応答の有無を確認することによって機器を検出する。そして、検出した機器に物理アドレスの問い合わせを行うことによって当該機器の物理アドレスを取得する。
【0058】
アドレス取得部13は、HPD信号がHighレベルとなっているときには、シンク機器のEDID格納部にアクセスして自機の物理アドレスをする。また、アドレス取得部13は、HPD信号がLowレベルとなっているときには、シンク機器に入力切替指示を送信して、該シンク機器の入力ポートを、機器検出部12が取得した物理アドレス以外の各物理アドレスに対応する入力ポートに切り替えさせる。そして、シンク機器による切り替えによって、HPD信号がHighレベルとなったときに、当該シンク機器のEDID格納部から自機の物理アドレスを取得する。
【0059】
〔通信システム100における処理の流れ〕
続いて、通信システム100で行われる処理の流れを図5に基づいて説明する。図5は、通信システム100で行われる処理の一例を示すシーケンス図である。なお、同図では、通信システム100に携帯電話機1を接続したときに、HPD信号がLowレベルであった場合の処理を示している。また、図5で送受信されるメッセージは、CECメッセージである。
【0060】
TV201とケーブルで接続されたときに、HPD信号がLowレベルであった場合には、携帯電話機1は、通信システム100に含まれる各機器にポーリングメッセージの送信を行う(図中、「Polling」と記載)。なお、ポーリングメッセージの送信先は、論理アドレスで指定する。そして、同図には示していないが、ポーリングメッセージを受信した機器は、Ackを返すので、Ackの受信により各機器の論理アドレスを特定することができる。
【0061】
次に、携帯電話機1は、Ackを送信した機器の論理アドレスに対して、物理アドレスの送信を要求する命令であるGivePhysicalAddressメッセージを送信する。そして、これを受信した機器は、自機の物理アドレスを通知するメッセージであるReportPhysicalAddressメッセージを送信する。
【0062】
GivePhysicalAddressメッセージの送信と、ReportPhysicalAddressメッセージの受信とを各機器について行うことにより、携帯電話機1は、通信システム100に含まれる自機以外の各機器の物理アドレスを特定することができる。つまり、図示の例では、DVDプレーヤ202の物理アドレスが〔1,0,0,0〕であり、レコーダ203の物理アドレスが〔2,0,0,0〕であることを特定することができる。
【0063】
また、使用中の物理アドレスを特定することにより、携帯電話機1が使用している物理アドレスを絞り込むことができる。つまり、図示の例では、〔3,0,0,0〕以降の物理アドレスは、未使用であるかまたは自機が使用しているアドレスであるから、自機が使用している物理アドレスを〔3,0,0,0〕以降に絞り込むことができる。
【0064】
そして、携帯電話機1は、〔3,0,0,0〕以降の物理アドレスを指定したActiveSourceメッセージをTV201に順次送信して、HPD信号をHighレベルとする入力ポートを順次切り替えさせる。すなわち、ActiveSourceメッセージは、指定した物理アドレスに対応する入力ポートを選択状態に切替させるためのメッセージである。
【0065】
図示の例では、携帯電話機1は、まず、物理アドレス〔3,0,0,0〕を指定したActiveSourceメッセージをTV201に送信している。これにより、TV201は、物理アドレス〔3,0,0,0〕が割り当てられた入力ポートへの入力切り替えを行い、物理アドレス〔3,0,0,0〕の入力ポートに接続された機器に出力するHPD信号をHighレベルとする。
【0066】
しかしながら、図4に示すように、通信システム100において、物理アドレス〔3,0,0,0〕の入力ポートには、機器が接続されていない。このため、上記の入力切り替えによってHPD信号がHighレベルに切り替わった機器は存在せず、当然のことながら、携帯電話機1のHPD信号はLowレベルのままである。
【0067】
そこで、携帯電話機1は、ActiveSourceメッセージの送信から一定期間経過してもHPD信号がHighレベルになったことが確認されない場合には、次の物理アドレス(ポーリングによって機器の使用が確認されなかった物理アドレス)を指定してActiveSourceメッセージを送信する。
【0068】
図示の例では、携帯電話機1は、物理アドレス〔4,0,0,0〕を指定したActiveSourceメッセージをTV201に送信している。これにより、TV201は、物理アドレス〔4,0,0,0〕が割り当てられた入力ポートに入力切り替えを行う。
【0069】
通信システム100では、携帯電話機1の物理アドレスが〔4,0,0,0〕であることを想定しているので、上記の入力切り替えによって、携帯電話機1は、HPD信号がHighレベルの状態となる。そして、これにより、携帯電話機1は、TV201のEDID格納部から自機の物理アドレスを取得することが可能になる。
【0070】
自機の物理アドレスを取得した携帯電話機1は、以後、自機の物理アドレスを用いてCECメッセージの送受信を行うことができる。例えば、携帯電話機1は、自機の物理アドレスを指定して、映像の出力指示をTV201に送信することによって、自機が送信する映像をTV201に出力させることもできる。
【0071】
〔携帯電話機1が実行する処理の流れ〕
次に、携帯電話機1が実行する処理の流れについて、図6に基づいて説明する。図6は、携帯電話機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
携帯電話機1の接続検出部11は、HDMIコネクタ4にケーブルが挿されるのを待ち受ける。具体的には、接続検出部11は、HDMIコネクタ4に接続確認を送信し、該接続確認に対する応答の有無によってケーブルの接続を検知する(S1)。そして、接続検出部11は、ケーブルが挿されたことを検知したとき(S1でYES)には、HPD信号がLowレベルであるか否かを確認する(S2)。
【0073】
ここで、HPD信号がLowレベルではない、すなわちHPD信号がHighレベルであることが確認された場合(S2でNO)には、接続検出部11は、アドレス取得部13にケーブル接続を検出した旨の通知を行う。そして、通知を受けたアドレス取得部13は、シンク機器のEDID格納部から自機の物理アドレスを読み出して記憶部8に格納し、処理を終了する。
【0074】
また、図6の処理が終了した後は、携帯電話機1は、シンク機器がデータを出力する対象とする入力ポートを自機が接続されている入力ポートへ切り替える処理、シンク機器の電源をONにする処理、及びシンク機器に映像や音声等を送信して出力させる処理等を行う。
【0075】
一方、HPD信号がLowレベルであることが確認された場合(S2でYES)には、接続検出部11は、機器検出部12にケーブル接続を検出した旨の通知を行う。そして、通知を受けた機器検出部12は、論理アドレス(i)に対してポーリングを行う(S3)。具体的には、機器検出部12は、論理アドレス(i)を宛先としてポーリングメッセージを送信する。なお、(i)はカウンタであり、図6のフローチャートにおいて、S3の処理を最初に行うときには、(i)=1に設定される。
【0076】
次に、機器検出部12は、論理アドレス(i)が使用中であるか否かを確認する(S4)。具体的には、機器検出部12は、S3で送信したポーリングメッセージに対する応答、すなわちAckを受信したか否かを確認し、Ackを受信した場合には、論理アドレス(i)が使用中であると判断し、Ackを受信しなかった場合には、論理アドレス(i)が使用されていないと判断する。
【0077】
ここで、論理アドレス(i)が使用中でないことが確認された場合(S4でNO)には、機器検出部12は、カウンタ(i)を1だけインクリメントして(S7)、インクリメント後の(i)が、論理アドレスの総数である15以上であるか否かを確認する(S8)。なお、シンク機器の論理アドレスに対してもポーリングを行ってもよく、この場合には、論理アドレスの総数は16となる。
【0078】
そして、(i)が15より小さいことが確認された場合(S8でNO)には、機器検出部12は、S3の処理に戻ってポーリングを行う。一方、(i)が15以上であることが確認された場合(S8でYES)、つまり(i)=1から(i)=15までの全ての論理アドレスについて、使用中であるか否かの確認が終了している場合には、機器検出部12は、機器検出が終了した旨をアドレス取得部13に通知し、これにより処理はS9に進む。
【0079】
一方、S4において、論理アドレス(i)が使用中であることが確認された場合(S4でYES)には、機器検出部12は、論理アドレス(i)の機器に対して物理アドレスの問い合わせを行う(S5)。具体的には、機器検出部12は、論理アドレス(i)を宛先としたGivePhysicalAddressメッセージを送信する。
【0080】
GivePhysicalAddressメッセージを受信した機器(他のソース機器等)は、その機器の物理アドレスを含むReportPhysicalAddressメッセージを送信するので、機器検出部12は、受信したReportPhysicalAddressメッセージに含まれる物理アドレスを取得して記憶部8に格納する(S6)。
【0081】
そして、機器検出部12は、カウンタ(i)を1だけインクリメントして(S7)、インクリメント後の(i)が、論理アドレスの総数である15以上であるか否かを確認する(S8)。ここで、(i)が15以上である場合(S8でYES)には、機器検出部12は、機器検出が終了した旨をアドレス取得部13に通知し、これにより処理はS9に進む。
【0082】
S9では、機器検出が終了した旨の通知を受けたアドレス取得部13が、機器検出部12が格納した物理アドレス(ポーリングに応答した機器の物理アドレス)を記憶部8から読み出して、自機以外の機器に取得されていない物理アドレス(以下、未取得物理アドレスと呼ぶ)を特定する。
【0083】
次に、アドレス取得部13は、シンク機器に指示して、該シンク機器の入力ポートを上記のようにして特定した未取得物理アドレスの1つに対応する入力ポートに切り替えさせる。具体的には、アドレス取得部13は、未取得物理アドレスの1つを宛先としたActiveSourceメッセージを送信することで上記の指示を行う。
【0084】
次に、アドレス取得部13は、HPD信号がHighレベルとなったか否かを確認する(S10)。ここで、HPD信号がLowレベルであることが確認された場合(S10でNO)には、アドレス取得部13は、未取得物理アドレスのうち、入力ポートの切り替えに用いられていないものの中から次の未取得物理アドレスを選択し(S11)、シンク機器の入力ポートを、上記選択した物理アドレスに切り替えさせる(S9)。そして、HPD信号がHighレベルとなったか否かを再確認する(S10)。
【0085】
ここで、HPD信号がHighレベルであることが確認された場合(S10でYES)には、アドレス取得部13は、シンク機器のEDID格納部から自機の物理アドレスを読み出して記憶部8に格納し、処理を終了する。つまり、アドレス取得部13は、携帯電話機1の物理アドレスとなり得る物理アドレスに対応する入力ポートへの切り替え指示を、HPD信号がHighレベルとなるまで繰り返し送信する。
【0086】
なお、HPD信号がHighレベルであることが確認されたときには、直前に送信したActiveSourceメッセージの物理アドレスが自機の物理アドレスであると判断することができる。このため、シンク機器のEDID格納部から物理アドレスを読み出す代わりに、直前に送信したActiveSourceメッセージの物理アドレスを自機の物理アドレスとして記憶部8に格納するようにしてもよい。
【0087】
以上のように、携帯電話機1は、HDMIケーブルによって接続した入力ポートのHDP信号がLowレベルである場合であっても、自機の物理アドレスを取得することができる。
【0088】
なお、携帯電話機1は、自らの制御によって物理アドレスを取得するので、接続が行われた直後に物理アドレスを取得してもよいし、それ以降のタイミングで物理アドレスを取得してもよい。
【0089】
例えば、通信システム100において、シンク機器であるTV201の入力ポートに何らかの機器が接続されたときに、実行すべき処理(所定のソース機器が提供するデータをシンク機器が出力する等の処理)が予め定められている場合が考えられる。このような場合には、携帯電話機1をTV201の入力ポートに接続してすぐに、携帯電話機1による他の機器の制御は行われないので、接続直後に物理アドレスを取得する必要はない。
【0090】
〔物理アドレス取得後の処理〕
自機の物理アドレスを取得した携帯電話機1は、他のソース機器やシンク機器と通信して、該機器を制御することができるようになる。ここでは、物理アドレスを取得した後に携帯電話機1が実行する処理の例を説明する。
【0091】
携帯電話機1は、通信端末であると同時に、アドレス帳、電子メール、個人のスケジュールといった情報を格納することもできる。このため、携帯電話機1は、これらの情報に基づく処理を物理アドレス取得後に自動的に行ってもよい。
【0092】
例えば、録画したいTV番組や、視聴したいTV番組を携帯電話機1に登録しておいてもよい。そして、携帯電話機1は、物理アドレス取得後に、当該TV番組を録画または出力可能な機器を検索し、検出した機器に当該TV番組を録画または出力させてもよい。
【0093】
また、時刻に応じて処理を変更してもよい。例えば、携帯電話機1は、物理アドレスを取得したときに、予め定めた時刻より早い時刻であればTVの電源をONにする制御を行い、遅い時刻であればONにする制御を行わないようにしてもよい。この他、携帯電話機1に登録したスケジュール等に応じて処理を変更するようにしてもよい。
【0094】
さらに、携帯電話機1がセンサを備えている場合には、センサの検出結果に応じた処理を行うようにしてもよい。例えば、携帯電話機1が照度センサを備えている場合には、照度が予め定めた閾値よりも高い場合にはTVの電源をONにする制御を行い、低い場合にはONにする制御を行わないようにしてもよい。無論、センサは、携帯電話機1の周囲の状況を示すデータを取得可能なものであればよく、照度センサに限られず、加速度センサ等を適用することもできる。これにより、携帯電話機1の周囲の状況に応じた制御が可能になる。
【0095】
また、携帯電話機1のような携帯型端末は電池で駆動するため、携帯電話機1のユーザには、自宅に居るときには携帯電話機1を充電器に接続している者も多いと考えられる。そこで、充電器にHDMI端子を設けて、携帯電話機1の充電時に携帯電話機1がHDMI接続されるようにしてもよい。これにより、携帯電話機1を充電しながらソース機器として動作させることができる。
【0096】
そして、携帯電話機1のような携帯型端末は、持ち運びが自在であるため、様々なシンク機器に接続することができる。このため、携帯電話機1は、接続されたシンク機器毎に予め定めた処理を行うことが好ましい。
【0097】
例えば、携帯電話機1は、接続されているTVがリビングのTVである場合には、その電源をONにする制御を行い、接続されているTVが寝室のTVである場合には、その電源をONにする制御を行わないようにしてもよい。
【0098】
〔変形例〕
上述の実施形態では、携帯電話機1に本発明を適用した例を示したが、本発明は、携帯電話機に限られず、任意のソース機器に適用することができる。例えば、HDMIの接続端子を有するデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistance)、スマートフォン、ゲーム機等に適用することもできる。
【0099】
また、上述の実施形態では、シンク機器がTVである例を示したが、携帯電話機1が接続するシンク機器は、HDMIの接続端子とEDIDの格納部とを備え、携帯電話機1の制御に従って接続端子の切り替えを行うものであればよく、TVに限られない。例えば、テレビ放送の受信機能を備えていない表示装置や、スピーカ等がシンク機器であってもよい。さらに、携帯電話機1の接続先は、HDMIの出力端子と入力端子の両方を備えるリピータ機器であってもよい。
【0100】
そして、上述の実施形態では、論理アドレスを宛先とするポーリングによって携帯電話機1の物理アドレス候補を絞り込んだ後、物理アドレスの特定を行う例を示したが、絞り込みを行わずに物理アドレスの特定を行うことも可能である。この場合には、携帯電話機1の物理アドレスとなり得る物理アドレスの中から選択した物理アドレスを宛先としてActiveSourceメッセージを送信する処理を、携帯電話機1のHPD信号がHighレベルになるまで繰り返すことになる。
【0101】
ただし、物理アドレスの絞り込みを行わない場合には、他の機器が使用中の物理アドレスを宛先としてActiveSourceメッセージを送信してしまう可能性があり、これにより当該他の機器が誤動作することも考えられる。このため、ポーリングによる絞り込みは行うことが好ましい。
【0102】
また、上述の実施形態では、ActiveSourceメッセージの送信によって入力ポートの切り替えを行う例を示したが、携帯電話機1が入力ポートの切り替えを行う制御信号は、ActiveSourceメッセージに限られない。GivePhysicalAddressメッセージ等の他のメッセージも同様であり、同様の効果が得られる制御信号であれば、上記実施形態で例示したメッセージに限られず、任意の制御信号を適用することが可能である。
【0103】
さらに、上述の実施形態では、携帯電話機1が、直接接続しているソース機器から物理アドレスを取得する例を示したが、リピータ機器等を介して間接的に接続している場合であっても物理アドレスを取得することが可能である。この場合には、携帯電話機1は、図6と同様の処理を行ってリピータ機器から物理アドレスを取得する。つまり、この場合には、リピータ機器は、予めシンク機器からEDIDを取得して格納し、携帯電話機1の制御に従って接続端子の切り替えを行う。
【0104】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
最後に、携帯電話機1の各ブロック、特に制御部7の接続検出部11、機器検出部12、及びアドレス取得部13は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0106】
すなわち、携帯電話機1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯電話機1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記携帯電話機1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0107】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0108】
また、携帯電話機1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、通信ネットワークに接続する機器が、自機の物理アドレスを確実に取得することができる。したがって、本発明は、通信ネットワークに接続して使用する各種電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 携帯電話機(電子機器)
12 機器検出部(使用中アドレス特定手段)
13 アドレス取得部(切替手段、アドレス特定手段)
201 TV(相手機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器であって、
接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、
上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして自機の物理アドレスを特定するアドレス特定手段とを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器であって、
接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替手段と、
上記切替手段が接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを自機の物理アドレスとして特定するアドレス特定手段とを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
上記相手機器の接続端子に接続している自機以外の機器の物理アドレスを特定する使用中アドレス特定手段を備え、
上記切替手段は、上記使用中アドレス特定手段が特定した物理アドレス以外の物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器の制御方法であって、
接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号を送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、
上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、該アドレス記憶部にアクセスして自機の物理アドレスを特定するアドレス特定ステップとを含むことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項5】
複数の接続端子と、各接続端子に接続する機器に割り当てられた物理アドレスを接続端子毎に格納するアドレス記憶部とを備え、上記複数の接続端子の何れかから上記アドレス記憶部へのアクセスを可能にする相手機器と、複数の上記接続端子の1つを介して接続し、自機に割り当てられた物理アドレスを用いて上記相手機器と通信する電子機器の制御方法であって、
接続された上記接続端子が、上記アドレス記憶部にアクセスできない接続端子であった場合に、上記相手機器に制御信号及び物理アドレスを送信して、上記アドレス記憶部にアクセス可能な接続端子を送信した物理アドレスに対応する接続端子に切り替えさせる処理を、自機から上記アドレス記憶部にアクセス可能となるまで繰り返す切替ステップと、
上記切替ステップで接続端子を切り替えさせたことによって、上記アドレス記憶部にアクセスが可能となったときに、上記切替手段が送信した物理アドレスを自機の物理アドレスとして特定するアドレス特定ステップとを含むことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項6】
請求項1から3の何れか1項に記載の電子機器を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−223451(P2011−223451A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92337(P2010−92337)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】