説明

電子機器の省電力化方法、顧客動線分析システム用送信ユニット及び歩数計

【課題】 使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化を図る方法を提供する。
【解決手段】 加速度センサ11が、電子機器に加わる加速度を検出する工程と、加速度検出回路12が、加速度センサ11の出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPU13への外部割込み信号を波形成形する工程を有し、CPU13が外部割込み信号を入力したときに実行される加速度検出割込み処理は、タイムアウト割込み処理を開始するタイマーの初期値を設定し、タイマーのカウントを開始する。電子機器が使用されない状態となり、タイマーがタイムアウトしたときに実行されるタイムアウト割込み処理で、CPU13等のクロックを停止させるストップモードに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化方法と、この省電力化方法を用いた顧客動線分析システム用送信ユニット及び歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、小型の電子機器において、電池の無用な消耗を防止し、低消費電力化を図る方法として、電子機器に対する操作が一定時間行われないときに自動的に電源を切断するオートパワーオフ回路が利用されている。
【特許文献1】特開平8−322145号公報
【0003】
また、音声キーの入力が一定時間行われないときに、CPUをノーマルモードからスリープモードに移行させる移行手段を具備した携帯型電子機器も利用されている。
【特許文献2】特開2004−294946号公報
【0004】
一方、従来より、例えば量販店等において、店舗内で顧客が移動する動線を把握し、売場のレイアウト設計や商品陳列棚の配置などに役立てる技術が利用されている。
【特許文献3】特開平7−141574号公報
【0005】
例えば、上記特許文献3には、顧客が商品を運ぶ際に使用するカートに設置された無線送受信できるカート端末と、店内の複数の商品棚毎に設けられ、カート端末との間で無線送受信できる棚端末と、代金支払い時点で所定の商品データを入力しレシートに印字し、棚端末から送信されたデータをデータ処理し、カート端末の位置を判定し記録し出力するレジ端末とでなり、棚端末とレジ端末とを接続し、複数の棚端末からのカート端末の送信信号を棚端末が受信し、該受信状況に応じて棚端末が出力するデータに基づき所定時間毎に、カート端末の位置を判定し同位置データを記録し出力することができるPOSシステムが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、上記特許文献3のPOSシステムにおいて使用される無線送受信可能なカート端末は、カートに設置される機器であって、カートを特定する識別番号を一定の送信レベルで無指向的に自動的に送信するものであるため、顧客が意識して機器の操作を行うことはないものである。
【0007】
そのため、上記のようなPOSシステムのカート端末(本発明では、「顧客動線分析システム用送信ユニット」という。)において省電力化を図ろうとしても、動作のきっかけとなる機器の操作が行われないため、前述したオートパワーオフやスリープモードの機能は適用困難という問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化を図る方法と、この省電力化方法を用いた顧客動線分析システム用送信ユニット及び歩数計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点を解決するため、本発明の電子機器の省電力化方法は、
使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化方法であって、
加速度センサが、前記電子機器に加わる加速度を検出する工程と、
加速度検出回路が、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPUへの外部割込み信号を波形成形する工程と、
前記CPUが、前記外部割込み信号を入力したときに、加速度検出割込み処理を開始する工程とを有し、
前記加速度検出割込み処理は、タイムアウト割込み処理を開始するタイマーの初期値を設定し、前記タイマーのカウントを開始する工程を少なくとも備えるとともに、
前記タイマーがタイムアウトしたときに実行される前記タイムアウト割込み処理は、少なくとも前記CPUのクロックを停止させるストップモード設定工程を備えた点を最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器が移動されている使用状態のときは、加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトする前に新たな加速度検出割込み処理が実行されるため、通常動作が繰り返されるが、電子機器が移動されない未使用状態となったときは、加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトしてタイムアウト割込み処理が実行され、CPUのクロックを停止させることができるので、電子機器の省電力化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の電子機器の省電力化方法は、
使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化方法であって、
加速度センサが、前記電子機器に加わる加速度を検出する工程と、
加速度検出回路が、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPUへの外部割込み信号を波形成形する工程と、
前記CPUが、前記外部割込み信号を入力したときに、加速度検出割込み処理を開始する工程とを有し、
前記加速度検出割込み処理は、タイムアウト割込み処理を開始するタイマーの初期値を設定し、前記タイマーのカウントを開始する工程を少なくとも備えるとともに、
前記タイマーがタイムアウトしたときに実行される前記タイムアウト割込み処理は、少なくとも前記CPUのクロックを停止させるストップモード設定工程を備えたものである。
【0012】
本発明において使用する加速度センサの種類は、特に限定されるものではなく、例えば2軸方向の加速度を平面内の重り部の変位に応じた静電容量値の変化として固定電極を介して検出することができる表面マイクロマシニング型の2軸半導体加速度センサ等を用いることができる。また、シリコン単結晶基板の厚肉部から成る質量部と、それを取り囲むように配された外枠部と、質量部と外枠部とを接続するSi単結晶基板の薄肉部よりなる2対の互いに直交する梁状の可撓部とこの可撓部上の2つの直交する方向(XとY)及びこの可撓部に垂直な方向(Z)に対応するように設けられた各軸複数のピエゾ抵抗体群とから構成され、中央の質量部が加速度に比例した力を受けて変位したときの可撓部の撓みを、可撓部に形成されたピエゾ抵抗体群の抵抗値変化として検出することで3軸方向の加速度を検出することができるピエゾ抵抗型3軸加速度センサを用いても良い。
【0013】
また、本発明の省電力化方法を、カートに取り付けて使用する顧客動線分析システム用送信ユニットに適用する場合であれば、顧客がカートの移動させる方向は概ね決まっているため、1軸加速度センサを用いることもできる。
【0014】
加速度検出回路が、加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定する手段は、特に限定されるものではないが、例えば、加速度センサからの入力信号を増幅し、そのピーク値を保持するピークホールド回路と、前記ピーク値と予め設定した割込み処理開始レベル値とを比較する比較回路とで構成しても良い。
【0015】
割込み処理とは、一般に、プログラムの流れを中断して行う処理で、実行後もとのプログラムに戻る処理を言う。本発明において使用されるCPUは、割込み処理を受け付けるための信号線を有するCPUであり、その外部割込みを受付け次第、割込みハンドラのルーチン内で、所定の処理が実行される。
【0016】
本発明において利用する割込み処理は2つあり、1つは、加速度検出回路が加速度センサからの入力信号が割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときに出力する外部割込み信号を受けて実行される加速度検出割込み処理であり、もう1つは、その加速度検出割込み処理の中で設定されるタイマーがタイムアウトしたときに実行されるタイムアウト割込み処理である。
【0017】
また、本発明の顧客動線分析システム用送信ユニットは、前述した省電力化方法を用いた電子機器であって、
前記顧客動線分析システム用送信ユニットに加わる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPUへの外部割込み信号を波形成形する手段を備えた加速度検出回路と、前記外部割込み信号を入力したときに加速度検出割込み処理を開始することが可能なCPUと、前記CPUに内蔵するかまたは外付けするメモリ回路と、買い物籠またはカートを特定するID番号のデータを送信する赤外線送信回路と、顧客の位置を特定するための超音波を送信する超音波送信回路と、を備え、 前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトしない通常動作時には、前記赤外線送信回路及び前記超音波送信回路から受信ユニットに向けて赤外線及び超音波を送信するとともに、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトして前記タイムアウト割込み処理が実行されたときには、少なくとも前記CPUのクロックを停止させる手段を備えたものである。
【0018】
また、本発明の歩数計は、前述した省電力化方法を用いた電子機器であって、
前記歩数計に加わる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときに、CPUへの外部割込み信号を波形成形し、さらに、歩数計数回路への歩数検出信号を出力する手段を備えた加速度検出回路と、前記外部割込み信号を入力したときに加速度検出割込み処理を開始することが可能なCPUと、前記CPUに内蔵するかまたは外付けするメモリ回路と、前記歩数計数回路で計数する歩数のデータを表示する表示器と、を備え、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトしない通常動作時には、前記歩数計数回路が歩数を計数し、前記表示器に歩数データを表示するとともに、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトして前記タイムアウト割込み処理が実行されたときには、少なくとも前記CPUのクロックを停止させる手段を備えたものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。図1は、本発明の省電力化方法を顧客動線分析システム用送信ユニットに適用した第1実施例のブロック図、図2は、第1実施例の送信ユニットを利用した顧客動線分析システムの説明図、図3は、本発明の省電力化方法の主要な処理の流れを説明する図、図4は、本発明の省電力化方法を歩数計に適用した第2実施例のブロック図、図5は、第2実施例の歩数計の使用状態と未使用状態を説明する図である。
【0020】
図1において、11は、顧客動線分析システム用送信ユニットに加わる加速度を検出する加速度センサを示している。第1実施例では、加速度センサ11として2軸加速度センサを使用している。
【0021】
12は、加速度センサ11の出力信号を入力して増幅し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定する加速度検出回路を示している。加速度検出回路12は、加速度センサ11から入力された信号のピーク値を保持するピークホールド回路と、割込み処理開始レベルとの比較を行う比較回路を備えている。
【0022】
また、加速度検出回路12は、加速度センサ11から入力した信号が割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPU13への外部割込み信号を波形成形する手段を備えている。CPU13は、割込み処理を受け付けるための信号線を複数有しており、そのうちの1つが加速度検出回路12と接続されている。従って、CPU13は、加速度検出回路12から外部割込み信号を入力したときは、加速度検出割込み処理を開始することができる。
【0023】
14は、顧客の位置を特定するために超音波を送信する超音波送信回路を示している。また、15は、買い物籠またはカートを特定するID番号のデータを送信する赤外線送信回路を示している。本発明の顧客動線分析システム用送信ユニットは、スーパーマーケットなどにおいて利用されている買い物籠の側面または底面に取り付けたり、買い物籠を載置するカートの脚部や枠に取り付けて使用することを想定している。
【0024】
16は、CPU13に外付けされているメモリ回路を示している。また、17は、各種初期設定値やプログラムの変更入力のため、あるいは内部の状態を外部に出力するための各種インタフェース回路を示している。
【0025】
次に、図2を用いて、第1実施例の送信ユニットを利用した顧客動線分析システムの構成について説明する。本実施例の送信ユニット21aは、顧客が買い物中に目的の商品を探して店内を移動するとき、あるいは、選んだ商品を乗せて運搬する場合に使用するカート22aの前面に取り付けられている。送信ユニット21aは、前述した超音波送信回路14と赤外線送信回路15を備えており、顧客が買い物をしている通常動作時には、一定レベルの超音波送信と赤外線送信を一定の時間間隔で繰り返し行う。その時間間隔は任意に設定できるが、例えば1秒間隔とすることができる。
【0026】
23は、送信ユニット21aから送信される超音波と赤外線を受信する受信ユニットを示している。受信ユニット23は、店舗の壁や柱、陳列棚などに複数設置されている。送信ユニット21aから送信される超音波は、無指向的に送信され、最も近くにある受信ユニット23から順に受信されるため、各時刻に受信ユニット23に到着した超音波の受信状況を分析すると、カートが店舗内のどの位置に存在するかを把握できる。位置を表現する方法としては、例えば、売り場の横、縦方向にX−Y座標軸を対応させ、各X、Y座標でカートの位置を表現することができる。なお、送信ユニット21aから送信される赤外線には、カートを特定するID番号の情報が含まれているので、受信ユニット23は、どのカートから送信されているデータであるかを区別することができる。また、赤外線は光速で伝播するため、送信ユニット21aから発信された時間と受信ユニット23が受信した時間は、ほぼ同じ時間と見なせるため、コンピュータ端末25は、受信ユニット23が受信した時間を参照することにより、送信ユニット21aを取付けたカート22aが、いつ、どの場所に居たのかを分析することができる。
【0027】
受信センサ23はハブ24と有線LANまたは無線LANで接続され、ハブ24はコンピュータ端末25とデータを送受信することができる。受信センサ23が受信したデータは、ハブ24を介してコンピュータ装置25に集められ、所定時間毎にカートの位置をプロットし、顧客の店舗内における動線を把握する。
【0028】
このようにして、顧客動線分析システムでは、顧客が商品を求めるため店内を歩く道筋のデータを時間毎のデータとして収集することができるので、スーパーマーケット等の業界において、商品を効率良く販売する最適な商品レイアウトを決定するために必要な、顧客の店内移動の道筋を把握するデータが得られる。
【0029】
次に、図3を用いて、本発明の省電力化方法の主要な処理の流れを説明する。第1実施例の送信ユニットの電源が投入されると、メイン処理31が実行され、メモリ回路16等のテーブル等をクリアする初期化処理31aを経て、通常動作繰り返し処理31bが実行される。
【0030】
第1実施例において、通常動作繰り返し処理31bとは、後述する加速度検出割込み処理32のタイマーがタイムアウトしない間、超音波送信回路14及び赤外線送信回路15から店舗の壁や陳列棚などに取付けられた受信ユニット23に向けて超音波及び赤外線を送信する動作を繰り返し実行することである。
【0031】
図2のカート22aのように、顧客が買い物中で、カート22aを移動している状態のときは、カート22は間欠的に停止したり移動したりするため、移動に伴い、加速度センサ11から加速度検出回路12に信号が出力される。加速度検出回路12は、この入力信号を増幅し、ピークホールド回路でピーク値を保持し、比較回路で割込み処理開始レベルとの比較を行う。そして、比較の結果、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときは、加速度検出回路12は、CPU13への外部割込み信号を波形成形する。
【0032】
CPU13は、加速度検出回路12から外部割込み信号を入力すると、加速度検出割込み処理32を実行する。加速度検出割込み処理では、図3に示すように、タイムアウト割込み処理33を開始するタイマーの初期値を設定する工程32aと、タイマーのカウントを開始する工程32bを実行する。タイマーは、例えば15分あるいは30分でも良く、任意の値に設定することができる。
【0033】
なお、加速度検出割込み32が開始されると、リターン32dとなるまでの間は、別の加速度検出割込みを禁止するため、加速度割込みフラグをONとしているが、加速度割込みフラグクリア工程32cは、リターン32dをする直前に、そのフラグをOFFとする工程である。
【0034】
以上の工程を経てリターン32dが行われると、加速度検出割込み処理32は終了し、中断していたメイン処理が再び実行される。顧客が、買い物中で、図2の21aに示すように、送信ユニットが取り付けられたカートを移動させている状態のときは、加速度検出割込み処理32で設定したタイマーがタイムアウトする前に新たな加速度検出割込み処理32が実行されるため、その都度、リターン32dが行われ、通常動作繰り返し処理31bが繰り返し実行される。そのため、タイマーがタイムアウトすることはなく、タイムアウト割込み処理33が実行されることはない。
【0035】
すなわち、カートが移動されているときは、加速度検出回路12は任意の頻度でCPU13へ外部割込み信号を出力するため、CPU13は、タイマーがタイムアウトするまでに加速度検出回路12から次の外部割込み信号が入力される場合は、加速度検出割込み処理32から復帰して、通常動作繰り返し処理31bを実行する。
【0036】
一方、顧客が買い物を終え、図2の22bに示すようにカートを所定のカート置き場に戻したときは、カート22bが移動されず、送信ユニット21bの加速度センサ11が加速度を検出することがなくなるため、加速度検出回路12からCPU13への外部割込み信号も出力されなくなり、加速度検出割込み処理32のルーチン内で設定されたタイマーがタイムアウトしてタイムアウト割込み処理33が実行される。
【0037】
タイムアウト割込み処理33は、CPU13、超音波送信回路14、赤外線回路15等の機器をストップモードに設定する工程33aと、ストップコマンドを発行する工程33bを実行する。ストップモードに入ると、加速度センサ11や加速度検出回路12への電源は供給したままであるが、CPU13のクロックや周辺機能クロックは停止するため、消費電力は極めて小さいものとなる。なお、図示していないが、タイムアウト割込み処理33のルーチン内でストップモードへの設定を行った後、外部割込み信号が入力されて復帰するときのために、ストップモードからの復帰であることが判別できるフラグが設定される。
【0038】
ストップモードからの復帰は、例えば、図2において、新たな顧客が来店し、カート置き場からカートを持ち出して移動させると、加速度センサ11が加速度を検出し、加速度検出回路12からCPU13へ外部割込み信号が出力さる。このとき、前述したストップモードからの復帰であることを判別するためのフラグがONになっていれば、復帰時のポインターからプログラムを実行し、ストップモードから復帰する。ストップモードから復帰すると、CPUクロックや周辺機能クロックも復帰する。こうして再び動き出すとメイン処理31が実行され、通常動作繰り返し処理31bが実行されることになる。
【0039】
このようにして、第1実施例の顧客動線分析システム用送信ユニットでは、未使用状態となったときは、CPUクロック等を停止するストップモードに入ることができるため、省電力化を図ることが可能となり、搭載する電池の長寿命化を実現できるなどその効果は極めて大きい。
【0040】
なお、第1実施例の送信ユニットでは、顧客がカートを移動させるときの加速度を把握するので、その加速度の大小から顧客の興味を分析することもできる。すなわち、第1実施例において、加速度検出回路12が割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときの加速度の信号を入力する加速度計数回路を別途設け、加速度のデータを受信ユニット23を介してコンピュータ装置25に送り、コンピュータ装置25において、顧客の速度と加速度の変化の双方を把握し、1)顧客が相対的に速い速度で移動し、停止も減速もせずに通過する状況、2)顧客が相対的に遅い速度で移動し、停止または減速を行いながら通過する状況、3)顧客が相対的に遅い速度で移動し、停止する回数と時間が非常に長い状況、の何れであるかを分析するように構成すれば、顧客の商品に対する興味を推測することもできる。
【0041】
上記の例では、例えば、1)顧客が相対的に速い速度で移動し、停止も減速もせずに通過する状況は、顧客がその売場に興味を持っていないと推測できる。また、2)顧客が相対的に遅い速度で移動し、停止または減速を行いながら通過する状況は、顧客がその売場に興味を持っていると推測できる。また、3)顧客が相対的に遅い速度で移動し、停止する回数と時間が非常に長い状況は、目的の商品が見付からない等の何らかの理由で顧客が迷っている状況が推測される。
【0042】
図4は、本発明の携帯機器の省電力化方法を歩数計に適用した第2実施例のブロック図である。41は、歩数計に加わる加速度を検出する3軸加速度センサを、42は、加速度センサ41の出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときに、CPU44への外部割込み信号を波形成形し、さらに、歩数計数回路43への歩数検出信号を出力する手段を備えた加速度検出回路を示している。
【0043】
CPU44は、加速度検出回路42からの外部割込み信号を入力したときは、加速度検出割込み処理を開始することが可能なCPUである。歩数計数回路43とCPU44は、表示器45、キー入力器46、メモリ回路47、各種インターフェース回路48と接続されている。
【0044】
第2実施例の歩数計の電源をONにすると、歩数計数回路43、表示器45、メモリ回路47の一部が初期化され、新たな計測が可能となる。メモリ回路47については、一部の初期化としているのは、前回以前の所定計測回数分のデータは初期化せずにそのまま残し、累積歩数の計算などを可能とするためである。
【0045】
キー入力器46は、歩数表示モード、歩行距離モード、消費カロリー表示モード等の各種機能の切り替え設定や、過去のデータの表示、過去のデータの初期化処理などを実行する操作を行うときにキー入力を可能とするためのものである。
【0046】
図5(a)に示すように、第2実施例の歩数計51をベルト等に装着して人が歩行している状態のときは、加速度センサ41が加速度を検出し、その信号が加速度検出回路42に出力される。加速度検出回路42は、加速度センサからの出力信号が割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときに、CPU44への外部割込み信号を波形成形し、さらに、歩数計数回路43への歩数検出信号を出力する。
【0047】
歩数計数回路43は、加速度検出回路42から出力される信号を入力して、歩数をカウントする。加速度センサ41から出力される信号の内、どのレベルのものを1歩として計数するのが適切であるかは、利用者によって歩き方に個人差があるため、個々にレベルを設定する必要がある。そこで、第2実施例の歩数計数回路43は、1歩として計数する加速度のレベルを調節して設定可能にしている。このようにすれば、歩数計数の精度を上げることができる。
【0048】
また、第2実施例の歩数計は、加速度センサ41で検出された加速度の大きさを歩数計数回路43で計数し、歩行により消費される運動量の大小も推定可能としている。
【0049】
第2実施例の省電力化方法は、図3に示す第1実施例と同様である。すなわち、歩数計が使用中の場合は、加速度検出回路42からの出力信号があるため、加速度検出割込み処理32がその都度実行され、加速度検出割込み処理32のタイマーがタイムアウトしないので、リターン32dが行われ、通常動作繰り返し処理31bが繰り返し実行される。第2実施例において、通常動作とは、主として、歩数計数回路43における歩数のカウントを繰り返すことである。また、通常動作時には、表示器45に歩数データを表示する。
【0050】
一方、利用者が歩行を停止し、図5(b)に示すように歩数計51を取り外して机の上などに放置すると、加速度検出割込み処理32において設定されたタイマが、設定した時間を経過してタイムアウトし、タイムアウト割込み処理33が開始される。タイムアウト割込み処理33では、前述のようにストップモードへの設定、ストップコマンドの発行、ストップモードからの復帰であることを判別するためのフラグをONにする処理が実行される。これにより、CPUクロックや周辺機能クロックがすべて停止するため、通常動作をすることはできなくなるが、電力消費は極めて小さくなる。
【0051】
そして、図5(a)に示すように、再び歩数計51が使用されると、CPU44に外部割込み信号が入力される。これにより復帰時のポインターからプログラムが動き出しストップモードから復帰する。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、例えば、顧客動線分析システム用送信ユニットや歩数計のような、使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化が可能となり、搭載する電池の長寿命化を実現できるなどその効果は極めて大きい。
【0053】
本発明は上記の実施例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の電子機器の省電力化方法は、電子機器の種類を問わず、使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器であれば適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の省電力化方法を顧客動線分析システム用送信ユニットに適用した第1実施例のブロック図である。
【図2】第1実施例の顧客動線分析システム用送信ユニットを利用した顧客動線分析システムの説明図である。
【図3】本発明の省電力化方法の主要な処理の流れを説明する図である。
【図4】本発明の省電力化方法を歩数計に適用した第2実施例のブロック図である。
【図5】第2実施例の歩数計の使用状態と未使用状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
11,41 加速度センサ
12,42 加速度検出回路
13,44 CPU
14 赤外線送信回路
15 超音波送信回路
16,47 メモリ回路
21a,21b 送信ユニット
23 受信ユニット
32 加速度検出割込み処理
33 タイムアウト割込み処理
43 歩数計数回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用状態では移動を伴い、未使用状態では移動を伴わない電子機器の省電力化方法であって、
加速度センサが、前記電子機器に加わる加速度を検出する工程と、
加速度検出回路が、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPUへの外部割込み信号を波形成形する工程と、
前記CPUが、前記外部割込み信号を入力したときに、加速度検出割込み処理を開始する工程とを有し、
前記加速度検出割込み処理は、タイムアウト割込み処理を開始するタイマーの初期値を設定し、前記タイマーのカウントを開始する工程を少なくとも備えるとともに、
前記タイマーがタイムアウトしたときに実行される前記タイムアウト割込み処理は、少なくとも前記CPUのクロックを停止させるストップモード設定工程を備えたことを特徴とする電子機器の省電力化方法。
【請求項2】
請求項1記載の省電力化方法を用いた顧客動線分析システム用送信ユニットであって、 前記顧客動線分析システム用送信ユニットに加わる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときにCPUへの外部割込み信号を波形成形する手段を備えた加速度検出回路と、前記外部割込み信号を入力したときに加速度検出割込み処理を開始することが可能なCPUと、前記CPUに内蔵するかまたは外付けするメモリ回路と、買い物籠またはカートを特定するID番号のデータを送信する赤外線送信回路と、顧客の位置を特定するための超音波を送信する超音波送信回路と、を備え、 前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトしない通常動作時には、前記赤外線送信回路及び前記超音波送信回路から受信ユニットに向けて赤外線及び超音波を送信するとともに、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトして前記タイムアウト割込み処理が実行されたときは、少なくとも前記CPUのクロックを停止させる手段を備えたこと、を特徴とする顧客動線分析システム用送信ユニット。
【請求項3】
請求項1記載の省電力化方法を用いた歩数計であって、
前記歩数計に加わる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの出力信号を入力し、割込み処理開始レベルを超えているかを判定し、割込み処理開始レベルを超えていることを検出したときに、CPUへの外部割込み信号を波形成形し、さらに、歩数計数回路への歩数検出信号を出力する手段を備えた加速度検出回路と、前記外部割込み信号を入力したときに加速度検出割込み処理を開始することが可能なCPUと、前記CPUに内蔵するかまたは外付けするメモリ回路と、前記歩数計数回路で計数する歩数のデータを表示する表示器と、を備え、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトしない通常動作時には、前記歩数計数回路が歩数を計数し、前記表示器に歩数データを表示するとともに、
前記加速度検出割込み処理のタイマーがタイムアウトして前記タイムアウト割込み処理が実行されたときは、少なくとも前記CPUのクロックを停止させる手段を備えたこと、を特徴とする歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−304816(P2007−304816A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131876(P2006−131876)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】