電子機器及びその組立方法
【課題】簡単に電子機器を組み立てるようにするとともに、更に、電子機器のヒンジ構造における防水性を高かくする。
【解決手段】筐体2と筐体3は二軸ヒンジ構造4によって連結している。二軸ヒンジ構造4の内部には配線体100が設けられ、この配線体100は筐体2の内部から二軸ヒンジ構造4の内側を通って筐体3にまで配索されている。配線体100は、防水チューブ101と、防水チューブ101の一端に取り付けられたシール102と、シール102に巻装されたオーリング103と、防水チューブ101の他端に取り付けられたシール105と、シール105に巻装されたオーリング106と、防水チューブ101に通された細線同軸ケーブル107と、を備える。シール102及びオーリング103が筐体3の貫通孔34aに嵌め込まれ、シール105及びオーリング106が筐体2の貫通孔24に嵌め込まれている。
【解決手段】筐体2と筐体3は二軸ヒンジ構造4によって連結している。二軸ヒンジ構造4の内部には配線体100が設けられ、この配線体100は筐体2の内部から二軸ヒンジ構造4の内側を通って筐体3にまで配索されている。配線体100は、防水チューブ101と、防水チューブ101の一端に取り付けられたシール102と、シール102に巻装されたオーリング103と、防水チューブ101の他端に取り付けられたシール105と、シール105に巻装されたオーリング106と、防水チューブ101に通された細線同軸ケーブル107と、を備える。シール102及びオーリング103が筐体3の貫通孔34aに嵌め込まれ、シール105及びオーリング106が筐体2の貫通孔24に嵌め込まれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその組立方法に関し、特に2つの筐体をヒンジ構造で連結してなる電子機器及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機といった携帯型電子機器には、キー操作部が設けられた第1の筐体と、表示部が設けられた第2の筐体とをヒンジ構造で連結したものがあり、ヒンジ構造としては一軸ヒンジ構造や二軸ヒンジ構造のものがある。このような携帯型電子機器においては、電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に通し、電気信号用ケーブルの一端部を第1の筐体内に導き、他端部を第2の筐体内に導き、電気信号用ケーブルの各端部をそれぞれの筐体内の回路に接続している。
【0003】
ところで、ヒンジ構造内に水が浸入すると、その水が電気信号用ケーブルを伝って筐体内に浸入しやすく、防水性を確保することができないという問題がある。そこで、防水性を高めた携帯型電子機器が開発されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1では、フレキシブルなシート状の電気信号用ケーブル(10)に防水キャップ(14)をインサート成型することでその防水キャップを電気信号用ケーブルの一部の周囲に設け、電気信号用ケーブルを筐体(2)の挿入孔(2c)に通すとともに防水キャップをその挿入孔に嵌め込んでいる。防水キャップによって挿入孔の壁面と電気信号用ケーブルとの間の隙間が封止される。しかしながら、このような構成は、樹脂製の防水キャップをインサート成型により電気信号用ケーブルに一体的に取り付けるので、FPC(フレキシブル配線基板)以外の電気信号用ケーブルには適用することができない。
【0005】
特許文献2では、同軸型の電気信号用ケーブル(11)を防水チューブ(12)に通し、電気信号用ケーブルの一端側を一方の筐体(1)の取付孔(14)に挿通させ、電気信号用ケーブルの他端側を他方の筐体(2)の取付孔(14)に挿通させ、更に防水チューブの両端を取付孔に嵌め込んでいる。防水チューブの具体的な取付構造は、取付孔に挿入された防水チューブの端部開口に取付金具(13)の筒部(13a)を圧入したものである。取付金具を筐体の内側から取り付けるため、組み立て作業が困難である。
【特許文献1】特開2004−214927号公報
【特許文献2】特開2005−325849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単に電子機器を組み立てるようにするとともに、更に、電子機器のヒンジ構造における防水性を高かくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電子機器において、
2つの筐体と、
前記2つの筐体を連結したヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の内部に配索されたチューブと、
前記チューブに通され、前記チューブの端部から延出し、一方の筐体の内部から他方の筐体の内部に配索された電気信号用ケーブルと、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシールと、
前記シールに巻装された弾性材と、を備え、
前記筐体の内部に通じる貫通孔が前記筐体の前記ヒンジ構造側に形成され、
前記電気信号用ケーブルが前記貫通孔に通され、前記シール及び前記弾性材が前記貫通孔に嵌め込まれていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子機器において、
前記シールと前記チューブとの継手部分に巻装された熱収縮性チューブを更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器において、
前記ヒンジ構造が、互いに直交する2つの軸線周りに回動可能に前記2つの筐体を連結する二軸ヒンジ構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、電子機器の組立方法において、
チューブ及び前記チューブに通されるとともに前記チューブの端部から延出した電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に配索し、
筐体の内部に通じる貫通孔に前記電気信号用ケーブルを通し、前記電気信号用ケーブルを前記筐体から別の筐体まで配索し、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシール及び前記シールに巻装された弾性材を前記貫通孔に嵌め込み、
前記ヒンジ構造を前記筐体に連結するとともに前記ヒンジ構造を前記別の筐体に連結することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の電子機器の組立方法において、
前記シールと前記チューブとの継手部分を熱収縮性チューブに嵌入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気信号用ケーブルに巻装されたシールがチューブの端部に取り付けられ、そのシールに弾性材が巻かれ、弾性材とシールが筐体の貫通孔に嵌め込まれているから、貫通孔の壁面と電気信号用ケーブルとの間の隙間がシール及び弾性材により塞がれる。そのため、ヒンジ構造内部に水が浸入しても、水が貫通孔を通じて筐体に浸入しない。特に、弾性材によってその浸水が防止される。
また、ヒンジ構造によって2つの筐体を回動させて、電気信号用ケーブルが捻れても、弾性材が貫通孔の壁面を摺動しない。そのため、防水性能を維持することができる。
また、電気信号用ケーブルにシール及び弾性材が巻装されているので、電気信号用ケーブルを貫通孔に通して、シール及び弾性材を貫通孔に嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。そのような防水性を確保するための電子機器の組み立てが簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は携帯電話機1の各状態を示した図面であり、図2は携帯電話機1の分解斜視図であり、図3は図2とは異なる角度から見た分解斜視図である。この携帯電話機1は携帯型の電子機器である。
【0015】
図1〜図3に示すように、この携帯電話機1は、第1の筐体2と、第2の筐体3と、第1の筐体2と第2の筐体3を連結した二軸ヒンジ構造4と、第1の筐体2の内部から二軸ヒンジ構造4の内部を通って第2の筐体3にかけて配索された配線体100と、を備える。第1の筐体2の前面にはテンキーといったキー操作部21が設けられ、第2の筐体3の前面には透明な表示窓31が設けられている。
【0016】
二軸ヒンジ構造4は、第1の筐体2の前面に直交した軸線41と、第2の筐体3の前面と背面との間において第1の筐体2の幅方向に延びた軸線42とを有する。軸線41と軸線42は互いに直交している。第2の筐体3は二軸ヒンジ構造4によって軸線41を中心にして回動可能に設けられ、更に、第2の筐体3は二軸ヒンジ構造4によって軸線42を中心にして回動可能に設けられている。第1の筐体2に対する第2の筐体3の開閉は、軸線42を中心に第2の筐体3を回動させて行う。第2の筐体3の表裏反転は、軸線41を中心に第2の筐体3を回動させて行う。
【0017】
ここで、図1(a)は、第2の筐体3の前面を第1の筐体2の前面に対向させてこれらを閉じた状態を示し、図1(c)は、第2の筐体3の前面と第1の筐体2の前面を前方に向けてこれらを開いた状態を示し、図1(b)は、図1(a)の状態から図1(c)の状態へ開く場合又はこの逆に閉じる場合において図1(a)の状態と図1(c)の状態との間の状態を示す。図1(d)は、第2の筐体3の前面を第1の筐体2の前面に対向させて第2の筐体3を軸線41の周りに回動させている状態を示し、図1(e)は、第2の筐体3を軸線42の周りに回動させている状態を示し、図1(f)は、第2の筐体3の背面を第1の筐体2の前面に対向させてこれらを閉じた状態を示す。
【0018】
図2及び図3に示すように、第2の筐体3は前面ケース32と、背面ケース33とを備える。図3に示すように、図3に示すように、前面ケース32の背面側には隔壁34が凸設されている。隔壁34が前面ケース32の縁に沿って枠状に設けられ、隔壁34の内側に収納凹部35が形成され、収納凹部35が隔壁34によって囲繞されている。隔壁34の頂面には溝36が凹設され、この溝36が隔壁34と同様に全周に亘って設けられている。なお、溝36には、リング状のゴムパッキンが嵌め込まれている。
【0019】
図2に示すように、背面ケース33の前面側には収納凹部37が凹設されている。収納凹部37の縁が隔壁34の形状に一致している。前面ケース32と背面ケース33がはり合わせられ、隔壁34が収納凹部37の縁に沿うようにして収納凹部37に嵌め込まれ、前面ケース32と背面ケース33がネジ等により接合されている。これにより第2の筐体3が設けられ、収納凹部37及び収納凹部35が第2の筐体3の中空となり、この中空にディスプレイパネルユニットが収容され、そのディスプレイパネルユニットの表示面が表示窓31に対向している。
【0020】
二軸ヒンジ構造4について説明する。図2及び図3に示すように、二軸ヒンジ構造4は、軸線41周りの回動を実現する転回ヒンジ43と、軸線42周りの回動を実現するヒンジユニット44と、転回ヒンジ43を上から覆うヒンジカバー45と、転回ヒンジ43の右側を覆って第2の筐体3に組み付けられた左カバー46と、ヒンジユニット44を介して転回ヒンジ43の左側を覆って第2の筐体3に組み付けられた右カバー47と、を備える。
【0021】
転回ヒンジ43の第1の回動部材57が第1の筐体2に固定され、第1の回動部材57に枢軸51が設けられ、転回ヒンジ43の枢軸51によって第2の回動部材80が第1の回動部材57に対して軸線41周りに回動可能に設けられ、第2の回動部材80が左右のカバー46,47に対して軸線42周りに回動可能に設けられ、左右のカバー46,47が第2の筐体3に組み付けられている。これにより、第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線41周り及び軸線42周りに回動可能となっている。
【0022】
二軸ヒンジ構造4のうちまず転回ヒンジ43について説明する。
図4〜図6は転回ヒンジ43を示した図面である。ここで、図4は転回ヒンジ43の分解斜視図であり、図5は図4とは異なる角度から見た分解斜視図であり、図6は軸線41及び軸線42によって規定された面で転回ヒンジ43を破断して示した斜視断面図である。
【0023】
図4〜図6に示すように、枢軸51の基端にはフランジ52が一体形成され、枢軸51の先端にもフランジ55が一体形成されている。フランジ55は転回ヒンジ43を組み立てた後にカシメ加工されたものである。そのため、転回ヒンジ43を組み立てる前では枢軸51の先端のフランジ55が形成されていない。この枢軸51には、通し孔56がその基端から先端まで軸線41に沿って貫通している。また、枢軸51の先端寄りの部分54が円筒状に形成されている。枢軸51の基端寄りの部分53は円筒ではなく、軸線41に垂直な断面において軸線41から周縁上の一点までの距離と軸線41から周縁上の他の一点までの距離とが異なっている。以下、枢軸51の基端寄りの部分53を角形管部53といい、先端寄りの部分を円筒部54という。
【0024】
第1の回動部材57は板状に設けられ、第1の回動部材57の一方の面に凹部59が凹設され、第1の回動部材57の他方の面にボス58が凸設され、挿通孔60がボス58の頂面から凹部59の底まで貫通している。枢軸51が挿通孔60に挿入され、枢軸51がボス58の頂面から突出している。枢軸51が挿通孔60に挿入された状態においては、フランジ52が凹部59に嵌め込まれ、角形管部53が挿通孔60に嵌合している。角形管部53が挿通孔60に嵌合しているので、第1の回動部材57が枢軸51に対して軸線41周りの回動を止められている。なお、第1の回動部材57と枢軸51が別体であるが、これらが一体形成されていても良い。
【0025】
ボス58は二段状に設けられ、ボス58の下部はボス58の上部よりも径が大きい。第1の回動部材57には、規制板62が重ねられている。この規制板62には、開口63が貫通している。この開口63の縁は、第1の回動部材57のボス58の下部の径よりもやや大きい小径部64と、小径部64と同心であって小径部64の径よりも大きな径となる大径部65とからなり、小径部64と大径部65との間に段差66,67が形成されている。そして、第1の回動部材57のボス58が開口63に挿入されて、ボス58の下部の周面と小径部64との間には隙間が形成され、ボス58の下部の周面と大径部65との間には隙間が形成されている。そして、この規制板62は、第1の回動部材57とともに第1の筐体2に固定されている。なお、第1の回動部材57と規制板62が別体であるが、これらが一体形成されていても良く、この場合、ボス58と大径部65との隙間が円弧状の溝となり、ボス58と小径部64との隙間が円弧状の溝となり、ボス58と大径部65との間の溝の幅がボス58と小径部64との間の溝の幅よりも広い。
【0026】
規制板62にはシート121が重ねられており、このシート121の開口122にボス58が挿入されている。開口122の径はボス58の径よりも大きい。
【0027】
ボス58の上部はオーリング61に挿入され、オーリング61がボス58の上部に巻かれている。オーリング61は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。ボス58の頂面には、リング状の止水プレート68が重ねられている。この止水プレート68には挿通孔69が貫通しており、枢軸51が挿通孔69に挿入され、枢軸51の角形管部53が挿通孔69に嵌合している。角形管部53が挿通孔69に嵌合しているので、止水プレート68が枢軸51に対して軸線41周りの回動を止められている。止水プレート68のボス58側の面であってその縁部には、リング状の突条70が設けられ、突条70によってボス58の上部が囲繞され、突条70とボス58の下部との間にオーリング61が挟まれている。
【0028】
止水プレート68には、ディスクスプリング71が重ねられている。ディスクスプリング71が円環状に設けられ、枢軸51がディスクスプリング71に挿入され、ディスクスプリング71が枢軸51に対して軸線41周りに回動可能となっている。このディスクスプリング71は、軸線41に直交する面に対して傾斜することで軸線41方向への弾性変形をするように設けられている。
【0029】
ディスクスプリング71には、第1のクリックリング72が重ねられている。第1のクリックリング72の穴73に枢軸51が挿入され、この穴73に枢軸51の角形管部53が嵌合している。これにより、第1のクリックリング72は枢軸51に対して回動が止められ、枢軸51と第2のクリックリング72が一体に回動するようになっている。第1のクリックリング72の一方の面(その面はディスクスプリング71とは反対側の面である。)には、2つの凸部74が形成され、2つの凸部74が軸線41に関して180°の対称位置にある。
【0030】
第1のクリックリング72には、第2のクリックリング75が重ねられている。第2のクリックリング75の穴76に枢軸51が挿入され、この穴76が円形であるので、枢軸51が第2のクリックリング75に対して回動可能とされている。第2のクリックリング75の一方の面(その面は第1のクリックリング72側の面である。)には、2つの凹部77が形成され、2つの凹部77が軸線41に関して180°の対称位置にある。第1のクリックリング72と第2のクリックリング75の相対的な回動に伴って、凹部77に凸部74が入り込んだり、凹部77から凸部74が抜けたりする。
【0031】
第2のクリックリング75の他方の面(その面は第1のクリックリング72とは反対側の面である。)には、2つの係合爪75aが凸設されている。また、その面であって穴76の周囲には、リング状の突条78が設けられている。突条78にオーリング79が重なっており、枢軸51の円筒部54がオーリング79に挿入され、オーリング79が円筒部54に巻かれている。オーリング79は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0032】
第2の回動部材80の下面(この下面は第1の回動部材57側の面である。)には、円形状の凹部81が形成され、第2の回動部材80の上面(この上面は第1の回動部材57とは反対側の面である。)にも、円形状の凹部82が形成されている。そして、凹部81の底から反対側の凹部82の底まで貫通孔83が貫通している。
【0033】
ボス58、オーリング61、止水プレート68、ディスクスプリング71、第1のクリックリング72、第2のクリックリング75及びオーリング79が第2の回動部材80の凹部81に収納され、オーリング79が第2のクリックリング75の突条78と凹部81の底との間に挟まれている。枢軸51は第2の回動部材80の貫通孔83に挿入され、枢軸51が第2の回動部材80に対して軸線41周りに回動可能となっている。また、凹部81の底には2つの係合溝が形成され、第2のクリックリング75の係合爪75aが係合溝に係合することによって、第2のクリックリング75は第2の回動部材80に対して回動が止められている。
【0034】
第2の回動部材80の下面であって凹部81の周囲には、リング状の突条87が設けられ、突条87が規制板62の開口63に挿入されて、突条87の周面が小径部64に接している。突条87の径は小径部64の径とほぼ等しく、突条87は小径部64に接した状態で規制板62に対して軸線41周りに回動可能となっている。また、第2の回動部材80の下面であって突条87の外側には、ストッパ86が設けられている。このストッパ86は円弧状に設けられており、突条87と同心となっている。ストッパ86も規制板62の開口63に挿入されてストッパ86の周面が大径部65に接している。ストッパ86の径は大径部65の径とほぼ等しく、ストッパ86は大径部65に接した状態で規制板62に対して軸線41周りに回動可能となっている。第2の回動部材80が枢軸51、第1の回動部材57及び規制板62に対して回動し得る範囲は、ストッパ86が段差66に当接して止められた状態と、ストッパ86が段差67に当接して止められた状態との間であり、具体的には180°である。
【0035】
第2の回動部材80の凹部82にはワッシャー84,85が順に重ねられ、枢軸51がワッシャー84,85に挿入されている。枢軸51のフランジ55がワッシャー85に重なって、フランジ55と凹部82の底との間にワッシャー84,85が挟まれている。このように枢軸51のフランジ52及びフランジ55によって、第1の回動部材57、オーリング61、規制板62、シート121、止水プレート68、ディスクスプリング71、第1のクリックリング72、第二のクリックリング75及びオーリング79からの枢軸51の抜けが防止されている。
【0036】
転回ヒンジ43は以上のように構成されている。
【0037】
次に、転回ヒンジ43と左カバー46の組付構造について説明する。
図4〜図6に示すように、第2の回動部材80の左側面には、筒状部88が凸設され、筒状部88の左端面には、嵌合凹部92が凹設されている。
【0038】
図2、図3、図7及び図8に示すように、左カバー46の右側には軸穴46aが形成されており、この軸穴46aにヒンジユニット44に挿入され、このヒンジユニット44が更に筒状部88の嵌合凹部92に挿入されている。ここで、図7及び図8は軸線41及び軸線42によって規定された面の断面図であり、図8は図2と同様に携帯電話機1が分解された状態で示されている。
【0039】
ヒンジユニット44は、軸穴46aに嵌合して左カバー46に支持された第1の嵌合体44aと、嵌合凹部92に嵌合して第2の回動部材80の筒状部88に支持された第2の嵌合体44bと、を有する。第1の嵌合体44aは第2の嵌合体44bに対して軸線42回りに回動可能とされている。このヒンジユニット44は、第1の嵌合体44aに対する第2の嵌合体44bの回動の際に所定の角度で他の角度よりも大きな抵抗を発生させてクリック感を発生させるものである。なお、軸穴46aの一部に筒状部88が挿入されており、筒状部88の外周面が円柱面とされているので、左カバー46が筒状部88に対して軸線42回りに回動可能となっている。
【0040】
次に、転回ヒンジ43と右カバー47の組付構造について説明する。
図4〜図6に示すように、第2の回動部材80の右側面には、半円筒部89が凸設されている。筒状部88の外周面及び半円筒部89の外周面は軸線42において同心の円柱面とされている。半円筒部89が半円筒状とされており、半円筒部89の中空90が上側で開放している。第2の回動部材80の上面(この上面は第1の回動部材57とは反対側の面である。)には、凹部82及び中空90に連なる溝91が凹設されている。
【0041】
図2、図3、図7及び図8に示すように、右カバー47の左側から上側にかけて収容凹部47aが形成されており、収容凹部47aに半円筒部89が挿入されている。半円筒部89の外周面が円柱面とされているので、右カバー47が半円筒部89に対して軸線42回りに回動可能とされている。
【0042】
次に、転回ヒンジ43とヒンジカバー45の組付構造について説明する。
図2に示すように、ヒンジカバー45は側面視して下側で開口したU字状に設けられており、ヒンジカバー45の内側前面と内側後面のそれぞれには、2つの係合凹部45aが凹設されている。一方、第2の回動部材80の前面と後面のそれぞれには2つの爪80aが凸設されている。そして、ヒンジカバー45が第2の回動部材80の上から第2の回動部材80の前面、上面及び後面を覆って、ヒンジカバー45の係合凹部45aに爪80aが係止している。こにより、ヒンジカバー45が転回ヒンジ43に組み付けられている。また、ヒンジカバー45が転回ヒンジ43に組み付けられると、第2の回動部材80の上面の凹部82及び溝91がヒンジカバー45によって上から覆われる。
【0043】
以上のように、転回ヒンジ43にヒンジカバー45、左カバー46及び右カバー47が組み付けられることによって、二軸ヒンジ構造4が構成されている。
【0044】
次に、二軸ヒンジ構造4と第1の筐体2の組付構造、特に転回ヒンジ43と第1の筐体2の組付構造について説明する。
図2及び図7に示すように、第1の筐体2の前面には取付凹部22が形成されている。取付凹部22には、第1の回動部材57及び規制板62が取付凹部22に嵌め込まれている。図4及び図5に示すように、第1の回動部材57の4つの角部には通し孔57aが貫通しており、規制板62の4つの角部にも通し孔62aが貫通している。また、取付凹部22の底であって4つの通し孔57aに対応する箇所に有底状の凹部が設けられ、凹部にはナットが嵌め込まれ、これらナットは第1の筐体2に固定されている。そして、図2、図3、図7及び図8に示すように、第1の回動部材57及び規制板62が取付凹部22に嵌め込まれた状態で、ネジが通し孔57a及び通し孔62aを通ってナットに螺合している。ネジの締結によって第1の回動部材57が取付凹部22に嵌め込まれた状態で第1の筐体2に接合されている。通し孔62a及び通し孔57aはシート121によって閉塞されている。
【0045】
次に、二軸ヒンジ構造4と第2の筐体3の組付構造、特に左カバー46及び右カバー47と第2の筐体3の組付構造について説明する。
図3、図7、図8及び図9に示すように、前面ケース32の背面側であって左右両側には、突起38,39が形成されている。これら突起38,39は収納凹部35内でなく、隔壁34の外側に設けられている。ここで、図9は図3のX−X線に沿った面の矢視断面図である。
【0046】
また、左カバー46には係合部46cが設けられ、係合部46cに貫通孔46bが形成され、この貫通孔46bに突起38が嵌め込まれている。右カバー47には係合爪47bが設けられ、係合爪47bが突起39に係合している。補強板40が係合部46c、突起38、係合爪47b及び突起39を覆って、前面ケース32と背面ケース33がはり合わせられ、係合部46c、係合爪47b及び補強板40が前面ケース32と背面ケース33との間に挟持されている。背面ケース33には、通し孔33aが突起38に対応して形成され、通し孔33bが突起39に対応して形成されている。突起38,39にはネジ穴が形成され、通し孔33aに挿入されたネジが突起38のネジ穴に螺合し、通し孔33bに挿入されたネジが突起39のネジ穴に螺合している。これらネジの締め付けによって前面ケース32と背面ケース33が固定され、カバー46,47が第2の筐体3に固定されている。
【0047】
次に、配線体100について説明する。
図10〜図12に示すように、配線体100は、防水チューブ101と、防水チューブ101の一端に取り付けられた管状のシール102と、シール102に巻装されたオーリング103と、防水チューブ101の他端に取り付けられた管状のシール105と、シール105に巻装されたオーリング106と、防水チューブ101、シール102及びシール105に挿入され、シール102から外に延出するとともにシール105から外に延出した細線同軸ケーブル107と、細線同軸ケーブル107の一端に取り付けられたコネクタ108と、細線同軸ケーブル107の他端に取り付けられたコネクタ109と、を備える。図10は配線体100の斜視図であり、図11はシール102における配線体100の断面図であり、図12はシール105における配線体の断面図である。
【0048】
防水チューブ101は可撓性を有し、屈曲可能である。防水チューブ101はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなり、具体的にはシリコンチューブ又はシリコンゴムチューブを防水チューブ101として用いる。
【0049】
防水チューブ101に細線同軸ケーブル107が挿入されている。この細線同軸ケーブル107は、複数の同軸型細線を束ねたものであり、電気信号を伝達するケーブルである。同軸型細線とは、内部導体の外周に、順次、絶縁層、外部導体層、保護層を形成してなるものである。
【0050】
シール102が管状に設けられ、細線同軸ケーブル107がシール102に挿入され、シール102が細線同軸ケーブル107に巻装されている。また、シール102の一部が防水チューブ101の端部に嵌め込まれている。シール102はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなる。シール102の中腹外周面には溝が周方向に亘って形成され、その溝にオーリング103が嵌め込まれている。オーリング103は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0051】
更に、オーリング103よりも先の部分にも溝102aが周方向に亘って形成され、これによりシール102の先端部に爪102bが形成されている。シール102が防水チューブ101の一端に合わせられ、シール102と防水チューブ101の継手部分が熱収縮性チューブ110によって被覆されている。熱収縮性チューブ110によってシール102が防水チューブ101の一端に取り付けられ、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール102と細線同軸ケーブル107との密着性や防水チューブ101と細線同軸ケーブル107との密着性が高くなっている。
【0052】
シール105が管状に設けられ、細線同軸ケーブル107がシール105に挿入され、シール105が細線同軸ケーブル107に巻装されている。また、シール105の一部が防水チューブ101の端部に嵌め込まれている。シール105はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなる。シール105の中腹外周面にはフランジ105aが周方向に亘って形成されている。シール105が防水チューブ101の他端に合わせられ、シール105と防水チューブ101の継手部分が熱収縮性チューブ111によって被覆されている。熱収縮性チューブ111によってシール106が防水チューブ101の他端に取り付けられ、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール105と細線同軸ケーブル107との密着性や防水チューブ101と細線同軸ケーブル107との密着性が高くなっている。フランジ105aに関して熱収縮性チューブ111の反対側において、シール105がオーリング106に嵌め込まれている。オーリング106は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0053】
次に、配線体100と二軸ヒンジ構造4の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、配線体100の細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通されている。そして、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が凹部82の底で屈曲され、更に細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一部が溝91及び中空90に嵌められている。そして、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101は溝91、中空90及び収容凹部47aの壁面に沿って折り曲げられ、右カバー47の収容凹部47aから上へ延出している。このように細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が二軸ヒンジ構造4の内部に配索され、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一端側が収容凹部47aから延出し、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の他端側が通し孔56から延出している。
【0054】
次に、配線体100と第1の筐体2の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、第1の筐体2の取付凹部22の底には円形状の凹部23が形成され、凹部23の底に円形状の貫通孔24が形成され、この貫通孔24は第1の筐体2の内側空間まで貫通している。この貫通孔24に細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の他端側が挿入され、更に貫通孔24にシール105が嵌入している。貫通孔24に嵌め込まれたシール105及びオーリング106が貫通孔24の壁面に圧接している。
【0055】
また、シール105のフランジ105aが凹部23に嵌め込まれ、フランジ105aが凹部23の底に当接し、フランジ105aが凹部23の底と枢軸51のフランジ52との間に挟持されている。フランジ105aが凹部23の底に当接することによって、シール105が第1の筐体2の内側に入り込まないようになっている。
【0056】
第1の筐体2の内側空間には回路基板が搭載され、その回路基板にコネクタ109が接続されている。なお、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通され、更に貫通孔24に通された後に、コネクタ109が細線同軸ケーブル107の他端に取り付けられる。
【0057】
このように、細線同軸ケーブル107に巻装されたシール105が防水チューブ101の端部に取り付けられ、シール105にオーリング106が巻かれ、シール105とオーリング106が貫通孔24に嵌め込まれているから、貫通孔24の壁面と細線同軸ケーブル107との間の隙間がシール105及びオーリング106により塞がれる。そのため、二軸ヒンジ構造4の内部に水が浸入しても、水が貫通孔24を通じて第1の筐体2に浸入しない。特に、オーリング106によってその浸水が防止される。
【0058】
次に、配線体100と第2の筐体3の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、隔壁34の下側側面には、貫通孔34aが貫通し、貫通孔34aを介して収納凹部35と隔壁34の下側が通じている。この貫通孔34aに細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一端側が挿入され、更に貫通孔34aにシール102が嵌入している。貫通孔34aに嵌め込まれたシール102及びオーリング103が貫通孔34aの壁面に圧接している。また、シール102の爪102bが収納凹部35内において隔壁34に係止し、これによりシール102が貫通孔34aから外に抜けないようになっている。
【0059】
第2の筐体3の内側においては、コネクタ108がディスプレイパネルユニットに接続されている。なお、コネクタ108はその回路基板にコネクタ109が接続されている。なお、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通され、更に貫通孔34aに通された後に、コネクタ108が細線同軸ケーブル107の一端に取り付けられる。
【0060】
このように、細線同軸ケーブル107に巻装されたシール102が防水チューブ101の端部に取り付けられ、シール102にオーリング103が巻かれ、シール102とオーリング103が貫通孔34aに嵌め込まれているから、貫通孔34aの壁面と細線同軸ケーブル107との間の隙間がシール102及びオーリング103により塞がれる。そのため、二軸ヒンジ構造4の内部に水が浸入しても、水が貫通孔34aを通じて第2の筐体3に浸入しない。特に、オーリング103によってその浸水が防止される。
【0061】
携帯電話機1及び二軸ヒンジ構造4の作用について説明する。
まず、携帯電話機1が図1(a)〜(c)の状態である場合、ストッパ86が段差67に当接している。これにより、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の時計回りの回転が止められている。ここで、時計回り、反時計回りとは、枢軸51をフランジ55からフランジ52に向かって見た場合の回転方向とする。
【0062】
ストッパ86が段差67に当接した状態では、第1のクリックリング72の凸部74が第2のクリックリング75の凹部77に入り込んでおり、ディスクスプリング71の弾性力がフランジ52とフランジ55の間隔を広げるように作用し、その反作用でフランジ52とフランジ55の間に挟まれた部材が締め付けられ、これにより、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の反時計回りの回転も止められている。
【0063】
そして、ディスクスプリング71による締め付けに抗して第2の回動部材80を第1の回動部材57に対して反時計回りに回転させると、つまり、第2の筐体3を第1の筐体2に対して反時計回りに図1(a)の状態から図1(d)の状態へ回転させると、凸部74が凹部77から抜ける。凸部74が凹部77から抜ける時に、凸部74によって第1のクリックリング72と第2のクリックリング75の間隔が開く。これによりディスクスプリング71が変形するので、ディスクスプリング71の反発力をクリック感として感じることができる。
【0064】
そして、第2の回動部材80を第1の回動部材57に対して反時計回りに180°回転させると、凸部74が反対側の凹部77に入り込む。この時、ディスクスプリング71が復元し、その復元力をクリック感として感じることができる。そして、この状態では、ストッパ86が段差66に当接するので、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の反時計回りの回転が止められている。このとき、携帯電話機1は図1(f)の状態にある。なお、ストッパ86が段差67に当接している状態を除いて、第1の筐体2に対して第2の筐体3を反時計回りに回転させることができ、ストッパ86が段差66に当接している状態を除いて、第1の筐体2に対して第2の筐体3を時計回りに回転させることができる。
【0065】
以上が、第2の筐体3の反転に係る作用であり、配線体100の細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101がこの動作によって捻れたり、その捻れが戻ったりする。
【0066】
第2の筐体3の開閉に係る作用について説明する。
軸線42を中心に第2の筐体3を第1の筐体2に対して回動させると、右カバー47が半円筒部89の周りを回動するとともに、左カバー46が筒状部88の周りを回動する。ヒンジユニット44についても、第1の嵌合体44aと第2の嵌合体44bとが回動し、第1の嵌合体44aと第2の嵌合体44bが所定の角度になった場合(例えば、図1(a)や図1(c))、ヒンジユニット44に回転抵抗が発生し、これによりクリック感を与える。
【0067】
以上のように第2の筐体3を反転させたり開閉させたりしても、オーリング103,106が貫通孔34aや貫通孔24の壁面に対して滑らないので、防水性能の低下を招かない。
【0068】
次に、携帯電話機1の組立方法について説明する。
まず、細線同軸ケーブル107を防水チューブ101に通して、細線同軸ケーブル107を防水チューブ101の両端から延出させる。転回ヒンジ43を組み立て、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101を転回ヒンジ43の通し孔56に通す。なお、この時点では、コネクタ108,109及びシール102,105は細線同軸ケーブル107に設けられていない。
【0069】
続いて、オーリング103が設けられたシール102に細線同軸ケーブル107の一端側を通す。続いて、シール102の一部を防水チューブ101の端部に嵌め込み、シール102と防水チューブ101の継手部分を熱収縮性チューブ110に嵌入し、その継手部分を熱収縮性チューブ110で覆う。このように、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール102を防水チューブ101の一端に取り付ける。
【0070】
続いて、オーリング106が設けられたシール105に細線同軸ケーブル107の他端側を通す。続いて、シール105の一部を防水チューブ101の端部に嵌め込み、シール105と防水チューブ101の継手部分を熱収縮性チューブ111に嵌入し、その継手部分を熱収縮性チューブ111で覆う。このように、熱収縮性チューブ111の収縮力によってシール105を防水チューブ101の一端に取り付ける。
【0071】
続いて、細線同軸ケーブル107の一端を前面ケース32の貫通孔34aに通し、シール102を貫通孔34aに圧入する。続いて、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101を折り曲げて溝91及び中空90に嵌め込み、転回ヒンジ43の半円筒部89を右カバー47に嵌め込む。続いて、ヒンジユニット44の第1の嵌合体44aを左カバー46の軸穴46aに嵌め込み、第2の嵌合体44aを筒状部88の嵌合凹部92に嵌め込むとともに筒状部88を軸穴46aに挿入する。
【0072】
続いて、左カバー46の貫通孔46bに突起38を嵌め込むとともに、右カバー47の係合爪47bを突起39に係止させる。続いて、細線同軸ケーブル107の他端を第1の筐体2の貫通孔24に通し、シール105を貫通孔24に圧入し、第1の回動部材57及び規制板62を取付凹部22に嵌め込む。そして、ネジによって第1の回動部材57及び規制板62を第1の筐体2に固定する。
【0073】
続いて、細線同軸ケーブル107の一端にコネクタ108を取り付けるとともに、細線同軸ケーブル107の他端にコネクタ109を取り付ける。続いて、コネクタ108をディスプレイユニットに接続し、ディスプレイユニットを収納凹部35に収納する。そして、補強板40を係合部46c、突起38、係合爪47b及び突起39に被せて、前面ケース32に背面ケース33をはり合わせ、ネジによって前面ケース32と背面ケース33を固定する。
【0074】
続いて、コネクタ109を回路基板に接続し、回路基板の収納後、第1の筐体2を組み立てる。以上により、携帯電話機1を組み立てることができる。
【0075】
このように、細線同軸ケーブル107にシール102及びオーリング103が巻装されているので、細線同軸ケーブル107を貫通孔34aに通して、シール102及びオーリング103を貫通孔34aに嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。反対側についても、シール105及びオーリング106を貫通孔24に嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。このような防水性を確保するための携帯電話機1の組み立てが簡単である。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態では携帯型電子機器として携帯電話機1を例に挙げて説明を行ったが、2つの筐体を二軸ヒンジ構造4で連結した携帯型電子機器であれば、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、腕時計、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳、携帯型無線機、その他の電子機器に本発明を適用しても良い。
また、上記実施形態では、二軸ヒンジ構造4によって第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線41の周りに回動可能とされ、更に、二軸ヒンジ構造4によって第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線42の周りに回動可能とされているが、一軸ヒンジ構造によって第2の筐体3が軸線41と軸線42のうちのどちらか一方の周りに第2の筐体3に対して回動可能とされていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の実施形態における携帯電話機の動きを示した図である。
【図2】図2は、携帯電話機の分解斜視図である。
【図3】図3は、携帯電話機の分解斜視図である。
【図4】図4は、一軸ヒンジの分解斜視図である。
【図5】図5は、一軸ヒンジの分解斜視図である。
【図6】図6は、一軸ヒンジの斜視断面図である。
【図7】図7は、携帯電話機のヒンジ構造における分解断面図である。
【図8】図8は、携帯電話機のヒンジ構造における断面図である。
【図9】図9は、図3のX−X線に沿った面の矢視断面図である。
【図10】図10は、配線体の斜視図である。
【図11】図11は、配線体の断面図である。
【図12】図12は、配線体の断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 携帯電話機
2 第1の筐体
3 第2の筐体
4 ヒンジ構造
24 貫通孔
34a 貫通孔
102、105 シール
103、106 オーリング
107 細線同軸ケーブル
110、111 熱収縮性チューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその組立方法に関し、特に2つの筐体をヒンジ構造で連結してなる電子機器及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機といった携帯型電子機器には、キー操作部が設けられた第1の筐体と、表示部が設けられた第2の筐体とをヒンジ構造で連結したものがあり、ヒンジ構造としては一軸ヒンジ構造や二軸ヒンジ構造のものがある。このような携帯型電子機器においては、電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に通し、電気信号用ケーブルの一端部を第1の筐体内に導き、他端部を第2の筐体内に導き、電気信号用ケーブルの各端部をそれぞれの筐体内の回路に接続している。
【0003】
ところで、ヒンジ構造内に水が浸入すると、その水が電気信号用ケーブルを伝って筐体内に浸入しやすく、防水性を確保することができないという問題がある。そこで、防水性を高めた携帯型電子機器が開発されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1では、フレキシブルなシート状の電気信号用ケーブル(10)に防水キャップ(14)をインサート成型することでその防水キャップを電気信号用ケーブルの一部の周囲に設け、電気信号用ケーブルを筐体(2)の挿入孔(2c)に通すとともに防水キャップをその挿入孔に嵌め込んでいる。防水キャップによって挿入孔の壁面と電気信号用ケーブルとの間の隙間が封止される。しかしながら、このような構成は、樹脂製の防水キャップをインサート成型により電気信号用ケーブルに一体的に取り付けるので、FPC(フレキシブル配線基板)以外の電気信号用ケーブルには適用することができない。
【0005】
特許文献2では、同軸型の電気信号用ケーブル(11)を防水チューブ(12)に通し、電気信号用ケーブルの一端側を一方の筐体(1)の取付孔(14)に挿通させ、電気信号用ケーブルの他端側を他方の筐体(2)の取付孔(14)に挿通させ、更に防水チューブの両端を取付孔に嵌め込んでいる。防水チューブの具体的な取付構造は、取付孔に挿入された防水チューブの端部開口に取付金具(13)の筒部(13a)を圧入したものである。取付金具を筐体の内側から取り付けるため、組み立て作業が困難である。
【特許文献1】特開2004−214927号公報
【特許文献2】特開2005−325849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単に電子機器を組み立てるようにするとともに、更に、電子機器のヒンジ構造における防水性を高かくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電子機器において、
2つの筐体と、
前記2つの筐体を連結したヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の内部に配索されたチューブと、
前記チューブに通され、前記チューブの端部から延出し、一方の筐体の内部から他方の筐体の内部に配索された電気信号用ケーブルと、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシールと、
前記シールに巻装された弾性材と、を備え、
前記筐体の内部に通じる貫通孔が前記筐体の前記ヒンジ構造側に形成され、
前記電気信号用ケーブルが前記貫通孔に通され、前記シール及び前記弾性材が前記貫通孔に嵌め込まれていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子機器において、
前記シールと前記チューブとの継手部分に巻装された熱収縮性チューブを更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器において、
前記ヒンジ構造が、互いに直交する2つの軸線周りに回動可能に前記2つの筐体を連結する二軸ヒンジ構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、電子機器の組立方法において、
チューブ及び前記チューブに通されるとともに前記チューブの端部から延出した電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に配索し、
筐体の内部に通じる貫通孔に前記電気信号用ケーブルを通し、前記電気信号用ケーブルを前記筐体から別の筐体まで配索し、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシール及び前記シールに巻装された弾性材を前記貫通孔に嵌め込み、
前記ヒンジ構造を前記筐体に連結するとともに前記ヒンジ構造を前記別の筐体に連結することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の電子機器の組立方法において、
前記シールと前記チューブとの継手部分を熱収縮性チューブに嵌入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気信号用ケーブルに巻装されたシールがチューブの端部に取り付けられ、そのシールに弾性材が巻かれ、弾性材とシールが筐体の貫通孔に嵌め込まれているから、貫通孔の壁面と電気信号用ケーブルとの間の隙間がシール及び弾性材により塞がれる。そのため、ヒンジ構造内部に水が浸入しても、水が貫通孔を通じて筐体に浸入しない。特に、弾性材によってその浸水が防止される。
また、ヒンジ構造によって2つの筐体を回動させて、電気信号用ケーブルが捻れても、弾性材が貫通孔の壁面を摺動しない。そのため、防水性能を維持することができる。
また、電気信号用ケーブルにシール及び弾性材が巻装されているので、電気信号用ケーブルを貫通孔に通して、シール及び弾性材を貫通孔に嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。そのような防水性を確保するための電子機器の組み立てが簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は携帯電話機1の各状態を示した図面であり、図2は携帯電話機1の分解斜視図であり、図3は図2とは異なる角度から見た分解斜視図である。この携帯電話機1は携帯型の電子機器である。
【0015】
図1〜図3に示すように、この携帯電話機1は、第1の筐体2と、第2の筐体3と、第1の筐体2と第2の筐体3を連結した二軸ヒンジ構造4と、第1の筐体2の内部から二軸ヒンジ構造4の内部を通って第2の筐体3にかけて配索された配線体100と、を備える。第1の筐体2の前面にはテンキーといったキー操作部21が設けられ、第2の筐体3の前面には透明な表示窓31が設けられている。
【0016】
二軸ヒンジ構造4は、第1の筐体2の前面に直交した軸線41と、第2の筐体3の前面と背面との間において第1の筐体2の幅方向に延びた軸線42とを有する。軸線41と軸線42は互いに直交している。第2の筐体3は二軸ヒンジ構造4によって軸線41を中心にして回動可能に設けられ、更に、第2の筐体3は二軸ヒンジ構造4によって軸線42を中心にして回動可能に設けられている。第1の筐体2に対する第2の筐体3の開閉は、軸線42を中心に第2の筐体3を回動させて行う。第2の筐体3の表裏反転は、軸線41を中心に第2の筐体3を回動させて行う。
【0017】
ここで、図1(a)は、第2の筐体3の前面を第1の筐体2の前面に対向させてこれらを閉じた状態を示し、図1(c)は、第2の筐体3の前面と第1の筐体2の前面を前方に向けてこれらを開いた状態を示し、図1(b)は、図1(a)の状態から図1(c)の状態へ開く場合又はこの逆に閉じる場合において図1(a)の状態と図1(c)の状態との間の状態を示す。図1(d)は、第2の筐体3の前面を第1の筐体2の前面に対向させて第2の筐体3を軸線41の周りに回動させている状態を示し、図1(e)は、第2の筐体3を軸線42の周りに回動させている状態を示し、図1(f)は、第2の筐体3の背面を第1の筐体2の前面に対向させてこれらを閉じた状態を示す。
【0018】
図2及び図3に示すように、第2の筐体3は前面ケース32と、背面ケース33とを備える。図3に示すように、図3に示すように、前面ケース32の背面側には隔壁34が凸設されている。隔壁34が前面ケース32の縁に沿って枠状に設けられ、隔壁34の内側に収納凹部35が形成され、収納凹部35が隔壁34によって囲繞されている。隔壁34の頂面には溝36が凹設され、この溝36が隔壁34と同様に全周に亘って設けられている。なお、溝36には、リング状のゴムパッキンが嵌め込まれている。
【0019】
図2に示すように、背面ケース33の前面側には収納凹部37が凹設されている。収納凹部37の縁が隔壁34の形状に一致している。前面ケース32と背面ケース33がはり合わせられ、隔壁34が収納凹部37の縁に沿うようにして収納凹部37に嵌め込まれ、前面ケース32と背面ケース33がネジ等により接合されている。これにより第2の筐体3が設けられ、収納凹部37及び収納凹部35が第2の筐体3の中空となり、この中空にディスプレイパネルユニットが収容され、そのディスプレイパネルユニットの表示面が表示窓31に対向している。
【0020】
二軸ヒンジ構造4について説明する。図2及び図3に示すように、二軸ヒンジ構造4は、軸線41周りの回動を実現する転回ヒンジ43と、軸線42周りの回動を実現するヒンジユニット44と、転回ヒンジ43を上から覆うヒンジカバー45と、転回ヒンジ43の右側を覆って第2の筐体3に組み付けられた左カバー46と、ヒンジユニット44を介して転回ヒンジ43の左側を覆って第2の筐体3に組み付けられた右カバー47と、を備える。
【0021】
転回ヒンジ43の第1の回動部材57が第1の筐体2に固定され、第1の回動部材57に枢軸51が設けられ、転回ヒンジ43の枢軸51によって第2の回動部材80が第1の回動部材57に対して軸線41周りに回動可能に設けられ、第2の回動部材80が左右のカバー46,47に対して軸線42周りに回動可能に設けられ、左右のカバー46,47が第2の筐体3に組み付けられている。これにより、第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線41周り及び軸線42周りに回動可能となっている。
【0022】
二軸ヒンジ構造4のうちまず転回ヒンジ43について説明する。
図4〜図6は転回ヒンジ43を示した図面である。ここで、図4は転回ヒンジ43の分解斜視図であり、図5は図4とは異なる角度から見た分解斜視図であり、図6は軸線41及び軸線42によって規定された面で転回ヒンジ43を破断して示した斜視断面図である。
【0023】
図4〜図6に示すように、枢軸51の基端にはフランジ52が一体形成され、枢軸51の先端にもフランジ55が一体形成されている。フランジ55は転回ヒンジ43を組み立てた後にカシメ加工されたものである。そのため、転回ヒンジ43を組み立てる前では枢軸51の先端のフランジ55が形成されていない。この枢軸51には、通し孔56がその基端から先端まで軸線41に沿って貫通している。また、枢軸51の先端寄りの部分54が円筒状に形成されている。枢軸51の基端寄りの部分53は円筒ではなく、軸線41に垂直な断面において軸線41から周縁上の一点までの距離と軸線41から周縁上の他の一点までの距離とが異なっている。以下、枢軸51の基端寄りの部分53を角形管部53といい、先端寄りの部分を円筒部54という。
【0024】
第1の回動部材57は板状に設けられ、第1の回動部材57の一方の面に凹部59が凹設され、第1の回動部材57の他方の面にボス58が凸設され、挿通孔60がボス58の頂面から凹部59の底まで貫通している。枢軸51が挿通孔60に挿入され、枢軸51がボス58の頂面から突出している。枢軸51が挿通孔60に挿入された状態においては、フランジ52が凹部59に嵌め込まれ、角形管部53が挿通孔60に嵌合している。角形管部53が挿通孔60に嵌合しているので、第1の回動部材57が枢軸51に対して軸線41周りの回動を止められている。なお、第1の回動部材57と枢軸51が別体であるが、これらが一体形成されていても良い。
【0025】
ボス58は二段状に設けられ、ボス58の下部はボス58の上部よりも径が大きい。第1の回動部材57には、規制板62が重ねられている。この規制板62には、開口63が貫通している。この開口63の縁は、第1の回動部材57のボス58の下部の径よりもやや大きい小径部64と、小径部64と同心であって小径部64の径よりも大きな径となる大径部65とからなり、小径部64と大径部65との間に段差66,67が形成されている。そして、第1の回動部材57のボス58が開口63に挿入されて、ボス58の下部の周面と小径部64との間には隙間が形成され、ボス58の下部の周面と大径部65との間には隙間が形成されている。そして、この規制板62は、第1の回動部材57とともに第1の筐体2に固定されている。なお、第1の回動部材57と規制板62が別体であるが、これらが一体形成されていても良く、この場合、ボス58と大径部65との隙間が円弧状の溝となり、ボス58と小径部64との隙間が円弧状の溝となり、ボス58と大径部65との間の溝の幅がボス58と小径部64との間の溝の幅よりも広い。
【0026】
規制板62にはシート121が重ねられており、このシート121の開口122にボス58が挿入されている。開口122の径はボス58の径よりも大きい。
【0027】
ボス58の上部はオーリング61に挿入され、オーリング61がボス58の上部に巻かれている。オーリング61は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。ボス58の頂面には、リング状の止水プレート68が重ねられている。この止水プレート68には挿通孔69が貫通しており、枢軸51が挿通孔69に挿入され、枢軸51の角形管部53が挿通孔69に嵌合している。角形管部53が挿通孔69に嵌合しているので、止水プレート68が枢軸51に対して軸線41周りの回動を止められている。止水プレート68のボス58側の面であってその縁部には、リング状の突条70が設けられ、突条70によってボス58の上部が囲繞され、突条70とボス58の下部との間にオーリング61が挟まれている。
【0028】
止水プレート68には、ディスクスプリング71が重ねられている。ディスクスプリング71が円環状に設けられ、枢軸51がディスクスプリング71に挿入され、ディスクスプリング71が枢軸51に対して軸線41周りに回動可能となっている。このディスクスプリング71は、軸線41に直交する面に対して傾斜することで軸線41方向への弾性変形をするように設けられている。
【0029】
ディスクスプリング71には、第1のクリックリング72が重ねられている。第1のクリックリング72の穴73に枢軸51が挿入され、この穴73に枢軸51の角形管部53が嵌合している。これにより、第1のクリックリング72は枢軸51に対して回動が止められ、枢軸51と第2のクリックリング72が一体に回動するようになっている。第1のクリックリング72の一方の面(その面はディスクスプリング71とは反対側の面である。)には、2つの凸部74が形成され、2つの凸部74が軸線41に関して180°の対称位置にある。
【0030】
第1のクリックリング72には、第2のクリックリング75が重ねられている。第2のクリックリング75の穴76に枢軸51が挿入され、この穴76が円形であるので、枢軸51が第2のクリックリング75に対して回動可能とされている。第2のクリックリング75の一方の面(その面は第1のクリックリング72側の面である。)には、2つの凹部77が形成され、2つの凹部77が軸線41に関して180°の対称位置にある。第1のクリックリング72と第2のクリックリング75の相対的な回動に伴って、凹部77に凸部74が入り込んだり、凹部77から凸部74が抜けたりする。
【0031】
第2のクリックリング75の他方の面(その面は第1のクリックリング72とは反対側の面である。)には、2つの係合爪75aが凸設されている。また、その面であって穴76の周囲には、リング状の突条78が設けられている。突条78にオーリング79が重なっており、枢軸51の円筒部54がオーリング79に挿入され、オーリング79が円筒部54に巻かれている。オーリング79は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0032】
第2の回動部材80の下面(この下面は第1の回動部材57側の面である。)には、円形状の凹部81が形成され、第2の回動部材80の上面(この上面は第1の回動部材57とは反対側の面である。)にも、円形状の凹部82が形成されている。そして、凹部81の底から反対側の凹部82の底まで貫通孔83が貫通している。
【0033】
ボス58、オーリング61、止水プレート68、ディスクスプリング71、第1のクリックリング72、第2のクリックリング75及びオーリング79が第2の回動部材80の凹部81に収納され、オーリング79が第2のクリックリング75の突条78と凹部81の底との間に挟まれている。枢軸51は第2の回動部材80の貫通孔83に挿入され、枢軸51が第2の回動部材80に対して軸線41周りに回動可能となっている。また、凹部81の底には2つの係合溝が形成され、第2のクリックリング75の係合爪75aが係合溝に係合することによって、第2のクリックリング75は第2の回動部材80に対して回動が止められている。
【0034】
第2の回動部材80の下面であって凹部81の周囲には、リング状の突条87が設けられ、突条87が規制板62の開口63に挿入されて、突条87の周面が小径部64に接している。突条87の径は小径部64の径とほぼ等しく、突条87は小径部64に接した状態で規制板62に対して軸線41周りに回動可能となっている。また、第2の回動部材80の下面であって突条87の外側には、ストッパ86が設けられている。このストッパ86は円弧状に設けられており、突条87と同心となっている。ストッパ86も規制板62の開口63に挿入されてストッパ86の周面が大径部65に接している。ストッパ86の径は大径部65の径とほぼ等しく、ストッパ86は大径部65に接した状態で規制板62に対して軸線41周りに回動可能となっている。第2の回動部材80が枢軸51、第1の回動部材57及び規制板62に対して回動し得る範囲は、ストッパ86が段差66に当接して止められた状態と、ストッパ86が段差67に当接して止められた状態との間であり、具体的には180°である。
【0035】
第2の回動部材80の凹部82にはワッシャー84,85が順に重ねられ、枢軸51がワッシャー84,85に挿入されている。枢軸51のフランジ55がワッシャー85に重なって、フランジ55と凹部82の底との間にワッシャー84,85が挟まれている。このように枢軸51のフランジ52及びフランジ55によって、第1の回動部材57、オーリング61、規制板62、シート121、止水プレート68、ディスクスプリング71、第1のクリックリング72、第二のクリックリング75及びオーリング79からの枢軸51の抜けが防止されている。
【0036】
転回ヒンジ43は以上のように構成されている。
【0037】
次に、転回ヒンジ43と左カバー46の組付構造について説明する。
図4〜図6に示すように、第2の回動部材80の左側面には、筒状部88が凸設され、筒状部88の左端面には、嵌合凹部92が凹設されている。
【0038】
図2、図3、図7及び図8に示すように、左カバー46の右側には軸穴46aが形成されており、この軸穴46aにヒンジユニット44に挿入され、このヒンジユニット44が更に筒状部88の嵌合凹部92に挿入されている。ここで、図7及び図8は軸線41及び軸線42によって規定された面の断面図であり、図8は図2と同様に携帯電話機1が分解された状態で示されている。
【0039】
ヒンジユニット44は、軸穴46aに嵌合して左カバー46に支持された第1の嵌合体44aと、嵌合凹部92に嵌合して第2の回動部材80の筒状部88に支持された第2の嵌合体44bと、を有する。第1の嵌合体44aは第2の嵌合体44bに対して軸線42回りに回動可能とされている。このヒンジユニット44は、第1の嵌合体44aに対する第2の嵌合体44bの回動の際に所定の角度で他の角度よりも大きな抵抗を発生させてクリック感を発生させるものである。なお、軸穴46aの一部に筒状部88が挿入されており、筒状部88の外周面が円柱面とされているので、左カバー46が筒状部88に対して軸線42回りに回動可能となっている。
【0040】
次に、転回ヒンジ43と右カバー47の組付構造について説明する。
図4〜図6に示すように、第2の回動部材80の右側面には、半円筒部89が凸設されている。筒状部88の外周面及び半円筒部89の外周面は軸線42において同心の円柱面とされている。半円筒部89が半円筒状とされており、半円筒部89の中空90が上側で開放している。第2の回動部材80の上面(この上面は第1の回動部材57とは反対側の面である。)には、凹部82及び中空90に連なる溝91が凹設されている。
【0041】
図2、図3、図7及び図8に示すように、右カバー47の左側から上側にかけて収容凹部47aが形成されており、収容凹部47aに半円筒部89が挿入されている。半円筒部89の外周面が円柱面とされているので、右カバー47が半円筒部89に対して軸線42回りに回動可能とされている。
【0042】
次に、転回ヒンジ43とヒンジカバー45の組付構造について説明する。
図2に示すように、ヒンジカバー45は側面視して下側で開口したU字状に設けられており、ヒンジカバー45の内側前面と内側後面のそれぞれには、2つの係合凹部45aが凹設されている。一方、第2の回動部材80の前面と後面のそれぞれには2つの爪80aが凸設されている。そして、ヒンジカバー45が第2の回動部材80の上から第2の回動部材80の前面、上面及び後面を覆って、ヒンジカバー45の係合凹部45aに爪80aが係止している。こにより、ヒンジカバー45が転回ヒンジ43に組み付けられている。また、ヒンジカバー45が転回ヒンジ43に組み付けられると、第2の回動部材80の上面の凹部82及び溝91がヒンジカバー45によって上から覆われる。
【0043】
以上のように、転回ヒンジ43にヒンジカバー45、左カバー46及び右カバー47が組み付けられることによって、二軸ヒンジ構造4が構成されている。
【0044】
次に、二軸ヒンジ構造4と第1の筐体2の組付構造、特に転回ヒンジ43と第1の筐体2の組付構造について説明する。
図2及び図7に示すように、第1の筐体2の前面には取付凹部22が形成されている。取付凹部22には、第1の回動部材57及び規制板62が取付凹部22に嵌め込まれている。図4及び図5に示すように、第1の回動部材57の4つの角部には通し孔57aが貫通しており、規制板62の4つの角部にも通し孔62aが貫通している。また、取付凹部22の底であって4つの通し孔57aに対応する箇所に有底状の凹部が設けられ、凹部にはナットが嵌め込まれ、これらナットは第1の筐体2に固定されている。そして、図2、図3、図7及び図8に示すように、第1の回動部材57及び規制板62が取付凹部22に嵌め込まれた状態で、ネジが通し孔57a及び通し孔62aを通ってナットに螺合している。ネジの締結によって第1の回動部材57が取付凹部22に嵌め込まれた状態で第1の筐体2に接合されている。通し孔62a及び通し孔57aはシート121によって閉塞されている。
【0045】
次に、二軸ヒンジ構造4と第2の筐体3の組付構造、特に左カバー46及び右カバー47と第2の筐体3の組付構造について説明する。
図3、図7、図8及び図9に示すように、前面ケース32の背面側であって左右両側には、突起38,39が形成されている。これら突起38,39は収納凹部35内でなく、隔壁34の外側に設けられている。ここで、図9は図3のX−X線に沿った面の矢視断面図である。
【0046】
また、左カバー46には係合部46cが設けられ、係合部46cに貫通孔46bが形成され、この貫通孔46bに突起38が嵌め込まれている。右カバー47には係合爪47bが設けられ、係合爪47bが突起39に係合している。補強板40が係合部46c、突起38、係合爪47b及び突起39を覆って、前面ケース32と背面ケース33がはり合わせられ、係合部46c、係合爪47b及び補強板40が前面ケース32と背面ケース33との間に挟持されている。背面ケース33には、通し孔33aが突起38に対応して形成され、通し孔33bが突起39に対応して形成されている。突起38,39にはネジ穴が形成され、通し孔33aに挿入されたネジが突起38のネジ穴に螺合し、通し孔33bに挿入されたネジが突起39のネジ穴に螺合している。これらネジの締め付けによって前面ケース32と背面ケース33が固定され、カバー46,47が第2の筐体3に固定されている。
【0047】
次に、配線体100について説明する。
図10〜図12に示すように、配線体100は、防水チューブ101と、防水チューブ101の一端に取り付けられた管状のシール102と、シール102に巻装されたオーリング103と、防水チューブ101の他端に取り付けられた管状のシール105と、シール105に巻装されたオーリング106と、防水チューブ101、シール102及びシール105に挿入され、シール102から外に延出するとともにシール105から外に延出した細線同軸ケーブル107と、細線同軸ケーブル107の一端に取り付けられたコネクタ108と、細線同軸ケーブル107の他端に取り付けられたコネクタ109と、を備える。図10は配線体100の斜視図であり、図11はシール102における配線体100の断面図であり、図12はシール105における配線体の断面図である。
【0048】
防水チューブ101は可撓性を有し、屈曲可能である。防水チューブ101はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなり、具体的にはシリコンチューブ又はシリコンゴムチューブを防水チューブ101として用いる。
【0049】
防水チューブ101に細線同軸ケーブル107が挿入されている。この細線同軸ケーブル107は、複数の同軸型細線を束ねたものであり、電気信号を伝達するケーブルである。同軸型細線とは、内部導体の外周に、順次、絶縁層、外部導体層、保護層を形成してなるものである。
【0050】
シール102が管状に設けられ、細線同軸ケーブル107がシール102に挿入され、シール102が細線同軸ケーブル107に巻装されている。また、シール102の一部が防水チューブ101の端部に嵌め込まれている。シール102はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなる。シール102の中腹外周面には溝が周方向に亘って形成され、その溝にオーリング103が嵌め込まれている。オーリング103は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0051】
更に、オーリング103よりも先の部分にも溝102aが周方向に亘って形成され、これによりシール102の先端部に爪102bが形成されている。シール102が防水チューブ101の一端に合わせられ、シール102と防水チューブ101の継手部分が熱収縮性チューブ110によって被覆されている。熱収縮性チューブ110によってシール102が防水チューブ101の一端に取り付けられ、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール102と細線同軸ケーブル107との密着性や防水チューブ101と細線同軸ケーブル107との密着性が高くなっている。
【0052】
シール105が管状に設けられ、細線同軸ケーブル107がシール105に挿入され、シール105が細線同軸ケーブル107に巻装されている。また、シール105の一部が防水チューブ101の端部に嵌め込まれている。シール105はゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなる。シール105の中腹外周面にはフランジ105aが周方向に亘って形成されている。シール105が防水チューブ101の他端に合わせられ、シール105と防水チューブ101の継手部分が熱収縮性チューブ111によって被覆されている。熱収縮性チューブ111によってシール106が防水チューブ101の他端に取り付けられ、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール105と細線同軸ケーブル107との密着性や防水チューブ101と細線同軸ケーブル107との密着性が高くなっている。フランジ105aに関して熱収縮性チューブ111の反対側において、シール105がオーリング106に嵌め込まれている。オーリング106は弾性材特にゴム弾性材からなるものである。
【0053】
次に、配線体100と二軸ヒンジ構造4の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、配線体100の細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通されている。そして、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が凹部82の底で屈曲され、更に細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一部が溝91及び中空90に嵌められている。そして、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101は溝91、中空90及び収容凹部47aの壁面に沿って折り曲げられ、右カバー47の収容凹部47aから上へ延出している。このように細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が二軸ヒンジ構造4の内部に配索され、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一端側が収容凹部47aから延出し、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の他端側が通し孔56から延出している。
【0054】
次に、配線体100と第1の筐体2の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、第1の筐体2の取付凹部22の底には円形状の凹部23が形成され、凹部23の底に円形状の貫通孔24が形成され、この貫通孔24は第1の筐体2の内側空間まで貫通している。この貫通孔24に細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の他端側が挿入され、更に貫通孔24にシール105が嵌入している。貫通孔24に嵌め込まれたシール105及びオーリング106が貫通孔24の壁面に圧接している。
【0055】
また、シール105のフランジ105aが凹部23に嵌め込まれ、フランジ105aが凹部23の底に当接し、フランジ105aが凹部23の底と枢軸51のフランジ52との間に挟持されている。フランジ105aが凹部23の底に当接することによって、シール105が第1の筐体2の内側に入り込まないようになっている。
【0056】
第1の筐体2の内側空間には回路基板が搭載され、その回路基板にコネクタ109が接続されている。なお、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通され、更に貫通孔24に通された後に、コネクタ109が細線同軸ケーブル107の他端に取り付けられる。
【0057】
このように、細線同軸ケーブル107に巻装されたシール105が防水チューブ101の端部に取り付けられ、シール105にオーリング106が巻かれ、シール105とオーリング106が貫通孔24に嵌め込まれているから、貫通孔24の壁面と細線同軸ケーブル107との間の隙間がシール105及びオーリング106により塞がれる。そのため、二軸ヒンジ構造4の内部に水が浸入しても、水が貫通孔24を通じて第1の筐体2に浸入しない。特に、オーリング106によってその浸水が防止される。
【0058】
次に、配線体100と第2の筐体3の組付構造について説明する。
図2、図7及び図8に示すように、隔壁34の下側側面には、貫通孔34aが貫通し、貫通孔34aを介して収納凹部35と隔壁34の下側が通じている。この貫通孔34aに細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101の一端側が挿入され、更に貫通孔34aにシール102が嵌入している。貫通孔34aに嵌め込まれたシール102及びオーリング103が貫通孔34aの壁面に圧接している。また、シール102の爪102bが収納凹部35内において隔壁34に係止し、これによりシール102が貫通孔34aから外に抜けないようになっている。
【0059】
第2の筐体3の内側においては、コネクタ108がディスプレイパネルユニットに接続されている。なお、コネクタ108はその回路基板にコネクタ109が接続されている。なお、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101が通し孔56に通され、更に貫通孔34aに通された後に、コネクタ108が細線同軸ケーブル107の一端に取り付けられる。
【0060】
このように、細線同軸ケーブル107に巻装されたシール102が防水チューブ101の端部に取り付けられ、シール102にオーリング103が巻かれ、シール102とオーリング103が貫通孔34aに嵌め込まれているから、貫通孔34aの壁面と細線同軸ケーブル107との間の隙間がシール102及びオーリング103により塞がれる。そのため、二軸ヒンジ構造4の内部に水が浸入しても、水が貫通孔34aを通じて第2の筐体3に浸入しない。特に、オーリング103によってその浸水が防止される。
【0061】
携帯電話機1及び二軸ヒンジ構造4の作用について説明する。
まず、携帯電話機1が図1(a)〜(c)の状態である場合、ストッパ86が段差67に当接している。これにより、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の時計回りの回転が止められている。ここで、時計回り、反時計回りとは、枢軸51をフランジ55からフランジ52に向かって見た場合の回転方向とする。
【0062】
ストッパ86が段差67に当接した状態では、第1のクリックリング72の凸部74が第2のクリックリング75の凹部77に入り込んでおり、ディスクスプリング71の弾性力がフランジ52とフランジ55の間隔を広げるように作用し、その反作用でフランジ52とフランジ55の間に挟まれた部材が締め付けられ、これにより、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の反時計回りの回転も止められている。
【0063】
そして、ディスクスプリング71による締め付けに抗して第2の回動部材80を第1の回動部材57に対して反時計回りに回転させると、つまり、第2の筐体3を第1の筐体2に対して反時計回りに図1(a)の状態から図1(d)の状態へ回転させると、凸部74が凹部77から抜ける。凸部74が凹部77から抜ける時に、凸部74によって第1のクリックリング72と第2のクリックリング75の間隔が開く。これによりディスクスプリング71が変形するので、ディスクスプリング71の反発力をクリック感として感じることができる。
【0064】
そして、第2の回動部材80を第1の回動部材57に対して反時計回りに180°回転させると、凸部74が反対側の凹部77に入り込む。この時、ディスクスプリング71が復元し、その復元力をクリック感として感じることができる。そして、この状態では、ストッパ86が段差66に当接するので、第1の回動部材57に対する第2の回動部材80の反時計回りの回転が止められている。このとき、携帯電話機1は図1(f)の状態にある。なお、ストッパ86が段差67に当接している状態を除いて、第1の筐体2に対して第2の筐体3を反時計回りに回転させることができ、ストッパ86が段差66に当接している状態を除いて、第1の筐体2に対して第2の筐体3を時計回りに回転させることができる。
【0065】
以上が、第2の筐体3の反転に係る作用であり、配線体100の細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101がこの動作によって捻れたり、その捻れが戻ったりする。
【0066】
第2の筐体3の開閉に係る作用について説明する。
軸線42を中心に第2の筐体3を第1の筐体2に対して回動させると、右カバー47が半円筒部89の周りを回動するとともに、左カバー46が筒状部88の周りを回動する。ヒンジユニット44についても、第1の嵌合体44aと第2の嵌合体44bとが回動し、第1の嵌合体44aと第2の嵌合体44bが所定の角度になった場合(例えば、図1(a)や図1(c))、ヒンジユニット44に回転抵抗が発生し、これによりクリック感を与える。
【0067】
以上のように第2の筐体3を反転させたり開閉させたりしても、オーリング103,106が貫通孔34aや貫通孔24の壁面に対して滑らないので、防水性能の低下を招かない。
【0068】
次に、携帯電話機1の組立方法について説明する。
まず、細線同軸ケーブル107を防水チューブ101に通して、細線同軸ケーブル107を防水チューブ101の両端から延出させる。転回ヒンジ43を組み立て、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101を転回ヒンジ43の通し孔56に通す。なお、この時点では、コネクタ108,109及びシール102,105は細線同軸ケーブル107に設けられていない。
【0069】
続いて、オーリング103が設けられたシール102に細線同軸ケーブル107の一端側を通す。続いて、シール102の一部を防水チューブ101の端部に嵌め込み、シール102と防水チューブ101の継手部分を熱収縮性チューブ110に嵌入し、その継手部分を熱収縮性チューブ110で覆う。このように、熱収縮性チューブ110の収縮力によってシール102を防水チューブ101の一端に取り付ける。
【0070】
続いて、オーリング106が設けられたシール105に細線同軸ケーブル107の他端側を通す。続いて、シール105の一部を防水チューブ101の端部に嵌め込み、シール105と防水チューブ101の継手部分を熱収縮性チューブ111に嵌入し、その継手部分を熱収縮性チューブ111で覆う。このように、熱収縮性チューブ111の収縮力によってシール105を防水チューブ101の一端に取り付ける。
【0071】
続いて、細線同軸ケーブル107の一端を前面ケース32の貫通孔34aに通し、シール102を貫通孔34aに圧入する。続いて、細線同軸ケーブル107及び防水チューブ101を折り曲げて溝91及び中空90に嵌め込み、転回ヒンジ43の半円筒部89を右カバー47に嵌め込む。続いて、ヒンジユニット44の第1の嵌合体44aを左カバー46の軸穴46aに嵌め込み、第2の嵌合体44aを筒状部88の嵌合凹部92に嵌め込むとともに筒状部88を軸穴46aに挿入する。
【0072】
続いて、左カバー46の貫通孔46bに突起38を嵌め込むとともに、右カバー47の係合爪47bを突起39に係止させる。続いて、細線同軸ケーブル107の他端を第1の筐体2の貫通孔24に通し、シール105を貫通孔24に圧入し、第1の回動部材57及び規制板62を取付凹部22に嵌め込む。そして、ネジによって第1の回動部材57及び規制板62を第1の筐体2に固定する。
【0073】
続いて、細線同軸ケーブル107の一端にコネクタ108を取り付けるとともに、細線同軸ケーブル107の他端にコネクタ109を取り付ける。続いて、コネクタ108をディスプレイユニットに接続し、ディスプレイユニットを収納凹部35に収納する。そして、補強板40を係合部46c、突起38、係合爪47b及び突起39に被せて、前面ケース32に背面ケース33をはり合わせ、ネジによって前面ケース32と背面ケース33を固定する。
【0074】
続いて、コネクタ109を回路基板に接続し、回路基板の収納後、第1の筐体2を組み立てる。以上により、携帯電話機1を組み立てることができる。
【0075】
このように、細線同軸ケーブル107にシール102及びオーリング103が巻装されているので、細線同軸ケーブル107を貫通孔34aに通して、シール102及びオーリング103を貫通孔34aに嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。反対側についても、シール105及びオーリング106を貫通孔24に嵌め込むだけで、防水性を確保することができる。このような防水性を確保するための携帯電話機1の組み立てが簡単である。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態では携帯型電子機器として携帯電話機1を例に挙げて説明を行ったが、2つの筐体を二軸ヒンジ構造4で連結した携帯型電子機器であれば、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、腕時計、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳、携帯型無線機、その他の電子機器に本発明を適用しても良い。
また、上記実施形態では、二軸ヒンジ構造4によって第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線41の周りに回動可能とされ、更に、二軸ヒンジ構造4によって第2の筐体3が第1の筐体2に対して軸線42の周りに回動可能とされているが、一軸ヒンジ構造によって第2の筐体3が軸線41と軸線42のうちのどちらか一方の周りに第2の筐体3に対して回動可能とされていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の実施形態における携帯電話機の動きを示した図である。
【図2】図2は、携帯電話機の分解斜視図である。
【図3】図3は、携帯電話機の分解斜視図である。
【図4】図4は、一軸ヒンジの分解斜視図である。
【図5】図5は、一軸ヒンジの分解斜視図である。
【図6】図6は、一軸ヒンジの斜視断面図である。
【図7】図7は、携帯電話機のヒンジ構造における分解断面図である。
【図8】図8は、携帯電話機のヒンジ構造における断面図である。
【図9】図9は、図3のX−X線に沿った面の矢視断面図である。
【図10】図10は、配線体の斜視図である。
【図11】図11は、配線体の断面図である。
【図12】図12は、配線体の断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 携帯電話機
2 第1の筐体
3 第2の筐体
4 ヒンジ構造
24 貫通孔
34a 貫通孔
102、105 シール
103、106 オーリング
107 細線同軸ケーブル
110、111 熱収縮性チューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの筐体と、
前記2つの筐体を連結したヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の内部に配索されたチューブと、
前記チューブに通され、前記チューブの端部から延出し、一方の筐体の内部から他方の筐体の内部に配索された電気信号用ケーブルと、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシールと、
前記シールに巻装された弾性材と、を備え、
前記筐体の内部に通じる貫通孔が前記筐体の前記ヒンジ構造側に形成され、
前記電気信号用ケーブルが前記貫通孔に通され、前記シール及び前記弾性材が前記貫通孔に嵌め込まれていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シールと前記チューブとの継手部分に巻装された熱収縮性チューブを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ヒンジ構造が、互いに直交する2つの軸線周りに回動可能に前記2つの筐体を連結する二軸ヒンジ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
チューブ及び前記チューブに通されるとともに前記チューブの端部から延出した電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に配索し、
筐体の内部に通じる貫通孔に前記電気信号用ケーブルを通し、前記電気信号用ケーブルを前記筐体から別の筐体まで配索し、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシール及び前記シールに巻装された弾性材を前記貫通孔に嵌め込み、
前記ヒンジ構造を前記筐体に連結するとともに前記ヒンジ構造を前記別の筐体に連結することを特徴とする電子機器の組立方法。
【請求項5】
前記シールと前記チューブとの継手部分を熱収縮性チューブに嵌入することを特徴とする請求項4に記載の電子機器の組立方法。
【請求項1】
2つの筐体と、
前記2つの筐体を連結したヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の内部に配索されたチューブと、
前記チューブに通され、前記チューブの端部から延出し、一方の筐体の内部から他方の筐体の内部に配索された電気信号用ケーブルと、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシールと、
前記シールに巻装された弾性材と、を備え、
前記筐体の内部に通じる貫通孔が前記筐体の前記ヒンジ構造側に形成され、
前記電気信号用ケーブルが前記貫通孔に通され、前記シール及び前記弾性材が前記貫通孔に嵌め込まれていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シールと前記チューブとの継手部分に巻装された熱収縮性チューブを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ヒンジ構造が、互いに直交する2つの軸線周りに回動可能に前記2つの筐体を連結する二軸ヒンジ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
チューブ及び前記チューブに通されるとともに前記チューブの端部から延出した電気信号用ケーブルをヒンジ構造の内部に配索し、
筐体の内部に通じる貫通孔に前記電気信号用ケーブルを通し、前記電気信号用ケーブルを前記筐体から別の筐体まで配索し、
前記電気信号用ケーブルに巻装されるとともに前記チューブの端部に取り付けられたシール及び前記シールに巻装された弾性材を前記貫通孔に嵌め込み、
前記ヒンジ構造を前記筐体に連結するとともに前記ヒンジ構造を前記別の筐体に連結することを特徴とする電子機器の組立方法。
【請求項5】
前記シールと前記チューブとの継手部分を熱収縮性チューブに嵌入することを特徴とする請求項4に記載の電子機器の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−263285(P2008−263285A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102829(P2007−102829)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】
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