説明

電子機器

【課題】本発明の目的は、ボタンの大きさ及び形状に関わらず開口部回りを容易にシールするシール構造を備えた電子機器を得ることにある。
【解決手段】電子機器1は、開口部31を有する筐体6と、開口部31に配置され、筐体6内に進退自在なボタン22と、筐体6に収容され、ボタン22に操作されるスイッチ21と、開口部31の周縁部から筐体6内に延びる壁32と、ボタン22とスイッチ21との間に配置され開口部31を覆うとともに、壁32の周面に沿う周端部を有するシーリング部材23と、シーリング部材23の周端部を壁32の周面に押圧する保持部材24とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンを有する電子機器に係り、特に押しボタン回りにシール構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポータブルコンピュータのような電子機器は、例えば電源スイッチボタンやクリックスイッチボタンのような押しボタンを備えている。押しボタンは、筐体の開口部に配置され、手の指先などで押せるようになっている。
【0003】
例えば電子機器の使用中に誤って押しボタンの上にコーヒーや水をこぼした場合、この液体は上記開口部を通じて筐体内に浸入するおそれがある。そこで、シール構造を有するプッシュスイッチが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のプッシュスイッチは、スライド、可動切片、可動接点、固定接点、およびシーリング部材を備える。シーリング部材は、スライドが設けられるハウジングケースと、可動切片が設けられるハウジングベースとの間に配置され、可動接点および固定接点が設けられるハウジングベース内の空間部を閉塞する。使用者がスライドに外力を加えると、シーリング部材および可動切片が順次押圧され、可動接点が移動して固定接点に接触し入力が行なわれる。
【特許文献1】特開平10−334759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばゴムやスポンジのようなシーリング部材は、厚さ方向に例えば20%〜40%程度圧縮された状態で使用される。シーリング部材を上記程度圧縮するためには、相応の力が必要となる。特にボタンサイズが大きくなればシーリング部材も大型化するため、シーリング部材を固定するのに大きな力が必要となる。したがってボタンサイズの大型化は、シーリング部材を固定する固定部材の増加を招く。
【0006】
例えば特許文献1に記載のプッシュスイッチを用いた場合、このプッシュスイッチが大型化するに伴なって、ハウジングケースとハウジングベースとを互いに連結する固定部の規模が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、ボタンの大きさ及び形状に関わらず開口部回りを容易にシールするシール構造を備えた電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、開口部を有する筐体と、上記開口部に配置され、上記筐体内に進退自在なボタンと、上記筐体に収容され、上記ボタンに操作されるスイッチと、上記開口部の周縁部から上記筐体内に延びる壁と、上記ボタンと上記スイッチとの間に配置され上記開口部を覆うとともに、上記壁の周面に沿う周端部を有するシーリング部材と、上記シーリング部材の周端部を上記壁の周面に押圧する保持部材とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
この構成によれば、シーリング部材の圧縮方向と保持部材の取付方向とが互いに異なる。したがってボタンの大きさ及び形状に関わらず開口部回りが容易にシールされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1を開示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、本体2と表示ユニット3とを備えている。
【0011】
本体2は、本体ベース4と本体カバー5とを備える。本体カバー5は、本体ベース4に上方から取り付けられる。これにより、本体2は、上壁6a、側壁6b、および下壁(図示しない)を有する箱状の筐体6を備える。
【0012】
表示ユニット3は、ディスプレイハウジング7と、このディスプレイハウジング7に収容された液晶表示パネル8とを備えている。液晶表示パネル8は、表示画面8aを有する。表示画面8aは、ディスプレイハウジング7の前面の開口部7aを通じてディスプレイハウジング7の外部に露出している。
【0013】
表示ユニット3は、筐体6の後端部に図示しないヒンジ装置を介して支持されている。そのため、表示ユニット3は、上壁6aを上方から覆うように倒される閉じ位置と、上壁6aおよび表示画面8aを露出させるように起立する開き位置との間で回動可能である。
【0014】
図2に示すように、筐体6は、上壁6aの後端部に開口する第1の開口部11と、この第1の開口部11に取り付けられるカバー12とを有する。カバー12は、第1の開口部11に着脱自在に取り付けられ第1の開口部11を覆うとともに、上壁6aの一部を構成する。筐体6は、回路基板13を収容している。
【0015】
図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、押しボタンユニット15を有する。図3および図4に示すように、押しボタンユニット15は、接触スイッチ21(以下、スイッチ21と略)、ボタン22、シーリング部材23、およびホルダ24を有する。スイッチ21は、回路基板13に実装されている。ホルダ24は、保持部材の一例である。
【0016】
図3および図4に示すようには、カバー12には、第2の開口部31(以下、開口部31)が開口している。開口部31は、ボタン22の外形に比べて一回り大きな開口形状を有する。開口部31の周縁部には、起立壁32が設けられている。
【0017】
起立壁32は、上壁6aから起立して筐体6の内部に延びるとともに、開口部31の全周を取り囲む枠体に形成されている。起立壁32は、外周部33と内周部34とを有する。外周部33は、内周部34に比べて大きく突出している。
【0018】
ボタン22は、開口部31に配置される。ボタン22は、上壁22a、側壁22b、縁部22c、および押圧突起22dを有する。上壁22aは、開口部31を通じて筐体6の外部に露出され、ユーザーが直接押せるようになっている。側壁22bは、上壁22aの周縁から筐体6内を向いて延びている。縁部22cは、側壁22bの延伸端からボタン22の外側を向いて延びている。押圧突起22dは、上壁22aから筐体6の内部を向いて延びており、スイッチ21に対向する。
【0019】
ボタン22が配置された時、縁部22cの上面が起立壁32の内周部34の下面に接する。これにより、ボタン22が筐体6の外部に飛び出さないようになっている。図4および図5に示すように、ボタン22は、筐体6内に収容されたスイッチ21に対向する。ボタン22は、スイッチ21に近接する方向と離れる方向とに沿って筐体6内に進退自在である。ボタン22は、シーリング部材23を介してスイッチ21を操作する。
【0020】
図4に示すように、シーリング部材23は、ボタン22とスイッチ21との間に配置される。シーリング部材23は、フラット部36と起立部37とを有する。フラット部36は、開口部31より大きく形成され、開口部31の下方全体を覆う。起立部37は、フラット部36の全周囲の縁部から筐体上壁6aを向いて起立している。すなわちシーリング部材23は、平滑な底を有するカップ状に形成されている。起立部37は周端部の一例である。
【0021】
起立部37は、起立壁32の外周面32aに沿って取り付けられ、起立壁32の外周を取り囲む。起立部37は、ホルダ24と起立壁32との間で厚さ方向に例えば十分の数ミリ圧縮された状態で使用される。そのため起立部37は、圧縮されるのに必要な十分な厚さを有する。起立部37の厚さの一例は、1mm〜2mmである。
【0022】
フラット部36は、圧縮されることがない部位であり、起立部37のような厚さは必要ない。フラット部36の厚さの一例は、0.1mmである。ただし、フラット部36の厚さは特に限定されるものではなく、例えば起立部37と略同じでも良い。シーリング部材23は、例えばゴムまたはスポンジのような弾性を有する材料で形成される。
【0023】
図3に示すように、ホルダ24は、起立壁32に比べて大きくシーリング部材23を取り囲む枠体に形成されている。ホルダ24は、外周面24aと内周面24bとを有する。内周面24bの内径は、シーリング部材23の外径に比べて一回り小さく形成されている。
【0024】
図4に示すように、ホルダ24は、シーリング部材23の起立部37を起立壁32との間に挟みこむようにして起立壁32に嵌合される。起立壁32に嵌合したホルダ24は、シーリング部材23の起立部37を起立壁32の外周面32aに押圧する。これによりシーリング部材23の起立部37は、ホルダ24の内周面24bと起立壁32の外周面32aとの間で圧縮して保持される。シーリング部材23の起立部37が圧縮されると、筐体6の内部空間が開口部31から液密に隔離される。
【0025】
筐体上壁6aの裏面からは一対の取付突起41a,41bが突出している。ホルダ24は、取付突起41a,41bに対応する位置に一対の取付孔42a,42bを有する。ホルダ24は、取付孔42a,42bに取付突起41a,41bを挿入して位置合わせがなされる。ホルダ24が取り付けられた後、取付突起41a,41bの先端をホルダ24に溶着することで、ホルダ24が筐体6内に確実に固定される。なお、ホルダ24の取り付けは溶着に限らず、例えば筐体6にねじ止めなどしても良い。
【0026】
次にポータブルコンピュータ1の作用について説明する。
図5に示すように、ユーザーがボタン22を押すと、ボタン22が筐体6内に沈み込む。ボタン22が下方に移動するのに伴ってシーリング部材23のフラット部36が弾性変形し、フラット部36の下面がスイッチ21に接する。フラット部36がスイッチ21に接すると、スイッチ21が反応し、ポータブルコンピュータ1に信号が入力される。ユーザーがボタン22から指を離すと、ボタン22はシーリング部材23の弾性力により元の位置に復帰する。
【0027】
シーリング部材23のフラット部36が開口部31の下方全体を覆っている。さらにシーリング部材23の起立部37がホルダ24と起立壁32との間で圧縮保持され、開口部31に通じる空間を筐体6の内部から液密に隔離している。
【0028】
これにより、例えばポータブルコンピュータ1の操作中に誤ってコーヒーや水のような液体を筐体上壁6aにこぼしたとしても、液体が開口部31を通じて筐体6内に浸入することが防止される。
【0029】
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、ボタン22の大きさ及び形状に関わらず開口部31回りが容易にシールされる。すなわち、例えば開口部31回りに形成された壁の下面にシーリング部材を圧縮固定する場合、シーリング部材の圧縮方向とシーリング部材を固定する固定部材の取付方向とが互いに一致する。したがって固定部材はシーリング部材の圧縮に対する反力に逆らって取り付けられることになる。このため、ボタンが大型であったりボタン形状が複雑であったりすると、シーリング部材を固定する板金やねじなどの固定部材の大型化及び数の増加を招く。
【0030】
しかし、本実施形態に係るシーリング部材23は、起立壁32とホルダ24との間に挟まれて圧縮保持される。すなわち、シーリング部材23の圧縮方向は、上壁6aに平行な方向であり、ホルダ24の取付方向(すなわち固定方向)は上壁6aに対して直交する方向であり、この両者は互いに方向が異なる。
【0031】
つまり、ポータブルコンピュータ1においては、ホルダ24はシーリング部材23からその取付方向に対して反力を受けない。したがって、ホルダ24をその取付方向に沿って固定する固定部材(本実施形態では取付突起41a,41b)は、それほど大きな耐力を必要とせず小型化を図ることができる。
【0032】
換言すれば、例えボタン22のサイズ及び形状に伴なってシーリング部材23が大型化および形状が複雑化しても、固定部材がホルダ24を固定するのに必要な力はほとんど変わらない。したがって固定部材を大型化したり数を増加させたりする必要は無い。つまり、大きなボタンや形状が複雑なボタンが設けられる電子機器においても、起立壁32およびホルダ24を開口部31の形状に合わせて形成することで開口部31回りを容易に均一にシールすることができる。
【0033】
さらに言えば、押しボタンユニット15を小型化できるということであり、筐体6内の小さなスペースにも設置可能な押しボタンユニット15を得ることができる。
【0034】
シーリング部材23が起立壁32の外周面32aまで亘っていると、そのさらに外側に配置されるホルダ24が開口部31を通じて筐体6の外部に露出されないのでポータブルコンピュータ1の見栄えが良くなる。
【0035】
シーリング部材23は起立部37が圧縮される。逆を言えば、フラット部36は圧縮されない。したがって、フラット部36の厚さを起立部37の厚さに比べて薄くすることができる。例えばフラット部36の厚さが一定以上であると、ボタン22を押したときの感触がゴムを押したときの感触に近くなりあまりユーザーに好まれない。しかし、フラット部36を薄く形成することでユーザーはゴムの感触を感じること無く操作できるようになり、ポータブルコンピュータ1の操作性が向上する。
【0036】
ホルダ24が筐体6と別体に設けられることで、シーリング部材23を起立壁32とホルダ24との間に容易に挟み込むことができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ51について、図6および図7を参照して説明する。なお第1の実施形態に係るポータブルコンピュータ1と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
ポータブルコンピュータ51は、押しボタンユニット52と第2の起立壁53とを備える。押しボタンユニット52は、スイッチ21、ボタン22、シーリング部材23、およびホルダ54を有する。図6に示すように、第2の起立壁53は、上壁6aから起立して筐体6の内部に延びている。第2の起立壁53は、起立壁32(以下、説明のため第1の起立壁32)との間に互いに間隔を空けて、第1の起立壁32を取り囲む枠体に形成されている。第2の起立壁53からは、取付突起41a,41bが突出している。
【0039】
ホルダ54は、枠体55と一対の取付部56a,56bとを有する。枠体55の外径は、第2の起立壁53の内径と略同じである。取付部56a,56bは、枠体55の両端部に分かれて配置され、それぞれ取付孔42aまたは取付孔42bが形成されている。
【0040】
図7に示すように、ホルダ54は、シーリング部材23の起立部37を第1の起立壁32との間に挟み込むようにして、第1の起立壁32と第2の起立壁53との間に嵌合される。第1および第2の起立壁32,53の間に嵌合したホルダ54は、シーリング部材23の起立部37を第1の起立壁32の外周面32aに押圧する。ホルダ54の外周面54aは、第2の起立壁53により外側から支持される。
【0041】
このような構成のポータブルコンピュータ51によれば、ボタン22の大きさ及び形状に関わらず開口部31回りが容易にシールされる。すなわち、シーリング部材23は、第1の起立壁32とホルダ54との間で圧縮保持される。これにより第1の実施形態と同様に、大きなボタンや形状が複雑なボタンが設けられる電子機器においても、固定部材の大型化や数の増加を招くことなく、開口部回りを容易に均一にシールすることができる。
【0042】
本実施形態に係るポータブルコンピュータ51は、さらに第2の起立壁53を備える。ホルダ54は、シーリング部材23から外側に向かう反力を受ける。したがって、例えばホルダ54の強度が不足していると、ホルダ54が外側に撓むおそれがある。ホルダ54が撓むとそれだけシール性が損なわれる。しかしながら第2の起立壁53がホルダ54の外周面54aを支持すると、ホルダ54が撓みを生じない。これにより、ポータブルコンピュータ51は、さらに高いレベルのシール性を確保することができる。
【0043】
さらに、第2の起立壁53が設けられていると、ホルダ54の取り付けがホルダ54の外周面54aを第2の起立壁53に沿わせることでよりスムーズに行うことができる。これはポータブルコンピュータ51の組立性の向上に寄与する。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ61について、図8ないし図10を参照して説明する。なお第1および第2の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,51と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
ポータブルコンピュータ61は押しボタンユニット62を備える。押しボタンユニット62は、スイッチ21、ボタン22、シーリング部材23、およびホルダ63を備える。シーリング部材23のフラット部36の中央部には、円筒状の突起64が設けられている。ホルダ63は、枠体55、取付部56a,56b、ヘッド部65、および一対のアーム部66a,66bを有する。枠体55は、固定部の一例である。ヘッド部65は、可動部の一例である。
【0046】
図8に示すように、ヘッド部65は、円筒状に形成され、ホルダ63の中央部に位置している。図9に示すように、ヘッド部65はスイッチ21の上方に配置され、スイッチ21に対向している。図8に示すように、一方のアーム部66aは、枠体55の一端からヘッド部65に亘って設けられ、ヘッド部65を枠体55に繋ぐ。他方のアーム部66bは、枠体55の他端からヘッド部65に亘って設けられ、ヘッド部65を枠体55に繋ぐ。アーム部66a,66bの一例は、例えば合成樹脂のような弾性体で形成される。ヘッド部65はアーム部66a,66bに支持され、スイッチ21に近接または離間する方向に沿って進退自在である。
【0047】
ヘッド部65は、シーリング部材23を向いて開口する開口穴65aを有する。開口穴65aは、シーリング部材23の突起64に対応する位置に設けられ、突起64が挿入される。
【0048】
次に、ポータブルコンピュータ61の作用について説明する。
図10に示すように、ユーザーがボタン22を押すと、ボタン22が筐体6内に沈み込む。ボタン22が下方に移動するのに伴ってシーリング部材23を介してホルダ63のアーム部66a,66bが弾性変形し、ヘッド部65がスイッチ21に接する。ヘッド部65がスイッチ21に接すると、スイッチ21が反応し、ポータブルコンピュータ61に信号が入力される。ユーザーがボタン22から指を離すと、ボタン22はアーム部66a,66bの弾性力により元の位置に復帰する。
【0049】
このような構成のポータブルコンピュータ61によれば、ボタン22の大きさ及び形状に関わらず開口部31回りが容易にシールされる。すなわち、シーリング部材23は、第1の起立壁32とホルダ63との間で圧縮保持される。これにより第2の実施形態と同様に、大きなボタンや形状が複雑なボタンが設けられる電子機器においても、固定部材の大型化や数の増加を招くことなく、開口部回りを容易に均一にシールすることができる。
【0050】
さらに本実施形態に係るホルダ63は、ヘッド部65とアーム部66a,66bとを有する。ボタン22がアーム部66a,66bにより弾性支持されることで、ボタン22を押した時の感触からゴムの感触を払拭し、ユーザーに好まれる操作感を演出することができる。
【0051】
さらに、アーム部66a,66bの数、取付位置、長さまたは厚さなどを調整することで、ヘッド部65の反発力を容易に調整することができる。これによりボタン22を押した時の感触(すなわちクリック感)を容易に調整することが可能となり、より操作性の向上を図ったポータブルコンピュータ61を得ることができる。
【0052】
なお図11で示すように、シーリング部材23の起立部37とフラット部36とを互いに別部材で形成しても良い。この場合、フラット部36は例えば可撓性を有する合成樹脂製のシートでも良い。シートで形成されたフラット部36は、起立部37の下端に例えば接着部材などで貼り付けられる。
【0053】
第1の実施形態に係るホルダ24のような第2の起立壁53に支持されないホルダにヘッド部65およびアーム部66a,66bを設けても良い。ホルダ63がアーム部66a,66bを有せば、シーリング部材23は可撓性を有すれば良く弾性体である必要はない。
【0054】
次に、本発明の第4の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ71について、図12を参照して説明する。なお第1ないし第3の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,51,61と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。ポータブルコンピュータ71は、押しボタンユニット72を有する。
【0055】
ポータブルコンピュータ71の第1の起立壁32は、互いに並んで設けられる2つの開口部31,31を併せて取り囲む。押しボタンユニット72のシーリング部材23は、2つの開口部31,31の下方を全て覆う。ホルダ63は、複数のスイッチ21に対向する複数のヘッド部65と、各ヘッド部65を枠体55につなげるアーム部66a,66bとを有する。
【0056】
このような構成のポータブルコンピュータ71によれば、ボタン22の大きさ及び形状に関わらず開口部31回りが容易にシールされる。特に複数のボタンを併せてシールするシール構造に本発明の実施形態を適用することは、例えボタン22の数が多くても、固定部材の大型化や数の増加を招くことなく開口部回りを容易に均一にシールできるので有効である。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ81について、図13を参照して説明する。なお第1ないし第3の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,51,61と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
ポータブルコンピュータ81は、押しボタンユニット82を備える。押しボタンユニット82は、スイッチ21、ボタン22、シーリング部材83、およびホルダ84とを有する。
ポータブルコンピュータ81の起立壁32は、その延伸端から開口部31の内側を向いて延びる底壁85を有する。図13に示すように、シーリング部材83は、底壁85に載置され、ボタン22とスイッチ21との間に配置される。シーリング部材83の起立部37は、起立壁32の内周面32bに沿って取り付けられる。
【0059】
図13に示すように、ホルダ84は開口部31に取り付けられる。ホルダ84は、シーリング部材83の起立部37を起立壁32との間に挟みこむようにして起立壁32に嵌合される。起立壁32に嵌合されたホルダ84は、シーリング部材83の起立部37を起立壁32の内周面32bに押圧する。これによりシーリング部材83の起立部37は、ホルダ84の外周面84aと起立壁32の内周面32bとの間で圧縮して保持される。
【0060】
このような構成のポータブルコンピュータ81によれば、ボタン22の大きさ及び形状に関わらず開口部31回りが容易にシールされる。すなわち、シーリング部材83は、起立壁32とホルダ84との間で圧縮保持される。これにより第1の実施形態と同様に、大きなボタンや形状が複雑なボタンが設けられる電子機器においても、固定部材の大型化や数の増加を招くことなく、開口部31回りを容易に均一にシールすることができる。
【0061】
次に、他の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ101について、図14を参照して説明する。なお第1ないし第3の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,51,61と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
ポータブルコンピュータ101は、押しボタンユニット102を備える。押しボタンユニット102は、スイッチ21、ボタン22、シーリング部材103、およびホルダ104を備える。シーリング部材103は板状に形成されている。ホルダ104は、取付部105、ヘッド部65、およびアーム部66a,66bを有する。ホルダ104の取付部105は、シーリング部材103の周端部を起立壁32の下面との間に挟み込むようにして起立壁32にねじ止めされる。シーリング部材103は、起立壁32の下面とホルダ104の上面との間で圧縮保持される。なお、ホルダ104はねじ止めに代えて筐体6に溶着されても良い。
【0063】
このような構成のポータブルコンピュータ101によれば、ボタン22がアーム部66a,66bにより弾性支持されることで、ボタン22を押した時の感触からゴムの感触を払拭し、ユーザーに好まれる操作感を演出することができる。
【0064】
さらに、アーム部66a,66bの数、取付位置、長さまたは厚さなどを調整することで、ヘッド部65の反発力を容易に調整することができる。これによりボタン22を押した時の感触を調整することが可能となり、より操作性の向上を図ったポータブルコンピュータ101を得ることができる。
【0065】
以上、本発明の第1ないし第5の実施形態に係るポータブルコンピュータ1,51,61,71,81について説明したが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。例えば本発明に係る実施形態の各構成要素は適宜に組み合わせて用いることができる。本発明の実施形態は、例えばタッチパッドのボタンや電源ボタンのようなあらゆる押しボタンに適用することができる。本発明の実施形態が適用可能はポータブルコンピュータに限らず、例えば携帯電話機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、またはパーソナルデジタルアシスタントのような種々の電子機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】図1中に示されたポータブルコンピュータを一部分解して示す斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る押しボタンユニットを分解して示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る押しボタンユニットの断面図。
【図5】図4中に示されたボタンが押された状態を示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る押しボタンユニットを分解して示す斜視図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る押しボタンユニットの断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る押しボタンユニットを分解して示す斜視図。
【図9】図8に示された押しボタンユニットのF9−F9線に沿う断面図。
【図10】図9中に示されたボタンが押された状態を示す断面図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る押しボタンユニットの変形例の断面図。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る押しボタンユニットの断面図。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る押しボタンユニットの断面図。
【図14】他の実施形態に係る押しボタンユニットの断面図。
【符号の説明】
【0067】
1…ポータブルコンピュータ、6…筐体、15…ボタンユニット、21…スイッチ、22…ボタン、23…シーリング部材、24…ホルダ、31…開口部、32…起立壁、36…フラット部、37…起立部、51…ポータブルコンピュータ、53…第2の起立壁、54…ホルダ、61…ポータブルコンピュータ、63…ホルダ、65…ヘッド部、66a.66b…アーム部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
上記開口部に配置され、上記筐体内に進退自在なボタンと、
上記筐体に収容され、上記ボタンに操作されるスイッチと、
上記開口部の周縁部から上記筐体内に延びる壁と、
上記ボタンと上記スイッチとの間に配置され上記開口部を覆うとともに、上記壁の周面に沿う周端部を有するシーリング部材と、
上記シーリング部材の周端部を上記壁の周面に押圧する保持部材と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
上記シーリング部材の周端部は、上記壁の外周面に沿い、
上記保持部材は、上記シーリング部材の周端部を上記壁の外周面に押圧することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
上記筐体内に設けられ、上記保持部材の外周面を支持する他の壁を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子機器において、
上記保持部材は、上記シーリング部材の周端部を押圧する固定部と、上記スイッチに対向する可動部と、上記可動部を上記固定部に繋ぐアーム部とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
上記シーリング部材の周端部を外れた部位の厚さは、上記周端部の厚さに比べて薄いことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
開口部を有する筐体と、
上記筐体に収容されるスイッチと、
上記開口部に配置され、上記スイッチに対向するボタンと、
上記筐体内に設けられ、上記開口部を取り囲む枠と、
上記ボタンと上記スイッチとの間に配置されるシーリング部材と、
上記シーリング部材の周端部を上記枠の周面との間に挟みこむとともに、上記枠に嵌合されるホルダと、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
上記ホルダは、上記シーリング部材を取り囲む枠体に形成され、上記シーリング部材の周端部は、上記枠の外周面と上記ホルダの内周面との間で圧縮保持されることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、
上記枠を取り囲む他の枠を備え、上記シーリング部材の周端部および上記ホルダは、上記枠と上記他の枠との間に嵌合されることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器において、
上記ホルダは、上記スイッチに対向するヘッド部と、上記ヘッド部を上記枠体に繋ぐアーム部とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器において、
上記シーリング部材の周端部を外れた部位の厚さは、上記周端部の厚さに比べて薄いことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−220357(P2007−220357A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36891(P2006−36891)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】