説明

電子機器

【課題】筐体を回転させるときの破損を回避することができる電子機器を提供する。
【解決手段】第1筐体と、第2筐体と、第2筐体を第1筐体に対し開閉自在および回転自在に連結する連結ユニットとを備え、連結ユニットが、第1筐体を水平台上に置いたときに垂直に延び第1筐体に回転自在に連結された回転軸と、回転軸に固定されて水平方向に延び、第2筐体を第1筐体に対し開閉自在に支持するとともに回転軸の回転に伴って回転する開閉軸との2軸の連結ユニットであって、さらに、第2筐体が第1筐体に対し回転を許容する回転許容開き角範囲内に開いた状態にあるときのみ、回転軸を回転可能とするストッパを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体に対して第2筐体が開閉自在および回転自在に連結された電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップ型のパーソナルコンピュータや携帯電話機などといった携帯型の電子機器においては、キーボードやプッシュボタンが設けられた下側筐体に対し、表示画面が設けられた上側筐体を開閉自在に連結した構造が広く使用されている。このような電子機器では、下側筐体と上側筐体とが重なるように折り畳んで持ち運び、操作するときに、上側筐体を開いてキーボードやプッシュボタンを利用することができ、キーボードやプッシュボタンなどを小型化することなく、装置の携帯性を向上させている。
【0003】
さらに、近年では、上側筐体を下側筐体に対して開閉自在および回転自在に連結した電子機器も知られている(特許文献1および特許文献2参照)。例えば、1台のパーソナルコンピュータの表示画面を複数の人が確認する場合、表示画面が取り付けられた上側筐体を下側筐体に対して回転させることによって、各人に容易に表示画面を向けることができる。また、近年、パーソナルコンピュータに、キーボードなどを使った通常の入力操作モードに加えて、タッチペンなどで表示画面上にタッチしたり表示画面をなぞることにより指示を入力するタブレットモードが搭載されてきている。また、このようなパーソナルコンピュータには、タッチペンや指を用いて接触指示を行うタッチパネルではなく、電磁誘導形デジタイザを表示画面裏に搭載してスタイラスペンで指示された表示が免状の位置を検出するタイプの入力デバイスも利用される。このタブレットモードにおいては、上側筐体を下側筐体に対し回転させて、表示画面が外側を向いた状態で上側筐体と下側筐体とを重ねることによって、パーソナルコンピュータが持ちやすくなり、さらに、タッチペンによる入力がしやすくなる。このように、上側筐体を下側筐体に対して開閉自在および回転自在に連結することによって、電子機器の操作性をさらに向上させることができる。
【特許文献1】特開平8−191420号公報
【特許文献2】特開2004−118409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上側筐体を下側筐体に対して回転自在な電子機器では、通常、上側筐体を下側筐体に対して起立させた状態で回転させることが想定されているが、実際には、操作方法に詳しくないユーザが上側筐体を閉状態で回転させたり、大きく開きすぎた状態で回転させることがあり、上側筐体と下側筐体が擦れて傷をつけてしまったり、表示画面などを破損させてしまう場合がある。従来は、閉状態での回転を防止するために、表示画面の上側に、上側筐体を下側筐体に固定させるフックがつけることが行われているが、見栄えが良くないうえ、上側筐体を大きく開いて回転させてしまう場合には対応することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、筐体を回転させるときの破損を回避することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の電子機器において、
第1筐体と、
第2筐体と、
第2筐体を第1筐体に対し開閉自在および回転自在に連結する連結ユニットとを備え、
連結ユニットが、
第1筐体を水平台上に置いたときに垂直に延び第1筐体に回転自在に連結された回転軸と、回転軸に固定されて水平方向に延び、第2筐体を第1筐体に対し開閉自在に支持するとともに回転軸の回転に伴って回転する開閉軸との2軸の連結ユニットであって、さらに、
第2筐体が、第1筐体に対し、回転を許容する回転許容開き角範囲内に開いた状態にあるときのみ、回転軸を回転可能とするストッパを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の電子機器では、第1筐体に対して第2筐体が開閉自在かつ回転自在に連結されているが、第2筐体は、第1筐体に対し、回転を許容する回転許容開き角範囲外に開いた状態にあるときには、ストッパによって回転が制止される。このため、第2筐体が第1筐体に対して閉じた状態や、その逆に大きく開いた状態で回転されて障害物に衝突し、第2筐体が破損してしまう不具合を回避することができる。
【0008】
また、本発明の電子機器において、上記ストッパが、第1筐体に回転不能に支持されたものであって、ストッパおよび回転軸が、第2筐体が第1筐体に重なる閉状態にあるときに互いに嵌合する、ストッパ側嵌合部および回転軸側嵌合部をそれぞれ備え、
ストッパ、および第2筐体と開閉軸とを含む第2筐体側組立体が、第2筐体が閉状態から回転許容開き角範囲内に開いたときに互いに接触してストッパ側嵌合部の回転軸側嵌合部への嵌合を解除する、ストッパ側接触部材および第2筐体側接触部材を備えたものであることが好ましい。
【0009】
第2筐体が第1筐体に重なる閉状態にあるときに、ストッパ側嵌合部と回転軸側嵌合部が互いに嵌合して第2筐体の回転が制止され、第2筐体が閉状態から回転許容開き角範囲内に開いたときに、ストッパ側接触部材と第2筐体側接触部材とが接触してストッパ側嵌合部と回転軸側嵌合部の嵌合を解除することによって、第2筐体の開閉状態と第2筐体の回転制止/解除とを容易に連動させることができる。また、従来は、パーソナルコンピュータなどを閉じた状態で持ち運ぶときに筐体が回転してしまわないように、表示画面付近に回転止めのロック機構が設けられていることが一般的であるが、本発明の電子機器では、閉状態においては第2筐体の回転が制止されるため、表示画面付近のロック機構を省くことができ、デザイン性に優れているという利点もある。
【0010】
また、本発明の電子機器において、上記第2筐体側接触部材は、ストッパ側接触部材に接触した後第2筐体を回転軸まわりに回転開始させると、第2筐体側接触部材はストッパ側接触部材との接触が解除されて、ストッパ側嵌合部は回転軸側嵌合部への嵌合の解除が維持されるものであることが好適である。
【0011】
この好適な電子機器によると、第2筐体を回転許容開き角範囲外に開閉した状態では、第2筐体の回転を制止し、第2筐体を回転させてから第2筐体を回転許容開き角範囲外に開閉した場合には、第2筐体の回転が許容することができる。
【0012】
また、本発明の電子機器において、ストッパ側嵌合部は、上方に突出した凸部からなるとともに、回転軸側嵌合部は、下方に開口し凸部が嵌入する凹部からなり、
ストッパは上方にバネ付勢されて閉状態にあるときに凸部が凹部に嵌入した状態にあって、第2筐体側接触部材は、第2筐体が閉状態から回転許容開き角範囲内に開いたときにストッパ側接触部材を上方から押下して凸部を凹部から外すものであることが好ましい。
【0013】
第2筐体が閉状態においては、ストッパ側嵌合部の凸部が回転軸側嵌合部の凹部に嵌入して第2筐体の回転が制止され、第2筐体が閉状態から回転許容開き角範囲内に開いたときに、第2筐体に設けられた第2筐体側接触部材がストッパ側接触部材を上方から押下して、ストッパ側嵌合部の凹部を押し下げることによって、第2筐体の回転の制止/解除を容易に制御することができる。
【0014】
また、本発明の電子機器において、ストッパ側嵌合部と回転軸側嵌合部とのセット、およびストッパ側接触部材と第2筐体側接触部材とのセットが回転軸の軸中心両側にそれぞれ備えられていることが好ましい。
【0015】
ストッパ側嵌合部と回転軸側嵌合部とのセット、およびストッパ側接触部材と第2筐体側接触部材とのセットが回転軸の軸中心両側それぞれに備えられていることによって、第2筐体の回転の制止/解除を確実に制御することができるとともに、第2筐体が回転し始めてからのストッパ側接触部材と第2筐体側接触部材との干渉を避けてスムーズな回転を実現することができる。
【0016】
また、本発明の電子機器において、上記ストッパ側接触部材は、ストッパの、ストッパ側嵌合部を除く部分と比べ高剛性の材料からなるものであることが好ましい。
【0017】
ストッパ側接触部材を高剛性の材料で構成することによって、第2筐体側接触部材と接触することによる磨耗を抑えることができる。
【0018】
また、本発明の電子機器において、上記ストッパは、回転軸の軸中心両側に延びたアームを有し、アーム途中位置にストッパ側嵌合部を有しアーム先端にストッパ側接触部材を有するものであることが好適である。
【0019】
この好適な電子機器によると、簡易な機構で第2筐体の回転の制止/解除を制御することができる。
【0020】
また、本発明の電子機器において、上記第2筐体側接触部材は金属部材であり、上記ストッパ側接触部材は上記第2筐体側接触部材よりも潤滑性の高い樹脂部材であることが好ましい。このように各接触部材の材料を選択することにより、第2筐体の回転によるストッパ側接触部材の削りカス発生を防止することができ、その削りカスが第1筐体内へ進入することによる電子機器の誤動作を防止することができる。
【0021】
また、本発明の電子機器において、上記第2筐体は、情報を表示する表示画面を有するものであることが好ましい。
【0022】
また、本発明の電子機器において、上記第1筐体は、操作に応じた指示を入力するキーボードを備えたものであることが好ましい。
【0023】
また、本発明の電子機器において、上記表示画面に、第1筐体に対し第2筐体を開いた第1の使用状態では回転軸の方向を上下方向として情報を表示する第1の表示モードで情報を表示し、
第2筐体を第1筐体上に、表示画面を外側に向けて重ねた第2の使用状態では、回転軸と垂直な方向を上下方向として情報を表示する第2の表示モードで情報を表示する表示制御手段を備えたことが好ましい。
【0024】
タブレット型のパーソナルコンピュータでは、キーボードなどを使った通常の使用状態(第1の使用状態)では、回転軸の方向を上下方向として表示画面を横長の状態で使用し、タブレット機能を使用する場合(第2の使用状態)では、回転軸と垂直な方向を上下方向として表示画面を縦長の状態で使用できると便利である。本発明の電子機器によると、第1の使用状態および第2の使用状態それぞれの用途に合った向きで情報を表示させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、2つの筐体が開閉自在および回転自在に連結された電子機器において、筐体を回転させるときの破損を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【0028】
図1に示すパーソナルコンピュータ10は、電磁誘導形デジタイザを表示画面31の裏側に搭載し、スタイラスペンで指示された表示画面31上の位置を検出することにより指示入力を可能とする入力デバイスを備えている。なお、この入力デバイスとして、デジタイザとスタイラスペンに替えて表示画面31上に搭載するタッチパネルを採用してもよい。
【0029】
パーソナルコンピュータ10は、本体ユニット20と表示ユニット30を備えており、これら本体ユニット20と表示ユニット30は、表示ユニット30が本体ユニット20に対し矢印A−A方向に開閉自在および矢印B−B方向(本体ユニット20に対して垂直な回動軸のまわり)に回動自在となるように、二軸の連結ユニット40で連結されている。尚、本実施形態のパーソナルコンピュータにおいては、連結ユニット40によって、表示ユニット30が所定の規定開き角(本実施形態では、80°〜100°)外に開閉された状態においては、回転制御機構により回動軸まわりの表示ユニット30の回転が制止される。この回転制御機構については、後述する。この図1には、表示ユニット30が本体ユニット20に対し開いた状態(開状態)にあるパーソナルコンピュータ10が示されており、この開状態は、本発明にいう第1の使用状態に相当する。また、本体ユニット20は、本発明にいう第1筐体の一例にあたり、表示ユニット30は、本発明にいう第2筐体の一例にあたり、連結ユニット40は、本発明にいう連結ユニットの一例に相当する。
【0030】
本体ユニット20には、キーボード21、トラックパッド22、左クリックボタン23、右クリックボタン24が備えられており、さらに、表示ユニット30が開閉、および回転される際の衝突による磨耗を軽減するために、ゴム製の表示ユニット受け34が設けられている。また、本体ユニット20の一側面には、CDやDVD等の光ディスクを搭載して駆動しアクセスする光ディスクドライブ26の開閉蓋26aが備えられており、その開閉蓋26aには、それを押すことによってその開閉蓋26aが開くイジェクトボタン26bが設けられている。キーボード21は、本発明にいうキーボードの一例に相当する。
【0031】
パーソナルコンピュータ10の表示ユニット30は、その前面に表示画面31が広がっている。また、この表示ユニット30には、その表示画面31よりも下方の右端にいくつかの押ボタン32が設けられており、左端には、指先がなぞられることによって指紋認証を行う指紋センサ33が備えられている。表示画面31は、本発明にいう表示画面の一例に相当する。図1に示す開状態では、表示画面31上に、表示ユニット30の回転軸の方向を上下方向として情報が表示される。
【0032】
図2は、表示ユニット30を本体ユニット20上に閉じた状態の電子装置を示す外観斜視図である。
【0033】
図2では、表示ユニット30は、表示画面31(図1参照)を本体ユニット20に向けて重ねられた状態にある。以下では、これを第1の閉状態と称する。
【0034】
図1に示す開状態において、表示ユニット30が矢印A方向に閉じられると、図2に示すように、表示画面31が内側に隠蔽されて、表示画面31に対する裏面が外側に剥き出しになった第1の閉状態となる。この第1の閉状態では、表示画面31の汚れや破損を回避して、パーソナルコンピュータ10を持ち運ぶことができる。
【0035】
図3は、表示ユニットを本体ユニットに対しほぼ90°回動させた状態を示す外観斜視図である。
【0036】
表示ユニット30を、この状態を経由し、さらに表示画面31がキーボード21とは反対側を向くように回すことができる。
【0037】
図4は、表示ユニットが表示画面を上に向けて本体ユニット重ねられた状態を示す外観斜視図である。
【0038】
表示ユニット30を、図3に示す姿勢を経由してさらに表示画面31がキーボード21とは反対側を向くように回し、その状態で、その表示ユニット30の、表示画面31に対する裏面を本体ユニット20に向けて表示ユニット30を本体ユニット20に重ねると、図4に示す第2の閉状態となる。この第2の閉状態は、本発明にいう第2の使用状態の一例にあたる。以下では、第2の閉状態でパーソナルコンピュータ10を使用する操作モードをタブレットモードと称する。
【0039】
上述したように、この表示画面31は、その裏側に電磁誘導形デジタイザを備えて表示画面上の指示位置を検出するペン入力機能付きの表示画面であり、通常は、このタブレットモードにあるパーソナルコンピュータ10を一方の腕にかかえ、他方の手にペン(図示せず)を持って表示画面を操作するという使用態様が採用される。このタブレットモードにあるパーソナルコンピュータ10を腕にかかえたときの視線との関係から、図1に示す開状態と比べ、表示画面31上の表示画像は90°その向きが回転している。すなわち、タブレットモードでは、表示画面31上に、表示ユニット30の回転軸と垂直な方向を上下方向として情報が表示される。
【0040】
続いて、パーソナルコンピュータ10の内部構成について説明する。
【0041】
図5は、パーソナルコンピュータ10の内部構成図である。
【0042】
パーソナルコンピュータ10には、図5に示すように、各種プログラムを実行するCPU101、ハードディスク装置103に格納されたプログラムが読み出されCPU101での実行のために展開される主メモリ102、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置103、情報表示に関する処理を司る表示機構104、キーボード21やトラックパッド22などを含む操作子106、小型記録媒体200が装填され、装填された小型記録媒体200をアクセスする小型記録媒体ドライブ108、CD−ROM210やDVDが装填され、その装填されたCD−ROM210やDVDをアクセスするCD/DVDドライブ109、外部装置からデータを入力する入力インタフェース105、および外部装置へデータを出力する出力インタフェース110、および図1にも示す指紋センサ33などが内蔵されており、これらの各種要素は、バス111を介して相互に接続されている。尚、表示機構104は、図1に示す表示画面31上に表示する情報の向きなどを制御する表示制御装置1041、表示画面31上に情報を表示する表示装置1042、および表示画面31上の裏側に搭載されたデジタイザ1043で構成されている。表示制御装置1041は、本発明にいう表示制御部の一例に相当する。
【0043】
続いて、連結ユニット40について詳しく説明する。
【0044】
図6は、連結ユニット40の拡大図である。
【0045】
この図6には、表示ユニット30が本体ユニット20に対して完全に開いた状態における連結ユニット40が示されている。連結ユニット40は、表示ユニット30の回転を制止するストッパ300と、表示ユニット30を図1の矢印B方向に回転させる回転部400と、表示ユニット30を図1の矢印A方向に開閉させる開閉部500とで構成されている。ストッパ300は、本発明にいうストッパの一例にあたり、回転部400は、本発明にいう回転軸の一例にあたり、開閉部500は、本発明にいう開閉軸の一例に相当する。
【0046】
ストッパ300は、本体ユニット20に対して垂直上方向(図6の上方向)に付勢されたものであり、表示ユニット30の回転軸中心から両側に延びるアーム310を備えている。また、アーム310の両端それぞれからには、本体ユニット20に対して垂直上方向(図6の上方向)に突出する突起320が設けられている。このアーム310は金属材料で構成されており、この突起320はアーム310よりも潤滑性の高い樹脂材料で構成されている。アーム310は、本発明にいうアームの一例にあたり、突起320は、本発明にいうストッパ側接触部材の一例に相当する。
【0047】
回転部400は、表示ユニット30の回転軸となる回転体410と、回転体410から延びて回転軸中心から両側に延びて両端に開閉部500が取り付けられたアーム420とを備えている。
【0048】
開閉部500は、回転部400のアーム420を軸に回転することによって表示ユニット30を開閉させるものであり、表示ユニット30に固定される固定具510と、固定具10の一部に形成され、ストッパ300の突起320と接触する先端部520とで構成されている。開閉部500は、回転部400の回転体410が回転すると、回転体410から延びるアーム420とともに回転することとなる。この固定具10およびそれに設けられた先端部520はアーム420と同様に金属部材で構成されている。先端部520は、本発明にいう第2筐体側接触部材の一例に相当する。この先端部520は後述の回転制御が実現されるようストッパ300の突起320と接触する外周部分を所定のカーブとした先細りの形状を有する。
【0049】
この図6では、開閉部500の固定具510が倒れて先端部520が前方を向いており、表示ユニット30は本体ユニット20に対して完全に開いた状態になる。倒れている表示ユニット30を起こす場合、開閉部500がアーム420を軸に回転して表示ユニット30を閉じさせる。このとき、開閉部500の先端部520は、表示ユニット30が閉じられるのに伴って下方向に移動し、徐々にストッパ300の突起320を押下する。
【0050】
図7は、表示ユニット30が本体ユニット20に対して起立した状態における連結ユニット40の拡大図である。
【0051】
表示ユニット30が本体ユニット20に対して起立した状態では、開閉部500の突起320が本体ユニット20に対して垂直下方向(図6の下方向)を向いており、ストッパ300の突起320が最も押し下げられることとなる。
【0052】
図8は、パーソナルコンピュータ10を組み立てる途中段階における連結ユニット付近の拡大図である。
【0053】
図8に示すように、連結ユニット40は、回転部400の回転体410が本体ユニット20内に収容され、回転部400のアーム310が表示ユニット30内に収容され、開閉部500の固定具510が表示ユニット30に固定され、開閉部500の先端部520が表示ユニット30の下面から突出し、ストッパ300のアーム310が本体ユニット20内に収容され、ストッパ300の突起320が本体ユニット20から突出して開閉部500の先端部520と対面する。
【0054】
図9は、組み立てられたパーソナルコンピュータ10における連結ユニット付近の拡大図である。
【0055】
図9に示すように、本体ユニット20の、キーボード21よりも連結ユニット40に近い側がカバー28で覆われ、回転部400の回転体410やストッパ300のアーム310などが隠蔽されている。
【0056】
連結ユニット40は、基本的には以上のように構成されている。
【0057】
続いて、連結ユニット40における表示ユニット30の回転規制/解除方法について詳しく説明する。
【0058】
図10は、連結ユニット40における表示ユニット30の回転規制/解除方法を説明するための図である。
【0059】
図10(A)には、表示ユニット30が本体ユニット20に対して完全に開いた状態における連結ユニット40の概略的な構成が示されている。
【0060】
回転部400の回転体410には、下方に開口した凹部401が設けられており、ストッパ300のアーム310には、上方に突出して回転体410の凹部401に嵌入する凸部301が設けられている。凹部401は、本発明にいう回転軸側嵌合部の一例にあたるとともに、本発明にいう凹部の一例にも相当する。また、凸部301は、本発明にいうストッパ側嵌合部の一例にあたるとともに、本発明にいう凸部の一例にも相当する。
【0061】
表示ユニット30が本体ユニット20に対して大きく開いている状態では、開閉部500が本体ユニット20に対して倒れており、開閉部500の先端部520はストッパ300の突起320を押していない。ストッパ300は、本体ユニット20に対して上方向にバネ付勢されているため、この図10(A)に示す状態においては、ストッパ300の凸部301が回転部400の凹部401に嵌合し、回転部400の回転が制止される。
【0062】
図10(A)に示す状態から徐々に表示ユニット30を起こしていくと、開閉部500は本体ユニット20に対して立ち上がり、開閉部500の先端部520がストッパ300の突起320を押下し始める。その結果、ストッパ300が押し下げられ、ストッパ300の凸部301が凹部401から抜け始める。
【0063】
図10(B)には、表示ユニット30が本体ユニット20に対して起立した状態における連結ユニット40の概略的な構成が示されている。
【0064】
表示ユニット30が立ち上げられて開閉角度が所定の規定開き角(この例では、80°〜100°)の上限にまで達すると、ストッパ300の凸部301が凹部401から完全に抜けて、ストッパ300による回転部400の回転の制止が解除される。図10(B)に示す起立状態においては、開閉部500の先端部520が本体ユニット20に対して起立することによって、ストッパ300が最大に押し下げられる。
【0065】
ストッパ300による回転制止が解除された状態で表示ユニット30を回転させると、回転部400のアーム420に取り付けられ、表示ユニット30に固定された開閉部500も回転部400とともに回転する。このとき、互いに接触するストッパ300の突起320と開閉部500の先端部520のセットは、回転部400の軸中心両側にのみ用意されているため、回転部400が回転するとストッパ300と開閉部500との接触が解除され、スムーズな回転を実現することができる。
【0066】
図10(B)に示す状態からさらに表示ユニットを閉じると、開閉部500は本体ユニット20に対して図10(A)とは逆に固定具510を前に倒れ、開閉部500の先端部520がストッパ300の突起320を押下する力が弱まる。表示ユニット30が閉じられて開閉角度が所定の規定開き角(この例では、80°〜100°)の下限にまで達すると、ストッパ300がバネによって上方に付勢されることによって、ストッパ300の凸部301が凹部401に嵌め込まれる。
【0067】
このように、本実施形態によると、表示ユニット30が本体ユニット20に対して所定の所定の規定開き角(この例では、80°〜100°)の場合にのみ回転が許容されるため、表示ユニット30を閉じたまま、あるいは大きく開いたまま回転させてしまって、表示画面31などが破損してしまう不具合を回避することができる。
【0068】
また、図10(B)に示すように、表示ユニット30が本体ユニット20に対して閉じた状態では回転が制止されるため、従来のパーソナルコンピュータにように、表示画面31付近に表示ユニット30の回転止めのロック機構を備える必要がなく、デザイン性も向上させることができる。
【0069】
ここで、上記では、本発明の電子機器をタブレット型のパーソナルコンピュータに適用する例について説明したが、本発明の電子機器は、タブレット機能を有していないパーソナルコンピュータであってもよく、電子手帳などに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図2】表示ユニットを本体ユニット上に閉じた状態の電子装置を示す外観斜視図である。
【図3】表示ユニットを本体ユニットに対しほぼ90°回動させた状態を示す外観斜視図である。
【図4】表示ユニットが表示画面を上に向けて本体ユニット重ねられた状態を示す外観斜視図である。
【図5】パーソナルコンピュータの内部構成図である。
【図6】連結ユニットの拡大図である。
【図7】表示ユニットが本体ユニットに対して起立した状態における連結ユニットの拡大図である。
【図8】パーソナルコンピュータを組み立てる途中段階における連結ユニット付近の拡大図である。
【図9】組み立てられたパーソナルコンピュータにおける連結ユニット付近の拡大図である。
【図10】連結ユニットにおける表示ユニットの回転規制/解除方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0071】
10 パーソナルコンピュータ
20 本体ユニット
30 表示ユニット
21 キーボード
22 トラックパッド
23 左クリックボタン
24 右クリックボタン
31 表示画面
32 押ボタン
101 CPU
102 主メモリ
103 ハードディスク装置
104 表示機構
105 入力インタフェース
106 操作子

108 小型記録媒体ドライブ
109 CD/DVDドライブ
110 出力インタフェース
111 バス
200 小型記録媒体
210 CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器において、
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第2筐体を前記第1筐体に対し開閉自在および回転自在に連結する連結ユニットとを備え、
前記連結ユニットが、
前記第1筐体を水平台上に置いたときに垂直に延び該第1筐体に回転自在に連結された回転軸と、該回転軸に固定されて水平方向に延び、前記第2筐体を前記第1筐体に対し開閉自在に支持するとともに前記回転軸の回転に伴って回転する開閉軸との2軸の連結ユニットであって、さらに、
前記第2筐体が、前記第1筐体に対し、回転を許容する回転許容開き角範囲内に開いた状態にあるときのみ、前記回転軸を回転可能とするストッパを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ストッパが、前記第1筐体に回転不能に支持されたものであって、該ストッパおよび前記回転軸が、前記第2筐体が該第1筐体に重なる閉状態にあるときに互いに嵌合する、ストッパ側嵌合部および回転軸側嵌合部をそれぞれ備え、
前記ストッパ、および前記第2筐体と前記開閉軸とを含む第2筐体側組立体が、該第2筐体が前記閉状態から前記回転許容開き角範囲内に開いたときに互いに接触して前記ストッパ側嵌合部の前記回転軸側嵌合部への嵌合を解除する、ストッパ側接触部材および第2筐体側接触部材を備えたことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2筐体側接触部材は、前記ストッパ側接触部材に接触した後前記第2筐体を前記回転軸まわりに回転開始させると、該第2筐体側接触部材は該ストッパ側接触部材との接触が解除されて、前記ストッパ側嵌合部は前記回転軸側嵌合部への嵌合の解除が維持されるものであることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記ストッパ側嵌合部は、上方に突出した凸部からなるとともに、前記回転軸側嵌合部は、下方に開口し前記凸部が嵌入する凹部からなり、
前記ストッパは上方にバネ付勢されて前記閉状態にあるときに前記凸部が前記凹部に嵌入した状態にあって、前記第2筐体側接触部材は、前記第2筐体が前記閉状態から前記回転許容開き角範囲内に開いたときに前記ストッパ側接触部材を上方から押下して前記凸部を前記凹部から外すものであることを特徴とする請求項2又は3記載の電子機器。
【請求項5】
前記ストッパ側嵌合部と前記回転軸側嵌合部とのセット、および前記ストッパ側接触部材と前記第2筐体側接触部材とのセットが前記回転軸の軸中心両側にそれぞれ備えられていることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項記載の電子機器。
【請求項6】
前記ストッパ側接触部材は、前記ストッパの、該ストッパ側嵌合部を除く部分と比べ高剛性の材料からなるものであることを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項記載の電子機器。
【請求項7】
前記ストッパは、前記回転軸の軸中心両側に延びたアームを有し、該アーム途中位置に前記ストッパ側嵌合部を有し該アーム先端に前記ストッパ側接触部材を有するものであることを特徴とする請求項4から6のうちいずれか1項記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2筐体側接触部材は金属部材であり、前記ストッパ側接触部材は前記第2筐体側接触部材よりも潤滑性の高い樹脂部材であることを特徴とする請求項2項記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2筐体は、情報を表示する表示画面を有するものであることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1筐体は、操作に応じた指示を入力するキーボードを備えたものであることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項記載の電子機器。
【請求項11】
前記表示画面に、前記第1筐体に対し前記第2筐体を開いた第1の使用状態では前記回転軸の方向を上下方向として情報を表示する第1の表示モードで情報を表示し、
前記第2筐体を前記第1筐体上に、前記表示画面を外側に向けて重ねた第2の使用状態では、前記回転軸とは垂直な方向を上下方向として情報を表示する第2の表示モードで情報を表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項9又は10項記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−15386(P2009−15386A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173354(P2007−173354)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(592019877)富士通周辺機株式会社 (149)
【Fターム(参考)】