説明

電子機器

【課題】共通する回路基板に対して、実装ミスを低減しつつ異種部品を選択的に正しく装着し、別々な回路構成を構築し得る電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板41と、複数のリードを有する第1部品たるダイオードと、複数のリードを有する第2部品たるMOS型FETとを、電子機器の構成要素として備える。そして、ダイオードのリード若しくはMOS型FETのリードの何れか一方が選択的に接続され、複数のスルーホールからなる取付部45を回路基板41の適所に配設すると共に、ダイオードの一部のリードと、MOS型FETの一部のリードとを異なる形状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスイッチング電源装置などの各種電子機器において、同じ製品における異種の部品を同じ取付け方法で回路基板に実装する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイッチング電源装置などの電子機器においては、配線部である配線パターンを施した回路基板の他に、抵抗,コンデンサ,半導体素子などの各種部品が異なる回路方式毎に用意され、その回路基板に形成したスルーホールや導電パッドなどの取付部に、対応する部品のリードが実装取付けされる。こうした回路基板と部品リードとの実装構造は、例えば特許文献1や特許文献2などに開示されている。
【特許文献1】特開2005−12088号公報
【特許文献2】特開平9−214098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、スイッチング電源装置のような電子機器の場合、出力電圧の違いに応じて特性の良好な異なる部品を使用することが、装置の高効率化を実現する上で好ましい。例えば、低電圧大電流出力のスイッチング電源装置では、電力変換用トランスの出力側回路構成としてダイオード整流方式を採用すると、導通時における電力損失が増大し、大掛かりな放熱対策などを必要とすることから、回路基板に実装する部品として、ダイオードに比べてオン抵抗の小さなMOS型FET(電界効果トランジスタ)を構成要素とした同期整流方式が採用されてきた。
【0004】
そのため、従来は回路構成の違いによって回路基板がそれぞれ用意され、一方の回路基板にはダイオードを含むダイオード整流方式の出力側回路を実装し、他方の回路基板にはFETを含む同期整流方式の出力側回路を実装して、出力電圧に適した回路構成の装置をそれぞれ組立てていた。
【0005】
しかし上記従来技術では、出力電圧の違いによって回路基板を変更する必要があり、回路構成毎に異なる回路基板が必要となる。また、上述したトランスの二次側回路に組み込まれるダイオードやFETは、極性の違う異種部品ではあっても、同一若しくは類似のパッケージ形状のものを採用していると、誤って別な回路基板に実装するミスを生じ易い。そのため、組立作業の現場においては、共通する回路基板に対して異なる種類の部品を選択的に正しく装着し、最終的に望ましい回路構成の装置を効率良く組立てることが求められていた。
【0006】
本発明は上記の各問題点に着目してなされたもので、共通する回路基板に対して、実装ミスを低減しつつ異種部品を選択的に正しく装着し、別々な回路構成を構築し得る電子機器を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、回路基板と、第1リードを有する第1部品と、第2リードを有する第2部品とを備え、前記第1部品の第1リード若しくは前記第2部品の第2リードが選択的に接続される取付部を前記回路基板に配設し、前記第1リードと前記第2リードを異なる形状に形成した構成としている。
【0008】
また本発明は、上記目的を達成するために、前記第1リードまたは前記第2リードの主リード部の何れかが選択的に接続可能な共通接続部と、前記第1リードの副リード部だけが接続可能な第1接続部と、前記第2リードの副リード部だけが接続可能な第2接続部とにより前記取付部が構成される。
【0009】
さらに本発明は、前記第1部品がダイオードであり、前記第2部品がFETであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、第1部品若しくは第2部品の何れかを、回路構成に適した部品として共通する回路基板に選択的に実装できる。また、第1部品と第2部品は、そのパッケージ形状が同一であれば、第1部品の一部のリードおよび第2部品の一部のリードを互いに異なる形状に加工成形するだけで、回路基板への実装が可能になる。しかも、形状の異なる第1部品のリードと第2部品のリードを目視すれば、これらの第1部品と第2部品を明確に見分けることができるので、誤った部品を回路基板に実装するミスを低減できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、第1部品の主リード部を取付部の共通接続部に接続すると、第1部品の他の副リード部は自ずと取付部の第1接続部に接続され、別な第2部品のために設けられた第2接続部には何も接続されない。逆に、第2部品の主リード部を取付部の共通接続部に接続すると、第2部品の他の副リード部は自ずと取付部の第2接続部に接続され、別な第1部品のために設けられた第1接続部には何も接続されない。そのため、回路基板には回路構成に適した第1部品または第2部品が正しく接続されると共に、第1部品の副リード部または第2部品の副リード部の実装状態から、回路構成の違いを正しく見分けることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、回路構成の違いによってダイオード若しくはFETを誤りなく回路基板に実装できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明における電子機器の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本実施例で提案する電子機器の一例として、スイッチング電源装置の回路構成を示したものである。同図において、1A,1Bは装置に交流入力電圧を印加するための入力端子、2A,2Bは所定の直流出力電圧が発生する出力端子であり、入力側と出力側とを絶縁する電力変換用のトランス3が、入力端子1A,1Bと出力端子2A,2Bとの間に配設される。
【0015】
前記入力端子1A,1Bとトランス3の入力側巻線3Aとの間には、ブリッジダイオードからなる整流器4と、入力コンデンサ5と、主スイッチング素子6とによる入力側回路7が配設される。整流器4は入力端子1A,1B間の交流電圧を全波整流するもので、ここで整流された電圧が整流器4の出力端子間に接続する入力コンデンサ5で平滑され、主スイッチング素子6のスイッチング動作によりトランス3の入力側巻線3Aに断続的に印加される。主スイッチング素子6は図示されるように、半導体素子の一種であるMOS型FETで構成されるが、代わりにバイポーラトランジスタなどの各種スイッチ素子を用いてもよい。また、主スイッチング素子6のスイッチング動作は、図示しない制御手段からゲートに印加されるパルス駆動信号によって行われる。
【0016】
一方、トランス3の出力側巻線3Bと出力端子2A,2Bとの間には、ダイオード11AまたはMOS型FET11Bの何れかが選択的に用いられる整流素子11と、同様にダイオード12AまたはMOS型FET12Bの何れかが選択的に用いられる転流素子12と、チョークコイル13と、出力コンデンサ14とによる出力側回路15Aまたは出力側回路15Bが配設される。ここでは、ダイオード整流方式の出力側回路15Aを採用した場合に、トランス3の出力側巻線3Bに整流素子11としてのダイオード11Aが直列接続されると共に、この出力側巻線3Bとダイオード11Aとにより構成される直列回路の両端間に、転流素子12としてのダイオード12Aが接続される。また、代わりに同期整流方式の出力側回路15Bを採用すると、トランス3の出力側巻線3Bに整流素子11としてのMOS型FET11Bが直列接続されると共に、この出力側巻線3BとMOS型FET11Bとにより構成される直列回路の両端間に、転流素子12としてのMOS型FET12Bが接続される。そして、各出力側回路15A,15Bに共通して、何れも転流素子12の両端間にはチョークコイル13と出力コンデンサ14とによる直列回路が接続され、出力コンデンサ14の両端間に前記出力端子2A,2Bが接続される。
【0017】
そして、図1に示すダイオード整流方式の出力側回路15Aでは、主スイッチング素子6がオンすると、出力側巻線3Bに誘起される電圧によって、ダイオード11Aがオンすると共にダイオード12Aがオフし、この誘起電圧がチョークコイル13を通して出力コンデンサ14で平滑され、出力端子2A,2Bに直流出力電圧として発生する。また、主スイッチング素子6がオフすると、今度はダイオード11Aがオフすると共に、ダイオード12Aがオンすることにより、チョークコイル13の誘起電圧が出力コンデンサ14で平滑され、これが出力端子2A,2Bに直流出力電圧として発生する。
【0018】
一方、図1に示す同期整流方式の出力側回路15Bでは、前記主スイッチング素子6に同期して交互にオン・オフを繰り返すようなゲート駆動信号が、出力側回路15Bを構成するMOS型FET11B,12Bに与えられる。このゲート駆動信号は、前述の制御手段から与えられてもよいし、出力側巻線3Bの誘起電圧を利用してもよく、ここでは特に限定しない。そして、主スイッチング素子6がオンすると、MOS型FET11Bがオンすると共にMOS型FET12Bがオフし、出力側巻線3Bの誘起電圧がチョークコイル13を通して出力コンデンサ14で平滑され、これが出力端子2A,2Bに直流出力電圧として発生する。また、主スイッチング素子6がオフすると、今度はMOS型FET11Bがオフすると共に、MOS型FET12Bがオンすることにより、チョークコイル13の誘起電圧が出力コンデンサ14で平滑され、これが出力端子2A,2Bに直流出力電圧として発生するようになっている。
【0019】
次に、前記ダイオード11A,12AおよびMOS型FET11B,12Bの外観構成について、これに対応する図2や図3を参照しながらそれぞれ説明する。
【0020】
図2は、第1部品であるダイオード11A,12Aの外観図を示すものである。同図において、22はダイオード11A,12Aとしての素子本体を構成するパッケージ本体で、このパッケージ本体22の一側には、外部との電気的な導通を図るために、第1リードに相当する複数の導電性リード23,24,25が並設される。ここでは一例として、正面から見て中央に配置されたリード24を、ダイオード11A,12Aのアノード(記号Aとして示す)とし、その両側に配置された各リード23,25を、ダイオード11A,12Aのカソード(記号Kとして示す)としている。但し、リード23,24,25はその本数を含めて、図2以外の別な配置構成であっても構わない。
【0021】
図3は、第2部品であるMOS型FET11B,12Bの外観図を示すものである。同図において、32はMOS型FET11B,12Bとしての素子本体を構成するパッケージ本体で、このパッケージ本体32の一側には、外部との電気的な導通を図るために、第2リードに相当する複数の導電性リード33,34,35が並設される。ここでは一例として、正面から見て中央に配置されたリード34を、MOS型FET11B,12Bのドレイン(記号Dとして示す)とし、その一側に配置されたリード33を、MOS型FET11B,12Bのゲート(記号Gとして示す)とし、逆側である他側に配置されたリード35を、MOS型FET11B,12Bのソース(記号Sとして示す)としている。但しここでも、リード33,34,35はその本数を含めて、図3以外の別な配置構成であっても構わない。
【0022】
図2と図3の各外観図を比較すると、ダイオード11A,12Aのパッケージ本体22とMOS型FET11B,12Bのパッケージ本体32は同一の形状を有しており、パッケージ本体22に設けられるリード23,24,25と、パッケージ本体32に設けられるリード33,34,35は、それぞれが同じ基端位置から延びている。つまり、ここでのダイオード11A,12AとMOS型FET11B,12Bは、好ましくは例えばTO−220やTO−3Pなどのように、同一のパッケージ形状のものを使用している。
【0023】
一方、ダイオード11A,12Aのリード23,24,25と、それに対応するMOS型FET11B,12Bのリード33,34,35の形状について着目すると、共に主リード部に相当するリード24とリード34は、パッケージ本体22若しくはパッケージ本体32の一側を基端として同じ位置から同じ形状に折曲げ形成されているが、ダイオード11A,12Aの副リード部であるリード23,25は、パッケージ本体22の一側から直線上に延びているのに対して、MOS型FET11B,12Bの副リード部であるリード33,35は、パッケージ本体32の一側からリード34と逆側に折曲げ形成されており、ダイオード11A,12Aのリード24とリード23,25との間のピッチ(間隔)が、MOS型FET11B,12Bのリード34とリード33,35との間のピッチよりも狭くなっている。
【0024】
別な変形例として、例えばMOS型FET11B,12Bのリード33,35を直線上に形成する一方で、ダイオード11A,12Aのリード23,25を折曲げ形成して、本実施例とは逆に、ダイオード11A,12Aのリード24とリード23,25との間のピッチ(間隔)を、MOS型FET11B,12Bのリード34とリード33,35との間よりも広く形成してもよい。また、本実施例ではダイオード11A,12Aのカソードであるリード24と、MOS型FET11B,12Bのドレインであるリード34とを、電気配線上で共通する主リード部としているが、ダイオード11A,12Aのアノードであるリード25と、MOS型FET11B,12Bのソースであるリード35とを、単独若しくはリード24,34と同様に主リード部として同一形状にし、電気配線上で異なるダイオード11A,12Aのアノードとしてのリード23と、MOS型FET11B,12Bのゲートとしてのリード33を、異なる形状に形成してもよい。その他、第1部品や第2部品は実施例中のダイオード11A,12AやMOS型FET11B,12Bに限らず、別の部品であっても構わない。さらに、図2や図3に示すリード挿入タイプに代わって、表面実装タイプのパッケージ形状であってもよい。
【0025】
図4は、前記ダイオード11A,12AまたはMOS型FET11B,12Bの何れかが選択的に装着される回路基板41を部分的に示したものである。同図において、42は共通接続部としてのスルーホールであり、これはダイオード11A,12Aのリード24またはMOS型FET11B,12Bのリード34の何れかを選択的に挿入および接続できる形状で、回路基板41の適所に設けられる。また43は、ダイオード11A,12Aのリード24をスルーホール42に挿入したときに、このダイオード11A,12Aのリード23,25だけが挿入および接続できる第1接続部としてのスルーホールである。さらに、このスルーホール43とは別な位置には、MOS型FET11B,12Bのリード34をスルーホール42に挿入したときに、このMOS型FET11B,12Bのリード33,35だけが挿入および接続できる第2接続部としてのスルーホール44が設けられる。
【0026】
これらのスルーホール43,44は、スルーホール42と同様に回路基板41に配設されるが、ダイオード11A,12AやMOS型FET11B,12Bが表面実装タイプのものであれば、取付部である各スルーホール42,43,44に代わって、同じく取付部としての導電パッドを設けるのが好ましい。これらのスルーホール42,43,44には、各部品を挿入および接続した後で図1に示す出力側回路15Aまたは出力側回路15Bが構築できるように、回路基板41上で導電性の回路パターン(図示せず)が各々形成される。
【0027】
なお、図4に示すスルーホール42,43,44の形状や配置関係を、ダイオード11A,12AやMOS型FET11B,12Bの形状に合わせて適宜変更してよいことは勿論である。これらのスルーホール42,43,44を構成要素として、回路基板41には、ダイオード11A,12Aのリード23,24,25若しくはMOS型FET11B,12Bのリード33,34,35が選択的に挿入および接続され、最終的にダイオード11A,12A若しくはMOS型FET11B,12Bが当該回路基板41に実装される取付部45が配設される。
【0028】
上記構成において、ダイオード整流方式の出力側回路15Aを含むスイッチング電源装置を組立てる場合には、回路基板41の他に、出力側回路15Aを構成するダイオード11A,12Aを他の部品と共に予め用意する。このとき、ダイオード11A,12Aのリード23,25とMOS型FET11B,12Bのリード33,35は、その形状が明確に異なるため、誤ってMOS型FET11B,12Bを選択する可能性は低減する。
【0029】
その後、取付部45において、スルーホール42にダイオード11A,12Aのリード24を挿入すると、当該ダイオード11A,12Aのリード24と他のリード23,25との位置関係に対応して、スルーホール42と別なスルーホール43が設けられていることから、このスルーホール43にリード23,25が無理なく挿入する。スルーホール43の近傍には、ダイオード11A,12Aのアノードを示す「A」なる文字が、ダイオード11A,12Aの識別部として回路基板41上に印刷形成されているので、取付部45にダイオード11A,12Aが正しく挿入できたことを目視で容易に確認できる。後は、別なスルーホールに挿入された他の部品と共に、各リード23,24,25をスルーホール42,43に半田付け接続することで、ダイオード11A,12Aを含む各部品の回路基板41への実装が誤りなく完了する。
【0030】
これとは別に、同期整流方式の出力側回路15Bを含むスイッチング電源装置を組立てる場合には、回路基板41の他に、出力側回路15Bを構成するMOS型FET11B,12Bを他の部品と共に予め用意する。この場合も、ダイオード11A,12Aのリード23,25とMOS型FET11B,12Bのリード33,35は、お互いに形状が明確に異なるため、誤ってダイオード11A,12Aを選択する可能性は低減する。また回路基板41は、出力側回路15Aを含むスイッチング電源装置の組立時と同じものを利用できるので、回路構成の違いによって回路基板41を設計変更する必要もない。
【0031】
その後、取付部45において、スルーホール42にMOS型FET11B,12Bのリード34を挿入すると、当該MOS型FET11B,12Bのリード34と他のリード33,35との位置関係に対応して、スルーホール42と別なスルーホール44が設けられていることから、このスルーホール44にリード33,35が無理なく挿入する。スルーホール44の近傍には、MOS型FET11B,12Bのソースとゲートを示す「S」,「G」なるそれぞれの文字が、MOS型FET11B,12Bの識別部として回路基板41上に印刷形成されているので、この場合は取付部45にMOS型FET11B,12Bが正しく挿入できたことを目視で容易に確認できる。後は、別なスルーホールに挿入された他の部品と共に、各リード33,34,35をスルーホール42,44に半田付け接続することで、MOS型FET11B,12Bを含む各部品の回路基板41への実装が誤りなく完了する。
【0032】
以上のように、本実施例では回路基板41と、第1リードとして複数のリード23,24,25を有する第1部品たるダイオード11A,12Aと、第2リードとして複数のリード33,34,35を有する第2部品たるMOS型FET11B,12Bとを、電子機器であるスイッチング電源装置の構成要素として備えている。そして、ダイオード11A,12Aのリード23,24,25若しくはMOS型FET11B,12Bのリード33,34,35の何れか一方が選択的に接続され、複数のスルーホール42,43,44からなる取付部45を回路基板41の適所に配設すると共に、ダイオード11A,12Aの一部のリード23,25と、MOS型FET11B,12Bの一部のリード33,35とを異なる形状に形成している。
【0033】
このようにすると、ダイオード11A,12A若しくはMOS型FET11B,12Bの何れかを、回路構成に適した部品として共通する回路基板41に選択的に実装できる。特にここでは、出力側回路15A,15Bひいては出力電圧の違いに応じて、特性のよい部品をダイオード11A,12A若しくはMOS型FET11B,12Bの何れかから選択的に使用でき、電子機器たるスイッチング電源装置として高効率化を実現できる。
【0034】
また、ダイオード11A,12AとMOS型FET11B,12Bは、そのパッケージ形状が同一であれば、一部のリード23,25および一部のリード33,35を互いに異なる形状に加工成形するだけで、回路基板41への実装が可能になる。しかも、形状の異なるダイオード11A,12Aのリード23,25とMOS型FET11B,12Bのリード33,35を目視すれば、これらのダイオード11A,12AとMOS型FET11B,12Bを明確に見分けることができるので、誤った部品を回路基板41に実装するミスを低減できる。
【0035】
その結果、共通する回路基板41に対して、実装ミスを低減しつつ異種の部品であるダイオード11A,12AとMOS型FET11B,12Bとを選択的に正しく装着し、別々な回路構成を構築し得る電子機器としてのスイッチング電源装置を提供できる。
【0036】
また本実施例は、主リード部であるリード24と、それ以外の副リード部であるリード23,25で、前記ダイオード11A,12Aのリード23,24,25を構成する一方で、主リード部であるリード34と、それ以外の副リード部であるリード33,35で、前記MOS型FET11B,12Bのリード33,34,35を構成し、ダイオード11A,12Aのリード24またはMOS型FET11B,12Bのリード34の何れかが選択的に接続可能な共通接続部としてのスルーホール42と、ダイオード11A,12Aのリード23,25だけが接続可能な第1接続部としてのスルーホール43と、MOS型FET11B,12Bのリード33,35だけが接続可能な第2接続部としてのスルーホール44とにより、回路基板41に設けた取付部45が構成される。
【0037】
こうすると、ダイオード11A,12Aのリード24を取付部45のスルーホール42に接続すると、他のリード23,25は自ずと取付部45のスルーホール43に接続され、別なMOS型FET11B,12Bのために設けられたスルーホール44には何も接続されない。逆に、MOS型FET11B,12Bのリード34を取付部45のスルーホール42に接続すると、他のリード33,35は自ずと取付部45のスルーホール44に接続され、別なダイオード11A,12Aのために設けられたスルーホール43には何も接続されない。そのため、回路基板41には回路構成に適した部品であるダイオード11A,12AまたはMOS型FET11B,12Bが正しく接続されると共に、リード23,25またはリード33,35の実装状態から、回路構成の違いを正しく見分けることができる。
【0038】
さらに本発明は、前記第1部品がダイオード11A,12Aであり、前記第2部品がFETすなわちMOS型FET11B,12Bであることを特徴とする。
【0039】
これによって、回路構成の違いによってダイオード11A,12A若しくはMOS型FET11B,12Bを誤りなく回路基板に実装できる。
【0040】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。説明の都合上、実施例では電子機器としてスイッチング電源装置を示したが、それ以外のものであっても何等差し支えない。また、取付部に関しても、スルーホールや導電パッド以外で構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1を示す電子機器としてのスイッチング電源装置の回路図である。
【図2】同上、ダイオードの外観構成を示す正面図,側面図および斜視図である。
【図3】同上、MOS型FETの外観構成を示す正面図,側面図および斜視図である。
【図4】同上、図2のダイオードまたは図3のMOS型FETの何れかが挿入実装される回路基板の部分平面図である。
【符号の説明】
【0042】
11A,12A ダイオード(第1部品)
11B,12B MOS型FET(FET,第2部品)
23 リード(第1リード,副リード部)
24 リード(第1リード,主リード部)
25 リード(第1リード,副リード部)
33 リード(第2リード,副リード部)
34 リード(第2リード,主リード部)
35 リード(第2リード,副リード部)
41 回路基板
42 スルーホール(共通接続部)
43 スルーホール(第1接続部)
44 スルーホール(第2接続部)
45 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
第1リードを有する第1部品と、
第2リードを有する第2部品とを備え、
前記第1部品の第1リード若しくは前記第2部品の第2リードが選択的に接続される取付部を前記回路基板に配設し、
前記第1リードと前記第2リードを異なる形状に形成したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記取付部は、前記第1リードまたは前記第2リードの主リード部の何れかが選択的に接続可能な共通接続部と、
前記第1リードの副リード部だけが接続可能な第1接続部と、
前記第2リードの副リード部だけが接続可能な第2接続部とにより構成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1部品がダイオードであり、前記第2部品がFETであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−87032(P2010−87032A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251573(P2008−251573)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(390013723)TDKラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】