説明

電子機器

【課題】外観デザインを損ねることなく、複数の筐体が閉状態であるときの筐体間のズレやガタつきを低減できる電子機器を提供すること。
【解決手段】上筐体20と、上筐体20と回動自在に連結された下筐体40と、上筐体20内に設けられたレシーバと、上筐体20に設けられた凹部24と、凹部24に設けられ、レシーバから出力された音声を外部に導出する第1音孔23と、下筐体40に設けられ、上筐体20と下筐体40とが回動して、上筐体20と対向したときに、凹部24と係合する凸部45と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能にしたヒンジ部を有する二つの筐体を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器は、表示部を有する筐体(以下、上筐体)と、テンキーや十字キー等の操作部を有する筐体(以下、下筐体)とが回動自在に軸支(以下、ヒンジ部)されている。これにより、上筐体と下筐体とを開いて使用する状態(以下、開状態)で閲覧する表示部を大きく構成できるといった利便性と、閉じて使用する状態(以下、閉状態)ではコンパクトな形状にすることができるという携帯容易性の2つの利点を有している。
【0003】
このような電子機器において、上筐体と下筐体とが閉状態であるときに、ヒンジ部のガタつきに起因して、上筐体と下筐体との間にズレやガタつきが生じるといった課題があった。そこで、このような課題を解決させるための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図19、図20に示すように、特許文献1に記載の携帯端末100は、表示部を有する上筐体101と操作部を有する下筐体102とを有しており、ヒンジ部(図示省略)によって相対的に回動可能に支持されている。
【0005】
上筐体101において表示部103が設けられた内側面のヒンジ部とは反対側の端部に、折り畳む為の回転軸(図示省略)と平行に2個の緩衝部材104を配置する。緩衝部材104は携帯端末100が閉じた状態になった時に内側となる上筐体101の面が下筐体102の内側となる面に触れることにより付く疵を防止したり、閉じた状態における上筐体101と下筐体102とのズレを防止したりする為の弾性材である。
【0006】
また、下筐体102のキー操作部105が設けられた内側面のヒンジ部とは反対側の端部において、閉じた状態のときに2個の緩衝部材104のそれぞれと隣接する位置に、2個の緩衝部材106を配置する。緩衝部材106は、緩衝部材104と接することにより、携帯端末100が閉じ状態になったときに、上筐体101と下筐体102との幅方向の移動を規制することが出来る。これにより閉じた状態における上筐体101と下筐体102とのガタを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−100139号公報(要約、図19、図20)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の携帯端末100は、携帯端末100の閉状態における上筐体101、及び下筐体102のズレやガタつきを低減できるものの、上筐体101に2個の緩衝部材104を追加する必要があり、外観デザインが損なわれるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、外観デザインを損ねることなく、閉状態における2つの筐体のズレやガタつきを低減できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、第1筐体と、前記第1筐体と回動自在に連結された第2筐体と、前記第1筐体内に設けられた音声出力部と、前記第1筐体に設けられた凹部と、前記凹部に設けられ、前記音声出力部から出力された音声を外部に導出する第1音孔と、前記第2筐体に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動して、前記第1筐体と対向したときに、前記凹部と係合する凸部と、を備えたものである。
【0011】
これにより、前記第1筐体と前記第2筐体が対向した時の前記第1筐体と前記第2筐体の左右ズレを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、前記第2筐体内に設けられた音声入力部と、前記凸部に設けられ、前記音声入力部へ外部からの音声を導入する第2音孔と、をさらに備えたものである。
【0013】
これにより、前記凸部と前記音声入力部の構造を兼用することができる。
【0014】
また、本発明の第3の態様に係る電子機器は、前記凸部が緩衝部材を有し、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向したときに、前記緩衝部材を介して、前記凸部と前記凹部とが係合するものである。
【0015】
これにより、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向した時に前記第1筐体凸部と前記第2筐体凹部が触れることで発生する疵付きの防止と、前記第1筐体と前記第2筐体が対向する時の衝突音の発生を防止することができる。
【0016】
また、本発明の第4の態様に係る電子機器は、前記凹部が緩衝部材を有し、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向したときに、前記緩衝部材を介して、前記凸部と前記凹部とが係合するものである。
【0017】
これにより、前記第1筐体と前記第2筐体の疵付きの防止、及び衝突音の防止と前記第1筐体と前記第2筐体の左右ズレの2つの課題を、前記第1筐体と前記第2筐体に設けた凹凸により同時に防止することができる。
【0018】
また、本発明の第5の態様に係る電子機器は、前記凸部の突出長が、前記凹部の深さより大きいものである。
【0019】
これにより、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向した時に前記第1筐体と前記第2筐体が触れることで発生する第1筐体と第2筐体の対向面全体の疵付きを防止することができる。
【0020】
また、本発明の第6の態様に係る電子機器は、前記凸部が、前記凹部と係合したときに前記第1音孔に対向する位置に切り欠き部を備えたものである。
【0021】
これにより、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向した時にも通話(ハンズフリー)が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外観デザインを損ねることなく、閉止状態における2つの筐体のズレやガタつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る実施形態の電子機器を開いた状態の斜視図
【図2】本発明に係る実施形態および変形例における電子機器を閉じた状態の斜視図
【図3】本発明に係る実施形態の第1筐体の音孔部の拡大図
【図4】本発明に係る実施形態の第2筐体の音孔部の拡大図
【図5】本発明に係る実施形態における電子機器のA−A断面図
【図6】本発明に係る実施形態の第1変形例における電子機器を開いた状態の斜視図
【図7】本発明に係る実施形態の第1変形例における第2筐体の音孔部の拡大図
【図8】本発明に係る実施形態の第1変形例における電子機器のA−A断面図
【図9】本発明に係る実施形態の第2変形例における電子機器を開いた状態の斜視図
【図10】本発明に係る実施形態の第2変形例における第2筐体の音孔部の拡大図
【図11】本発明に係る実施形態の第2変形例における電子機器のA−A断面図
【図12】本発明に係る実施形態の第2変形例における電子機器を開いた状態のB−B断面図
【図13】本発明に係る実施形態の第3変形例における電子機器を開いた状態の斜視図
【図14】本発明に係る実施形態の第3変形例における第2筐体の音孔部の拡大図
【図15】本発明に係る実施形態の第3変形例における電子機器のA−A断面図
【図16】本発明に係る実施形態の第4変形例における電子機器を開いた状態の斜視図
【図17】本発明に係る実施形態の第4変形例における第2筐体の音孔部の拡大図
【図18】本発明に係る実施形態の第4変形例における電子機器のA−A断面図
【図19】従来の電子機器の斜視図(開止状態)
【図20】従来の電子機器の斜視図(閉止状態)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る実施形態の電子機器としての携帯端末10を開いた状態の斜視図である。また、図2は、本発明に係る実施形態の電子機器としての携帯端末10を閉じた状態の斜視図である。
【0026】
携帯端末10は、内面201に表示部21を有する上筐体20(第1筐体)と、内面201に多数のキー42から構成される操作部41を有する下筐体40(第2筐体)と、上筐体20および下筐体40を開閉可能に連結するヒンジ部50を有する。
【0027】
ヒンジ部50は、下筐体40に接続され、且つ下筐体40の幅方向に沿って配置された回動軸51を有する。従って回動軸51回り(図1において矢印A方向)に上筐体20と下筐体40を相対的に回転させることにより図1、図2に示す様に開閉できる。
【0028】
上筐体20において、ヒンジ部50と反対側の端部22側の内部には、通話時に通話相手から送信された音声を発するレシーバ(図示せず)が配置されている。
【0029】
また下筐体40において、ヒンジ部50と反対側の端部43側の内部には、通話時に通話相手へ伝える音声を集音するためのマイクロフォン(図示せず)が配置されている。
【0030】
図3は、本発明に係る実施形態の第1筐体の音孔部の拡大図である。また、図4は、本発明の実施形態の第2筐体の音孔部の拡大図である。
【0031】
上筐体20のレシーバから出力された音声を外部に導出する音孔23(第1音孔)は、上筐体20の内面201より一段低い凹部24に設けられている。ここで、凹部24の深さは、例えば、0.5mmである。
【0032】
クッション材で形成された部品431は、下筐体40に組み込まれた状態で構成され、下筐体40に組み込まれた時に、下筐体40の内面201より突出する。
【0033】
図5に示すように、上筐体20の凹部24と下筐体40の凸部45が閉止時に嵌合される。これにより、上筐体と下筐体とが対向した時の上筐体と下筐体の左右ズレを抑えることができる。また上筐体20の凹部24の深さよりも下筐体40の凸部45の高さの方を大きく設定することにより閉止時に上筐体20と下筐体40との間に必ず隙間が空く。これにより、上筐体と下筐体とが対向した時に、上筐体と下筐体が触れることで発生する上筐体と下筐体の対向面全体の疵付きを防止することができる。
【0034】
また、本発明に係る実施形態の電子機器10によれば、図1に示すように内面201に表示部21が設けられた上筐体20と、内面201に操作部41が設けられた下筐体40とがヒンジ部50により回動可能に連結されている。上筐体20の凹部24の内壁には、図4に示すように係合面である面取り面231が設けられ、下筐体40の凸部45の外壁には上筐体20の凹部24の係合面である面取り面231と係合可能な面取り面231が設けられている為、幅方向のズレ、ガタつきを防止出来る。
【0035】
尚、本発明の電子機器10は、前述した実施形態に限定されるものでなく、以下のとおり、適宜な変形改良等が可能である。
【0036】
(第1変形例)
図6、図7、図8に示すように、上筐体20のレシーバの音孔23をクッション材で形成された部品432で構成し、下筐体40のクッション材で形成された部品431を下筐体(例えばABS等の樹脂材料)と一体で構成しても良い。
【0037】
これにより、凸形状は平面や凹形状よりも応力がかかり易く破損し易い為、凹部をクッション材で構成し、凸部を剛性の強い材料で構成することで凸部の破損を軽減させることが出来る。
【0038】
(第2変形例)
図9、図10、図11に示すように、下筐体40のクッション材で形成された部品431とマイクロフォンの音孔44は、兼用しても良い。
【0039】
これにより、通話時にセットを右手で保持する場合と左手で保持する場合の口からマイクロフォンまでの距離の差を無くすることができる。
【0040】
さらに図12に示すように、上筐体20の凹部24の本体長手方向内壁部には係合面である面取り面232が設けられ、下筐体40の凸部45の本体長手方向外壁部には上筐体20の凹部24の係合面である面取り面232と係合可能な面取り面232が設けられている為、本体長手方向のズレ、ガタつきも防止出来る。
【0041】
また、レシーバ凹部24の内壁面取り面231と下筐体40のクッション材で形成された部品431の外壁面取り面231とを係合させているので、左右ガタ目的のみで新たに凹凸を設ける場合と比べて外観に与える影響を抑えることが出来る。
【0042】
また、上筐体20と下筐体40とのいずれもがタッチパネルのような操作部41と表示部21を兼ねる構成となっていても良い。すなわち上筐体20と下筐体40とのどちらに操作部41と表示部21とのそれぞれが配置されているかは問わない。尚、これらの変形例も本発明の範囲内に含まれると同時に、基本的に以下で説明する他の特徴についても同様である。
【0043】
また、上筐体20と下筐体40が積層する携帯状態において、上筐体20のレシーバ凹部24に接触するように、クッション材で形成された部品431を設置させているので上筐体20および下筐体40への疵つき防止が図れると共に面取り面231の幅方向の相対的ズレを防止できる。
【0044】
(第3変形例)
図13、図14、図15に示すように、上筐体20と下筐体40が積層する携帯状態において、クッション材で形成された部品431にマイクロフォン用の音孔44を設ける場合、マイクロフォン用の音孔44が塞がれない様にクッション材で形成された部品431に溝46を設けておくことが望ましい。
【0045】
これにより、上筐体と下筐体とが対向した時にも通話(ハンズフリー)が可能になる。
【0046】
(第4変形例)
前述した実施形態において、係合面として面取り面231を採用した場合(図5)を例示したが、これに代わって、図16、図17、図18に示すように、係合面としてR面25を採用することも可能である。
【0047】
これにより、デザインの自由度を広げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、外観デザインを損ねることなく、2つの筐体のズレやガタつきを低減するために、閉止状態において嵌合する凹凸を備えた電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0049】
10 電子機器
100 携帯端末(電子機器) 開止状態
101 上筐体
102 下筐体
103 表示部
104 緩衝部材
105 キー操作部
106 緩衝部材
20 上筐体
21 表示部
22 端部
23 音孔
24 凹部
25 R面
201 内面
231 面取り面
232 面取り面
40 下筐体
41 操作部
42 キー
43 端部
44 音孔
45 凸部
46 溝
431 クッション材で形成された部品
432 クッション材で形成された部品
50 ヒンジ部
51 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体と回動自在に連結された第2筐体と、
前記第1筐体内に設けられた音声出力部と、
前記第1筐体に設けられた凹部と、
前記凹部に設けられ、前記音声出力部から出力された音声を外部に導出する第1音孔と、
前記第2筐体に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動して、前記第1筐体と対向したときに、前記凹部と係合する凸部と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記第2筐体内に設けられた音声入力部と、
前記凸部に設けられ、前記音声入力部へ外部からの音声を導入する第2音孔と、をさらに備えた請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記凸部は緩衝部材を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体とが対向したときに、前記緩衝部材を介して、前記凸部と前記凹部とが係合する請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記凹部は緩衝部材を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体とが対向したときに、前記緩衝部材を介して、前記凸部と前記凹部とが係合する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記凸部の突出長が、前記凹部の深さより大きい請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記凸部は、前記凹部と係合したときに前記第1音孔に対向する位置に切り欠き部を備えた請求項1または請求項2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−239045(P2012−239045A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106843(P2011−106843)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】