電子機器
【課題】1つの表示装置を用いて3次元の画像表示を可能とする。
【解決手段】光学系40Aにおいて、第1回折光学素子H1によって反射された緑色の第1光G1は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第3回折光学素子H3によって反射され、左目に導かれる。第5回折光学素子H5によって反射された赤色の第1光R1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第7回折光学素子H7によって反射され、左目に導かれる。第9回折光学素子H9によって反射された青色の第1光B1は、第11回折光学素子H11によって反射され、左目に導かれる。
【解決手段】光学系40Aにおいて、第1回折光学素子H1によって反射された緑色の第1光G1は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第3回折光学素子H3によって反射され、左目に導かれる。第5回折光学素子H5によって反射された赤色の第1光R1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第7回折光学素子H7によって反射され、左目に導かれる。第9回折光学素子H9によって反射された青色の第1光B1は、第11回折光学素子H11によって反射され、左目に導かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元の画像を表示可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホログラム光学素子を用いたヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下HMDと称する)の技術が知られている。特許文献1には、1個の表示装置で表示された画像を左目と右目とに導く技術が開示されている。この技術によれば、左右の目に同じ画像が見えることになる。
また、特許文献2には、左目用の表示装置と、右目用の表示装置とを用い、左目用の画像を左目に導き、右目用の画像を右目に導く技術が開示されている。この技術によれば、左右の目で異なる画像が見えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33026号公報(図4)
【特許文献2】特開2008−527440号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、左右の目で同じ画像が見えることになるので、3次元の画像を表示することができない。一方、特許文献2に記載の技術では、左右の目で異なる画像が見えるので、3次元の画像を表示することが可能となる。しかしながら、表示装置が2個必要となるので、構成が複雑となり、HMD全体が大きくなるといった問題があった。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、1つの表示装置を用いて3次元の画像の表示を可能とすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力し、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成するようにしたので、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。このため、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。この結果、電子機器の構成を簡素化するとともに小型軽量化を図ることができる。
【0007】
次に、本発明に係る電子機器は、所定波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を第1光、他方の光を第2光としたとき、前記第1光と前記第2光とを射出する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部を透過した前記第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記導光部と反対側の面に設けられ、前記第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射する第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から第1方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から前記第1方向と反対の第2方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子とを備える。
【0008】
この発明によれば、反射角の異なる第1回折光学素子と第2回折光学素子とを備えるので、導光部において第1光と第2光とを逆の方向に導くことができる。そして、第3回折光学素子と第4回折光学素子とを用いることによって、左右の目に異なる画像を出力することが可能となる。これにより、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。この結果、電子機器の構成を簡素化するとともに小型軽量化を図ることができる。
【0009】
上述した電子機器において、所定波長は、赤色に対応する第1波長、緑色に対応する第2波長、青色に対応する第3波長を含み、前記第1光は、赤色に対応する赤色の第1光、緑色に対応する緑色の第1光、青色に対応する青色の第1光を含み、前記第2光は、赤色に対応する赤色の第2光、緑色に対応する緑色の第2光、青色に対応する青色の第2光を含み、前記第1回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を透過させ、 前記第2回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して−θ2の角度で反射し、前記第3回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して−θ1の角度で反射し、前記第4回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して+θ2の角度で反射する、ことが好ましい。
この発明によれば、1つの表示装置を用いて3次元のカラー画像を表示することが可能となる。よって、電子機器を薄型化することが可能となる。
【0010】
次に、本発明に係るヘッドマウントディスプレイは、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、 第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記赤色の第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記青色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、 前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記青色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、を備える。
【0011】
この発明によれば、表示装置は、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力する。これら6種類の光を、左方向と右方向に振る分けるために6個の回折光学素子を用い、さらに、左目と右目に導くために6個の回折光学素子を用いる。これによって、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成し、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。この結果、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。また、緑色に対応する第1乃至第4回折光学素子を、青色及び赤色に対応する第5乃至第12回折光学素子よりも人の目に近く配置したので、緑色の光は、回折光学素子の損失の影響を低減できる。人の視感度は青色及び赤色よりも緑色が高いので、表示画像の品質を向上させることができる。
【0012】
次に、本発明に係る電子機器は、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、 第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、 前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記青色の第2光、並びに前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、 前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記赤色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、表示装置は、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力する。これら6種類の光を、左方向と右方向に振る分けるために6個の回折光学素子を用い、さらに、左目と右目に導くために6個の回折光学素子を用いる。これによって、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成し、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。この結果、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。また、緑色に対応する第1乃至第4回折光学素子を、青色及び赤色に対応する第5乃至第12回折光学素子よりも人の目に近く配置したので、緑色の光は、回折光学素子の損失の影響を低減できる。人の視感度は青色及び赤色よりも緑色が高いので、表示画像の品質を向上させることができる。
【0014】
上述した電子機器において、前記表示装置は、複数の画素を備え、 前記複数の画素の各々は、前記赤色の第1光及び第2光、前記緑色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光のいずれかで発光する発光素子を備えることが好ましい。この場合、発光素子は、例えば、有機発光ダイオード素子であってもよいし、無機EL発光ダイオード素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの概略構成を示す平面図である。
【図2】同実施形態に係る発光装置の画素を模式的に示す説明図である。
【図3】発光素子からの出射光の特性を示すグラフである。
【図4】光学系40Aの構造を模式的に示す断面図である。
【図5】第1乃至第12回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図6】第1乃至第12回折光学素子の反射角を示す説明図である。
【図7】赤色の第1光、緑色の第1光、青色の第1光の光路を示す説明図である。
【図8】赤色の第2光、緑色の第2光、青色の第2光の光路を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイに用いる光学系40Bの構造を模式的に示す断面図である。
【図10】第1及び第3回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図11】赤色の第1光及び第2光、緑色の第1光及び第2光、青色の第1光及び第2光の光路を示す説明図である。
【図12】第2及び第4回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第3実施形態に係るヘッドマウントディスプレイに用いる光学系40Cの構造を模式的に示す断面図である。
【図14】変形例に係る光学系40Aの構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の電子機器の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD」と呼ぶ)100の概略構成を示す平面図である。HMD100は、人間(ユーザー)の頭部に装着される眼鏡状の表示装置であり、左目に対応する第1部11Lと、右目に対応する第2部11Rと、左耳に掛けるツル部12Lと、右耳に掛けるツル部12Rと、表示映像を生成する発光装置20とを含む。第1部11Lの左端部にはツル部12Lが取り付けられており、第2部11Rの右端部にはツル部12Rが取り付けられている。HMD100は、ツル部12Lを左耳に掛け、ツル部12Rを右耳に掛け、図示しないノーズパッドを鼻に当てることで、ユーザーの頭部に装着される。
【0017】
発光装置20から射出される光はレンズ30によって平行光に変換され、光学系40Aに導かれる。この例では、発光装置20の射出光がレンズ30によって平行光に変換されたが、平行光に変換できるのであれば、レンズ30の替わりにどのような光学系を用いてもよく、例えば、複数のレンズを組み合わせたものであってもよい。
【0018】
図2に発光装置20の画素を模式的に示す。この図に示すように、発光装置20には、X方向とY方向に沿って、複数の画素Pが形成される。そして、画素Pは、サブ画素Pr1、Pg1、及びPb1、並びにサブ画素Pr2、Pg2、及びPb2を含む。
サブ画素Pr1、Pg1、及びPb1には、左目用の画像が表示され、サブ画素Pr2、Pg2、及びPb2には右目用の画像が表示される。また、各サブ画素は、発光素子として有機EL(ElectroLuminescent)素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED素子」という)素子を含む。
また、サブ画素Pr1及びPr2は赤色、サブ画素Pg1及びPg2は緑色、サブ画素Pb1及びPb2は青色に対応する。
【0019】
次に、図3に各サブ画素のOLED素子の発光スぺクトルを示す。まず、サブ画素Pr1のOLED素子は、650nm(第1波長)を中心として短波長の光である赤色の第1光R1を発光する。その発光スぺクトルSr1は図3に示すようにピーク波長が640nmであって、第1波長より短い。一方、サブ画素Pr2のOLED素子は、650nm(第1波長)を中心として長波長の光である赤色の第2光R2を発光する。その発光スぺクトルSr2は図3に示すようにピーク波長が660nmであって、第1波長より長い。なお、発光スぺクトルSr1と発光スぺクトルSr2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0020】
次に、サブ画素Pg1のOLED素子は、550nm(第2波長)を中心として短波長の光である緑色の第1光G1を発光する。その発光スぺクトルSg1は図3に示すようにピーク波長が540nmであって、第2波長より短い。一方、サブ画素Pg2のOLED素子は、550nm(第2波長)を中心として長波長の光である緑色の第2光G2を発光する。その発光スぺクトルSg2は図3に示すようにピーク波長が560nmであって、第2波長より長い。なお、発光スぺクトルSg1と発光スぺクトルSg2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0021】
次に、サブ画素Pb1のOLED素子は、450nm(第3波長)を中心として短波長の光である青色の第1光B1を発光する。その発光スぺクトルSb1は図3に示すようにピーク波長が440nmであって、第3波長より短い。一方、サブ画素Pb2のOLED素子は、450nm(第3波長)を中心として長波長の光である青色の第2光B2を発光する。その発光スぺクトルSb2は図3に示すようにピーク波長が460nmであって、第3波長より長い。なお、発光スぺクトルSb1と発光スぺクトルSb2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0022】
次に、光学系40Aについて説明する。図4に光学系40Aを模式的に示す。光学系40Aは、第1導光部41及び第2導光部42と、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12を備える。第1導光部41及び第2導光部42は、例えば、ガラスやプラスッチク材料などで構成することができる。第1導光部41及び第2導光部42は、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過させる。また、第1導光部41の第1面411には、レンズ30から平行光が第1面411と垂直な方向である基準方向から入射し、第1面411と第2面412とは平行である。また、第2導光部42の第3面423は、第4面424と平行である。なお、第1導光部41の第1面411及び第2面412は平行なく湾曲していてもよく、第2導光部42の第3面423及び第4面424は平行なく湾曲していてもよい。
【0023】
第1乃至第12回折光学素子H1〜H12はいわゆるホログラム光学素子であって、所定波長の光を所定角度で反射し、それ以外の光を透過する光学特性を有する。第1回折光学素子H1は第1導光部41の第2面412に形成され、第2回折光学素子H2は第1回折光学素子H1の第1導光部41と反対側の面に接するように形成される。また、第2回折光学素子H2の第1回折光学素子H1と反対側の面は、第2導光部42と接している。
また、第3回折光学素子H3は、第1回折光学素子H1から左方向に所定距離だけ離れて第1導光部41の第2面412に形成され、第4回折光学素子H4は、第2回折光学素子H2から右方向に所定距離だけ離れて第1導光部41の第2面412に形成される。
【0024】
さらに、第5回折光学素子H5は第2導光部42の第4面424に形成され、第6回折光学素子H6は第5回折光学素子H5の第2導光部42と反対側の面に接するように形成される。
また、第7回折光学素子H7は、第5回折光学素子H5から左方向に所定距離だけ離れて第2導光部42の第4面424に形成され、第8回折光学素子H8は、第6回折光学素子H6から右方向に所定距離だけ離れて第2導光部42の第4面424に形成される。
【0025】
くわえて、第9回折光学素子H9は第6回折光学素子H6の第5回折光学素子H5と反対側の面と接するように形成され、第10回折光学素子H10は第9回折光学素子H9の第6回折光学素子H5と反対側の面と接するように形成される。
また、第11回折光学素子H11は、第9回折光学素子H9から左方向に所定距離だけ離れて第7回折光学素子H7と接するように形成され、第12回折光学素子H12は、第10回折光学素子H10から右方向に所定距離だけ離れて第8回折光学素子H8と接するように形成される。
【0026】
次に、図5に第1乃至第12回折光学素子H1〜H12の反射特性を示す。
反射特性GHは、第1及び第3回折光学素子H1及びH3の反射特性であって、540nmをピーク波長とする緑色の第1光G1を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
反射特性GLは、第2及び第4回折光学素子H2及びH4の反射特性であって、560nmをピーク波長とする緑色の第2光G2を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
【0027】
反射特性RHは、第5及び第7回折光学素子H5及びH7の反射特性であって、640nmをピーク波長とする赤色の第1光R1を反射し、赤色の第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
反射特性RLは、第6及び第8回折光学素子H6及びH8の反射特性であって、660nmをピーク波長とする赤色の第2光R2を反射し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
【0028】
反射特性BHは、第9及び第11回折光学素子H9及びH11の反射特性であって、440nmをピーク波長とする青色の第1光B1を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第2光B2を透過する。
反射特性BLは、第10及び第12回折光学素子H10及びH12の反射特性であって、460nmをピーク波長とする青色の第2光B2を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1を透過する。
【0029】
次に、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12の反射角について説明する。第1回折光学素子H1は図6(A)に示す+θ1が反射角となり、第3回折光学素子H3は−θ1が反射角となる。また、第2回折光学素子H2は図6(B)に示す−θ2が反射角となり、第4回折光学素子H4は+θ2が反射角となる。
第5回折光学素子H5は図6(C)に示す+θ3が反射角となり、第7回折光学素子H7は−θ3が反射角となる。また、第6回折光学素子H6は図6(D)に示す−θ4が反射角となり、第8回折光学素子H8は+θ4が反射角となる。
第9回折光学素子H9は図6(E)に示す+θ5が反射角となり、第11回折光学素子H11は−θ5が反射角となる。また、第10回折光学素子H10は図6(F)に示す−θ6が反射角となり、第12回折光学素子H12は+θ6が反射角となる。
なお、θ1=θ2=θ3=θ4=θ5=θ6であってもよい。
【0030】
上述したようにサブ画素Pr1、Pg1、及びPb1には、左目用の画像が表示され、サブ画素Pr2、Pg2、及びPb2には右目用の画像が表示される。以上の構成を用いることによって、発光装置20に表示される左目用の画像が光学系40Aによって左目に導かれ、右目用の画像が光学系40Aによって右目に導かれる点について以下説明する。
【0031】
サブ画素Pr1は赤色の第1光R1、サブ画素Pg1は緑色の第1光G1、サブ画素Pb1は青色の第1光B1を各々発光する。図7に赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1の光路を示す。
まず、第1回折光学素子H1の反射特性GHは、図5に示すように540nmにピークがある。緑色の第1光G1の発光スペクトルSg1は図3に示すように540nmをピークとするので、第1回折光学素子H1は緑色の第1光G1を反射する。さらに、反射角は、図6(A)に示す+θ1であるから、第1回折光学素子H1によって反射された緑色の第1光G1は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第3回折光学素子H3に入射する。第3回折光学素子H3は第1回折光学素子H1と同じ反射特性GHであり、反射角は、図6(A)に示す−θ1である。したがって、緑色の第1光G1は、第3回折光学素子H3によって反射され、左目に導かれる。
【0032】
次に、第5回折光学素子H5の反射特性RHは、図5に示すように640nmにピークがある。赤色の第1光R1の発光スペクトルSr1は図3に示すように640nmをピークとするので、第5回折光学素子H5は赤色の第1光R1を反射する。さらに、反射角は、図6(C)に示す+θ3であるから、第5回折光学素子H5によって反射された赤色の第1光R1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第7回折光学素子H7に入射する。第7回折光学素子H7は第5回折光学素子H5と同じ反射特性RHであり、反射角は、図6(C)に示す−θ3である。したがって、赤色の第1光R1は、第7回折光学素子H7によって反射され、左目に導かれる。
【0033】
次に、第9回折光学素子H9の反射特性BHは、図5に示すように440nmにピークがある。青色の第1光B1の発光スペクトルSb1は図3に示すように440nmをピークとするので、第9回折光学素子H9は青色の第1光B1を反射する。さらに、反射角は、図6(E)に示す+θ5であるから、第9回折光学素子H9によって反射された青色の第1光B1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第11回折光学素子H11に入射する。第11回折光学素子H11は第9回折光学素子H9と同じ反射特性BHであり、反射角は、図6(E)に示す−θ5である。したがって、青色の第1光B1は、第11回折光学素子H11によって反射され、左目に導かれる。
【0034】
サブ画素Pr2は赤色の第2光R2、サブ画素Pg2は緑色の第2光G2、サブ画素Pb2は青色の第2光B2を各々発光する。図8に赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2の光路を示す。
まず、第2回折光学素子H2の反射特性GLは、図5に示すように560nmにピークがある。緑色の第2光G2の発光スペクトルSg2は図3に示すように560nmをピークとするので、第2回折光学素子H2は緑色の第2光G2を反射する。さらに、反射角は、図6(B)に示す−θ2であるから、第2回折光学素子H2によって反射された緑色の第2光G2は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第4回折光学素子H4に入射する。第4回折光学素子H4は第2回折光学素子H2と同じ反射特性GLであり、反射角は、図6(B)に示す+θ2である。したがって、緑色の第2光G2は、第4回折光学素子H4によって反射され、右目に導かれる。
【0035】
次に、第6回折光学素子H6の反射特性RLは、図5に示すように660nmにピークがある。赤色の第2光R2の発光スペクトルSr2は図3に示すように660nmをピークとするので、第6回折光学素子H6は赤色の第2光R2を反射する。さらに、反射角は、図6(D)に示す−θ4であるから、第6回折光学素子H6によって反射された赤色の第2光R2は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第8回折光学素子H8に入射する。第8回折光学素子H8は第6回折光学素子H6と同じ反射特性RLであり、反射角は、図6(D)に示す+θ4である。したがって、赤色の第2光R2は、第8回折光学素子H8によって反射され、右目に導かれる。
【0036】
次に、第10回折光学素子H10の反射特性BLは、図5に示すように460nmにピークがある。青色の第2光B2の発光スペクトルSb2は図3に示すように460nmをピークとするので、第10回折光学素子H10は青色の第2光B2を反射する。さらに、反射角は、図6(F)に示す−θ6であるから、第10回折光学素子H10によって反射された青色の第2光B2は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第12回折光学素子H12に入射する。第12回折光学素子H12は第10回折光学素子H10と同じ反射特性BLであり、反射角は、図6(F)に示す+θ6である。したがって、青色の第2光B2は、第12回折光学素子H12によって反射され、右目に導かれる。
【0037】
このように本実施形態では、発光装置20において、左目用の画像と右目用の画像とを、人が違和感を感じない程度、波長をずらした赤色、緑色及び青色の光で表示し、回折光学素子の波長選択性を用いて左目と右目に導くようにした。これにより、1つの発光装置20を用いて3次元の画像の表示が可能となった。
【0038】
上述した実施形態では、緑色の第1光G1及び第2光G2を反射する第1乃至第4回折光学素子H1〜H4を赤色及び青色の第5乃至第12回折光学素子H5〜H12よりも人の目の側に配置した。回折光学素子は波長の透過特性が良好であるが、その特性によっては若干の損失もあり得る。人の目の感度は、赤色及び青色に比較して緑色が高い。上述した配置によれば、緑色の光の損失を低減することができるので、高品質の画像を表示することが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1、第3回折光学素子H3、第2導光部42、第5回折光学素子H5、第7回折光学素子H7、第9回折光学素子H9、及び第11回折光学素子H11は、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第2回折光学素子H2、第4回折光学素子H4、第2導光部42、第6回折光学素子H6、第8回折光学素子H8、第10回折光学素子H10、及び第12回折光学素子H12は、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0040】
<2.第2実施形態>
第1実施形態では、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12が1つの波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を透過させた。これに対して、第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で3つの波長を選択的に反射する点で相違する。なお、第2実施形態のHMD100は、光学系40Aの替わりに光学系40Bを用いる点を除いて、第1実施形態のHMD100と同様に構成されている。
【0041】
図9に第2実施形態の光学系40Bの模式図を示す。この図に示すように光学系40Bは、第1導光部41と、その第2面412に形成された第1回折光学素子H1a、第1回折光学素子H1aと接するように形成された第2回折光学素子H2a、第1回折光学素子H1aから左方向に所定距離だけ離れ第2面412に形成された第3回折光学素子H3a、第2回折光学素子H2aから右方向に所定距離だけ離れ第2面412に形成された第4回折光学素子H4aを備える。
【0042】
ここで、第1回折光学素子H1a及び第3回折光学素子H3aは、図10に示すように反射特性RH、GH、及びBHを有し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を反射し、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を透過する。また、第1回折光学素子H1aの反射角は+θ1である一方、第3回折光学素子H3aの反射角は−θ1である。このため、図11に示すように赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1は第1回折光学素子H1aで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら左方向に進み、第3回折光学素子H3aで反射され、左目に導かれる。
【0043】
一方、第2回折光学素子H2a及び第4回折光学素子H4aは、図12に示すように反射特性RL、GL、及びBLを有し、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を反射し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を透過する。また、第2回折光学素子H2aの反射角は−θ1である一方、第4回折光学素子H4aの反射角は+θ1である。このため、図11に示すように赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2は第2回折光学素子H2aで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら右方向に進み、第4回折光学素子H3aで反射され、右目に導かれる。
【0044】
このように第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で3つの波長を選択的に反射するように構成したので、光学系40Bの構成を簡素化することができる。特に、HMD100の厚さを薄くできるので、使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1a、及び第3回折光学素子H3aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第2回折光学素子H2a、及び第4回折光学素子H4aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0046】
<3.第3実施形態>
第3実施形態のHMD100は、第1回折光学素子H1a及び第2回折光学素子H2aの替わりに第1回折光学素子H1bを用いる点を除いて、第2実施形態のHMD100と同様に構成されている。
図13に第3実施形態のHMD100で用いる光学系40Cを示す。第1回折光学素子H1bは、正の反射角+θ1と負の反射角−θ1の双方を備える。そして、反射角+θ1では図10に示す反射特性RH、GH及びBHを示し、反射角−θ1では図12に示す反射特性RL、GL及びBLを示す。
【0047】
したがって、図13に示すように、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1は第1回折光学素子H1bで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら左方向に進み、第3回折光学素子H3aで反射され、左目に導かれる。一方、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2は第1回折光学素子H1bで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら右方向に進み、第4回折光学素子H4aで反射され、右目に導かれる。
【0048】
このように第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で6つの波長を選択的に反射するように構成したので、光学系40Cの構成を簡素化することができる。
【0049】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1b、及び第3回折光学素子H3aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1b及び第4回折光学素子H4aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0050】
<4.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0051】
(1)変形例1
上述した各実施形態では、表示装置として発光装置20を用いたが、図3に示す発光スぺクトルが得られる表示装置であれば、どのようなものを用いてもよい。例えば、バックライトの発光波長とカラーフィルタ特性とを組み合わせて、図3に示す発光スぺクトルが得られる液晶表示装置を用いてもよい。
【0052】
(2)変形例2
上述した各実施形態では、発光装置20はサブ画素Pr1、Pg1、及びPb1とサブ画素Pr2、Pg2、及びPb2を同時に発光させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを時分割で発光させてもよい。また、一つのサブ画素に第1光(短波長)と第2光(長波長)を発光する発光素子を各々設け、これらの発光素子を時分割で駆動するようにしてもよい。
【0053】
(3)変形例3
上述した各実施形態では、各色の第1光を短波長側とし、第2光を長波長側としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1光を長波長側とし、第2光を短波長側としてもよい。また、第1実施形態において、図14に示すように第9回折光学素子H9及び第10回折光学素子H10と第6回折光学素子H6及び第5回折光学素子H5とを入れ替え、第11回折光学素子H11と第7回折光学素子H7を入れ替え、第12回折光学素子H12と第8回折光学素子H8とを入れ替えてもよい。
【0054】
(4)変形例4
上述した各実施形態及び変形例では、各種の回折光学素子を組み合わせて左目と右目に異なる画像の光が入射するようにしたが、本発明はこれらに限定されるものではない。要は、表示装置において、赤色の第1光、緑色の第1光、及び青色の第1光によって左目用の画像を表示し、赤色の第2光、緑色の第2光、及び青色の第2光によって右目用の画像を表示し、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて表示装置から射出される光から左目用の画像を分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて表示装置から射出される光から右目用の画像を分離して右目に入射するように出力する第2光学系とを備えればよい。
【符号の説明】
【0055】
11L,11R……レンズ、12L,12R……ツル部、20……発光装置、30……レンズ、40A〜40C……光学系、H1〜H12……回折光学素子、41……第1導光部、42……第1導光部、100……ヘッドマウントディスプレイ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元の画像を表示可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホログラム光学素子を用いたヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下HMDと称する)の技術が知られている。特許文献1には、1個の表示装置で表示された画像を左目と右目とに導く技術が開示されている。この技術によれば、左右の目に同じ画像が見えることになる。
また、特許文献2には、左目用の表示装置と、右目用の表示装置とを用い、左目用の画像を左目に導き、右目用の画像を右目に導く技術が開示されている。この技術によれば、左右の目で異なる画像が見えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33026号公報(図4)
【特許文献2】特開2008−527440号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、左右の目で同じ画像が見えることになるので、3次元の画像を表示することができない。一方、特許文献2に記載の技術では、左右の目で異なる画像が見えるので、3次元の画像を表示することが可能となる。しかしながら、表示装置が2個必要となるので、構成が複雑となり、HMD全体が大きくなるといった問題があった。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、1つの表示装置を用いて3次元の画像の表示を可能とすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力し、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成するようにしたので、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。このため、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。この結果、電子機器の構成を簡素化するとともに小型軽量化を図ることができる。
【0007】
次に、本発明に係る電子機器は、所定波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を第1光、他方の光を第2光としたとき、前記第1光と前記第2光とを射出する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部を透過した前記第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記導光部と反対側の面に設けられ、前記第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射する第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から第1方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から前記第1方向と反対の第2方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子とを備える。
【0008】
この発明によれば、反射角の異なる第1回折光学素子と第2回折光学素子とを備えるので、導光部において第1光と第2光とを逆の方向に導くことができる。そして、第3回折光学素子と第4回折光学素子とを用いることによって、左右の目に異なる画像を出力することが可能となる。これにより、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。この結果、電子機器の構成を簡素化するとともに小型軽量化を図ることができる。
【0009】
上述した電子機器において、所定波長は、赤色に対応する第1波長、緑色に対応する第2波長、青色に対応する第3波長を含み、前記第1光は、赤色に対応する赤色の第1光、緑色に対応する緑色の第1光、青色に対応する青色の第1光を含み、前記第2光は、赤色に対応する赤色の第2光、緑色に対応する緑色の第2光、青色に対応する青色の第2光を含み、前記第1回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を透過させ、 前記第2回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して−θ2の角度で反射し、前記第3回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して−θ1の角度で反射し、前記第4回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して+θ2の角度で反射する、ことが好ましい。
この発明によれば、1つの表示装置を用いて3次元のカラー画像を表示することが可能となる。よって、電子機器を薄型化することが可能となる。
【0010】
次に、本発明に係るヘッドマウントディスプレイは、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、 第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記赤色の第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記青色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、 前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記青色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、を備える。
【0011】
この発明によれば、表示装置は、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力する。これら6種類の光を、左方向と右方向に振る分けるために6個の回折光学素子を用い、さらに、左目と右目に導くために6個の回折光学素子を用いる。これによって、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成し、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。この結果、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。また、緑色に対応する第1乃至第4回折光学素子を、青色及び赤色に対応する第5乃至第12回折光学素子よりも人の目に近く配置したので、緑色の光は、回折光学素子の損失の影響を低減できる。人の視感度は青色及び赤色よりも緑色が高いので、表示画像の品質を向上させることができる。
【0012】
次に、本発明に係る電子機器は、赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、 第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、 前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記青色の第2光、並びに前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、 前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記赤色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、表示装置は、赤色、緑色、及び青色の各色について波長の異なる第1光及び第2光を出力する。これら6種類の光を、左方向と右方向に振る分けるために6個の回折光学素子を用い、さらに、左目と右目に導くために6個の回折光学素子を用いる。これによって、第1光によって左目用の画像を第2光によって右目用の画像を形成し、各色の波長の違いに基づいて、左目用の画像と右目用の画像を分離することができる。この結果、1つの表示装置を用いて3次元の画像を表示することが可能となる。また、緑色に対応する第1乃至第4回折光学素子を、青色及び赤色に対応する第5乃至第12回折光学素子よりも人の目に近く配置したので、緑色の光は、回折光学素子の損失の影響を低減できる。人の視感度は青色及び赤色よりも緑色が高いので、表示画像の品質を向上させることができる。
【0014】
上述した電子機器において、前記表示装置は、複数の画素を備え、 前記複数の画素の各々は、前記赤色の第1光及び第2光、前記緑色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光のいずれかで発光する発光素子を備えることが好ましい。この場合、発光素子は、例えば、有機発光ダイオード素子であってもよいし、無機EL発光ダイオード素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの概略構成を示す平面図である。
【図2】同実施形態に係る発光装置の画素を模式的に示す説明図である。
【図3】発光素子からの出射光の特性を示すグラフである。
【図4】光学系40Aの構造を模式的に示す断面図である。
【図5】第1乃至第12回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図6】第1乃至第12回折光学素子の反射角を示す説明図である。
【図7】赤色の第1光、緑色の第1光、青色の第1光の光路を示す説明図である。
【図8】赤色の第2光、緑色の第2光、青色の第2光の光路を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイに用いる光学系40Bの構造を模式的に示す断面図である。
【図10】第1及び第3回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図11】赤色の第1光及び第2光、緑色の第1光及び第2光、青色の第1光及び第2光の光路を示す説明図である。
【図12】第2及び第4回折光学素子の反射特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第3実施形態に係るヘッドマウントディスプレイに用いる光学系40Cの構造を模式的に示す断面図である。
【図14】変形例に係る光学系40Aの構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の電子機器の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD」と呼ぶ)100の概略構成を示す平面図である。HMD100は、人間(ユーザー)の頭部に装着される眼鏡状の表示装置であり、左目に対応する第1部11Lと、右目に対応する第2部11Rと、左耳に掛けるツル部12Lと、右耳に掛けるツル部12Rと、表示映像を生成する発光装置20とを含む。第1部11Lの左端部にはツル部12Lが取り付けられており、第2部11Rの右端部にはツル部12Rが取り付けられている。HMD100は、ツル部12Lを左耳に掛け、ツル部12Rを右耳に掛け、図示しないノーズパッドを鼻に当てることで、ユーザーの頭部に装着される。
【0017】
発光装置20から射出される光はレンズ30によって平行光に変換され、光学系40Aに導かれる。この例では、発光装置20の射出光がレンズ30によって平行光に変換されたが、平行光に変換できるのであれば、レンズ30の替わりにどのような光学系を用いてもよく、例えば、複数のレンズを組み合わせたものであってもよい。
【0018】
図2に発光装置20の画素を模式的に示す。この図に示すように、発光装置20には、X方向とY方向に沿って、複数の画素Pが形成される。そして、画素Pは、サブ画素Pr1、Pg1、及びPb1、並びにサブ画素Pr2、Pg2、及びPb2を含む。
サブ画素Pr1、Pg1、及びPb1には、左目用の画像が表示され、サブ画素Pr2、Pg2、及びPb2には右目用の画像が表示される。また、各サブ画素は、発光素子として有機EL(ElectroLuminescent)素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED素子」という)素子を含む。
また、サブ画素Pr1及びPr2は赤色、サブ画素Pg1及びPg2は緑色、サブ画素Pb1及びPb2は青色に対応する。
【0019】
次に、図3に各サブ画素のOLED素子の発光スぺクトルを示す。まず、サブ画素Pr1のOLED素子は、650nm(第1波長)を中心として短波長の光である赤色の第1光R1を発光する。その発光スぺクトルSr1は図3に示すようにピーク波長が640nmであって、第1波長より短い。一方、サブ画素Pr2のOLED素子は、650nm(第1波長)を中心として長波長の光である赤色の第2光R2を発光する。その発光スぺクトルSr2は図3に示すようにピーク波長が660nmであって、第1波長より長い。なお、発光スぺクトルSr1と発光スぺクトルSr2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0020】
次に、サブ画素Pg1のOLED素子は、550nm(第2波長)を中心として短波長の光である緑色の第1光G1を発光する。その発光スぺクトルSg1は図3に示すようにピーク波長が540nmであって、第2波長より短い。一方、サブ画素Pg2のOLED素子は、550nm(第2波長)を中心として長波長の光である緑色の第2光G2を発光する。その発光スぺクトルSg2は図3に示すようにピーク波長が560nmであって、第2波長より長い。なお、発光スぺクトルSg1と発光スぺクトルSg2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0021】
次に、サブ画素Pb1のOLED素子は、450nm(第3波長)を中心として短波長の光である青色の第1光B1を発光する。その発光スぺクトルSb1は図3に示すようにピーク波長が440nmであって、第3波長より短い。一方、サブ画素Pb2のOLED素子は、450nm(第3波長)を中心として長波長の光である青色の第2光B2を発光する。その発光スぺクトルSb2は図3に示すようにピーク波長が460nmであって、第3波長より長い。なお、発光スぺクトルSb1と発光スぺクトルSb2とピーク波長の差は、人が見て色の違いに違和感を感じない範囲に選ばれている。
【0022】
次に、光学系40Aについて説明する。図4に光学系40Aを模式的に示す。光学系40Aは、第1導光部41及び第2導光部42と、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12を備える。第1導光部41及び第2導光部42は、例えば、ガラスやプラスッチク材料などで構成することができる。第1導光部41及び第2導光部42は、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過させる。また、第1導光部41の第1面411には、レンズ30から平行光が第1面411と垂直な方向である基準方向から入射し、第1面411と第2面412とは平行である。また、第2導光部42の第3面423は、第4面424と平行である。なお、第1導光部41の第1面411及び第2面412は平行なく湾曲していてもよく、第2導光部42の第3面423及び第4面424は平行なく湾曲していてもよい。
【0023】
第1乃至第12回折光学素子H1〜H12はいわゆるホログラム光学素子であって、所定波長の光を所定角度で反射し、それ以外の光を透過する光学特性を有する。第1回折光学素子H1は第1導光部41の第2面412に形成され、第2回折光学素子H2は第1回折光学素子H1の第1導光部41と反対側の面に接するように形成される。また、第2回折光学素子H2の第1回折光学素子H1と反対側の面は、第2導光部42と接している。
また、第3回折光学素子H3は、第1回折光学素子H1から左方向に所定距離だけ離れて第1導光部41の第2面412に形成され、第4回折光学素子H4は、第2回折光学素子H2から右方向に所定距離だけ離れて第1導光部41の第2面412に形成される。
【0024】
さらに、第5回折光学素子H5は第2導光部42の第4面424に形成され、第6回折光学素子H6は第5回折光学素子H5の第2導光部42と反対側の面に接するように形成される。
また、第7回折光学素子H7は、第5回折光学素子H5から左方向に所定距離だけ離れて第2導光部42の第4面424に形成され、第8回折光学素子H8は、第6回折光学素子H6から右方向に所定距離だけ離れて第2導光部42の第4面424に形成される。
【0025】
くわえて、第9回折光学素子H9は第6回折光学素子H6の第5回折光学素子H5と反対側の面と接するように形成され、第10回折光学素子H10は第9回折光学素子H9の第6回折光学素子H5と反対側の面と接するように形成される。
また、第11回折光学素子H11は、第9回折光学素子H9から左方向に所定距離だけ離れて第7回折光学素子H7と接するように形成され、第12回折光学素子H12は、第10回折光学素子H10から右方向に所定距離だけ離れて第8回折光学素子H8と接するように形成される。
【0026】
次に、図5に第1乃至第12回折光学素子H1〜H12の反射特性を示す。
反射特性GHは、第1及び第3回折光学素子H1及びH3の反射特性であって、540nmをピーク波長とする緑色の第1光G1を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
反射特性GLは、第2及び第4回折光学素子H2及びH4の反射特性であって、560nmをピーク波長とする緑色の第2光G2を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
【0027】
反射特性RHは、第5及び第7回折光学素子H5及びH7の反射特性であって、640nmをピーク波長とする赤色の第1光R1を反射し、赤色の第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
反射特性RLは、第6及び第8回折光学素子H6及びH8の反射特性であって、660nmをピーク波長とする赤色の第2光R2を反射し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1及び第2光B2を透過する。
【0028】
反射特性BHは、第9及び第11回折光学素子H9及びH11の反射特性であって、440nmをピーク波長とする青色の第1光B1を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第2光B2を透過する。
反射特性BLは、第10及び第12回折光学素子H10及びH12の反射特性であって、460nmをピーク波長とする青色の第2光B2を反射し、赤色の第1光R1及び第2光R2、緑色の第1光G1及び第2光G2、並びに青色の第1光B1を透過する。
【0029】
次に、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12の反射角について説明する。第1回折光学素子H1は図6(A)に示す+θ1が反射角となり、第3回折光学素子H3は−θ1が反射角となる。また、第2回折光学素子H2は図6(B)に示す−θ2が反射角となり、第4回折光学素子H4は+θ2が反射角となる。
第5回折光学素子H5は図6(C)に示す+θ3が反射角となり、第7回折光学素子H7は−θ3が反射角となる。また、第6回折光学素子H6は図6(D)に示す−θ4が反射角となり、第8回折光学素子H8は+θ4が反射角となる。
第9回折光学素子H9は図6(E)に示す+θ5が反射角となり、第11回折光学素子H11は−θ5が反射角となる。また、第10回折光学素子H10は図6(F)に示す−θ6が反射角となり、第12回折光学素子H12は+θ6が反射角となる。
なお、θ1=θ2=θ3=θ4=θ5=θ6であってもよい。
【0030】
上述したようにサブ画素Pr1、Pg1、及びPb1には、左目用の画像が表示され、サブ画素Pr2、Pg2、及びPb2には右目用の画像が表示される。以上の構成を用いることによって、発光装置20に表示される左目用の画像が光学系40Aによって左目に導かれ、右目用の画像が光学系40Aによって右目に導かれる点について以下説明する。
【0031】
サブ画素Pr1は赤色の第1光R1、サブ画素Pg1は緑色の第1光G1、サブ画素Pb1は青色の第1光B1を各々発光する。図7に赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1の光路を示す。
まず、第1回折光学素子H1の反射特性GHは、図5に示すように540nmにピークがある。緑色の第1光G1の発光スペクトルSg1は図3に示すように540nmをピークとするので、第1回折光学素子H1は緑色の第1光G1を反射する。さらに、反射角は、図6(A)に示す+θ1であるから、第1回折光学素子H1によって反射された緑色の第1光G1は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第3回折光学素子H3に入射する。第3回折光学素子H3は第1回折光学素子H1と同じ反射特性GHであり、反射角は、図6(A)に示す−θ1である。したがって、緑色の第1光G1は、第3回折光学素子H3によって反射され、左目に導かれる。
【0032】
次に、第5回折光学素子H5の反射特性RHは、図5に示すように640nmにピークがある。赤色の第1光R1の発光スペクトルSr1は図3に示すように640nmをピークとするので、第5回折光学素子H5は赤色の第1光R1を反射する。さらに、反射角は、図6(C)に示す+θ3であるから、第5回折光学素子H5によって反射された赤色の第1光R1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第7回折光学素子H7に入射する。第7回折光学素子H7は第5回折光学素子H5と同じ反射特性RHであり、反射角は、図6(C)に示す−θ3である。したがって、赤色の第1光R1は、第7回折光学素子H7によって反射され、左目に導かれる。
【0033】
次に、第9回折光学素子H9の反射特性BHは、図5に示すように440nmにピークがある。青色の第1光B1の発光スペクトルSb1は図3に示すように440nmをピークとするので、第9回折光学素子H9は青色の第1光B1を反射する。さらに、反射角は、図6(E)に示す+θ5であるから、第9回折光学素子H9によって反射された青色の第1光B1は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して左方向へと進み、第11回折光学素子H11に入射する。第11回折光学素子H11は第9回折光学素子H9と同じ反射特性BHであり、反射角は、図6(E)に示す−θ5である。したがって、青色の第1光B1は、第11回折光学素子H11によって反射され、左目に導かれる。
【0034】
サブ画素Pr2は赤色の第2光R2、サブ画素Pg2は緑色の第2光G2、サブ画素Pb2は青色の第2光B2を各々発光する。図8に赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2の光路を示す。
まず、第2回折光学素子H2の反射特性GLは、図5に示すように560nmにピークがある。緑色の第2光G2の発光スペクトルSg2は図3に示すように560nmをピークとするので、第2回折光学素子H2は緑色の第2光G2を反射する。さらに、反射角は、図6(B)に示す−θ2であるから、第2回折光学素子H2によって反射された緑色の第2光G2は、第1導光部41の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第4回折光学素子H4に入射する。第4回折光学素子H4は第2回折光学素子H2と同じ反射特性GLであり、反射角は、図6(B)に示す+θ2である。したがって、緑色の第2光G2は、第4回折光学素子H4によって反射され、右目に導かれる。
【0035】
次に、第6回折光学素子H6の反射特性RLは、図5に示すように660nmにピークがある。赤色の第2光R2の発光スペクトルSr2は図3に示すように660nmをピークとするので、第6回折光学素子H6は赤色の第2光R2を反射する。さらに、反射角は、図6(D)に示す−θ4であるから、第6回折光学素子H6によって反射された赤色の第2光R2は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第8回折光学素子H8に入射する。第8回折光学素子H8は第6回折光学素子H6と同じ反射特性RLであり、反射角は、図6(D)に示す+θ4である。したがって、赤色の第2光R2は、第8回折光学素子H8によって反射され、右目に導かれる。
【0036】
次に、第10回折光学素子H10の反射特性BLは、図5に示すように460nmにピークがある。青色の第2光B2の発光スペクトルSb2は図3に示すように460nmをピークとするので、第10回折光学素子H10は青色の第2光B2を反射する。さらに、反射角は、図6(F)に示す−θ6であるから、第10回折光学素子H10によって反射された青色の第2光B2は、第2導光部42の内部で全反射を繰り返して右方向へと進み、第12回折光学素子H12に入射する。第12回折光学素子H12は第10回折光学素子H10と同じ反射特性BLであり、反射角は、図6(F)に示す+θ6である。したがって、青色の第2光B2は、第12回折光学素子H12によって反射され、右目に導かれる。
【0037】
このように本実施形態では、発光装置20において、左目用の画像と右目用の画像とを、人が違和感を感じない程度、波長をずらした赤色、緑色及び青色の光で表示し、回折光学素子の波長選択性を用いて左目と右目に導くようにした。これにより、1つの発光装置20を用いて3次元の画像の表示が可能となった。
【0038】
上述した実施形態では、緑色の第1光G1及び第2光G2を反射する第1乃至第4回折光学素子H1〜H4を赤色及び青色の第5乃至第12回折光学素子H5〜H12よりも人の目の側に配置した。回折光学素子は波長の透過特性が良好であるが、その特性によっては若干の損失もあり得る。人の目の感度は、赤色及び青色に比較して緑色が高い。上述した配置によれば、緑色の光の損失を低減することができるので、高品質の画像を表示することが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1、第3回折光学素子H3、第2導光部42、第5回折光学素子H5、第7回折光学素子H7、第9回折光学素子H9、及び第11回折光学素子H11は、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第2回折光学素子H2、第4回折光学素子H4、第2導光部42、第6回折光学素子H6、第8回折光学素子H8、第10回折光学素子H10、及び第12回折光学素子H12は、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0040】
<2.第2実施形態>
第1実施形態では、第1乃至第12回折光学素子H1〜H12が1つの波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を透過させた。これに対して、第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で3つの波長を選択的に反射する点で相違する。なお、第2実施形態のHMD100は、光学系40Aの替わりに光学系40Bを用いる点を除いて、第1実施形態のHMD100と同様に構成されている。
【0041】
図9に第2実施形態の光学系40Bの模式図を示す。この図に示すように光学系40Bは、第1導光部41と、その第2面412に形成された第1回折光学素子H1a、第1回折光学素子H1aと接するように形成された第2回折光学素子H2a、第1回折光学素子H1aから左方向に所定距離だけ離れ第2面412に形成された第3回折光学素子H3a、第2回折光学素子H2aから右方向に所定距離だけ離れ第2面412に形成された第4回折光学素子H4aを備える。
【0042】
ここで、第1回折光学素子H1a及び第3回折光学素子H3aは、図10に示すように反射特性RH、GH、及びBHを有し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を反射し、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を透過する。また、第1回折光学素子H1aの反射角は+θ1である一方、第3回折光学素子H3aの反射角は−θ1である。このため、図11に示すように赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1は第1回折光学素子H1aで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら左方向に進み、第3回折光学素子H3aで反射され、左目に導かれる。
【0043】
一方、第2回折光学素子H2a及び第4回折光学素子H4aは、図12に示すように反射特性RL、GL、及びBLを有し、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を反射し、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を透過する。また、第2回折光学素子H2aの反射角は−θ1である一方、第4回折光学素子H4aの反射角は+θ1である。このため、図11に示すように赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2は第2回折光学素子H2aで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら右方向に進み、第4回折光学素子H3aで反射され、右目に導かれる。
【0044】
このように第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で3つの波長を選択的に反射するように構成したので、光学系40Bの構成を簡素化することができる。特に、HMD100の厚さを薄くできるので、使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1a、及び第3回折光学素子H3aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第2回折光学素子H2a、及び第4回折光学素子H4aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0046】
<3.第3実施形態>
第3実施形態のHMD100は、第1回折光学素子H1a及び第2回折光学素子H2aの替わりに第1回折光学素子H1bを用いる点を除いて、第2実施形態のHMD100と同様に構成されている。
図13に第3実施形態のHMD100で用いる光学系40Cを示す。第1回折光学素子H1bは、正の反射角+θ1と負の反射角−θ1の双方を備える。そして、反射角+θ1では図10に示す反射特性RH、GH及びBHを示し、反射角−θ1では図12に示す反射特性RL、GL及びBLを示す。
【0047】
したがって、図13に示すように、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1は第1回折光学素子H1bで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら左方向に進み、第3回折光学素子H3aで反射され、左目に導かれる。一方、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2は第1回折光学素子H1bで反射された後、第1導光部41を内部で全反射されながら右方向に進み、第4回折光学素子H4aで反射され、右目に導かれる。
【0048】
このように第2実施形態のHMD100は、1つの回折光学素子で6つの波長を選択的に反射するように構成したので、光学系40Cの構成を簡素化することができる。
【0049】
なお、本実施形態において、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1b、及び第3回折光学素子H3aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第1光R1、緑色の第1光G1、及び青色の第1光B1を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系として機能する。また、レンズ30、第1導光部41、第1回折光学素子H1b及び第4回折光学素子H4aは、発光装置20から射出される光から、赤色の第2光R2、緑色の第2光G2、及び青色の第2光B2を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系として機能する。
【0050】
<4.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0051】
(1)変形例1
上述した各実施形態では、表示装置として発光装置20を用いたが、図3に示す発光スぺクトルが得られる表示装置であれば、どのようなものを用いてもよい。例えば、バックライトの発光波長とカラーフィルタ特性とを組み合わせて、図3に示す発光スぺクトルが得られる液晶表示装置を用いてもよい。
【0052】
(2)変形例2
上述した各実施形態では、発光装置20はサブ画素Pr1、Pg1、及びPb1とサブ画素Pr2、Pg2、及びPb2を同時に発光させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを時分割で発光させてもよい。また、一つのサブ画素に第1光(短波長)と第2光(長波長)を発光する発光素子を各々設け、これらの発光素子を時分割で駆動するようにしてもよい。
【0053】
(3)変形例3
上述した各実施形態では、各色の第1光を短波長側とし、第2光を長波長側としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1光を長波長側とし、第2光を短波長側としてもよい。また、第1実施形態において、図14に示すように第9回折光学素子H9及び第10回折光学素子H10と第6回折光学素子H6及び第5回折光学素子H5とを入れ替え、第11回折光学素子H11と第7回折光学素子H7を入れ替え、第12回折光学素子H12と第8回折光学素子H8とを入れ替えてもよい。
【0054】
(4)変形例4
上述した各実施形態及び変形例では、各種の回折光学素子を組み合わせて左目と右目に異なる画像の光が入射するようにしたが、本発明はこれらに限定されるものではない。要は、表示装置において、赤色の第1光、緑色の第1光、及び青色の第1光によって左目用の画像を表示し、赤色の第2光、緑色の第2光、及び青色の第2光によって右目用の画像を表示し、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて表示装置から射出される光から左目用の画像を分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて表示装置から射出される光から右目用の画像を分離して右目に入射するように出力する第2光学系とを備えればよい。
【符号の説明】
【0055】
11L,11R……レンズ、12L,12R……ツル部、20……発光装置、30……レンズ、40A〜40C……光学系、H1〜H12……回折光学素子、41……第1導光部、42……第1導光部、100……ヘッドマウントディスプレイ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、
前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
所定波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を第1光、他方の光を第2光としたとき、前記第1光と前記第2光とを射出する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部を透過した前記第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記導光部と反対側の面に設けられ、前記第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射する第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から第1方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から前記第1方向と反対の第2方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
を備えた電子機器。
【請求項3】
所定波長は、赤色に対応する第1波長、緑色に対応する第2波長、青色に対応する第3波長を含み、
前記第1光は、赤色に対応する赤色の第1光、緑色に対応する緑色の第1光、青色に対応する青色の第1光を含み、
前記第2光は、赤色に対応する赤色の第2光、緑色に対応する緑色の第2光、青色に対応する青色の第2光を含み、
前記第1回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を透過させ、
前記第2回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して−θ2の角度で反射し、
前記第3回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して−θ1の角度で反射し、
前記第4回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して+θ2の角度で反射する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、
緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、
左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、
前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記赤色の第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、
前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記青色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、
前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、
前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、
前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記青色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、
前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、
前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、
前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、
備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、
緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、
左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、
前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記青色の第2光、並びに前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、
前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、
前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、
前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、
前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記赤色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、
前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、
前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、
前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、
備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記表示装置は、複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々は、前記赤色の第1光及び第2光、前記緑色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光のいずれかで発光する発光素子を備えることを特徴とする請求項1、3乃至5のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項1】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して左目に入射するように出力する第1光学系と、
前記表示装置から射出される光から、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、各色の第1光と第2光との波長の違いに基づいて分離して右目に入射するように出力する第2光学系と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
所定波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を第1光、他方の光を第2光としたとき、前記第1光と前記第2光とを射出する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部を透過した前記第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記導光部と反対側の面に設けられ、前記第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射する第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から第1方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から前記第1方向と反対の第2方向に所定距離だけ離れた前記導光部の前記第2面に設けられ、前記導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
を備えた電子機器。
【請求項3】
所定波長は、赤色に対応する第1波長、緑色に対応する第2波長、青色に対応する第3波長を含み、
前記第1光は、赤色に対応する赤色の第1光、緑色に対応する緑色の第1光、青色に対応する青色の第1光を含み、
前記第2光は、赤色に対応する赤色の第2光、緑色に対応する緑色の第2光、青色に対応する青色の第2光を含み、
前記第1回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記導光部を透過した前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を透過させ、
前記第2回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して−θ2の角度で反射し、
前記第3回折光学素子は、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光を、前記基準方向に対して−θ1の角度で反射し、
前記第4回折光学素子は、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光を、前記基準方向に対して+θ2の角度で反射する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、
緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、
左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、
前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記赤色の第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、
前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記青色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、
前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、
前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、
前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記青色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、
前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、
前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、
前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、
備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
赤色に対応する第1波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を赤色の第1光、他方の光を赤色の第2光とし、
緑色に対応する第2波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を緑色の第1光、他方の光を緑色の第2光とし、
青色に対応する第3波長を中心として短波長の光と長波長の光とのうち、一方の光を青色の第1光、他方の光を青色の第2光としたとき、
左目用の画像を、前記赤色の第1光、前記緑色の第1光、及び前記青色の第1光で表示し、右目用の画像を、前記赤色の第2光、前記緑色の第2光、及び前記青色の第2光で表示する表示装置と、
前記表示装置から射出される光を平行光に変換する光学系と、
第1面と第2面とを備え、前記光学系から射出される平行光が前記第1面に対して垂直な方向である基準方向から前記第1面に入射する第1導光部と、
前記光学系から射出される平行光が透過する前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部を透過した前記緑色の第1光を前記基準方向に対して+θ1の角度で反射し、前記第1導光部を透過した前記緑色の第2光、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第1回折光学素子と、
前記第1回折光学素子の前記第1導光部と反対側の面に設けられ、前記緑色の第2光を前記基準方向に対して−θ2の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光を透過させる第2回折光学素子と、
前記第1回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第1光を−θ1の反射角で反射する第3回折光学素子と、
前記第2回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第1導光部の前記第2面に設けられ、前記第1導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記緑色の第2光を+θ2の反射角で反射する第4回折光学素子と、
前記第2回折光学素子に接し、第3面と第4面とを備え、前記第2回折光学素子を透過した前記赤色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光が前記第3面に入射する第2導光部と、
前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記青色の第1光を前記基準方向に対して+θ3の角度で反射し、前記第2導光部を透過した前記青色の第2光、並びに前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第5回折光学素子と、
前記第5回折光学素子の前記第2導光部と反対側の面に設けられ、前記青色の第2光を前記基準方向に対して−θ4の反射角で反射し、前記赤色の第1光及び第2光を透過させる第6回折光学素子と、
前記第5回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第1光を−θ3の反射角で反射する第7回折光学素子と、
前記第6回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れた前記第2導光部の前記第4面に設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記青色の第2光を+θ4の反射角で反射する第8回折光学素子と、
前記第6回折光学素子の前記第5回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第1光を前記基準方向に対して+θ5の角度で反射し、前記第6回折光学素子を透過した前記赤色の第2光を透過させる第9回折光学素子と、
前記第9回折光学素子の前記第6回折光学素子と反対側の面に接するように設けられ、前記赤色の第2光を前記基準方向に対して−θ6の角度で反射する第10回折光学素子と、
前記第9回折光学素子から左方向に所定距離だけ離れ、前記第7回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第1光を−θ5の反射角で反射する第11回折光学素子と、
前記第10回折光学素子から右方向に所定距離だけ離れ、前記第8回折光学素子と接するように設けられ、前記第2導光部の内部で反射を繰り返して伝搬する前記赤色の第2光を+θ6の反射角で反射する第12回折光学素子と、
備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記表示装置は、複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々は、前記赤色の第1光及び第2光、前記緑色の第1光及び第2光、並びに前記青色の第1光及び第2光のいずれかで発光する発光素子を備えることを特徴とする請求項1、3乃至5のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−57782(P2013−57782A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195738(P2011−195738)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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