説明

電子看板システム

【構成】 電子看板システム10は、携帯電話網102およびインターネット網100を介してパケット通信を行う電子看板12と携帯電話機14とを含み、携帯電話機14を電子看板12の外部入力装置として用いる。電子看板12は、通信接続を求める認証要求パケットを携帯電話機14から受信した場合、その認証要求パケットに携帯電話網102を経由した通信であることを示す認証情報が付与されている場合のみ、その携帯電話機14に対して通信接続を許可する。つまり、電子看板12は、携帯電話網102を経由する正規ルートでアクセスしてきた携帯電話機14からの通信接続のみを許可する。これにより、携帯電話機14のユーザを容易に特定できるようになる。
【効果】 携帯電話機のユーザを容易に特定できるので、悪用に対する心理的抑制をユーザに与えることができ、ユーザによる電子看板の悪用を防止または低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子看板システムに関し、特にたとえば、携帯電話機を電子看板の外部入力装置として用いる、電子看板システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子看板システムの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、利用者(ユーザ)が携行する携帯電話機などのコンピュータ端末を用いて、電子ポスター端末(電子看板)をインタラクティブに操作するシステムである。具体的には、特許文献1のシステムは、携帯電話機とインターネット等を介して接続されるサーバコンピュータと、サーバコンピュータから送信されたコンテンツを表示する電子看板とを備える。サーバコンピュータは、携帯電話機から送信される電子看板の識別情報に基づいて、利用者が利用したい電子看板を特定し、特定した電子看板で表示できるコンテンツを選択可能なコンテンツメニューを携帯電話機に送信する。そして、利用者が携帯電話機に表示されるコンテンツメニューからコンテンツを選択すると、サーバコンピュータは、そのコンテンツ情報を携帯電話機から受信し、利用者が選択したコンテンツを表示するためのデータ或いは表示指示を電子看板に送信する。特許文献1の技術によれば、一般の利用者が携帯電話機を用いて電子看板を操作できるので、利用者の電子看板への関心を高めることができる。
【特許文献1】特開2002−372939号公報 [G09F 19/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子看板は、街頭などの公共の場に設置され、不特定多数の人間に見られるものであるので、電子看板の不適切な使用、たとえば他人を誹謗中傷するような言葉(文字)や画像を表示するというような使用を防止する必要がある。しかしながら、特許文献1の技術では、携帯電話機から電子看板に対してアクセスがあった場合に、その携帯電話機の利用者に電子看板の使用を無条件で許可している。つまり、電子看板の不適切な使用を防止するための対策が十分とは言えないため、利用者が電子看板を安易に悪用してしまう恐れがある。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電子看板システムを提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、電子看板の不適切な使用を防止できる、電子看板システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、携帯電話網およびインターネット網を介してパケット通信を行う電子看板と携帯電話機とを含み、携帯電話機を電子看板の外部入力装置として用いる電子看板システムであって、携帯電話機は、電子看板のアクセスコードを取得するアクセスコード取得手段、アクセスコードを取得した電子看板に対して通信接続の許可を求める認証要求パケットを送信する認証要求手段、および通信接続が許可された電子看板に対して制御を指示する操作パケットを送信する制御指示手段を備え、電子看板は、自身のアクセスコードを表示する表示手段、携帯電話機から認証要求パケットを受信したとき、当該認証要求パケットに携帯電話網を経由した通信であることを示す認証情報が付与されているか否かによって、当該携帯電話機の正当性を判定する判定手段、および判定手段によって正当性が確認された携帯電話機との通信接続を許可し、判定手段によって正当性が確認されなかった携帯電話機との通信接続を拒否する通信接続手段を備える、電子看板システムである。
【0008】
第1の発明では、電子看板システム(10)は、電子看板(12)および携帯電話機(14)を含み、これらは互いに、携帯電話網(102)およびインターネット網(100)を介してパケット通信を行う機能を有する。電子看板は、表示手段(20,22,24,S1,S41,S71)を備え、表示手段は、QRコードや文字列などによって表されるアクセスコードを表示装置(20)の画面上などに表示する。携帯電話機は、アクセスコード取得手段(34,36,42,S5,S45,S55,S75)、および認証要求手段(34,44,S7,S47,S57,S77)を備える。アクセスコード取得手段は、電子看板に表示されるQRコードを読み取る等して、所望の電子看板のアクセスコードを取得する。認証要求手段は、たとえば、取得したアクセスコードおよび自身の識別子(電話番号など)を含む認証要求パケットを生成し、携帯電話網およびインターネット網を介して、生成した認証要求パケットを電子看板に送信する。また、電子看板は、判定手段(22,24,26,S11,S51,S61,S81)および通信接続手段(22,24,S13,S15,S63,S65,S83,S85)を備える。判定手段は、携帯電話機から受信した認証要求パケットに、自身のアクセスコードが付与されているか否か、および携帯電話網を経由した通信であることを示す認証情報が付与されているか否かによって、携帯電話機の正当性を判定(確認)する。ここで用いられる認証情報は、たとえば、携帯電話網のゲートウェイサーバ(106)のIPアドレス、携帯電話機のユーザエージェント情報、および携帯電話事業者が提供する電子証明書である。通信接続手段は、正当性が確認された携帯電話機、つまり認証情報が付与された認証要求パケットを送信してきた携帯電話機との通信接続を許可し、正当性が確認されなかった携帯電話機との通信接続を拒否する。すなわち、電子看板は、携帯電話網を経由する正規ルートでアクセスしてきた携帯電話機からの通信接続のみを許可する。これにより、携帯電話機のユーザを容易に特定できるシステムとなる。また、携帯電話機は、制御指示手段(34,36,44,S25)を備え、通信接続が許可された電子看板に対して、ユーザのキー入力操作に応じた操作パケットを送信することによって、電子看板の動作を制御する。
【0009】
第1の発明によれば、ユーザを特定できる仕組みとすることによって、悪用に対する心理的抑制をユーザに与えることができるので、ユーザによる電子看板の悪用を防止または低減できる。また、仮にユーザが電子看板を悪用した場合には、警告および利用停止処置を素早く実行できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、電子看板および携帯電話機は、近距離無線通信手段をさらに備え、制御指示手段は、操作パケットを近距離無線通信によって電子看板に送信する。
【0011】
第2の発明では、電子看板(12)および携帯電話機(14)のそれぞれは、IrDA、BluetoothおよびWi-Fi等の標準規格に従う近距離無線通信手段(S89,S91,S93)をさらに備え、制御指示手段(34,36)は、ユーザのキー入力操作に応じた操作パケットを、近距離無線通信によって電子看板に直接送信することによって、電子看板の動作を制御する。このように、近距離無線通信を用いることによって、電子看板操作時のパケット通信代を節約できる。また、携帯電話網などを介して電子看板に操作パケットを送信すると、認証に時間がかかって電子看板の操作に少しのタイムロスが生じてしまうが、近距離無線通信を用いることによって、携帯電話機と電子看板とが素早く通信できるようになり、携帯電話機によるリアルタイムでの電子看板の操作が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ユーザを特定できる仕組みとすることによって、悪用に対する心理的抑制をユーザに与えることができるので、ユーザによる電子看板の悪用を防止または低減できる。また、電子看板の悪用に対して、警告および利用停止処置を素早く実行できる。
【0013】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の電子看板システムの一実施例を示す図解図である。
【図2】図1の電子看板の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図4】電子看板システムの動作の一例であって、携帯電話機がコンソール機能を開始するまでの動作を示すシーケンス図である。
【図5】電子看板システムの動作の一例であって、携帯電話機がコンソール機能を開始してからの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図6】電子看板システムの動作の他の一例であって、携帯電話機がコンソール機能を開始するまでの動作の一部を示すシーケンス図である。
【図7】電子看板システムの動作のさらに他の一例であって、携帯電話機がコンソール機能を開始するまでの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、この発明の一実施例である電子看板システム(以下、単に「システム」という。)10は、インターネット網100および携帯電話網102を介してパケット通信を行う電子看板(デジタルサイネージ)12と携帯電話機14とを含み、携帯電話機14を電子看板12の外部入力装置として利用することによって、電子看板12の有効利用を図る。たとえば、電子看板12に表示されるポインタを携帯電話機14によって操作して、広告商品の詳細情報を検索したり、電子看板12を掲示板として用い、携帯電話機14を用いて入力したテキストや撮影した画像などを電子看板12に表示したりする。また、たとえば、携帯電話機14をコントローラとして用いて、電子看板12の画面でコンピュータゲームを行い、その成績に応じて携帯電話機14に電子クーポンを配布したりする。この際、使い慣れた自身の携帯電話機14を用いて電子看板12を操作できるので、ユーザは電子看板12の操作を容易に行うことができる。
【0016】
また、詳細は後述するように、システム10では、予め設定した選別ルールに従い、電子看板12側でユーザ(携帯電話機14)の選別を行うことによって、ユーザによる電子看板12の不適切な使用(悪用)を防止する。
【0017】
なお、図1には、1つの電子看板12と1つの携帯電話機14を示しているが、これに限定されず、システム10は、複数の電子看板12と携帯電話14とを含む構成であってもよい。たとえば、複数の携帯電話機14が1つの電子看板12を同時に使用できる構成としてもよい。また、この発明における携帯電話機14とは、簡易型携帯電話機とも言われるPHS(Personal Handyphone System)を含む概念であり、携帯電話網102はPHS網を含むものとする。
【0018】
インターネット網100は、サーバやルータ等(図示せず)を含むネットワークであり、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)やHTTP(HyperText Transfer Protocol)によって結ばれるネットワークである。
【0019】
携帯電話網(キャリア通信網)102は、基地局104およびゲートウェイサーバ106等を含み、インターネット網100とは異なる通信プロコトルで結ばれるネットワークである。携帯電話網102は、携帯電話事業者(キャリア)によって独自に構築、管理されており、たとえばNTTドコモ(登録商標)のiモード(登録商標)サービスが該当する。
【0020】
基地局104は、携帯電話網102の通信サービスエリア内に多数設置され、自身のカバーする無線セルに存在する携帯電話機14と無線通信を行う。ゲートウェイサーバ106は、インターネット網100および携帯電話網102間の通信プロコトルを変換する。また、ゲートウェイサーバ106は、電子看板12にアクセスする携帯電話機14の身元保証に相当する認証を行うと共に、携帯電話機14から携帯電話網102を介して受信したパケット(携帯パケット)を、インターネット網100を介して電子看板12に送信するパケット(IPパケット)に変換する際には、自身(ゲートウェイサーバ106)に固有のIPアドレスや、パケット送信元の携帯電話機14のユーザエージェント情報(機種情報)を付加したIPパケットを生成する。このような携帯電話網102は、携帯電話事業者によって提供されている既存の設備であるが、システム10では、詳細は後述するように、この携帯電話網102において提供される各種サービス等を有効利用して電子看板12の悪用を防止する。
【0021】
図2は、電子看板12の構成を示すブロック図である。電子看板12は、表示および通信にデジタル技術を活用して映像や情報をユーザに提示する装置であり、表示装置20および制御装置22を備える。
【0022】
表示装置20は、街頭、店舗および駅などの公共の場に設置される、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイおよび映像プロジェクタ等である。表示装置20は、制御装置22からの指示に従い、文字情報(テキスト)や映像などのコンテンツを表示する。また、表示装置20は、スピーカなどの音声出力装置(図示せず)を備えるようにしてもよく、文字情報や映像などと連動させて音声情報を提示するようにしてもよい。
【0023】
制御装置22は、電子看板12の管理者(或いは情報提供者)によって維持管理される、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータである。制御装置22は、CPU24、記憶部26、キーボードやマウス等の操作部28、モニタ等の表示部30、および通信部32などを備え、表示装置20と有線または無線で接続されて、表示装置20の動作(表示内容)を制御する。記憶部26は、ROM、HDDおよびRAM等を含み、ROMやHDDには、CPU24が処理を行うために必要なデータおよびプログラムが適宜記憶される。CPU24は、RAMをワークエリアとして用い、ROMやHDDに記憶されたプログラムを実行することによって、電子看板12(表示装置20および制御装置22)の各部の動作を制御する。また、通信部32は、インターネット網100を介して通信を行うためのインタフェース装置である。
【0024】
記憶部26(ROMやHDD)に記憶されるプログラムとしては、表示装置20に所定のコンテンツを表示するための表示プログラム、携帯電話機14や他のコンピュータとの間で必要な情報を送受信するための通信プログラム、携帯電話機14から電子看板12へのアクセスが、携帯電話網102を経由する正規ルートによるアクセスか否かを判定するための判定プログラム、表示装置20にユーザ用のアイテム(カーソル、アイコンおよびアバタ等)を表示するアイテム表示プログラム、および携帯電話機14から送信される操作指示情報(キー入力情報)に基づいて、表示装置20のユーザ用アイテムを動作させたり、表示装置20の表示内容を変更したりするための遠隔制御プログラム等がある。
【0025】
記憶部26に記憶されるデータとしては、表示装置20に表示される文字データや映像データ(コンテンツデータ)、その表示スケジュール、および自身に設定されたアクセスコード等の各種データがある。ただし、これらコンテンツデータ等は、予め記憶部26に記憶するデータだけでなく、外部コンピュータからインターネット網100等を経由して適宜送信されるデータを利用することもできる。また、記憶部26には、ゲートウェイサーバ106に固有のIPアドレスや、携帯電話機14のユーザエージェント情報(機種情報)等の、上述の判定プログラムに利用されるデータが適宜記憶される。
【0026】
図3は、携帯電話機14の構成を示すブロック図である。携帯電話機14は、ユーザによって携帯(所持)される端末機であり、制御部34、操作部36、表示部38、通話部40、撮像部42および無線通信部44などを備える。
【0027】
制御部34は、CPU46、ROM48、RAM50およびEEPROM52を備え、ROM48やEEPROM52には、CPU46が処理を行うために必要なデータおよびプログラムが適宜記憶される。CPU46は、RAM50をワークエリアとして用い、ROM48やEEPROM52に記憶されたプログラムを実行することによって、携帯電話機14の各部の動作を制御する。
【0028】
操作部36は、キーパネル(ボタン)等の操作子を備え、ユーザの入力操作に応じた操作信号を制御部34に供給する。表示部38は、液晶パネルや液晶駆動回路などを備え、制御部34から供給される信号に基づいて画像などを表示する。通話部40は、音声が入力されるマイクおよび音声を出力するスピーカ等を備える。撮像部42は、イメージセンサおよびカメラ処理回路などを備え、所望の被写体の静止画像或いは動画像を撮像する。無線通信部44は、アンテナや無線通信回路などを備え、携帯電話網102の基地局104と無線通信を行う。
【0029】
また、制御部34のROM48やEEPROM52に記憶されるプログラムには、通話、撮像、ブラウジングおよび電子メールの送受信などの携帯電話機14の基本的な機能を実現させるプログラムの他、携帯電話機14を電子看板12の外部入力装置(コンソール、リモコン)として機能させるためのアプリケーションプログラム(コンソールアプリ)等がある。
【0030】
なお、コンソールアプリは、携帯電話機14購入時からの標準装備アプリとして携帯電話機14に予め記憶しておくようにしてもよいし、携帯電話機14購入後に、ユーザからの要求に応じて電子看板12等からダウンロードできるようにしておいてもよい。たとえば、携帯電話機14の表示部38に表示される、ユーザが各種アプリケーションを選択して利用するためのメインメニュー画面に、たとえば「電子看板」の項目を設けておき、ユーザが「電子看板」の項目を選択したときに、コンソールアプリが起動するようにしておくとよい。
【0031】
このような構成のシステム10では、電子看板12側でユーザ(携帯電話機14)の選別を行い、正当性を確認(認証)したユーザにのみ電子看板12の使用を許可するようにしている。すなわち、電子看板12は、携帯電話網102を経由する正規ルートで電子看板12にアクセス(接続要求)してきた携帯電話機14にのみ、その携帯電話機14による操作を許可する。この実施例では、携帯電話網102を経由する正規ルートで電子看板12にアクセスしてきた携帯電話機14かどうかを判定する(つまり携帯電話機14の正当性を判定する)際には、ゲートウェイサーバ106固有のIPアドレス、または、携帯電話機14のユーザエージェント情報を認証情報として利用する。
【0032】
携帯電話機14が携帯電話網102を経由して通信する際には、ゲートウェイサーバ106において、そのゲートウェイサーバ106に固有のIPアドレスが付与されたIPパケットが生成される。つまり、携帯電話網102を経由する正規ルートで電子看板12に送信されたIPパケットには、ゲートウェイサーバ106に固有のIPアドレスが付与されているはずであるので、このゲートウェイサーバ106に固有のIPアドレスの有無によって携帯電話機14の正当性を判定できる。具体的には、携帯電話機14から電子看板12に送信されてきたIPパケットに、予め記憶しておいた各携帯電話事業者のゲートウェイサーバ106のIPアドレスが付与されている場合には、その携帯電話機14の正当性を認証してアクセスを許可する。一方、携帯電話機14から送信されてきたIPパケットに、予め記憶しておいた各携帯電話事業者のゲートウェイサーバ106のIPアドレスが付与されていない場合には、その携帯電話機14からのアクセスは拒否する。
【0033】
同様に、携帯電話機14から送信される携帯パケットには、その携帯電話機14のユーザエージェント情報(機種情報)が付与されており、その携帯パケットを受信したゲートウェイサーバ106では、そのユーザエージェント情報が付与されたIPパケットが生成される。つまり、携帯電話網102を経由する正規ルートで電子看板12に送信されたIPパケットには、携帯電話機14のユーザエージェント情報が付与されているはずであるので、このユーザエージェント情報の有無によって携帯電話機14の正当性を判定できる。具体的には、携帯電話機14から電子看板12に送信されてきたIPパケットに、予め記憶しておいた各携帯電話事業者の携帯電話機14のユーザエージェント情報が付与されている場合には、その携帯電話機14の正当性を認証してアクセスを許可し、付与されていない場合には、その携帯電話機14からのアクセスは拒否する。
【0034】
なお、上述のゲートウェイサーバ106のIPアドレスや、携帯電話機14のユーザエージェント情報を認証情報として利用する場合には、いずれか一方を利用すれば十分であるが、これら双方を利用することによって、携帯電話機14の正当性をより確実に判定することができる。
【0035】
上述のように、システム10では、電子看板12は、携帯電話網102を経由する正規ルートでアクセスしてきた携帯電話機14からのアクセスのみを受け付けるようにしている。これは、携帯電話網102を経由するアクセスであれば、携帯電話機14のユーザを電子看板12側で容易に特定できるからである。すなわち、携帯電話事業者が運用する携帯電話網102を利用する為には、携帯電話事業者との加入契約が必要であり、その加入契約時には、運転免許証などの身分証明書によって本人確認が確実になされて、ユーザ情報が登録される。したがって、携帯電話網102を利用してアクセスしてきた携帯電話機14であれば、携帯電話事業者によって付与された電話番号や個体識別番号などに基づいて、そのユーザを容易に特定できる。このように、ユーザを特定できる仕組みとすることによって、悪用に対する心理的抑制をユーザに与えることができるので、ユーザによる電子看板12の悪用を防止または低減できる。また、仮にユーザが電子看板12を悪用した場合には、警告および利用停止処置を素早く実行できる。
【0036】
以下には、図4および図5に示すシーケンス図を参照して、システム10の動作の一例について説明する。図4は、携帯電話機14からの認証要求を電子看板12が受け付け、認証された携帯電話機14がコンソール機能を開始するまでの動作(つまり電子看板12と携帯電話機14との紐付け処理)を示し、図5は、携帯電話機14がコンソール機能を開始してからの動作(つまり携帯電話機14による電子看板12の操作処理)を示す。なお、電子看板12における動作は、電子看板12の制御装置22のCPU24が制御処理を実行し、携帯電話機14における動作は、携帯電話機14のCPU46が制御処理を実行する。
【0037】
図4を参照して、電子看板12は、自身のIPアドレスに関する情報を含む初期アクセスコードを表示装置20の画面上に表示する(ステップS1)。この初期アクセスコードは、バーコードやQRコード(登録商標)によって表されていてもよいし、文字列によって表されていてもよい。また、初期アクセスコードは、所定のコンテンツ(広告情報など)と共に常時表示するようにしてもよいし、コンテンツの種類やその表示スケジュールと対応させる等して、適宜な時間だけ表示するようにしてもよい。つまり、電子看板12は、携帯電話機14からの認証要求(通信接続要求)を常時受け付けるようにしてもよいし、一定時間だけ受け付けるようにしてもよい。さらに、初期アクセスコードは、表示装置20の画面上に画像として表示されるものに限定されず、表示装置20の枠部などに固定的に表示されているものでもよい。
【0038】
一方、携帯電話機14は、たとえば表示部38に表示されるメインメニューの「電子看板」の項目がユーザによって選択されると、コンソールアプリを起動し、コンソールアプリの実行画面を表示部38に表示する(ステップS3)。たとえば、先ず、電子看板12の初期アクセスコードを取得する方法を選択するための画面を表示部38に表示し、QRコード等の撮像による取得か、または文字列の手入力による取得かをユーザに選択させる。そして、ユーザが選択した取得方法を用いて、所望の電子看板12の初期アクセスコードを認識する(ステップS5)。たとえば、QRコードの撮像による取得が選択された場合には、撮像部42(カメラ機能)を起動し、ユーザによる操作に応じて撮像したQRコードに含まれる情報を読み取ることによって、電子看板12の初期アクセスコードを認識する。一方、文字列の手入力による取得が選択された場合には、ユーザによる初期アクセスコードの手入力を受け付けることによって、電子看板12の初期アクセスコードを認識する。
【0039】
電子看板12の初期アクセスコードを認識すると、携帯電話機14は、たとえば、電子看板12へのアクセスを実行するか中止するかを選択するための画面を表示部38に表示し、ユーザにアクセスの実行か中止かを選択させる。このとき、ユーザによってアクセスの中止が選択された場合には、電子看板12へのアクセスを中止する。一方、ユーザによってアクセスの実行が選択された場合には、電子看板12に通信接続の許可を求めるための、初期アクセスコードおよび携帯電話識別子(電話番号や個体識別番号など)を含む認証要求用携帯パケット(認証要求パケット)を生成し(ステップS7)、携帯電話網102を介して、生成した認証要求用携帯パケットをゲートウェイサーバ106に送信する。
【0040】
携帯電話機14から送信される認証要求用携帯パケットを受信すると、ゲートウェイサーバ106は、初期アクセスコードから抽出したIPアドレス宛ての認証情報付きIPパケットを生成し(ステップS9)、インターネット網100を介して、生成した認証情報付きIPパケットを所望の電子看板12に送信する。このIPパケットに付与されている認証情報が、上述したゲートウェイサーバ106固有のIPアドレスや携帯電話機14のユーザエージェント情報である。
【0041】
ゲートウェイサーバ106から送信される認証情報付きIPパケットを受信すると、電子看板12は、受信したIPパケットが、携帯電話網102を経由する正規ルートで送信されてきたIPパケットであるか否かを判定するパケット判定を行う(ステップS11)。すなわち、受信したIPパケットに付与されている認証情報と、記憶部26に予め記憶しておいた認証情報とのマッチング処理を行うことによって、受信したIPパケット、つまりその送信元である携帯電話機14の正当性を判定する。この際には、受信したIPパケットに含まれる初期アクセスコードによる認証も行われる。
【0042】
ステップS11のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できなかった場合には、電子看板12は、インターネット網100および携帯電話網102を介して、受付不可を示すエラー情報を携帯電話機14に送信する。
【0043】
一方、ステップS11のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できた場合には、電子看板12は、携帯電話機14の携帯電話識別子などのユーザ情報を記憶部26に記憶する等し、携帯電話機14からの操作を受付可能にするための受付処理を実行する(ステップS13)。続いて、電子看板12は、自身のIPアドレスに関する情報を含む操作アクセスコードと携帯電話識別子とを含む受付確認用IPパケットを生成し(ステップS15)、インターネット網100を介して、生成した受付確認用IPパケットをゲートウェイサーバ106に送信すると共に、カーソル、アイコンおよびアバタ等のユーザ用アイテムを表示装置20の画面上に表示する(ステップS17)。なお、複数の携帯電話機14からの通信接続要求があり、それらの正当性を確認できた場合には、ユーザ毎に割り当てられた複数のユーザ用アイテムを表示することもできる。
【0044】
電子看板12から送信される受付確認用IPパケットを受信すると、ゲートウェイサーバ106は、携帯電話識別子から抽出した番号宛ての受付確認用携帯パケットを生成し(ステップS19)、携帯電話網102を介して、生成した受付確認用携帯パケットを携帯電話機14に送信する。
【0045】
ゲートウェイサーバ106から送信される受付確認用携帯パケットを受信すると、携帯電話機14は、たとえば電子看板12による受付け(認証)が完了したことを示す情報を表示部38に表示した後、コンソール機能を開始する(ステップS21)。つまり、携帯電話機14は、電子看板12の表示装置20に表示されたユーザ用アイテム等を操作するためのキー入力の受付けが可能な状態になる。
【0046】
なお、電子看板12による受付け(認証)が完了したことを示す情報を表示部38に表示する際には、電子看板12の悪用は禁止されていることや、システム10(管理者や情報提供者)がユーザを特定できることを示す警告情報も併せて表示するようにしてもよい。また、このような警告情報は、電子看板12の表示装置20に表示するようにしてもよい。警告情報を表示部38や表示装置20に表示することによって、電子看板12の悪用に対するユーザの心理的抑制効果をより高めることができ、電子看板12の悪用をより低減させることができる。
【0047】
続いて、図5を参照して、携帯電話機14は、コンソール機能を開始すると、ユーザによるキー入力操作(操作部36の操作)を受け付ける(ステップS23)。そして、ユーザによってキー入力操作が実行された場合には、操作アクセスコードおよびキー入力情報を含む操作パケット(操作用携帯パケット)を生成し(ステップS25)、携帯電話網102を介して、生成した操作用携帯パケットをゲートウェイサーバ106に送信する。
【0048】
携帯電話機14から送信される操作用携帯パケットを受信すると、ゲートウェイサーバ106は、操作アクセスコードから抽出したIPアドレス宛ての、認証情報付き操作用IPパケットを生成し(ステップS27)、インターネット網100を介して、生成した認証情報付き操作用IPパケットを所望の電子看板12に送信する。この操作用IPパケットに付与されている認証情報も、上述したゲートウェイサーバ106固有のIPアドレスや携帯電話機14のユーザエージェント情報である。
【0049】
ゲートウェイサーバ106から送信される認証情報付き操作用IPパケットを受信すると、電子看板12は、ステップS11のパケット判定と同様に、受信した操作用IPパケットが、携帯電話網102を経由する正規ルートで送信されてきたIPパケットであるか否かを判定するパケット判定を行う(ステップS29)。そして、ステップS29のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できなかった場合には、電子看板12は、操作受付不可を示すエラー情報を携帯電話機14に送信する。一方、ステップS29のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できた場合には、電子看板12は、受信した操作用IPパケットに含まれるキー入力情報に基づいて、カーソル入力、アイコン移動およびアバタ動作などのユーザ用アイテムの操作を実行したり(ステップS31)、表示装置20の表示内容を変更したりする。
【0050】
また、電子看板12は、携帯電話機14からの操作を受け付けた場合には、その携帯電話機14の携帯電話識別子などと対応付けて、その携帯電話機14によって行われた操作の履歴、たとえばどのような情報にアクセスしたか等の履歴を、記憶部26等に記憶する(ステップS33)。これは、このような操作履歴を蓄積しておくようにすれば、操作履歴を参照することによって、その携帯電話機14のユーザに応じたサービスを提供できるようになるからである。
【0051】
この実施例によれば、携帯電話網102を経由する正規ルートでアクセスしてきた携帯電話機14からのアクセスのみを電子看板12が許可することによって、携帯電話機14のユーザを電子看板12側で特定できるようにしているため、悪用に対する心理的抑制をユーザに与えることができる。したがって、ユーザによる電子看板12の悪用を防止または低減できる。また、仮にユーザが電子看板12を悪用した場合には、警告および利用停止処置を素早く実行できる。
【0052】
なお、上述の実施例では、電子看板12にアクセスする携帯電話機14の正当性を確認する際には、ゲートウェイサーバ106固有のIPアドレス、または携帯電話機14のユーザエージェント情報を認証情報として利用するようにしたが、これに限定されない。たとえば、携帯電話機14の正当性を確認するために、携帯電話事業者が提供する電子証明書を利用するようにしてもよい。携帯電話事業者が提供する電子証明書には、NTTドコモのFirstPassサービスやauのSecurity Passサービス等がある。このような電子証明書を利用する際には、携帯電話事業者が発行する電子証明書の公開鍵を電子看板12の制御装置22で予め記憶しておき、携帯電話網102およびインターネット網100を介して携帯電話機14から電子看板12に送信されてくるIPパケットに添付されている電子証明書を、記憶した公開鍵でデコードすることによって、携帯電話機14の正当性を判定するとよい。
【0053】
また、システム10を利用できるユーザを、システム10の管理者(または電子看板14による情報提供者)と予め契約を交わして登録したユーザに限定するようにしてもよい。この場合には、予め契約したユーザの情報(たとえば電話番号)を電子看板12の制御装置22で予め記憶しておき、携帯電話網102およびインターネット網100を介して携帯電話機14から電子看板12に送信されてくるIPパケットに付与される携帯電話識別子と、予め記憶したユーザの情報とをマッチングすることによって、携帯電話機14の正当性を判定するとよい。このようにすれば、システム10の管理者が独自に契約したユーザに限定できるので、より確実にユーザによる電子看板12の悪用を防止できる。ただし、ユーザとシステム10の管理者との間で別途契約手続き等を行わなければならないため、事務処理や情報管理の負担は増してしまう。
【0054】
また、上述の実施例では、電子看板12と携帯電話機14との紐付け処理を行う際に、パケット判定を1度行うだけで携帯電話機14の認証を行うようにしたが、これに限定されない。たとえば、ユーザの誤ったアクセスや不適切なアクセスを確実に防止するために、図6に示すシーケンス図のように、2度のパケット判定を経て携帯電話機14の認証を行うようにすることもできる。図6は、システム10の動作の他の一例を示すシーケンス図であり、携帯電話機がコンソール機能を開始するまでの動作の一部を示している。なお、図6に示すステップS41〜S51までの処理は、図4に示すステップS1〜S11までの処理と同じであるので説明を省略する。また、その他のステップについても、説明が重複する場合は簡略化して説明する。
【0055】
図6を参照して、ステップS51のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できた場合には、電子看板12は、ステップS41で表示した初期アクセスコードとは異なるアクセスコードである、確認アクセスコードを表示装置20の画面上に表示する(ステップS53)。一方、携帯電話機14は、電子看板12の確認アクセスコードを取得する方法を選択するための画面を表示部38に表示し、ユーザが選択した取得方法によって、確認アクセスコードを認識する(ステップS55)。
【0056】
携帯電話機14は、確認アクセスコードを認識すると、ユーザによる指示操作に応じて、確認アクセスコードおよび携帯電話識別子を含む認証要求用携帯パケットを生成し(ステップS57)、携帯電話網102を介して、生成した認証要求用携帯パケットをゲートウェイサーバ106に送信する。
【0057】
携帯電話機14から送信される認証要求用携帯パケットを受信すると、ゲートウェイサーバ106は、確認アクセスコードから抽出したIPアドレス宛ての認証情報付きIPパケットを生成し(ステップS59)、インターネット網100を介して、生成した認証情報付きIPパケットを電子看板12に送信する。
【0058】
ゲートウェイサーバ106から送信される認証情報付きIPパケットを受信すると、電子看板12は、受信したIPパケットが、携帯電話網102を経由する正規ルートで送信されてきたIPパケットであるか否かを判定するパケット判定を行う(ステップS61)。そして、ステップS61のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認できた場合には、電子看板12は、携帯電話機14の受付処理を実行し(ステップS63)、自身のIPアドレスに関する情報を含む操作アクセスコードと携帯電話識別子とを含む受付確認用IPパケットを生成する(ステップS65)。以下の動作は省略するが、図4および図5に示す実施例と同様である。
【0059】
図6に示す実施例のように、電子看板12が異なる2つのアクセスコードを表示し、2度のパケット判定を経て携帯電話機14を認証するようにすれば、ユーザの誤ったアクセスや不適切なアクセスを確実に防止できる。
【0060】
さらに、上述の実施例では、携帯電話機14による電子看板12の操作を、携帯電話網102およびインターネット網100を介する通信によって行うようにしたが、これに限定されず、携帯電話機14による電子看板12の操作は、IRDA、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信によって行うこともできる。この場合には、電子看板12および携帯電話機14の双方に、各種標準規格に対応した近距離無線通信部(図示せず)が設けられる。ただし、近距離無線通信を用いる場合にも、携帯電話機14がコンソール機能を開始するまでの通信においては、携帯電話網102およびインターネット網100を介した通信を行い、これによって携帯電話機14の正当性を確認する(つまり携帯電話機14の身元保証を行う)ことが好ましい。
【0061】
図7は、システム10の動作のさらに他の一例を示すシーケンス図であり、携帯電話機がコンソール機能を開始するまでの動作を示す。図7では、携帯電話機14による電子看板12の操作に利用される近距離無線通信の一例として、Bluetoothを用いる場合を示している。なお、図7に示すステップS71〜S83までの処理は、図4に示すステップS1〜S13までの処理と同じであるので説明を省略する。また、その他のステップについても内容が重複する場合には、説明を簡略化する。
【0062】
図7を参照して、ステップS71のパケット判定において携帯電話機14の正当性を確認でき、ステップS73の受付処理が終了した場合には、電子看板12は、操作アクセスコード、携帯電話識別子、電子看板12のBluetooth識別子(BTID)およびプロファイル情報を含む受付確認用IPパケットを生成し(ステップS85)、インターネット網100を介して、生成した受付確認用IPパケットをゲートウェイサーバ106に送信する。
【0063】
電子看板12から送信される受付確認用IPパケットを受信すると、ゲートウェイサーバ106は、携帯電話識別子から抽出した番号宛ての受付確認用携帯パケットを生成し(ステップS87)、携帯電話網102を介して、生成した受付確認用携帯パケットを携帯電話機14に送信する。
【0064】
ゲートウェイサーバ106から送信される受付確認用携帯パケットを受信すると、携帯電話機14は、操作アクセスコード、携帯電話機14のBluetooth識別子およびプロファイル情報を含む、接続要求用Bluetoothパケットを生成し(ステップS89)、近距離無線通信によって、生成した接続要求用Bluetoothパケットを電子看板12に直接送信する。
【0065】
携帯電話機14から送信される接続要求用Bluetoothパケットを受信すると、電子看板12は、Bluetooth接続処理を行い(ステップS91)、接続確認用Bluetoothパケットを生成する(ステップS93)。そして、近距離無線通信によって、生成した接続確認用Bluetoothパケットを携帯電話14に直接送信すると共に、カーソル、アイコンおよびアバタ等のユーザ用アイテムを表示装置20の画面上に表示する(ステップS95)。
【0066】
電子看板12から送信される接続確認用Bluetoothパケットを受信すると、携帯電話機14は、たとえば電子看板12との接続が完了したことを示す情報を表示部38に表示した後、コンソール機能を開始する(ステップS97)。つまり、携帯電話機14は、電子看板12の表示装置20に表示されたユーザ用アイテム等を操作するためのキー入力の受付けが可能な状態になる。
【0067】
つまり、図7に示す実施例では、電子看板12のBluetooth識別子は非公開にしておき、正当性が認証された携帯電話機14からのアクセスがあった場合にのみ、電子看板12は、操作アクセスコードと併せて自身のBluetooth識別子を携帯電話機14に送信するようにしている。そして、電子看板12のBluetooth識別子を得た携帯電話機14が、操作アクセスコードを伴って接続要求してきた場合にのみ、電子看板12は、その通信接続を許可するようにしている。
【0068】
以降の処理の図示は省略するが、携帯電話機14は、コンソール機能を開始すると、ユーザによるキー入力操作を受け付け、操作アクセスコードおよびキー入力情報を含む操作用Bluetoothパケットを生成して、近距離無線通信によって、生成した操作用Bluetoothパケットを電子看板12に直接送信する。電子看板12は、受信した操作用Bluetoothパケットに含まれるキー入力情報に基づいて、カーソル入力、アイコン移動およびアバタ動作などのユーザ用アイテムの操作を実行したり、表示装置20の表示内容を変更したりする。
【0069】
このように、携帯電話機14による電子看板12の操作を近距離無線通信を用いて行う場合であっても、携帯電話網102およびインターネット網100を介した通信を行うことによって、携帯電話機14の正当性を確認でき、携帯電話機14のユーザを特定できるので、ユーザによる電子看板12の悪用を防止できる。また、電子看板12のBluetooth識別子を非公開にしておくことによって、電信看板12が不要なパケットや偽の接続要求用パケットに晒されることによる通信資源の毀損を防止できる。
【0070】
さらに、携帯電話機14によって電子看板12の操作するときに近距離無線通信を用いることによって、電子看板12操作時のパケット通信代を節約できる。また、携帯電話網102などを介して電子看板12に操作パケットを送信すると、認証に時間がかかって電子看板12の操作に少しのタイムロスが生じてしまうが、近距離無線通信を用いることによって、携帯電話機14と電子看板12とが素早く通信できるようになる。つまり、携帯電話機14によるリアルタイムでの電子看板12の操作が可能となる。したがって、電子看板12の表示装置20を利用してコンピュータゲームを行うとき等に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
10 …電子看板システム
12 …電子看板
14 …携帯電話機
20 …電子看板の表示装置
22 …電子看板の制御装置
34 …携帯電話機の制御部
36 …携帯電話機の操作部
38 …携帯電話機の表示部
100 …インターネット網
102 …携帯電話網
106 …ゲートウェイサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話網およびインターネット網を介してパケット通信を行う電子看板と携帯電話機とを含み、前記携帯電話機を前記電子看板の外部入力装置として用いる電子看板システムであって、
前記携帯電話機は、
前記電子看板のアクセスコードを取得するアクセスコード取得手段、
前記アクセスコードを取得した電子看板に対して通信接続の許可を求める認証要求パケットを送信する認証要求手段、および
通信接続が許可された前記電子看板に対して制御を指示する操作パケットを送信する制御指示手段を備え、
前記電子看板は、
自身のアクセスコードを表示する表示手段、
携帯電話機から認証要求パケットを受信したとき、当該認証要求パケットに前記携帯電話網を経由した通信であることを示す認証情報が付与されているか否かによって、当該携帯電話機の正当性を判定する判定手段、および
前記判定手段によって正当性が確認された携帯電話機との通信接続を許可し、前記判定手段によって正当性が確認されなかった携帯電話機との通信接続を拒否する通信接続手段を備える、電子看板システム。
【請求項2】
前記電子看板および前記携帯電話機は、近距離無線通信手段をさらに備え、
前記制御指示手段は、前記操作パケットを近距離無線通信によって前記電子看板に送信する、請求項1記載の電子看板システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−123698(P2011−123698A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281217(P2009−281217)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】