説明

電子線照射方法および電子線照射装置

【課題】低エネルギーの電子線であっても、電子線を対象物に均一に照射できる電子線照射方法および電子線照射装置を提供する。
【解決手段】電子線照射領域内に発生させた複数の磁場を繋ぎ合せて形成した磁場バリヤMF内で飲料容器30(対象物)に電子線EBを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に電子線を照射する電子線照射方法、および電子線照射装置に係り、特に、例えば、飲食品、水、医薬品、漢方薬品、化粧品、飼料、肥料等、あるいはこれらに用いられる包装材料などを前記対象物とし、その殺菌を実施するために好適に使用しうる電子線照射方法、および電子線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子線照射方法および電子線照射装置としては、従来、高エネルギーの電子線を、その透過作用を利用して対象物に照射するものが一般的であった。しかし、このような高エネルギー型の電子線照射方法および電子線照射装置では、その施設が大規模となる傾向があり、また、エネルギー効率が悪いという課題がある。そこで、施設の簡素化、エネルギー効率の向上を目的として、低エネルギーの電子線を用いるとともに、磁場を利用して電子を偏向させたり、あるいは電子を反射板にて反射させることで、対象物に電子線をできるだけ均一に照射させ得る低エネルギー型の電子線照射方法および電子線照射装置が提案されている。
【0003】
例えば、その代表的な例として、特許文献1、特許文献2に記載の技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術では、電子線照射領域に向けて電子線を照射する電子線照射手段と、電子線照射領域の周囲に配置されて複数の磁場を発生させる複数の磁場偏向器とを備えている。そして、立体的な対象物を電子線照射領域内に搬送する搬送手段をさらに備えた電子線照射装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、電子線照射領域内の立体的な対象物に電子線を照射する電子線照射手段と、対象物の下方に配置した磁場偏向器と、対象物を搬送する搬送手段と、を備えた電子線照射装置が開示されている。
これら特許文献1、特許文献2に開示されている構成によれば、搬送手段にて対象物を電子線照射領域内に搬送し、次いで、電子線照射手段にて電子線を発生して電子線照射領域内に照射し、この照射された電子線をそれぞれの磁場偏向器にて偏向することによって、対象物の各所に電子線を照射することができる。
【特許文献1】特開2002−308229号公報
【特許文献2】特開平11−281798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、対象物の全面に電子線を均一に照射するには、磁場偏向器の配置やその磁場強度をいろいろと変化させる必要がある。しかし、このような照射の均一性を保つための制御は、電子が高速で発射されているため非常に難しく、上記各特許文献の技術によっても、対象物の全面に電子線を均一に照射する上では未だ不十分である。
また、対象物が、例えば複雑な凹凸がある立体物である場合やシート状部材である場合は、電子線照射手段の照射部に対し、対象物の反対面側への照射は、電子を偏向した場合であっても、ラーマ半径が大きく、フリンジングがあるため照射が困難である。なお、対象物や反射板での二次電子によって、対象物の反対面側に電子線を照射する提案もされているものの、このような二次電子は空間距離による損失が大きいため、その照射量を確保し且つ均一に照射することはやはり難しい。
【0006】
さらに、この種の電子線照射装置から照射された電子線は、対象物以外に、その雰囲気である周辺ガス(気体)や装置の構造部に衝突して、そのエネルギーをさらに消耗してしまう。そのため、対象物への電子線の均一な照射をより難しいものとしている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、低エネルギーの電子線であっても、電子線を対象物に均一に照射できる電子線照射方法および電子線照射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、対象物に電子線を照射する方法であって、電子線照射領域内に発生させた複数の磁場を繋ぎ合せた磁場バリヤを形成し、該磁場バリヤ内で対象物に電子線を照射することを特徴としている。
また、本発明は、対象物に電子線を照射する電子線照射装置であって、対象物が設置される電子線照射領域内に電子線を照射する電子線照射手段と、前記電子線照射領域内に発生させる複数の磁場を繋ぎ合せて前記対象物を取り囲むような磁場バリヤを形成する磁場バリヤ形成手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
ここで、本明細書において、「磁場バリヤ」とは、電子線照射領域内に複数の磁場を発生させ、これら複数の磁場を繋ぎ合せて、相互の磁場を合成したものをいう。なお、例えば上記特許文献1では、電子線照射領域内で複数の磁場を発生させてはいるものの、それぞれは単一の磁場として形成されており、本発明のように相互の磁場を繋ぎ合せた磁場バリヤを構成するものではない。
【0009】
本発明によれば、電子線照射領域内で発生させた複数の磁場を繋ぎ合せることによって磁場バリヤを形成している。そのため、この磁場バリヤ内で対象物に電子線を照射することによって、対象物に照射する電子線を磁場バリヤ内に閉じ込めるとともに、いろいろな角度で反射させることができる。したがって、対象物に電子線を効率的かつ均一に照射することができる。
【0010】
ここで、前記磁場バリヤは、カスプ磁場またはミラー磁場から形成されていることが好ましい。このような構成であれば、磁場バリヤ内に、よりエネルギーロス無く電子を閉じ込めることが可能となる。また、電子反射方向の無秩序性をより効果的に得られる。そのため、対象物に対し、より効率的な電子線の照射が可能となる。
また、前記磁場バリヤ形成手段は、その発生させる磁場の強度を調整して前記磁場バリヤ内での電子線の反射距離および反射方向の少なくとも一方を変えられるようになっていることが好ましい。このような構成であれば、電子反射方向の無秩序性をさらに効果的に得られる。そのため、対象物にさらに効率的で均一な電子線の照射が可能となる。
【0011】
また、前記磁場バリヤ形成手段は、その発生させる磁場の方向の調整、および回転磁界の発生の有無の少なくとも一方によって、前記磁場バリヤ内での電子線の反射方向を変えられるようになっていることが好ましい。このような構成であれば、電子反射方向の無秩序性をさらに効果的に得られる。そのため、対象物にさらに効率的で均一な電子線の照射が可能となる。
【0012】
また、前記磁場バリヤ形成手段は、前記電子線照射領域内での対象物を取り囲むように配置されて前記磁場をそれぞれ発生する複数の磁場発生体を有する構成を好適に採用できる。このような構成であれば、対象物を取り囲むような磁場バリヤを形成する上で好適な構成とすることができる。そして、低エネルギーの電子線を用いつつ、対象物に電子を均一に照射する上で好適である。
また、このような磁場発生体は、永久磁石、電磁石または円形コイルのいずれかを備えて構成されていることが好ましい。このような構成であれば、所望の磁場を適宜の条件に合わせて効率良く形成することができる。
【0013】
また、前記対象物を内部に収容するとともに、当該対象物まわりの雰囲気を真空の状態、または、負圧から正圧までの雰囲気ガスで充満された状態に管理する照射槽をさらに備え、前記雰囲気ガスは、空気、酸素、窒素、水素、二酸化炭素、アルゴン、およびヘリウムから選ばれる一または複数のものであることが好ましい。このような構成であれば、特に雰囲気を真空の状態、または、負圧の雰囲気ガスで充満された状態に管理することにより、電子のエネルギーロスをより軽減することができる。また、常圧の雰囲気であっても、雰囲気ガスとして比重の小さいヘリウムなどのガスを用いれば、雰囲気ガスが空気など比重のより大きいガスである場合に比べて、電子のエネルギーロスをより軽減することができる。また、正圧の雰囲気であっても、その圧力レベルにもよるが、雰囲気ガスとして比重の小さいヘリウムなどのガスを用いることにより、電子のエネルギーロスを充分に少ないものとすることができる。そして、対象物の種類や照射目的に応じて、雰囲気ガスを適宜に選択して、対象物まわりの雰囲気を所定の状態に管理することができる。
【0014】
また、前記電子線照射手段は、その照射する電子線の照射角度を変えられる照射角度変更手段を有することが好ましい。このような構成であれば、電子線照射領域内に照射する電子線の進入角度を変えることができる。そのため、電子が磁場バリヤにいろいろな角度で当たり、より多方向からの無秩序な照射が可能となる。したがって、対象物に対し、さらに効率的で均一な電子線の照射ができる。
また、前記対象物を前記電子線照射領域を通過可能に搬送する対象物搬送手段をさらに備えていることが好ましい。このような構成であれば、当該対象物を流している、バッチ式の生産ラインあるいは連続式の生産ラインの途中にて本発明を適用できる。
【0015】
また、本発明は、前記対象物を容器またはシート状部材とし、当該容器またはシート状部材に電子線を照射してこれの殺菌に用いる用途で好適に利用できる。すなわち、本発明は、複雑形状の立体物から平面状のものまで、対象物の種類や形状に応じて適用することができるものであって、その対象物に対し電子線を効率的かつ均一に照射することができるものであり、例えば、清涼飲料水用などのいわゆるPETボトル(ペットボトル)その他のプラスチック製の中空容器に電子線を照射してこれを殺菌する用途や、乳飲料用などの紙容器として組み立てる前の紙製のシートに電子線を照射してこれを殺菌する用途などで好適に利用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低エネルギーの電子線であっても、対象物に対し、電子線を効率的かつ均一に照射し得る電子線照射方法および電子線照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、以下の各実施の形態では、対象物として、清涼飲料水用などのPETボトル(ペットボトル)等の複雑形状をした中空の飲料容器30に電子線を照射してこれを殺菌する用途に本発明に係る電子線照射装置を適用した例である。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図である。なお、同図では、電子線照射装置の本体部分をなす略円筒形状の電子線の照射槽を、その軸線を含む断面にて示している。
【0018】
この電子線照射装置は、同図に示すように、電子線EBの照射槽であるチャンバ1を備えている。このチャンバ1は、その内部に飲料容器30を収容するのに十分な大きさをもつ耐圧構造の密封容器であり、軸線を上下とする略円筒形状に形成されている。チャンバ1の材質は、鋼材、あるいはステンレス鋼製であり、さらに、不図示であるが、その周囲はX線を遮蔽できる遮蔽材料で囲われている。
【0019】
チャンバ1の上部には、電子線照射領域となるチャンバ内に向けて電子線を照射する電子線照射手段3を備えている。電子線照射手段3は、チャンバ1の上部に密接して設置される電子線照射窓5を複数箇所(この例では三箇所)有しており、各電子線照射窓5から電子線をチャンバ1内に照射できる構造となっている。この電子線照射手段3は、低エネルギーの電子線を照射可能であり、その本体での出力は200kV以下に設定されている。なお、各電子線照射窓5とチャンバ1内との間には、チャンバ1内に向けていろいろな角度で電子を突入させるために、環状の電子偏向器10がそれぞれ介装されている。すなわち、この電子偏向器10は、電子線照射手段5が照射する電子線の照射角度を変えられる照射角度変更手段になっている。
【0020】
チャンバ1には、電子線照射領域の周囲を取り囲むように複数の永久磁石4が所定の位置(この例では、チャンバ1の外壁面)に配列されている。これら複数の永久磁石4は、電子線照射領域内にそれぞれが磁場を発生可能になっており、上記所定の位置として相互の磁場を繋ぎ合せ可能な位置にそれぞれ配置されている。ここで、これら複数の永久磁石4の相互の磁場は、カスプ磁場を構成するようになっている。すなわち、これら複数の永久磁石4は、チャンバ内周壁18に沿って飲料容器30を取り囲むように相互の磁場が合成されてカスプ磁場による磁場バリヤMFを形成可能になっている。なお、上記磁場発生体には、各永久磁石4が対応する。また、これら複数の永久磁石4全体が上記磁場バリヤ形成手段に対応している。
【0021】
さらに、チャンバ1の壁面には、ガス封入口6と、ガス吸引口7と空気導入口50とが設けられている。ガス吸引口7は、配管およびガス排気弁7Aを介して真空排気装置11に接続されている。一方、ガス封入口6は、配管およびガス吸気弁6Aを介してヘリウムガスが貯蔵されたボンベ12に接続されている。また、空気導入口50は、リーク口として機能するものであって、大気側に開放される配管が接続されており、この配管の途中に空気導入弁50Aおよびフィルタ51が設けられている。これにより、この電子線照射装置は、チャンバ1内で飲料容器30まわりの雰囲気を所定の状態に管理可能になっている。より具体的には、この電子線照射装置は、ガス排気弁7Aを開くことにより、所定の状態として、真空排気装置11によってガス吸引口7からチャンバ1内部の空気ないしガスを吸引して、チャンバ1内を負圧の状態にすることが可能になっている。また、ガス吸気弁6Aを開くことにより、ガス封入口6からチャンバ1内へ、比重の軽いヘリウムガスを空気に替えて封入可能になっている。また、空気導入弁50Aを開くことにより、空気導入口50からチャンバ1内へ、大気側の空気を導入して、チャンバ1内を大気解放状態にすることが可能になっている。なお、上記のガス吸気弁6A、ガス排気弁7Aおよび空気導入弁50Aを、それぞれ、電気や空気圧等により駆動され、遠方制御可能な弁とすれば、チャンバ内の雰囲気管理の自動化が可能となり、好適である。
【0022】
また、この電子線照射装置は、チャンバ1の壁面に開閉可能に設けられた不図示の対象物搬入口を有する。そして、この対象物搬入口からチャンバ1内に飲料容器30を搬入出する対象物搬送手段である対象物搬送装置(不図示)をさらに備えている。対象物搬送装置は、ワイヤなどの線材で構成された固定具13を有する。この固定具13は、飲料容器30の首部分を係止しつつ搬送できるようになっている。これにより、飲料容器30は、対象物搬送装置の固定具13に係止されつつ対象物搬入口からチャンバ1内に搬入され、図1に示すように、固定具13によってチャンバ1内で垂下されることで、いわば浮いている状態でチャンバ1内での所定の位置に設置可能になっている。
【0023】
次に、この電子線照射装置の作用・効果について説明する。
この電子線照射装置では、まず、飲料容器30を対象物搬送装置にて、その固定具13に係止しつつ対象物搬入口からチャンバ1内に搬入し、チャンバ1内での所定の位置に設置した後に対象物搬入口を閉じる。このとき、チャンバ1内には、カスプ磁場による磁場バリヤMFを、チャンバ1に設置(この例では、外壁面)された複数の永久磁石4によって、飲料容器30を取り囲むようにチャンバ内周壁18に沿って発生させている。そして、飲料容器30は、チャンバ1内で固定具13によって垂下して、いわば浮いている状態にしている。
【0024】
次いで、真空排気装置11にて、チャンバ1内部の空気をガス吸引口7から吸引して、チャンバ1内を負圧状態(この例では、0.05MPa〜0.1Paの低真空状態)とする。なお、対象物の種類によっては、残留する酸素分子に電子線EBが当たって発生するオゾンによる匂いや腐食などが問題となる場合もあるが、このような場合には、必要性に応じて、ガス封入口6から、比重の軽いヘリウムガスを空気に替えて封入する。また、この場合、ヘリウムガスを常圧状態で吹き流すようにしてもよい。
【0025】
次いで、電子線照射手段で電子を発生させるとともに加速し、電子偏向器10を通じて、電子線照射窓5から低エネルギーの電子線EBをチャンバ1内に突入させる。
ここで、図2に、磁場バリヤMF内での電子の軌道をシミュレーションした結果を示す。なお、同図に示すシミュレーションの条件は、チャンバ1内部の寸法が直径φ200mm、高さ200mmとし、磁石には、幅8mm、高さ40mm(ヨーク付きでは約20mm)のネオジウム磁石を用いる設定とした。なお、その残留磁束密度は13000ガウスである。そして、上記所定の位置として、この磁石の取り付けピッチ(カスプ磁場のピッチ)を約30mmに設定した。また、チャンバ1内部の雰囲気条件は、0.01MPaの低真空状態、雰囲気ガスは空気としている。同図は、この設定で形成した磁場バリヤMF内に向けてエネルギー100kVの電子を磁場の最も弱い所に対して当てた際の軌跡を計算したものである。
【0026】
同図から、磁場バリヤMF内では、電子は、空間に形成されたカスプ磁場による磁場バリヤに無秩序に繰り返し当たり複雑な動きをするランダム反射をすることがわかる。そのため、この電子線照射装置によれば、チャンバ1内部の空間に形成されたカスプ磁場による磁場バリヤMF内で電子線EBがランダム反射して飲料容器30に対し電子線EBを均一に照射することができる。さらに、この磁場バリヤMFは、チャンバ内周壁18に沿って飲料容器30を取り囲むように形成されている。そのため、チャンバ1内の構造部に電子線EBが衝突しない。したがって、チャンバ内周壁18等での電子線EBのエネルギーロスを軽減することができる。
【0027】
また、この電子線照射装置では、電子偏向器10を通じて、電子線照射窓5から電子線EBをいろいろな角度でチャンバ1内に突入させている。そのため、電子線照射窓5を出た電子線EBは、チャンバ1内に無秩序に突入する。したがって、チャンバ1内の磁場バリヤMFでのランダム反射をさらに効果的に惹起して、チャンバ1内の飲料容器30に対し、さらにムラ無く、均一に電子線EBを照射することができる。
【0028】
さらに、この電子線照射装置では、チャンバ1内部の空気をガス吸引口7から真空排気装置11で吸引して、チャンバ1内を上記のように負圧状態(この例では、0.05MPa〜0.1Paの低真空状態)としている。そのため、電子線EBをチャンバ1内でさらに運動しやすい状態(エネルギーロスの少ない状況)にすることができる。したがって、チャンバ1内部のガス(気体)での電子線EBのエネルギーロスがより軽減されるので、電子線EBの無秩序な運動がより加速され、チャンバ1内の飲料容器30に、さらに効率良く電子線EBを照射することができる。
【0029】
また、この電子線照射装置では、ガス封入口6から、比重の軽いヘリウムガスを空気に替えてチャンバ1内に封入すること、あるいは、ヘリウムガスを常圧状態で吹き流すことでも同様に、電子線EBをチャンバ1内でさらに運動しやすい状態(エネルギーロスの少ない状況)にすることができる。なお、残留する酸素分子に電子線EBが当たって発生するオゾンによる匂いや腐食などが問題となるような対象物に対しては、上記のような、チャンバ1内の雰囲気ガスをヘリウムガスとする構成が好適である。
【0030】
次に、本発明の第二の実施形態に係る電子線照射装置について説明する。
図3は、本発明の第二の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図である。なお、上記第一の実施形態と同様の構成については同一の符号を附し、その説明については適宜省略する。
この第二の実施形態は、上記第一の実施形態に対し、チャンバ1の底部に取り付けたカスプ磁場発生用の磁場発生体である永久磁石の配置距離や方向を変更可能に構成することにより、チャンバ1内に突入した電子EBをさらに無秩序に運動させ得る構成とした点が異なっている。
【0031】
すなわち、この電子線照射装置では、上記磁場バリヤ形成手段として、同図に示すように、チャンバ1の底部に、ターンテーブル14をさらに備えている点が異なっている。このターンテーブル14は、支持軸15の上端側に固定されており、支持軸15の基端側は、不図示のカップリングを介して不図示のモータの出力軸に連結されている。また、支持軸15の基端側には、支持軸15を上下方向に移動可能とする不図示のアクチュエータをさらに備えている。そして、ターンテーブル14には、その上面に、上記磁場バリヤ形成手段同様に、カスプ磁場を発生するように永久磁石19が所定の配置で取り付けられている。これにより、ターンテーブル14は、モータによって支持軸15まわりで回転しつつ、アクチュエータによって上下方向での高さを調整することによって、チャンバ1内でのカスプ磁場MF2の強度を変化させる構造になっている。
【0032】
このような構成を備えた電子線照射装置によれば、チャンバ1内に飲料容器30を入れた状態で、ターンテーブル14を回転しつつ上下方向での高さを調整して、カスプ磁場MF2の強度を変化させることができる。そのため、特に同図での中央の電子線照射窓5からチャンバ1内に突入した電子線EBは、上記第一実施形態に比べ、電子線EBの反射距離および反射方向がさらにランダム反射する。したがって、飲料容器30(この例では特に底部)に、一層むら無く、均一に電子線EBを照射することができる。
【0033】
次に、本発明の第三の実施形態に係る電子線照射装置について説明する。
図4は、本発明の第三の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその平面図を示し、それぞれ電子線の照射槽を断面にて図示している。なお、上記各実施形態と同様の構成については同一の符号を附し、その説明については適宜省略する。
この第三の実施形態は、電子線照射領域を囲むチャンバ内に上記第一の実施形態での磁場バリヤ形成手段を備えており、特に、バッチ式の生産ラインで飲料容器30に電子線を照射するのに好適な装置構造とした例である。
【0034】
この電子線照射装置は、同図(a)および(b)に示すように、ラインの流れ方向に延びる箱形のチャンバ21を備えている。このチャンバ21は、上記各実施形態同様、耐圧構造の密封容器になっており、チャンバ21の壁面には、ガス封入口6と、ガス吸引口7と、空気導入口50とが設けられている。ガス吸引口7は、配管およびガス排気弁7Aを介して真空排気装置11に接続されている。また、ガス封入口6は、配管およびガス吸気弁6Aを介してヘリウムガスが貯蔵されたボンベ12に接続されている。また、空気導入口50は、リーク口として機能するものであって、大気側に開放される配管が接続されており、この配管の途中に空気導入弁50Aおよびフィルタ51が設けられている。これにより、この電子線照射装置は、チャンバ21内で飲料容器30まわりの雰囲気を所定の状態に管理可能になっている。つまり、第三の実施形態では、このチャンバ21が上記照射槽に対応している。
【0035】
さらに、このチャンバ21上部の略中央には、電子線EBをチャンバ21内に広い面積で照射できる電子線照射手段3を備えている。また、チャンバ21底部の略中央には、電子線照射手段の電子線照射窓20下方の電子線照射領域に対応する位置に、上記第二実施形態同様のターンテーブル14と、その上面に配置された永久磁石19とを含む磁場バリヤ形成手段が流れ方向に二組配置されるとともに、チャンバ21内には上記第一実施形態同様の磁場バリヤ形成手段が配置されている。
【0036】
チャンバ21内の磁場バリヤ形成手段は、詳しくは、同図(a)に示すように、上記第一の実施形態でのチャンバ1を上下方向に向けて中央から半割りにした構造を有する磁石支持部材22として配置されており、この磁石支持部材22を相向かい合わせにしたものを、流れ方向に二組有する構成になっている。そして、各磁石支持部材22は、その半割りされた各開口部が、飲料容器30の流れ方向に向いており、電子線照射領域内に飲料容器30が出入り可能な程度の出入口としてそれぞれ配置されている。さらに、これら出入口の周囲には、カスプ磁場を発生できる永久磁石23をそれぞれ配置しており、各出入口に対してもカスプ磁場が相互に合成されることで形成される磁場バリヤMFを発生可能になっている。これにより、この電子線照射装置は、電子線照射領域内に飲料容器30を通過可能にするとともに、電子線照射領域内の電子線EBは、電子線照射領域内部の磁場バリヤMF内から、その外部に出られないようになっている。なお、チャンバ21は、磁石支持部材22および飲料容器30のできるだけ近傍を囲い込むように構成されている。なお、同図(a)での符号29は電子線照射手段3等の電源部である。また、同図(b)ではチャンバ21内の磁場バリヤ形成手段自体の図示は省略し、形成される磁場バリヤMF(およびMF2)のイメージのみを示している。
【0037】
また、チャンバ21には、同図(a)および(b)に示すように、飲料容器30の生産ラインの流れ方向入側と出側とに、対象物搬入口21aおよび対象物搬出口21bがそれぞれ設けられている。そして、各対象物搬入出口21a,21bには、所望のタイミングで開閉可能な遮蔽扉27がそれぞれ設けられている。
さらに、この電子線照射装置は、対象物搬入口21aからチャンバ21内に飲料容器30を搬入するとともに、対象物搬出口21bから飲料容器30を搬出する対象物搬送手段である対象物搬送装置28を備えている。この対象物搬送装置28は、不図示の駆動機構と、上記同様の固定具13とを有する。これにより、対象物搬送装置28は、不図示の駆動機構を稼働させることによって、飲料容器30の首部分を固定具13で係止しつつ搬送して対象物搬入出口21a,21bから搬入出可能になっている。このとき、飲料容器30は、同図(b)に示すように、上記第一実施形態同様に、固定具13によってチャンバ21内で垂下されることで、いわば浮いている状態でチャンバ21内での所定の位置に設置可能になっている。なお、対象物搬入出口21a,21b部分には、各遮蔽扉27の開閉に対して固定具13および飲料容器30が扉と干渉しないように、非干渉領域にこれらを退避できる不図示の退避機構を備えている。
【0038】
また、この対象物搬送装置28は、対象物搬送装置28を構成する固定具13のワイヤの一部により、飲料容器30をチャンバ21内で回転させる対象物回転機構26をさらに備えている。
このような構成を備えた電子線照射装置によれば、まず、チャンバ21の対象物搬入出口21a,21bの各遮蔽扉27が開いた状態で、固定具13に係止されているライン上の各飲料容器30を、対象物搬送装置28によって流れ方向に所定量だけ移動する。次いで、対象物搬入出口21a,21bの各遮蔽扉27をそれぞれ閉じる。そして、上記各実施形態同様に、チャンバ21内を負圧状態にする。なお、残留する酸素分子に電子線EBが当たって発生するオゾンによる匂いや腐食などが問題となるような対象物に電子線EBを照射する場合には、必要性に応じて、比重の軽いヘリウムガスを空気に替えて封入する。次いで、広い電子線照射窓20全面よりチャンバ21内の電子線照射領域に電子線EBを照射する。これにより、電子線EBが電子線照射領域内の飲料容器30に照射される。このとき、電子線照射窓20より電子線照射領域に照射された電子線EBは、チャンバ21内の各磁石支持部材22内側に形成されたカスプ磁場による磁場バリヤMFおよび底部の磁場バリヤMF2によって、上記各実施形態同様、電子線EBが磁場バリヤMF、MF2内をランダム反射して、磁場バリヤMF、MF2内を、いわば電子シャワー状態にすることができる。したがって、電子線照射領域内の各飲料容器30に、ムラ無く、均一に電子線EBを照射することができる。次いで、電子線EBを所定時間照射した後に、チャンバ21内を大気圧に戻してから、チャンバ21の対象物搬入出口21a,21bの各遮蔽扉27をそれぞれ開く。
【0039】
以上の工程を繰り返すことにより、チャンバ21の対象物搬入口21aから順次搬入されたライン上の飲料容器30は、磁場バリヤMF、MF2により電子シャワー状態とした電子線照射領域内を通過し、各飲料容器30に電子線EBを均一に照射後、チャンバ21の対象物搬出口21bから順次搬出することができる。
また、この電子線照射装置によれば、対象物搬送装置28の対象物回転機構26により、飲料容器30を回転させている。これにより、飲料容器30にさらに効率良く電子EBを照射することができる。
【0040】
また、この電子線照射装置によれば、飲料容器30の近傍のみを囲い込むようにチャンバ21を構成している。これにより、X線遮蔽や飲料容器30まわりの雰囲気を所定の状態に管理する領域を最小限にすることができる。
また、この電子線照射装置によれば、チャンバ21に対象物搬入出口21a,21bを設けそれぞれに遮蔽扉27を備えている。これにより、チャンバ21内を低真空や特定ガスの雰囲気にする等、対象物まわりの雰囲気を所定の状態に保つことがより容易になる。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る電子線照射方法および電子線照射装置によれば、低エネルギーの電子線EBであっても、対象物である飲料容器30に対し、電子線EBを均一に照射することができる。
なお、本発明に係る電子線照射方法および電子線照射装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、上記各実施形態では、対象物として飲料容器30を例に説明したが、これに限定されず、例えば、対象物として、飲食品、水、医薬品、漢方薬品、化粧品、飼料、肥料等、あるいはこれらに用いられる包装材料などであっても適用することができる。すなわち、本発明は、複雑形状の立体物から平面状のフィルムまで、対象物の種類や形状に応じて適宜用いることができ、例えば、乳飲料用などの紙容器として組み立てる前の紙製のシートに電子線を照射してこれを殺菌する用途などにも適用することができる。そして、本発明によれば、上記のようなシート状部材に電子線を照射する場合に、シート状部材を取り囲むように形成された磁場バリヤ内に電子線を閉じ込めるとともに、いろいろな角度で反射させることができるので、シート状部材の一方側の面に対向して配置された電子線照射手段からの電子線によりシート状部材の他方側の面も同時にかつ一方側の面と同等な照射量でもって照射することが可能となる。
【0043】
また、上記各実施形態では、対象物を殺菌する用途を例に説明したが、これに限定されず、殺菌以外の用途であっても適用することができる。
また、上記各実施形態では、電子線の照射槽は、対象物まわりの雰囲気を所定の状態に管理可能な耐圧構造の密封容器であるチャンバを例に説明したが、これに限定されず、電子線の照射槽を開放型に構成してもよい。このような構成であっても、対象物を取り囲むように発生させた磁場によって磁場バリヤを形成し、対象物に照射する電子線をその磁場バリヤ内で反射させれば、本発明に係る電子線照射方法および電子線照射装置の作用・効果を奏することができる。しかし、電子線のエネルギーロスをより軽減する上では、上記実施形態のように、対象物まわりの雰囲気を所定の状態に管理可能な照射槽(チャンバ)とすることが好ましい。
【0044】
また、上記各実施形態では、磁場バリヤをカスプ磁場で形成する例で説明したが、これに限定されず、本発明の磁場バリヤは、その他の磁場の合成によって形成してもよい。例えばミラー磁場によって磁場バリヤを形成してもよい。
また、上記各実施形態では、磁場発生体は、永久磁石で構成されている例で説明したが、これに限定されず、磁場発生体は、例えば、電磁石、円形コイル、あるいは永久磁石を含めてこれらの組合わせで構成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、ターンテーブル14を回転させることによってその発生させる磁場の方向を変えることができる例で説明したが、これに限定されず、磁場バリヤ内での電子線の反射方向を変えられる構成であれば電子反射方向の無秩序性を効果的に得られる。例えば回転磁界を適宜に発生させることによって磁場バリヤ内での電子線の反射方向を変えられるようにしてもよい。
【0046】
また、上記各実施形態では、チャンバは、対象物の種類に合わせて外形形状が予め決められている例で説明したが、これに限定されず、その内形形状を対象物の形状に応じて変えられる内形形状可変構造を有する構成とすることができる。このような内形形状可変構造の例としては、外形を構成する隔壁をスライド可能な組合わせ構造とする。このような構成であれば、対象物の形状に応じて、チャンバの内形形状を適宜に可変して対応することができる。そのため、対象物に対し、さらに効率的で均一な電子線の照射が可能となる。
【0047】
また、上記実施形態では、チャンバ内の雰囲気管理の具体例として、チャンバ1内部の空気をガス吸引口7から吸引して、チャンバ1内を負圧状態(この例では0.05MPa〜0.1Paの低真空状態)にすること、および、残留する酸素分子に電子線EBが当たって発生するオゾンによる匂いや腐食などが問題となる対象物に対しては、必要性に応じて、空気に替えて比重の軽いヘリウムガス12を封入することを例示したが、本発明におけるチャンバ内の雰囲気管理の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、チャンバ1内を負圧状態にする場合、上記のような例えば0.05MPa〜0.1Pa程度の低真空状態に限定されるものではなく、より真空度の高い高真空状態としてもよく、真空度が高いほど、電子のエネルギーロスをより一層軽減することができる。また、チャンバ内の雰囲気ガスは、空気、酸素、窒素、水素、二酸化炭素、アルゴン、およびヘリウムから選ばれる一または複数のものであればよく、対象物の種類や照射目的に応じて、チャンバ内の雰囲気ガスを適宜に選択して、対象物まわりの雰囲気を所定の状態に管理することができる。なお、雰囲気ガスとして比重の小さいヘリウムなどのガスを用いれば、常圧の雰囲気であっても、雰囲気ガスが空気など比重のより大きいガスである場合に比べて、電子のエネルギーロスをより軽減することができる。また、正圧の雰囲気であっても、その圧力レベルにもよるが、雰囲気ガスとして比重の小さいヘリウムなどのガスを用いることにより、電子のエネルギーロスを充分に少ないものとすることができる。なお、残留する酸素分子に電子線が当って発生するオゾンによる匂いや腐食などが問題となるような対象物に電子線を照射する場合に適合する不活性の雰囲気ガスとして、上記のヘリウムガス以外に、例えば窒素やアルゴンなどのガスを用いることもできるが、電子のエネルギーロスをより軽減することができるという点も考慮すると、比重の軽いヘリウムガスが特に好適である。
【0048】
また、上記実施形態では、バッチ式の生産ラインで飲料容器30に電子線を照射するのに好適な装置構造とした例について説明したが、これに限定されず、例えば連続式の生産ラインで対象物に電子線を照射する際に本発明を適用してもよい。
また、上記各実施形態は、それぞれの構成を適宜に選択して相互に組み合わせることができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図である。
【図2】磁場バリヤ内での電子の軌道をシミュレーションした結果を示す図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0050】
1、21 チャンバ(照射槽)
3 電子線照射手段
4、19、23 永久磁石(磁場発生体)
5、20 電子線照射窓
5 電子線照射手段
6 ガス封入口
7 ガス吸引口
10 電子偏向器(照射角度変更手段)
11 真空排気装置
12 (ヘリウムガス)ボンベ
13 固定具
14 ターンテーブル
15 支持軸
18 チャンバ内周壁
22 磁石支持部材
26 対象物回転機構
27 遮蔽扉
28 対象物搬送装置(対象物搬送手段)
30 飲料容器(対象物)
50 空気導入口
51 フィルタ
EB 電子線
MF、MF2 磁場バリヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線照射領域内に発生させた複数の磁場を繋ぎ合せた磁場バリヤを形成し、該磁場バリヤ内で対象物に電子線を照射することを特徴とする電子線照射方法。
【請求項2】
対象物が設置される電子線照射領域内に電子線を照射する電子線照射手段と、前記電子線照射領域内に発生させる複数の磁場を繋ぎ合せて前記対象物を取り囲むような磁場バリヤを形成する磁場バリヤ形成手段とを備えていることを特徴とする電子線照射装置。
【請求項3】
前記磁場バリヤ形成手段は、前記磁場バリヤを、カスプ磁場またはミラー磁場から形成することを特徴とする請求項2に記載の電子線照射装置。
【請求項4】
前記磁場バリヤ形成手段は、その発生させる磁場の強度を調整して前記磁場バリヤ内での電子線の反射距離および反射方向の少なくとも一方を変えられるようになっていることを特徴とする請求項2または3に記載の電子線照射装置。
【請求項5】
前記磁場バリヤ形成手段は、その発生させる磁場の方向の調整、および回転磁界の発生の有無の少なくとも一方によって、前記磁場バリヤ内での電子線の反射方向を変えられるようになっていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項6】
前記磁場バリヤ形成手段は、前記電子線照射領域内での対象物を取り囲むように配置されて前記磁場をそれぞれ発生する複数の磁場発生体を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項7】
前記磁場発生体は、永久磁石、電磁石または円形コイルのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子線照射装置。
【請求項8】
前記対象物を内部に収容するとともに、当該対象物まわりの雰囲気を真空の状態、または、負圧から正圧までの雰囲気ガスで充満された状態に管理する照射槽をさらに備え、前記雰囲気ガスは、空気、酸素、窒素、水素、二酸化炭素、アルゴン、およびヘリウムから選ばれる一または複数のものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項9】
前記電子線照射手段は、その照射する電子線の照射角度を変えられる照射角度変更手段を有することを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項10】
前記対象物を前記電子線照射領域を通過可能に搬送する対象物搬送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項11】
前記対象物は容器またはシート状部材であり、当該容器またはシート状部材に電子線を照射してこれの殺菌に用いることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載の電子線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−113934(P2007−113934A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302874(P2005−302874)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(501383635)株式会社日本AEパワーシステムズ (168)
【Fターム(参考)】