説明

電子装置およびその製造方法

【課題】表面が金メッキよりなるランドに対して、アルミワイヤと金ワイヤとが接続されてなる電子装置において、アルミワイヤ用ランドの金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランドの金メッキ厚を厚くするのに適した構成を提供する。
【解決手段】1個の金ワイヤ用ランド12を、複数個の領域に分割された分割部12aの集合体であってこれら複数個の分割部12aにまたがって1本の金ワイヤ32が接続されているものとし、個々の分割部12aの面積を1個のアルミワイヤ用ランド11の面積よりも小さいものとし、個々の分割部12aにおける金メッキ10cを、アルミワイヤ用ランド11における金メッキ10cよりも厚いものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が金メッキされた複数のランドを有する基板の上に電子部品を搭載し、金ワイヤおよびアルミワイヤにより電子部品とランドとを接続するようにした電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の一般的な電子装置は、表面が金(Au)メッキよりなるワイヤボンディング用の複数のランドを有する基板と、基板に搭載された電子部品と、電子部品とランドとを結線するボンディングワイヤとを備える。
【0003】
ここで、ボンディングワイヤは、アルミニウム(Al)よりなるアルミワイヤと金よりなる金ワイヤとの異なる材質の2種類のものが混在し、複数のランドは、アルミワイヤと接続されるアルミワイヤ用ランドと金ワイヤと接続される金ワイヤ用ランドとにより構成されている。
【0004】
そして、この電子装置の製造方法は、一般に、基板上に導体部を形成し、その導体部の表面に金メッキを施すことにより複数のランドを形成し、次に、基板に電子部品を搭載し、電子部品と複数のランドとを、アルミワイヤおよび金ワイヤよりなるボンディングワイヤにより接続する。
【0005】
ここで、このボンディングワイヤの接続は、アルミワイヤを複数のランドのうちのアルミワイヤ用ランドに接続した後、金ワイヤを金ワイヤ用ランドに接続する。そして、これらワイヤの接続は、特許文献1にも記載されているような超音波ワイヤボンディング方法により行われるのが通常である。
【特許文献1】特開平2−58845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の電子装置においては、近年の高機能化に伴ってボンディングワイヤの数が増加している。これに伴い、トータルのボンディング時間が増加するが、ワイヤボンディングは基板を加熱しながら行うため、このことは基板の加熱時間が延びることにつながる。
【0007】
ここで、ワイヤボンディング用のランドは、Cuなどよりなる下地の表面に金メッキを施してなるが、この基板の加熱時間の増加により、当該ランドにおける金メッキの表面にCuなどの下地成分が析出しやすくなる。
【0008】
上述したように、アルミワイヤと金ワイヤの接続は、先にアルミワイヤをアルミワイヤ用ランドに接続し、その後、金ワイヤを金ワイヤ用ランドに接続する。これは、アルミワイヤの接続の方が金ワイヤの接続よりも、接続に要するエネルギーが大きく、接続時の超音波振動も大きいためである。
【0009】
つまり、アルミワイヤの接続を金ワイヤの接続よりも先に行うことで、大きなアルミワイヤ接続時の超音波振動が金ワイヤの接続部に印加されるのを防止し、金ワイヤ接続部へのダメージを抑制するようにする。そのため、基板の加熱時間の増加による金メッキ表面への下地成分の析出は、後でボンディングが行われる金ワイヤ用ランドについて、顕著となりやすい。
【0010】
また、通常、金ワイヤは、アルミワイヤよりも接合面積が小さい。このことも、ランドの金メッキ表面への下地成分の析出によって、とりわけ、金ワイヤの接続における初期接合強度が低下することにつながる。
【0011】
このような問題について、単純には、複数のランド全体において表面の金メッキの厚さを増加することが考えられる。しかし、そのために貴金属である金の使用量が増加し、コストアップの恐れがある。
【0012】
また、アルミワイヤ接続部において金メッキの厚さを増加した場合、金メッキとその下地との界面に、高温環境のもとAu−Al拡散速度のミスマッチによる多数のカーケンダルボイドが発生し、接合強度の低下を招く恐れがある。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、表面が金メッキよりなる複数のランドを有する基板の上に電子部品を搭載し、アルミワイヤおよび金ワイヤにより電子部品とランドとを接続するようにした電子装置において、アルミワイヤ用ランドの金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランドの金メッキ厚を厚くするのに適した構成を有する電子装置およびそのような電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意検討を行った。その結果、後述の図5に示されるように、同一のメッキ条件では、ランドの面積が小さいほど、ランド表面の金メッキの厚さは大きくなることが見出された。本発明は、この知見に基づいて創出されたものである。
【0015】
すなわち、本発明は、1個の金ワイヤ用ランド(12)を、複数個の領域に分割された分割部(12a)の集合体であってこれら複数個の分割部(12a)にまたがって1本の金ワイヤ(32)が接続されているものとし、個々の分割部(12a)の面積を1個のアルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さいものとし、個々の分割部(12a)における金メッキ(10c)を、アルミワイヤ用ランド(11)における金メッキ(10c)よりも厚いものとしたことを、第1の特徴とする。
【0016】
それによれば、アルミワイヤ(31)と金ワイヤ(32)とが混在する電子装置において、アルミワイヤ用ランド(11)の金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランド(12)の金メッキ厚を厚くするのに適した構成を有する電子装置を提供することができる。
【0017】
その結果として、本発明によれば、アルミボンディングが高温環境で接合寿命を損なうことなしに、また金の使用量を抑制して材料費を抑えつつ、金ボンディングの接合品質の向上を図ることが可能となる。
【0018】
本発明は、ランド(11、12)の形成工程では、アルミワイヤ用ランド(11)および金ワイヤ用ランド(12)の導体部(10a)を形成するとともに、金ワイヤ用ランド(12)における導体部(10a)については、個々の部分が1個のアルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さい複数個の分割部(12a)に分割されたものとして形成し、続いて、複数個の分割部(12a)の表面、および、アルミワイヤ用ランド(11)における導体部(10a)の表面に、金メッキ(10c)を形成することにより、複数のランド(11、12)を形成し、しかる後、基板(10)への電子部品(21、22)の搭載、および、ボンディングワイヤ(31、32)による接続を行うことを、第2の特徴とする。
【0019】
それによれば、1個のアルミワイヤ用ランド(11)よりも面積の小さい領域に分割された金ワイヤ用ランド(12)では、金メッキ(10c)をアルミワイヤ用ランド(11)よりも厚くできる。
【0020】
つまり、本発明によれば、アルミワイヤ用ランド(11)の金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランド(12)の金メッキ厚を厚くするのに適した電子装置の製造方法を提供することができる。
【0021】
本発明は、ランド(11、12)の形成工程では、アルミワイヤ用ランド(11)および金ワイヤ用ランド(12)の導体部(10a)を形成し、次に、金ワイヤ用ランド(12)における導体部(10a)を、レーザーで切断することにより、個々の部分が1個のアルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さい複数個の分割部(12a)に分割されたものとし、続いて、複数個の分割部(12a)の表面、および、アルミワイヤ用ランド(11)における導体部(10a)の表面に、金メッキ(10c)を形成することにより、複数のランド(11、12)を形成し、しかる後、基板(10)への電子部品(21、22)の搭載、および、ボンディングワイヤ(31、32)による接続を行うことを、第3の特徴とする。
【0022】
それによれば、レーザーにより、1の個アルミワイヤ用ランド(11)よりも面積の小さい領域に分割された金ワイヤ用ランド(12)では、金メッキ(10c)をアルミワイヤ用ランド(11)よりも厚くできる。また、レーザーによれば、精度よく分割することが可能となる。
【0023】
そして、本発明によれば、アルミワイヤ用ランド(11)の金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランド(12)の金メッキ厚を厚くするのに適した電子装置の製造方法を提供することができる。
【0024】
また、上記第2および第3の特徴を有する製造方法においては、金メッキ(10c)の形成を行った後且つボンディングワイヤ(31、32)による接続を行う前に、個々の分割部(12a)の表面のうち当該個々の分割部(12a)の端部に位置する部位にて、金メッキ(10c)をプレスすることにより、分割部(12a)における金メッキ(10c)を平坦化するようにしてもよい。
【0025】
また、上記第2および第3の特徴を有する製造方法においては、複数個の分割部(12a)を形成した後に、個々の分割部(12a)の表面のうち当該個々の分割部(12a)の端部に位置する部位に、金メッキ(10c)の成長を阻害する材料(40)を配置し、その後、金メッキ(10c)の形成を行うようにしてもよい。
【0026】
分割部(12a)の端部では中央部側に比べて特に金メッキ(10c)が成長しやすく、凹凸の発生原因となり、ボンディング性の低下を招くおそれがあるが、これらプレスやメッキ成長阻害材料を用いれば、各分割部(12a)のボンディング面を平坦面とする上で好ましい。
【0027】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置100の概略断面構成を示す図である。また、図2は、この電子装置100における要部の拡大図であり、(a)は金ワイヤ用ランド12の概略平面図、(b)は金ワイヤ用ランド12の概略断面図である。
【0030】
この電子装置100は、大きくは基板10の上に、電子部品21、22が搭載され、これら電子部品21、22と基板10のランド11、12がボンディングワイヤ31、32により接続されてなる。
【0031】
基板10は、セラミック基板やプリント基板などよりなる配線基板である。この基板10の一面には、ワイヤボンディング用の複数のランド11、12が設けられている。また、基板10上には、複数の電子部品21、22および実装部品23、24が搭載され、基板10の部品搭載電極13に対して、はんだや導電性接着剤などのダイボンド材33を介して接続されている。
【0032】
電子部品は、第1のICチップ21および第2のICチップ22よりなる。ここで、第1のICチップ21は、基板10のランド11に対してアルミニウム(Al)よりなるアルミワイヤ31を介して接続され、第2のICチップ22は、基板10のランド12に対して金(Au)よりなる金ワイヤ32を介して接続されている。
【0033】
また、実装部品23、24は、基板10に対して、ボンディングワイヤを用いない、つまり、ワイヤボンディング以外のはんだや導電性接着剤などの形態で実装されるものである。ここでは、実装部品23、24として、ダイボンドされた大型コンデンサ23およびチップコンデンサ24が図示されている。
【0034】
ここで、アルミワイヤ31および金ワイヤ32は、それぞれワイヤボンディングの分野で通常用いられるものであり、アルミワイヤ31はAlまたはAl合金よりなるアルミニウムを主成分とするものであり、金ワイヤ32はAuまたはAu合金よりなる金を主成分とするものである。
【0035】
このように、電子部品21、22とランド11、12とを結線するボンディングワイヤ31、32は、アルミワイヤ31と金ワイヤ32との異なる材質の2種類のものが混在してなる。また、複数のランド11、12は、アルミワイヤ31と接続されるアルミワイヤ用ランド11、および、金ワイヤ32と接続される金ワイヤ用ランド12により構成されている。
【0036】
ここで、1個のアルミワイヤ用ランド11、1個の金ワイヤ用ランド12とは、それぞれ1本のアルミワイヤ31、1本の金ワイヤ32に対応するものである。そして、本実施形態では、図2に示されるように、1個の金ワイヤ用ランド12は、複数個の領域に分割された分割部12aの集合体であってこれら複数個の分割部12aにまたがって1本の金ワイヤ32が接続されているものである。
【0037】
図2に示される例では、金ワイヤ用ランド12は、4個の分割部12aの集合体により構成されており、これら4個の分割部12aに対して1本の共通の金ワイヤ32が接続されている。つまり、これら4個の分割部12aにより1個の金ワイヤ用ランド12が構成されている。
【0038】
ここでは、金ワイヤ用ランド12は平面矩形状をなすものであり、この矩形が十字状をなす溝12bによりそれぞれボンディング面の面積が等しい4個の分割部12aに4等分されている。限定するものではないが、たとえば、図2(a)に示されるように、1辺の長さLが0.26mmの平面正方形である1個の金ワイヤ用ランドが、幅d0.03mmの溝12bにより4等分されている。
【0039】
また、この金ワイヤ用ランド12は、基板10側から、メタライズ層10a、Cuメッキ10b、金メッキ10cの3層が積層されてなる。ここで、金メッキ10cの下地のうちメタライズ層10aが導体部を構成し、この導体部10aの表面にCuメッキ10bを介して金メッキ10cが設けられ、この金メッキ10cがランド12のボンディング面を構成している。
【0040】
また、金ワイヤ用ランド12は複数個の領域に分割された分割部12aの集合体であるが、個々の分割部12aは表面の金メッキ10c、および、その下地である導体部としてのメタライズ層10a、Cuメッキ10bが分割されたものである。つまり、分割部12aとは、あくまでもランド表面の金メッキ10cだけが分割されているのではなく、その下地も分割されたものである。
【0041】
また、本実施形態において、図示しないが、1個のアルミワイヤ用ランド11は、この図2に示される金ワイヤ用ランド12において溝12bで分割されていない構成のものと同様の構成である。つまり、本実施形態の電子装置100におけるワイヤボンディング用の複数のランド11、12は、いずれも、ボンディング面である表面が金メッキ10aよりなるものである。
【0042】
そして、アルミワイヤ用ランド11と金ワイヤ用ランド12とを比較すると、本実施形態では、金ワイヤ用ランド12における個々の分割部12aのボンディング面の面積が、1個のアルミワイヤ用ランド11のボンディング面の面積よりも小さい。つまり、1個の分割部12aの面積はアルミワイヤ用ランド11の1個分の面積よりも小さい。さらに、金ワイヤ用ランド12における個々の分割部12aの金メッキ10cが、アルミワイヤ用ランド11における金メッキ10cよりも厚い。
【0043】
ここで、導体部としてのメタライズ層10aは、タングステンなどの金属とガラスとの複合材料よりなり、これらのペーストを塗布して硬化させることにより形成されている。また、Cuメッキ10bは、無電解メッキなどにより形成されている。また、ランド11、12の表面を構成する金メッキ10cは、電気メッキや無電解メッキなどにより形成されている。
【0044】
これら各層10a〜10cの厚さについて述べると、アルミワイヤ用ランド11および金ワイヤ用ランド12におけるメタライズ層10aの厚さは、たとえば数十μmであり、Cuメッキ10bの厚さは、たとえば数十μmである。また、金ワイヤ用ランド12における金メッキ10cの厚さは、0.25μm〜0.3μm程度であり、アルミワイヤ用ランド11における金メッキの厚さは、0.20μm程度である。
【0045】
次に、本電子装置100の製造方法について、説明する。本実施形態では、アルミワイヤ用ランド11および金ワイヤ用ランド12は、基板10上に導体部としてのメタライズ層10a、Cuメッキ10を形成し、これら下地10a、10bの表面に金メッキ10cを施すことにより形成する。
【0046】
ここで、アルミワイヤ用ランド11は、上記形成工程により完成するが、金ワイヤ用ランド12については、上述のように分割が必要である。図3は、本製造方法における金ワイヤ用ランド12の形成工程を示す工程図である。
【0047】
まず、図3(a)に示されるように、基板10の上に、マスク印刷などによる塗布・硬化によりメタライズ層10aを形成する。次に、図3(b)に示されるように、このメタライズ層10aをレーザーRにより溝12bを形成し、メタライズ層10aを上記分割部12aのパターンに平面的に分割する。
【0048】
このレーザーRは、メタライズ層10aを焼き切ることのできるものであればよく、たとえばYAGレーザーなどが使用される。このようにして、金ワイヤ用ランド12における導体部としてのメタライズ層10aを、レーザーRで切断することにより、当該メタライズ層10aは、個々の部分が1個のアルミワイヤ用ランド11の面積よりも小さい複数個の分割部12aに分割されたものとなる。
【0049】
その後、図3(c)に示されるように、金ワイヤ用ランド12のメタライズ層10aにおける複数個の分割部12aの表面に、Cuメッキ10bを形成する。その後、さらに、各分割部12aにおけるCuメッキ10bの上に金メッキ10cを形成する。こうして、金ワイヤ用ランド12ができあがる。
【0050】
なお、アルミワイヤ用ランド11は、上記図3においてレーザーRによる分割を行わない方法により形成される。すなわち、基板10の上に、金ワイヤ用ランド12のメタライズ層10a、Cuメッキ10b、金メッキ10cを形成していくのと同時に、アルミワイヤ用ランド11のメタライズ層10a、Cuメッキ10b、金メッキ10cを形成していくことによって、アルミワイヤ用ランド11が作られる。
【0051】
つまり、本実施形態のランド11、12の形成工程では、アルミワイヤ用ランド11の導体部10aおよび金ワイヤ用ランド12の導体部10aを形成するとともに、金ワイヤ用ランド12における導体部10aについては、上記複数個の分割部12aに分割されたものとして形成し、これら複数個の分割部12aの表面およびアルミワイヤ用ランド11における導体部10aの表面に、金メッキ10cを形成することにより、複数のランド11、12を形成する。
【0052】
こうして、基板10の上に複数のランド11、12を形成した後、次に、基板10に上記電子部品21、22および上記実装部品23、24を搭載する。そして、電子部品21、22と複数のランド11、12とを、ボンディングワイヤとしてのアルミワイヤ31および金ワイヤ32により接続する。
【0053】
このボンディングワイヤ31、32の各ランド11、12への接続工程は、従来と同様に、先にアルミワイヤ31をアルミワイヤ用ランド11に接続し、その後、金ワイヤ32を金ワイヤ用ランド12に接続する。これらアルミワイヤ31および金ワイヤ32の接続は、一般的な超音波ワイヤボンディングなどにより行う。こうして、本実施形態の電子装置100が完成する。
【0054】
ところで、本実施形態の電子装置100によれば、1個の金ワイヤ用ランド12を、1個のアルミワイヤ用ランド11の面積よりも小さく且つアルミワイヤ用ランド11よりも金メッキ10cが厚い複数個の領域に分割された分割部12aの集合体として構成している。
【0055】
そして、そのような電子装置100を製造するため、本実施形態の製造方法では、ランド11、12の形成工程において、金ワイヤ用ランド12における導体部10aを、個々の部分が1個のアルミワイヤ用ランド11の面積よりも小さい複数個の分割部12aに分割されたものとして形成し、その複数個の分割部12aの表面に金メッキ10cを形成するようにしている。
【0056】
このように、金ワイヤ用ランド12を分割するようにした根拠について、述べる。図4は、本発明者が従来技術に基づいて試作した金ワイヤ用ランド12の構成を示す図であり、(a)は金ワイヤ32が接続された状態を示す概略断面図、(b)、(c)はそれぞれ当該ランド12の平面図、断面図である。
【0057】
このように試作を行い検討したところ、図4(c)に示されるように、ランド12の金メッキ10cは、ランド12の端部Eの付近にて厚くなる特性があることがわかった。これは、当該端部Eにおける電界強度の集中によるものと考えられる。そこで、本発明者は、ランド12の面積を小さくすれば、表面の金メッキ10cを厚くできると考え、ランド12の面積を変えたときの金メッキ10cの厚さを調査した。
【0058】
図5は、同一のメッキ条件にて、ランド12の面積(ランド面積、単位:mm2)とランド中央部の金メッキ厚さ(単位:μm)との関係を測定した結果を示すグラフである。メッキ条件は、ランド面積が0.39mm2である平面四角形のランドに対して、厚さ0.20μmの金メッキを形成する条件とした。
【0059】
この条件において、ランド面積を変えていき、金メッキ厚さを測定した。ここで、ランド面積が0.39mm2である平面四角形のランドは、φ250μmである太線のアルミワイヤ用ランドに相当する。また、図5には、φ50μmである細線のアルミワイヤ用ランドに相当するランド面積、および、それらよりも小さい従来の一般的な金ワイヤ用ランドに相当するランド面積も示してある。
【0060】
図5に示されるように、同一のメッキ条件では、ランド12の面積が小さいほど、ランド表面の金メッキ10cの厚さは大きくなることがわかった。特に、従来の一般的な金ワイヤ用ランドのランド面積よりも小さいランド面積において、金メッキ厚さが急激に大きくなることが確認された。
【0061】
そこで、本実施形態では、このことを利用して、金ワイヤ用ランド12を分割することで金ワイヤ用ランド12における金メッキ10cを厚くしたものである。そして、本実施形態の電子装置100によれば、アルミワイヤ用ランド11における金メッキ10cの厚さを変えることなく、金ワイヤ用ランド12における金メッキ10cの厚さを、従来よりも大きくすることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、当該電子装置100を適切に製造でき、アルミワイヤ用ランド11の金メッキ厚を変えることなく、金ワイヤ用ランド12の金メッキ厚を厚くするのに適した電子装置の製造方法が提供される。
【0063】
そして、このような本実施形態の電子装置100およびその製造方法によれば、アルミワイヤボンディングが高温環境で接合寿命を損なうことなしに、また金ワイヤの使用量を抑制して材料費を抑えつつ、金ワイヤボンディングの接合品質の向上を図ることが可能となる。
【0064】
次に、本実施形態において、上記した効果を奏するための分割部の構成の一具体例について、図6を参照して述べる。図6は、横軸にランド面積(単位:mm2)、縦軸にランド中央部の金メッキ厚さ(単位:μm)を示す。これらランド面積と金メッキ厚さとの関係は上記図5と同様であるが、図6では0.1mm2以下の微小面積部分を拡大して示している。
【0065】
図6には、上記図2(a)に示される1辺の長さLが0.26mm2の平面正方形の金ワイヤ用ランド12を、幅dが0.03mmである溝12bによって面積が等しい4個の分割部12aに4等分した実施形態の例と、分割しない比較例とを示してある。金メッキ厚さは、比較例では0.20μm程度であるが、実施形態の例では、0.30μm近くまで厚くなっている。
【0066】
また、本実施形態の製造方法では、上述したように、金ワイヤ用ランド12のメタライズ層10aを、レーザーRにより分割している。マスク印刷方法の精度は0.1mm程度であるが、レーザーでは、より微細な加工が可能であり、精度よく分割部12aを形成することが容易である。
【0067】
なお、上記例では、金ワイヤ用ランド12のメタライズ層10aを形成した後、これをレーザーRで分割し、その後、各分割部12a上へCuメッキ10b、金メッキ10cを形成した。
【0068】
これ以外にも、本実施形態では、金ワイヤ用ランド12のメタライズ層10aを形成した後、その上にCuメッキ10bを形成し、その後、メタライズ層10aおよびCuメッキ10bをレーザーRによって分割部12aのパターンに切断し、その後、金メッキ10cを形成するようにしてもよい。
【0069】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は金ワイヤ用ランド12の概略平面図、(b)は(a)に示される金ワイヤ用ランド12の概略断面図である。
【0070】
本実施形態の電子装置においても、1個の金ワイヤ用ランド12を、1個のアルミワイヤ用ランド11の面積よりも小さく且つアルミワイヤ用ランド11よりも金メッキ10cが厚い複数個の領域に分割された分割部12aの集合体として構成している。
【0071】
上記第1実施形態では、平面四角形の金ワイヤ用ランド12を、小さな四角形に4等分して分割部12aを形成したが、図7に示されるように、同心円状に分割された分割部12aとしてもよい。なお、このような分割部12aも、上記第1実施形態と同様に、レーザーによる分割を行えば、同様に形成することが可能である。
【0072】
さらに、分割部12aの分割形状は、1個の分割部12aのボンディング面の面積が1個のアルミワイヤ用ランド11のボンディング面の面積よりも小さいという上記の条件を満たせばよいものであり、上記第1実施形態にて上記図2に示したような格子パターンや本実施形態の図7に示される同心円パターンに限定されるものではない。
【0073】
また、1個の金ワイヤ用ランド12を構成する分割部12aの数についても、上記図2や図7に示される数よりも多くてもよいし、少なくてもよく、種々変更が可能である。また、分割前の金ワイヤ用ランド12の平面形状についても、矩形に限るものではなく、その他の多角形、円形などであってもよい。
【0074】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法における金ワイヤ用ランド12の形成工程の要部を示す工程図である。本実施形態の製造方法は、上記した第1および第2実施形態に適用可能である。
【0075】
上記図4にも示したが、ランドの端部では、中央部に比べて金メッキが成長しやすく厚くなりやすい。このことは、金ワイヤ用ランド12を分割して形成された分割部12aの端部についても同様である。
【0076】
つまり、図8(a)に示されるように、分割部12aの端部では、分割部12aの中央部側に比べて金メッキ10cが厚くなり、凸部ができやすい。金ワイヤ32は、複数の分割部12aに渡って接続されるため、この凸部がワイヤボンディング性を阻害することとなる。
【0077】
そこで、本実施形態の製造方法では、金メッキ10cの形成を行った後であって且つボンディングワイヤ31、32による接続を行う前に、図8(b)に示されるように、プレス面が平坦なプレス用治具200を用い、当該プレス面を、個々の分割部12aの表面に押し付けてプレスする。
【0078】
それによって、個々の分割部12aの端部に位置する部位にて、凸部となっている金メッキ10cを押しつぶし、分割部12aにおける金メッキ10cを平坦化する。平坦化された状態は図8(b)中の破線にて示してある。その後は、上記実施形態に述べた製造方法と同様に、ワイヤボンディングを行うが、分割部12aのボンディング面の全体が平坦であるため、ワイヤボンディング性が確保される。
【0079】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の製造方法における金ワイヤ用ランド12の形成工程の要部を示す工程図である。本実施形態の製造方法も、上記した第1および第2実施形態に適用可能である。
【0080】
本実施形態の製造方法も、上記第3実施形態の製造方法と同様に、分割部12aの端部における金メッキ10cの凸を防止してワイヤボンディング性を確保する目的で行うものである。
【0081】
本製造方法では、複数個の分割部12aを形成し(図9(a)参照)、その後に、個々の分割部12aの表面のうち当該個々の分割部12aの端部に位置する部位に、金メッキ10cの成長を阻害する材料としてのメッキ阻害材料40を配置し(図9(b)参照)、その後、金メッキ10cの形成を行う。
【0082】
このメッキ阻害材料40は、一般的な無電解メッキに用いられるもので、選択された領域にメッキを行うときにメッキされたくない領域に設けられ、メッキ中に分解して消滅するものである。このようなメッキ阻害材料40は、たとえばインクジェット等の方法によって印刷することで配置可能である。
【0083】
本製造方法においても、金メッキ10cの進行に伴い、分割部12aの端部におけるメッキの集中成長を抑えつつ、メッキ阻害材料40は消滅していく(図9(c)参照)。そのため、金メッキ10cは、分割部12aの端部にて中央部よりも厚さが大きくならず、分割部12aのボンディング面全体において平坦性が保たれる。
【0084】
その後は、上記実施形態に述べた製造方法と同様に、本実施形態においてもワイヤボンディングを行う(図9(d)参照)が、分割部12aの表面全体が平坦であるため、ワイヤボンディング性が確保される。
【0085】
(他の実施形態)
なお、ランドの形成工程では、アルミワイヤ用ランド11および金ワイヤ用ランド12の導体部10aを形成するとともに、金ワイヤ用ランド12における導体部10aについては、複数個の分割部12aに分割されたものとして形成したが、この分割部12aは、レーザーで分割するものでなくてもよい。たとえば、マスク印刷などの手法によって、予め分割されたメタライズ層10aを形成してもよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、複数のランド11、12における金メッキ10cの直下の下地は、Cuメッキ10bであったが、これをNi(ニッケル)メッキに置き換えてもよい。この場合も、課題の欄に述べたようなCuメッキの場合と同様、金メッキ表面への下地成分の析出やアルミワイヤにおけるカーケンダルボイドといった問題が生じる可能性がある。そのため、上記実施形態を採用することで効果がある。
【0087】
また、金メッキ10cの下部に位置する導体部は、ワイヤボンディング用のランドに用いられる導体材料であれば、上記したメタライズ層10aに限定されるものではなく、さらには、導体部は複数層のものであってもよい。
【0088】
また、上記図1では、基板10に搭載される電子部品としては、アルミワイヤ31との接続が行われる第1のICチップ21と金ワイヤ32との接続が行われる第2のICチップ22とが示されたが、アルミワイヤ31と金ワイヤ32とが別々の電子部品でなくてもよく、1個の電子部品に対して、アルミワイヤおよび金ワイヤの両方が接続されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図2】図1に示される電子装置の要部拡大図であり、(a)は金ワイヤ用ランドの概略平面図、(b)は金ワイヤ用ランドの概略断面図である。
【図3】上記第1実施形態に係る製造方法における金ワイヤ用ランドの形成工程を示す工程図である。
【図4】本発明者が試作した金ワイヤ用ランドの構成を示す図であり、(a)は金ワイヤが接続された状態を示す概略断面図、(b)、(c)はそれぞれ当該ランドの平面図、断面図である。
【図5】同一のメッキ条件にて、ランドの面積とランド中央部の金メッキ厚さとの関係を測定した結果を示すグラフである。
【図6】第1実施形態における効果の一具体例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は金ワイヤ用ランドの概略平面図、(b)は金ワイヤ用ランドの概略断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法における金ワイヤ用ランドの形成工程の要部を示す工程図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る電子装置の製造方法における金ワイヤ用ランドの形成工程の要部を示す工程図である。
【符号の説明】
【0090】
10…基板、10a…導体部としてのメタライズ層、10c…金メッキ、
11…アルミワイヤ用ランド、12…金ワイヤ用ランド、12a…分割部、
21…電子部品としての第1のICチップ、
22…電子部品としての第2のICチップ、31…アルミワイヤ、32…金ワイヤ、
40…メッキ阻害材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が金メッキ(10c)よりなるワイヤボンディング用の複数のランド(11、12)を有する基板(10)と、
前記基板(10)に搭載された電子部品(21、22)と、
前記電子部品(21、22)と前記ランド(11、12)とを結線するボンディングワイヤ(31、32)とを備え、
前記ボンディングワイヤは、アルミニウムよりなるアルミワイヤ(31)と金よりなる金ワイヤ(32)との異なる材質の2種類のものが混在し、
前記複数のランドは、前記アルミワイヤ(31)と接続されるアルミワイヤ用ランド(11)と前記金ワイヤ(32)と接続される金ワイヤ用ランド(12)とにより構成されている電子装置において、
1個の前記金ワイヤ用ランド(12)は、複数個の領域に分割された分割部(12a)の集合体であってこれら複数個の前記分割部(12a)にまたがって1本の前記金ワイヤ(32)が接続されているものであり、
個々の前記分割部(12a)の面積が、1個の前記アルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さいものであり、
個々の前記分割部(12a)における前記金メッキ(10c)は、前記アルミワイヤ用ランド(11)における前記金メッキ(10c)よりも厚いものであることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
基板(10)上に導体部(10a)を形成し、当該導体部(10a)の表面に金メッキ(10c)を施すことにより、表面が金メッキ(10c)よりなるワイヤボンディング用の複数のランド(11、12)を形成する工程と、
次に、前記基板(10)に電子部品(21、22)を搭載し、前記電子部品(21、22)と前記複数のランド(11、12)とを、アルミニウムよりなるアルミワイヤ(31)および金よりなる金ワイヤ(32)の異なる材質の2種類のものよりなるボンディングワイヤにより接続する工程とを備え、
前記ボンディングワイヤ(31、32)の接続は、前記アルミワイヤ(31)を前記複数のランド(11、12)のうちのアルミワイヤ用ランド(11)に接続した後、前記金ワイヤ(32)を前記複数のランド(11、12)のうちの金ワイヤ用ランド(12)に接続するものである電子装置の製造方法において、
前記ランド(11、12)の形成工程では、前記アルミワイヤ用ランド(11)および前記金ワイヤ用ランド(12)の前記導体部(10a)を形成するとともに、前記金ワイヤ用ランド(12)における前記導体部(10a)については、個々の部分が1個の前記アルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さい複数個の分割部(12a)に分割されたものとして形成し、
続いて、前記複数個の分割部(12a)の表面、および、前記アルミワイヤ用ランド(11)における前記導体部(10a)の表面に、前記金メッキ(10c)を形成することにより、前記複数のランド(11、12)を形成し、
しかる後、前記基板(10)への前記電子部品(21、22)の搭載、および、前記ボンディングワイヤ(31、32)による接続を行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項3】
基板(10)上に導体部(10a)を形成し、当該導体部(10a)の表面に金メッキ(10c)を施すことにより、表面が金メッキ(10c)よりなるワイヤボンディング用の複数のランド(11、12)を形成する工程と、
次に、前記基板(10)に電子部品(21、22)を搭載し、前記電子部品(21、22)と前記複数のランド(11、12)とを、アルミニウムよりなるアルミワイヤ(31)および金よりなる金ワイヤ(32)の異なる材質の2種類のものよりなるボンディングワイヤにより接続する工程とを備え、
前記ボンディングワイヤ(31、32)の接続は、前記アルミワイヤ(31)を前記複数のランド(11、12)のうちのアルミワイヤ用ランド(11)に接続した後、前記金ワイヤ(32)を前記複数のランド(11、12)のうちの金ワイヤ用ランド(12)に接続するものである電子装置の製造方法において、
前記ランド(11、12)の形成工程では、前記アルミワイヤ用ランド(11)および前記金ワイヤ用ランド(12)の前記導体部(10a)を形成し、
次に、前記金ワイヤ用ランド(12)における前記導体部(10a)を、レーザーで切断することにより、個々の部分が1個の前記アルミワイヤ用ランド(11)の面積よりも小さい複数個の分割部(12a)に分割されたものとし、
続いて、前記複数個の分割部(12a)の表面、および、前記アルミワイヤ用ランド(11)における前記導体部(10a)の表面に、前記金メッキ(10c)を形成することにより、前記複数のランド(11、12)を形成し、
しかる後、前記基板(10)への前記電子部品(21、22)の搭載、および、前記ボンディングワイヤ(31、32)による接続を行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記金メッキ(10c)の形成を行った後且つ前記ボンディングワイヤ(31、32)による接続を行う前に、
個々の前記分割部(12a)の表面のうち当該個々の分割部(12a)の端部に位置する部位にて、前記金メッキ(10c)をプレスすることにより、前記分割部(12a)における前記金メッキ(10c)を平坦化することを特徴とする請求項2または3に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数個の分割部(12a)を形成した後に、
個々の前記分割部(12a)の表面のうち当該個々の分割部(12a)の端部に位置する部位に、前記金メッキ(10c)の成長を阻害する材料(40)を配置し、その後、前記金メッキ(10c)の形成を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−49309(P2009−49309A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216148(P2007−216148)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】