説明

電子装置の製造方法

【課題】 生産性に優れ、電子部品を被膜する樹脂の形状を均一にできる電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 ケース部8に取り囲まれた電子部品6を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法であって、複数の保持器リードフレームが配置されている基板5に対して、それぞれのケース部8の内部に樹脂10を充填する第1樹脂充填工程と、基板5を切断することにより、個々のリードフレームに分断する工程とを含む。第1樹脂充填工程は、ケース部8に囲まれる領域に対応する位置に通孔1aを有する孔版1を用いて、前記領域に樹脂10を充填する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)や発光素子などの電子部品は、外部の電気回路との接続を行うためのリードフレームに支持される。リードフレームに支持された電子部品は、電子部品を保護するために樹脂等で被膜される。電子部品が発光素子の場合には、保護層が透光性を有する樹脂で形成され、発光素子が発する光を外部に放出するように形成される。
【0003】
リードフレームを備える電子装置の製造においては、リードフレームに電子部品が配置された後に、電子部品を覆うように樹脂が配置される。特許文献1においては、基台の凹部に光半導体素子を配置して、ディスペンサによって凹部に樹脂を配置して電子部品を樹脂封止する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−5722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リードフレームの電子部品が配置されている領域に樹脂を配置する工程において、ディスペンサにより樹脂を配置する方法では、個々の電子部品が配置されている領域に対して樹脂を配置していくために時間がかかるという問題があった。または、樹脂を配置する場所が複雑なとき、ディスペンサを使用した場合には、装置の樹脂を塗布する条件設定が複雑になるという問題があった。
【0005】
さらに、ディスペンサは、例えば空気圧により樹脂を吐出するように形成されており、樹脂の吐出量を一定に制御することが難しい。このため、ディスペンサからの吐出量のばらつきが大きくなって硬化した樹脂の形状が不均一になるという問題があった。
【0006】
本発明は、ケース部に囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法において、生産性に優れ、電子部品を被膜する樹脂の形状を均一にできる製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子装置の製造方法は、ケース部に取り囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法であって、複数のリードフレームが形成されている基材に対して、それぞれのケース部の内部に第1樹脂を充填する第1樹脂充填工程と、基材を切断することにより、個々のリードフレームに分断する工程とを含む。第1樹脂充填工程は、ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、上記領域に第1樹脂を充填する工程を含む。
【0008】
本発明の他の電子装置の製造方法は、ケース部に取り囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法であって、保持器に保持されている複数のリードフレームに対して、それぞれのケース部の内部に第1樹脂を充填する第1樹脂充填工程と、保持器から個々のリードフレームを取り外す工程とを含む。第1樹脂充填工程は、ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、上記領域に第1樹脂を充填する工程を含む。
【0009】
上記発明において好ましくは、第1樹脂の表面を平面状にする電子装置の製造方法であって、第1樹脂充填工程は、第1スキージを孔版の表面に沿って移動することにより、第1樹脂を上記領域に充填する第1スキージ移動工程と、第2スキージを孔版の表面に圧接させて移動することにより、第1樹脂の余剰部分を除去する第2スキージ移動工程とを含む。第2スキージ移動工程は、第2スキージとして第1スキージよりも剛性の小さなスキージを用いる。
【0010】
上記発明において好ましくは、第1樹脂を硬化させる第1樹脂硬化工程と、ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、第1樹脂の表面に第2樹脂を配置する第2樹脂配置工程とを含む。
【0011】
上記発明において好ましくは、第2樹脂配置工程は、第1樹脂充填工程で用いた孔版と異なる孔版を用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケース部に囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法において、生産性に優れ、樹脂の形状を均一にすることができる製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1から図11を参照して、実施の形態1における電子装置の製造方法について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第1工程図である。図1から図6は、電子装置の製造装置の主要部の概略断面図である。本実施の形態における電子装置の製造装置は、基材の表面に配置されている発光素子等の電子部品を樹脂封止するための装置である。
【0015】
本実施における電子装置は、電子部品6を備える。本実施の形態における電子部品6は、発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。本実施の形態における基材は、基板5を含む。基板5の表面には、図示しないリード配線が形成されている。電子部品6は、このリード配線との電気的な導通を得るワイヤ7を含む。
【0016】
本実施における電子装置は、電子部品6を支持するリードフレームを備える。本発明におけるリードフレームとは、電子部品を支持するように形成され、電子部品に電気を供給することができるように形成されている部材を示す。本実施の形態におけるリードフレームは、アルミニウムまたは銅で形成されている基板に銀メッキ処理されている。本実施の形態においては、複数のリードフレームが基材としての基板5に形成され、樹脂封止を行った後にそれぞれのリードフレームに分断される。
【0017】
本実施の形態における電子装置は、リードフレームに固定され、電子部品6を取り囲むように形成されているケース部8を備える。本実施の形態におけるケース部8は、壁部8aと底部8bとを含む。本実施の形態における壁部8aは、平面形状が四角形の台座に、平面形状が円形の開口部が形成されている(図7参照)。ケース部8は、一面が開口する箱形状に形成されている。電子部品6は、ケース部8に取り囲まれるように配置されている。電子部品6は、ケース部8の内部に配置されている。本実施の形態におけるケース部8は、断面形状がコの字形に形成されている(図2等参照)。
【0018】
本実施の形態においては、始めに基板5に対してケース部8を形成する。本実施の形態においては、樹脂の射出成型によりケース部8を形成する。壁部8aおよび底部8bを一体的に形成する。ケース部の材料としては、たとえば、PPA(ポリフタルアミド)系樹脂、PC(ポリカーボネート)、アクリル樹脂、またはPA(ポリアミド)系樹脂等の熱可塑性の樹脂を用いることができる。ケース部の形成工程においては、この形態に限られず、任意の材料を用いて任意の方法によりケース部を形成することができる。
【0019】
本実施の形態における電子装置の製造装置は、基板5を支持するための支持装置を備える。支持装置は、基板5を載置するための載置台としてのステージ24を含む。本実施の形態におけるステージ24は、基板5を固定できるように形成されている。本実施の形態における支持装置は、ステージ24を昇降させる昇降装置を備える。昇降装置は、ステージ24を鉛直方向に移動するように形成されている。また、本実施の形態における電子装置の製造装置は、支持装置を制御する制御装置を備える。
【0020】
本実施の形態における電子装置の製造装置は、第1孔版としての孔版1を備える。本実施の形態における孔版1は、平板状の板状部1cを有する。孔版1は、通孔1aを有する。通孔1aは、板状部1cを貫通する穴である。通孔1aは、平面視したときに基板5に配置されているそれぞれの電子部品6に対応する位置に形成されている。
【0021】
本実施の形態における通孔1aは、平面形状が円形になるように形成されている。通孔1aは、孔版1の主面に垂直な面で切断したときの断面形状が四角形になるように形成されている。ここで、孔版1の主面とは、板状部1cの面積が最大になる面を示す。通孔1aの形状としては、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。たとえば、通孔1aは、孔版1の主面に垂直な面で切断したときの断面形状がテーパ状に形成されていても構わない。
【0022】
本実施の形態における孔版1は、それぞれの通孔1aの部分に形成されているリブ1bを有する。リブ1bは、板状部1cから突出するように形成されている。リブ1bは、基板5に形成されているケース部8で囲まれる領域に嵌るように形成されている。リブ1bの平面形状は円形になるように形成されている。本実施の形態の形態における孔版1は、枠部材23を含む。枠部材23は、板状部1cの縁に沿って形成されている。
【0023】
本実施の形態における電子装置の製造装置は、孔版1の通孔1aの内部に樹脂10を供給する第1スキージとしてのスキージ31を備える。また、電子装置の製造装置は、余剰な樹脂を除去するための第2スキージとしてのスキージ32を備える。スキージ31,32のそれぞれは、孔版1の主面に垂直な方向に移動可能に形成されている。また、スキージ31,32のそれぞれは、孔版1の主面に沿って移動可能に形成されている。
【0024】
本実施の形態における電子装置の製造装置は、内部を真空状態にするための真空容器を備える。ステージ24、孔版1およびスキージ31,32などの主要部品は、真空容器の内部に配置されている。本実施の形態における電子装置の製造装置は、真空の雰囲気中で樹脂の配置を行うことができるように形成されている。ステージ24の上面である載置面には、基板5を固定することができる。基板5の固定方法としては、フレキシブル粘着シートを用いる方法や、載置面に多数の吸引孔を設ける方法などを挙げることができる。例えば、図21に示すように、ステージ24の上面に凹部24aを形成し、この凹部24aの底面にフレキシブル両面粘着シート24bを貼着することにより、ケース部8の底部8bを両面粘着シート24bに貼り付けて固定することができる。このような固定方法によれば、ステージ24や基板5の寸法誤差をフレキシブル両面粘着シート24bにより緩和することが可能であり、ケース部8に充填される樹脂形状の均一化を図ることができる。フレキシブル両面粘着シート24bは、可撓性を有する基材の両面に粘着層を備えた構成であり、可撓性基材としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂や、天然ゴム、合成ゴムなどを例示することができる。
【0025】
本実施の形態における電子装置の製造装置は、真空容器の内部の圧力を調整する圧力調整装置を備える。本実施の形態における圧力調整装置は、真空ポンプを備える。真空ポンプは、真空容器に接続されている。圧力調整装置は、真空容器の内部を復圧するための復圧弁を備える。
【0026】
次に、本実施の形態における電子装置の製造方法について説明する。電子装置の製造方法は、電子部品が配置されている基材に対して樹脂を供給することにより、それぞれの電子部品を樹脂封止する工程を含む。本実施の形態においては、基材の表面に配置されている電子部品を覆うように、それぞれのケース部8に囲まれる領域に第1樹脂を充填する。本実施の形態においては、孔版印刷により第1樹脂の配置を行う第1樹脂充填工程を行う。
【0027】
図1を参照して、ステージ24の載置面に基板5を配置する。基板5と孔版1の位置合わせを行う。ケース部8に囲まれる領域が、対向する孔版1の通孔1aの真下に位置するように基板5を配置する。ケース部8と通孔1aとが同軸状になるように配置する。孔版1の主面のうち通孔1aが形成されている領域の外側の領域に第1樹脂としての樹脂10を供給する。樹脂10としては、粘性を有する液状の樹脂を用いている。樹脂10としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、またはシリコーン変性エポキシ樹脂などの各種樹脂を使用することができる。
【0028】
次に、圧力調整装置を駆動して、真空容器の内部を排気することにより、真空雰囲気を形成する。真空雰囲気中で樹脂の配置を行うことにより、樹脂の内部に存在している空気を外部に放出することができ、樹脂の内部に気泡が残存することを抑制することができる。
【0029】
次に、スキージ31を矢印61に示すように下降させる。スキージ31は、樹脂10に接触する。本実施の形態においては、スキージ31を孔版1の板状部1cに接触させずに、スキージ31が板状部1cから離れるようにスキージ31を下降させる。
【0030】
図2は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第2工程図である。矢印53に示すようにステージ24を上昇する。制御装置は、支持装置を制御することにより、孔版1の板状部1cが壁部8aの頂面に接触する高さまでステージ24を上昇させる。孔版1のリブ1bは、壁部8aで囲まれる領域に嵌る。リブ1bは、壁部8aで囲まれる領域の内部に配置される。
【0031】
図3は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第3工程図である。図4は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第4工程図である。図3および図4を参照して、スキージ31を移動させる第1スキージ移動工程を行う。スキージ31を矢印62に示すように、孔版1の主面に沿って移動する。スキージ31を孔版1の一方の端部から他方の端部まで移動させる。スキージ31が移動することにより、孔版1の上面には、所定の厚みで樹脂層が形成されると共に、孔版1の通孔1aを通じて、ケース部8で囲まれる領域に液状の樹脂10を充填することができる。それぞれのケース部8の内部に樹脂10が充填される。基板5の表面に配置されている電子部品6は、樹脂10で埋設される。
【0032】
図5は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第5工程図である。次に、スキージ32を移動させる第2スキージ移動工程を行う。スキージ31を上昇させる一方で、スキージ32を下降させて、孔版1上の樹脂層にスキージ32を接触させる。本実施の形態においては、スキージ32の先端を孔版1の板状部1cに接触させている。矢印63に示すように、スキージ32を孔版1の他方の端部から一方の端部まで移動させる。このように、返し側のスキージの移動を行うことにより、樹脂10の余剰部分を除去する。
【0033】
図6は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第6工程図である。スキージ32の移動が終了したら、制御装置は、矢印54に示すようにステージ24を下降させるように昇降装置を制御する。ステージ24の下降が終了したら、真空容器の大気開放を行う。それぞれのリードフレームにおいて、ケース部8で囲まれる領域には樹脂10が配置される。それぞれの電子部品6は、樹脂10で覆われる。本実施の形態においては、ステージ24の下降時に、リブ1bの下端部において樹脂の糸引きを生じるが、糸引きによってケース部8側に戻される樹脂は、ケース部8内でリブ1bが占めていた空間を埋めるように流動する。この結果、樹脂10の表面は、ケース部8の開口面と略面一となるように、平面状になる。
【0034】
次に、真空容器から基板5を取り出して、第1樹脂としての樹脂10を硬化させる第1樹脂硬化工程を行う。本実施の形態においては、加圧オーブンを用いて、加圧しながら乾燥させることにより硬化を行っている。硬化工程においては、この方法に限られず、遠赤外炉または紫外線等の光の照射などの任意の硬化方法を採用することができる。
【0035】
図7に、本実施の形態における基材に第1樹脂を充填したときの概略平面図を示す。次に、基材としての基板5を切断することにより、個々のリードフレーム5aに分断する工程を行う。切断線41に沿って基板5を切断することにより、個々のリードフレーム5aを得ることができる。
【0036】
本実施の形態においては、孔版印刷によりケース部に囲まれる領域に樹脂を充填している。この方法を採用することにより、複数のリードフレームに対して短時間に樹脂を配置することができる。このため、生産性を向上させることができる。また、それぞれのケース部に囲まれる領域の内部に充填する樹脂の量のばらつきを抑制することができ、樹脂の表面形状を均一にすることができる。
【0037】
本実施の形態においては、充填される樹脂の頂面が平面状になる厚さを有する孔版を用いている。ここで、孔版の厚さとは、通孔が形成されている部分の厚さを示す。孔版の通孔の部分にリブが形成されている場合にはリブの部分の厚さを示す。孔版1の厚さを薄くすることにより樹脂10の表面を平面状にすることができる。樹脂の表面を平面状にするための孔版としては、たとえば、厚さが0.1mm以上0.5mm以下のものが好ましい。さらには、厚さが0.1mm以上0.3mm以下の孔版がより好ましい。このような孔版の厚さは、樹脂の表面を所望の形状にするために樹脂の特性に応じて変更することが好ましい。
【0038】
スキージ31,32としては、硬度の高い材料で形成されているものを用いることができる。たとえば、スキージ31,32は、6,6ナイロン等で形成されているものを採用することができる。
【0039】
樹脂10の頂面を平面状にする場合に、孔版の厚さ等により樹脂が過剰に転写されるときには、返し側のスキージ32として、スキージ31よりも剛性が小さいものを用いることが好ましい。スキージ32としては、弾性を有するものを用いることが好ましい。
【0040】
たとえば、ウレタンゴム等の弾性を有するゴム素材で形成されているスキージ32を用いる。第2スキージ移動工程において、スキージ32を孔版1の板状部1cの表面に圧接させて移動する。この時に、スキージ32の先端が湾曲する。この方法を採用することにより、スキージ32が孔版1の通孔1aを通るときに、通孔1aの内部の樹脂10の一部を除去することができて、過剰な転写を抑制することができる。この結果、図6に示すように、孔版1を取り除いた後にケース部8内に残留する樹脂10の頂面を平面状にすることができる。このように、スキージ31で孔版1上に樹脂層を形成しながら通孔1aへの樹脂充填を行い、スキージ31よりも剛性が低いスキージ32で通孔1a内の樹脂の一部を掻き取ることにより、平面状の頂面を有する樹脂10により封止された電子部品6を容易に得ることができる。電子部品6が発光素子である場合、樹脂10の平面状頂面から広範囲に光を照射することができ、例えば屋内用の発光体として好適に使用することができる。
【0041】
図8に、本実施の形態における他の電子装置の製造方法を説明する基材の概略断面図を示す。図8は、図7のB−B断面を示している。この電子装置の製造方法においては、ケース部8の内部の樹脂10の頂面の断面形状が山形に形成されている。樹脂10の頂面が曲面状に形成されている。樹脂10の頂面が凸状に形成されている。このような形状の樹脂を形成することにより、電子部品6が発光素子の場合に電子部品6から発する光の指向性を高めることができる。
【0042】
第1樹脂充填工程において厚い孔版を用いることにより、転写する樹脂の量を多くすることができて、表面が山形の樹脂を形成することができる。樹脂の表面を山形にするためには、たとえば、通孔の直径が3.0mmの場合には、厚さが0.8mm以上1.5mm以下の孔版を用いることが好ましい。または、通孔の直径が5.0mmの場合には、厚さが1.5mm以上3.0mm以下の孔版を用いることが好ましい。または、通孔の直径が7.0mmの場合には、厚さが2.0mm以上5.0mm以下の孔版を用いることが好ましい。
【0043】
図9に、本実施の形態における他の基材の概略断面図を示す。図10に、本実施の形態における他の基材の概略平面図を示す。図9は、図10のC−C断面を示している。本実施の形態における他の基材は、基板15と、基板15から立設するリード部16とを含む。他の基材から製造される電子装置は、棒状のリード部16を有するリードフレームを備える。
【0044】
リード部16には、ケース部17が固定されている。本実施の形態におけるケース部17は、一面が開口する箱形状に形成されている収容部材である。ケース部17は、内部に樹脂10を溜めることができるように形成されている。電子部品6は、一方のリード部16に固定されている。ワイヤ7は、電子部品6と他方のリード部16とに接続されている。このようにケース部として別部材の収容部材が形成されている場合においても、第1樹脂充填工程において、孔版印刷にて樹脂の充填を行うことにより、生産性を向上させて樹脂の形状を均一にすることができる。
【0045】
本実施の形態における他の基材を用いた場合に、第1樹脂充填工程の後に基材が分断される工程においては、たとえばリード部16を切断する。この方法により、棒状部材により構成されるリードフレームを製造することができる。または、図10を参照して、基板15を切断線41に沿って切断することにより、基板15の一部とリード部16とにより構成されるリードフレームを製造することができる。または、基材から個々のリードフレームに分断せずに、基材に複数のリードフレームが形成されている状態で製品化されても構わない。
【0046】
図11に、本実施の形態におけるさらに他の基材の概略平面図を示す。さらに他の基材は、基板18を含む。基板18の表面には、ケース部9が形成されている。それぞれのケース部9は、壁部9aと基板18の表面とを含む。ケース部9の壁部9aは、筒状に形成されている。このように、ケース部の壁部は、内部に樹脂を貯留することができる任意の形状を採用することができる。さらに他の基材を用いた第1樹脂充填工程においても、孔版印刷によりケース部9の内部に樹脂10を配置することができる。樹脂10の硬化後に切断線41に沿って基板18を分断することにより、個々のリードフレーム18aを形成することができる。
【0047】
本実施の形態においては、真空雰囲気中で第1樹脂充填工程を行なっているが、この形態に限られず、常圧で第1樹脂充填工程を行なっても構わない。
【0048】
本実施の形態における電子部品は、発光ダイオードであるが、この形態に限られず、電子部品としては、任意の電子部品を採用することができる。例えば、電子部品として半導体電子部品を採用することができる。半導体電子部品としては、例えばIC(Integrated Circuit)、またはPD(Photo Diode)やフォトカプラなどの光電子部品を採用することができる。
【0049】
本実施の形態においては、ケース部に囲まれる領域の平面形状(壁部により形成される開口部の平面形状)が円形になるように形成されているが、この形態に限られず、ケース部に囲まれる平面形状は、楕円形状や四角形などの任意の形状を採用することができる。また、本実施の形態におけるケース部は、断面形状が四角形に形成されているが、この形態に限られず、断面形状が台形(テーパ形状)などの任意の形状を採用することができる。
【0050】
本実施の形態においては、ケース部で囲まれる領域に1個の電子部品が配置されているが、この形態に限られず、一のケース部で囲まれる領域に複数の電子部品が配置されていても構わない。
【0051】
(実施の形態2)
図12から図14を参照して、実施の形態2における電子装置の製造方法について説明する。本実施の形態においては、リードフレームが保持器に保持されている状態で第1樹脂をケース部の内部に充填する。
【0052】
図12は、本実施の形態における保持器およびリードフレームの概略断面図である。本実施の形態におけるリードフレームは、棒状のリード部16を備える。本実施の形態におけるリードフレームは、2本のリード部16を含む。電子部品6は、一方のリード部16に固定されている。ワイヤ7は、電子部品6と他方のリード部16とに接続されている。ケース部17は、一面が開口する箱形状に形成されている収容部材である。本実施の形態における複数のリード部16は、ケース部17により互いに固定されている。
【0053】
保持器19は、金属製の筐体からなり、複数の凹部19aを有する。凹部19aは、リード部16が嵌合するように形成されている。凹部19aは、リード部16を支えることができるように形成されている。複数のリードフレームを取り外し可能なように保持器19に固定する。それぞれのリードフレームのリード部16を凹部19aに嵌め込むことにより、リードフレームを保持器19に固定する。
【0054】
次に、ケース部17の内部に第1樹脂を充填する第1樹脂充填工程を行う。実施の形態1と同様に、ケース部17に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、ケース部17に囲まれる領域に第1樹脂としての樹脂10を配置する。すなわち、孔版印刷にてケース部17の内部に樹脂10を配置する。次に、樹脂10を硬化させる第1樹脂硬化工程を行う。
【0055】
次に、保持器19から個々のリードフレームを取り外すことにより、個々に分離されたリードフレームを製造することができる。本実施の形態における電子装置の製造方法においても、生産性に優れ、樹脂の形状を均一にできる製造方法を提供することができる。
【0056】
本実施の形態においては、保持器の凹部に棒状のリード部が嵌合することにより、リードフレームを保持しているが、この形態に限られず、保持器は、リードフレームを保持できるように形成されていれば構わない。たとえば、保持器が爪部を有し、爪部がリードフレームを挟み込むことによりリードフレームが保持されていても構わない。
【0057】
また、本実施の形態においては、棒状のリード部を有するリードフレームを例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、板状のリードフレームにも適用することができる。この場合においても、保持器は、板状のリードフレームを取り外し可能に保持するように形成されていれば構わない。
【0058】
図13に、本実施の形態における他の保持器および他のリードフレームの概略平面図を示す。図14に、本実施の形態における他の保持器および他のリードフレームの概略断面図を示す。図14は、図13におけるA−A断面図である。本実施の形態における他の保持器20は、板状に形成されている。保持器20は、開口部20bを有する。保持器20は、開口部20bの内側に突出するように形成されている爪部20aを有する。
【0059】
本実施の形態における他のリードフレームは、複数のリード部21を有する。複数のリード部21は、板状に形成されている。リード部21は、互いに対向している。電子部品6は、一方のリード部21に固定されている。ワイヤ7は、電子部品6と他方のリード部21とに接続されている。このリードフレームは、開口部20bの内部に配置されている。互いに対向するリード部21は、ケース部8により固定されている。ケース部8は、一面が開口する箱形状に形成されている。
【0060】
ケース部8の壁部8aには、凹部8cが形成されている。凹部8cは、保持器20の爪部20aが嵌合するように形成されている。リードフレームは、ケース部8の凹部8cが保持器20の爪部20aに嵌合することにより、保持器20に保持されている。このように、保持器は、ケース部のような介在部材を介してリードフレームを保持するように形成されていても構わない。
【0061】
他の保持器および他のリードフレームにおいても、始めに保持器にケース部を有するリードフレームを複数保持させる。この後に、孔版印刷により第1樹脂としての樹脂10を配置することができる。樹脂10の硬化後に、保持器から個々のリードフレームを取り外すことにより、個々に分離されたリードフレームを製造することができる。
【0062】
その他の構成、方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0063】
(実施の形態3)
図15から図17を参照して、実施の形態3における電子装置の製造方法について説明する。
【0064】
図15は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第1工程図である。本実施の形態においては、第1樹脂の表面にさらに第2樹脂を孔版印刷により配置する第2樹脂配置工程を行う。本実施の形態においては、まず実施の形態1で説明したように、第1樹脂の表面が平面状になるように第1樹脂をケース部の内部に配置する第1樹脂充填工程を行う。次に、第1樹脂を硬化させる第1樹脂硬化工程を行う。
【0065】
第1樹脂としての樹脂10が硬化した基板5を真空容器の内部に配置する。本実施の形態の第2樹脂配置工程においては、第2孔版としての孔版2を用いる。孔版2は、通孔2aを有する。通孔2aは、基板5に固定されているケース部8に囲まれる領域の位置に対応するように形成されている。
【0066】
本実施の形態における通孔2aの平面形状は、実施の形態1における孔版1の通孔1aの平面形状と同一である。本実施の形態における孔版2は、第1樹脂充填工程において用いた孔版よりも平板状の板状部2cの厚さが厚くなるように形成されている。通孔2aは、第1樹脂充填工程において用いた孔版1の通孔1aよりも、高さが大きくなるように形成されている。本実施の形態における孔版2は、リブが形成されていない孔版である。第2孔版としては、この形態に限られず、リブを有する孔版が用いられていても構わない。
【0067】
通孔2aの真下にそれぞれの樹脂10が配置されるように基板5を配置する。基板5と孔版2の位置合わせを行う。ケース部8と通孔2aとが同軸状になるように配置する。ケース部8で囲まれる領域に対応する位置に通孔2aが配置されるように位置合わせを行う。リブを有する孔版を用いる場合には、リブがケース部に囲まれる領域に対応する位置に配置されるように基板を配置する。すなわち、後の工程においてリブの端面が樹脂またはケース部に当接する位置に基板を配置する。
【0068】
孔版2の主面に第2樹脂としての樹脂11を供給する。本実施の形態において、第2樹脂としての樹脂11は、第1樹脂充填工程において用いた樹脂10と同じ樹脂である。第2樹脂においても、粘性を有する液状の樹脂を用いている。第2樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、またはシリコーン変性エポキシ樹脂などの各種樹脂を使用することができる。第2樹脂としては、第1樹脂と異なる樹脂を用いても構わない。
【0069】
次に、真空容器の内部を排気することにより、真空雰囲気を形成する。真空雰囲気中で樹脂の配置を行うことにより、樹脂11の内部に気泡が残存することを抑制できる。スキージ31を矢印61に示すように下降させる。スキージ31は、樹脂11に接触する。
【0070】
次に、制御装置が支持装置の昇降装置を制御することにより、矢印53に示すように、ステージ24を上昇させる。制御装置は、孔版2の板状部2cが樹脂10の表面に当接するまでステージ24を上昇させる。ケース部8の壁部8aの頂面が孔版2の板状部2cに当接する。通孔の周りにリブを有する孔版を用いる場合には、リブの端面が樹脂または壁部に当接するまでステージ24を上昇させる。
【0071】
本実施の形態においては、孔版2の板状部2cが樹脂10に当接する位置を設定しておいて、この位置で停止する制御を行なっている。制御装置としては、この形態に限られず、樹脂の表面に板状部が当接したことを検知して、支持装置の昇降装置を停止させるように形成されていても構わない。
【0072】
次に、第1樹脂充填工程と同様に、矢印62に示すように、スキージ31,32を移動することにより、通孔2aの内部に樹脂11を充填する。樹脂10の上側には、樹脂11が配置される。スキージ31,32を孔版2の一方の端部から他方の端部まで移動させる。
【0073】
図16は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第2工程図である。次に、第1樹脂充填工程と同様に、スキージ31を上昇させてスキージ32を下降させた状態で、矢印63に示すように、返し側のスキージ32の移動を行なう。
【0074】
図17は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第3工程図である。次に、制御装置は、支持装置の昇降装置を駆動して、矢印54に示すように、ステージ24を下降させる。孔版2が樹脂10から離れ、樹脂10の表面に樹脂11が配置される。樹脂11の表面張力により、凸形状の表面が形成される。樹脂11の表面は曲面状になる。
【0075】
次に、樹脂11を完全に硬化させる第2樹脂硬化工程を行なう。本実施の形態においては、加圧オーブン乾燥機にて樹脂11を乾燥させることにより硬化を行なっている。第2樹脂硬化工程においては、樹脂を硬化させる任意の方法を採用することができる。
【0076】
本実施の形態においては、多くの樹脂を第1樹脂の表面に配置することができるため、実施の形態1において第1樹脂の表面を曲面状にした場合(図8参照)よりも、表面をより半球状に近づけることができる。電子部品が発光素子である場合に、光を正面に向かって集光させるレンズ効果をより効果的に得ることができる。このようなレンズ効果は、たとえば、信号機、懐中電灯または自動車のテールランプなどの高い集光性を有することが好ましい発光装置に有用である。
【0077】
トランスファ成型のような金型を用いた成型を行うことにより樹脂の表面形状を曲面状にすることもできるが、金型成型では樹脂の内部に気泡が混入して硬化してしまう場合がある。本実施の形態においては、気泡の混入を抑制して樹脂の表面を曲面状にすることができる。または、樹脂を配置した後に光を集光させるためのレンズ部品等を別に配置する必要がなく、集光性の高い電子装置を容易に製造することができる。第2樹脂配置工程において、孔版印刷により樹脂を配置することにより、高い生産性で電子装置を製造することができる。または、発光素子を封止する樹脂の形状を容易に凸型にすることができる。
【0078】
本実施の形態においては、第1樹脂を完全に硬化させた後に、第2樹脂を配置しているが、この形態に限られず、第1樹脂硬化工程においては、第1樹脂の形状が変化しなくなる硬度まで第1樹脂を硬化させて第2樹脂を配置しても構わない。または、基板を傾けても第1樹脂が流動しない硬度まで硬化を行って第2樹脂を配置しても構わない。
【0079】
本実施の形態において第2樹脂配置工程で用いる孔版は、第1樹脂充填工程で用いる孔版と異なるものを用いている。この方法により、第1樹脂の表面に配置する第2樹脂の量を任意の量にすることができる。第2樹脂配置工程で用いる孔版は、この形態に限られず、第1樹脂充填工程で用いる孔版と同じ孔版を用いても構わない。
【0080】
本実施の形態においては、第1樹脂充填工程において用いる第1孔版の通孔と第2樹脂配置工程にて用いる第2孔版の通孔とは、平面視したときに同一形状および同一の大きさであるが、この形態に限られず、第2孔版の通孔の開口面積は、第1孔版の通孔よりも小さくても構わない。すなわち、平面形状を比較したときに、第1孔版の通孔の内側に第2孔版の通孔が包含される大きさであってもよい。或いは、第1孔版の通孔よりも第2孔版の通孔を大きくすることも可能であり、これによって、第2樹脂配置工程における樹脂充填量を多くすることができるので、樹脂の突出高さを高くしたい場合に特に有効である。また、孔版の通孔の平面形状は円形に限られず、任意の形状を採用することができる。
【0081】
また、本実施の形態においては、第1樹脂の表面に第2樹脂を配置する2重の樹脂構造の電子装置を製造しているが、この形態に限られず、孔版印刷を繰り返して3重以上の樹脂構造を有する電子装置を製造しても構わない。
【0082】
本実施の形態においては、真空雰囲気中で第2樹脂配置工程行なっているが、この形態に限られず、常圧で第2樹脂配置工程を行なっても構わない。
【0083】
その他の構成、方法、作用および効果については、実施の形態1または2と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0084】
(実施の形態4)
図18から図20を参照して、実施の形態4における電子装置の製造方法について説明する。
【0085】
図18は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第1工程図である。本実施の形態では、まず実施の形態1で説明したように、第1樹脂充填工程において第1樹脂の表面が曲面状になるように第1樹脂を配置する。さらに、第1樹脂の表面に第2樹脂を孔版印刷により配置する第2樹脂配置工程を行う。
【0086】
第1樹脂としての樹脂10が硬化した基板5を真空容器の内部に配置する。本実施の形態の第2樹脂配置工程において用いる第2孔版としては、実施の形態3と同じ孔版を用いる。孔版2と基板5との位置合わせを行う。孔版2の通孔2aの真下にそれぞれの樹脂10が配置されるように基板5を配置する。孔版2の主面に第2樹脂としての樹脂11を供給する。本実施の形態において、第2樹脂としての樹脂11は、第1樹脂充填工程において用いた樹脂10と同じ樹脂である。
【0087】
次に、真空容器の内部を排気することにより、真空雰囲気を形成する。スキージ31を矢印61に示すように下降させる。スキージ31は、樹脂11に接触する。次に、矢印53に示すように、ステージ24を上昇させる。制御装置は、通孔2aの縁部が樹脂10の曲面状頂面に当接するまでステージ24を上昇させる。樹脂10の表面に孔版2の板状部2cが当接する。
【0088】
次に、第1樹脂充填工程と同様に、矢印62に示すように、スキージ31,32を移動することにより、通孔2aの内部に樹脂11を配置する。孔版2の通孔2aの縁部と樹脂10とが当接した状態で、樹脂11の配置が行なわれる。スキージ31,32を孔版1の一方の端部から他方の端部まで移動させる。さらに、第1樹脂充填工程と同様に、スキージ31を上昇させてスキージ32を下降させた状態で、返し側のスキージ32の移動を行なう。スキージ32を他方の端部から一方の端部に移動する。
【0089】
孔版2の通孔2aの内部のうち、樹脂10の上側に樹脂11が配置される。次に、第1樹脂充填工程と同様に、制御装置は、支持装置の昇降装置を駆動して、ステージ24を下降させる。孔版2が樹脂10から離れる。樹脂10の表面に樹脂11が配置される。
【0090】
図19は、本実施の形態における電子装置の製造方法の第2工程図である。第2樹脂配置工程において、基板5を孔版2からひき離すときに、樹脂10と樹脂11とが引き合う。すなわち、樹脂11が樹脂10に引っ張られる作用が生じる。このため、樹脂11が、側方に向かって流動することが抑制される。この結果、樹脂10の表面の形状に比べて樹脂11の表面の形状を半球形状に近づけることができる。樹脂10の断面の形状は放物線状であるが、樹脂11の断面を半円形状に近づけることができる。このため、電子部品6が発光素子の場合には、電子部品6が発する光をより効果的に正面に向かって集光させることができる。
【0091】
次に、樹脂10および樹脂11を完全に硬化させる硬化工程を行なう。本実施の形態においては、加圧オーブン乾燥機で樹脂10,11を乾燥させることにより硬化を行なっている。この硬化工程においては、樹脂を完全に硬化させる任意の方法を採用することができる。
【0092】
本実施の形態においては、第1樹脂充填工程の第1樹脂と、第2樹脂配置工程の第2樹脂とは同じ樹脂を用いている。この方法により、第1樹脂と第2樹脂との双方の濡れ性を同じにすることができ、効果的に半球形状に近づけることができる。または、第1樹脂および第2樹脂として主成分が同一の樹脂を用いることにより、効果的に樹脂を半球形状に近づけることができる。本実施の形態においては、第1樹脂と第2樹脂とは同一の樹脂を用いているが、この形態に限られず、互いに異なる樹脂を用いても構わない。
【0093】
第2樹脂配置工程において、第2樹脂として第1樹脂よりも硬度が高い樹脂を用いることができる。たとえば、第1樹脂としてシリコーン樹脂などの軟質の樹脂を採用し、第2樹脂として第1樹脂よりも硬度の高い硬質のエポキシ樹脂などを採用しても構わない。この方法を採用することにより、複数の光学素子のそれぞれに第1樹脂および第2樹脂を配置したのちに不良を発見しても部分的な修理を容易に行うことができる。
【0094】
発光素子や受光素子などの光学素子を軟質の樹脂のみで覆った場合には、指などが接触した場合に内部の発光素子やワイヤなどを損傷する場合がある。一方で、それぞれの発光素子に対して軟質の第1樹脂を配置した後に薄膜状に硬質の第2樹脂を配置する。第2樹脂の配置後に1個の発光素子の不良を発見した場合においても、容易に硬質の第2樹脂を破壊することができ、さらに、軟質の第1樹脂を容易に取り除いて不良の発光素子を修理することができる。また、第1樹脂の表面に第1樹脂よりも固い第2樹脂を配置することにより、内部応力が緩和されて、樹脂の内部にクラックが生じることを抑制することができる。
【0095】
また、第1樹脂として無機材料が含まれる樹脂を用いることができる。たとえば、電子部品として、青色の光を発光するLEDを用いる。第1樹脂として、無機材料としての蛍光体を含む樹脂を用いる。蛍光体としては、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体やTAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体、SIALON(サイアロン:シリコン、アルミニウム、酸素および窒素を混成させた窒化物)蛍光体などを用いることができる。第2樹脂としては、無機材料を含まない透光性を有する樹脂を用いる。この方法により、青色の発光ダイオードが発する光の一部を波長変換して、白色の発光装置を提供することができる。
【0096】
また、第1樹脂に含まれる無機材料としては、第1樹脂および第2樹脂よりも屈折率の高い粒子を用いることができる。たとえば、無機材料として、酸化ジルコニウムまたは酸化チタンなどの高屈折率の無機材料を採用することができる。高屈折率の無機材料として、径の大きな粒子を混錬すると白色化してしまい、樹脂全体の透明性が全くなくなってしまう。このため、無機材料としては、微粒子のものを使うことが好ましい。微粒子としては、たとえば径が10μm以下であることが好ましい。さらには、1μm以下の径を有する微粒子が好ましい。この方法により、内側の樹脂層は屈折率が大きく、外側の樹脂層は屈折率を小さくすることができる。最外部の樹脂において、樹脂の屈折率を空気の屈折率に近い状態にすることができて、光の内部反射を減らすことができる。この結果、光取り出し効率を高めることができる。
【0097】
第2樹脂の屈折率を小さくした装置としては、この形態に限られず、第2樹脂として、第1樹脂よりも屈折率が小さな樹脂を用いても構わない。たとえば、第1樹脂として屈折率が1.6の高屈折率を有する樹脂を用いて、第2樹脂として屈折率が1.4の低屈折率を有する樹脂を用いても構わない。
【0098】
図20に、本実施の形態における他の電子装置の製造方法の工程図を示す。他の電子装置の製造方法においては、第2樹脂配置工程で用いる第2孔版として、孔版3を用いる。孔版3は、通孔3aを有する。通孔3aは、平面視したときに、第1樹脂充填工程において用いる第1孔版としての孔版1の通孔1aよりも大きくなるように形成されている。すなわち、平面形状を比較したときに、第2孔版の通孔の内側に第1孔版の通孔が包含される大きさを有する。さらに、通孔3aの開口面積は、平面視したときに、充填された第1樹脂が占める領域よりも僅かに大きくなるように形成されており、通孔3aの開口縁を壁部8aの上端に接触させることができる。
【0099】
本実施の形態における他の電子装置の製造方法においては、ステージ24を矢印53に示すように上昇させることにより、ケース部8の壁部8aの頂面と孔版3の通孔3aの縁部とが接触する。この状態で、第2樹脂としての樹脂11の配置を孔版印刷にて行う。他の電子装置の製造方法においても、第1樹脂の上側に第2樹脂を配置することができて樹脂の断面形状を半球状に近づけることができる。さらに、高い生産性で製造を行うことができる。このように通孔3aの開口面積を大きくすることで、樹脂充填量を多くすることができ、樹脂高さが必要な場合には特に有効である。
【0100】
その他の構成、方法、作用および効果については、実施の形態1から3のいずれかと同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0101】
上記に記載の実施の形態は、本発明を限定するものではなく例示である。また、それぞれの図において、同一の部分または相当する部分には同一の符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施の形態1における電子装置の製造方法の第1工程図である。
【図2】実施の形態1における電子装置の製造方法の第2工程図である。
【図3】実施の形態1における電子装置の製造方法の第3工程図である。
【図4】実施の形態1における電子装置の製造方法の第4工程図である。
【図5】実施の形態1における電子装置の製造方法の第5工程図である。
【図6】実施の形態1における電子装置の製造方法の第6工程図である。
【図7】実施の形態1において、第1樹脂を配置したときの基材の概略平面図である。
【図8】実施の形態1における他の電子装置の製造方法を説明する基材の概略断面図である。
【図9】実施の形態1における他の基材の概略断面図である。
【図10】実施の形態1における他の基材の概略平面図である。
【図11】実施の形態1におけるさらに他の基材の概略平面図である。
【図12】実施の形態2における保持器およびリードフレームの概略断面図である。
【図13】実施の形態2における他の保持器およびリードフレームの概略平面図である。
【図14】実施の形態2における他の保持器およびリードフレームの概略断面図である。
【図15】実施の形態3における電子装置の製造方法の第1工程図である。
【図16】実施の形態3における電子装置の製造方法の第2工程図である。
【図17】実施の形態3における電子装置の製造方法の第3工程図である。
【図18】実施の形態4における電子装置の製造方法の第1工程図である。
【図19】実施の形態4における電子装置の製造方法の第2工程図である。
【図20】実施の形態4における他の電子装置の製造方法の工程図である。
【図21】実施の形態1における電子装置の製造方法の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1,2,3 孔版
1a,2a,3a 通孔
1b リブ
1c,2c,3c 板状部
5,15,18 基板
5a,18a リードフレーム
6 電子部品
7 ワイヤ
8,9,17 ケース部
8a,9a 壁部
8b 底部
8c 凹部
10,11 樹脂
16,21 リード部
19,20 保持器
19a 凹部
20a 爪部
20b 開口部
23 枠部材
24 ステージ
31,32 スキージ
41 切断線
53,54 矢印
61〜63 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部に取り囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法であって、
複数の前記リードフレームが形成されている基材に対して、それぞれの前記ケース部の内部に第1樹脂を充填する第1樹脂充填工程と、
前記基材を切断することにより、個々の前記リードフレームに分断する工程とを含み、
前記第1樹脂充填工程は、前記ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、前記領域に前記第1樹脂を充填する工程を含む、電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1樹脂充填工程は、第1スキージを孔版の表面に沿って移動することにより、前記第1樹脂を前記領域に充填する第1スキージ移動工程と、
第2スキージを孔版の表面に圧接させて移動することにより、前記第1樹脂の余剰部分を除去する第2スキージ移動工程とを含み、
前記第2スキージ移動工程は、前記第2スキージとして前記第1スキージよりも剛性の小さなスキージを用いることにより、前記第1樹脂の表面を平面状にする、請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1樹脂を硬化させる第1樹脂硬化工程と、
前記ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、前記第1樹脂の表面に第2樹脂を配置する第2樹脂配置工程と
を含む、請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2樹脂配置工程は、前記第1樹脂充填工程で用いた孔版と異なる孔版を用いる、請求項3に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
ケース部に取り囲まれた電子部品を支持するリードフレームを備える電子装置の製造方法であって、
保持器に保持されている複数の前記リードフレームに対して、それぞれの前記ケース部の内部に第1樹脂を充填する第1樹脂充填工程と、
前記保持器から個々の前記リードフレームを取り外す工程とを含み、
前記第1樹脂充填工程は、前記ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、前記領域に前記第1樹脂を充填する工程を含む、電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1樹脂充填工程は、第1スキージを孔版の表面に沿って移動することにより、前記第1樹脂を前記領域に充填する第1スキージ移動工程と、
第2スキージを孔版の表面に圧接させて移動することにより、前記第1樹脂の余剰部分を除去する第2スキージ移動工程とを含み、
前記第2スキージ移動工程は、前記第2スキージとして前記第1スキージよりも剛性の小さなスキージを用いることにより、前記第1樹脂の表面を平面状にする、請求項5に記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1樹脂を硬化させる第1樹脂硬化工程と、
前記ケース部に囲まれる領域に対応する位置に通孔を有する孔版を用いて、前記第1樹脂の表面に第2樹脂を配置する第2樹脂配置工程と
を含む、請求項5に記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2樹脂配置工程は、前記第1樹脂充填工程で用いた孔版と異なる孔版を用いる、請求項7に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−200465(P2009−200465A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225056(P2008−225056)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】